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【発明の名称】 機械式駐車設備
【発明者】 【氏名】西浦 盛展

【氏名】難波 政浩

【要約】 【課題】パレットを昇降する油圧シリンダがパレット横の通路用スペースを侵食せず、昇降手段の設置に起因する駐車設備の容積拡大も伴わない機械式駐車設備を提供すること。

【解決手段】上下に間隔をおいて配設された二段の車両載置用パレット12、13と、これらパレット12、13を昇降させるためにパレット12、13の左右両側に前後に離間して配置された四本の油圧シリンダ15とを備えており、この油圧シリンダ15の外筒15aが両パレット12、13の四隅近傍における側辺同士を間隔をあけて連結固定しており、上記油圧シリンダ15のピストンロッド15bの先端が床面に取り付けられており、ピストンロッド15bを伸縮することによって連結されたパレット12、13が一体に昇降させられるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上下に間隔をおいて配設された複数段の車両載置用パレットと、上下のパレット同士を連結する固定手段と、パレットを昇降させるための流体圧シリンダとを備えており、該流体圧シリンダのシリンダ本体が、複数本の固定手段のうちの少なくとも一部を構成してなる機械式駐車設備。
【請求項2】 上記固定手段がパレットの左右両側において前後に離間した位置にそれぞれ立設されており、パレット前方側の二本または後方側の二本の固定手段が流体圧シリンダのシリンダ本体から構成されており、流体圧シリンダのピストンロッドの先端が床面に取り付けられており、ピストンロッドを伸縮することによって連結されたパレットが一体に昇降させられるように構成されており、いずれかのパレットの側辺に前後に離間してバランスチェーン用の滑車が配設されており、バランスチェーンが、その一端が床面に固定されたうえで流体圧シリンダ配設側の滑車にその上から掛け回され、反対側の滑車にその下から掛け回された上で他端が機械式駐車設備スペースの上部に固定されてなる請求項1記載の機械式駐車設備。
【請求項3】 上記固定手段がパレットの左右両側において前後に離間した位置にそれぞれ立設されており、全固定手段が流体圧シリンダのシリンダ本体から構成されており、流体圧シリンダのピストンロッドの先端が床面に取り付けられており、ピストンロッドを伸縮することによって連結されたパレットが一体に昇降させられるように構成されてなる請求項1記載の機械式駐車設備。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は機械式駐車設備に関する。さらに詳しくは、上下に離間した状態で支柱によって相互に連結された複数段の車両載置用のパレットが一体で昇降させられる機械式駐車設備に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】パレットを昇降させる機械式駐車設備のうちでもピットを掘ってその中に形成される駐車設備では、一般的に複数段のパレットが上下に離間した状態で相互に固定されている。そして、この複数段のパレットが一体で昇降させられ、所望のパレットを乗り入れレベルに位置させて車両を出入させる。このような機械式駐車設備としては特開平10−82197号公報に開示されたものが知られている。この公報に具体的に示されている駐車設備は図4および図5に示されたようなものである。すなわち、ピットP内に、上下二段のパレット51、52が相互に離間した状態で、その左右両側に前後間隔をおいた位置で支柱53によって固定されたものである。これらパレット51、52の後部の両外側に昇降用の油圧シリンダ54が立設されている。油圧シリンダ54はピットPの床面に固定され、そのピストンロッド55の先端が支柱53の上段パレット51に対応する部分に連結部材56を介して固定されている。そして、ピストンロッド55を伸縮することによって両パレット51、52が一体で昇降させられる。ピットPの上面が乗り入れ口となっているので、昇降させることによって所望のパレット51(52)を乗り入れ口のレベルに一致させる。符号57はバランスチェーン機構である。
【0003】また、パレットの側辺の外側スペースは利用者の通路Rにしているのが一般的である。一方、この駐車設備によれば、上下のパレット51、52を相互に支柱53によって固定するとともに、その外側に昇降用の油圧シリンダ54を設置している。したがって、下段のパレット52を利用する人にとってはその通路デッキRとなるスペースに油圧シリンダ54が立設されると通行の邪魔になり、また、通行人に対して圧迫感を与える。油圧シリンダ54の設置部を避けて通路デッキRを設けると、駐車設備の容積が大きくなってコスト高となる。ピット式駐車設備にあっては設備コストはさらに高くなる。
【0004】本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、パレットを昇降する手段が通路用スペースを侵食しないため、通行人に特段の圧迫感を与えず、昇降手段の設置に起因する駐車設備の容積拡大を伴わず、部品点数の減少をも達成した機械式駐車設備を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の機械式駐車設備は、上下に間隔をおいて配設された複数段の車両載置用パレットと、上下のパレット同士を連結する固定手段と、パレットを昇降させるための流体圧シリンダとを備えており、この流体圧シリンダのシリンダ本体が複数本の固定手段のうちの少なくとも一部を構成している。
【0006】この機械式駐車設備によれば、上下のパレット同士を連結する固定手段の一部に昇降手段としての流体圧シリンダが兼用されている。したがって、従来のごとくパレットの外側方の通路スペースに昇降手段を位置させる必要がない。その結果、通路スペースが侵食されることはない。また、部品の兼用によって部品点数が低減される。なお、流体圧シリンダとしては通常は油圧シリンダが用いられる。
【0007】上記機械式駐車設備において、上記固定手段がパレットの左右両側において前後に離間した位置にそれぞれ立設されており、パレット前方側の二本または後方側の二本の固定手段が流体圧シリンダのシリンダ本体から構成されており、流体圧シリンダのピストンロッドの先端が床面に取り付けられており、ピストンロッドを伸縮することによって連結されたパレットが一体に昇降させられるように構成されており、いずれかのパレットの側辺に前後に離間してバランスチェーン用の滑車が配設されており、バランスチェーンが、その一端が床面に固定されたうえで流体圧シリンダ配設側の滑車にその上から掛け回され、反対側の滑車にその下から掛け回された上で他端が機械式駐車設備スペースの上部に固定されてなるものにあっては、昇降手段たる流体圧シリンダの本数を最小限に抑えたので設備コストの上昇も回避される。
【0008】または、上記固定手段がパレットの左右両側において前後に離間した位置にそれぞれ立設されており、全固定手段が流体圧シリンダのシリンダ本体から構成されており、流体圧シリンダのピストンロッドの先端が床面に取り付けられており、ピストンロッドを伸縮することによって連結されたパレットが一体に昇降させられるように構成されている機械式駐車設備にあっては、全流体圧シリンダがパレットの昇降を案内するガイド部材としても機能する。したがって、別途ガイド部材を設置する必要がない。また、バランスチェーンの上端を支持するための柱なども不要となる。
【0009】
【発明の実施の形態】添付の図面を参照しながら本発明の機械的駐車設備の実施形態を説明する。
【0010】図1は本発明の駐車設備の一実施形態を示す斜視図である。
【0011】本実施形態の駐車設備1は上下二段のパレット2、3を備えたものであるが、とくに二段に限定されることはなく、三段以上であってもよい。両パレット2、3は相互に上下間隔をおいて固定されている。固定手段はパレット前部の二本の支柱4とパレット後部の二本の油圧シリンダ5である。支柱4は両パレット2、3の左右両側辺における前端二隅から若干離れた位置で、その上端が上段パレット2の側辺に固定され、その下端が下段パレット3の側辺に固定されている。一方、それぞれがシリンダ本体(外筒ともいう)5aとピストンロッド5bとから構成された油圧シリンダ5は、両パレット2、3の左右両側辺における後端二隅から若干離れた位置で、その外筒5aの上端が上段パレット2の側辺に固定され、外筒5aの下端よりわずかに上方の部分が下段パレット3の側辺に固定されている。油圧シリンダ5の外筒5aはいわばパレット後部用の支柱としての機能を奏している。そして、ピストンロッド5bの先端は駐車設備1の床面に埋設したりアンカーボルトによって固定するなどして取り付けられている。したがって、ピストンロッド5bを伸長すれば上下のパレット2、3が一体で上昇し、ピストンロッド5bを収縮すれば上下のパレット2、3が一体で下降する。
【0012】なお、図示のごとく外筒5aの長さは上下パレット2、3の間隔寸法よりも長くされている。もちろん、ピストンロッド5bもそれに応じて長くなっている。それにより、パレット2、3の昇降必要ストロークに対して実際に昇降させ得る寸法に余裕を持たせている。
【0013】また、パレット2、3の後部から前部にかけての両側にはバランスチェーン機構6が配設されている。このバランスチェーン機構6は、油圧シリンダ5がパレットパレット2、3の後部を昇降させるときに、パレット2、3の前部にも昇降力を伝えて前後に水平バランスを取りつつ昇降するようにするためのものである。このバランスチェーン機構6は、下段パレット3(上段パレット2でもよい)の両側辺における前部に配設された前部滑車7および後部に配設された後部滑車8、並びに、これら滑車7、8に掛け回されたバランスチェーン9とを有している。バランスチェーン9はその一端が駐車設備1スペースの床面に固定されており、そこから後部滑車8に上から掛け回され、ついで前部滑車7に下から掛け回された上で、他端が駐車設備1スペースの天井または上部壁など(上昇位置における下段パレット3より上の位置)に固定されている。
【0014】図2も併せて参照しながらパレット2、3の昇降動作を説明する。図2(a)は上昇位置にあるパレット2、3を示し、図2(b)は下降位置にあるパレット2、3を示す。上記バランスチェーン機構6によれば、油圧シリンダ5がパレット2、3の後部を上昇させると後部滑車8がバランスチェーン9を後方に引くので、前部滑車7はバランスチェーン9によって上方へ持ち上げられ、その結果、下段パレット3の前部が持ち上げられる。このようにパレット2、3の前部後部ともに同一高さだけ上昇させられて上昇位置に至る(図2(a))。一方、上昇位置にあるパレット2、3の後部を油圧シリンダ5が下降させると後部滑車8がバランスチェーン9を前方に送るので、前部滑車7はバランスチェーン9による持ち上げ力が解放されてって下方へ下がり、その結果、下段パレット3の前部が下降させられる。このようにパレット2、3の前部後部ともに同一高さだけ下降させられて下降位置に至る(図2(b))。
【0015】なお、油圧シリンダ5の外筒5aは、パレットの幅方向に対する支柱4の取付位置に合わせる必要がある場合には、パレット2、3の側辺を若干切り欠いて外筒5a取付位置をパレットの内方へ若干変位させるようにしてもよい。
【0016】この駐車設備1によれば、パレット横の通路R用スペースが油圧シリンダによって侵食されることはない。また、通行人は伸長されたピストンロッド5bのそばを通ることもあるため、ピストンロッドには柔軟材料から形成された伸縮自在な蛇腹状のカバーを取り付けていてもよい。
【0017】上記実施形態においては上下パレット2、3を間隔をおいて固定する四個所の固定手段のうち、油圧シリンダ5の外筒5aが二個所を分担している。しかし、本発明ではかかる本数に限定されることはない。固定手段が四個所を超えてもよく、また、可能であれば三個所以下でもよい。さらに、そのうちの二個所に限らず、三個所以上または二個所未満について油圧シリンダとしてもよい。
【0018】図3に示す駐車設備11も間隔をおいた上下二段のパレット12、13を備えたものであるが、両パレット12、13同士の固定手段としては支柱は有しておらず、パレットの左右両側辺において前後に離間した位置に合計四本の油圧シリンダ15を備えている。四本の油圧シリンダ15の全ての外筒15aが支柱としての機能を奏している。この四本の油圧シリンダ15は同期して作動するため、とくにバランスチェーン機構を必要とはしない。したがって、バランスチェーンの設置に伴って必要となる落下防止装置も不要となる。
【0019】四本の油圧シリンダ15の同期作動には、共通の油圧源から管抵抗が同一となるように四本の油圧シリンダ15に作動油配管を接続するなどの公知の手法が取られる。四本の油圧シリンダ15は、その外筒15aの上端が上段パレット12の側辺に固定され、その下端よりわずかに上方の部分が下段パレット13の側辺に固定されている。そして、ピストンロッド15bの先端は駐車設備11の床面に取り付けられている。したがって、ピストンロッド15bを伸長すれば上下のパレット12、13が水平を保ったまま一体で上昇し、ピストンロッド15bを収縮すれば上下のパレット12、13が水平を保ったまま一体で下降する。
【0020】この駐車設備11では、油圧シリンダ5が昇降手段として作用することはもとより、外筒15aとピストンロッド15bとの摺動がパレット12、13の昇降をガイドする作用も奏する。したがって、別途ガイド部材を設置する必要がない。また、落下防止装置やバランスチェーンの上端を支持するための柱なども不要となる。このように、部品点数も一層低減されることとなる。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、パレットを昇降する手段がパレット横の通路用スペースを侵食しないため、通行人に特段の圧迫感を与えず、昇降手段の設置に起因する駐車設備の容積拡大も伴わない。しかも、部品点数の減少をも達成している。
【出願人】 【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
【出願日】 平成12年6月19日(2000.6.19)
【代理人】 【識別番号】100065868
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 嘉宏 (外2名)
【公開番号】 特開2002−4616(P2002−4616A)
【公開日】 平成14年1月9日(2002.1.9)
【出願番号】 特願2000−182607(P2000−182607)