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【発明の名称】 プール床と、その昇降方法
【発明者】 【氏名】里和 義英

【氏名】鍛治 昇

【氏名】三谷 直史

【要約】 【課題】

【解決手段】天井12に減速機付きモータ13と、該モータ13によって回転駆動される巻胴15を設置し、全体が一体をなすプール床16をチェーン17によって吊持する。そして巻胴15へのチェーン17の巻取り或いは巻戻しによりプール床16を昇降させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ワイヤー、ロープ、チェーン等の索条と、該索条を上げ下げする作動機構よりなる昇降装置により、使用時にはプール内に降下し、不使用時には天井まで吊上げられる天井吊下げ方式のプール床であって、全体が一体をなして昇降可能であることを特徴とするプール床。
【請求項2】長さが調節可能な脚を取付けるか、長さが異なる複数本の脚を折りたゝみ可能に取付け、或いは長さが異なる脚を着脱可能に取付け、プール床の高さを調節できるようしたことを特徴とする請求項1記載のプール床。
【請求項3】プール側壁の高さ方向に設けた数カ所の被係止部に係脱可能に係止する係止手段を設け、プール床の高さを数段階に調節できるようにしたことを特徴とする請求項1記載のプール床。
【請求項4】作動機構がモータより減速機を介して回転駆動され、索条を巻取り或いは巻戻すウィンチを有し、天井に設置されることを特徴とする請求項1ないし3のいづれかの請求項に記載のプール床。
【請求項5】プール床を水中においては低速で、水中から引上げた状態では高速で昇降させることを特徴とする請求項1ないし4記載のプール床の昇降方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、プールに昇降可能に設置されるプール床と、その昇降方法に関する。
【0002】
【従来技術】プール床を昇降させてプールの水深を変えたり、不使用時にはプールサイドと同一レベルまで上昇させて、フロアとして使用できるようにしたものは既知で、その昇降装置は多くの場合、プールサイドに設置された減速機付モータにより回転駆動される巻胴と、該巻胴に巻装されてプール床を吊持するチェーンとより構成され、巻胴にチェーンを巻上げ或いは巻戻しすることによりプール床が昇降を行うようになっているが、プール床の昇降装置をプールサイド地下に格納したピット方式のものも知られる。
【0003】しかしながら上述する従来のタイプのものでは、(1) 図1に示すように、プール床1がプール底に着床した状態で水深Hが最大となるが、この状態で水深が所定深さとなるようにするには、図2に示すようにプール床のないプールに比べ、少なくともプール床1の厚みd分はプールを余分に深くせねばならず、その分プールが大型化して設備費が嵩むこと、(2) 少なくともプール床の厚み分がロススペースとなることにより、プールに貯留される水量が増し、温水プールの場合、エネルギーコストが増大するうえ、プールの水を循環使用する際の水質浄化費用が増加し、ランニングコストが増加すること、(3) プール床下のプールの清掃が困難であること、(4) 図3に示すように、プール床3がプール床4の例えば半分程度の大きさである場合、昇降装置はプールサイドに隣接するプール床の三辺a、b、cを吊持し、四辺を吊持できないため、安定性を欠くこと、等の問題があり、しかもプール床の昇降装置がプールサイド地下に格納されるピット方式の場合、邪魔にならず接触による危険性もない反面、プールサイドに昇降装置を格納するためのスペースも必要となり、設備費が更に嵩むほか、既存のプールには適用できないか、適用しようとすると、プ−ルに大幅な改造を要する等の問題がある。
【0004】特開平2−157363号には、天井吊下げ方式のプール床が開示されている。このプール床によると、既存のプールにも取付けが可能であること、不使用時には吊上げて天井に格納することにより邪魔にならず、プールの清掃も容易にできること、プール床を天井に格納することによりプール底までを水深とするプールとして使用でき、したがって上述のプールが大型化する問題やランニングコストが増加する問題を解消できること、プール床がプールの半分程度の大きさである場合も四辺を吊持することができること等の効果があるが、プール床が分割されて、それぞれが天井の桁間に格納されるようになっており、(1) 分割されたプール床が個々に昇降されるようになっているため、構造が複雑となること、(2) プール床を降下させてプール底に着床させたり、水中でのプール床の高さを変え、水深を変えるときには、プール床間に桁幅の隙間ができるため、該隙間に桁幅のプール床を嵌め込む必要があり、この作業は人手によって行わざるを得ないため手間がかゝること、などの問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、天井吊下げ方式の上記の問題を解消したプール床を提供し、更にはその昇降方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題の解決手段】請求項1記載の発明は、ワイヤー、ロープ、チェーン等の索条と、該索条を上げ下げする作動機構よりなる昇降装置により、使用時にはプール内に降下し、不使用時には天井まで吊上げられる天井吊下げ方式のプール床であって、全体が一体をなして昇降可能であることを特徴とする。
【0007】本発明のプール床は、全体が一体をなすため一つの昇降装置により昇降させることができ、また使用時に水深を浅くするときにはプール内に降下させるだけでよい。
【0008】プール底に着床させたときは索条はそのまゝプール床に連結しておいてもよいが、好ましくは邪魔にならないように取り外される。
【0009】本発明のプール床は、プール底に着床させた状態より引上げて水深を無段階に調節することも可能であるが、脚を設けたり、プール側壁と連結する連結手段を設けて水深を数段階に変えることもできる。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、長さが調節可能な脚を好ましくは折りたゝみ可能に取付けるか、長さが異なる複数本の脚を折りたゝみ可能に取付け、或いは長さが異なる脚を着脱可能に取付け、プール床の高さを調節できるようしたことを特徴とする。
【0011】本発明において、長さが調節可能な脚には例えばシリンダー、ネジ棒と該ネジ棒に回転止めされて螺着される筒状の支柱等を用いることができ、長さが異なる複数本の脚が折りたゝみ可能に取付けられる場合には、所望長さの使用する脚以外の脚が折りたゝまれ、脚が選択使用される。また長さが異なる脚を着脱可能に取付けるには、例えば脚をプール床に差込んで脚上端部をプール床に捩込んで止着したり、或いは脚上端部に側方に突出するピンを設け、脚をプール床に差込んで若干回すことにより、ピンが抜け止めされるような機構を採用するとよい。
【0012】前者のシリンダーやネジ棒を用いた脚では、プール床の高さ、すなわち水深が無段階で調節可能である。後二者の長さの異なる脚を使用する場合には、水深が数段階で調節可能となる。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、プール側壁の高さ方向に設けた数カ所の被係止部に係脱可能に係止し、被係止部と共に連結手段を構成する係止手段を設け、プール床の高さを数段階に調節できるようにしたことを特徴とする。
【0014】本発明において、プール側壁に設けられる被係止部としては、例えば係止孔ないし溝、フック、リング、突起等が例示され、係止手段としては、例えばプール床に回動或いは進退可能に取付けられ、動力により或いは人力により回動或いは進退して被係止部に係脱するフック、突起部等が例示される。
【0015】なお上述の請求項2及び3記載の発明においては、プール床の高さ調節後、プール床を吊持する索条は取外すことができる。
【0016】請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載の発明において、作動機構がモータより減速機を介して回転駆動され、索条を巻取り或いは巻戻すウィンチを有し、天井に設置されることを特徴とする。
【0017】本発明によると、作動機構が邪魔にならず、プールサイドを有効利用することができる。
【0018】請求項5記載の発明は、請求項1ないし4記載の発明のプール床の昇降方法に関するもので、プール床を水中においては低速で、水中から引上げた状態では高速で昇降させることを特徴とする。
【0019】本発明によると、水中においてはプール床を低速で昇降させることにより水の抵抗が少なくなり、空中において高速で昇降させることにより使用時と非使用時の切換えが迅速に行われるようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面により説明する。
【0021】図4において、プールサイド11上方の天井12にはそれぞれ、作動機構を構成する減速機付きモータ13と、プールサイド11に沿って配置され、モータ13により回転駆動されるシャフト14と、シャフト14に一定間隔で固着される巻胴15(図には、その一つが示されている)が設置され、各巻胴15にはプール床16に係脱可能に連結される索条としてのチェーン17が連結され、チェーン17の巻上げ或いは巻戻しにより、プール床16が昇降するようになっている。そして不使用時にはプール床16を天井12に吊上げた状態で拘束できるように、巻胴15にブレ−キ装置が設けられるほか、ロック機構が設けられる。このロック機構は図5に示すように、モータ13及び巻胴15が取付けられ、天井12に固定される取付台18に軸着されるフック20と、該フック20を回動させるシリンダ−19よりなり、シリンダ−19によりフック20を図の時計方向に回動させてプール床16に係止させることにより、プール床16をロックできるようになっている。
【0022】プール床16はステンレス製の枠16aと、該枠上に並設される中空な樹脂製の角パイプ16bと、角パイプ上に敷設される樹脂製のプレート16cよりなり、角パイプにより軽量化して比重が1より若干大きくなるように構成されている。
【0023】本実施形態のプール床16は図示するように、プール底に着床する位置と、プールサイド11と同一レベルをなす位置と、天井12の桁12aに達するまで吊上げられる位置とに切換可能である。プール底に着床した状態では水深が浅くなり、プールサイドと同一レベルに持上げられた状態では、プール床16がフロアとして使用可能となる。またプール底を清掃したり、プールの水深を深くするときにはプール床が天井まで吊上げられる。プール床が水中を脱して天井まで吊上げられ、或いは天井より水面に達するまで降下するときには、水中におけるよりも高速で昇降される。これにより不使用時と使用時における切換えが迅速に行われるようになる。
【0024】プール床16をプールサイド11と同一レベルに支持するには、チェーン17で吊持することも可能であるが、プール床16に脚を取付けたり、プール側壁に連結手段により連結させるのが望ましい。これによりプール床の支持状態が安定し、チェーン17を邪魔にならないように取外すこともできる。
【0025】図6は、脚22をシリンダーによって構成した例を示すものであり、図7は上端に径大のネジ部24aを備えた脚24をプール床16のネジ孔25に差込み、ネジ部24aをネジ孔25に捩込んで取付けた例を示すものである。また図8及び図9は、脚27の上端に側方に突出するピン28を設ける一方、プール床29に脚嵌合孔31と、該孔31の回りに形成され、ピン28が嵌合する周溝32と、ピン28が嵌合して周溝32に達する切欠き33を設け、脚嵌合孔31に脚27を嵌挿させたのち、ピン28を切欠き33に合わせて周溝32に押込み、脚27を図の矢印方向に回してピン28を周溝内に嵌合させて取付けた例を示すものである。
【0026】図10は、プール側壁35に被係止部としての係止孔36を形成する一方、プール床37に係止手段としてのシリンダー38を設け、突起としてのピストンロッド38aを係止孔36に嵌合係止させることにより固定した例を示すものである。
【0027】
【発明の効果】請求項1記載の発明によると、天井に吊上げて格納しておくことにより邪魔にならず、プールの水深をプール底までの深さにすることができ、プールの清掃も容易にできること、プール床を使用するプールであっても大型化する必要がなく、プール床を使用しないプールと同じ大きさで、貯留する水の量も同程度にでき、プール床を使用するプールに比べ、ランニングコストを低減できること、既存のプールにもプール自体に何等変更を加えることなく適用できること、プール床がプールより小さくても四辺を吊持でき、支持状態が安定すること、プール床は全体が一体化されているため、分割されたプール床のようにプール床を昇降させるための装置を個々のプール床に設けるのと比べ、構造が簡素化されること、プール床を水中に沈めて使用する際には、分割されたプール床のようにプール床間の隙間に別のプール床を装填する必要がなく、プール内に単に降ろすだけでよいため作業が容易であること等の効果を奏する。
【0028】請求項2及び3記載の発明によると、プール床の高さを数段階或いは無段階に固定することができ、索条を邪魔にならないように取外すことができる。
【0029】請求項4記載の発明においては、作動機構を天井に設けたことによりプールサイドを有効利用することができ、プール床をフロアとして使用する場合、とくに有効である。
【0030】請求項5記載の発明によると、プール床の使用時と非使用時の切換えを水の抵抗を少なくして迅速に行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
【識別番号】591223149
【氏名又は名称】日新工機株式会社
【出願日】 平成12年6月19日(2000.6.19)
【代理人】 【識別番号】100079636
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 晃一
【公開番号】 特開2002−4612(P2002−4612A)
【公開日】 平成14年1月9日(2002.1.9)
【出願番号】 特願2000−182384(P2000−182384)