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【発明の名称】 分解可能な組み立てプール及びその組み立て方法
【発明者】 【氏名】今里 藤勝

【要約】 【課題】水深の深いプールの側壁の構成に適した分解可能な組み立てプールの提供を一つの目的とし、その中でも特に、公認プールの長さ(距離)調整をプールの側壁間距離の調整によって行うことができる技術を提供するものである。

【解決手段】本発明は、複数の側壁セグメントを組み合わせてプールの側壁を形成する分解可能な組み立てプールであって、前記側壁セグメントは、隣り合うセグメント相互が水密状態に接続された複数の上セグメントと、隣り合うセグメント相互が水密状態に接続された複数の下セグメントからなり、前記上セグメントと前記下セグメントのそれぞれは、その端縁に形成した外向きフランジ相互がボルト結合され、前記フランジ相互の結合部には水密状態に保持するシール部を設けた技術構成である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の側壁セグメントを組み合わせてプールの側壁を形成する分解可能な組み立てプールであって、前記側壁セグメントは、隣り合うセグメント相互が水密状態に接続される複数の上セグメントと、隣り合うセグメント相互が水密状態に接続される複数の下セグメントからなり、前記上セグメントと前記下セグメントはその端部に形成した外向きフランジを有し、これらフランジ相互がボルト結合される結合部を水密状態に保持するシール部を設けてなる分解可能な組み立てプール。
【請求項2】 複数の側壁セグメントを組み合わせてプールの側壁を形成する分解可能な組み立てプールであって、前記側壁セグメントは、下セグメントとその上に取り外し可能にボルト結合される上セグメントからなり、横に併設された前記側壁セグメント相互を取り外し可能にボルト結合してなる分解可能な組み立てプール。
【請求項3】 複数の側壁セグメントを組み合わせてプールの側壁を形成する分解可能な組み立てプールであって、前記側壁セグメントは、隣り合うセグメント相互が水密状態に接続された複数の上セグメントと、隣り合うセグメント相互が水密状態に接続された複数の下セグメントからなり、前記上セグメントと前記下セグメントの接合端部には、前記各セグメント相互がボルト結合される外向きフランジを設け、前記フランジの基部には、接合されたセグメント相互で凹部が形成されるようにプールの側壁外方へ膨らんだ段部を設け、前記凹部には前記凹部を埋めて実質上平らな前記プールの側壁を形成する水密シール材が貼着されてなる分解可能な組み立てプール。
【請求項4】 複数の側壁セグメントを組み合わせてプールの側壁を形成する分解可能な組み立てプールであって、前記側壁セグメントは、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の上セグメントと、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の下セグメントからなり、前記上セグメントは、一端が前記上セグメントに回動可能に支持され他端が基部に対して進退するようネジ結合の調節部を有し、前記プールの対向する側壁相互間距離(プールの長さ)調節を前記調節部のネジの回動に伴う前記上セグメントの移動によって行うことを特徴とする分解可能な組み立てプール。
【請求項5】 前記上セグメントと前記下セグメントとは所定水深のほぼ半分の位置に水密状態の結合部を構成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の分解可能な組み立てプール。
【請求項6】 前記上セグメントと前記下セグメントとは公認計測水深よりも深い位置で水密状態の結合部を構成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の分解可能な組み立てプール。
【請求項7】 前記上セグメントと前記下セグメントを繊維強化樹脂製としたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の分解可能な組み立てプール。
【請求項8】 前記上セグメント、前記下セグメント及び前記水密シール材を繊維強化樹脂製としたことを特徴とする請求項3に記載の分解可能な組み立てプール。
【請求項9】 前記上セグメントと前記下セグメントの両フランジ間には、前記両フランジのボルト結合によってその厚さが変わる弾力性の高さ調節材を設け、前記ボルトによる前記フランジ相互の結合間隔によって前記プールの側壁の高さ調節がなされることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の分解可能な組み立てプール。
【請求項10】 複数のセグメントを組み合わせてプールの側壁と底壁を形成する分解可能な組立てプールであって、前記側壁セグメントは、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の上セグメントと、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の下セグメントからなり、プールの長さ(コースの長さ)を設定する上セグメントと下セグメントの横幅を実質上所定のコース幅とすると共に、上セグメント相互の結合部によって形成される結合ラインをコースロープの延長上とし、底壁セグメント相互の結合部によって形成されるラインが前記コースの中央或いは前記コースロープの直下に位置にすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の分解可能な組み立てプール。
【請求項11】 複数の側壁セグメントを組み合わせてプールの側壁を形成する分解可能な組み立てプールであって、前記側壁セグメントは、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の上セグメントと、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の下セグメントからなり、プールの長さ(コースの長さ)を設定する側の前記上セグメントには、一端が前記上セグメントに回動可能に支持され他端が基部に対して進退するようネジ結合の調節部を設け、前記下セグメントに前記上セグメントを載置した後、前記調節部のネジの回動によって前記上セグメントを移動させて前記プールの対向する側壁相互の間隔(プールの長さ)調節を行い、前記上セグメントを所定状態に設定して分解可能に組み立てることを特徴とする分解可能な組み立てプールの組み立て方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の側壁セグメントを結合してプールの側壁を形成し、前記結合を解除することによって分解可能とした分解可能な組み立てプールに関する。
【0002】
【従来の技術】海岸等に設置されてシーズンオフには分解するタイプの分解可能な組み立てプールとして、特開平8−783号がある。これには、複数個のセグメント4、5が分解可能に組み立てられるものであって、各セグメント間の結合部は底壁の端部40、50がほぼ面一に突き合わされ、この両セグメントの突き合わせ部底壁の下面には両セグメントの底壁端部に跨って連結板6がパッキンを介して重ね合わされ、この底壁と連結板6とを貫通させてタッピングスクリュー8でねじ止めされることにより、両セグメント4、5の底壁が連結板6を介してシール構造で連結されているプールが開示されている。
【0003】夏期などの限られた期間使用する目的に構成された分解可能な組み立てプールとして、特開平9−170348号がある。これには、互いに並設された複数の繊維強化樹脂製のプールユニット8と、隣り合う両プールユニット8、8の互いの対向縁部12、12同士を結合させる結合手段13とを備え、結合手段13が、両対向縁部12、12の両上面12a、12aに跨って設置されこれら両対向縁部12、12に沿って延びる長尺のシート材18と、このシート材の上面18aに設置され、このシート材18に沿って延びその幅方向の各端縁部20、20が両対向縁部12、12の上面12a、12aに接着させられる長尺の繊維強化樹脂製の結合材19とを備えた分解可能な組み立てプールが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】水深の深いプールになると側壁の高さがかなり高くなり強度を保つための複雑な構造になるため、従来技術ではプール幅に亘って正確にプール長を設定することは難しい。特に公認プールの場合にはプール長さ(距離)を正確に設定することが要求されるため、従来技術ではその達成が極めて困難である。上記特開平8−783号は、側壁と底壁の接合に係り、側壁同士の接続構造の開示はない。また、特開平9−170348号は、複数の繊維強化樹脂製のプールユニットの結合構造が開示されているが、側壁は底壁の一部と連続して形成されたプールユニットで形成されている。まして水深が深いプールの側壁構造や公認競技用プールの場合のプール長さ(距離)を正確に設定する方法については開示がない。
【0005】これに対し本発明は、水深の深いプールの側壁の構成に適した分解可能な組み立てプールの提供を一つの目的とし、その中でも特に、公認プールの長さ(距離)調整をプールの側壁間距離の調整によって行うことができる技術を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の分解可能な組み立てプールに係る具体的な手段として、第1の発明は、複数の側壁セグメントを組み合わせてプールの側壁を形成する分解可能な組み立てプールであって、前記側壁セグメントは、隣り合うセグメント相互が水密状態に接続された複数の上セグメントと、隣り合うセグメント相互が水密状態に接続された複数の下セグメントからなり、前記上セグメントと前記下セグメントのそれぞれは、その端部に形成した外向きフランジを有し、これらフランジ相互がボルト結合される結合部を水密状態に保持するシール部を設けた技術構成である。
【0007】また、本発明の第2の発明は、複数の側壁セグメントを組み合わせてプールの側壁を形成する分解可能な組み立てプールであって、前記側壁セグメントは、下セグメントとその上に取り外し可能にボルト結合される上セグメントからなり、横に併設された前記側壁セグメント相互を取り外し可能にボルト結合してなる分解可能な組み立てプールである。
【0008】また、本発明の第3の発明は、複数の側壁セグメントを組み合わせてプールの側壁を形成する分解可能な組み立てプールであって、前記側壁セグメントは、隣り合うセグメント相互が水密状態に接続された複数の上セグメントと、隣り合うセグメント相互が水密状態に接続された複数の下セグメントからなり、前記上セグメントと前記下セグメントの接合端部には、前記各セグメント相互がボルト結合される外向きフランジを設け、前記フランジの基部には、接合されたセグメント相互で凹部が形成されるようにプールの側壁外方へ膨らんだ段部を設け、前記凹部には前記凹部を埋めて実質上平らな前記プールの側壁を形成する水密シール材が貼着された技術構成である。
【0009】また、本発明の第4の発明は、複数の側壁セグメントを組み合わせてプールの側壁を形成する分解可能な組み立てプールであって、前記側壁セグメントは、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の上セグメントと、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の下セグメントからなり、前記上セグメントは、一端が前記上セグメントに回動可能に支持され他端が基部に対して進退するようネジ結合の調節部を有し、前記プールの対向する側壁相互間距離(プールの長さ)調節を前記調節部のネジの回動に伴う前記上セグメントの移動によって前記上セグメントの鉛直出しを行う技術構成である。
【0010】また、本発明の第5の発明は、前記上セグメントと前記下セグメントとは所定水深のほぼ半分の位置に水密状態の結合部を構成した技術構成である。
【0011】また、本発明の第6の発明は、前記上セグメントと前記下セグメントとは公認計測水深よりも深い位置で水密状態の結合部を構成した構成した技術構成である。
【0012】また、本発明の第7の発明は、前記上セグメントと前記下セグメントを繊維強化樹脂製とした技術構成である。
【0013】また、本発明の第8の発明は、前記上セグメント、前記下セグメント及び前記水密シール材を繊維強化樹脂製とした技術構成である。
【0014】また、本発明の第9の発明は、前記上セグメントと前記下セグメントの両フランジ間には、前記両フランジのボルト結合によってその厚さが変わる弾力性の高さ調節材を設け、前記ボルトによる前記フランジ相互の結合間隔によって前記プールの側壁の高さ調節がなされる技術構成である。
【0015】また、本発明の第10の発明は、複数のセグメントを組み合わせてプールの側壁と底壁を形成する分解可能な組み立てプールであって、前記側壁セグメントは、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の上セグメントと、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の下セグメントからなり、プールの長さ(コースの長さ)を設定する上セグメントと下セグメントの横幅を実質上所定のコース幅とすると共に、上セグメント相互の結合部によって形成される結合ラインをコースロープの延長上とし、底壁セグメント相互の結合部によって形成されるラインが前記コースの中央或いは前記コースロープの直下に位置する技術構成である。
【0016】また、本発明の第11の発明は、複数の側壁セグメントを組み合わせてプールの側壁を形成する分解可能な組み立てプールであって、前記側壁セグメントは、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の上セグメントと、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の下セグメントからなり、プールの長さ(コースの長さ)を設定する側の前記上セグメントには、一端が前記上セグメントに回動可能に支持され他端が基部に対して進退するようネジ結合の調節部を設け、前記下セグメントに前記上セグメントを載置した後、前記調節部のネジの回動によって前記上セグメントを移動させて前記プールの対向する側壁相互の間隔(プールの長さ)調節を行い、前記上セグメントを所定状態に設定して分解可能に組み立てる技術方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の分解可能な組み立てプールの実施の形態について説明する。図1乃至図10は本発明に係る分解可能な組み立てプールの一つの実施形態を示す。図1は本発明のプールを備えたプール施設全体の概要を示す縦断面図、図2は本発明のセグメントの構成配置図、図3は上下セグメントの調節構成図、図4はプールの左右側壁に構成図、図5は上下セグメントの接続部の構成図、図6は底壁セグメントの接続部の構成図、図7は本発明プールの一部上面図、図8は他の実施形態の本発明プールの一部上面図、図9はセグメントの位置を調節する調節部の構成図、図10はセグメントの位置調節部の他の実施形態を示す構成図である。
【0018】本発明の分解可能な組み立てプールを図に基づき説明する。本発明の分解可能な組み立てプール1は、複数の側壁セグメントを組み合わせてプールの側壁を形成する分解可能な組み立てプールであって、通常25mプール又は50mプールと称されるプールは長方形状を呈し、そのプールの側壁を構成する前記側壁セグメントは、プールの長さ方向(コース方向)を設定する長さ方向の側壁セグメントと、プールの幅方向を設定する幅方向の側壁セグメントを有する。この両側壁セグメントとも、隣り合うセグメント相互が水密状態に接続される同様の構成であるため、両側壁セグメントを代表して以下の説明は、長さ方向の側壁セグメントについて記述することとする。
【0019】本発明の分解可能な組み立てプール1は、複数の側壁セグメントを組み合わせてプールの側壁10を形成する分解可能な組み立てプールであって、隣り合うセグメント相互が水密状態に接続された複数の上セグメント2と、隣り合うセグメント相互が水密状態に接続された複数の下セグメント3からなり、上セグメント2と下セグメント3のそれぞれは、その端縁に形成した外向きフランジ4、5相互がボルト6結合され、フランジ4、5相互の結合部7には水密状態に保持するシール部8を設けてなる構成である。図では、上セグメント2には、その左右端部と中間部に縦方向の外向きフランジ4と、下端に横方向の外向きフランジ4が形成され、隣り合う上セグメント2、2相互は、その左右端部の外向きフランジ4、4相互がボルト6で結合される。また下セグメント3には、その左右端部と中間部に縦方向の外向きフランジ5と、上端に横方向の外向きフランジ5が形成され、隣り合う下セグメント3、3相互は、その左右端部の外向きフランジ5、5相互がボルト6で結合される。更に、上セグメント2と隣り合う下セグメント3相互は、それぞれの左右端部の外向きフランジ4と5相互がボルト6で結合される。
【0020】隣り合う上セグメント2、2相互、隣り合う下セグメント3、3相互、及び隣り合う上セグメント2と下セグメント3相互の結合部の構造は、図に結合部7で示しており、以下の構成である。即ち、結合部7において、対面するフランジ4と4、5と5、及び4と5相互間には、この結合部の長さに亘って水密シール材13が設けられている。このシール材13は、比較的固い弾力性の材質であり、その一つとして天然ゴム又は合成ゴム製である。フランジ相互のボルト6結合の締め具合によってシール材13の厚さが変わり、下セグメント3に対して上セグメント2の高さ調節を行うことができるものである。このため、このシール材13は、シール機能を有する高さ調節材といえる。
【0021】またこの結合部7は、隣り合うセグメント相互の接合端縁の外向きフランジ4、5の基部には、結合されるセグメント相互で凹部9が形成されるようにプールの側壁10外方へ膨らんだ段部11を設け、凹部9には凹部9を埋めて実質上平らなプールの側壁10を形成する水密シール材12が貼着されている。シール材12は、FRP、シリコーン、その他のペースト材で構成される。シール材12それ自身が着色されたものでもよく、またシール材12の表面に適宜所定のカラー塗装を施してもよい。40は結合部7のフランジ基部に形成される隙間に充填されたFRP又はペーストのシール材である。
【0022】上セグメント2と下セグメント3とは繊維強化樹脂(FRP)製で厚さ5mm程度に仕上げられる。また水密シール材12も繊維強化樹脂(FRP)製とすることによって上セグメント2及び下セグメント3と一体化し易く、凹部9を埋めた状態で平坦な側壁10になるように仕上げられる。
【0023】上下一対をなす一つの上セグメント2と一つの下セグメント3とで側壁セグメントの1単位を構成し、これを1側壁ユニットとして横に併設してプールの側壁10を構成する。通常、この1側壁ユニットの幅は競泳用プールの一つのコース分の幅に相当し、これが横方向へ併設されてプール側壁を構成することによって、各セグメントの構造の共通化が図れて製造がし易く、また、この側壁セグメントをコース幅に合わせた形状とすることによってプールの組立もし易くなる。しかし、強度的に充分である等の条件次第では、2コース分の幅に形成する等、大きくすることも可能である。
【0024】また、18は、上セグメント2と基部15との間に設けた調節材である。調節材18は、一端部が軸14で上セグメント2のフランジ4に回動可能に支持され、他端部がネジ結合の調節部16を介して基部15に結合されている。このため、調節部16のネジ17の回動によって基部15に対して調節材18が進退することによって上セグメント2が進退し、上セグメント2の鉛直位置の調節や下セグメント3に対する上セグメント2に位置の調節ができる構成であり、この調節部16の機構は所謂、ターンバックル構成と称するものである。従って、プール1の対向する側壁相互間距離(プールの長さ及び幅)の調節を調節部16のネジ17の回動に伴う上セグメント2の移動によって細かく調節できる構成である。この調節が終わった段階で、ネジ17にはめた固定ナット19の締め付けによってその位置で固定できる。公認プールにおいて、水深2m以上の50mプールでは、距離の寸法精度が50mに対して誤差が0乃至10mm以内が要求されるが、このような構成によって、上セグメント2の位置調節が正確に且つ簡単に行える効果を奏する。
【0025】また、下セグメント3の位置調節も上記同様に、調節部16のネジ17の回動によって基部15に対して調節材18が進退する構成にすることによって、所定位置への調節が行える。
【0026】次にプール1の組立てについて説明する。プール1を取り囲むように設置した支持構築体20を設け、この内側において、下セグメント3を順次併設して行く。この場合、プールの長さ(コース長)を設定する下セグメント3については、図3の如く支持構築体20に設けた基部15に前述のように調節材18を介して下セグメント3の一つを位置決めし、隣りの下セグメント3を同様にして位置決めした状態で隣り合う下セグメント3同士を結合部7によって結合する。この関係でもってプールの長さ方向を設定する下セグメント3の設置が行われる。またプールの幅方向を設定する下セグメント3も同様の方法にて設置される。しかし、プールの幅方向はプールの長さ方向のように厳密な距離の設定が必要ないので、図4の如く支持構築体20に一端部をボルト結合され、他端部を下セグメント3のフランジ5にボルト結合された固定材21によって所定位置に設置する方法でもよい。隣りの下セグメント3を同様にして位置決めした状態で隣り合う下セグメント3同士を結合部7によって結合する。この関係でもってプールの幅方向で対向する下セグメント3の設置が行われる。
【0027】次に上セグメント2の設置について説明する。上記のようにして設置された下セグメント3に対して、一つの上セグメント2と一つの下セグメント3とが上下方向に一致するように調節材13を介して上セグメント2を載せ、結合部7のボルト6とナット6Aでもってその締め付け度合いを調節して上セグメント2の高さ調節を行う。そして、調節部16のネジ17の回動に伴う上セグメント2の移動によって細かく上セグメント2の位置と姿勢を調節する。調節の終了によって上セグメント2の設置はすべての下セグメン3の設置が終了した段階で行う必要はなく、一つの下セグメン3の設置終了の後にその上に上セグメント2を載せて設置する関係で、プール1の側壁10を構築する方法でも良い。この関係でもってプールの長さを設定する上セグメント2の設置が行われる。またプールの幅方向を設定する上セグメント2も同様の方法にて設置される。しかし、プールの幅方向を設定する上セグメント2については、プールの長さ方向のように厳密な距離の設定が必要ないので、図4の如く支持構築体20に一端部をボルト結合され、他端部を上セグメント2のフランジ4にボルト結合された固定材21によって所定位置に設置する方法でもよい。隣りの上セグメント2を同様にして位置決めした状態で隣り合う上セグメント2同士を結合部7によって結合する。この関係でもってプールの幅方向を設定する上セグメント2の設置が行われる。このような調節、結合の後に、各セグメントの結合部7に前述の構成のシ−ル作業を行う。プールのコーナ部のシールは適宜行われる。
【0028】上記のように、プールの幅方向を設定する上セグメント2及び3については、プールの長さ方向のように厳密な距離の設定が必要ないので、図4の如き構成でもよい。このため、調節部16のネジ17の回動によって基部15に対して調節材18が進退して上セグメント2及び下セグメント3の位置調節方式は、少なくとも、プールの長さを設定する側壁10に適用することで、本発明を達成できる。
【0029】プールの幅方向を設定する側壁10の結合部7は、凹部9を形成しない従来の構成でもよい。即ち、図9のように、結合される両フランジ4、5間に水密シール材13を介在させ、両フランジ4、5の基部の隙間を埋めるFRP、シリコーン性材料又はその他のペースト材料のシール材41にてシールする方法でもよい。更に、プールの長さ方向を設定する側壁10についても、上セグメント2と下セグメント3との結合部7は図5の本発明の構成とするが、左右に併設される上セグメント2同士及び下セグメント3同士の結合は図9のように構成することでもよい。
【0030】また、上セグメント2と下セグメント3とは所定水深のほぼ半分の位置に水密状態の結合部7を構成している。これによって、上セグメント2と下セグメント3とはほぼ同じ高さに構成することができ、上セグメント2と下セグメント3とが大きく異なる場合に比して、製造上でも運搬上でも取り扱いが容易となる。またプールの水深を3mに設定し、結合部7を水深約1.5mの位置にすることによって、上セグメント2と下セグメント3との結合部7がプール組立て作業者のほぼ目の高さに位置するので、結合部7の結合作業及びシール作業などが目で確認しながらできるので、作業が安全に且つ正確に行える効果を奏する。
【0031】また、上セグメント2と下セグメント3とは公認計測水深よりも深い位置で水密状態の結合部7を構成している。このため、公認計測水深が1.2mの場合には、プールの水深を3mに設定し、結合部7を水深約1.5mの位置にすることによって、最終調節段階では、下セグメント3の位置調節なくして上セグメント2の調節だけでプール長さを所定の誤差範囲に調節できるので、上セグメント2と下セグメント3の双方の調節が不要となり、調節が容易で正確に行える。また結合部7の結合作業及びシール作業などが目で確認しながらできる高さとなり、作業が安全に且つ正確に行える効果を奏する。
【0032】プールの長さを設定する上セグメント2(コースの長さ方向で対面してコースの長さ方向を規定する側壁セグメント)の上端部に形成したデッキ部22は、水面WLよりも上方に突出した位置にある。23はその一方のデッキ部22の上面に設けたスタート台である。プールの幅方向で対向する上セグメント2の上端部に形成したデッキ部はオーバーフロー部24を形成し、水面WLとほぼ同レベルであり、その上面にはオーバーフローした水の排水溝25が形成されている。
【0033】図6にはプール1の底壁を構成する底壁セグメント26相互の結合構成を示す。またこの結合部27は、隣り合うセグメント26相互の接合端縁が相互に重なり合って固定鋲31によって結合されている。また結合されるセグメント26相互で凹部28が形成されるようにプールの下方へ膨らんだ段部29を設け、凹部28には凹部28を埋めて実質上平らなプールの底壁を形成するように水密シール材30が貼着されている。シール材30は、FRP、シリコーン又はその他のペースト材で構成され、シール材30それ自身が着色されたものでもよく、またシール材30の表面に適宜所定のカラー塗装を施してもよい。セグメント26相互の接合端縁が相互に重なり合ってできる窪み32にはFRP又はペーストのシール材が充填されている。底壁セグメント26は結合部27以外の部分は、底壁の弾力性とプール水の保温のために硬質塩化ビニールなどの発泡材42が充填された二重構造になっている。
【0034】底壁セグメント26は繊維強化樹脂(FRP)製で厚さ5mm程度に仕上げられる。また水密シール材30も繊維強化樹脂(FRP)製とすることによって、底壁セグメント26と一体化し易く、凹部28を埋めた状態で平坦なプールの底壁になるように仕上げられる。
【0035】底壁セグメント26と側壁10との結合は、図3及び図4に示すように、下セグメント3の下端部がプールの底壁の一部を形成するように構成し、この部分と底壁セグメント26とを図6の構成と同様の構成によって結合することができる。
【0036】図10には調節部16の他の実施形態を示す。図10において、基部15から延びた桿55と調節材18から延びた桿56とがそれぞれネジ結合される回動部材57を有し、回動部材57を回すことによって調節材18が進退してセグメントが移動する、所謂、ターンバックル構成である。
【0037】上記のように構成される本発明のプール1は、組立て期間も周辺の設備を含んでも2週間程度で達成でき、また、解体期間も1週間程度で達成できるので、従来の組立てプールに比して大幅に短縮され、プール設置場所の使用料、設営料、維持管理費等が節約できる。また、本発明のプール1は屋外式プールとして、或いは屋内式プールとして組み立てることができ、そして、各セグメントの結合を解除することによって各部分に分解することができ、他の場所において再び上記同様の組立てによってプールを建設できる。このため、プールの使用時期や使用期間などに合わせて都合良く組立て及び解体ができので、一定期間だけ使用する屋外式プールとして効果がある。
【0038】本発明の一つの実施形態では、プールの長さ(コースの長さ)とプール幅を設定する側壁10を構成する上セグメント2と下セグメント3の横幅は、ロープ60で規定された所定のコース幅Tに設定している。この場合には、各セグメントがほぼ同じ大きさになり、製造及び取り扱い等の点で効果がある。また、競泳コース毎に設けられるタッチ板やスタート台などは、隣り合う2つの上セグメントに亘ることなく1枚の上セグメント2に設けることができるので、これらを正確な位置に取り付けることができ、公認プールへの適用としても効果がある。しかし、プール幅を設定する(プールの左右側壁10を構成する更に、)上セグメント2と下セグメント3の横幅は、図7及び図8に示すように、コース幅Tよりも長いセグメントを採用してもよい。なお、上セグメント2と下セグメント3の組み合わせは、上セグメント2相互の結合ラインと下セグメント3相互の結合ラインが、上下同一位置に設定した場合も、また上下位置がずれる状態に設定することもできる。
【0039】本発明はまた、図7のように、複数のセグメントを組み合わせてプールの側壁と底壁を形成する分解可能な組立てプールであって、前記側壁セグメント10は、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の上セグメント2と、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の下セグメント3からなり、プールの長さ(コースの長さ)を設定するようにコースの長さ方向で対面する上セグメント2と下セグメント3の横幅を、実質上所定のコース幅T(コースは通常ロープ60によって区画されて各ロープ60間がコース幅Tとなる)とすると共に、上セグメント2相互の結合部7によって形成される結合ラインと底壁セグメント26の結合部27によって形成される結合ラインが、コースの端のライン上及びその延長上(コース間に張られたロープ60の直下及びロープ60の延長上)に位置する構成である。これによって、横隣りのセグメント相互の結合ラインと底壁結合ラインがロープと同じライン上に見えるため、外観上美感を呈する。またスイマーは底壁結合ラインをロープラインとして認識できる効果がある。また結合ラインを特定色にすることによって、その効果が増す。
【0040】本発明はまた、図8のように、複数のセグメントを組み合わせてプールの側壁と底壁を形成する分解可能な組立てプールであって、前記側壁セグメント10は、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の上セグメント2と、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の下セグメント3からなり、プールの長さ(コースの長さ)を設定する上セグメント2と下セグメント3の横幅を実質上所定のコース幅T(コースは通常ロープ60によって区画されて各ロープ60間がコース幅Tとなる)とすると共に、上セグメント2相互の結合部7によって形成される結合ラインをコースロープ60の延長上とし、底壁セグメント26相互の結合部によって形成されるライン70が前記コースの中央に位置にするものである。これによって、スイマーは底壁結合ラインをコースの中央ラインとして認識でき、競泳におけるコースよれを防ぐことに役立つ。また結合ラインを特定色にすることによって、その効果が増す。
【0041】上記のようにして側壁セグメントと底壁セグメントが組立られたプール1は、その周囲にプールサイド50とその周辺に観覧用のスタンド51が設置される。また、プール1内の水は、ポンプ(図示せず)によって循環する際に濾過装置80によって濾過される。
【0042】また、本発明の分解可能な組立てプールの組立て方法は、複数の側壁セグメントを組み合わせてプールの側壁を形成する分解可能な組立てプールであって、前記側壁セグメントは、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の上セグメントと、隣り合うセグメント相互のフランジが水密状態に接続された複数の下セグメントからなり、プールの長さ(コースの長さ)を設定する側の前記上セグメントには、一端が前記上セグメントに回動可能に支持され他端が基部に対して進退するようネジ結合の調節部を設け、前記下セグメントを設置した後、前記調節部のネジの回動によって前記上セグメントを移動させて前記プールの対向する側壁相互の間隔(プールの長さ)調節を行い、所定状態で前記上セグメントと前記下セグメントのフランジ相互をボルト結合してプール側壁を組み立てる方法である。このため、隣り合うセグメント相互の位置関係及び上セグメントの傾きの調節が容易となる。また公認プールのように距離の設定が厳しいものに適用して効果がある。
【0043】本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲を逸脱しないかぎり種種の変更が考えられ、それに係る種種の実施形態を包含するものである。
【0044】
【発明の効果】上記のように、第1の発明については、水深の深いプールの場合にはその側壁の高さが高くなって、側壁を1枚のセグメントで構成した場合にはセグメントの製造作業や運搬作業が困難になり、また組み立て分解作業もやりにくいが、本発明ではプール側壁が、複数の上セグメントと下セグメントの結合によって構成されるため、それが改善され、従来の組立てプールに対して、組立て及び解体期間が大幅に短縮され、プール設置場所の使用料、設営料、維持管理費等が節約できる。更に、プールの使用時期や使用期間などに合わせて都合良く組立て及び解体ができる効果がある。
【0045】また、第2の発明は、下セグメントと上セグメントの一対を側壁セグメントとしてボルト結合によって併設することによってプールが構成できるため、プールの側壁をユニット構成として取り扱うことができるので、各セグメントの構造の共通化によって製造がし易くなる。また、この側壁セグメントをコース幅に合わせた形状とすることによってプールの組立もし易くなる。
【0046】また、第3の発明については、複数の上セグメントと下セグメントの結合部分に形成される段部に貼られる水密シール材によって、この結合部分のシールが充分になされ、更に、水密シール材によって、プール側壁を平坦仕上げにできる効果を奏する。
【0047】また、第4の発明については、水深の深いプールの場合にはその側壁の高さが高くなって、側壁を1枚のセグメントで構成した場合には公認距離位置調整が困難になるが、本発明では、下セグメントを所定位置に固定した状態において、上セグメントをねじによる細かい移動によって、プール長さを設定できるので、プールの長さ(距離)の設定が容易となる。このため、公認プールに適用した場合のプール長さ(距離)を正確に許容範囲内に調整できる効果を奏する。
【0048】また、第5の発明については、水深の深いプールの場合にはその側壁の高さが高くなって、側壁を1枚のセグメントで構成した場合にはセグメントの製造作業や運搬作業が困難になり、また組み立て分解作業もやりにくいが、本発明では、上セグメントと下セグメントとはほぼ同じ高さに構成することができ、上セグメントと下セグメントとが大きく異なる場合に比して、製造上でも運搬上でも取り扱いが容易となる。またプールの水深が約3mの場合には結合部7を水深約1.5mの位置にすることができ、上セグメントと下セグメントとの結合部がプール組立て作業者のほぼ目の高さに位置するので、結合部の結合作業及びシール作業などが目で確認しながらできるので、作業が安全に且つ正確に行える効果を奏する。
【0049】また、第6の発明によると、プール長さ(距離)の公認計測範囲の水面下までの長さが上セグメントで確保できるため、公認距離位置調整が上下両セグメントの移動によることなく上セグメントのみの移動によって行えるので、その調整作業が簡単で正確となる。
【0050】また、第7及び第8の発明によって、上下両セグメントの耐水性、軽量化、強度保持が達成され、更に複数の上セグメントと下セグメントの結合部分に形成される段部に貼られる水密シール材も繊維強化樹脂製として上下両セグメントと一体化による強度維持と良好なシール性能が得られる効果がある。
【0051】また、第9の発明によって、前記第3の発明と相俟って下セグメントに対する上セグメントの位置調整によって、側壁の高さの均一化が図れ、外観上も優れたプールの完成となる。
【0052】また、第10の発明によって、外観上美感を奏し、またスイマーによるコースの認識に役立ち、競泳におけるコースよれを防ぐことにも役立つ。また結合ラインを特定色にすることによって、その効果が増す。
【0053】また、第11の発明によって、下セグメントを所定位置に固定した状態において、上セグメントをねじによる細かい移動によって、プール長さを設定できるので、プールの長さ(距離)の設定が容易となる。このため、水深が比較的深い公認プールに適用した場合のプール長さ(距離)を正確に許容範囲内に調整できる効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
【出願日】 平成12年6月20日(2000.6.20)
【代理人】 【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
【公開番号】 特開2002−4611(P2002−4611A)
【公開日】 平成14年1月9日(2002.1.9)
【出願番号】 特願2000−185002(P2000−185002)