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【発明の名称】 中庭のある住宅
【発明者】 【氏名】堺 伸彦

【要約】 【課題】利用頻度が低い中庭(パティオ)を本来の役割であるガーデニング、接客空間、および家族の憩いの場として利用するため、アクセス性、防犯上のプライバシー確保、および建物との一体感などを考慮して住宅全体の使い勝手を求めた中庭のある住宅を提供すること。

【解決手段】玄関ドア2から入った建物内に玄関土間3が設けられると共に建物の中央部に少なくとも3面を囲まれた中庭(パティオ)PTが設けられた住宅において、前記玄関土間3の一側面側に建物内を経由して前記中庭PTとの間を接続すると共に玄関ホールを兼ねた連通路10が設けられている構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 玄関ドアから入った建物内に玄関土間が設けられると共に建物の中央部に少なくとも3面を囲まれた中庭が設けられた住宅において、前記玄関土間の一側面側に建物内を経由して前記中庭との間を接続すると共に玄関ホールを兼ねた連通路が設けられていることを特徴とする中庭のある住宅。
【請求項2】 前記連通路の途中にはこの連通路から出入り可能なリビング・ダイニングルームが設けられていることを特徴とする請求項1記載の中庭のある住宅。
【請求項3】 前記リビング・ダイニングルームの一側面が前記中庭の一側面に面して設けられ、開閉戸を介して互いに往来可能に構成されていることを特徴とする請求項2記載の中庭のある住宅。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建物の中央部に3面を囲まれた中庭(以下パティオと称す)のアクセス形態および使い勝手を考慮した住宅に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、建物の中央部に3面を囲まれたパティオが設けられた住宅が知られている。そして、このパティオへのアクセス形態としては、パティオに面した建物内部の開閉戸等を介して出入りするか、玄関の傍に設けられた勝手口等を介して往来していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のパティオにおいては以下のような問題点を有していた。
■パティオへ出るために一旦建物内に入り開閉戸等を介すアクセス形態は、建物およびパティオに入る際に靴を履き替えなければならず、大変不便であった。
■玄関の傍に設けられた勝手口等を介すアクセス形態は、勝手口を施錠しない限り誰でも出入り可能となりパティオが覗かれて不都合であるし、施錠した場合には留守を知らせることになり空き巣に狙われるという不安があった。
■パティオは建物の前面に突出した形態で構成され、かつ建物と別体として設計されることが多く、建物とパティオとが一体となったピロティ的なユーティリティスペースがなかった。上記のような問題点から住宅にパティオが設置されていても、パティオにおけるアクセス性や使い勝手が悪いために、設計本来の目的であるガーデニング、接客空間、および家族の憩いの場として利用されることがなく、単に無駄なスペースになりがちであった。
【0004】本発明はかかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、利用頻度が低い中庭(パティオ)を本来の役割であるガーデニング、接客空間、および家族の憩いの場として利用するため、アクセス性、防犯上のプライバシー確保、および建物との一体感などを考慮して住宅全体の使い勝手を求めた中庭のある住宅を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための手段として本発明請求項1記載の中庭のある住宅では、玄関ドアから入った建物内に玄関土間が設けられると共に建物の中央部に少なくとも3面を囲まれた中庭が設けられた住宅において、前記玄関土間の一側面側に建物内を経由して前記中庭との間を接続すると共に玄関ホールを兼ねた連通路が設けられていることを特徴とする。
【0006】請求項2記載の発明では、請求項1記載の中庭のある住宅において、前記連通路の途中にはこの連通路から出入り可能なリビング・ダイニングルームが設けられていることを特徴とする。
【0007】請求項3記載の発明では、請求項2記載の中庭のある住宅において、前記リビング・ダイニングルームの一側面が前記中庭の一側面に面して設けられ、開閉戸を介して互いに往来可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】(発明の実施の形態1)以下、図面に基づいて本発明の実施の形態1の中庭のある住宅を詳細に説明する。図1は発明の実施の形態1にかかる中庭のある住宅の外観斜視図、図2は同中庭のある住宅の1階平面図、図3は同中庭のある住宅の2階平面図である。
【0009】本発明の実施の形態1にかかる中庭のある住宅は、図1にその建物の外観を示すように、基本的には道路Rに沿って所定間隔を開けて並設された2階建ての2つの棟M1,M2とこの両棟M1,M2相互間を裏側で連結する1階建ての連結棟M3とで構成され、両棟M1,M2間で道路Rに面した表側に3つの棟M1,M2,M3に囲まれた状態でパティオPTが形成された構造となっている。
【0010】前記道路Rから見て左側の棟M1の外壁面略中央部に玄関Eが設けられ、また、棟M1の左側の敷地には前記玄関Eの玄関ポーチ1と、この玄関ポーチ1の屋根と一体的に広く延長形成されたパーゴラ式の屋根Fを有するカーポートPが設けられている。
【0011】次に、住宅内1階部分の詳細を図2に基づいて説明する。まず、棟M1から説明すると、前記玄関ポーチ1を経て玄関ドア2から棟M1内に入ると横長の玄関土間3が設けられている。そして、この玄関土間3の裏側にはリビングとダイニングを兼ねたリビング・ダイニングルーム4が設けられると共に、このリビング・ダイニングルーム4の左側には互いに行き来可能に対面するキッチンルーム5が設けられている。また、このキッチンルーム5の裏側(図面左側)には2階への階段6が設けられている。
【0012】前記玄関土間3の左側には開き戸(開閉戸)7と下足スペース8を備えた勝手口Kが設けられ、開き戸7から入った下足スペース8の左奥には前記キッチンルーム5に通じる予備コーナー9が設けられている。
【0013】一方、前記玄関土間3の右側で、道路Rに面した棟M1の表側外壁面とリビング・ダイニングルーム4との間に玄関土間3とパティオPTとの間を接続すると共に玄関ホールおよびインナーテラスを兼ねた連通路10が設けられている。なお、この連通路10と前記玄関ポーチ1、玄関土間3、および、パティオPTは、同じ素材の床面に形成されるが、玄関土間3と連通路10との間は一応の区切りがなされると共に、この部分には下駄箱11が設けられていて、連通路10からは履物を脱いでスリッパ等に履き替えるようになっている。
【0014】前記連通路10に面したリビング・ダイニングルーム4の右側壁には互いに行き来可能な引き違い戸12(開閉戸)が設けられると共に、リビング・ダイニングルーム4の裏側壁にはパティオPTに面していて、同じく引き違い戸(開閉戸)13により行き来可能になっている。そして、前記引き違い戸12に面したリビング・ダイニングルーム4内には靴脱ぎ場14と下駄箱15とが設けられている。
【0015】次に、連結棟M3には、棟M1のリビング・ダイニングルーム4と棟M2との間を接続する廊下16と、この廊下16の左側には棟M2側から利用可能な洗面トイレ17および浴室18が設けられている。そして、洗面トイレ17および浴室18の左側には、物干し場19が設けられている。なお、前記廊下16はパティオPTに面していて引き違い戸20,21を介してパティオPTへの出入りが可能となっている。
【0016】次に、もう一方の棟M2の表側には、前記廊下16とT字状に交わる廊下22が設けられていて、この廊下22の途中には2階への階段23が設けられ、この階段23の裏側には和室24が設けられている。
【0017】この和室24の右側には、引き違い戸25を介して連通する寝室26が設けられている。この寝室26は前記廊下22の右奥から出入り可能となっている。そして、寝室26の表側にはパティオPTに面したアルコープALが形成され、このアルコープALと寝室26との間の側壁には引き違い戸27が設けられていて、寝室26からもパティオPTも出入り可能となっている。
【0018】一方、前記廊下22の左奥には洗濯室Lが設けられていて、この洗濯室Lは開き戸28を介して前記物干し場19への出入りが可能となっている。そして、洗濯室Lの裏側には前記和室24から利用可能なクローゼット29が設けられていている。
【0019】前記道路Rに沿った住宅の表側には庭Gが設けられると共に、この庭GとパティオPTとの間にはすりガラスの塀30が設けられていて、道路R側からパティオPTが目隠しされた状態となっている。また前記連通路10の道路Rに面した外壁面には、前記庭G側からの出入りを可能とする出入口31が開口されている。
【0020】次に、建物の2階部分を図3に基づいて説明すると、まず、棟M1の2階部分は主にゲストルームとして利用されるもので、和室32と寝室33とが設けられている。そして、前記和室32は1階からの階段6を昇った階段ホール34から出入り可能であると共に、寝室33はクローゼット35を介して出入り可能となっている。
【0021】また、和室32と寝室33との間にはバスコアとトイレとが一体となったホテル式のシステムバス36が設けられ、このシステムバス36は和室32と寝室33との間を連通するホール37からそれぞれ利用可能となっている。すなわち、前記階段ホール34から和室32、ホール37、寝室33、およびクローゼット35を経由して階段ホール34に戻るサークル動線が形成されている。
【0022】次に、連結棟M3の2階部分はバルコニーBになっていて、和室32から引き違い戸38を介して行き来が可能となっている。また、前記バルコニーBに面した棟M2の2階部分には、1階からの階段23を昇った階段ホール39が設けられていて、この階段ホール39から引き違い戸40を介してバルコニーBへの行き来が可能となっている。
【0023】また、棟M2の2階部分には、階段ホール39から出入り可能な2つの洋室41,42が設けられ、右側の洋室42は2つの出入口を備えることにより、中央から2つの子供部屋が分割可能となっている。
【0024】(発明の実施の形態2)次に、図面に基づいて本発明の実施の形態2の中庭のある住宅を詳細に説明する。なお、この発明の実施の形態2の中庭のある住宅は、発明の実施の形態1と基本構成を同じくするものであるため、共通もしくは類似部分には同一の符号を付してその説明を省略し、大きな相違点についてのみ説明する。
【0025】図4は本発明の実施の形態2にかかる中庭のある住宅の1階平面図、図5は同中庭のある住宅の2階平面図である。住宅1階部分を図4に基づいて説明する。まず、棟M1から説明すると、前記玄関ポーチ1を経て、玄関ドア2から棟M1内へ入ると横長の玄関土間3が設けられていている。そして玄関土間3の左側には4段のステップ50を介してキッチンルーム5に通じる勝手口Kが設けられ、この勝手口Kの左奥にはキッチンルーム5に通じる予備コーナー9が設けられている。
【0026】一方、前記玄関土間3の右側には3段のステップ51を介し、道路Rに面した棟M1の表側外壁面とリビング・ダイニングルーム4との間に玄関土間3とパティオPTとの間を接続すると共に玄関ホールを兼ねた連通路10が設けられている。なお、この連通路10と引き違い戸52を介して連通路10とパティオPTとの間にはパティオPTに連通すると共に、連通路10と引き違い戸52を介して連通するアルコープ53が設けられていて、このアルコープ53を介して連通路10とリビング・ダイニングルーム4との間は仕切なしに連通されている。
【0027】次に、連結棟M3には、棟M1のリビング・ダイニングルーム4と棟M2との間を接続する廊下16と、この廊下16の左側には廊下16から利用可能な洗面所54および浴室18と、洗面所54および棟M2側から利用可能な洗濯室Lが設けられている。
【0028】次に、もう一方の棟M2には、廊下22の左奥にトイレ55と2階への階段23が設けられている。また、寝室26の道路R側には、引き違い戸56を介し、パティオPTに通じる広縁57が設けられている。
【0029】次に、建物の2階部分を図5に基づいて説明すると、棟M1側では、システムバス36に代えて洗面トイレ58のみが設けられている点で相違し、また棟M2側では、階段23の位置のみが相違しているだけで、その他は実施の形態1と基本的には同様である。以上本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の具体的な構成は本発明の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、発明の実施の形態では、パティオPTの3面のみを3つの棟で囲んだ例について説明したが、残りの面を外壁で閉塞するようにしてもよい。
【0030】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の請求項1記載の中庭のある住宅では、玄関ドアから入った建物内に玄関土間が設けられると共に建物の中央部に少なくとも3面を囲まれた中庭が設けられた住宅において、前記玄関土間の一側面側に建物内を経由して前記中庭との間を接続すると共に玄関ホールを兼ねた連通路が設けられていることとしたため、次に挙げるような効果が得られる。
■外部からパティオに出るには、まず玄関から入った後、玄関と連通した玄関土間を介して往来する形態となり、他人からパティオを覗かれたり勝手口から空き巣に入られるという不安を回避できる。
■建物内に入るには常にパティオと接続された連通路を介す形態となるので、住宅の出入りの際には必ずパティオが目に入り、パティオをガーデニングで装飾したり、オブジェを設置すれば居住者とゲストの目を楽しませることができ、パティオの存在価値が向上する。
■パティオを接客空間として利用する場合においても、一旦玄関から建物内部を介して土足のままパティオへ招き入れる形態となり、靴を履き替えて移動する手間が省けると共に建物とパティオとの一体感が増し、接客空間としての利用価値が向上する。
【0031】請求項2記載の発明では、請求項1記載の中庭のある住宅において、前記連通路の途中にはこの連通路から出入り可能なリビング・ダイニングルームが設けられていることとしたため、ゲストをリビング・ダイニングルームへスムーズに招き入れることができ、動線の利便性が向上する。
【0032】請求項3記載の発明では、請求項2記載の中庭のある住宅において、前記リビング・ダイニングルームの一側面が前記中庭の一側面に面して設けられ、開閉戸を介して互いに往来可能に構成されていることとしたため、リビングルーム、ダイニングルームおよび中庭の動線の利便性およびこれらの部屋の使い勝手がさらに向上し、中庭をアウトドアリビングとしても利用可能となる。
【出願人】 【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
【出願日】 平成12年6月22日(2000.6.22)
【代理人】 【識別番号】100109988
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 定昭 (外1名)
【公開番号】 特開2002−4598(P2002−4598A)
【公開日】 平成14年1月9日(2002.1.9)
【出願番号】 特願2000−188196(P2000−188196)