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【発明の名称】 床支持横架材の支持構造
【発明者】 【氏名】太田 克也

【氏名】染矢 友英

【氏名】下方 豊

【氏名】菊川 春三

【要約】 【課題】

【解決手段】建築物の床(1,2) を支持する横架材3 にかかる鉛直荷重を支持材4 に固定した第1の部品5 で受ける床支持横架材の支持構造において、支持材4に固定した第2の部品6 が横架材3 の鉛直部32側面に面接触している支持構造である。第2の部品6 と横架材3 鉛直部32側面との間に粘弾性体7 を介在させたものが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建築物の床を支持する横架材にかかる鉛直荷重を支持材に固定した第1の部品で受ける床支持横架材の支持構造において、前記支持材に固定した第2の部品が前記横架材の鉛直部側面に面接触していることを特徴とする床支持横架材の支持構造。
【請求項2】 第2の部品が横架材の鉛直部側面に粘弾性体を介して面接触していることを特徴とする請求項1記載の支持構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、床支持横架材の支持構造に関し、詳しくは、人の歩行衝撃力などによって住宅など比較的小規模な建築物に生じる床面垂直方向の不快な振動を速やかに減衰させる床支持横架材の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】建築物の多くの床は、所定間隔で配置される梁または根太など横架材によって支持される構造のものが多く、床の荷重、積載荷重などの鉛直荷重により生じる横架材の応力度とたわみ量が許容値以下となるよう設計されている。しかし、静的な構造性能は満足していても動的性能を確実に予測することは難しく、とくに横架材の支持間隔が大きい場合などには鉛直方向の振動減衰が小さく、床歩行者に不快感を与える場合がある。
【0003】この問題を解決する手段として、特開平05−026294、特開平05−118381、特開平05−302643、特開平09−067877、特開平09−328858、特開平10−2522553 の各号公報には、■床と別個に振動する付加質量を与えて振動エネルギーを吸収する方法が開示され、また、特開平09−177220号公報には、■鉛直荷重を負担する接合部に加えて緩衝材を設けることにより吸振効果を得る方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記■の方法では、特別な装置を必要とし、予め床本体の振動性状を把握して装置の調整を行う必要がある。とくに戸建て住宅のように床本体の質量に対する積載荷重の変動量の比が大きい場合には、振動性状が変化することが予想され、減衰効果が低下する虞がある。
【0005】一方、前記■の方法では、鉛直荷重を負担する接合部の接合剛性が高い場合には吸振効果が低下すると考えられ、荷重支持機能と振動減衰機能を両立させるような接合剛性の調整は、製作コストを含めて考えると困難である。本発明は、これら従来技術の問題点に鑑み、床本体の振動性状の変化に対する調整、支持部剛性の調整などの煩わしい作業が要らず、制作費の安い軽微な部品を付与するだけで安定した振動減衰効果が得られる床支持横架材の支持構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的は、以下の通りの本発明により達成された。
(1)建築物の床を支持する横架材にかかる鉛直荷重を支持材に固定した第1の部品で受ける床支持横架材の支持構造において、前記支持材に固定した第2の部品が前記横架材の鉛直部側面に面接触していることを特徴とする床支持横架材の支持構造。
【0007】(2)第2の部品が横架材の鉛直部側面に粘弾性体を介して面接触していることを特徴とする(1)記載の支持構造。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は、本発明(1)の例を示す立体模式図(a:全体像、b:支持部)である。図示のように、本発明では、建築物の床本体(仕上げ材1,下地材2からなる)を支持する横架材3にかかる鉛直荷重を支持材4に固定した第1の部品5で受ける床支持横架材の支持構造において、支持材4に固定した第2の部品6が横架材3の鉛直部32側面に面接触している。なお、支持材4は、図示しない基礎または躯体に固定されて不動である。
【0009】本発明はこのように構成したので、横架材3は振動の都度、これと常時面接触状態にある第2の部品6から摺動摩擦抵抗を受けることになって、安定した振動減衰効果を得ることができる。本発明では、その構成から明らかなように、床本体の振動性状の変化に対する調整、支持部剛性の調整などの煩わしい作業が要らず、第1の部品を用いた従来の支持構造に、制作費の安い軽微な第2の部品を付与するだけでよい。
【0010】各部材に充当する材料はとくに限定されないが、図1の実施形態では、以下のものを用いた。
仕上げ材=フローリング材下地材=構造用合板横架材=価格、強度、剛性の点で有利な軽量のC形鋼支持材=木製の胴差(梁でもよい)
第1の部品=平面T字形の金物第2の部品=断面L字形の金物この支持構造では、第1の部品5のT横線部、T縦線部をそれぞれ被固定部、載荷部とし、被固定部を支持材4の上面に設けた座堀り41の位置に固定して載荷部を支持材4から水平に張り出させ、この張り出させた載荷部に横架材3の被支持部31(C形鋼の上フランジ)を載置することにより、床構造自重と積載荷重によって生じる鉛直下向きの荷重を支える部分が構成される。
【0011】さらに、第2の部品6のL縦線部、L横線部の何れか一方を自由部61、他方を被固定部62とし、自由部61の外折れ側の面が横架材3の鉛直部32(C形鋼のウエブ)側面に面接触するように位置決めしたうえで、被固定部62を支持材4に固定することにより、振動を減衰させる部分が構成される。第1、第2の部品の被固定部を支持材4に固定する手段は、釘,ネジ,ボルト,接着剤などのいずれも好ましく用いうる。
【0012】また、図1の例のように、横架材3がC形鋼断面のような非対称断面のものである場合は、振動の際に鉛直部32が横架材3の剪断中心のある側(C湾外側)に偏る傾向があるため、その剪断中心のある側に第2の部品6を配置するのが好適である。また、横架材3として複数のC形鋼を用いる場合は、図2に示すように、隣接する2本のC形鋼が互いに同じ側(C湾外側またはC湾内側)の面で向き合うように配列すると、水平方向の振動も抑制できて好ましい。
【0013】一方、横架材3として対称断面のものを用いる場合は、図3に示すように、第2の部品6を鉛直部32の両側に配置してもよい。さらに、本発明(2)では、図4に示すように、本発明(1)において、第2の部品6を横架材3鉛直部32側面に粘弾性体7を介して面接触させた支持構造とした。粘弾性体7は、第2の部品6の自由部61の外折れ側の面と横架材3の鉛直部32側面との間に介在させる。
【0014】この支持構造によれば、横架材3は振動の都度、これと常時面接触状態にある粘弾性体7の剪断変形(ずれ変形)による粘弾性摩擦抵抗を受けるので、より大きな振動減衰効果が得られる。粘弾性体7は、内部減衰性能が高く、表裏面に粘着力があり、厚さ方向の剪断変形がある程度生じても粘着追随性がある材料、例えばブチルゴムや、発泡樹脂を基材とし、両面に粘着層が塗布されたテープ状成形品が好ましく用いうる。
【0015】なお、第2の部品は、第1の部品の固定位置からの鉛直方向距離を可及的に大きくとった位置に固定した方が、横架材に摺動摩擦抵抗あるいは粘弾性摩擦抵抗がより強く作用して振動減衰効果がさらに向上するので、より一層好ましい。
【0016】
【実施例】図1(a) に示した形態の床構造において横架材支持部を図5(a) 〜図8(a) に示す各形態とした床供試体(第1例〜第4例)について振動実験を行い減衰性能を調べた。この振動実験では、床供試体をその加振点(=床面内中心位置)に落重装置で一定の衝撃力を加えることにより加振し、加振点の鉛直方向の変位量を測定した。実験結果を図5(b) 〜図8(b) に振動減衰波形図で示す。
【0017】なお、横架材には長さ(支持間隔)=3.64 m、ウエブ高さ=235mm、フランジ幅=50mm 、リップ(フランジ先端屈曲部)幅=20mm 、板厚=1.2mmのC形鋼を用い、支持材には木製の胴差を用い、支持材の長手方向に303 mm間隔で横架材が配置されるようにした。床本体はC形鋼にタッピンネジ止めした下地材(=15mm厚の構造用合板)に仕上げ材(=フローリング材)を接着して形成した。
【0018】第1例(図5(a) )は、支持材4に固定した平面T字形金物(第1の部品5)でC形鋼(横架材3)の上フランジを支えただけのもので、本発明に属さない比較例に相当する。この第1例では、減衰定数は2.0 %程度(図5(b) )と小さく、また、床上歩行時に不快感を感じた。第2例(図6(a) )は、第1例において、さらに、C形鋼(横架材3)の下フランジを30×40(mm)断面の木製角材8にタッピンネジでビス止めし且つ同角材を支持材4に釘止めすることにより、C形鋼下部を固定したもので、本発明に属さない比較例に相当する。この第2例では減衰定数は2.8 %程度(図6(b) )と第1例に比べやや向上したものの十分ではなく、床上歩行時の不快感はさほど低減しなかった。
【0019】第3例(図7(a) )は、第1例において、さらに、断面L字形金物(第2の部品6)のL縦線側、L横線側のいずれか一側の面をC形鋼(横架材3)のC湾外側ウエブ面に、互いの下端位置を合わせて面接触させ、同金物の他側を支持材4に釘止めしたもので、本発明(1)の実施例に相当する。この第3例では減衰定数は3.5 %程度(図7(b) )と大きくなり、性能向上が認められ、床上歩行時の不快感が顕著に低減した。
【0020】第4例(図8(a) )は、第3例において、さらに、第2の部品6のC形鋼ウエブ面対向側の面に粘弾性体7(ここではブチルゴムテープを充当)を貼り付けてC形鋼ウエブ面との間に介在させたもので、本発明(2)の実施例に相当する。この第4例では減衰定数は7.7 %程度(図8(b) )とさらに大きくなって、より一層の性能向上が認められ、床上歩行時の不快感は解消した。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、床本体の振動性状の変化に対する調整、支持部剛性の調整などの煩わしい作業が要らず、制作費の安い軽微な部品を付与するだけで安定した振動減衰効果が得られるという優れた効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【出願日】 平成12年9月26日(2000.9.26)
【代理人】 【識別番号】100099531
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 英一
【公開番号】 特開2002−97736(P2002−97736A)
【公開日】 平成14年4月5日(2002.4.5)
【出願番号】 特願2000−291985(P2000−291985)