トップ :: E 固定構造物 :: E04 建築物




【発明の名称】 パネル取付構造
【発明者】 【氏名】轟木 悦朗

【氏名】山田 正博

【氏名】吉田 茂二

【氏名】田中 誠

【要約】 【課題】パネルユニットの取付作業を簡単に且つ効率よく実施できるようにする。

【解決手段】セメント系長方形板1を、横長姿勢で上下に並設して形成したパネルユニットPの複数を、ファスナFで建築構造体Bb’に取り付けて壁体を構成してあるパネル取付構造において、パネルユニットPは、複数のセメント系長方形板1を縦フレーム材2に各別に取り付けて構成してあり、上下に隣接するパネルユニットPどうしの縦フレーム材2は、端部どうしが重なる状態に配置してあり、縦フレーム材2どうしの重なり部分を、ファスナFに取り付けてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 セメント系長方形板を、横長姿勢で上下に並設して形成したパネルユニットの複数を、ファスナで建築構造体に取り付けて壁体を構成してあるパネル取付構造であって、前記パネルユニットは、複数のセメント系長方形板を縦フレーム材に各別に取り付けて構成してあり、上下に隣接するパネルユニットどうしの前記縦フレーム材は、端部どうしが重なる状態に配置してあり、前記縦フレーム材どうしの重なり部分を、前記ファスナに取り付けてあるパネル取付構造。
【請求項2】 上下に隣接するパネルユニットどうしの前記縦フレーム材は、パネル面に沿う横方向視で重なっている請求項1に記載のパネル取付構造。
【請求項3】 上下に隣接するパネルユニットどうしの前記縦フレーム材は、パネル正面方向視で重なっている請求項1に記載のパネル取付構造。
【請求項4】 前記ファスナは、上下に隣接する両パネルユニットの各縦フレーム材をそれぞれ取り付ける取付部を備えてある請求項1〜3の何れか一項に記載のパネル取付構造。
【請求項5】 前記建築構造体のファスナ取付部分は、建築構造体の上面に突出状態に設けてある請求項1〜4の何れか一項に記載のパネル取付構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セメント系長方形板(例えば、ALC板や、PC板)を、横長姿勢で上下に並設して形成したパネルユニットの複数を、ファスナで建築構造体に取り付けて壁体(所謂カーテンウォール)を構成してあるパネル取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】ここで説明しているセメント系長方形板(以後、単にセメント系板という)は、その長さ寸法が、例えば、建物の階高程度に設定してあるものがあり、そのような前記セメント系板を、壁体として使用する場合には、一般的に、縦長姿勢として設置し、セメント系板の両端部を、それぞれ、上下階の外周部の梁(建築構造体に相当)に、ファスナで直接に取り付け固定する方法で使用されることが多い(例えば、特公平6−41700号公報参照)。しかしながら、意匠的な観点から、このようなセメント系板を横長姿勢で使用することもあり、このような場合には、複数枚のセメント系板を上下に並設する関係上、上下中間部分に位置するセメント系板を、直接に梁部分に取り付けることが出来ないから、予め、上下の梁にわたって間柱を立設しておき、その間柱にセメント系板を一枚ずつ取り付けることが実施されている。しかし、このようなセメント系板の取り付けは、作業足場が必要な上、非常に手間が掛かり、効率の悪い作業となり易い。そこで、前記セメント系板を横長姿勢で上下に並設して一体化したパネルユニットを組立形成し、それらのパネルユニットをファスナで前記梁に取り付けることが考えられる。このように考えられるパネル取付構造の一例としては、図11・12に示すように、複数枚の前記セメント系板1を並設して矩形枠フレーム20で一体化して前記パネルユニットPを構成し、フロア外周部の梁(建築構造体に相当)Bb’の上縁部、及び、下縁部に、それぞれファスナFを取り付け、パネルユニットPの上端部を、上階の梁Bb’の下縁部に取り付けたファスナFに取り付けると共に、パネルユニットPの下端部を、その階の梁Bb’の上縁部に取り付けたファスナFに取り付けてあるものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のパネル取付構造によれば、梁の上縁部のファスナに関しては、スラブ上に立ったままの作業姿勢でパネルユニット下端部を取り付けることができるものの、梁の下縁部のファスナに関しては、スラブ上に立つだけでは、手が届かず、人が載って取り付け操作をできる高さまで足場を組んで、その上に載ってパネルユニット上端部を梁の下縁部のファスナに取り付けなければならない。従って、足場の組立解体等の余分な作業が必要となることに加えて、足場上でのパネルユニット取付作業は、無理な作業姿勢となり易いから能率が低く、パネル取付作業全体としての効率がわるいという問題点がある。
【0004】従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、パネルユニットの取付作業を簡単に且つ効率よく実施できるパネル取付構造を提供するところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の特徴構成は、図4〜10に例示するごとく、セメント系長方形板1(以後、単にセメント系板という)を、横長姿勢で上下に並設して形成したパネルユニットPの複数を、ファスナFで建築構造体Bb’に取り付けて壁体Wを構成してあるパネル取付構造において、前記パネルユニットPは、複数の前記セメント系板1を縦フレーム材2に各別に取り付けて構成してあり、上下に隣接するパネルユニットPどうしの前記縦フレーム材2は、端部どうしが重なる状態に配置してあり、前記縦フレーム材2どうしの重なり部分を、前記ファスナFに取り付けてあるところにある。
【0006】請求項1の発明の特徴構成によれば、前記パネルユニットは、複数の前記セメント系板を縦フレーム材に各別に取り付けて構成してあり、上下に隣接するパネルユニットどうしの前記縦フレーム材は、端部どうしが重なる状態に配置してあり、前記縦フレーム材どうしの重なり部分を、前記ファスナに取り付けてあるから、複数の前記セメント系板から上述のパネルユニットを予め形成しておいて、そのパネルユニットをファスナで建築構造体に取り付けるといった効率の良い施工方法を採用することが可能となる。しかも、複数の前記セメント系板は、縦フレーム材によって一体化されているから、従来のように矩形枠フレームで一体化されているものに比べて、構造の単純化を図れることに加えて、部品点数を少なくすることが可能となり、前記パネルユニットの形成コストの低減を図ることが可能となる。しかも、上下に隣接するパネルユニットどうしの縦フレーム材は、端部どうしが重なる状態に配置してあると共に、その重なり部分をファスナで建築構造体に取り付けてあるから、上下パネルユニットの建築構造体への取付操作を、同じ高さで実施でき、無駄な段取り替えを行わなくても、迅速に実施することが可能となる。そして、例えば、縦フレーム材の重なり部分が、建築構造体の上部に突出した位置であれば、足場を組まなくても、上下のパネルユニット簡単に取付固定することが可能となる。従って、建築構造体へのパネルユニットの取付作業に対して、全体として効率向上を図ると同時に、コストダウンを叶えることが可能となる。
【0007】請求項2の発明の特徴構成は、図4〜9に例示するごとく、上下に隣接するパネルユニットPどうしの前記縦フレーム材2は、パネル面に沿う横方向視で重なっているところにある。
【0008】請求項2の発明の特徴構成によれば、請求項1に記載の発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、上下に隣接するパネルユニットどうしの前記縦フレーム材が、パネル面に沿う横方向視で重なっているから、両縦フレーム材の太さが同じものであれば、ファスナから両パネルユニットまでの離間距離も同じになり、パネルの出入り寸法を合わせ易く、より迅速に、綺麗な仕上がりに壁体を構成することが可能となる。
【0009】請求項3の発明の特徴構成は、図10に例示するごとく、上下に隣接するパネルユニットPどうしの前記縦フレーム材2は、パネル正面方向視で重なっているところにある。
【0010】請求項3の発明の特徴構成によれば、請求項1に記載の発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、上下に隣接するパネルユニットどうしの前記縦フレーム材は、パネル正面方向視で重なっているから、固定具として、縦フレーム材を貫通させてファスナーに固定するようなもの(例えば、貫通ボルト)を使用する場合、両縦フレーム材の重なり部を、一つの固定具でファスナに取付固定することが可能となり、簡単に迅速にパネルユニットの取付作業を実施することが可能となる。
【0011】請求項4の発明の特徴構成は、図4・5・10に例示するごとく、前記ファスナFは、上下に隣接する両パネルユニットPの各縦フレーム材2をそれぞれ取り付ける取付部10を備えてあるところにある。
【0012】請求項4の発明の特徴構成によれば、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、前記ファスナは、上下に隣接する両パネルユニットの各縦フレーム材をそれぞれ取り付ける取付部を備えてあるから、一つのファスナーに両縦フレーム材を取り付けることができる。従って、使用するファスナの数を少なくでき、部品コストの低減、及び、取付部分の意匠性を向上させることが可能となる。
【0013】請求項5の発明の特徴構成は、図4・5・10に例示するごとく、前記建築構造体Bb’のファスナ取付部分は、建築構造体Bb’の上面に突出状態に設けてあるところにある。
【0014】請求項5の発明の特徴構成によれば、請求項1〜4の何れか一項に記載の発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、前記建築構造体のファスナ取付部分は、建築構造体の上面に突出状態に設けてあるから、建築構造体の床レベルの延長線上でファスナへのパネルユニットの取付作業を実施することが可能となる。その結果、無理な姿勢での作業を回避できると共に、従来のような作業足場を設ける必要がないから、パネルユニット取付作業効率を、より向上させることができる。
【0015】尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
【0017】図1は、本発明のパネル取付構造の一実施形態を採用した建物Bの要部を示すものである。前記建物Bは、鉄骨構造で、H形鋼からなる複数の柱Bpと、それら隣接する柱間にわたって設けられたH形鋼からなる梁Bbと、スラブBsとを備えて構成してある。そして、外周部の梁(建築構造体の一例)Bb’には、壁体Wを構成するパネルユニットPがファスナFを介して並設状態に取り付けてある。
【0018】前記パネルユニットPは、図2に示すように、細長形状のALC板(セメント系長方形板の一例)1の複数枚を、横長姿勢で上下に並設して、裏面側にチャンネル部材からなる縦フレーム材2を取り付けて一体化してある。前記縦フレーム材2とALC板1との固定は、図3に示すように、予めALC板1にボルト挿通孔1aを形成しておくと共に、そのボルト挿通孔1aに、頭部をL字型に屈曲形成したフックボルト3を挿通してナット3aで締め付けることによって、縦フレーム材2のフランジ部分を、ALC板1とフックボルト3の屈曲頭部とで挟持して相互の固定を図るものである。尚、ナット3aは、ボルト挿通孔1aの座繰り部に納まるように形成してあり、締付後には、座繰り部へのコーキング材の充填によってナット3aやフックボルト3がALC板表面に露出するのを防止して、劣化防止と共に意匠性の向上を図ってある。尚、前記縦フレーム材2は、当該実施形態によれば、一つのパネルユニットPにおいて左右端部側に各別に設けてある。また、前記縦フレーム材2の長さ寸法は、一つのパネルユニットPにおける全ALC板の合計縦寸法より長めに設定してあり、当該実施形態においては、パネルユニットPの上端側に縦フレーム材2の長さ超過部分がはみ出す状態にして各ALC板1と一体化してある(図2・3・6参照)。こうすることによって、後述する如く、上下のパネルユニットPどうしのファスナFへの取付位置を同じ高さに揃えることができると共に、当該パネルユニットPを吊り上げる際に、はみ出し部分の取付用ボルト穴2bに玉掛けワイヤを係止させればよく、上方に突出しているから係止させ易く、パネルユニットPの設置作業をより効率よく手軽に実施することが可能となる。そして、縦フレーム材2は、壁面に沿ってパネルユニットPを上下に隣接させた状態で、上下の縦フレーム材2どうしが干渉しないように、ALC板1の端部からの距離を異ならせて配置してある。具体的には、所定階のパネルユニットPの縦フレーム材2を、図4〜6に示す下方階のように配置すると、その一つ上の階のパネルユニットPの縦フレーム材2は、左右両方とも内側に位置するように取り付けてあり、更に、その上の階のパネルユニットPにおいては、前記所定階と同様の配置としてある。即ち、互い違いになるように縦フレーム材2は配置されている。従って、上下に隣接するパネルユニットPどうしの前記縦フレーム材2は、パネル面に沿う横方向視で重なっている。また、前記上下各縦フレーム材2どうしの重なり部分2Aにおける室内側フランジ部には、前記ファスナFへの取付用ボルト穴2bが各別に形成してある。因みに、パネルユニットPを構成する各ALC板1どうしの目地部分には、目地材4を介在させて、防水処理を施してある(図2参照)。更に、各パネルユニットPどうしの目地部分にも、同様に目地材4を介在させて、防水処理を施してある(図1参照)。
【0019】一方、前記ファスナFは、図4・5に示すように、短尺のアングル材で形成してあり、一方側のフランジ部F1は、前記外周部の梁Bb’の上面に沿わせて、突出する状態に溶接固定してある。そして、他方側のフランジ部F2には、上側パネルユニットPの下端部側のボルト穴2bに対応する貫通孔Faと、下側パネルユニットPの上端部側のボルト穴2bに対応する貫通孔Fbとが並設してある。因みに、これら貫通孔Fa・Fbに、固定ボルト5を挿通させて前記縦フレーム材2を固定することによって、ファスナFにパネルユニットPを取り付けることができ、この貫通孔Fa・Fbを形成してある前記他方側のフランジ部F2を取付部10という。そして、これら両貫通孔Fa・Fbは、横方向に細長い長穴に形成してあると共に、これらが対応する縦フレーム材2の前記各ボルト穴2bは、縦方向に細長い長穴に形成してある。従って、ファスナFに縦フレーム材2を取り付ける際、前記貫通孔Fa・Fbとボルト穴2b・2bとに貫通させた固定ボルト5は、長穴に沿って径方向に移動できるから、ファスナFとパネルユニットPとの上下左右相対位置を変更することができ、隣接するパネルユニットPどうしの相対位置調整を実施しながら壁体Wを形成していくことができる。尚、前記固定ボルト5を締め付けることによって、ファスナFにパネルユニットPは、確実に固定される。
【0020】次に、当該パネルユニットPによる壁体の形成手順を説明する。
[1] 外周部の梁Bb’の所定位置上面に、突出状態にファスナFを取り付けておくと共に、複数のALC板1を並列に敷き並べて縦フレーム材2で一体的に固定してパネルユニットPを形成する。
[2] パネルユニットPを、取付対象の梁部分に吊り上げた状態で、ファスナFの貫通孔Fa・Fbの位置に各縦フレーム材2の取付用ボルト穴2bが合わさるようにパネルユニットPを位置合わせして固定ボルト5で仮固定する。
[3] 隣接するパネルユニットPとの位置合わせを実施した後、固定ボルト5を本締めする。
【0021】このようにして形成された壁体の取付構造は、上下に隣接するパネルユニットPどうしの縦フレーム材2が、端部どうしが重なる状態に配置してあり、前記縦フレーム材2どうしの重なり部分2Aを、前記ファスナFに取り付けてある。〔別実施形態〕以下に他の実施の形態を説明する。
【0022】〈1〉 前記セメント系長方形板は、先の実施形態で説明したALC板に限るものではなく、例えば、プレキャストコンクリート板や、繊維補強コンクリート板や、多孔質コンクリート板等であってもよく、それらを含めて、セメント系長方形板と総称する。
〈2〉 前記縦フレーム材は、先の実施形態で説明したチャンネル材によって構成してあるものに限るものではなく、例えば、角パイプや、H形鋼や、アングル材や、角棒等であってもよく、それらを含めて縦フレーム材と総称する。また、パネルユニットPにおける縦フレーム材の取付状態は、先の実施形態で説明したように、上下にパネルユニットPを隣接させた状態で、所定階の縦フレーム材2に対して、その上下の階の縦フレーム材2は、左右両方とも内側(又は、外側)に位置するような配置(図6参照)に限るものではなく、例えば、図7に示すように、所定階の縦フレーム材に対して、その上下の階の縦フレーム材が左右両方とも、揃って右(又は、左)に位置ずれした状態であったり、図8に示すように、ジグザグ形状に縦フレーム材2が取り付くものであってもよい。
〈3〉 パネルユニットPの配置構造に関しては、先の実施形態で説明したように、縦目地が直線上になるような配置に限るものではなく、例えば、図9に示すように、上階と縦目地がずれる状態に取り付けてあってもよい。
〈4〉 また、パネルユニットPにおける縦フレーム材の取付状態は、先の実施形態で説明したように、上下に隣接するパネルユニットPどうしの縦フレーム材2が、パネル面に沿う横方向視で重なっているものに限るものではなく、例えば、図10に示すように、上下に隣接するパネルユニットPどうしの前記縦フレーム材2が、パネル正面方向視で重なっているものであってもよい。詳細を説明すると、重なり部分2Aは、合いジャクリ構造にしてあり、こうすることで、上下の各縦フレーム材2が、直線上に位置することとなり、意匠性を向上させることが可能となる。そして、この実施形態の場合、縦フレーム材2どうしの重なり部分2Aが、パネル厚み方向に重なることとなり、図に示すように、両縦フレーム材2をファスナFに取り付ける固定ボルト5を兼用化することが可能となり、部材コストや取付作業コストの低減化を図ることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
【出願日】 平成12年9月25日(2000.9.25)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2002−97735(P2002−97735A)
【公開日】 平成14年4月5日(2002.4.5)
【出願番号】 特願2000−290451(P2000−290451)