| 【発明の名称】 |
曲面形状を構成する部材接合部の設定法および曲面構造物 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤田 正則
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| 【要約】 |
【課題】曲面形状のグリッドパターン構成において、部材接合部における捩じり角度を最小に設定し、部材加工度の低減、小型化、集約化を可能とすることを目的とする。
【解決手段】形鋼部材2,3,4が接合される節点Aiに隣接する3節点Gi1〜Gi3を通る円の中心からAi方向およびその逆方向に向かう法線ベクトルをそれぞれ算定し、法線ベクトルのそれぞれについて、これと節点Aiに接合される3部材2,3,4および残りの形鋼部材の軸方向単位ベクトルとの内積が最大となるベクトルを選定して内積[1],[2]とし、内積[1]と内積[2]とから大きい方の法線ベクトルを選定する。そして、節点Aiに接合される他の全ての3節点の組み合わせについて同様に実行のうえ、その中で最も大きい法線ベクトルに、節点Aiの接合部材の軸心線を合わせるように設定することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 グリッド状に配設されて曲面形状を構成する形鋼部材の節点に配置される接合部材の設定方法において、任意の節点Aiにそれぞれ形鋼部材を介して接続される3個の節点を通る円の中心から節点Ai方向およびその反対方向に向かう法線ベクトルVim,Vim'を算定し、前記法線ベクトルVim,Vim'のそれぞれと節点Aiに接合される前記3個および残りの形鋼部材の軸方向単位ベクトルとの内積をそれぞれ求め、該内積が最大となるベクトルを選定してそれぞれ仮の法線ベクトルとし、前記節点Aiに接続される残りの全ての3個の節点の組み合せにおいて繰り返し前記仮の法線ベクトルを選定し、任意の節点Aiに位置する接合部材の軸心線を前記各仮の法線ベクトルのうち最大値の法線ベクトルに合わせるように設定することを特徴とする曲面形状を構成する部材の接合部の設定法。 【請求項2】 複数の節点における各接合部材にトラス部材としての形鋼部材を接合してなる曲面構造物において、請求項1記載の設定法に基づいて構成される接合部材は、その接合端面の板厚が、各形鋼部材の進入角の最小、最大の捻れ角が異なる接合部材毎に集約化して複数グループに構成し、各グループ毎に接合部材の接合端面の板厚は、当該接合部における各トラス部材の進入角の最大の捻れ角の接合に必要な最小限の板厚に構成することを特徴とする曲面構造物。 【請求項3】 請求項2記載の曲面構造物が、構築物の屋根として構築されていることを特徴とする曲面構造物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、曲面形状を構成する形鋼部材の接合部の設定方法および曲面構造物に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、図5に示すような曲面屋根などグリッド状の曲面構造物6を構成する場合、多くの場合、図6(a)、(b)、(c)に示すように鋼管トラス部材17が使用されており、鋼管トラス部材13が多数の各接合部(節点)8の周りに放射方向から集合し、各鋼管トラス部材17と接合部材8a、8b、8cと鋼管トラス部材9とで多数の三角形が構成されたトラス構造の曲面構造物が構築される。 【0003】この種のトラス構造の曲面屋根などの曲面構造物において、前記の鋼管トラス部材に代えて、H形鋼、T形鋼等の形鋼部材(図7以下の例では、H形鋼製トラス部材を例示して説明する)を使用することが、構造物の規模によっては、強度面、剛性、コスト面、量産性などの面でより有利であることが知られており、このような場合には、H形鋼製トラス部材を使用することが検討されている。 【0004】この場合、鋼管トラス部材においては全く問題にならないが、H形鋼、T形鋼等の形鋼部材の場合は、次に述べるように、接合部材に接合する際の形鋼部材の捻れが問題となり、この点がネックとなって、現在のところ実用化されるに至っていない。 【0005】図7以下によって説明すると、曲面形状屋根において、H形鋼製トラス部材7を接合する接合部材(以下接合ブロックという)10は、図のように軸心線11を中心に等角間隔で放射状にかつ一体的に設けられ接合ウェブ12と、各接合ウエブ12の上下端に固着された平面6角形のフラットなプレートからなる接合フランジ13が形成されていて、6方向から集合するH形鋼製トラス部材7の接合端面と一致するように配設されている。 【0006】すなわち、接合ブロック10の接合ウェブ12のウェブ接合端面にH形鋼製トラス部材7のウェブ14の接合端面が接合され、かつ、上下フランジ15の接合端面が前記接合ブロック10における接合フランジ13に接合される。そして、両部材の接合部を溶接接合することで、H形鋼製トラス部材7の端部が接合ブロック10に固着される。図7の16はスプライスプレートで、このスプライスプレート16を介してH形鋼製トラス部材7の中間部がボルト18で接合される。 【0007】前述の場合、接合ブロック10の6方向に位置する各トラス接合端部に接合される各H形鋼製トラス部材7では、6方向から集合する各H形鋼製トラス部材7間で捻れが生じる。すなわち、H形鋼、T形鋼等のトラス部材7を使用した場合、各接合部材(節点)である接合ブロック10の周りに放射状に複数本のH形鋼製トラス部材7が接合されることにより、これらで囲まれた三角形9はそれぞれに平面を形成するが、それらは同一平面上には存在せず、それ故に、各H形鋼製トラス部材7間で捻れが生じるのである。 【0008】図8(a)〜(d)に示すような各節点(接合部)を構成する一つの接合ブロック10に注目したとき、その軸心線11が隣接する接合ブロック10の軸心線11と同一平面内にない場合、両接合ブロック10間をつなぐH形鋼製トラス部材7の両端部を各接合ブロック10に合わせるためにH形鋼製トラス部材7を捩じらなければならないが、現実にはそれは不可能である。 【0009】図8(a)、(c)は接合ブロック10における同図(b)のB−B断面図であり、同図(b)は同じく接合ブロック10の側面図である。また、同図(d)は同図(c)のA−A断面図である。この図(d)に示すように、各H形鋼製トラス部材7は接合ブロック10の接合端面に対し捻れて接合されることにより、H形鋼製トラス部材7を捩じらない限り、部材間の軸線11、11aに捻れ角θが生じる。 【0010】前記捻れ角θの大きさは、一つの接合ブロック10における6つの接合端面毎でそれぞれ大小異なっている。捻れ角θが生じるということは、同図(d)に示すように、接合ブロック10の上下のフランジ接合端面18に対して、各H形鋼製トラス部材7の上下の接合フランジ端面20が図のように傾くことである。 【0011】この捻れ角θが増大するほど、接合ブロック10のフランジ接合端面13aを基準に考えるとき、このフランジ接合端面13aに対して、各H形鋼製トラス部材7のフランジ15の接合端面15aの幅方向両端部の位置ずれが増大する。このため、両部材の接合時、接合フランジ端面15aがフランジ接合端面13aからはみ出さないで、円滑に面内接合させるためには、接合ブロック10のフランジ接合端面13aの厚みtを厚くすることになる(図8d)。 【0012】前記捻れ角θの大きさは、前述のとおり、各接合ブロック10の6つの接合端面(基本的に3つの面が基準になる)毎に異なっており、この一つの接合ブロック10で考えるとき、そのフランジ接合端面13aの厚みtは、最大と最小の捻れ角θの大きさの板厚tに適用できる厚みに構成する必要がある。 【0013】また、図5に示すような、各場所で曲率が変化している曲面構造物6における節点8においては、図7、図8に示す接合ブロック10に対するH形鋼製トラス部材7の捻れ角も最大と最小の間で大きな開きがあり、一つの構造物において、一種類の接合ブロック10を使用するとき、各接合ブロック10におけるフランジ接合端面13aの厚みtは、その最大値と最小値との間に、大きな隔たりがある捻れ角θの最大のものに合わせた板厚に構成しなくてはならない。前述の問題は、接合ブロック10のウェブ接合端面12aとH形鋼製トラス部材7のウェブ接合端面14aとの間にも同様に生じ、ウェブ接合端面12aの厚みt1を厚くすることになる。 【0014】また、垂直面でのH形鋼製トラス部材7と接合ブロック10との接合は、各部位ごとに、接合ブロック10の接合端面に対するH形鋼製トラス部材7の進入角度が異なるが、この問題に対しては、ブロック10の交差角度に合うように形鋼部材7に開先加工を行うか、あるいは形鋼部材7のフランジまたはウェブを厚くして加工代を設けるなどによりに対処することになる。 【0015】 【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来、H形鋼、T形鋼などの形鋼(トラス)部材と接合部材(接合ブロック)とを用いて曲面構造物などの曲面形状を構築する場合、形鋼部材の捻れ角の問題で接合部材のフランジ接合端面の厚みtやウェブ接合端面の厚みt1を著しく大きくしなければならず、一つの構造物に用いられる膨大な数のすべて接合ブロックをこの条件を満たすように構成することは、鋼材重量面、製作面、コスト面、施工面等から実現不可能であり、曲面形状を構築する場合におけるH形鋼製トラス部材使用の有利性は十分に分かってはいても、現実には実用化ができないという問題があった。 【0016】本発明者は、曲面形状のグリッドパターン構成における前記の問題点につき種々研究した結果、部材接合部(接合ブロック)の新規な設定法を見出すと共に、この設定法を用いることにより、部材接合部(接合ブロック)における形鋼部材の捩じり角度を最小に設定でき、それに伴って、接合部の部材加工度の低減、小型化、集約化を可能にできる方法を見出した。 【0017】本発明は、前記の観点に基づいてなされた曲面形状を構成する部材の接合部の設定法および、曲面構造物を提供することを目的とする。 【0018】 【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するために、本発明は、次のように構成する。 【0019】第1の発明は、グリッド状に配設されて曲面形状を構成する形鋼部材の節点に配置される接合部材の設定方法において、任意の節点Aiにそれぞれ形鋼部材を介して接続される3個の節点を通る円の中心から節点Ai方向およびその反対方向に向かう法線ベクトルVim,Vim'を算定し、前記法線ベクトルVim,Vim'のそれぞれと節点Aiに接合される前記3個および残りの形鋼部材の軸方向単位ベクトルとの内積をそれぞれ求め、該内積が最大となるベクトルを選定してそれぞれ仮の法線ベクトルとし、前記節点Aiに接続される残りの全ての3個の節点の組み合せにおいて繰り返し前記仮の法線ベクトルを選定し、任意の節点Aiに位置する接合部材の軸心線を前記各仮の法線ベクトルのうち最大値の法線ベクトルに合わせるように設定することを特徴とする。 【0020】第2の発明は、複数の節点における各接合部材にトラス部材である形鋼部材を接合してなる曲面構造物において、請求項1記載の設定法に基づいて構成される接合部材は、その接合端面の板厚が、各形鋼部材の進入角の最小、最大の捻れ角が異なる接合部材毎に集約化して複数グループに構成し、各グループ毎に接合部材の接合端面の板厚は、当該接合部における各トラス部材の進入角の最大の捻れ角の接合に必要な最小限の板厚に構成することを特徴とする。 【0021】第3の発明は、第2の発明における曲面構造物が、構築物の屋根として構築されていることを特徴とする。 【0022】本発明によると、任意の節点Aiに配置される接合部材に接合する形鋼部材の進入角度、捩じり角度を最適に設定できるので、形鋼部材および接合部材を集約化することが可能となる。 【0023】また、曲面形状を構成する形鋼部材に取り付ける二次部材の鉄骨部材および接合部材についても集約化が可能となる。 【0024】また、前記の集約化に伴ない部材の調達、加工が容易となり、さらに曲面仕上げ材のユニット化が容易となり、コストが低減され結果、H形鋼、T形鋼などの形鋼と接合部材を用いた曲面屋根などのグリッドパターン構成の曲面構造物の実用化が可能となる。 【0025】 【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図1〜図4を参照して説明する。図1は鋼部材2,3,4などからなるグリッドパターン(またはトラス)の曲面構造物1を示す概要図である。図2〜図4は要部の説明図である。 【0026】図1に示す曲面構造物1において、トラスを構成する鋼部材2,3,4のそれぞれ両端は、各節点Ai,Gi1,Gi2,Gi3にて図示しない接合部材(図7、図8における接合ブロック10)に接合されている。この場合、図示されるように、3個の節点Ai,Gi1,Gi2により囲まれる三角形は隣接の三角形とは同一平面上にない。したがって、前述したように、H形鋼、T形鋼等の形鋼部材2,3,4…を使用した場合、2つの節点をつなぐ形鋼部材2,3,4…は捩じられた状態で接合部材(節点)に接合される。 【0027】図2、図3に示すように、曲面構造物1上にn個ある節点のうち任意の節点Ai(x,y,z)にm個(この場合6個)の形鋼部材2,3,4…を介して接合されるm個の節点Gi1,Gi2,Gi3…のうち、任意の3個の節点Gi1,Gi2,Gi3を通る円5に対して形鋼部材2,3,4…の軸方向の単位ベクトルv1,v2,v3を計算する。この計算を残りの形鋼部材について繰り返し行って、その外積の法線ベクトルを求め、この法線ベクトルと競り合い角度が最も厳しい形鋼部材方向の単位ベクトルを選択して得られた法線ベクトルにより接合部の位置を設定する。 【0028】以下に、その方法の詳細フローを説明する。すなわち、曲面構造物1上の任意の節点Aiとこれに隣接する3節点Gi1,Gi2,Gi3とをつなぐ形鋼部材2,3,4…の単位ベクトルv1,v2,v3から、つぎのフローにより節点Aiにおける法線ベクトルVimを算定する(図3、図4参照)。 【0029】■ 節点Aiと3個の節点Gi1,Gi2,Gi3とをつなぐ形鋼部材2,3,4…の軸方向の各単位ベクトルv1,v2,v3を算定する。それらはつぎのように表される。 v1=Gi1Gi3v2=Gi2Gi3v3=Gi1Gi2節点Aiに接合されるm個の節点のうち、3個の節点Gi1,Gi2,Gi3を通る円5の中心からAi方向に向かうベクトルVimを初期値の法線ベクトルとする。初期値の法線ベクトルVimは、3個の単位ベクトルv1,v2,v3より得られる外積であり、Vimと3個の単位ベクトルv1,v2,v3より得られる内積は全て等しくなる。 【0030】■ 初期値の法線ベクトルVimと他の全て(m−3)の形鋼部材の軸方向の単位ベクトル(v4〜vm)との内積を算定する。そして、■,■で算定した内積の中で最も大きい内積[1](仮の法線ベクトル)を選定する。 【0031】■ 前記■で決定した法線ベクトルVimの逆方向のベクトルを2番目の初期値の法線ベクトルVim'とする。 【0032】■ 前記■と同様に、Vim'と前記3個の形鋼部材2,3,4の軸方向の単位ベクトルv1,v2,v3との内積を算定する。同様にその他の全ての形鋼部材の軸方向の単位ベクトルとの内積を算定し、その中で最も大きい内積[2](仮の法線ベクトル)を選定する。 【0033】■ 前記内積[1]と内積[2]を比較して大きい方の法線ベクトルを、任意の節点Ai(x,y,z)に着目した場合の最適な法線ベクトル(仮の法線ベクトル)と設定する。 【0034】■ ■〜■のフローを節点Aiに接合される全ての組み合わせの3形鋼部材にて実行し、各最適な法線ベクトルのうち最も大きいもの(仮の法線ベクトル)を接合部材の設定に用いる最適な法線ベクトルとする。 【0035】すなわち、節点Aiに位置する接合部材の軸心線をこの最適な法線ベクトルに一致するように接合部材を配設する。この内積が最も大きい場合が、形鋼部材を接合部材(節点)に接合させるときの捩じり角が最小になる場合である。 【0036】本発明において、前記の設定法で選定された接合部材を図7、図8に示す接合ブロック10に適用し、図1に示す曲面構造物1又は図5に示す曲面構造物6を構築することができ、この場合、その接合端面の板厚が、各形鋼部材の進入角の最小、最大の捻れ角が異なる接合部材毎に集約化して複数グループに構成し、各グループ毎に接合部材の接合端面の板厚は、当該接合部における各トラス部材の進入角の最大の捻れ角の接合に必要な最小限の板厚に構成することができる。 【0037】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、曲面構造物の各節点Aiに配置される接合部材に接合する形鋼部材の進入角度が均一に近くなり、捩じり角度を最適に設定できるので、形鋼部材および接合部材のサイズを集約化することが可能となり、鋼材重量も低減できる。 【0038】また、曲面構造物を構成する形鋼部材に取り付ける二次部材の鉄骨部材および接合部材の集約化も可能となる。 【0039】さらに、前記接合部材の集約化、グルーピング化出来るので、部材の調達、加工性、施工性が容易となり、さらに接合部材の取り合う曲面仕上げ材を支持するための取付金物のユニット化、集約化が容易となりコストが低減される。その結果、H形鋼、T形鋼などの形鋼と接合部材とを用いた曲面屋根などのグリッドパターン構成における曲面構造物の実用化が可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006655 【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年9月25日(2000.9.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107250 【弁理士】 【氏名又は名称】林 信之 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−97724(P2002−97724A) |
| 【公開日】 |
平成14年4月5日(2002.4.5) |
| 【出願番号】 |
特願2000−290088(P2000−290088) |
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