トップ :: E 固定構造物 :: E04 建築物




【発明の名称】 建物の構造
【発明者】 【氏名】大山 博

【氏名】湯山 康樹

【氏名】林 寛三郎

【氏名】石原 政幸

【氏名】渡辺 泰志

【氏名】加藤 義弘

【要約】 【課題】低階高でも高天井高を確保することを可能とする。

【解決手段】廊下1を挟んでその両側に居室部2が配置される形態の建物の構造において、居室部2の外壁の位置に設けた外周柱5と、外周柱5間に架設された桁行方向の外周大梁6と、廊下1の両側の位置に設けた内柱7と、内柱7間に架設された桁行方向の大梁8と、外周柱5と内柱7との間に架設されたスパン方向の大梁9とによって居室部2にラーメン架構3を構成し、廊下1の両側のラーメン架構3どうしの間に廊下1を構成する無梁スラブ4を架設する。スパン方向の大梁9を成寸法が幅寸法と同等の偏平梁とする。外周大梁6をウオールガーダーとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 廊下を挟んでその両側に居室部が配置される形態の建物の構造において、居室部の外壁の位置に設けた外周柱と、外周柱間に架設された桁行方向の外周大梁と、廊下の両側の位置に設けた内柱と、内柱間に架設された桁行方向の大梁と、外周柱と内柱との間に架設されたスパン方向の大梁とによって居室部にラーメン架構を構成し、廊下の両側のラーメン架構どうしの間に該廊下を構成する無梁スラブを架設したことを特徴とする建物の構造。
【請求項2】 請求項1記載の建物の構造において、前記スパン方向の大梁を成寸法が幅寸法と同等の偏平梁としたことを特徴とする建物の構造。
【請求項3】 請求項1または2記載の建物の構造において、前記外周大梁をウオールガーダーとしたことを特徴とする建物の構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建物の構造、特に低階高であっても高天井高を確保することを可能とする構造に関する。
【0002】
【従来の技術】高さ制限のある地域に建物を設ける場合、制限内で階数を可及的に多くするためには各階の階高を小さくする必要がある。たとえば、高さ制限が10mとされる第1種住居専用地域に3階建ての建物を計画する場合、各階の階高は3.3m程度が限度となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、建物の階高を単に小さくした場合には天井高もそのまま小さくなって快適性や居住性を損なってしまうことがあるし、それを避けるために天井高を大きくしたり二重天井を省略して直天井仕上げとすると、設備関係機器類や配管配線類の設置や納まりが困難になる場合がある。
【0004】上記事情に鑑み、本発明は低階高でも有効天井高を大きく確保することを可能とする建物の構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、廊下を挟んでその両側に居室部が配置される形態の建物の構造において、居室部の外壁の位置に設けた外周柱と、外周柱間に架設された桁行方向の外周大梁と、廊下の両側の位置に設けた内柱と、内柱間に架設された桁行方向の大梁と、外周柱と内柱との間に架設されたスパン方向の大梁とによって居室部にラーメン架構を構成し、廊下の両側のラーメン架構どうしの間に該廊下を構成する無梁スラブを架設したことを特徴とする。
【0006】請求項2の発明は、請求項1の発明の建物の構造において、前記スパン方向の大梁を成寸法が幅寸法と同等の偏平梁としたことを特徴とする。
【0007】請求項3の発明は、請求項1または2の発明の建物の構造において、前記外周大梁をウオールガーダーとしたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図1および図2を参照して説明する。図1は本実施形態の構造による建物の躯体の立面図、図2は梁伏図である。この建物は鉄筋コンクリート造の3階建の学校であって、中央部に位置する廊下1の両側がそれぞれ居室部2とされてそこには複数の教室を配置するという平面プランが採用されているものであるが、この建物は高さ制限が10mである第1種住居専用地域に建てられるものであり、したがって図1に示すように1階および2階の階高を3,250mm、3階の階高を3,350mm、1階の床レベルをGL+100mmとすることで、全高を9,950mmとして制限内に収まるようにしている。
【0009】この建物の居室部2はラーメン架構3により構成され、廊下1は無梁スラブ4により構成されている。ラーメン架構3は、居室部の外周部の位置に設けた外周柱5、それら外周柱5間に架設された桁行方向の外周大梁6、廊下1の両側の位置に設けた内柱7、それら内柱7間に架設された桁行方向の大梁8、外周柱5と内柱7との間に架設されたスパン方向の大梁9、外周大梁6と大梁8との間に架設された小梁10を主要部材として構成されたものである。なお、小梁10は省略することも可能であるし、必要であればさらに増やしても良い。また、必要に応じて要所に耐震壁を設けても勿論良い。
【0010】無梁スラブ4は廊下1の両側のラーメン架構3どうしの間に架設されて廊下1の床および屋根の一部を構成しているものである。このように廊下1を無梁スラブ4に構成したことにより、本実施形態の構造は内柱7間においてはスパン方向の大梁9および小梁10をいずれも省略した形態のものとなっている。符号11は各階の居室部2のスラブであり、これは外周大梁6、大梁8,9、小梁10により支持されて設けられている。符号12は屋根スラブ、13は基礎梁、14は杭、15は必要に応じて設けられるダクトシャフトである。
【0011】本実施形態の建物では、内柱7間に架設されている桁行方向の大梁8(廊下1の両側に位置するもの)は通常の断面のものであるが、外周大梁6は屋根梁を除いてウオールガーダー(壁梁)とされ、その上半部は腰壁、下半部は垂壁として外壁を兼ねるものとなっている。また、スパン方向の大梁9および小梁10の梁成は同等とされ、かつそれらは成寸法が幅寸法とほぼ同等の偏平梁が採用されている。
【0012】また、この建物においては、居室部2に設ける教室の天井面は直天井仕上げとされて通常のような二重天井は設けられず、上階のスラブ11の下面に適宜の仕上げ(たとえばひる石吹き付け等)を施すのみとされている。また、居室部2の床面もスラブ11の上面に適宜の床仕上げ材(たとえばフローリング等)を直貼りした直床仕上げとされる。そのような直天井仕上げ、直床仕上げとすることにより、スラブ厚と天井仕上げ、床仕上げに要する寸法は200mm足らずで済み、したがって上記のように階高を3,250mmと十分に小さく設定しても、大梁9および小梁10の位置を除いた部分における有効天井高は3,000mm以上と十分に大きく確保できるものとなっており、教室として十分に快適な環境が得られる。
【0013】そして、居室部2を直天井仕上げとしても、各種の設備機器類は廊下1に二重天井を設けてその天井裏空間を利用することで支障なく設置し得る。たとえば居室部2に対して空調を行う場合、廊下1の天井裏空間にファンコイルユニット等の空調機を設置するとともに大梁8を貫通するダクトを設けて居室部2内に給気するように構成すれば良い。その場合、廊下1は無梁スラブ4により構成されていてこの廊下1を横断するような梁は省略されているので、廊下1の天井裏空間に空調機その他の設備機器を支障なく設置できるし、そこをダクトや配管あるいはケーブル等の主要動線の設置スペースとして有効に活用することができる。
【0014】以上のように本実施形態の建物は、居室部2を構成するラーメン架構3どうしの間に無梁スラブ4を架設した構造によるものであるので、全体として構造的な安定性と信頼性を十分に確保できることは言うに及ばず、居室部2(本実施形態では教室)を直天井仕上げすることで有効天井高を大きく確保しつつ、廊下1に二重天井を設けることでそこに設備機器類を支障なく設置することが可能であり、したがって居住性や快適性を犠牲にすることなく、また諸設備の設置や納まりが困難になることもなく、建物の階高を十分に小さくすることが可能なものであり、高さ制限のある地域に建てられる建物の構造として好適である。
【0015】特に、本実施形態の建物は、大梁9および小梁10を梁成の小さい偏平梁としているので、それらの梁下寸法も通常断面の梁の場合に比べて大きく確保することができる。
【0016】さらに、本実施形態の建物では、外周大梁6として外壁を兼ねるウオールガーダーを採用しているので、通常断面の梁とする場合のようにその梁形が居室部2に突出することはないし、図示しているように外周大梁6としてのウオールガーダーを外周柱5の内側に偏心させて設けることで居室部2内に外周柱5の柱形が突出することもない。
【0017】なお、上記実施形態は低階高で高天井高が必要とされる建物として第1種住居専用地域に設ける3階建ての学校を対象としたが、本発明の構造はそれに限らず任意の用途、規模、形態の建物に広く適用できることはいうまでもない。
【0018】
【発明の効果】請求項1の発明は、廊下を挟んでその両側に居室部が配置される形態の建物の構造として、居室部にラーメン架構を構成し、ラーメン架構どうしの間に廊下を構成する無梁スラブを架設したものであるから、居室部を直天井仕上げすることで有効天井高を大きく確保しつつ、廊下には二重天井を設けてそこには設備機器類を支障なく設置することが可能であり、したがって居住性や快適性を犠牲にすることなく、また諸設備の設置や納まりが困難になることもなく、建物の階高を十分に小さくすることが可能なものであり、高さ制限のある地域に建てられる建物の構造として好適である。
【0019】請求項2の発明は、スパン方向の大梁を成寸法が幅寸法と同等の偏平梁としたので、その梁下寸法も通常断面の梁の場合に比べて大きく確保することができる。
【0020】請求項3の発明は、外周大梁をウオールガーダーとしたので、その梁形が居室部に突出することはない。
【出願人】 【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
【出願日】 平成12年9月21日(2000.9.21)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外3名)
【公開番号】 特開2002−97715(P2002−97715A)
【公開日】 平成14年4月5日(2002.4.5)
【出願番号】 特願2000−287677(P2000−287677)