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【発明の名称】 スラリー輸送装置
【発明者】 【氏名】伊藤 達男

【氏名】中井 栄

【要約】 【課題】均一かつ連続的に排泥を行うことで、排泥パイプ内での閉塞を防止し、吸引能力を低下させず、作業効率を維持すること。

【解決手段】空気混入管12を注水パイプ9に接続することで、スラリー保持空間4内のスラリー60に空気を混入自在に設けて構成した。これにより排泥ポンプ10は軽度のキャビテーションを伴って運転される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】内部にスラリーを保持自在なスラリー保持タンクと、前記スラリー保持タンク内に水を供給する水供給手段と、前記スラリー保持タンク内に土砂を供給する土砂供給手段と、前記スラリー保持タンク内で前記水と土砂が混合してなるスラリーを吸込み外部に輸送する吸込輸送手段と、を備えたスラリー輸送装置において、空気混入手段を、前記スラリー保持タンク内のスラリーに空気を混入自在に設けて構成した、ことを特徴とするスラリー輸送装置。
【請求項2】前記空気混入手段は、前記水供給手段により前記スラリー保持タンク内に供給される水に空気を混入自在に設けた、ことを特徴とする請求項1記載のスラリー輸送装置。
【請求項3】前記空気混入手段は、空気を取入れるための空気取入部を、前記スラリー保持タンク内に配置して有する、ことを特徴とする請求項1記載のスラリー輸送装置。
【請求項4】前記空気取入部は、前記スラリー保持タンク内のうちスラリー液面位置変動領域に配置した、ことを特徴とする請求項3記載のスラリー輸送装置。
【請求項5】前記スラリー保持タンクは、前記土砂供給手段から供給される土砂を一時貯留して均一的に該スラリー保持タンク内に供給するホッパ手段を有している、ことを特徴とする請求項1記載のスラリー輸送装置。
【請求項6】前記水供給手段の水供給量をV1とし、前記土砂供給手段の土砂供給量をV2とし、前記吸込輸送手段のスラリー最大吸込量をV3とした場合、前記吸込輸送手段の能力を、V3>V1+V2を満たすものとした、ことを特徴とする請求項1記載のスラリー輸送装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヘドロや土砂または泥土等をスラリーとして輸送するスラリー輸送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は公知のスラリー輸送装置を示した図である。本件出願人による特公昭55−38460号には、真空吸引を利用してヘドロや土砂や泥土等(以下これらを総称して土砂とする)をスラリー化して輸送するスラリー輸送装置が開示されている。図4に示すスラリー輸送装置30は、真空タンク31内を真空ポンプ32で負圧にし、該真空タンク31から延長した吸込パイプ33で堆積状態にある土砂40を真空タンク31内に吸引すると共に、給水ポンプ35を介して同じく真空タンク31内に水50を加え、該土砂40と水50とをタンク内で攪拌してスラリー60にしながら、該スラリー60を排泥ポンプ36に連結した排泥パイプ37を介して所望の排出場所に連続的に輸送するものである。また、真空タンク31上部には該タンク内外を連通可能な安全弁39を設けており、該安全弁39の開閉で真空タンク31内の負圧を適宣解消して土砂50の吸引を制限できるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したスラリー輸送装置30では以下のような課題■及び■があった。
【0004】■給水ポンプ35による水供給量、吸込パイプ33を介する土砂供給量、排泥パイプ37をによるスラリー吸込量は、それぞれの負荷変動により一定ではなく、真空タンク31内におけるスラリー60の水位が随時変動するので、排泥ポンプ37によるスラリー60の吸込が間歇的に行われることになる。このように間歇的にスラリー60の吸込が起こることにより、排泥パイプ37内でのスラリー60の流速が沈殿限界流速以下になり、該排泥パイプ37内で閉塞を起こす。
【0005】■真空タンク31内のスラリー60の液面が上昇しすぎないように安全弁39を作動させると、該真空タンク31内の負圧が低下するので、吸込パイプ33による吸引能力が低下して作業効率が低下する。
【0006】そこで本発明は上記事情に鑑み、■単位時間あたり均一な量で連続的に排泥を行うことで、排泥パイプ内での閉塞を防止し、■吸引能力を低下させず、作業効率を維持することができる、スラリー輸送装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は上述の事情に生みてなされたもので、請求項1は、内部にスラリー(60)を保持自在なスラリー保持タンク(3)と、前記スラリー保持タンク内に水(50)を供給する水供給手段(9)と、前記スラリー保持タンク内に土砂(40)を供給する土砂供給手段(7)と、前記スラリー保持タンク内で前記水と土砂が混合してなるスラリーを吸込み外部に輸送する吸込輸送手段(10,11)と、を備えたスラリー輸送装置(2)において、空気混入手段(12)を、前記スラリー保持タンク内のスラリーに空気を混入自在に設けて構成した、ことを特徴とする。
【0008】また請求項2は、前記空気混入手段は、前記水供給手段により前記スラリー保持タンク内に供給される水に空気を混入自在に設けた、ことを特徴とする。
【0009】また請求項3は、前記空気混入手段は、空気を取入れるための空気取入部(12a)を、前記スラリー保持タンク内に配置して有する、ことを特徴とする。
【0010】また請求項4は、前記空気取入部は、前記スラリー保持タンク内のうちスラリー液面位置変動領域(R)に配置した、ことを特徴とする。
【0011】また請求項5は、前記スラリー保持タンクは、前記土砂供給手段から供給される土砂を一時貯留して均一的に該スラリー保持タンク内に供給するホッパ手段(6)を有している、ことを特徴とする。
【0012】また請求項6は、前記水供給手段の水供給量をV1とし、前記土砂供給手段の土砂供給量をV2とし、前記吸込輸送手段のスラリー最大吸込量をV3とした場合、前記吸込輸送手段の能力を、V3>V1+V2を満たすものとした、ことを特徴とする。
【0013】なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように本発明のうち請求項1によれば、以下に述べる効果■及び■を奏する。
■スラリー保持タンク内のスラリーに空気が混入されるので、軽度のキャビテーションが生じて吸込輸送手段の能力が低下する。従って、吸込輸送手段によるスラリーの吸込が過剰に行われることが無いので、スラリー保持タンク内のスラリーの水位が不用意に降下して吸込輸送手段によるスラリーの吸込が停止するといったことにより生じるスラリーの間歇的な吸込が防止される。これにより、単位時間あたり均一な量で連続的に排泥を行うことができ、排泥パイプ内での閉塞が防止される。
■空気混入手段によるスラリーへの空気混入を停止することで、上記キャビテーションは解消され吸込輸送手段の能力が向上する。これにより不用意に上昇するスラリーの水位を即座に低下させることが可能となる。この際、土砂供給手段による土砂供給量を制限する必要が無いので、土砂の吸引能力を低下させず、作業効率を維持することができる。
【0015】また請求項2によれば、水供給手段により供給している水に空気を混入するので、水流を利用して効果的に空気を混入できる。また、混入した空気をスラリー保持タンク内で拡散させるのに有利である。
【0016】また請求項3によれば、空気取入部がスラリー保持タンク内にあるので、スラリーの液面位置が不用意に上昇した場合、該空気取入部がスラリー液面下に入り、空気混入手段は自動的に空気の取入れを停止する。つまり、空気混入手段における空気の取入・取入停止を制御する手段を別途に設ける必要が無いので好都合である。
【0017】また請求項4によれば、空気取入部はスラリー液面位置変動領域に配置されているので、スラリーの液面位置の小刻みな変動に応じてキャビテーションのオン・オフをその都度行うことができ、スラリーの液面位置を略一定の安全なレベルに保つことができる。これにより、急激な土砂の供給にも対処でき、安全性に優れる。
【0018】また請求項5によれば、土砂供給手段から多量の土砂が供給されても一旦ホッパ手段に貯留され、ここから均一的にスラリー保持タンク内に供給されるので、一度に多量の土砂がスラリー保持タンク内に供給されるようなことは防止されている。従って、スラリー保持タンク内における泥水比重が急激に上昇することはないので、吸込輸送手段に著しい過負荷が発生することによる運転停止が原因で生じるポンプ内閉塞や、排泥パイプ内での土砂沈殿による閉塞などは、未然に防止されている。
【0019】また請求項6によれば、吸込輸送手段の能力が、V3>V1+V2を満たすものなので、土砂供給手段により瞬間的に多量の土砂が供給されたとしても、キャビテーションを解消して吸込輸送手段の能力をフルに発揮させることで、スラリー保持タンク内のスラリーの液面位置を即座に安全なレベルに低下させることができる。この際、従来のように安全弁等により土砂の供給を制限する必要はないので作業効率の低下が無い。
【0020】
【発明の実施の形態】図2はトンネル内で発生した土砂を外部に輸送するための土砂輸送設備を示した模式図である。発進用等の立坑TR1及びこれに続く構築中の水平坑TR2からなるトンネルTRの施工現場には、図2に示すように、該水平坑TR2内で発生した土砂40を外部に輸送するための土砂輸送設備1が設置されている。土砂輸送設備1は、スラリー輸送装置2、搬送補助装置15、貯留装置25等により構成されている。以下、これらを個別に説明する。
【0021】<スラリー輸送装置2>図1はスラリー輸送装置を示す模式図である。スラリー輸送装置2は、図1に示すように、内部が基本的に密閉された真空タンク3を有しており、該真空タンク3の上端部付近には真空吸引口5aが形成されている。真空タンク3には、該真空吸引口5aを介して真空ポンプ5が接続されており、該真空ポンプ5を運転することにより真空吸引口5aを介して空気を吸引し真空タンク3内を減圧自在となっている。
【0022】真空タンク3内にはホッパ6が設けられている。ホッパ6は、中空の殻体6aを有しており、該殻体6aの底部には吐出口6bが形成されている。該ホッパ6は、真空タンク3の上端部付近のうち、上記真空吸引口5aとは干渉しない位置に配置されている。吐出口6bにはスライド式のシャッタ6sが設けられており、該シャッタ6sをスライド調節することにより吐出口6bの開口面積を調節可能となっている。
【0023】一方、真空タンク3には土砂40を輸送自在な吸込パイプ7が外部から接続されており、該吸込パイプ7の一端は真空タンク3内に挿入され、その先端が前記ホッパ6の内部に開口している。即ち、ホッパ6内には吸込パイプ7を介して輸送されて来た土砂40が供給自在になっている。
【0024】また、真空タンク3には水50を輸送自在な注水パイプ9が外部から接続されており、該注水パイプ9の先端側は真空タンク3の上端から該真空タンク3内に下向きに挿入されている。更に真空タンク3内では、前記注水パイプ9はホッパ6を上下に貫通しており、該注水パイプ9の先端は真空タンク3の内部のうち前記ホッパ6の下側で開口している。なお真空タンク3のうち前記ホッパ6よりも下方はスラリー60(泥)が保持され得るスラリー保持空間4となっており、前記注水パイプ9の先端は該スラリー保持空間4に配置されている。
【0025】また注水パイプ9の途中(図1の例では真空タンク3のすぐ上の位置)にはピンチ弁9aが設けられている。このピンチ弁9aは公知のものであり、注水パイプ9内の真空度が上昇すると、該ピンチ弁9aの内部ゴム管が真空力により変形して流路断面減少を起こし、該注水パイプ9における流量を減少させるようになっている。つまり、ピンチ弁9aにより注水パイプ9による水供給量(単位時間当たりの量)が自動的に略一定に制御されるようになっている。
【0026】また注水パイプ9には、その途中部位において空気混入管12が接続されている。空気混入管12は該注水パイプ9との接続位置から、一旦、真空タンク3の外部に突出し、再び真空タンク3内に挿入してスラリー保持空間4に到達し、その先端12aを下方に向けた形で配管されている。この先端12aはスラリー保持空間4におけるスラリー液面位置変動領域R(後述)内の所定の高さレベルL1に配置されている。また、空気混入管12のうち前記注水パイプ9との接続部にはエジェクタ12bが介在されており、更に空気混入管12の途中であり、かつ真空タンク3の外部に位置する箇所には風量制御弁12cが設けられている。
【0027】更に注水パイプ9のうちホッパ6内に位置する途中部位では枝管13が設けらえれており、枝管13の先端は注水パイプ9から枝管13を介して供給されてきた少量の水50をホッパ6内に散布自在な散布部13aとなっている。
【0028】更に、真空タンク3には排泥ポンプ10が設けられている。排泥ポンプ10はメッシュ状のケーシング等で形成された吸込部10aを有しており、該吸込部10aは真空タンク3の内部のスラリー保持空間4に配置されている。なお吸込部10aの上端は前記スラリー液面位置変動領域Rの最低高さレベルL2よりもやや低い位置に配置されている。また排泥ポンプ10には、前記吸込部10aから吸込んだスラリー60を輸送するための排泥パイプ11が接続されている。
【0029】<搬送補助装置15>図3は搬送補助装置を示す模式図であり、(a)はその側断面図、(b)はそのX1−Y1線断面図である。搬送補助装置15は水平方向に長い略直方体状の形状をしたケーシング16を有している。ケーシング16にはオーガー装置19が設けられている。オーガー装置19は水平に伸延したスクリュー19aを回転駆動自在に有しており、該スクリュー19aは上記ケーシング16の内部で、しかも該ケーシング16の底部に沿って配置されている。
【0030】更に、ケーシング16内には、該ケーシング16の内部を基本的に上側の貯留空間SP1と下側の排出空間SP2との2つに分割する略水平な仕切部材17が設けられており、上記スクリュー19aの大部分は排出空間SP2に配置され、該スクリュー19aの上部が仕切部材17を貫通して上の貯留空間SP1に突出している。従って、仕切部材17には、スクリュー19aの上部が貫通する大きさの流通口17aが該スクリュー19aに沿って平面視細長く形成されている。
【0031】ケーシング16には、第1のパイプ7Aと第2のパイプ7Bとが外部より接続されており、第1のパイプ7Aは貯留空間SP1に開口している。第2のパイプ7Bはスクリュー19aの先端近傍で排出空間SP2に開口した形で接続されている。また、2本の空気バイパス管20が仕切部材17を介して貯留空間SP1と排出空間SP2とを連通する形で設けられており、空気バイパス管20の上端は貯留空間SP1の上端近傍で開口し、下端は仕切部材17の下面(排出空間SP2の上端)で開口している。
【0032】<貯留装置25>貯留装置25は、図1に示すように、スラリー60を貯留することのできる貯留槽26と、該貯留槽26で貯留され分離された水50を外部に給水自在な給水ポンプ27と、を有している。
【0033】<土砂輸送設備1全体>以上のように、スラリー輸送装置2、搬送補助装置15、貯留装置25、等を有してなる土砂輸送設備1は、図2に示すように、地上にスラリー輸送装置2及び貯留装置25を配置しており、スラリー輸送装置2の排泥パイプ11が貯留装置25の貯留槽26に、スラリー60を輸送供給自在に接続されている。また貯留装置25の給水ポンプ27には、スラリー輸送装置2の注水パイプ9が、該給水ポンプ27から水50を受取自在に接続されている。
【0034】また本実施形態の土砂輸送設備1は、同様に構成された搬送補助装置15を2つ有しており、以降これらを区別するため搬送補助装置15A、搬送補助装置15Bと記載することにする。1つの搬送補助装置15Aは、図2に示すように、トンネルTRの立坑TR1の底部近傍に配置している。該搬送補助装置15Aの第2のパイプ7Bは前記立坑TR1を介して地上まで配管されており、該第2のパイプ7Bの先端側はスラリー輸送装置2における吸込パイプ7として該スラリー輸送装置2に接続されている。
【0035】もう1つ別の搬送補助装置15Bは、図2に示すように、立坑TR1から続く水平坑TR2の途中に配置している。該搬送補助装置15Bの第2のパイプ7Bは前記水平坑TR2を介して配管され、上記搬送補助装置15Aの第1のパイプ7Aとして該搬送補助装置15Aに接続されている。搬送補助装置15Bの第1のパイプ7Aは水平坑TR2を介して切羽側まで配管されており、その先端は水平坑TR2の掘削に伴い発生した土砂40を吸引できる位置に配置されている。
【0036】<土砂輸送設備1の利用>土砂輸送設備1は以上のように構成されているので、該土砂輸送設備1を用いてトンネルTRの水平坑TR2における土砂40を地上に搬送するには次のように行う。即ち、スラリー輸送装置2の真空ポンプ5を作動させ、貯留装置25の給水ポンプ27を作動させる。
【0037】スラリー輸送装置2での真空ポンプ5の作動により、真空タンク3内は減圧され、吐出口6bを介して連通した真空タンク3内のホッパ6内部も減圧される。つまり、該ホッパ6内部と接続される吸込パイプ7内が減圧される。即ち、吸込パイプ7と同じものである搬送補助装置15Aの第2のパイプ7B内が減圧されるので、該搬送補助装置15Aのケーシング16内が減圧され、該ケーシング16と接続された搬送補助装置15Aの第1のパイプ7A内が減圧される。更に、搬送補助装置15Aの第1のパイプ7Aと同じものである搬送補助装置15Bの第2のパイプ7B内が減圧されるので、該搬送補助装置15Bのケーシング16内が減圧され、該ケーシング16と接続された搬送補助装置15Bの第1のパイプ7A内が減圧される。
【0038】搬送補助装置15Bの第1のパイプ7A内が減圧されるので、この真空力により該第1のパイプ7Aの先端より水平坑TR2内の土砂40を吸引する。吸引された土砂40は、図3に示すように、第1のパイプ7Aを介してケーシング16の貯留空間SP1に供給され一時貯留される。貯留空間SP1の土砂40は自然落下或いはオーガー装置19のスクリュー19aの動きにより仕切部材17の流通口17aを通って排出空間SP2へ均一的に移動する。この排出空間SP2ではオーガー装置19のスクリュー19aが回転駆動されているので、該排出空間SP2に進入した土砂40はスクリュー19aの回転により短土砂プラグ状にされつつ図3の矢印T方向に輸送され第2のパイプ7Bに排出される。
【0039】なお第1のパイプ7A等を介してケーシング16の貯留空間SP1に流入した空気は2本の空気バイパス管20を通って排出空間SP2に供給され、オーガー装置19の回転駆動により断続的に第2のパイプ7Bに排出される土砂40の間に取り込まれる。これにより上記短土砂プラグが効果的に形成されるようになっている。
【0040】搬送補助装置15Bの第2のパイプ7Bを介して短土砂プラグとされた土砂40は、同パイプである搬送補助装置15Aの第1のパイプ7Aを介して該搬送補助装置15Aのケーシング16の貯留空間SP1に供給され一時貯留される。貯留空間SP1の土砂40は自然落下或いはオーガー装置19のスクリュー19aの回転により排出空間SP2へ進入する。該排出空間SP2に進入した土砂40はスクリュー19aの回転により短い土砂プラグ状にされ、かつ2本の空気バイパス管20を通って排出空間SP2に供給される空気を取り入れつつ、図3の矢印T方向に輸送され第2のパイプ7Bに排出される。
【0041】このように搬送補助装置15A、15Bによると、長距離真空吸引による土砂輸送において閉塞の原因になりやすい長い土砂プラグを発生させず、短い土砂プラグにして搬送するので、第2のパイプ7B内での閉塞を回避することができる。またこれにより、限られた真空力により高能率の土砂輸送が可能になるので好都合である。特に、最も閉塞が生じやすい立坑TR1等の鉛直配管の直前に搬送補助装置15Aを設けることは閉塞防止に特に有効である。更に、水平坑TR2でもその輸送距離が長い場合には、始めは短い土砂プラグであっても輸送中に長い土砂プラグになってしまうことがあるので、搬送補助装置15Bを途中に挿入するによって水平配管内の閉塞防止を確実にできる。なお、水平坑TR2が更に長くなり、土砂40の水平輸送距離が長くなる場合には、搬送補助装置15A、15Bと同様の搬送補助装置を何台でも直列に追加接続することが可能である。
【0042】搬送補助装置15Aの第2のパイプ7Bを介して立坑TR1を上り、同パイプである吸込パイプ7でスラリー輸送装置2に搬送された土砂40は、図1に示すように、該吸込パイプ7よりホッパ6内に供給される。ホッパ6内に供給された土砂40は、該土砂40の自重及び真空ポンプ5による真空力によりホッパ6の吐出口6bを介して真空タンク3のスラリー保持空間4に均一的に供給される。上述したように貯留装置25の給水ポンプ27が作動しているので、注水パイプ9を介してスラリー保持空間4には水50が供給されている。従って、このスラリー保持空間4では水50と土砂40がスラリー60を形成して保持される。
【0043】スラリー輸送装置2の排泥ポンプ10も作動しており、スラリー保持空間4内のスラリー60は吸込口10aを介して排泥ポンプ10に吸込まれ、排泥パイプ11を介して貯留装置25に輸送される。貯留装置25に輸送されたスラリー60は貯留槽26に供給される。該貯留槽26のスラリー60は水50と土砂40とに分離され、水50は上述したように給水ポンプ27により注水パイプ9を介して再び真空タンク3に供給される。貯留槽26で分離された土砂50は適宜な方法で処理される。
【0044】以下、スラリー輸送装置2における特徴的な作用を説明する。
■水供給量の安定化真空タンク3に給水する注水パイプ9に設けられたピンチ弁9aにより、既に説明したように該注水パイプ9による単位時間当たりの水供給量が自動的に略一定になるよう調節される。ここで、前記水供給量(流量)を一定値であるV1とし、スラリー保持空間4に対するホッパ6からの土砂40の土砂供給量(単位時間当たりの平均供給量)をV2とする。このV1、V2の関係は、V2≒0.1×V1、となるようにピンチ弁9aを調整しておく。瞬間的な土砂の供給量は条件によって大きく変動するが、上記V2がV1に対して十分小さい量であるから、スラリー保持空間4に供給されるスラリー60としての単位時間当たりの供給量の変動は相対的に少ない。また、排泥ポンプ10の能力であるスラリー最大吸込量をV3(単位時間当たりのスラリーの最大吸込量)として、V3>V1+V2、を満たす能力をもつ排泥ポンプ10を採用した(好ましくは、V3=2.6×V1程度が適当)。このように余裕のある排泥ポンプ10を自律安定的にV1+V2程度の単位時間当たりのスラリー吸込量で運転することにより(その仕組みは後述)、排泥パイプ11には一定量のスラリー60が継続的に供給でき、排泥パイプ11内で沈殿限界流速以下になることはない。
【0045】■真空タンク3内のスラリー液面位置の安定化本実施形態では上述したように排泥ポンプ10を自律安定的にV1+V2程度のスラリー吸込量で運転する。上述したようにスラリー60の供給量が略一定であるから、スラリー保持空間4でのスラリー60の液面が略一定の高さレベルL1(図1)に保たれる。従って、従来のようにスラリーの水位が上昇する度に安全弁を開いて真空タンク内の真空度を下げて作業能率を下げる必要が生じない。以下に、排泥ポンプ10を自律安定的にV1+V2程度のスラリー吸込量で運転し、スラリー保持空間4でスラリー60の液面位置が略一定の高さレベルL1に保たれる仕組みを説明する。
【0046】本実施形態での条件では、排泥ポンプ10の能力(単位時間当たりのスラリー最大吸込量V3)が、単位時間当たりに吸込むべきスラリー60の吸込量(V1+V2)より過剰に大きいが、該排泥ポンプ10の吸込部10aに人為的に少量空気を吸い込ませて軽度のキャビテーションを起こさせ、排泥ポンプ10の効率低下を起こさせている。まず図1に示すように、スラリー保持空間4のスラリー60の液面が高さレベルL1よりも低いレベルになっている場合について説明する。空気混入管12との接続部分では注水パイプ9内はスラリー保持空間4におけるスラリー60上方の圧力より更に低圧であり、ここに設けられたエジェクタ12bの作用により、空気混入管12の先端12aが空気中にあるので、該先端12aから空気が吸引され注水パイプ9内の水50に空気を連行する。連行された空気は細かい気泡となってスラリー60中に分散し、これが排泥ポンプ10に吸込まれて、上記軽度のキャビテーションが生じ排泥能力が低下する。
【0047】空気混入管12での空気の輸送量は風量制御弁12cで設定してあり、これによってキャビテーションの強度が調整されている。即ち、上記キャビテーションが発生しても注水パイプ9からの供給水量V1に相当する排泥能力は維持するように設定しておく。また、多量の土砂40がスラリー保持空間4に供給された場合は、スラリー60の液面位置が高さレベルL1より高いレベルまで上昇する。この場合は、空気混入管12の先端12aがスラリー60中に入るので注水パイプ9内の水50に空気が連行されず、上記キャビテーションが即座に消失するので、排泥ポンプ10は能力(V3)をフルに発揮して排泥を行う。つまりスラリー60の液面位置は再び低下して上記高さレベルL1の近傍に戻る。つまり、スラリー60の液面が不用意に上昇して真空ポンプ5に吸引されるなどの不都合は生じない。なお、スラリー60中で分散した気泡のための振動・騒音の発生も問題にならないことが確認されている。
【0048】図1に示すスラリー液面位置変動領域Rは、スラリー60の液面位置の変動を安全に許容する領域であって、予め設定されているものである。つまりこのスラリー液面位置変動領域Rの最低高さレベルL2まではスラリー60の液面位置が低下しても排泥に影響が無いが、該最低高さレベルL2を超えて液面位置が低下すると排泥ポンプ10の吸込部10aが露出する可能性が高まり正常な排泥に支障をきたすというものである。またスラリー液面位置変動領域Rの最高高さレベルL3まではスラリー60の液面位置が上昇しても支障は無いが、該最高高さレベルL3を超えて液面位置が低下すると真空ポンプ5によるスラリー60の吸引などの可能性が高まり正常な排泥に支障をきたすというものである。上述したように空気混入管12の空気取入部である先端12aがこのスラリー液面位置変動領域Rの中の高さレベルL1にあるので、スラリー60の液面位置は該高さレベルL1に略一定に保たれ、正常な排泥に支障がない。
【0049】■多量の土砂40が瞬間的に流入し、スラリー60中の土砂40の濃度が急上昇する場合の対策真空吸引方式での土砂の流れはプラグ流であり、間歇的に多量の土砂40が真空タンク3に吸込まれることがあり得る。この対策にあたり設けたのがホッパ6である。即ち、ホッパ6に供給された土砂40は吐出口6bからスラリー保持空間4に比較的断続的に少量ずつ落下するようになっており(即ち均一的に落下するようになっており)、一度に多量の土砂40がスラリー保持空間4に供給されるようなことは防止されている。また、ホッパ6に残留する土砂40は、後から流入する土砂40のプラグ流によって押し流されるようになっている。また、枝管13の散布部13aから散布される水50によりホッパ6内は常時洗い流されるようになっている。これにより、ホッパ6内で土砂40が閉塞するようなことはない。
【0050】以上のように本実施形態のスラリー輸送装置2では、スラリーの液面が不用意に上昇することはないので、従来のように安全弁を開いて真空タンク内の真空度を下げ、作業能率を下げる必要が生じない。単位時間当たり略一定の排泥量でスラリー60を排泥パイプ11に排出することができる。キャビテーションを発生させることにより排泥ポンプ10の間歇運転がなくなり、排泥パイプ11内の土砂分の沈殿及びこれによる閉塞がなくなった。また、多量の土砂40が流入した場合でも、ホッパ6を介してスラリー保持空間4に供給されるので、スラリー60の液面が不用意に上昇することはなく、例えば真空ポンプ5等でスラリー60を吸引してしまうようなことはない。また、スラリー60中の土砂40の濃度を平準化することができたので、排泥ポンプ10、排泥パイプ11での閉塞がなくなるばかりでなく、貯留装置25での土砂分離が容易となった。
【0051】上述した実施形態では、キャビテーションを発生させるための空気の混入を注水パイプ9内に空気を混入させることで実現したが、空気の混入位置は注水パイプ9に限らず、例えばスラリー保持空間4内のスラリー60に直接空気を混入するようにしてもよい。また上述した実施形態では空気混入管12の空気取入部(先端12a)は真空タンク3内にあったが、これを真空タンク3の外部に配置してもよい。更に、空気混入管に開閉自在のバルブ等を設けておき、またスラリー60の液面位置を検知する適宜なセンサを設けておいて、該センサからの検知結果(液面位置の変化)に基づいて上記バルブの開閉を制御(空気混入のオン・オフを制御)するようにしてもよい。
【出願人】 【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井建設株式会社
【出願日】 平成12年8月10日(2000.8.10)
【代理人】 【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二 (外1名)
【公開番号】 特開2002−54175(P2002−54175A)
【公開日】 平成14年2月20日(2002.2.20)
【出願番号】 特願2000−243251(P2000−243251)