トップ :: E 固定構造物 :: E02 水工;基礎;土砂の移送




【発明の名称】 固化剤余剰液リサイクル工法
【発明者】 【氏名】今井 良治

【氏名】寺尾 主

【氏名】志村 肇

【氏名】浜野 衛

【要約】 【課題】極めて簡単かつ経済的なソイルセメントミキシング工法における固化剤余剰液リサイクル工法であって、希釈水を添加することなく固化剤液の流動性を良くして配管やポンプ系統の詰まりを防止し、余剰液を翌日以降まで貯留して再利用を可能とする固化剤余剰液リサイクル工法を提供する。

【解決手段】オーガヘッドから吐出される固化剤液とオーガにより掘削された掘削原位置土とを混合撹拌し、地中壁等を構築するソイルセメントミキシング工法において、掘削撹拌中に排出される掘削原位置土と固化剤液との余剰混合土を回収する工程と、回収された余剰混合土から土砂と余剰の固化剤液とを分離する工程と、該分離された固化剤余剰液を再度オーガヘッドに供給する工程からなり、固化剤液には固化遅延剤が添加されていることを特徴とする固化剤余剰液リサイクル工法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 オーガヘッドから吐出される固化剤液とオーガにより掘削された掘削原位置土とを混合撹拌し、地中壁等を構築するソイルセメントミキシング工法において、掘削撹拌中に排出される掘削原位置土と固化剤液との余剰混合土を回収する工程と、回収された余剰混合土から土砂と余剰の固化剤液とを分離する工程と、該分離された固化剤余剰液を再度オーガヘッドに供給する工程からなり、固化剤液には固化遅延剤が添加されていることを特徴とする固化剤余剰液リサイクル工法。
【請求項2】 上記固化遅延剤が添加されている回収された固化剤余剰液は、貯留されて翌日以降の掘削混合の固化剤液として再利用されることを特徴とする請求項1記載の固化剤余剰液リサイクル工法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば止水性山留め壁の構築等におけるソイルセメントミキシング工法の改良に係り、特に、該工法の施工時に発生する固化剤余剰液のリサイクルとともに、固化剤液の流動性を向上し且つ余剰のリサイクル液を翌日以降まで貯留して再利用することを特徴とする、ソイルセメントミキシング工法施工時の固化剤余剰液リサイクル工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大規模開削工事において、止水性山留め壁として近年ソイルセメントミキシング工法による連続壁の造成が一般的に行われている。該ソイルセメントミキシング工法は、壁体造成の原位置土とセメント系の固化剤液とを掘削と同時に混合撹拌して地中壁を造成するものであり、造成される地中壁の均一性の確保、および応力材の挿入性の向上ならびにオーガへの負荷の軽減のため、造成対象土単位体積当り50〜90%程度のセメント系懸濁液の注入を必要とするのが一般的である。そのため、上記セメント系固化剤液の注入量に比例する形で泥水状の余剰液又は固化剤混合土が発生し、多くの場合これを自然乾燥したのち、産業廃棄物として処分するようになされている。
【0003】そこで、本発明者は先の特願2000−86836号において「余剰液のリサイクル工法及びリサイクルプラント」を提案している。この工法においては、ソイルセメントミキシング工法の施工時に発生する固化剤の余剰液におけるセメント分・ベントナイト分の量を推定し、該推定値に基づいてリサイクル液へ追加すべきセメント・ベントナイトの量を減少させる工法を採用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来公知の工法においては、ソイルセメントミキシング工法施工に伴う余剰の固化剤液又は混合土を産業廃棄物として処理する必要があり、その産業廃棄物の処理対策が極めて大きな負担となっていた。一方、上記提案の固化剤余剰液をリサイクルする工法においても、施工時の作業性向上のために大量のセメント系固化剤液を注入すること、マッドスクリーンによるリサイクル液と混合現位置土との分離促進のために希釈水を添加すること等のために、分離されたリサイクル液の固化剤濃度を調整する必要があり、そのための余剰液におけるセメント分量、ベントナイト分量の推定が必要であった。本発明はこの様な種々の負担を軽減できる、極めて簡単かつ経済的な、ソイルセメントミキシング工法における固化剤余剰液リサイクル工法を提供するものであり、更に、希釈水を添加することなく固化剤液の流動性を良くして配管やポンプ系統の詰まりを防止し、余剰液を翌日以降まで貯留して再利用を可能とする固化剤余剰液リサイクル工法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、オーガヘッドから吐出される固化剤液とオーガにより掘削された掘削原位置土とを混合撹拌し、地中壁等を構築するソイルセメントミキシング工法において、掘削撹拌中に排出される掘削原位置土と固化剤液との余剰混合土を回収する工程と、回収された余剰混合土から土砂と余剰の固化剤液とを分離する工程と、該分離された固化剤余剰液を再度オーガヘッドに供給する工程からなり、固化剤液には固化遅延剤が添加されていることを特徴とする固化剤余剰液リサイクル工法である。また、上記固化遅延剤が添加されている回収された固化剤余剰液は、貯留されて翌日以降の掘削混合の固化剤液として再利用されるものである。
【0006】
【作用】本発明のリサイクル工法の作用概略を説明すると次のようである。通常の単軸又は多軸オーガによる掘削工程において、該掘削と同時にオーガヘッドから固化剤液が吐出され、掘削撹拌が進行する。この場合、本発明において使用する固化剤液には通常のセメント、ベントナイト及び水からなる固化剤液成分の他に、セメントの固化を遅延させる添加剤を使用するものである。次に掘削撹拌工程に伴なって掘削された原位置土と固化剤液は撹拌混合されるが、掘削初期における混合土の大半は余剰混合土として掘削穴から排出される。自走式余剰液吸込み装置に設置された撹拌吸込み機がこの排出された混合土を順次吸引して、続くスクイズポンプにより分離装置に移送する。本発明における分離装置は、サイクロンとマッドスクリーンが併用されており、これによって掘削土砂と余剰の固化剤液を完全に分離することができる。次に、分離された添加剤を含む余剰の固化剤液は、本来の固化剤液の調整手段である自動プラントに送られ、そのままの状態で再度上記オーガのオーガヘッドに供給される。従って、本発明のリサイクル工法においては原則的に、一掘削工程の初期に供給した固化剤液の余剰分はそのまま回収再利用されることとなる。予め決められた一日分の作業行程において必要な量の固化剤液が調整されると、これを順次掘削工程で使用し、余剰分を回収再利用する。そして、一日分のソイルセメントミキシング工法による作業が終了すると、その時点で回収される余剰の固化剤液はタンクに貯留され、翌日の同様な施工工程にそのまま利用されるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の固化剤余剰液リサイクル工法に係るフロー図であって、概略、自走式余剰液吸込み装置10、土砂分離装置20及び自動プラント30により構成され、この様な装置によって再利用される固化遅延剤を添加された固化剤の余剰液を、オーガ40に供給してソイルセメントミキシング工法を施工するものである。なお、本発明に係るソイルミキシング工法にあっては、地中壁の構築、ソイルセメントパイルの造成、地盤改良等の種々の工事に用いられるものである。また、オーガ40は通常の形式のものであって、単軸又は多軸の形式を問わないものである。
【0008】次に、図1に示すフロー図によって、固化剤余剰液リサイクル工法における固化剤余剰液の流れを説明する。自走式余剰液吸込み装置10の余剰液撹拌吸込み機11における、回転羽根によって吸上げられた固化剤余剰液は配管P1、スクイズポンプ15、配管P2を経て、分離装置20におけるマッドスクリーン21内の振動スクリーン等を内蔵した分離手段に送られ、ここで液と礫、土砂等の固形分とが分離される。このとき水槽T1からは、洗浄のためのシャワー給水が配管P3を通してマッドスクリーン21に送られることにより、液と礫、土砂等の固定分とを分離し易くすることができるが、本発明の場合には洗浄水を使用しなくても良い。
【0009】そして、分離された固化剤余剰液は分離装置20のタンクT2内に溜められる一方、礫、土砂等の固形分はベッセル24に排出され、該ベッセル24内に溜まった固形分はトラックV等により通常廃土として運搬処理される。なお、水槽T1からの水はポンプで配管P4を通して、自走式余剰液吸込み装置10の余剰液撹拌吸込み機11に送られ、該撹拌吸込み機11の余剰液の希釈に使用することもできるが、本発明において特に必要なものではない。
【0010】自動プラント30は、ソイルセメントミキシング工法の施工装置において公知のミキサ31、アジテータ32、ベントサイロ33、セメントサイロ34等の他に添加剤貯蔵タンク35を備え、ミキサ31にはセメント、ベントナイト及び添加剤を給送するようになっている。ここで、本発明の一つの特徴である添加剤について説明すると、例えば商品名で「ジオタリー」と呼ばれる遅延剤はソイルセメントに対して流動性を保持し、硬化速度の遅延等の作用を奏するものである。そして、1〜7日程度の硬化遅延を目的とする場合には、同添加剤を砂質土で2〜3%、シルトで2〜6%の重量比で添加するものである。
【0011】土砂分離装置20のタンクT2内に溜まった添加剤を含む固化剤余剰液は、ポンプで配管P5を通して自動プラント30のミキサ31へ圧送され、一方、水槽T1からの水も必要に応じて、給水ポンプにより配管P6を通して自動プラント30のミキサ31へ、固化剤余剰液と同様に圧送される。そして、ミキサ31とアジテータ32とは配管により連通している。また、ミキサ31へはセメントサイロ34から配管P7を通じてセメントが必要時に供給される。
【0012】自動プラント30のミキサ31で、初期段階においてはセメント、ベントナイト、水及び添加剤が、また施工途中においては余剰液と必要に応じてセメント等が撹拌混練されたセメントミルクは、アジテータ32を経由して、グラウトポンプにより配管P8を通じオーガー40の掘削軸41へ送られ、その下端の掘削ヘッドから掘削地盤中に吐出することによって、通常の地盤改良やソイルセメントパイルの造成に供されるものである。
【0013】図2は、図1に示す自走式余剰液吸込み装置10に設けられた、余剰液撹拌吸込み機11の一例を示している。モータMにより駆動される回転軸に設けられた回転羽根12と、ケーシングに固設された固定羽根13との相互作用によって、図1に示すオーガ40の掘削撹拌により発生する余剰の固化剤、土砂の混合物が吸上げられる。この様にして吸上げられた混合土砂は送結配管P1を通して、同じく自走式余剰液吸込み装置10に設けられたスクイズポンプ15によって、図1に示す土砂分離装置20に送給される。なお、上記余剰液撹拌吸込み機11は、図1に示すように自走式台車のブーム14に吊り下げられて移動可能であり、スクイズポンプ15も同じ自走式台車上に設置されている。
【0014】図3は、上記自走式余剰液吸込み装置の台車に設置されたスクイズポンプ15の原理説明図である。スクイズポンプ15自体の構造は公知のものであって、ケーシング16内に配置されたホース17の吸込み口には、前記余剰液撹拌吸込み機11の送結配管P1が連結され、該ホース17の吐出口には、図1に示す土砂分離装置20への送給ポンプP2が連結されている。そして、モーターによって回転駆動される回転子18に設けられた一対のスライディングシュー19,19の回転に伴って、余剰液を含む土砂は確実に、土砂分離装置20におけるマッドスクリーン21まで送給される。
【0015】図4は、図1における土砂分離装置20の原理説明図であって、該土砂分離装置20は夫々それ自体公知の、マッドスクリーン21及びサイクロン25によって構成されている。そして、上記自走式余剰液吸込み装置10からの余剰液を含む混合土砂は、該マッドスクリーン21に供給される。マッドスクリーン21自体の構成は種々公知であるが、例えば2枚の、上段篩22及び下段篩23を有し、これらを振動モータ24により振動させることにより土砂粒子と流体とを迅速に分離する形成のものである。この様にして分離された余剰液である固化剤は、微細な粒子を含んだ泥水状態としてタンクT2に貯えられる。
【0016】続いて、上記タンクT2に貯えられた泥水状の固化剤余剰液は、ポンプによって配管P10を通してサイクロン25に送られ、更に純度の高い固化剤余剰液である微粒スラリーと粗粒スラリーとに分離され、再利用可能となった余剰液は図1に示すごとく、土砂分離装置20に設けられたタンクT3部分に貯蔵される。一方、該サイクロン25によって分離された粗粒スラリーは、再度マッドスクリーン21に供給され、上記と同様の操作によってその泥土部分を分離されてベッセル24に送られる。
【0017】図5は、上記サイクロン25の通常タイプの原理図であって、例えば図4における配管P10から供給された泥水状の固化剤余剰液は、供給口26に圧送されて漏斗状の円錐部本体上部に供給され、該本体内で発生する渦流によって、2次回転流に相当する微粒スラリーであるオーバーフローと1次回転流に相当する粗粒スラリーであるアンダーフローに分離される。このようにして分離されたオーバーフロー分である純度の高い固化剤余剰液は、上述のように上部排出口27から配管P9を通してタンクT3に送られる。そして、この様な工程によって分離された固化剤余剰液は、施工工程の初期に予め調整された固化剤液と実質的に変るところがないので、そのまま自動プラント30を通してオーガ40の掘削ヘッドに供給使用することができるものである。
【0018】
【発明の効果】本発明にあっては、連続する各掘削混合工程における初期の段階に発生する、余剰混合土中の固化剤液を全て回収再利用するので、産業廃棄物として処理すべき混合残土や固化剤液をほとんど発生させることがなく、極めて効率的かつ経済的なソイルセメントミキシング工法が実施できる。また、固化遅延剤を添加した固化剤を使用することによって、回収された余剰固化剤液に余分の水を添加することなしに配管やポンプの目詰まりを防止することができるので、余剰固化剤液の再調整をも不要とする等、効率的な固化剤余剰液リサイクル工法である。更に、固化剤に添加される固化遅延剤である添加剤の量を適宜設定することによって、回収された余剰固化剤液を翌日以降の施工工程に再利用できるので、固化剤の無駄がないばかりでなく、産業廃棄物の排出を極力防止することができる等の顕著な効果を奏するものである。
【出願人】 【識別番号】599174546
【氏名又は名称】川商ジェコス株式会社
【識別番号】000177416
【氏名又は名称】三和機材株式会社
【出願日】 平成12年8月9日(2000.8.9)
【代理人】 【識別番号】100105625
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 清暢
【公開番号】 特開2002−54133(P2002−54133A)
【公開日】 平成14年2月20日(2002.2.20)
【出願番号】 特願2000−240903(P2000−240903)