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【発明の名称】 吊構造物用索クランプ金具
【発明者】 【氏名】福田 康之
【課題】主索の角度に応じて索端金具が変位できる性能を有しながら、軽量、コンパクトで使用時の外観をスマートにすることができ、しかもクランプ作業を簡単、迅速、確実に行なうことができ、また、部品数も少なくコストダウンを図ることができる実用性の高い吊橋用索クランプ金具を提供する。

【解決手段】主索1に対する嵌合用溝40を有しこれの近傍上下にボルト挿通穴41,41、41’,41’を有する2つ割り部体4a,4aからなる金具本体4と、吊索端を定着した筒部60の頂に軸線と直角に伸びる軸部61,61を有するTバー状索端金具6との組合わせからなり、前記2つ割り部体4a,4aが、左右のボルト挿通穴41’,41’間の位置に、前記Tバー状索端金具6の軸部61を嵌める支持穴43,43と、幅が扇状に拡大して2つ割り部体下縁に達するガイド溝44,44とを有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】主索1に対する嵌合用溝40を有しこれの近傍上下にボルト挿通穴41,41、41’,41’を有する2つ割り部体4a,4aからなる金具本体4と、吊索端を定着した筒部60の頂に軸線と直角に伸びる軸部61,61を有するTバー状索端金具6との組合わせからなり、前記2つ割り部体4a,4aが、左右のボルト挿通穴41’,41’間の位置に、前記Tバー状索端金具6の軸部61を嵌める支持穴43,43と、幅が扇状に拡大して2つ割り部体下縁に達するガイド溝44,44とを有していることを特徴とする吊構造物用索クランプ金具。
【請求項2】Tバー状索端金具6の軸部61を嵌める支持穴43は嵌合用溝40の近傍に位置した断面が円形状の袋穴からなっている請求項1に記載の吊構造物用索クランプ金具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吊構造物用索クランプ金具、詳しくはケーブルを支持用部材として利用した吊構造物における吊索をケーブルに定着させるための金具に関する。
【0002】
【従来の技術】中空に装架された主索(ケーブル)に吊索(ハンガーロープ)を介して他物を吊持することで構成される吊構造物、たとえば吊橋においては、アンカレッジに両端を固定した主索を主塔に装架し、その主索の所定間隔ごとに吊索を滑動しないように定着し、それら吊索により橋体(補剛桁)の死荷重と補剛桁上に載荷される活荷重を主索に伝達するようにしている。
【0003】前記のような吊索を主索に定着させる手段として、クランプ金具が汎用されているが、従来のクランプ金具は、一般に、図11および図12のように、正面から見て変形矩形状をなした2枚のプレート100,100と、吊索2の端部を定着し頭部にリング部(アイ)102を設けた索端金具101の組み合わせからなっていた。
【0004】前記プレート100,100は、主索1に対応する嵌合溝103を有し、嵌合溝103の上下部位にはおのおの数個ずつのボルト挿通穴を有し、ボルト挿通穴よりも下辺域には延長プレート部100’,100’を有している。そして、延長プレート部100’,100’には、前記索端金具101のリング部102を容入する自由空間104を得るための拡開屈曲部を設けるとともに、それら拡開屈曲部に弧状長孔105,105を設けていた。
【0005】この先行技術におけるクランプ作業は、2枚のプレート100,100で主索1を左右から挟み、各ボルト挿通穴に通したボルト107をナット108で締付け、自由空間内に挿入した索端金具101のリング部102に弧状長孔105,105を貫通するピンボルト106を通し、ナット109を螺合するとともに、割ピン110で緩み止めすることで行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この先行技術は、主索1に対して吊索2を対応されるべく弧状長孔105,105で吊り角度を変化し得るようにしているが、索端金具101のリング部102が大きいため、弧状長孔105は、主索芯から130mm程度離隔した位置に設けられる。このため、全体的に大型で重いクランプ金具となり、この仕様は主索の太さが比較的小さいものでもほとんど変わらないので、小規模吊橋などではクランプ金具が不必要に大きくなり、索径とのバランスが不釣合となって景観を損ねることがあった。また、主索に多数定着されるクランプ金具の重量が重くなるため、吊橋の軽量化を阻害するという問題があった。
【0007】また、プレート100,100に対する索端金具101の連結要素として、ピンボルト106、ナット109、割りピン110などを使用するため、全体としての部品数が多くなり、これらを前記のように大きく重いプレートともども高所に装架されている主索位置まで携行し、多数のボルト締めや割ピンの拡開といった操作を行なわなければならない。このため定着に手間と時間がかり、これが多数の施工箇所で累積されるので、作業能率と作業性が低くなり、安全性の面でも不安があった。また、プレート100,100が大きいことや、ピンボルト、ナット、割ピンなど多数の部品を必要とすることから、コストが高いものとなる問題があった。
【0008】本発明は前記のような問題を解消するためになされたもので、その目的とするところは、主索の角度に応じて索端金具が変位できる性能を有しながら、軽量、コンパクトで使用時の外観をスマートにすることができ、しかもクランプ作業を簡単、迅速、確実に行なうことができ、また、部品数も少なくコストダウンを図ることができる実用性の高い吊橋用索クランプ金具を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明は、主索に対する嵌合用溝を有しこれの近傍上下にボルト挿通穴を有する2つ割り部体からなる金具本体と、吊索端を定着した筒部の頂に軸線と直角に伸びる軸部を有するTバー状索端金具との組合わせからなり、前記2つ割り部体が、左右のボルト挿通穴間の位置に、前記Tバー状索端金具の軸部を嵌める支持穴と、幅が扇状に拡大して2つ割り部体下縁に達するガイド溝とを有していることを特徴としている。
【0010】好適には、Tバー状索端金具の軸部を嵌める支持穴は嵌合用溝の近傍に位置した断面が円形状の袋穴からなっている。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。図1(a)(b)は本発明による吊橋用索クランプ金具の使用例を示しており、1は主索、2は本発明による索クランプ金具であり、金具本体4と吊索5からなり、主索1の所定の間隔ごとに取り付けられている。3は吊索5に連結された橋体である。なお、主索1は必ずしも1本である場合に限らず、複数本であってもよい。
【0012】図2ないし図7は本発明による索クランプ金具の一実施例を示している。まず、吊索5は所要径のロープからなり、上端にTバー状索端金具6が定着されている。Tバー状索端金具6は、吊索端部50を差し込んで定着する筒部60の頂部に、筒部軸線方向と直角方向に延びる比較的短い軸部61,61を一体に形成している。軸部61,61はヒンジとして機能し得るよう、軸線と直角の断面が円形状をなしている。なお、吊索端部50の筒部60に対する定着方法は任意であり、鍛造形式による半径方向からの圧縮が簡易であるが、これに限られない。
【0013】金具本体4は横長ブロック状をなした1組の2つ割り部体4a,4aからなっており、2つ割り部体4a,4aの内面には、図6のように、幅方向中央部に主索1を挟持するための嵌合用溝40が形成されており、2つ割り部体4a,4aを割面を対向させ、ボルト7とナット8で緊締されたときに、嵌合用溝40,40により主索1と緊密に接するようになっている。
【0014】前記嵌合用溝40を挟んで上下部分には、左右2つずつのボルト挿通穴41、41’が設けられており、これらボルト挿通穴41、41’に対応する外面部分には、ボルト頭部とナットを据える座付凹部42,42’が形成されており、該座付凹部42,42’を含む2つ割り部体4a,4aの側面は軽量化と取り扱いの容易性などのために平坦面45,45が形成されている。
【0015】さらに、下側ボルト挿通穴41’,41’の中間部、すなわち各2つ割り部体4a,4aの長手方向中央部位には、嵌合用溝40に近接した位置に、2つ割り部体厚さ方向に向かって延びる支持穴43がそれぞれ成形されている。前記支持穴43,43は前記Tバー状索端金具6の軸部61,61を回動可能に支持するためのもので、軸方向と直角の断面が円形状をなしている。
【0016】さらに、前記支持穴61の入口側すなわち2つ割り部体4aの内面には、2つ割り部体4aの下縁に開口するガイド溝44がそれぞれ形成されている。それらガイド溝44,44は、2つ割り部体4a,4aが合わされたときに、Tバー状索端金具6の筒部60を容入する穴を構成しうるだけの深さhを有し、しかも、ガイド溝44,44は、図4と図6のように、正面から見て、2つ割り部体4aの下縁に向かって扇状ないしはテーパー状に拡開する側壁440,440を有している。
【0017】図示するものは本発明の一例であり、種々の態様を採用することができる。金具本体4の2つ割り部体4a,4aは切削加工により作られてもよいが、鋳造で作られていてもよい。通常は鉄系材料で構成されるが、場合によってはFRPなどで作られていてもよい。2つ割り部体4a,4aの形状は任意であり、図8のように長手方向と直角の断面が割円状をなし、正面から見ては長円状ないし小判状をなし、全体としてラグビーボールのような外観を呈していてもよい。
【0018】また、支持穴61,61は好ましくは袋穴であるが、少なくとも一方が2つ割り部体4aの外面に開口していてもよく、こうすれば、メンテナンス時にグリースなどの防錆剤を容易に注入することができる。嵌合溝40,40は必要に応じて滑り止め用と主索の数種の太さに対応するために半割ブッシュを嵌合してもよい。吊索5はワイヤロープを基本とするが、高弾性高強力繊維製であってもよい。
【0019】
【実施例の作用】本発明による吊クランプ金具の使用法と作用を説明すると、必要部材として、図6に示す2つ割り部体4a,4aとTバー状索端金具6を定着した吊索5と4本のボルト7と同数のナット8を用意するだけでよい。たとえば、図11と図11の従来のものと主索径、吊索径が同じ条件で比較すると、金具本体4の大きさ(面積)を50%以下、必要な部品を含めた総重量を70%以下と大幅に低減させることができる。このように4種類、7部品で足りるため、高所に装架されている主索1への持ち運びが容易である。
【0020】主索1に吊索5を連結するに当たっては、図9(a)のように2つ割り部体4a,4aの上側のボルト挿通穴41,41にボルト7,7を挿通し、ナット8,8を軽く螺合して2つ割り部体4a,4aが分離しない程度に連結しておく。この状態で主索1のマーキングしておいた吊索取付け予定部位に金具本体4を跨がせる。
【0021】ついで、図9(a)のように、2つ割り部体4a,4aが拡開させた状態で、Tバー状索端金具6を2つ割り部体4a,4aのガイド溝44,44に挿入する。こうすれば、Tバー状索端金具6の上端の軸部61,61がガイド溝44,44の側壁440,440に沿って進入し、図9(b)のように左右の支持穴43,43に嵌まる。あとは、前記上側のボルト挿通穴41,41に仮止めしておいたボルトアッセンブリーを本締めし、下側のボルト挿通穴41’,41’にボルト7,7を挿通し、ナット8,8を螺合して本締めすればよく、これで作業は完了する。
【0022】本発明は金具本体4に対する吊索5の連結のために、ピンボルト、ナット、割ピンといった部品をまったく必要とせず、これにともない、索端金具のリング部を対プレート間に挿入し、弧状穴から索端金具のリング部穴にピンボルトを貫通させる操作、ピンボルトにナットを螺合する操作、ピンボルトの先端付近に割りピンを挿込み、先端部を拡開するといった煩雑な操作をまったく要しない。すなわち、単にTバー状索端金具6を2つ割り部体4a,4aの下から挿込み、軸部61,61を支持穴43,43に嵌めるだけで、直接金具本体4に支持される。したがって、作業を非常に簡単、迅速に行なうことができ、多数の金具本体4の連結を能率よく実施することができる。
【0023】以上のようにして完成した吊橋においては、図1(b)、図2及び図3のように金具本体4がコンパクトでしかもスレンダーな横長であり、ボルト、ナットなどが外表面に突出していない。しかも、吊索5の連結部分が金具本体4の表面に現われず、これを支持するピンやナットもまったくない。したがつて、非常にスマートで外観が美麗であり、観光地などにおける吊橋として景観が優れたものとすることができる。
【0024】使用状態においても、Tバー状索端金具6は主索1にごく接近した位置に支持されているため、不当な曲げモーメントが作用することがなく、軸部61,61と支持穴43,43との関係により確実に吊索5を吊持し、橋体3からの荷重を安定して主索1に伝達することができる。
【0025】また、Tバー状索端金具6の筒部60をはめているガイド溝62,62は幅が漸次扇状に拡大しているため、Tバー状索端金具6の軸部61,61が支持穴43,43に対して左右方向(索軸方向)は回動が可能である。したがって、ガイド溝62,62のテーパ角度を任意の角度(たとえば21°48’)とすることにより、図4のようにTバー状索端金具6の筒部60がガイド溝の側面440,440に当接する限度で吊索全体の傾転が可能であり、支持穴43,43はピボットとして機能する。このため、図10のように主索1の角度に応じて吊索5を自動的に垂直に保つことができ、また、橋体3に偏荷重が加わって吊索5と金具本体4が垂直の均衡を欠いた場合にも、常に吊索5を垂直に保つことができる。
【0026】
【発明の効果】以上説明した本発明の請求項1によるときには、主索1の角度に応じて索端金具が変位できる性能を有しながら、軽量、コンパクトにしてかつスマートで、しかも吊索5の金具本体4に対する連結作業を簡単、迅速、確実に行なうことができ、また、部品数も少なくコストダウンを図ることができるというすぐれた効果が得られる。
【0027】請求項2によれば、索端金具の金具本体4に対する連結部分が外部に現われず、連結のためのボルトナット類もまったくないため、体裁がよくスマートであるというすぐれた効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】501237501
【氏名又は名称】東綱橋梁株式会社
【出願日】 平成13年6月13日(2001.6.13)
【代理人】 【識別番号】100072408
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰弘
【公開番号】 特開2002−371515(P2002−371515A)
【公開日】 平成14年12月26日(2002.12.26)
【出願番号】 特願2001−178948(P2001−178948)