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【発明の名称】 セル状構造体及び舗装構造
【発明者】 【氏名】河野 正彦

【要約】 【課題】セル状構造体上に均一に覆土することを可能とし、陥没が起こった場合も、陥没箇所を速やかに発見することができ、セル状構造体が露出した場合でも、構造体自身で荷重に耐えることができるセル状構造体及びこのセル状構造体を使用した舗装構造を提供する。

【解決手段】鉛直方向の隔壁12により囲まれた複数のセル13を有するセル状構造体11において、前記隔壁12より上方に突出し、かつ、底部に路盤に接する受圧部15を有する複数の耐圧突起14を所定間隔で立設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鉛直方向の隔壁により囲まれた複数のセルを有するセル状構造体において、前記隔壁より上方に突出し、かつ、底部に路盤に接する受圧部を有する複数の耐圧突起を所定間隔で立設したことを特徴とするセル状構造体。
【請求項2】 請求項1記載のセル状構造体を使用した舗装構造であって、前記セル状構造体を路盤上に敷設し、該セル状構造体の前記空隙部内に粒状物を充填するとともに、該粒状物を前記耐圧突起より10〜50mm上方まで敷きならしたことを特徴とする舗装構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セル状構造体及び舗装構造に関し、詳しくは、土、砂利、砂、砕石等の粒状物を使用して駐車場やグラウンド等を舗装するに適したセル状構造体及びこのセル状構造体を使用した舗装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】重荷重を支える路盤安定材として、特開平2−229303号公報や同2−229304号公報に開示されているようなセル型プラスチックパネルが一般的に用いられている。このセル型プラスチックパネルは、多数の帯状体を積層して隣接する帯状体の面同士を交互に所定間隔で接合したものであって、帯状体幅方向を上下に向けて施工場所に設置し、帯状体幅方向と直交する方向に展張したときに、隣接する帯状体で囲まれたセル(空隙部)が多数形成される構造を有している。そして、このようにして形成した前記セル内に砂利等の粒状物を充填するようにしている。
【0003】このセル型プラスチックパネルようなセル状構造体は、地表からの地盤土壌を移動させようとする荷重を分散させたり、セル内に粒状物を拘束したりすることにより、地盤土壌の移動を抑制して安定化を図るようにしている。このため、軟弱な地盤上に、車両や重機等による仮設道路や舗装道路を形成する場合においても、前記路盤安定材を用いて路面の舗装を行うことにより、轍や陥没の起こりにくい堅固な路盤を造成できるとともに、路盤の厚みを低減できたり、低レベルの土砂や砂利等を充填しても高強度の路盤を形成できたりするという利点があり、施工費用の低減も図れる効果がある。また、この効果は、路盤上に覆土、舗装する場合にも有効である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のようなセル状構造体を使用して路盤上に覆土を行う場合、適当で一定の覆土であれば、轍や陥没を防止する効果を十分に得られるが、覆土厚さが深すぎたり、ばらつきがあったりすると、これらの効果が十分に得られなくなることがあった。また、このように覆土を用いる舗装面において、比較的長期にわたって使用する場合、例えば、臨時駐車場において、駐車場として使用する期間以外はグラウンドとして用いる場合、駐車場使用時においては、車両の通行に耐えるためにセル状構造体によって路盤を保持する必要があり、一方、グラウンドとして使用するときには、表面のフラット性が求められる。
【0005】ところが、セル状構造体で路盤を安定化した状態でも、長年使用しているうちに、覆土部分が削れたり、陥没したりすることにより、轍ができ、場合によってはセル状構造体自体が表面に露出することもある。このような状態になると、グラウンドとして利用することが難しくなる。
【0006】また、セル状構造体は、セル内に土砂等が充填されている状態では、構造体と土砂とが一体化することで十分な強度が得られるが、土砂が流出してしまった場合は、構造体自体に車両等の荷重に耐えるだけの強度がないので、構造体が破損してしまうことがある。したがって、このような状態になる前に早期に陥没箇所を発見し、速やかに補修する必要があるが、どの程度陥没が起こっているかは、外観では判断が難しい。
【0007】そこで本発明は、セル状構造体上に均一に覆土することを可能とし、陥没が起こった場合も、陥没箇所を速やかに発見することができ、セル状構造体が露出した場合でも、構造体自身で荷重に耐えることができるセル状構造体及びこのセル状構造体を使用した舗装構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明のセル状構造体は、鉛直方向の隔壁により囲まれた複数のセルを有するセル状構造体において、前記隔壁より上方に突出し、かつ、底部に路盤に接する受圧部を有する複数の耐圧突起を所定間隔で立設したことを特徴としている。
【0009】また、本発明の舗装構造は、上記構成のセル状構造体を使用した舗装構造であって、前記セル状構造体を路盤上に敷設し、該セル状構造体の前記空隙部内に粒状物を充填するとともに、該粒状物を前記耐圧突起より10〜50mm上方まで敷きならしたことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明のセル状構造体の一形態例を示す斜視図、図2及び図3は、本発明のセル状構造体を使用した舗装構造の一形態例を示すもので、図2はセル状構造体に粒状物を充填した舗装状態を示す縦断面図、図3は表層に凹部が発生した状態を示す縦断面図である。
【0011】まず、セル状構造体11は、帯状板の幅方向を鉛直方向に向けた複数枚の隔壁12と、該隔壁12により囲まれた複数のセル13と、前記隔壁12より上方に突出した複数の耐圧突起14とにより形成されている。隔壁12の厚さや高さ、セル13の大きさは、セル状構造体11の使用目的、舗装時に使用する粒状物に応じて任意に設定することができるが、通常は、隔壁12は、厚さが1〜3mm程度、高さが10〜100mm程度、セル13の大きさは、10〜100mm×10〜100mm程度が適当である。
【0012】耐圧突起14は、下部が拡がった円錐台形状を有するものであって、底部には、路盤に接する大径円盤状の受圧部15が設けられている。この耐圧突起14及び受圧部15は、大きくするほど耐荷重性が向上するが、舗装時の粒状物の充填性や雨水の排水性、路盤と覆土との関係等を考慮すると、受圧部15の底面積は、セル状構造体11の底面積の80%以下とすることが好ましい。
【0013】本形態例において、セル13は、4枚の隔壁12と、各隔壁12の交点に設けられた4個の耐圧突起14とによって囲まれた平面視略正方形状に形成されているが、セル13の形状は任意であり、隔壁12の交差角度や設置枚数に応じて、少なくとも3枚の隔壁12によって囲まれた平面視三角形状から、六角形、八角形等の多角形状に形成することもできる。
【0014】また、耐圧突起14上部の受圧面14aの面積や、耐圧突起14の設置間隔は、セル13内に充填する粒状物や舗装面の使用目的等に応じて適宜に設定することができる。また、耐圧突起14は、等間隔の規則的な配列とすることが望ましく、また、隔壁12や耐圧突起14の強度、セル13の形状保持性を考慮すると、隔壁12の各交点に鉛直方向に設けることが最適であるが、隔壁12の全ての交点に設ける必要はなく、交点以外の部分に設けることもでき、隔壁12の設置間隔や交差角度等に応じて適当な位置に、適当な形状で設けることができる。
【0015】なお、セル状構造体11は、車両等の荷重に耐えられるための耐圧縮性、引張り強さ、曲げ剛性等の機械的強度を有し、屋外での使用に耐えられる各種材料を使用して一体的に形成することができるが、特に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS、ポリ塩化ビニル、FRP等の機械的強度に優れ、かつ、軽量性、成形性、土中での安定性にも優れた合成樹脂により一体成形することが最適である。また、全体形状は、成形方法により任意に設定でき、例えば、一辺が数十cm程度のマット状に形成することができる。
【0016】このように形成したセル状構造体11を使用した舗装構造は、図2に示すように、該セル状構造体11を、不陸調整等の所定の路盤工事を行った路盤16の上に受圧部15を載置させた状態で敷設し、隔壁12間のセル13内に、土、砂利、砂、砕石等の粒状の充填物17を充填するとともに、該粒状物17を前記耐圧突起14より10〜50mm上方まで敷きならした状態とする。
【0017】このとき、セル状構造体11の上に一定厚さで覆土を行うために、耐圧突起14の受圧面14aを目安として粒状物17を一旦充填し、その後、受圧面14aを薄く覆い隠す程度に更に覆土を行うことにより、耐圧突起14を目安としてセル状構造体11上に均一に覆土することが可能となる。
【0018】このようにして充填、覆土した粒状物17は、隔壁12の上端に対して一定の厚さであり、この上に車輪18による荷重が作用した場合、荷重により生じる土壌を移動させようとする力が各セル13に均一にかかるため、一定した路盤の安定化効果を得ることができる。
【0019】また、路盤の安定化によって陥没等を防止できても、長期にわたり使用する場合、徐々に表層の覆土が移動したり、覆土の空隙部が圧縮されるなどして、表層に、図3に示すような凹部19が発生してしまうことがある。このとき、耐圧突起14上端の受圧面14aが隔壁12の上端より上部にあるため、凹部19では、最初に受圧面14aが表面に露出した状態となる。
【0020】このような凹部19に車輪18による荷重が作用した場合、この荷重を耐圧突起14及び受圧部15によって支えることができるので、荷重が隔壁12に直接作用することはなく、隔壁12が破損することがない。また、この状態においては、受圧面14aより下方に位置する粒状物17には圧縮や移動が起こりにくいため、凹部19が下方に拡大することを防止できる。
【0021】このように、耐圧突起14によって凹部19を最小限にとどめることが可能であるが、このような凹部19は、長期的に放置しておくことは好ましくないので、凹部19の発生を早期に発見して補修する必要がある。この場合でも、凹部19には、耐圧突起14上面の受圧面14aが表面に露出する状態になるので、目視によって容易に凹部19の存在を確認することができる。
【0022】
【実施例】駐車台数約200台規模の砕石敷き駐車場において、特に轍が発生し易い通路の交差部分を、セル状構造体を使用して砕石舗装を行った。セル状構造体は、ポリプロピレンを射出成形して一体成形したものであって、厚さ2mm、高さ30mmの隔壁を60mm間隔で碁盤目状に配置し、隔壁の各交点に高さ70mm、受圧面の直径が20mm、受圧部の直径が40mmの中空円錐台状の耐圧突起を設置した。セル状構造体の全体形状は一辺が500mmの正方形で、各辺には隣接する構造体同士を連結するための連結部を設けている。なお、このポリプロピレン製セル状構造体(500mm角)の圧縮強度は、400kN/枚を超えており、25トン車が乗った場合でも十分に耐えうる強度を有している。
【0023】このセル状構造体を、十分に転圧した平坦な砕石路盤上に、縦横に連結した状態で所定枚数を敷設し、セル内にC−30砕石を充填するとともに、耐圧突起より約30mm上方まで敷きならして表面を平坦に転圧した。
【0024】施工1ヶ月後に、轍の発生状態を調査した結果、セル状構造体を使用して施工した部分はほとんど平坦のままであり、若干の轍が見られたが、轍深さは最大で10mm程度であった。これに対し、セル状構造体を使用しなかった部分では、轍が多数確認され、轍深さは平均30mm程度で、最大50mmを超える轍もあった。
【0025】また、セル状構造体が露出したときを想定し、耐圧突起の受圧面が露出するように砕石を充填した状態とした。1ヶ月後に、この部分の状態を確認したが、セル状構造体に破損は認められず、耐圧突起より下方に轍が拡大することはなかった。
【0026】したがって、セル状構造体を使用して砕石による舗装を行ったことにより、車両の通行による地表面の陥没や轍の発生を軽減でき、たとえセル状構造体が露出した場合でも、耐圧突起により車両を支えることによってセル状構造体自体の破損を防止するとともに、陥没や轍が下方に拡大することを防止できる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のセル状構造体は、セルを形成する隔壁より上方に耐圧突起を突出させたので、耐圧突起を目安としてセル状構造体上に均一に覆土することが可能となる。また、このセル状構造体を使用して粒状物による舗装を行うと、粒状物の移動を抑制して陥没や轍の発生を軽減でき、陥没等が発生した場合でも、速やかに陥没発生箇所を発見することができる。さらに、セル状構造体が露出した場合でも、耐圧突起が荷重を支えるので、セル状構造体の破損を防止できるとともに、陥没等がそれ以上進行することを防止できる。
【出願人】 【識別番号】000006172
【氏名又は名称】三菱樹脂株式会社
【出願日】 平成12年8月10日(2000.8.10)
【代理人】 【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
【公開番号】 特開2002−54103(P2002−54103A)
【公開日】 平成14年2月20日(2002.2.20)
【出願番号】 特願2000−242728(P2000−242728)