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【発明の名称】 ドラム式洗濯機
【発明者】 【氏名】村上 一重

【氏名】角田 正彦

【氏名】近俊 勲

【要約】 【課題】布団を型崩れなく且つむらなく洗濯する。

【解決手段】ドラム5の後面板53に通水孔を設け、該通水孔の一部を覆うように水保持部材18を取り付けて、軸側に入水開口を有するポケットを形成する。ドラム5内に布団を収容し、該布団に作用する遠心力が重力に勝るような回転速度でドラム5を回転させた状態で、外槽2内に洗剤水を供給する。洗剤水はドラム5の胴部51と外槽2の胴部との間隙に満ち、前方及び後方へと進み、前方にあっては衣類投入口から、後方にあってはポケットに入って通水孔からドラム5内に噴出する。そして、ドラム5の胴部51内面に張り付いた布団の内周面に降り掛かり、遠心力によって布団を通過し、通水孔511から外槽2側へと出て循環する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 a)洗濯液を貯留するための外槽と、b)該外槽の内部に水平軸又は傾斜軸を中心に回転自在に配設され、前端面に衣類投入開口を有するとともに側周面及び後端面に多数の通液孔が穿孔されて成るドラムと、c)該ドラムの後端面にあって、軸側に向けて入口開口を有し前記通液孔の少なくとも一部を覆うように設けられたポケット状の液体保持部と、d)前記ドラムを回転駆動するモータと、e)前記外槽内に洗濯液が貯留した状態で、前記ドラム内に収容された洗濯物が該ドラム側周面内壁に張り付いて回転するような回転速度でもって該ドラムを回転させるべく前記モータを制御することによって、該洗濯物の洗い及び/又はすすぎを行う運転制御手段と、を備えることを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】 前記液体保持部は軸の周囲に複数設けられることを特徴とする請求項1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項3】 前記液体保持部は外周側に向けて排水開口を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のドラム式洗濯機。
【請求項4】 a)洗濯液を貯留するための外槽と、b)該外槽に所定液位の洗濯液を供給する給液手段と、c)該外槽の内部に水平軸又は傾斜軸を中心に回転自在に配設され、前端面に衣類投入開口を有するとともに周囲に多数の通液孔が穿孔されて成るドラムと、d)該ドラムを回転駆動するモータと、e)前記外槽内に洗濯液が貯留した状態で、前記ドラム内に収容された洗濯物が該ドラム側周面内壁に張り付いて回転するような回転速度でもって該ドラムを回転させるべく前記モータを制御することによって、該洗濯物の洗い及び/又はすすぎを行う運転制御手段と、を備え、第1の運転モードでは、前記回転速度を第1の回転速度に、前記所定液位を第1の所定液位に設定し、第2の運転モードでは、前記回転速度を第1の回転速度よりも高い第2の回転速度に、前記所定液位を第1の所定液位よりも低い第2の所定液位に設定することを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項5】 前記第1の運転モードは相対的に厚い布団類を洗濯するのに適した運転モード、前記第2の運転モードは相対的に薄い布団類を洗濯するのに適した運転モードであることを特徴とする請求項4に記載のドラム式洗濯機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はドラム式洗濯機に関し、特に布団類の洗濯に好適なドラム式洗濯機に関する。
【0002】
【従来の技術】クリーニング店舗や大規模なコインランドリー店舗などに設置される大形のドラム式洗濯機を利用すれば、布団等を丸洗いすることが可能である。しかしながら、大きな布団皮(外側の袋状の布)の中に布団綿が充填されている和布団や敷布団をそのままドラム内に収容して洗濯を行うと、布団皮の中で布団綿が移動し、いわゆる玉の状態になってしまう。これに対し、本出願人は特願平10−221180号(特開2000−51563号公報参照)において上記問題を解決し得る新規のドラム式洗濯機を提案している。
【0003】このドラム式洗濯機では、布団はドラムの内周壁面に広げて収容され、洗濯の開始と共にドラム内の布団が遠心力によってドラム内周壁面に張り付いて回転するような回転速度まで加速する。その後、所定水位まで給水を行って外槽内に所定量の洗濯液を貯留させ、布団がドラム内周壁面に張り付いたままドラム底部に貯留された洗剤水中を通過するようにして洗いを行う。これにより、布団がドラム内部で転がらず、布団皮内で布団綿が移動しないので型崩れを生じることがない。また、それ以前に布団を洗濯するために行われていた、布団をロール状に巻き込んだ形状に整える作業が不要になるので、布団洗濯の手間が大幅に軽減できるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したようなドラム式洗濯機において、洗い運転時のドラムの回転速度が比較的高い場合には、外槽内に貯留された水にも強い遠心力が作用し、水は外槽底部に溜まるのではなく、外槽内周面とドラム外周面との間隙に溜まり、外槽前縁端とドラム前縁端との間隙からドラムの前面開口を経てドラム内に入り、布団を内側から外側に通過したあとに通水孔からドラム外方へと抜ける。このため、ドラム内に配置された布団のうち、ドラム前方側に位置する部分には洗濯液が掛かり易いのに対し、ドラム後方側に位置する部分には洗濯液が掛かりにくく洗いむらが生じるおそれがある。
【0005】また、一概に布団と言っても、敷布団や冬物の掛布団と夏物の掛布団や毛布などでは厚さや重量にかなり差があり、比較的重量が軽い布団は外槽内に貯留される洗濯液の液位が上昇して来ると、浮力によってドラム側周面内壁から剥がれ易い。そのため、ドラム内で布団が不所望に移動して、型崩れを生じるおそれがあった。
【0006】本発明はこのような点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、布団類を型崩れなく、且つむらなく洗濯することができるドラム式洗濯機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段、及び効果】上記課題を解決するために成された第1の発明に係るドラム式洗濯機は、a)洗濯液を貯留するための外槽と、b)該外槽の内部に水平軸又は傾斜軸を中心に回転自在に配設され、前端面に衣類投入開口を有するとともに側周面及び後端面に多数の通液孔が穿孔されて成るドラムと、c)該ドラムの後端面にあって、軸側に向けて入口開口を有し前記通液孔の少なくとも一部を覆うように設けられたポケット状の液体保持部と、d)前記ドラムを回転駆動するモータと、e)前記外槽内に洗濯液が貯留した状態で、前記ドラム内に収容された洗濯物が該ドラム側周面内壁に張り付いて回転するような回転速度でもって該ドラムを回転させるべく前記モータを制御することによって、該洗濯物の洗い及び/又はすすぎを行う運転制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】ここで、このドラム式洗濯機が水を用いて洗濯物を行うものである場合には、上記洗濯液は洗浄水(洗剤が溶解した水)又は通常の水であり、溶剤(石油系溶剤など)を用いて洗濯物を行うものである場合には上記洗濯液はソープが溶解した又は溶解していない溶剤である。
【0009】このドラム式洗濯機では、洗いやすすぎ時に洗濯物は遠心力によってドラム側周面内壁に張り付いて回転し、外槽に貯留された洗濯液にも同様に遠心力が作用する。そのため、洗濯液は外槽の内周面に押し付けられ、ドラムの前方へ逃げた洗濯液は外槽の前縁端とドラムの前縁端の間隙を経てドラム前面の衣類投入開口からドラム内部へと噴き出す。一方、ドラムの後方へと逃げた洗濯液はドラム後端面と外槽後面との間隙において液体保持部内に入り、その内部で遠心力が作用することにより通液孔を通してドラム内部に押し出される。つまり、液体保持部により半強制的にドラム端後面からドラム内部へと噴出する。ドラムの前後端面からその内部へと噴出した洗濯液はドラム側周面内壁に張り付いている洗濯物の内周面に降り掛かり、遠心力によって洗濯液が洗濯物の繊維や綿などの内部を通過し外周側へ出てドラム側周面の通液孔を通って外槽側へと流出する。このように洗濯液が洗濯物を通過する際に、該洗濯物に付着している汚れが剥離して洗濯液中に溶け出す。
【0010】したがって、第1の発明に係るドラム式洗濯機によれば、洗濯物の内周側に満遍なく水が降り掛かるので洗いむらやすすぎむらが生じにくく、高い洗浄性能、すすぎ性能を発揮することができる。また、洗濯物自体は攪拌されたり互いに擦れ合ったりしないので、型崩れや布傷みの発生が軽減される。例えば布団を洗濯する場合でも、布団綿が布団皮の内部で片寄らないので、布団綿が玉の状態になることを防止でき、従来のように布団を巻き込んで紐で縛る等の事前準備も不要になる。更に、従来のドラム式洗濯機ではドラム後端面側からの洗濯液の循環がないため、ドラム後端面と外槽の後端面との間隙に溜まった洗濯液は殆ど入れ替わらず、洗濯に殆ど寄与していなかった。これに対し、第1の発明に係るドラム式洗濯機では、洗濯液全体がスムーズに循環しつつ洗濯物を通過するので、洗濯液が有効に使用され、これによっても高い洗浄性能が達成できる。また、洗濯液全体を有効に使用できることによって洗濯液の洗剤濃度を不所望に高くする必要がなくなり、洗剤の使用量も抑制することができ、運転コストも軽減できるとともに環境の汚染も軽減できる。また、水の使用量も抑制することができ、この点でも運転コストの軽減が図れる。
【0011】なお、液体保持部を軸の周囲に複数設けるようにすることにより、ほぼ連続的に後面側からドラム内に洗濯液が噴出するので一層その効果を高めることができる。
【0012】また、液体保持部に外周側に向けて排水開口を設けておくことにより、液体保持部に残った洗濯液を洗いやすすぎの後の脱水時に効率よく排出することができるとともに、糸屑等のゴミが液体保持部の底部に溜まることを防止することができる。
【0013】上記課題を解決するために成された第2の発明に係るドラム式洗濯機は、a)洗濯液を貯留するための外槽と、b)該外槽に所定液位の洗濯液を供給する給液手段と、c)該外槽の内部に水平軸又は傾斜軸を中心に回転自在に配設され、前端面に衣類投入開口を有するとともに周囲に多数の通液孔が穿孔されて成るドラムと、d)該ドラムを回転駆動するモータと、e)前記外槽内に洗濯液が貯留した状態で、前記ドラム内に収容された洗濯物が該ドラム側周面内壁に張り付いて回転するような回転速度でもって該ドラムを回転させるべく前記モータを制御することによって、該洗濯物の洗い及び/又はすすぎを行う運転制御手段と、を備え、第1の運転モードでは、前記回転速度を第1の回転速度に、前記所定液位を第1の所定液位に設定し、第2の運転モードでは、前記回転速度を第1の回転速度よりも高い第2の回転速度に、前記所定液位を第1の所定液位よりも低い第2の所定液位に設定することを特徴としている。
【0014】ここで、第1の運転モードは相対的に厚い布団類を洗濯するのに適した運転モード、前記第2の運転モードは相対的に薄い布団類を洗濯するのに適した運転モードとすることができる。
【0015】すなわち、相対的に薄い布団類を洗濯する場合、第2の運転モードが選定されると、ドラムの回転速度は相対的に高くなる一方、ドラム内の貯留液位は低くなる。これにより、布団に作用する遠心力は大きくなってドラム側周面内壁に強く張り付く。また、洗濯液が少なくなることによって浮力が作用しにくく、これによって布団が不所望に移動してしまうことを回避できる。なお、この場合には布団に吸収される洗濯液の液量は相対的に少なく、しかも布団を通過するに要する時間が短いので、多くの洗濯液が効率よく循環する。そのため、洗濯液の液量が少なくとも十分な洗浄性能を発揮することができるとともに、洗剤や液(水又は溶剤)の使用量が少なくてすみ経済的である。
【0016】他方、相対的に厚い布団類を洗濯する場合、第1の運転モードが選定されると、ドラムの回転速度は相対的に低くなる一方、ドラム内の貯留液位は高くなる。しかしながら、布団自体の重量が重いので該布団に作用する遠心力は小さくならずドラム側周面内壁に強く張り付く。これによって布団が不所望に移動してしまうことを回避できる。また、布団に吸収される洗濯液の液量が相対的に多く、しかも布団を通過するに要する時間が長いが、貯留液量が多いので十分に洗濯液が循環し、高い洗浄性能を維持することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態であるドラム式洗濯機について図面を参照して説明する。図1は本実施形態によるドラム式洗濯機の内部の概略構造を示す側面断面図、図2はこのドラム式洗濯機のドラムの背面図、図3は図1中のA部の拡大詳細図である。
【0018】まず、この洗濯機の内部構造を図1により説明する。外箱1の内部には、後部端面(図1では右側)が閉塞した略円筒形状の外槽2がバネ3及びダンパ4により揺動自在に懸垂支持され、その外槽2の内部には、洗濯物を収容するためのドラム5が主軸6により軸支されている。主軸6は外槽2の後面に装着された軸受7によって回転自在に支承され、主軸6の先端には主プーリ8が取り付けられている。外槽2の下方にはモータ9が設置され、このモータ9の回転駆動力はモータプーリ10及びVベルト11を介して主プーリ8に伝達され、これによりドラム5を回転させるようになっている。外箱1の前面にはドア12が開閉自在に取り付けられており、ドア12が閉じられると外槽2の前面開口が閉塞される。
【0019】外槽2の後面には給水バルブ14により開閉される給水管13が接続されており、一方、外槽2の底部には排水バルブ16により開閉される排水管15が接続されている。排水バルブ16が閉鎖された状態で給水バルブ14が開放されると、給水管13を通して供給された水が外槽2内に貯留される。ドラム5は多数の通水孔511を側周面に有しており、外槽2内に貯留した水はこの通水孔511を通してドラム5内へと流入する。また、洗いやすすぎが終了した後には、排水バルブ16を開放して外槽2内の水を排水管15を通して外部へと排出する。
【0020】ドラム5は、円筒形状の胴部51と、胴部51の前端面に取り付けられる衣類投入口を有する前面板52と、胴部51の後端面に取り付けられる後面板53とから成る。図2に示すように、ドラム5の後面板53には主軸6を固定するため、その周囲に放射状に延伸する三本のアームを有する主軸固定部17が取り付けられている。特徴的な構成として、このドラム式洗濯機では、ドラム5の後面板53にもその外周側に多数の通水孔531が穿孔されている。また、主軸固定部17の三本のアームの間に架け渡すように、それぞれ水保持部材18が取り付けられている。水保持部材18は、図3に示すようにその断面がL字状に折り曲げられた金属板であって、そのL字状部が外周側になり、且つ、ドラム5の後面板53と所定の間隙を保つように取り付けられている。これにより、水保持部材18とドラム5の後面板53との間に、内周側に大きく開口した入水開口181を有するとともに外周側に小さく開口した排水開口182を有するポケットが形成される。なお、ここでは、水保持部材18の内周側縁辺はドラム5の胴部51と略同軸円の円弧形状に加工されており、外周側は折り曲げ加工を容易にするため直線状としているが、このような形状に限定されるものではない。
【0021】図4はこのドラム式洗濯機の電気系概略構成図である。制御部20はCPU、タイマ、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータを中心に構成されており、操作部21、表示部22、水位センサ23、モータ駆動部24、バルブ駆動部25等が接続されている。操作部21はユーザにより操作される各種スイッチ類を含み、洗濯に関する各種設定を行うためのものである。表示部22は数値表示器などを含み、設定状況や洗濯の進行状況などを表示するためのものである。水位センサ23は、外槽2の底部付近に一端が接続された圧力ホースの他端に圧力センサが接続された構成を有しており、外槽2内に水が貯留されたときの圧力ホース内の空気圧を検出することによって外槽2内の水位を検出している。制御部20においては、CPUがROMに予め格納されている運転プログラムを実行する過程で、操作部21より入力操作信号を、水位センサ23より水位検知信号を受け取り、所定の演算処理を行うことによってモータ駆動部24及びバルブ駆動部25を制御する。
【0022】このドラム式洗濯機では、従来の洗濯機で行われている洗濯物の叩き洗いを行う通常洗濯モードと、布団類の洗濯に好適な洗濯動作を行う布団洗濯モードとを選択可能な操作キーが操作部21に設けられている。更には、布団洗濯モードを選んだ場合に、敷布団や冬物の掛布団のように厚い寝具(以下、単に「厚物」という)の洗濯に好適な厚物洗濯モードと、夏物の掛布団や毛布などのように薄い寝具(以下、単に「薄物」という)の洗濯に好適な薄物洗濯モードとのいずれかを選択可能な操作キーも操作部21に設けられている。
【0023】図5はこのドラム式洗濯機における洗い行程の処理手順を示すフローチャート、図6はドラム内に収容された布団の状態を示す模式図である。本実施形態の洗濯機における洗いの手順を図5に沿って説明する。
【0024】二枚の布団を洗濯する場合、ユーザは図6(a)に示すように、一枚の布団30aをドラム5底部の壁面に沿って広げて収容し、他の一枚の布団30bをドラム5内の上部空間に最小限に折り曲げた状態で収容する。ユーザが操作部21により布団洗濯モードを選定し、更に厚物洗濯モード又は薄物洗濯モードのいずれかを選定して洗濯開始の指示を行うと、制御部20はこの指示を受けて所定の運転制御プログラムに従って動作を開始する。まず、バルブ駆動部25を介して給水バルブ14を開放し、給水管13を通して外槽2内に給水を開始する(ステップS1)。この給水の際には、洗剤投入箱の中を水を通過させることにより、予め洗剤投入箱内に収納されている洗剤が水に溶け出して外槽2に水が入る時点で洗剤水となっているようにする。
【0025】その後、モータ駆動部24を介してモータ9を起動し、ドラム5内の洗濯物に作用する遠心力が重力に勝るような回転速度までドラム5の回転速度を急速に立ち上げる。具体的には、このときの回転速度(これを以下「洗濯回転速度」と称す)は厚物洗濯モードでは80rpm、薄物洗濯モードでは90rpmとする(ステップS2)。このようにしてドラム5が停止した状態から上記回転速度まで加速されると、ドラム5内の布団は遠心力によって迅速にドラム5の胴部51内面に張り付き、ドラム5と一体となって回転する。ここで、薄物洗濯モードで回転速度をより高くしているのは、薄物のほうが厚物よりも胴部51内面への張り付きが弱く、特に水位が上昇した際に浮き易くなるからである。
【0026】制御部20は水位センサ23による検知水位が所定水位に到達したか否かを繰り返し判定し(ステップS3)、所定水位に達したならば給水バルブ14を閉鎖し給水を停止する(ステップS4)。このときの水位は水深度(外槽2の底辺から中心までの高さを10等分し、中心を10、底辺を0として表した数値)で7〜9程度とし、通常洗濯モードにおける洗い運転時の洗濯水位(水深度5程度)よりも高く設定している。更には、後述の理由により、厚物洗濯モードと薄物洗濯モードとでは所定水位を変更して適切な洗いを実行できるようにしている。
【0027】ドラム5が洗濯回転速度で回転していると、図6(b)に示すように、二枚の布団30a、30bはドラム5の胴部51内面に張り付くが、外槽2内に貯留された水も遠心力によってドラム5から通水孔511を通して外槽2側へと押し出され、ドラム5のほぼ全周に亘ってドラム5の胴部51外面と外槽2の胴部201内面との間の間隙に満ちる。しかし、その間隙は狭く、遠心力によって更にドラム5の内側から外側へ向けて水が流出して来るから、水はドラム5の胴部51と外槽2の胴部201との間隙から前方及び後方に回り込み、前方にあっては、ドラム5の前面板52の衣類投入口周囲の縁端部とドア12内側との間隙を通って衣類投入口からドラム5の内部へと噴き出す(図1参照)。
【0028】一方、ドラム5の後方にあっては、水はドラム5の後面板53と外槽2の後面板202との間隙を経て、入口開口181からドラム5の後面板53と水保持部材18とで形成されるポケット内に入り(図3中の矢印L1、L2参照)、そのあと遠心力によって該ポケットの底部側に押し付けられる。この底部には排水開口182があるが、入水開口181から入って来る水の量に比べて排水開口182から流出可能な水の量は格段に少ないので、ポケット内の水には遠心力によって強い圧力が加わる。これによって、ドラム5の後面板53に設けられた通水孔531を通してドラム5内部へと水が噴出する(図1、及び図3中の矢印L3参照)。
【0029】ドラム5内部にあっては、二枚の布団30a、30bはドラム5の胴部51内面に張り付いたままその回転に伴って回り、しかも水を含むことにより体積が小さくなるため、回転軸側には大きな空間が形成される。前方及び後方からドラム5の内部へと噴出する水はちょうどこの空間に飛び込み、布団の内周面に降り掛かる。そのあと、遠心力によって水は外周方向へ移動しようとするから、布団の内部、つまり布団皮や布団綿の中を通過してドラム5の胴部51内面側へ出て、通水孔511を経て外槽2側へと飛散する。洗剤水が布団の内部を通過する際にその圧力によって布団皮と布団綿に付着していた汚れや微細ゴミは運び去られる。ドラム5の前方及び後方の両側から水が噴出することにより布団にむらなく水が降り掛かるため、高い洗い性能を得ることができる。また、水はドラム5の胴部51外面側から前方へ向かう経路と後方へ向かう経路とをそれぞれ通って循環するため、外槽2内に供給された水の全てが円滑に循環し、布団の洗浄のために利用される。したがって、従来のドラム式洗濯機で生じる洗剤水の滞留がなくなるので、洗剤の使用量を減らしても高い洗い性能を達成することができる。
【0030】このように洗濯回転速度を維持したまま洗い運転を実行し、所定の洗い時間が経過したならば(ステップS6で「Y」)、ドラム5の回転を継続したまま排水バルブ16を開放する(ステップS7)。これにより、外槽2内の洗剤水は外部に排出され洗い運転は終了する。そのあとは、排水バルブ16を開放してから適宜の時間が経過したならば、ドラム5の回転速度を上昇させて、中間脱水を実行し、布団30a、30bに滲み込んでいる洗剤水を飛散させ、上記ステップS1〜S7の処理と同様にして第1すすぎを行い、これを3回繰り返した後に、最高脱水回転速度までドラム5の回転速度を上昇させて最終脱水を行う。而して、洗い運転の開始から最終脱水の終了までドラム5は常時同一方向に回転し続け、しかもその回転速度は洗濯物に作用する遠心力が重力に勝る回転速度の範囲に維持される。したがって、当初、遠心力によってドラム5の胴部51内面に張り付いた布団30a、30bは最後までその内壁から離脱することがなく、布団綿の片寄りが生じない。なお、ドラム5の後面板53と水保持部材18とで形成されるポケット内に残った水は排水開口182を通して完全に排出され(図3中の矢印L4参照)、その際に水に混入している糸屑等のゴミも流れ出るため、ポケットの底部に溜まることがない。
【0031】ここで、薄物洗濯モードと厚物洗濯モードとで所定水位を変更する理由を図7を参照して説明する。本実施形態のドラム式洗濯機において布団洗濯モードでは、ドラム5内の洗濯物に作用する遠心力が重力に勝るような回転速度で回転しているときに、外槽2内の水位が所定水位に達したか否かを判定している。水位センサ23は圧力によって水位を検知しており、図7(a)に示すように同一の貯水量であったとしてもドラム5の回転速度が高いほど圧力が高くなるため、80rpmである場合より90rpmである場合のほうが高い水位であると認識される(つまり、水位センサ23は高い水位を示す水位検知信号を出力する)。水位の判定はこの水位検知信号を所定の基準データと比較することによって行われるから、該基準データはこのような回転速度の相違を考慮して調整されている。
【0032】他方、厚物を洗濯する場合には布団に吸水される水量が多く、実際に外槽2内で循環して洗いに寄与し得る水の量が少なくなる傾向にある。一方、薄物を洗濯する場合には布団に吸水される水量は少なく、水量が多くて水位が上昇し過ぎると、浮力が遠心力に打ち勝って布団がドラム5にしっかり張り付かず移動してしまうという問題点がある。そこで、厚物を洗濯する場合には薄物を洗濯する場合によりも外槽2内に貯留する水量を増やすことが望ましい。すなわち、図7(b)に示すように水量は決定されるが、更には、上述したような回転速度の相違による水位検知のずれをも考慮する必要があるから、このようなことを考慮して水位検知の判定基準データを定めておく。
【0033】このようにして定めた判定基準データを利用して所定水位に達したか否かを判定しているので、厚物洗濯モードでは薄物洗濯モードよりも図7(b)に示すように多くの水が外槽2内に貯留された状態で洗いを行うことができる。そのため、厚物洗濯モードにおいては、十分な量の洗剤水で洗濯を行うことによって高い洗い性能を得ることができる。一方、薄物洗濯モードでは、布団がドラム5の胴部51内面から剥がれにくく、移動による片寄りを回避できる。また、高い洗い性能を維持したまま水や洗剤を節約することが可能である。
【0034】なお、上記実施形態は単に一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変形や修正を行なえることは明らかである。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成13年2月7日(2001.2.7)
【代理人】 【識別番号】100095670
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良平
【公開番号】 特開2002−224487(P2002−224487A)
【公開日】 平成14年8月13日(2002.8.13)
【出願番号】 特願2001−30562(P2001−30562)