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【発明の名称】 カシミアヘアーフェルト及びその製造方法
【発明者】 【氏名】間仁田 剛

【要約】 【課題】軽量で、断熱性及び防音性に優れ、かつ耐脱毛性に優れたカシミアヘアーフェルトの提供。

【解決手段】図1において、カシミア残渣1から採取されたカシミアヘアーを熱湯で処理して毛根を覆っている部分を除去した後、このカシミアヘアー、ポリエステル繊維及びホットメルト繊維を混合し、該調合物2を、整毛工程3を経て、成型4し、ついでニードルパンチ装置5で植毛した後、熱プレス6し、仕上げ工程7を経るカシミアヘアーフェルトの製造方法である。このカシミアヘアーフェルトは、カシミアヘアー40%〜60%、ポリエステル繊維60%〜40%に対してホットメルト繊維10%〜30%からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】カシミア残渣から採取されたカシミアヘアー、ポリエステル繊維及びホットメルト繊維からなることを特徴とするカシミアヘアーフェルト。
【請求項2】カシミアヘアー40%〜60%、ポリエステル繊維60%〜40%に対してホットメルト繊維10%〜30%であることを特徴とする請求項1に記載のカシミアヘアーフェルト。
【請求項3】カシミア残渣から採取されたカシミアヘアーを熱湯で処理して毛根を覆っている部分を除去した後、このカシミアヘアー、ポリエステル繊維及びホットメルト繊維を混合し、整毛工程を経て、成型し、ついでニードルパンチ装置で植毛した後、熱プレスし、仕上げ工程を経ることを特徴とするカシミアヘアーフェルトの製造方法。
【請求項4】毛根を覆っている部分を除去したカシミアヘアーとポリエステル繊維の割合が、それぞれ順に40%〜60%、60%〜40%であり、これに対してホットメルト繊維10%〜30%を添加することを特徴とする請求項3に記載のカシミアヘアーフェルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カシミアヘアーフェルト及びその製造方法に関し、更に詳しくは軽量で、断熱性及び防音性に優れており、更には耐脱毛性であるカシミアヘアーフェルト及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カシミアは、インドのカシミール地方に産するカシミヤヤギの毛を加工したもので、現在では、中国やモンゴル共和国等でも生産され、主として、セーター、オーバー等の衣服や布団の綿に用いられている。このような用途に使用するカシミアは、採取したカシミア原料から比較的硬いカシミアヘアーを除去して紡績したもので、カシミアの毛は、細く、軽く、軟らかく、光沢があり、したがって、カシミア製の毛織物は高級品として持て囃されている。
【0003】従来、通常のフェルトの製造方法は、図2から明らかなように、羊、牛、兎等の毛を原料1とし、整毛工程3を経てベルト上で毛を均一に揃えた後、成型工程4により一定の形状、即ち大きさ、厚みに成型する。ついで圧縮12し、縮絨工程14で蒸気により処理して柔らかくした後、染色15・脱水16・乾燥工程17を経て、プレス6し、仕上げ工程7を経てフェルト製品18となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の如く高級品としてのイメージを保持するために、カシミア原料から採取する製品原料は少なく、残りの大部分は使用価値がなく廃棄物として破棄され、その一部が有機肥料として使用されているにすぎなかった。そこで、本発明者は、廃棄物として処理されるカシミア残渣の有効利用を考える中で、この中に含まれるカシミアヘアーは剛直ではあるが、軽く、断熱性と防音性を有している点に注目し、試行錯誤で用途開発を行った。しかし、従来のフェルトの製造方法では、このカシミアヘアーの剛直性の故にフェルトは製造することができなかった。
【0005】更に、本発明者は、この点について種々検討したところ、フェルトの製造工程の中において、カシミアヘアーを植毛することを考え、この植毛をニードルパンチによる方法を採用すると共に、特定の融着剤を用いて処理することにより軽量で、断熱性に富み、かつ防音性にも優れていることがわかり、したがって、従来のフェルトに比べ良好に各種用途に使用し得ることを見出し、ここに本発明をなすに至った。したがって、本発明が解決しようとする第1の課題は、軽量で、断熱性及び防音性に優れたカシミアヘアーフェルトを提供することにある。また本発明が解決しようとする第2の課題は、軽量で、断熱性及び防音性に優れ、かつ耐脱毛性に優れたカシミアヘアーフェルトの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、以下の各発明によってそれぞれ達成される。
【0007】(1)カシミア残渣から採取されたカシミアヘアー、ポリエステル繊維及びホットメルト繊維からなることを特徴とするカシミアヘアーフェルト。
(2)カシミアヘアー40%〜60%、ポリエステル繊維60%〜40%に対してホットメルト繊維10%〜30%であることを特徴とする前記第1項に記載のカシミアヘアーフェルト。
(3)カシミア残渣から採取されたカシミアヘアーを熱湯で処理して毛根を覆っている部分を除去した後、このカシミアヘアー、ポリエステル繊維及びホットメルト繊維を混合し、整毛工程を経て、成型し、ついでニードルパンチ装置で植毛した後、熱プレスし、仕上げ工程を経ることを特徴とするカシミアヘアーフェルトの製造方法。
(4)毛根を覆っている部分を除去したカシミアヘアーとポリエステル繊維の割合が、それぞれ順に40%〜60%、60%〜40%であり、これに対してホットメルト繊維10%〜30%を添加することを特徴とする請求項3に記載のカシミアヘアーフェルトの製造方法。
【0008】本発明の第1項のカシミアヘアーフェルトは、カシミア残渣から採取されたカシミアヘアー、ポリエステル繊維及びホットメルト繊維からなることにより、軽量で、断熱性及び防音性に優れたカシミアヘアーフェルトが得られる。また本発明の第2項のカシミアヘアーフェルトは、カシミアヘアー40%〜60%、ポリエステル繊維60%〜40%に対してホットメルト繊維10%〜30%であることにより、軽量で、断熱性及び防音性に優れたいっそう良好なカシミアヘアーフェルトが得られる。
【0009】また本発明の第3項のカシミアヘアーフェルトの製造方法は、カシミア残渣から採取されたカシミアヘアーを熱湯で処理して毛根を覆っている部分を除去した後、このカシミアヘアー、ポリエステル繊維及びホットメルト繊維を混合し、整毛工程を経て、成型し、ついでニードルパンチ装置で植毛した後、熱プレスし、仕上げ工程を経ることを特徴とし、この方法によりカシミアヘアーを用いても良好なフェルトが得られ、即ち軽量で、断熱性及び防音性に優れ、かつ耐脱毛性に優れたカシミアヘアーフェルトが得られる。更に第4項のカシミアヘアーフェルトの製造方法は、毛根を覆っている部分を除去したカシミアヘアーとポリエステル繊維の割合が、それぞれ順に40%〜60%、60%〜40%であり、これに対してホットメルト繊維10%〜30%を添加することにより、前記第1項の発明をいっそう良好に実施しうるという極めて優れた効果を奏するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照して更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0011】図1は、本発明のカシミアヘアーフェルトの製造方法を示すフローシートである。なお、本発明における図1において、図2と同一部分には、同一符号を付して表す。図1において、まず、符号1で示される原料は、カシミア残渣からなり、此れにはカシミアヘアー、ゴミや糞等が混ざっているので、洗浄してカシミア残渣からカシミアヘアーのみを取り出し、採取されたカシミアヘアーを80℃〜120℃の熱湯で処理して毛根を覆っている部分を除去した後、この毛根を覆っている部分を除去したカシミアヘアーを染色する。調合工程2では、得られたカシミアヘアー50%と繊維長さ51mmのポリエステル繊維40%に、長さ51mmで太さ20μmのホットメルト繊維(又は熱融着繊維ともいう)20%を添加し、混合する。十分均一に混合した後、整毛工程3を経て、成型工程4で成型し、ついでニードルパンチ装置5で植毛した後、プレス工程5で115℃で熱プレスし、仕上げ工程7を経てカシミアヘアーフェルトの原反を得る。上記において、整毛工程3では、均一の厚みになるように整毛され、また成型工程4では、所望の厚みと幅の長尺物9を得る操作を行う。この成型工程4で得られた長尺物9をニードルパンチ装置5で上から多数の針を有する器具で長尺物9をつついて植毛する。この段階では長尺物9はふわふわした状態であるが、プレス工程5に掛けることによりフェルト状になる。ついで仕上げ工程7を経て原反製品8が得られる。
【0012】本発明において、毛根を覆っている部分を除去したカシミアヘアーとポリエステル繊維の割合が、それぞれ順に40%〜60%、60%〜40%であり、これに対してホットメルト繊維10%〜30%を添加するが、好ましくは毛根を覆っている部分を除去したカシミアヘアーとポリエステル繊維の割合が、それぞれ順に45%〜60%、55%〜40%であり、これに対して融着剤10%〜30%を添加するのがよい。本発明における毛根を覆っている部分を除去したカシミアヘアーとポリエステル繊維の割合において、毛根を覆っている部分を除去したカシミアヘアーの割合が40%未満の場合には、廃棄物であるカシミアヘアーを使用する意味がなく、また60%を超えるとポリエステル繊維との間の融着が十分でなくなる。
【0013】また毛根を覆っている部分を除去したカシミアヘアーとポリエステル繊維に対するホットメルト繊維の割合が、10%未満の場合には、カシミアヘアーとポリエステル繊維とが十分融着しない。またホットメルト繊維の割合が、30%を超えると良好なカシミアヘアーフェルトが得られない。即ちこのホットメルト繊維は、カシミアヘアー以外の獣毛、ウールとは十分融着することが困難である。したがって、カシミアヘアーフェルトのカシミアヘアーとポリエステル繊維との融着性に優れているホットメルト繊維を見出したものでもある。
【0014】本発明に用いられるポリエステル繊維の繊維長及びその太さは、特に限定されないが、繊維長は30〜70mmが好ましくまた太さは、10〜40μmが好ましい。本発明に用いられるホットメルト繊維は、90℃〜130℃で融着する繊維が好ましく、この繊維の長さ及び太さは、繊維長は30〜70mmが好ましくまた太さは、10〜40μmが好ましい。更にホットメルト繊維の構造は、ポリエステル繊維にホットメルト(融着剤)を被覆した、いわゆる二層構造の形態、融着剤を繊維形態とし、これを並列又は螺旋状に巻いた形態等何れの形態でもよい。このような形態のホットメルト繊維を前述のカシミアヘアー及びポリエステル繊維に混合して熱プレスすることによりホットメルト繊維が融けてカシミアヘアーとポリエステル繊維を固定する。本発明に用いられるホットメルト繊維としては、ポリオレフィン、ブチルメタクリル酸樹脂、ポリアミド、ポリエステル等の繊維が好ましく用いられる。ホットメルトとしては、特に限定されないが、好ましくはアクリル系ポリマーであり、例えば、アクリレートとポリアクリレートの混合物、ポリアクリレートアイオマー、スチエン−アクリル共重合体等が挙げられる。
【0015】本発明の製造方法で得られたカシミアヘアーフェルトは、軽く、断熱性に優れ、かつ防音性に優れているので、次の用途に極めて良好に使用されるばかりでなく廃棄されていたものを有効活用することができ、地球環境に最も適した廃物利用である。使用分野としては、自動車資材、建築資材、衣料/雑貨資材、生活雑貨、家電等が挙げられる。更に詳しくは自動車資材としては、フロアーカーペット、トランクルーム、ダッシュボード等が挙げられる。また建築資材としては、住居又はオフィス用カーペット、断熱材、防音材等が挙げられる。衣料/雑貨資材としては、コート、バック、帽子、靴等が挙げられ、生活雑貨としては、収納ケース、スリッパ、フロアーマット、文具ケース、靴の中敷き等が挙げられる。更に家電では、ホットカーペット、車輌用床暖房、足温ヒーター等が挙げられる。
【0016】
【発明の効果】本発明の第1項のカシミアヘアーフェルトは、カシミア残渣から採取されたカシミアヘアー、ポリエステル繊維及びホットメルト繊維からなることにより、軽量で、断熱性及び防音性に優れたカシミアヘアーフェルトが得られる。また本発明の第2項のカシミアヘアーフェルトは、カシミアヘアー40%〜60%、ポリエステル繊維60%〜40%に対してホットメルト繊維10%〜30%であることにより、軽量で、断熱性及び防音性に優れたいっそう良好なカシミアヘアーフェルトが得られる。
【0017】また本発明の第3項のカシミアヘアーフェルトの製造方法は、カシミア残渣から採取されたカシミアヘアーを熱湯で処理して毛根を覆っている部分を除去した後、このカシミアヘアー、ポリエステル繊維及びホットメルト繊維を混合し、整毛工程を経て、成型し、ついでニードルパンチ装置で植毛した後、熱プレスし、仕上げ工程を経ることを特徴とし、この方法によりカシミアヘアーを用いても良好なフェルトが得られ、即ち軽量で、断熱性及び防音性に優れ、かつ耐脱毛性に優れたカシミアヘアーフェルトが得られる。更に第4項のカシミアヘアーフェルトの製造方法は、毛根を覆っている部分を除去したカシミアヘアーとポリエステル繊維の割合が、それぞれ順に40%〜60%、60%〜40%であり、これに対してホットメルト繊維10%〜30%を添加することにより、前記第1項の発明をいっそう良好に実施しうるという極めて優れた効果を奏するものである。
【出願人】 【識別番号】501188926
【氏名又は名称】有限会社 マニタ ユニコン ネットワーク
【出願日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【代理人】 【識別番号】100093447
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 幹雄
【公開番号】 特開2002−339214(P2002−339214A)
【公開日】 平成14年11月27日(2002.11.27)
【出願番号】 特願2001−142285(P2001−142285)