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【発明の名称】 特殊風合ポリエステル織物
【発明者】 【氏名】渡辺 康市

【要約】 【課題】清涼感と張り腰感及びナチュラルな斑感を持つポリエステル織物の提供。

【解決手段】単繊維横断面形状が異型度2.5〜3.5のY字状三葉型のフィラメントを主体として構成され、5%伸張時応力が0.9〜1.4g/d、交絡度が5〜80ヶ/mのインタ−レ−ス交絡処理されたポリエステルマルチフィラメント糸A以下「糸A」と丸状断面のフィラメントを主体として構成された、単繊維繊度が1.5デニール以下のポリエステルフィラメントを20〜80重量%及び単繊維繊度が4.0デニール以上のポリエステルフィラメントを80〜20重量%からなり、フィラメント軸方向に15〜70%の太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸B以下「糸B」とが1式に示す撚係数が13000〜26000となるように合撚された糸を経糸及び/又は緯糸に使用するポリエステル織物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】単繊維横断面形状が異型度2.5〜3.5のY字状三葉型のフィラメントを主体として構成され、5%伸張時応力が0.9〜1.4g/d、交絡度が5〜80ヶ/mのインタ−レ−ス交絡処理されたポリエステルマルチフィラメント糸Aと丸状断面のフィラメントを主体として構成された、単繊維繊度が1.5デニール以下であるポリエステルフィラメントを20〜80重量%および単繊維繊度が4.0デニール以上であるポリエステルフィラメントを80〜20重量%からなり且つ、フィラメント軸方向に15〜70%の太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸Bとが下記(1) 式に示す撚係数が13000〜26000となるように合撚された糸を経糸及び/又は緯糸に使用してなることを特徴とする特殊風合ポリエステル織物。
撚係数=((DA+DB)の平方根)×合撚数(T/m)……(1)式ここでDAはポリエステルマルチフィラメント糸Aのデニールであり、DBはポリエステルマルチフィラメント糸Bのデニールである。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特殊風合ポリエステル織物に関し、さらに詳しくは清涼感と張り腰感およびナチュラルな斑感を有するポリエステル織物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエステル織物にドライな風合をもたせる手法として、単繊維横断面形状が多葉型であるポリエステルマルチフィラメント糸を使用することが知られている。しかし該織物にドレープ性を付与すべく該ポリエステルマルチフィラメント糸に撚りを加えると、織物の風合が逆に粗硬な風合になるという欠点があった。また、ポリエステル織物に天然繊維の様な斑感をもたせる手法として、繊維軸方向に太細斑を有するいわゆるシックアンドシン糸を使用することが知られている。しかし、シックアンドシン糸は不均一延伸で得られるために、未延伸部(シック部)が外力に対し容易に変形するため、該シックアンドシン糸を使用した織物は張り腰が不足するという欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は清涼感と張り腰感およびナチュラルな斑感が望まれる用途に最適なポリエステル織物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための手段、即ち本発明は、単繊維横断面形状が異型度2.5〜3.5のY字状三葉型のフィラメントを主体として構成され、5%伸張時応力が0.9〜1.4g/d、交絡度が5〜80ヶ/mのインタ−レ−ス交絡処理されたポリエステルマルチフィラメント糸Aと丸状断面のフィラメントを主体として構成された、単繊維繊度が1.5デニール以下であるポリエステルフィラメントを20〜80重量%および単繊維繊度が4.0デニール以上であるポリエステルフィラメントを80〜20重量%からなり且つ、フィラメント軸方向に15〜70%の太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸Bとが下記(1) 式に示す撚係数が13000〜26000となるように合撚された糸を経糸及び/又は緯糸に使用してなることを特徴とする特殊風合ポリエステル織物である。
撚係数=((DA+DB)の平方根)×合撚数(T/m)……(1)式ここでDAはポリエステルマルチフィラメント糸Aのデニールであり、DBはポリエステルマルチフィラメント糸Bのデニールである。
【0005】以下に本発明のポリエステル織物について詳述する。本発明のでいうY字状三葉型の断面とは図1に示すものであり、また異型度は同図1に示す様に三つの葉部の外接円直径(G)と断面中心部の内接円直径(N)の比、G/Nである。マルチフィラメント糸Aの5%伸張時応力はテンシロン引張器を使用して下記条件で測定した5%伸張時応力(g/d)である。
初荷重:0.1g/d、試料長:200mm引張速度:200mm/分、記録計速度:200mm/分【0006】本発明で使用するマルチフィラメント糸Aの単繊維横断面形状は異型度2.5以上、3.5以下のY字状三葉型であることが肝要である。異型度が2.5未満であると清涼感は得られない。逆に3.5を越えると織物風合は粗硬なものになり、本発明の所期の目的とする清涼感は得られない。
【0007】マルチフィラメント糸Aにはインターレース交絡度が5〜80ヶ/m付与されていることも重要である。インターレース交絡度が5〜80ヶ/mの範囲であると、マルチフィラメント糸Aとマルチフィラメント糸Bが合撚される際に、マルチフィラメント糸Aの単繊維断面の凸部(葉部)と葉部と葉部の間の凹部がフィラメント間で互いにかみ合い最密充填されるのを防ぐことができ、結果としてフィラメント間に空隙が生じることになり、織物は粗硬な風合にならない。マルチフィラメント糸Aのインターレース交絡度が5ヶ/m未満であると、マルチフィラメント糸Aとマルチフィラメント糸Bが合撚される際に、マルチフィラメント糸A内のフィラメントが自由に移動し、結果としてフィラメント同志で凸部と凹部がかみ合い、フィラメント間の空隙が無くなり、織物風合は粗硬なものになる。また、マルチフィラメント糸Aのインターレース交絡度が80ヶ/mを越えると、交絡点が織物風合を粗硬なものとなる。好ましくは10〜60ヶ/mである。
【0008】さらに、マルチフィラメント糸Aの5%伸張時応力は0.9g/d以上、1.4g/d以下であることが重要である。0.9g/d〜1.4g/dであると本発明の清涼感が得られる。この理由は、5%伸張時応力で示される繊維の初期抵抗力が織物になったときの風合(抵抗力が小さ過ぎると清涼感がなく、逆に大き過ぎると粗硬になる)に現れるものと考えられる。5%伸張時応力が0.9g/d未満であると、清涼感が得られないし、逆にこれが1.4g/dを越えると織物風合は粗硬なものになる。好ましくは0.95〜1.35g/dである。
【0009】本発明で使用するマルチフィラメント糸Bは丸状断面のフィラメントであることが重要である。マルチフィラメント糸Aとマルチフィラメント糸Bの単繊維横断面が両方とも葉部を有する形状であると、織物風合が粗硬になり本発明の目的を達成することが困難となる。また、該ポリエステルマルチフィラメント糸Bは単繊維繊度が1.5デニール以下であるフィラメントを該ポリエステルマルチフィラメント糸Bの20〜80重量%含み、単繊維繊度が4.0デニール以上であるフィラメントを該ポリエステルマルチフィラメント糸Bの80〜20重量%含みことが重要である。単繊維繊度が1.5デニール以下であるフィラメントが20重量%未満であると織物風合は粗硬なものになり、80重量%を越えると張り腰感が不足し、本発明から外れる。単繊維繊度が4.0デニール以上であるフィラメントが20重量%未満であると織物風合は張り腰感が不足し、80重量%を越えると粗硬なものになり、本発明から外れる。
【0010】また、マルチフィラメント糸Bはフィラメント軸方向に15%以上の太細斑を有することが重要である。これは織物にナチュラルな杢調外観を付与するために必要である。マルチフィラメント糸Bの太細斑は計測器工業社製ウースターイーブネステスターを使用して下記条件で測定、算出した値である。
測定:ノルマルテスト。糸速50m/分で2分間測定。記録計速度2.5cm/分。平均デニールが記録紙の中央になるように調節しておく算出:得られた記録紙5cmを2等分し、各々の区域の最大値をH1、H2、最小値をL1、L2とする。
太細斑(%)=( abs(H1+H2) )/2+( abs(L1+L2) )/2(注)abs(X)はXの絶対値太細斑が15%未満であると太部と細部の差が小さく本発明の斑感が得られない。逆に太細斑が70%を越えると斑の程度が強くなり過ぎるため、本発明の目的を達成することが困難となる。好ましくは20〜60%である。
【0011】本発明の織物は、ポリエステルマルチフィラメント糸Aとポリエステルマルチフィラメント糸Bとを下記(1) 式に示す撚係数が13000以上、26000以下となるような合撚数で合撚された糸を経糸およびまたは緯糸に使用することが必要である。
撚係数=((DA+DB)の平方根)×合撚数(T/m)……(1)式ここでDAはポリエステルマルチフィラメント糸Aのデニールであり、DBはポリエステルマルチフィラメント糸Bのデニールである。撚係数が13000未満であると、清涼感のある織物が得られない。逆に撚係数が26000を越えると織物は粗硬な風合になり本発明の目的を達成することが困難となる。好ましくは15000〜23000である。
【0012】
【実施例】(実施例1,比較例1〜14)ポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを通常の紡糸、延伸により表1に示すポリエステルマルチフィラメント糸Aとポリエステルマルチフィラメント糸Bを得、ポリエステルマルチフィラメント糸Aとポリエステルマルチフィラメント糸Bを合撚(経糸はS撚Z撚の2本交互、緯糸はS撚)した後、経糸および緯糸として平織物を製織し(経糸密度104本/inch、緯糸密度76本/in)、次いで通常のワッシャーによる揉み加工、アルカリ減量、染色、セット工程を通した。なお減量率はすべての例においてほぼ20%とした。得られた織物の風合を官能評価により○、×の評価した。
【0013】
【表1】

【0014】
【表2】

【0015】
【表3】

表1から明らかなように本発明にかかる織物は清涼感及び張り腰に富み、ナチュラルな斑感のあるものであった。
【0016】
【発明の効果】本発明によると従来の技術では達し得なかった、清涼感と張り腰感およびナチュラルな斑感を併せ持つことが望まれる用途、例えば盛夏用カジュアルパンツ等に最適なポリエステル織物を提供することを可能とした。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【出願日】 平成12年6月29日(2000.6.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−13042(P2002−13042A)
【公開日】 平成14年1月18日(2002.1.18)
【出願番号】 特願2000−196809(P2000−196809)