| 【発明の名称】 |
スライドファスナー用モノフィラメント糸及びスライドファスナー |
| 【発明者】 |
【氏名】結城 康式
【氏名】池田 昌孝
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| 【要約】 |
【課題】柔軟性、弾性回復性及び耐湿熱劣化性に優れたモノフィラメント糸と、該モノフィラメント糸を用いた柔軟でフィット性、インターロック性に優れ、スチームアイロンを繰返しかけても劣化が極めて少なく、長期間の使用でもファスナーの開閉がスムーズに行えるスライドファスナーを提供する。
【解決手段】90モル%以上がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位からなり、10モル%以下がその他のエステル単位からなるポリトリメチレンテレフタレートからなるモノフィラメント糸であって、極限粘度が0.8〜1.3dl/g、沸水収縮率が0.5〜1.5%であることを特徴とするスライドファスナーの噛合エレメントに適したポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸、及び、該ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸を螺旋状もしくはジグザグ状に成形した連続噛合エレメントを有することを特徴とするスライドファスナー。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 90モル%以上がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位からなり、10モル%以下がその他のエステル単位からなるポリトリメチレンテレフタレートからなるモノフィラメント糸であって、極限粘度が0.8〜1.3dl/g、沸水収縮率が0.5〜1.5%であることを特徴とするスライドファスナーの噛合エレメント用のポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸。 【請求項2】 モノフィラメント糸の酸化チタン含有率が0.01〜5重量%であることを特徴とする請求項1記載のスライドファスナーの噛合エレメント用のポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸。 【請求項3】 請求項1又は2に記載のポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸を螺旋状もしくはジグザグ状等の形状に成形した連続噛合エレメントを有することを特徴とするスライドファスナー。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、スライドファスナーの噛合エレメントに適したポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸、及び該モノフィラメント糸を螺旋状もしくはジグザグ状に成形した連続噛合エレメントを有するスライドファスナーに関する。 【0002】 【従来の技術】合成樹脂製のモノフィラメント糸を螺旋状もしくはジグザグ状に成形した連続噛合エレメントを、縫製、織り込み、あるいは編み込み等の手段によってファスナーテープに取りつけたスライドファスナーは、金属ファスナーに比べるとしなやかで軽く、また染色が可能であることから衣類、カバン等に幅広く用いられている。 【0003】連続噛合エレメントに用いられる合成樹脂製モノフィラメント糸としては、従来、ナイロンやポリエチレンテレフタレートが多く用いられている。しかしながら、ナイロンは吸水性が大きく、それに伴って寸法安定性が劣るため、スライドファスナーの開閉感が温湿度によって変化したり、長期使用時にファスナーの開閉が不良になるという問題がある。また、NOx(酸化窒素)ガスやバニリンガス、熱に対して耐黄変性に劣るという問題もある。一方、ポリエチレンテレフタレートは安価で吸湿性も低いが、衣料用としては風合いが硬く、伸長回復性が劣るために長期使用時に噛合エレメントの歪が徐々に大きくなり、やはりファスナーの開閉が不良になるという問題がある。また、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート共に、湿熱環境下での劣化が大きいため、スチームアイロンで繰返しアイロンを掛けるような使い方で長期間使用すると、ファスナーの開閉がスムーズにできなくなり、耐久性が不充分であるという問題があった。 【0004】米国特許第3984600号明細書には、トリメチレンテレフタレート、テトラメチレンテレフタレート、またはヘキサメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルモノフィラメント糸を、ジグザグまたは螺旋状に形成したスライドファスナーが開示されている。これらのモノフィラメント糸は伸長回復性に優れるため、ファスナーのインターロック性に優れ、また耐摩耗性に優れるという特徴がある。しかしながら、これら開示されたモノフィラメント糸では湿熱環境下での劣化がやはり大きく、スチームアイロンに対する耐久性は依然として不充分であった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スライドファスナーの噛合エレメントに適したモノフィラメント糸、及びスライドファスナーの提供にある。更に詳しくは、柔軟性、弾性回復性及び耐湿熱劣化性に優れたモノフィラメント糸と、該モノフィラメント糸を用いた柔軟でフィット性、インターロック性に優れ、スチームアイロンを繰返しかけても劣化が極めて少なく、長期間の使用でもファスナーの開閉がスムーズに行えるスライドファスナーを提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を解決するため鋭意研究した結果、ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸を使用し、極限粘度を適性化すると同時に、未延伸糸を延伸後、特定の条件で熱処理を行って熱収縮性を適性な範囲に設定することにより、柔軟性、弾性回復性及び耐湿熱劣化性に優れたモノフィラメント糸が得られ、該モノフィラメント糸を用いたスライドファスナーは柔軟でフィット性、インターロック性に優れ、スチームアイロンを繰返しかけても劣化が極めて少なく、長期間の使用でもファスナーの開閉がスムーズに行えるスライドファスナーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0007】すなわち本発明は、90モル%以上がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位からなり、10モル%以下がその他のエステル単位からなるポリトリメチレンテレフタレートからなるモノフィラメント糸であって、極限粘度が0.8〜1.3dl/g、沸水収縮率が0.5〜1.5%であることを特徴とするスライドファスナーの噛合エレメントに適したポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸である。また本発明は、該ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸を螺旋状もしくはジグザグ状に成形した連続噛合エレメントを有することを特徴とするスライドファスナーである。 【0008】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発明においては、モノフィラメント糸としてポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸(以下「PTTモノフィラメント糸」という)を使用することが必要である。PTTモノフィラメント糸は、ヤング率が低いため非常にソフトであり、かつ弾性回復性が優れているという特徴を有している。本発明において、PTTモノフィラメント糸とは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルのモノフィラメント糸をいい、トリメチレンテレフタレート単位が90モル%以上のものをいう。従って、第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が、10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。 【0009】ポリエステルは、テレフタル酸又は例えばテレフタル酸ジメチルなどのその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に縮合せしめることにより製造される。この製造過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、又、ポリエチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートとを別個に製造した後、ブレンドしたり、複合紡糸(紡糸時に複合化して、鞘芯、サイドバイサイドの糸の断面構造とする等)してもよい。 【0010】添加することができる第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)等が挙げられる。又、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で用いることもできる。 【0011】PTTモノフィラメント糸には、酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等の改質剤添加が含有されていてもよい。モノフィラメント糸の製造時の平滑性の要求から酸化チタンを0.01重量%以上含有するのが好ましい。また、スライドファスナーの噛合エレメントとして透明度を抑えることを要求される場合には酸化チタンを0.5〜5重量%含有するのが好ましい。PTTモノフィラメント糸はポリエチレンテレフタレートモノフィラメント糸よりも透明度が高いため、ポリエチレンテレフタレートモノフィラメント糸と同レベルの不透明度を達成するためには酸化チタンをやや多めに含有させるのが好ましい。 【0012】本発明のPTTモノフィラメント糸の極限粘度は0.8〜1.3dl/gであることが必要であり、好ましくは0.8〜1.1dl/gである。極限粘度が0.8dl/g未満では得られるPTTモノフィラメント糸のタフネスが小さいばかりか、弾性回復性も低いため、ファスナーの噛合エレメントとして使用した場合には、ファスナーとしての強度が不足したり、短時間の使用で噛合エレメントの摩耗や変形が発生して寿命が低下する。極限粘度が1.3dl/gより大きいと、熱処理工程でのモノフィラメント糸のそりが大きくなるため、螺旋状もしくはジグザグ状に形成するときの寸法変化や変形が大きくなり、加工性が低下するとともに噛合エレメントの寸法精度が低下する。極限粘度を0.8〜1.3dl/gとすることによって、タフネスと弾性回復性に優れ、噛合エレメントの成形性、寸法精度が良好なPTTモノフィラメント糸が得られる。なお、極限粘度〔η〕は、オストワルド粘度管を用い、35℃、o−クロロフェノール溶媒を用いての比粘度ηspと濃度C(g/100ミリリットル)の比ηsp/Cを濃度ゼロに外挿し、以下の式に従って求めた。 [η]=lim(ηsp/C)C→0【0013】本発明のPTTモノフィラメント糸の沸水収縮率は0.5〜1.5%でなければならない。PTTモノフィラメント糸は、ナイロンモノフィラメント糸やポリエチレンテレフタレートモノフィラメント糸と比較すると伸長弾性回復性に優れた糸であるが、一方で熱収縮性が高いという特性を持っている。一方、モノフィラメント糸をファスナーの噛合エレメントに加工するには、熱をかけながら螺旋状もしくはジグザグ状に変形させて熱セットする成形方法が一般的である。モノフィラメント糸の沸水収縮率が1.5%を越えると、熱セット時の寸法変化や変形が大きくなるため、成形時の工程通過性が悪化したり、噛合エレメントの寸法精度が低下したりする。例えば、モノフィラメント糸を螺旋状の噛合エレメントに成形する場合は、心棒にモノフィラメントを螺旋状に巻いて熱セットを行った後、螺旋の中心軸と直角方向に少し押しつぶしながら熱セットして断面形状を扁平化した噛合部を形成する。このとき、沸水収縮率が1.5%を越えると、螺旋状に形成したモノフィラメント糸が心棒から抜けなくなったり、扁平化した噛合部の寸法精度が低くてファスナーとしての強度が不充分になったりする。 【0014】更に本発明者らは、熱収縮性を適正な範囲に設定することにより、曲げ回復性が更に向上するとともに、耐湿熱劣化性も著しく向上することを発見した。曲げ回復性の向上は、ファスナーのインターロック性を向上させ、長期間の使用でも噛合エレメントの変形や寸法変化が少ないためファスナーの開閉が不良になりにくく寿命が長くなる。また、耐湿熱劣化性の向上は、衣料用途などで、洗濯後にスチームアイロンを掛けて着用するような使い方を長期間繰返し行う場合には極めて好ましい特性であり、ファスナーの耐久性を著しく向上させる。沸水収縮率を1.5%以下にすることにより、噛合エレメント成形時の工程通過性や寸法精度が良く、曲げ回復性や耐湿熱劣化性に優れ、スチームアイロンに対する耐久性に優れたファスナーが得られる。沸水収縮率が0.5%未満の場合は、過度の熱処理によるPTTモノフィラメント糸の強度低下が著しく、ファスナーとしての強度が不足したり、短時間の使用で噛合エレメントの摩耗や変形が発生して寿命が低下する。 【0015】沸水収縮率を0.5〜1.5%にするには、PTTモノフィラメント未延伸糸を延伸処理後、熱セットを行えば良いが、弛緩状態で熱セットを行うとモノフィラメント糸の直線性が損なわれるため、定長熱セットまたは緊張熱セットを行うのが好ましい。熱セット温度は100〜180℃が好ましく、110〜150℃がより好ましい。定長熱セットまたは緊張熱セットにおいて、熱セット温度が100℃未満では沸水収縮率を1.5%以下まで下げることができず、一方熱セット温度が180℃を越えるとPTTモノフィラメント糸の強度低下が著しい。熱セット時間は20分以上が好ましく、30分以上がより好ましい。定長熱セットまたは緊張熱セットにおいて、熱セット時間が20分未満では、沸水収縮率を1.5%以下まで下げることが難しいばかりでなく、モノフィラメント糸間、あるいはモノフィラメント糸の長さ方向にセット斑が発生するため、熱収縮性にばらつきが生じ、噛合エレメントの成形時に熱が加わったりファスナーとして使用時にアイロン掛けによって熱を掛けたりすると、噛合エレメントの変形や寸法変化が生じてファスナーのインターロック性や強度が低下したり、寿命が低下する。 【0016】本発明のPTTモノフィラメント糸の破断伸度は35〜60%が好ましく、35〜55%がより好ましい。破断伸度が35%未満ではファスナーの噛合エレメントに使用したときに、短時間の使用で噛合エレメントの摩耗や破損が起こる。一方、破断伸度が60%を越えるとモノフィラメント糸の糸長方向の太さ斑が顕著になり、ファスナーのインターロック性や強度が劣る。また、本発明のPTTモノフィラメント糸の破断強度は2.2cN/dtex以上であることが好ましい。破断強度が2.2cN/dtex未満ではファスナーの強度が不足し、短時間の使用で噛合エレメントの摩耗や破損が起こる。本発明のPTTモノフィラメント糸の繊度は、ファスナーのサイズに応じて適宜設定すれば良く、500〜25000dtexが好ましい。 【0017】本発明のスライドファスナーに用いられるファスナーテープやスライダーの素材としては、製品染めが可能で同色性が得られることからポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートが好ましく、ポリトリメチレンテレフタレートが最も好ましい。ポリトリメチレンテレフタレートは他のポリエステルよりも濃色に染色されるため、常圧染色を行ってもスライドファスナーとして充分な発色性と染色堅牢度を得ることができる。本発明のPTTモノフィラメント糸は公知の製造方法で得ることができ、例えば以下の方法で製造される。 【0018】乾燥機中でポリトリメチレンテレフタレートペレットを乾燥し、次いでペレットを押出機に供給し、ポリトリメチレンテレフタレートの溶融体とする。ポリトリメチレンテレフタレート溶融体は次にベンドを経てスピンヘッドに送られ、その中に装着されるギヤポンプで計量され、紡糸口金を通じて紡出される。紡出されたポリトリメチレンテレフタレート溶融体はフィラメント状となり、冷水水浴中に導かれ冷却されつつ、一定速度で回転している第1ロール群によって引っ張られて所定の繊度まで細化され未延伸モノフィラメント糸となる。未延伸糸は第1ロール群を経た後、所定の温度の温水浴中で一定速度で回転する第2ロール群に引張られて第1段の延伸が施される。その後モノフィラメント糸は所定の温度のスチーム浴中で定長又は弛緩熱処理を受け、第3ロール群を経た後、巻き取り機で巻き取る。なお、温水浴中の延伸は1段延伸に限らず、複数回に分けて延伸しても良い。その後、PTTモノフィラメント糸を所定の温度、所定の時間で定長熱セットして沸水収縮率を調節する。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例と比較例とを用いて具体的に説明するが、本発明は実施例などにより何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例におけるモノフィラメント糸の物性測定、及びスライドファスナーの評価は以下の方法で行った。 (1)破断強伸度、沸水収縮率JIS−L−1013・引張強さ及び伸び率、熱水収縮率B法(フィラメント収縮率)に従って破断強伸度、沸水収縮率を測定し、各10回の測定値の平均値を算出した。 (2)ファスナー耐久性スライドファスナーのスライダーを上げ下げして、ファスナーの開閉試験を連続1万回行い、20個のファスナーの内、開閉不能になったファスナーの数を数えた。 (3)ファスナー湿熱耐久性ファスナー耐久性の試験方法に準じて1万回の開閉試験を行う際、ファスナーの開閉を500回行う毎に下記条件でスチームアイロン掛けを行い、20個のファスナーの内、開閉不能になったファスナーの数を数えた。 アイロン条件温度:160℃時間:30秒【0020】 【実施例1】極限粘度〔η〕が0.92dl/g、酸化チタン含有率が0.1重量%のポリトリメチレンテレフタレートポリマーを用いて、以下の製造条件でPTTモノフィラメント糸を製造した。 ポリマー吐出量 19.4g/分 紡糸温度 265℃ 冷却浴水温 40℃ 引き取りロール(第1ロール)周速 16.5m/分 延伸浴水温 55℃ 延伸ロール(第2ロール)周速 82.5m/分 熱処理浴スチーム温度 120℃ 第3ロール周速 75m/分 巻き取り速度 75m/分【0021】上記の製造条件で得られたPTTモノフィラメント糸の物性は以下の通りであった。 極限粘度 0.90dl/g 直径 0.49mm 繊度 2570dtex 破断強度 2.4cN/dtex 破断伸度 48.3% 沸水収縮率 6.8%製造したPTTモノフィラメント糸を以下の条件で定長熱セットを行った。 定長熱セット温度 120℃定長熱セット時間 60分得られたPTTモノフィラメント糸を通常の噛合エレメント製造工程に供給し、螺旋状の噛合エレメントを製造した。得られた噛合エレメントを、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の織物からなるファスナーテープに通常の方法にて縫着し、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂からなるスライダーを組み合わせてスライドファスナーを得た。得られたPTTモノフィラメント糸の物性、及びスライドファスナーの評価結果を表1に示す。 【0022】 【実施例2】熱セット条件を、熱セット温度110℃、熱セット時間60分の定長熱セットとした以外は実施例1と同様にし、PTTモノフィラメント糸及び螺旋状の噛合エレメントを製造し、スライドファスナーを得た。得られたPTTモノフィラメント糸の物性、及びスライドファスナーの評価結果を表1に示す。 【実施例3】極限粘度〔η〕が1.13dl/g、酸化チタン含有率が0.1重量%のPTTポリマーを用い、実施例1と同様の製造条件でPTTモノフィラメント糸を製造し、熱セット温度140℃、熱セット時間60分の条件で定長熱セットを行いPTTモノフィラメント糸を得た。得られたモノフィラメント糸を用いて実施例1と同様に螺旋状の噛合エレメントを製造し、スライドファスナーを得た。得られたPTTモノフィラメント糸の物性、及びスライドファスナーの評価結果を表1に示す。 【0023】 【比較例1】熱セット条件を、熱セット温度90℃、熱セット時間30分の定長熱セットとした以外は実施例1と同様にPTTモノフィラメント糸及びスライドファスナーを得た。得られたPTTモノフィラメント糸の物性、及びスライドファスナーの評価結果を表1に示す。 【比較例2】熱セット条件を、熱セット温度140℃、熱セット時間10分の定長熱セットとした以外は実施例1と同様にPTTモノフィラメント糸及びスライドファスナーを得た。得られたPTTモノフィラメント糸の物性、及びスライドファスナーの評価結果を表1に示す。 【0024】 【比較例3】熱セット条件を、熱セット温度190℃、熱セット時間60分の弛緩熱セットとした以外は実施例1と同様にPTTモノフィラメント糸及びスライドファスナーを得た。得られたPTTモノフィラメント糸の物性、及びスライドファスナーの評価結果を表1に示す。 【比較例4】極限粘度〔η〕が0.70dl/g、酸化チタン含有率が0.1重量%のPTTポリマーを用い、実施例1と同様の製造条件でPTTモノフィラメント糸を製造し、実施例1と同様の条件で定長熱セットを行いPTTモノフィラメント糸を得た。得られたモノフィラメント糸を用いて実施例1と同様に螺旋状の噛合エレメントを製造し、スライドファスナーを得た。得られたPTTモノフィラメント糸の物性、及びスライドファスナーの評価結果を表1に示す。 【0025】 【比較例5】ポリエチレンテレフタレートモノフィラメント糸を用い、実施例1と同様の条件で定長熱セットを行い、実施例1と同様に螺旋状の噛合エレメントを製造した。得られた噛合エレメントを、ポリエチレンテレフタレート繊維の織物からなるファスナーテープに通常の方法にて縫着し、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなるスライダーを組み合わせてスライドファスナーを得た。モノフィラメント糸の物性、及び得られたスライドファスナーの評価結果を表1に示す。 【0026】実施例のPTTモノフィラメント糸はいずれも沸水収縮率が適性で、得られたスライドファスナーは充分な強度と優れた耐久性を有し、繰返してスチームアイロン掛けした後もファスナーの開閉はスムーズに行え、耐湿熱劣化性に優れたものであった。比較例1は、モノフィラメント糸の沸水収縮率が高過ぎるため、得られたスライドファスナー噛合エレメントの寸法精度がやや低く、開閉を繰返したときの耐久性にやや劣るものであった。また、繰返してスチームアイロン掛けを行うと開閉が不良になる割合が更に大きくなり、耐湿熱劣化性に劣るものであった。比較例2は、熱セット時間が短すぎるため、モノフィラメント糸の沸水収縮率がやや大きく、かつ沸水収縮率のばらつきが見られ、得られたスライドファスナーは噛合エレメントの寸法精度が低く、耐久性、耐湿熱劣化性とも比較例1よりも更に劣るものであった。 【0027】比較例3は、熱セット温度が高すぎるために、モノフィラメント糸の沸水収縮率が低く強度低下が大きいため、得られたスライドファスナーは耐久性に劣るものであった。比較例4は、モノフィラメント糸の極限粘度が低すぎるために、破断強伸度、弾性回復性がともに低いため、得られたスライドファスナーは耐久性に劣るものであった。比較例5は、モノフィラメント糸の弾性回復性が低く、耐湿熱劣化性も低いため、得られたスライドファスナーは耐久性、耐湿熱劣化性とも劣るものであった。 【0028】 【表1】
【0029】 【発明の効果】本発明のPTTモノフィラメント糸は、ヤング率が低くて柔軟性が高く、弾性回復性に優れるため、該モノフィラメント糸を噛合エレメントに用いたスライドファスナーは充分な強度を持ち、フィット性、インターロック性に優れ、優れた耐久性を有する。また、耐湿熱劣化性が極めて優れているため、繰返してスチームアイロン掛けを行うような過酷な使用状況においても、ファスナーの開閉はスムーズで耐久性に優れたものである。本発明のPTTモノフィラメント糸は、螺旋状もしくはジグザグ状に成形した連続噛合エレメントに有用であるばかりでなく、モノフィラメント糸を成形して製造されるあらゆる形状の連続噛合エレメントに有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000033 【氏名又は名称】旭化成株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月30日(2000.6.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100103436 【弁理士】 【氏名又は名称】武井 英夫 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−13026(P2002−13026A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月18日(2002.1.18) |
| 【出願番号】 |
特願2000−197520(P2000−197520) |
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