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【発明の名称】 硬質クロムめっき部分補修方法
【発明者】 【氏名】藤枝 剛人

【要約】 【課題】本発明は、自動車用プレス金型の表面に処理された硬質クロムめっきの皮膜がプレスにより破壊されためっき層の必要部分周辺だけを部分補修することを目的とする部分補修硬質クロムめっき方法である。本発明は、金型の保全に於いて、大幅なコスト低減と、短納期を目的とした発明である。

【解決手段】再めっきを必要とする部分を、アルカリ水溶液による、アルカリ電解脱脂を行なう。次いで、表面を電解により活性化させると、素地部分のクロムが溶解すると共に化学的に表面は活性化する。次いで、めっき電解槽を利用し、浴中でめっき面を陽極として10〜60秒電解する。次いで、めっき面を陰極とし、低電流密度により徐々に電流密度を上げ、最終的には、必要電圧で必要時間通電を行なう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】プレス用金型の、破壊された硬質クロムめっき層の一部分周辺だけを、部分的に硬質クロムめっきで補修することを特徴とする部分補修硬質クロムめっき方法【請求項2】旧硬質クロムめっき層に微細な凹凸を物理的に施こし、旧硬質クロムめっき層と部分補修硬質クロムめっき層との密着を高める事を特徴とする請求項1に記載される部分補修硬質クロムめっき方法。
【請求項3】部分補修された硬質クロムメッキ層の終点に、段差は生じないことを特徴とする請求項1に記載される部分補修硬質クロムめっき方法。
【請求項4】ハカイされた硬質クロムめっきの段差を電気分解により溶解し、段差をなめらかにし、部分的に補修することを特徴とする請求項1に記載される硬質クロムめっき方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレス用金型の部分補修にかかわるクロムめっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プレス用金型の硬質クロムめっきは、めっきの皮膜が使用に伴いめっき層の一部分がプレスにより破壊されることにより、再めっきの必要が生じ公知されている再処理法として、めっき面の全面又は、一部分だけを剥離し、この上に再めっきを行なう方法が一般的である。全面剥離方法には、化学的な方法(塩酸水溶液に浸せきする)
電気化学的な方法(めっき面を陽極として電解する)
機械加工による方法(グラインダー等による研削)
があるが、いずれも多くの費用と時間を要する欠点がある。部分補修方法には、電気めっきを、電解槽の枠の中に閉じ込めることなく機械加工の一手法として、陽極に炭素極を使用し、陰極となる素地にクロム酸液を塗布しながら電着を行なう方法があるが、目的とする硬度がえられない。又、部分補修を行なった場合、電気分解による段差の溶解が不十分であり明確な段差となり全面を剥離し再めっきをしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】多くのプレス用金型には、耐摩耗性、すべり性離形性を目的として硬質クロムめっきが施されている。しかしながら、自動車用プレス金型は、重量も10Ton程度の巨大な物もある。巨大なプレス金型に、硬質クロムめっきを施した場合には、摩耗及びゴミなどにより、硬質クロムめっきが破壊されてしまう場合がある。従来の技術では、金型の保全に多額の経費が必要とされてきた。本案は、プレスにより破壊されためっき層の必要部分だけを部分補修することを目的とし、従来の被めっき面に劣ることなく、電気分解によりめっき面の段差を少なくし、より強固な電着クロム(かたさ及び耐摩耗性に於いて)を得る事により、経費の削減と短納期の問題を解決する部分補修硬質クロムめっき法である。
【0004】
【課題を解決するための手段】旧クロム層及び、露出した下地の部分に微細な凹凸を物理的につけ、補修する硬質クロムめっきの密着を高め、次いで、アルカリ電解脱脂を行い、表面を電解により活性化させると、素地部分のクロムが溶解するとともに、化学的に表面は活性化される。FCD(球状黒鉛鋳鉄)については、脱炭処理を行なう。めっき電解槽を利用し陽極は鉄アノードを使用する。浴中でメッキ面を陽極として10〜60秒電解する。この操作により、被めっき面は完全に脱脂され、化学的に更に活性化され、表地と電着クロムの強固な密着性を得る下地を作る。次いで、めっき面を陰極とし、低電流密度より徐々に密度を上げ、最終的には必要電圧で必要時間通電を行なう。尚、部分補修する場合、旧クロム層を剥離してしまう場合があるが、旧クロム層と下地との密着が完全である場合に限定される。
【0005】
【発明の実施の形態】本案による部分めっき面のかたさは下記の通り。現行法で処理しためっきと、部分補修しためっきの被めっき面のかたさは同等であり、公知の機械加工の一手法である部分めっき法より優れている。
通常行なっている作業条件で硬質クロムめっきの硬度を測定した結果HV 966前述した硬質クロムめっきの部分補修方法で得られた硬質クロムめっきの硬度HV 979公知の部分補修めっき方法で得られためっきの硬度HV 484【0006】
【実施例】本発明による実施例を紹介する。寸法 幅1200mm 長さ2100mm 高さ650mm重量3.5Ton、材質FC250のプレス金型を実験の対象とした。硬質クロムめっきが破壊された箇所は、比較的に圧力が加わる部分であり、パネルがすべりこむ箇所である。破壊された面積は、幅5mm、長さ100mm程度で3箇所破壊された。硬質クロムめっきを施された面積に対して破壊された面積は、300分の1以下である。破壊された3箇所周辺に、硬質クロムめっきによる部分補修硬質クロムめっきを試みた。
【0007】
【発明の効果】多少の凹凸を感じたがプレスには、影響は無いとの判断からプレスを行なった。結果、問題なし。パネルのキズも減少した。硬質クロムめっきが破壊される前と同じパネルが得られた。以上の事から、本発明は、プレス金型に硬質クロムめっきを施しプレスにより、金型の一部分の硬質クロムめっきが、破壊されても全面を剥離し再めっきすることなく硬質クロムめっきで部分補修する事が可能である。再めっきによる旧クロムを剥離する工程で塩酸水溶液を使用するが、本発明により、塩酸水溶液に浸漬する必要が無く金型の腐食がなくなる。又、再めっきによるパネルの微妙な変化が防げる。本発明は同時に耐摩耗、及びすべりが必要な周辺箇所のみの硬質クロムめっきも可能であり大幅なコスト低減が可能となる。本発明は、工業的に極めて有用である。
【出願人】 【識別番号】501189451
【氏名又は名称】有限会社富士ハードクロム
【出願日】 平成13年4月4日(2001.4.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−302792(P2002−302792A)
【公開日】 平成14年10月18日(2002.10.18)
【出願番号】 特願2001−142437(P2001−142437)