| 【発明の名称】 |
スラッジのリサイクル方法及びアルミニウム合金溶湯の除滓剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤本 日出男
【氏名】正田 良治
【氏名】小川 淑子
【氏名】万谷 正
【氏名】目黒 忠雄
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| 【要約】 |
【課題】少なくともアルミニウム乃至アルミニウム合金材を含む構造物をリン酸亜鉛処理した際に発生するスラッジを有効にリサイクルする方法を提供する。
【解決手段】発生するスラッジをアルミニウムおよびアルミニウム合金溶湯処理用フラックスとし使用する。金属のフッ化物をフッ素換算で3〜30質量%と、無機塩50質量%以下と、金属リン酸塩を40〜90質量%(Pとしての含有量で8〜18質量%)を含有し、無機塩と金属リン酸塩とを合計で90質量%以下に制限し、残部が不可避不純物からなるスラッジをアルミニウム合金溶湯の除滓剤に使用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくともアルミニウム乃至アルミニウム合金材を含む構造物をリン酸亜鉛処理し、発生するスラッジを、アルミニウムおよびアルミニウム合金溶湯処理用フラックスとして用いることを特徴とする、スラッジのリサイクル方法。 【請求項2】 アルミニウムおよびアルミニウム合金溶湯処理用フラックスに上記スラッジを混入させてアルミニウム乃至アルミニウム合金を溶湯処理することを特徴とする請求項1記載のリサイクル方法。 【請求項3】 上記スラッジをフラックス原料として用いて、上記溶湯処理用フラックスを製造することを特徴とする請求項1記載のリサイクル方法。 【請求項4】 金属のフッ化物をフッ素換算で3〜30質量%と、無機塩50質量%以下と、金属リン酸塩を40〜90質量%(Pとしての含有量で8〜18質量%)を含有し、無機塩と金属リン酸塩とを合計で90質量%以下に制限し、残部が不可避不純物からなるスラッジをアルミニウム合金溶湯の除滓剤に使用するスラッジのリサイクル方法。 【請求項5】 金属のフッ化物をフッ素換算で3〜30質量%と、無機塩50質量%以下と、金属リン酸塩を40〜90質量%(Pとしての含有量で8〜18質量%)を含有し、無機塩と金属リン酸塩とを合計で90質量%以下に制限し、残部が不可避不純物からなるアルミニウム合金溶湯の除滓剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、少なくともアルミニウム乃至アルミニウム合金材を含む構造物を、リン酸亜鉛処理するに際し発生するスラッジを有効に利用するための、スラッジのリサイクル方法及びアルミニウム及びアルミニウム合金溶湯の除滓剤に関する。 【0002】 【従来の技術】アルミニウム乃至アルミニウム合金(以下アルミ合金と言う)は、省資源化の観点と低コスト化の観点とからリサイクルされることが一般的となって来た。しかしながら、合金種によって添加元素の含有量が異なることから、成分組成の調整が容易な二次合金や鋳物合金としてリサイクルされている。 【0003】具体的には、回収されたスクラップを溶解・溶湯精錬・除滓・鋳造等の工程を経て二次合金や鋳物合金とされるが、溶解から除滓までの工程について詳述する。即ち、溶解炉に投入された原料が加熱溶融されて溶湯となる。精錬工程では、溶解工程での原料スクラップに付着していた有機物他が、溶解時に生じた酸化物と共に各種介在物となり、これらが精錬剤の作用によりメタル分との混合状態で滓として浮上する。この滓は製品欠陥の大きな原因となるので除去すべきであるが、多量のメタル分が含まれておりそのまま排除するとメタルロスとなるため、除滓に当たってはメタル分を出来る限り溶湯中へ戻し、介在物のみを効率良く排除する必要がある。 【0004】そのための代表的な方法として、ハロゲン系のフラックスを溶湯湯面に散布し、滓と共に混合することにより滓中の微細なAlと反応せしめて、その際の発熱を利用して滓を加熱することにより、メタル分の流動性を高めて溶湯中に戻す方法が知られている。尚、前記脱ガス処理時に溶湯中に不活性ガス、例えば窒素やアルゴンガスと共にこの種フラックスを吹込むことも周知である。 【0005】このような溶湯からの脱ガス・除滓は、溶湯を清浄化して製品品質を向上するための溶湯処理として極めて重要であり、各種の除滓剤が提案されている。就中、アルミニウム合金溶湯の除滓剤としては例えば、特開平7−207376号公報、特開平11−80851号公報等が挙げられる。 【0006】一方、自動車産業においては軽量化の観点から各種部材にアルミニウム合金が多用されており、殊に自動車ボディ外装材(パネル材)は鋼板部分とアルミ合金板部分とで構成されるものが多い。そして、このような外装部分は塗装されるが、その下地処理として一般的にリン酸亜鉛処理が施される。ところが、このリン酸亜鉛処理の際に鋼板部分とアルミ合金板部分とが同時に処理されることから、処理液中にアルミニウムイオンが徐々に増加し、鋼板に対する処理性が劣化することからこれを防止する為に、フッ素イオン添加によりアルミニウムイオンを沈殿させることが一般的手法として知られている。 【0007】しかしながら、この手法によればリン酸亜鉛処理性能が良くなるものの沈殿された弗化アルミを主成分とするスラッジが大量に発生してしまうと言う問題がある。また、このスラッジはフッ素含有量が多い為に再利用が困難であり、現状では廃棄物として埋立処分するしかないと言う問題がある。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかし、クリオライト等の増加により、フッ化物を添加しない場合に比べて、スラッジの発生量が大幅に増加すると言った問題が新たに発生している。 【0009】このようなスラッジの増加を抑えるため、アルミニウム乃至アルミニウム合金材自体についても改善が進められており、例えば、アルミニウム乃至アルミニウム合金材に表面処理膜を形成しアルミニウムイオンの溶出を抑える等の方法(例えば、特開2000−256873号公報)も考えられている。しかし、現状では、コストおよび性能面からフッ化物添加による方法が主流として採用されている。 【0010】なお、これらスラッジは、定期的に専門業者に回収され、産業廃棄物として殆ど全て埋め立て等に使われている。しかし、今後、さらにアルミニウム乃至アルミニウム合金材の使用量が増加することにより、廃棄コストが増加するのみか、廃棄場所が不足すると言った環境面においても重大な問題になるものと考えられる。 【0011】本発明は、このような事情に着目して成されたものであり、その目的は、スラッジのリサイクルによる地球環境のクリーン化、限り有る資源の有効活用および廃棄コストを低減することである。 【0012】そこで、本発明者等はこのスラッジを有効活用すべく、その成分組成を調べたところアルミニウム合金溶湯の除滓剤の主成分であるクリオライト(Na3AlF6)と共通する元素が多量に含有されていることを知見し、フラックス原料としての使用可能性について各種実験を行った。 【0013】即ち、実験例では、鋼材:アルミニウム合金材の面積比を変化させた試験片をフリーフッ素400ppmにてリン酸塩処理してクリオライト比率の異なるスラッジを発生させ、このスラッジから水分除去したものを、溶湯の除滓剤として用いた。このスラッジの成分組成は、表1の通りであった。尚、成分分析に当たっては、スラッジを105℃で2時間乾燥後、0.5g採取し、濃塩酸30cc中で加熱溶解したものを100ccにメスアップさせて試料とし、金属成分は原子吸光法で、その他の成分はイオンクロマトで行った。 【0014】
スラッジによる除滓剤特性を調べる為に、スラッジ添加によるスラッジ中の不純物金属による溶湯汚染への影響をFe、Zn、Naの含有量の変化で調べたが、表2に示す通り溶湯汚染は殆ど無く、無視できる程度であった。 【0015】
【0016】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述のような目的を達成するため鋭意研究を進め、本発明を成したものである。 【0017】すなわち、先ず、鋼材およびアルミニウム乃至アルミニウム合金材を含む構造物のリン酸亜鉛処理により発生したスラッジについて、組成分析を行なった結果、クリオライト成分(Na、Al、F)が多量に含まれることを確認した。なお、これらクリオライト成分は、リン酸亜鉛処理浴中へのフッ化物の添加量、アルミニウム乃至アルミニウム合金材の処理量等によりその含有率は異なる。 【0018】一方、アルミニウム乃至アルミニウム合金を溶解する場合、凝固時に気孔の原因となる溶湯中の水素の除去、また、内部欠陥の原因となる非金属介在物を除去し清浄化するために溶湯処理用フラックスが用いられている。 【0019】ここで、本発明者らは、一般的な溶湯処理用フラックスにはNaが含まれていることに注目し、クリオライト成分のフラックスヘの適用を検討、スラッジをアルミニウムおよびアルミニウム合金溶湯処理用フラックスとして用いることを見出したのである。 【0020】つまりは、本発明は、少なくともアルミニウム乃至アルミニウム合金材を含む構造物をリン酸亜鉛処理した際に発生するスラッジを、アルミニウムおよびアルミニウム合金溶湯処理用フラックスとして有効にリサイクルする方法を提供するものである。なお、その技術的構成は次のとおりである。 【0021】すなわち、本発明における第一の発明は、「少なくともアルミニウム乃至アルミニウム合金材を含む構造物をリン酸亜鉛処理した際に発生するスラッジを、アルミニウムおよびアルミニウム合金溶湯処理用フラックスとして用いることを特徴とする、スラッジのリサイクル方法」である。 【0022】また、第二の発明は、「上記溶湯処理用フラックスに上記スラッジを混入させてアルミニウム乃至アルミニウム合金を溶湯処理することを特徴とする請求項1記載のリサイクル方法」である。 【0023】さらに第三の発明は、「上記スラッジを原料の一部として用いて、上記溶湯処理用フラックスを製造することを特徴とする請求項1記載のリサイクル方法」である。 【0024】また第四の発明は、「金属のフッ化物をフッ素換算で3〜30質量%と、無機塩50質量%以下と、金属リン酸塩を40〜90質量%(Pとしての舎有量で8〜18質量%)を含有し、無機塩と金属リン酸塩とを合計で90質量%以下に制限し、残部が不可避不純物からなるスラッジをアルミニウム合金溶湯の除滓剤に使用するスラッジのリサイクル方法」である。 【0025】更に、第五の発明は「金属のフッ化物をフッ素換算で3〜30質量%と、無機塩50質量%以下と、金属リン酸塩を40〜90質量%(Pとしての含有量で8〜18質量%)を含有し、無機塩と金属リン酸塩とを合計で90質量%以下に制限し、残部が不可避不純物からなるアルミニウム合金溶湯の除滓剤」である。 【0026】 【発明の実施の形態】本発明でのスラッジのリサイクルにおいては、先ずリン酸亜鉛浴からスラッジが回収される。この場合、回収方法としては、連続式重力濾過、加圧型べーパーフィルター濾過或いは、加圧布型フィルター濾過等の方法が用いられる。 【0027】さらに、回収後、自然乾燥、温風乾燥(80〜150℃)或いは、ドラム及びディスク状伝導型加熱乾燥(80〜150℃)等の方法により乾燥され、回転及び振動フルイ、重力・慣性力分級或いは、遠心力分級等の方法により分級される。 【0028】また、本発明における、スラッジより成るアルミニウムおよびアルミニウム合金溶湯処理用フラックスについては、通常使われているフラックスとの混合が有効である。この際、通常フラックスとの混合割合が問題となるが、溶湯の種類、脱ガス、脱滓等の要求度に応じて適宜選択されるものである。 【0029】さらに、上述のアルミニウムおよびアルミニウム合金溶湯処理用フラックスは、使用にあたって、粒度を調整した粉体として溶湯表面に散布する方法、押込む方法、或いはパイプによって窒素のような不活性ガスと共に溶湯内へ吹き込む方法、若しくは、形状並びに大きさの調整された固体として溶湯内へ押込む方法等を炉の種類並びに容量と溶湯処理の要求度に応じて適宜選択するのが好ましい。 【0030】なお、この場合、鋼材(冷延鋼板等)、アルミニウム乃至アルミニウム合金、Znめっきアルミニウム合金およびこれら以外の例えば、Zn、Znめっき鋼板、Zn−Feめっき鋼板、Zn−Niめっき鋼板等の金属材を含む構造物においても同様なスラッジが得られ、アルミニウムおよびアルミニウム合金溶湯処理用フラックスとして使用することができる。 【0031】 【実施例1】冷延鋼板およびアルミニウム合金材を含む構造物をリン酸亜鉛処理し、スラッジを回収した。さらに、本スラッジを温風乾燥機により乾燥し遠心力分級機により分級した後、既存のアルミニウムおよびアルミニウム合金溶湯処理用フラックス(フラックス−A:ファウンテック(株)製)と混合し、スラッジ混入量が0(無添加)、20%のフラックスとした。これらを下記の試験条件にて処理し、スラッジがアルミニウム溶湯汚染に及ぼす影響について評価した。 【0032】使用地金:99.99%アルミニウム試験条件:溶湯量:5kg溶湯温度:740℃フラックス添加量:5g、10g、20gフラックス添加方法:高純度アルミニウム箔に包み溶湯中に浸漬 本スラッジが混入されたフラックスを用いて鋳造されたアルミニウム合金を組成分析した結果、表3のような結果が得られた。スラッジが含有されたフラックスを用いた場合にも、スラッジ無添加(通常のフラックスのみ)の場合と同様な組成割合を有している。また、鋳塊品質についても調査したが、スラッジの添加、無添加による違いは見られなかった。 【0033】本発明の第五の発明のアルミニウム合金溶湯の除滓剤において、金属のフッ化物は、溶湯表面の滓との発熱反応によって滓と溶湯との分離を容易にする作用を果たし、例えば、LiF、NaF、KF、SrF、CaF2、MgF2、AlF3、NaAlF4、Na3AlF6、KAlF4、K3AlF6等のフッ化物が挙げられる。更に反応速度や流動性の制御を目的に、NaCl、KCl、SrCl、CaCl2、MgCl2、BaCl2、AlCl3等の塩素系ハロゲン化合物を添加することもできる。 【0034】無機塩及び金属リン酸塩は溶湯処理中にフラックスを発熱させる助燃剤として作用し、無機塩としては例えば、金属炭酸塩(Na2CO8、K2CO3、MgCO3等)、金属硫酸塩(Na2SO4、K2SO4、MgSO4等)、金属硝酸塩(NaNO3、KNO3、Ca(NO3)2等が挙げられる。また、金属リン酸塩は例えば、FePO4、Zn3(PO)2、Mn3(PO)2、Ni3(PO)2等)が挙げられる。 【0035】尚、無機塩及び金属リン酸塩は発熱反応速度の制御に有効であり、溶湯処理温度との関連で、90%までは許容できる。 【0036】無機酸化物は上述の組成物に対して、溶湯処理中の反応を適宜に制御する調整剤乃至は増量剤として使用され、例えば、MgO、SiO2、Al2O3等が挙げられる。 【0037】炭素質物質は上記無機塩と同様助燃剤として任意に使用し得るものであり、コークスや微粉炭等が使用できる。 【0038】上述の除滓剤組成物は、使用に際して、粉体として溶湯表面に散布するのが好ましい。これらの使用方法に適合させるべく、粉体の場合には子袋に充填され、固体の場合は適宜形状、サイズに加圧成形され投入される。 【0039】 【実施例2】以下、本発明の実施例について説明する。 【0040】前記表1の組成及び性状を有するスラッジを用い、実炉での投入試験を実施し、スラグ分離性・スラグ性状を調べた。その結果を表4に示す。尚、スラッジは乾燥させた粉体を約1kgに袋詰し、15ton溶解炉の溶湯表面に投入した。 【0041】
以上から、スラッジのフラックスとしての使用が、アルミニウム合金の品質に影響を及ぼさないことは明らかである。 【0042】従って、従来は廃棄処分されていた、少なくともアルミニウム乃至アルミニウム合金材を含む構造物をリン酸亜鉛処理して得られるスラッジは、アルミニウムおよびアルミニウム合金溶湯処理用フラックスとして使用できるものである。 【0043】 【発明の効果】以上、本発明によれば、従来は産業廃棄物として廃棄処分されていた少なくともアルミニウム乃至アルミニウム合金材を含む構造物のリン酸亜鉛処理により発生したスラッジは、アルミニウムおよびアルミニウム合金溶湯処理用フラックスとして有効にリサイクルできるものである。 【0044】このため、地球環境のクリーン化、限り有る資源の有効活用および廃棄コストを低減することができる。 【0045】本発明によれば、更に溶湯の除滓剤としてアルミニウム合金のリン酸塩処理で発生したスラッジを利用することができ、しかも従来既存のフラックスとその性能において大差なく、十分実用できるものである。その結果、これまで殆ど有効に利用されることが無かったスラッジのリサイクルが達成できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001199 【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所 【識別番号】000230054 【氏名又は名称】日本ペイント株式会社 【識別番号】500578087 【氏名又は名称】株式会社ファウンテック
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| 【出願日】 |
平成13年11月16日(2001.11.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066452 【弁理士】 【氏名又は名称】八木田 茂 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−371376(P2002−371376A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月26日(2002.12.26) |
| 【出願番号】 |
特願2001−351268(P2001−351268) |
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