| 【発明の名称】 |
耐加熱変色性に優れた洋白 |
| 【発明者】 |
【氏名】原田 宏司
【氏名】深町 一彦
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| 【要約】 |
【課題】電子部品用金属材料は条材から部品に加工、実装される過程にて、熱履歴を受けても変色しにくい洋白を提供する。
【解決手段】洋白の表面性状以下に制御することにより耐加熱変色性に優れた洋白を得ることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 亜鉛を15mass%以上含有する洋白であって、最表面の亜鉛濃度(CZns)がバルクの平均亜鉛濃度(CZnb)の1.2倍以上、かつ表層の亜鉛濃度(CZnl)とバルクの平均亜鉛濃度(CZnb)との関係がCZnb−CZnl<mass7%、かつ脱亜鉛層の厚さが0.5μm以下であることを特徴とする耐加熱変色性に優れた洋白。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はリード、シールド材等電子部品の基板上で使用される、電子部品用金属材料、特には洋白に関するものである。 【0002】 【従来の技術】C7521、C7541、C7701(JIS合金番号)などの洋白は、すぐれた加工性、機械的強度、電気的性質等から、電子部品のリード材やシールド材等として広く使用されている。これらの洋白条は、リード材等部品の用途によって所望の形状にプレス成形された後、たとえばキャパシタ、抵抗体等の電子部品に組み立てられ、さらにこれらの部品は、基盤に実装されて電子機器の一部として組み立てられる。これらの一連の工程の中で、部品成形時にエポキシ樹脂と結合して使用される場合には、エポキシ樹脂が熱硬化性の樹脂であるために150℃以上の温度でキュア(熱硬化)させる工程で昇温環境に暴露される場合がある。 また、部品成形後、基盤へ実装する際に、部品はリフローソルダリング工程で250℃以上の温度に暴露される。 【0003】 一方で、洋白は亜鉛を含有する合金であるが、亜鉛は酸化物生成の自由エネルギーが低いこと、いわば酸化しやすい卑金属であること、また融点が銅に比べて低く(420℃)、しかも蒸気圧が高いという性質を有する。 このことから、亜鉛を含有する洋白等の銅合金条では、その製造工程における再結晶焼鈍等の熱処理工程で容易に合金条表層の亜鉛成分が表面に拡散し酸化や蒸発等により非平衡な負偏析を生じる。 いわゆる脱亜鉛現象を生じて、表層の亜鉛濃度が下がるのである。ところが、前述の洋白条から加工されたリード等の金属部材は、電子部品への加工や、それに続く電子機器への実相工程において熱履歴を受ける際に、変色を起こしやすい傾向が認められる。 この変色は、大気中での加熱により生じた酸化膜が厚く形成されるために生じる干渉色と推定されている。変色が発生した金属部材は、外観不良として、また、品質上問題が発生する可能性があるとして、使用を避けられることが多く、変色が発生しにくい金属材料が望まれている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、洋白条において、電子部品用金属材料として、その製造工程においてさまざまな熱履歴を受けたときに変色しにくい材料を提供する。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究を行った結果、洋白条の加工条件を調整し、脱亜鉛層を制御することにより、耐変色性が改善できる技術を見出した。すなわち、亜鉛を15mass%以上含有する洋白であって、最表面の亜鉛濃度(CZns)がバルクの平均亜鉛濃度(CZnb)の1.2倍以上、かつ表層の亜鉛濃度(CZnl)とバルクの平均亜鉛濃度(CZnb)との関係がCZnb−CZnl<7mass%、かつ脱亜鉛層の厚さが0.5μm以下に制御することにより洋白の耐加熱変色性が向上することを見出した。 【0006】 【発明の実施の形態】亜鉛を15mass%以上含有する洋白を対象としたのは、亜鉛の含有量が15mass%未満であると、加熱による変色がもともと少なく問題となりにくいからである。最表面の亜鉛濃度(CZns)がバルクの平均濃度(CZnb)の1.2倍以上としたのは、条の製品の段階、ないしは部品で熱処理を受ける前の金属部材の表面はある程度酸化し、とくにその酸化皮膜の亜鉛濃度がある程度高いほうが変色しにくいためである。 これ以下の濃度では、酸化膜が極めて薄いか、銅酸化物の皮膜中の濃度が高いために、耐変色性を維持することが難しい。その酸化皮膜に近接する表層のマトリクスでは,必ずといってよいほど脱亜鉛層が生じているが、この脱亜鉛の程度が著しいと耐変色性が低下する。 その耐変色性を維持できる範囲の脱亜鉛の程度は,表層の亜鉛濃度CZnlとバルクの平均濃度CZnbとの関係がCZnb−CZnl <7mass%の範囲である必要がある。 これ以上に表層の脱亜鉛が進んでいると変色しやすくなる。さらに、脱亜鉛の程度は、表層の亜鉛濃度減少量のみならず、その脱亜鉛層の厚さが問題となる。 すなわち、脱亜鉛層の厚さは、材料表面から深さ方向に亜鉛の濃度分布を測定した場合、0.5μm以下である必要がある。 濃度分布は、オージェ電子分光法や、グロー放電分光法により、材料を深さ方向にスパッタして分析する方法等いくつかの方法があり、分析方法については制限されない。 【0007】 図1は深さ方向の分析結果の模式図であるが、本発明において、脱亜鉛層とバルクの境界は、深さ方向の濃度プロフィールを測定したときに、亜鉛濃度がバルクの平均濃度CZnbと表層の亜鉛濃度CZnlの中間((CZnb+CZnl)/2;半減値)になる深さの地点と定義する。 そして脱亜鉛層の厚さは図1に示すように、最表面の亜鉛酸化層を除き、バルクとの境界までの厚さと定義する。脱亜鉛層は、大気中のみならず、光輝焼鈍等の不活性雰囲気でも生じる。 また、冷間圧延加工により、層の厚み自体は薄くなる。 これらの熱処理と圧延を繰り返し、焼鈍雰囲気、焼鈍温度、焼鈍時間、その後の酸洗、研磨等により脱亜鉛層を本発明の範囲に調整した洋白は、極めて耐変色性に優れている。 【0008】 【実施例】次に本発明の実施例について説明する。表1に示した組成の銅合金を、大気中にて木炭溶解後、鋳造し、100mmW×40mmt×150mmlの寸法の鋳塊を作製した。 この鋳塊を980℃にて加熱後熱間圧延を行い、9mm厚さの板とし、表面をグラインダーにより研磨し、表面酸化層等の欠陥を除去後、冷間圧延と焼鈍・酸洗、そして必要に応じて表面研磨を繰り返し行い、0.15mm厚さの冷間圧延板を得た。 なお、焼鈍は連続焼鈍ラインにて600〜780℃の温度にてブタン燃焼ガス中で、15秒〜3分間焼鈍した。 また酸洗は混酸(5〜30vol%H2SO4+1〜5vol%H2O2)により行った。 【0009】 【表1】
【0010】 こうして得られた洋白の板について、グロー放電分光法を用いて表面分析を行い、バルク平均亜鉛濃度CZnb、最表面亜鉛濃度CZns、表層亜鉛濃度CZnlを求め、これらの値と測定チャートから脱亜鉛層については、CZnb−CZnl、厚さを算出した。 結果を表1に示す。これらの洋白を表1の条件にて加熱し、加熱後の表面変色状態を調べた。 評価は鏡面反射率により光沢度を求め、加熱前に対する加熱後の光沢度の比率を算出した。 光沢度が80%以上のものは光沢が加熱前と比べ維持できており良好とした。光沢度が80%未満のものは表面のくもり、変色が目視にて確認でき、不良とした。本発明の表面特性を持つ洋白は、比較例と比べて、大気加熱されても変色を起こしにくいことがわかる。 【0011】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る洋白は表面の亜鉛の挙動を制御することにより、従来にない耐加熱変色性を得ることができ、電子部品に加工する過程で加熱による変色が生じにくいため、過酷な熱処理条件でも使用可能となった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】397027134 【氏名又は名称】日鉱金属株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年1月22日(2001.1.22) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−212658(P2002−212658A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月31日(2002.7.31) |
| 【出願番号】 |
特願2001−12712(P2001−12712) |
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