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【発明の名称】 熱間スレッディング方法及び熱間通板用スレッディングバー
【発明者】 【氏名】松田 健嗣

【氏名】田野口 一郎

【要約】 【課題】連続熱処理炉に金属帯を導くスレッディング温度を適正な温度に設定しつつスレッディング可能な熱間スレッディング方法及び熱間通板用スレッディングバーを提供する。

【解決手段】スレッディングバーが通板時に反って炉内を通過することが不可能となることを防止するために、鋼帯5を接続したスレッディングバー3の素材の線膨張係数を炉内間隔以上の反りが生じない程度に小さくした。具体的には素材としては線膨張係数が11.7×10-6のSUS410を用いると良い。また、線膨張係数の異なる複数の素材を厚さ方向に積層して、炉内温度の上下差を補正出来るようにして反りの発生を防止すると更に良い。また、4は搬送ロールである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属帯をスレッディングバーに接続し、該スレッディングバーを所定スレッディング温度の連続熱処理炉内に通すことで上記金属帯を炉内にスレッディングする熱間スレッディング方法において、上記スレッディングバーの寸法に基づき、そのスレッディングバーが、炉内を通過する際に生じる当該スレッディングバーの反りがスレッディングバーの通過に必要な上下方向の間隔以下となる線膨張係数を有する素材からなることを特徴とする金属帯の熱間スレッディング方法。
【請求項2】 金属帯をスレッディングバーに接続し、該スレッディングバーを所定スレッディング温度の連続熱処理炉内に通すことで上記金属帯を炉内にスレッディングする熱間スレッディング方法において、上記スレッディングバーは、線膨張係数の異なる複数の素材を厚さ方向に積層して形成され、上記複数の素材の線膨張係数は、炉内中のスレッディングバーの上面側が下面側よりも高い温度となる場合には、下側の素材の線膨張係数よりも上側の素材の線膨張係数が小さく、炉内中のスレッディングバーの上面側が下面側よりも低い温度となる場合には、下側の素材の線膨張係数よりも上側の素材の線膨張係数が大きいことを特徴とする金属帯の熱間スレッディング方法。
【請求項3】 スレッディングバーを炉内に装入する際に生じる当該スレッディングの上下面の温度差に基づき、上記スレッディング温度雰囲気で且つ当該温度差があるときに上記スレッディングの反りがゼロ若しくはほぼゼロとなるように、各素材の線膨張係数を選択したことを特徴とする請求項2に記載した金属帯の熱間スレッディング方法。
【請求項4】 連続熱処理炉に金属帯を通すために使用されるスレッディングバーであって、上記スレッディングバーの寸法に基づき、そのスレッディングバーが、炉内を通過する際に生じる当該スレッディングバーの反りがスレッディングバーの通過に必要な上下方向の間隔以下となる線膨張係数を有する素材からなることを特徴とする熱間通板用スレッディングバー。
【請求項5】 連続熱処理炉に金属帯を通すために使用されるスレッディングバーであって、線膨張係数の異なる複数の素材を厚さ方向に積層して形成され、上記複数の素材の線膨張係数は、炉内中のスレッディングバーの上面側が下面側よりも高い温度となる場合には、下側の素材の線膨張係数よりも上側の素材の線膨張係数が小さく、炉内中のスレッディングバーの上面側が下面側よりも低い温度となる場合には、下側の素材の線膨張係数よりも上側の素材の線膨張係数が大きいことを特徴とする熱間通板用スレッディングバー。
【請求項6】 連続熱処理炉に金属帯を通すために使用されるスレッディングバーであって、スレッディングバーを炉内に装入する際に生じる当該スレッディングの上下面の温度差に基づき、上記スレッディング温度雰囲気で且つ当該温度差があるときに上記スレッディングの反りがゼロ若しくはほぼゼロとなるように、各素材の線膨張係数を選択することを特徴とする請求項5に記載した熱間通板用スレッディングバー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、横型の連続熱処理炉に鋼帯等の金属帯を通す熱間スレッディング方法及びその際に使用される熱間通板用スレッディングバーに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、鋼帯の横型連続熱処理炉においては、初期の通板作業時や炉内破断時の復旧作業における通板作業の際には、スレッディングバー3の尾端に鋼帯5を接続し、該スレッディングバー3を搬送ロール4で搬送することにより鋼帯5の炉1内への通板を行う(図1参照)。
【0003】ここで、従来のスレッディングバーの長さは、通常、炉内ロールピッチの3〜5倍程度に設定され、長いものでは10m近くにもなる。また、熱間でのスレッディング作業を可能とする観点から、一般に、スレッディングバーにはSUS310S等の耐熱性ステンレス鋼が用いられる。
【0004】
【従来の技術】ここで、スレッディングバーを装入する際の炉内温度であるスレッディング温度は300〜500℃程度であるが、炉内ガスの上下温度差や加熱バーナーからの距離関係などでスレッディングバーの通過位置において上下で温度差がつくことはやむを得ない。
【0005】ここで、スレッディングバーの長さをL、厚さ(高さ)をh、線膨張係数をαとし、バー上面での温度T1 よりもバー下面での温度T2 の方が高温であるとし、上下の温度差をΔT=T2 −T1 とすると、図6に示すように、上側の長さ(L/2)に対し、下側は(L/2)・{1+α・ΔT}の長さとなって反りが生じる。そして、円弧状に反ると仮定すると、上記図6から、r・θ=L/2、(r+h)・θ=L/2(1+α・ΔT)つまり、θ=(L・α・ΔT)/2h、r=h/(α・ΔT)であるから、反り量δは、下記(1)式で求められる。
【0006】

例えば、長さL=9600mm、厚さh=90mmで、材質SUS310S(線膨張係数α=16.2×10-6)のスレッディングバーの場合では、上下の温度差と反り量との関係は、図7に示すようになる。
【0007】すなわち、上記寸法且つ線膨張係数を有する素材からなるスレッディングバーでは、スレッディングバーの上面と下面との間にわずか50℃の温度差がついただけも、スレッディングバーは100mm以上反ってしまう。一般に、横型の連続熱処理炉内は、各ゾーンの雰囲気、温度等を隔離するために、ゾーン間の境界に仕切板を設けることが多いが、スレッディングバーが大きく反ってしまうと、スレッディングバーがこの仕切板と干渉し、スレッディングが不可能となる場合がある。その結果、一旦、炉内温度を下げてスレッディング作業を行う必要が生じ、ラインの稼働率を大幅に下げてしまう問題があった。
【0008】本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、スレッディング温度を適正な温度に設定しつつスレッディング可能な熱間スレッディング方法及び熱間通板用スレッディングバーを提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、金属帯をスレッディングバーに接続し、該スレッディングバーを所定スレッディング温度の連続熱処理炉内に通すことで上記金属帯を炉内にスレッディングする熱間スレッディング方法において、上記スレッディングバーの寸法に基づき、そのスレッディングバーが、炉内を通過する際に生じる当該スレッディングバーの反りがスレッディングバーの通過に必要な上下方向の間隔以下となる線膨張係数を有する素材からなることを特徴とするものである。
【0010】次に、請求項2に記載した発明は、金属帯をスレッディングバーに接続し、該スレッディングバーを所定スレッディング温度の連続熱処理炉内に通すことで上記金属帯を炉内にスレッディングする熱間スレッディング方法において、上記スレッディングバーは、線膨張係数の異なる複数の素材を厚さ方向に積層して形成され、上記複数の素材の線膨張係数は、炉内中のスレッディングバーの上面側が下面側よりも高い温度となる場合には、下側の素材の線膨張係数よりも上側の素材の線膨張係数が小さく、炉内中のスレッディングバーの上面側が下面側よりも低い温度となる場合には、下側の素材の線膨張係数よりも上側の素材の線膨張係数が大きいことを特徴とするものである。
【0011】次に、請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した構成に対し、スレッディングバーを炉内に装入する際に生じる当該スレッディングの上下面の温度差に基づき、上記スレッディング温度雰囲気で且つ当該温度差があるときに上記スレッディングの反りがゼロ若しくはほぼゼロとなるように、各素材の線膨張係数を選択したことを特徴とするものである。
【0012】次に、請求項4に記載した発明は、連続熱処理炉に金属帯を通すために使用されるスレッディングバーであって、上記スレッディングバーの寸法に基づき、そのスレッディングバーが、炉内を通過する際に生じる当該スレッディングバーの反りがスレッディングバーの通過に必要な上下方向の間隔以下となる線膨張係数を有する素材からなることを特徴とするものである。
【0013】次に、請求項5に記載した発明は、連続熱処理炉に金属帯を通すために使用されるスレッディングバーであって、線膨張係数の異なる複数の素材を厚さ方向に積層して形成され、上記複数の素材の線膨張係数は、炉内中のスレッディングバーの上面側が下面側よりも高い温度となる場合には、下側の素材の線膨張係数よりも上側の素材の線膨張係数が小さく、炉内中のスレッディングバーの上面側が下面側よりも低い温度となる場合には、下側の素材の線膨張係数よりも上側の素材の線膨張係数が大きいことを特徴とするものである。
【0014】次に、請求項6に記載した発明は、請求項5に記載した構成に対し、連続熱処理炉に金属帯を通すために使用されるスレッディングバーであって、スレッディングバーを炉内に装入する際に生じる当該スレッディングの上下面の温度差に基づき、上記スレッディング温度雰囲気で且つ当該温度差があるときに上記スレッディングの反りがゼロ若しくはほぼゼロとなるように、各素材の線膨張係数を選択することを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態の横型の連続熱処理炉は、図1に示すように、炉1内が、仕切板2によって、搬送方向に沿って複数のゾーンに区画され、各仕切板2の位置でスレッディングバー3の上下方向の許容寸法kが制限される。本実施形態では、その許容寸法kを100mmとする。また、符号4は搬送ロールを示している。
【0016】また、対象とする熱処理炉1におけるスレッディング温度が420℃に設定されている。また、予め温度測定用のスレッディングバーを通過させて、バー上下の温度差を測定したところ、ΔT=46±10℃であった。なお、スレッディングバー3の通過位置においては、上側よりも下側が高温であった。そして、スレッディングバー3の寸法として、図2及び図3に示すように、長さL=9600mm、厚さ(高さ)h=90mmのスレッディングバー3を採用し、上記上記スレッディング温度及びバーの上下温度差に基づき、反りが100mm未満となる素材の線膨張係数を選択してスレッディングバー3を作製する。
【0017】ここで、本実施形態のスレッディングバー3の形状は、従来のものと同様な形状となっている。また、符号3aは、金属帯取付け金具である。なお、スレッディングバー3の先端部は、装入しやすいようにテーパが付けられている。また、上記スレッディングバー3の厚さhは、スレッディングバー3の定常部Bでの厚さである。定常部Bでの厚さが長さ方向に沿って変化する場合には、その平均で考える。
【0018】そして、スレッディングバー3の素材として、従来の素材(SUS310S)よりも線膨張係数が小さいSUS410(線膨張係数α=11.7×10-6 )を使用する。次に、上記構成のスレッディングバー3の尾端に金属帯5(通常、厚さ0.2mm〜数mm程度の先端部を接続した状態で、当該スレッディングバー3を連続熱処理炉1に装入して当該連続熱処理炉1を通過させることで、金属帯5を炉1内に通す。
【0019】次に、上記実施形態の作用・効果等を説明する。上記スレッディングバー3にあっては、温度雰囲気420℃(=スレッディング温度)での上下面での温度差とバーの反り量との関係を求めると、図4中に破線Xで示す結果となる。図4には併せて従来の素材であるSUS310Sで作成した場合も示している(符号Yを参照)。
【0020】予め測定したスレッディングバー3の上下温度差では最大56℃となる部分があるが、図4から分かるように、従来の素材では、スレッディング温度を落とさないと炉1内の仕切板2とスレッディングバー3とが衝突するおそれが高くなるが、本実施形態のスレッディングバー3では、スレッディング温度を落とさなくても、スレッディングバー3が炉1内の仕切板2に衝突することなくスレッディングができる。
【0021】すなわち、上記条件下では、少なくとも線膨張係数αが11.7×10-6以下の素材のスレッディングバー3を作製すれば、スレッディングバー3が炉1内の仕切板2に衝突することなくスレッディングができる。次に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記第1実施形態と同様な部材などについては同一の符号を付して説明する。
【0022】本実施形態の基本構成は、上記第1実施形態と同様であるが、スレッディングバー3の素材構成のみが異なる。すなわち、本実施形態のスレッディングバー3は、図5に示すように、線膨張係数の異なる2つの素材3A、3Bを上下に積層して構成され、炉1内において上側よりも下側が高温であることから、上側部分3Aの素材として、下側部分3Bの素材よりも線膨張係数を大きいものを使用している。本実施形態では、上側部分3Aの素材として線膨張係数が16.2×10-6となるステンレス材を使用し、下側部分3Bの素材として線膨張係数14.5×10-6となるステンレス材を用いた。
【0023】そして、スレッディングバー3の作製を、常温(20℃)で行うことで、スレッディング温度(420℃)においては、上下面に温度差が無い場合には、下側部分3Bよりも上側部分3Aの方が伸びが大きいことから、下側に反った状態となるが、上下に約50℃の温度差が付く(上側よりも下側が高温)ことで、反りがほぼゼロとなる。
【0024】すなわち、常温からスレッディング温度まで加熱された場合における上側部分3Aと下側部分3Bの伸びの差と、上下面に温度差50℃前後が有った場合における上側部分3Aと下側部分3Bの伸びの差とがほぼ等しくなるように、スレッディングバー3の寸法に基づき、上側部分3Aの素材と下側部分3Bの素材の各線膨張係数を選択すれば、炉1内通過時に生じるスレッディングバー3の反りをゼロに近い状態とすることができる。図4に併せて反り量と上下温度差との関係を示す。符号Zが、本実施形態のスレッディングバー3を使用した場合である。
【0025】ここで、上記実施形態では、2つの素材を上下に積層した場合を例示しているが、3層以上、素材を積層して構成しても良い。また、上記実施形態では、スレッディングバー3の通過位置では、上側よりも下側が高温の場合で例示しているが、上側よりも下側が低温であれば、上記積層させる素材の積層順序を反対に設定すればよい。
【0026】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明を採用すると、スレッディングバーの反りによるスレッディング温度の低下やスレッディングバーと熱処理の仕切等との干渉を防止できて、スレッディング作業の効率化やラインの稼働率の向上を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【出願日】 平成13年6月15日(2001.6.15)
【代理人】 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
【公開番号】 特開2002−371321(P2002−371321A)
【公開日】 平成14年12月26日(2002.12.26)
【出願番号】 特願2001−181283(P2001−181283)