| 【発明の名称】 |
表面微小窪みの少ないオーステナイト系ステンレス鋼帯の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】平松 直人
【氏名】冨村 宏紀
【氏名】森本 憲一
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱間圧延したオーステナイト系ステンレス鋼帯を600℃未満の温度で巻取り、次の焼鈍工程で1130℃から1250℃以下の温度に1分以内で均熱する焼鈍を施した後、酸洗、冷間圧延、光輝焼鈍することを特徴とする表面微小窪みの少ないオーステナイト系ステンレス鋼帯の製造方法。 【請求項2】 請求項1に記載の製造方法で製造された、光輝焼鈍後の下記(a)で定義される微小窪みの面積率が10%以下であることを特徴とする表面微小窪みの少ないオーステナイト系ステンレス鋼帯。 (a)表面微小窪み;深さが0.2μm以上で、0.7mm×0.9mmの矩形領域内で、個々の面積が300μm2以上のもの |
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼の鋼帯を製造する際、表面微小窪みの少ない鋼帯を製造する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】オーステナイト系ステンレス鋼帯を製造する際、熱間圧延工程では仕上げ圧延後に通常750℃から850℃の温度で巻き取られ、次いで焼鈍および酸洗が行なわれている。この焼鈍は、熱延、巻取り時に生じたCr欠乏層を解消することを目的の一つとしている。しかし、1000℃前後での焼鈍を行なうと、表面酸化が進み、Cr欠乏層は必ずしも解消されない。酸化スケールの生成によって却ってCr欠乏層の生成が促進される。Cr欠乏層の増加により酸洗時に、表面のCr欠乏層を含む粒界が侵食され易くなり、その結果、幅が広くかつ深い表面窪みが発生することになる(図1参照)。 【0003】この表面窪みは、冷延−光輝焼鈍後の最終製品にも残存し、光沢不良の原因になっている(図2参照)。酸洗で生じた表面窪みを除去するため、酸洗したコイルを研磨した後、冷間圧延する方法や、冷間圧延での1パス当たりの圧下量を大きくすることによって表面窪みの深さを低減する方法が採用されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、研磨による表面窪みの除去や大圧下量の冷間圧延で表面窪みを潰す作業は、工程負荷を増大させ、生産性を著しく低下させる。また、研磨によって表面窪みを除去した後に冷間圧延するBA製品では、表面窪みはないものの、研磨による表面凹凸が冷間圧延によって完全には解消されない。本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、熱延板焼鈍後の粒界面積率を小さくする条件を採用することにより、研磨工程や大圧下量の冷間圧延工程の省略を可能とし、表面微小窪みの少ないオーステナイト系ステンレス鋼帯を製造する方法を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の表面微小窪みの少ないオーステナイト系ステンレス鋼帯の製造方法は、その目的を達成するため、熱間圧延したオーステナイト系ステンレス鋼帯を600℃未満の温度で巻取り、次の焼鈍工程で1130℃から1250℃以下の温度に1分以内で均熱する焼鈍を施した後、酸洗、冷間圧延、光輝焼鈍することを特徴とするものである。得られたオーステナイト系ステンレス鋼帯は、光輝焼鈍後の微小窪み面積率が10%以下であり、表面微小窪みが少ない。 【0006】 【作用】本発明者等は、オーステナイト系ステンレス鋼帯に最適な熱間圧延後の巻取り条件と熱延鋼帯の焼鈍条件を選定、すなわち、巻取り温度を通常よりも低くして酸化スケールの生成を抑制するとともに粒界の酸化およびCr欠乏層の生成を抑制し、また、焼鈍を通常よりも高温・短時間で行なうことにより結晶粒を粗大化させ粒界の面積率を減少させて、酸洗時に生成される窪みの面積率を低減させ、最終製品の表面光沢低下の原因になる酸洗での粒界侵食溝を小さくした。その結果、中間での研磨工程を省略可能とした表面微小窪みの少ないオーステナイト系ステンレス鋼帯の製造方法を見出した。 【0007】なお、本発明では、光輝焼鈍後の光沢に影響を与える微小窪みを、画像解析処理装置を用いて、最終製品の表面に残存する微小窪みの深さ、面積から次のように定義した。なお、この微小窪みは走査型プロ−ブ顕微鏡で測定可能で、主に0.2〜3.0μmの範囲で観察される。 (a)表面微小窪み;深さが0.2μm以上で、0.7mm×0.9mmの矩形領域内で、個々の面積が300μm2以上のもの本発明は、このような微小窪みを選別しその面積率を小さくしたものである。 【0008】表面微小窪みの減少は、次のような過程で実現される。熱延鋼帯を熱延巻取り温度から室温まで冷却する過程で、熱延鋼帯に酸化スケールが生成するとともに鋼帯表面の結晶粒界にCr欠乏層が生じる。この酸化スケールおよびCr欠乏層の生成は鋼帯の温度に依存し、鋼帯温度が低いほどそれらの生成量は少なくなる。したがって、Cr欠乏層の生成を抑制するためには、熱延鋼帯が可能な限り低温に維持されるように巻取り温度を低く設定する。具体的には、600℃以下の温度で熱延鋼帯を巻取り、スケールの生成を抑制する。 【0009】熱延鋼帯の焼鈍は、1130℃から1250℃以下、均熱1分以内の高温、短時間で行なう。熱延鋼帯の焼鈍温度を高くすることで、結晶粒径は粗大化され粒界の占める面積率は小さくなる。また、メタル中のCr拡散が低温よりも高温の方が速いため、メタル/スケール界面のCr欠乏層が低減され、酸洗での粒界侵食深さは小さくなる。このように、メタル中のCrを拡散させ、粒界のCr欠乏層を低減させるには、1130℃以上の温度が必要であり、また、高温強度の点で安定製造を行うには、1250℃以下が望ましい。なお、焼鈍時間は、均熱1分以内と短時間にすることで、焼鈍工程で生じる酸化スケールの量を低減することにした。 【0010】このように、熱間圧延後の鋼帯巻取り温度および熱延鋼帯の焼鈍条件を制御することで、熱延鋼帯を酸洗する時の粒界侵食が著しく軽減される。その結果、表面光沢改善のために従来法で必要であった酸洗後にコイル表面を研削する工程が省略でき、熱延鋼帯を酸洗ままで冷間圧延、光輝焼鈍することにより表面微小窪みの少ない優れた製品を製造することが可能となる。 【0011】 【実施例】表1に示した4種類のオーステナイト系ステンレス鋼を電気炉、転炉で溶製し、脱ガス処理を経て連続鋳造法で各スラブを製造した。各スラブを3.8mmまで熱間圧延し、焼鈍−酸洗後、1.0mmまで冷間圧延し、光輝焼鈍を施して最終製品を得た。熱間圧延後の巻取り温度および熱延鋼帯の焼鈍を表2に示すように種々変化させて、最終製品表面に残存する微小窪み面積率を求めた。 【0012】
【0013】
【0014】本発明法1および比較法11で熱延巻取り後、焼鈍酸洗した鋼帯の表面を観察し、粒界侵食を調査した。観察結果を図3に示すように、比較法11の鋼帯では粒界侵食幅が大きいのに対し、本発明法1の鋼帯では粒界侵食幅が小さくなっている。また本発明法の鋼帯では、結晶粒が粗大化しており、その結果、粒界侵食溝の占める割合が全体として小さくなっている。 【0015】本発明法1および比較法11を焼鈍酸洗後、冷間圧延、光輝焼鈍により最終鋼帯まで製造した製品について、表面に残存する微小窪みを光学顕微鏡で観察した。その結果を図4に示す。図面中黒く見えるものが表面窪みである。本発明法1の微小窪み量は、比較法11と比べて明らかに減少している。図5は、前記の定義にしたがって、画像解析処理装置を用いて最終製品の表面に残存する微小窪みを選別し、その面積率を求めた結果である。 【0016】本発明法により得られたステンレス鋼帯は、その表面の微小窪み面積率が10%以下である。これに対し、比較法で得られた鋼帯の表面には微小窪みが多かった。試験番号9は焼鈍時間が長すぎたために、酸化スケールの生成量が多くなったと思われる。試験番号10,11は焼鈍温度が低かったために、結晶粒が粗大化せず粒界の占める面積比率が低下しなかったと思われる。さらに、試験番号12,13は巻取り温度が高かったために、酸化スケールおよびCr欠乏層の生成量が多くなったと思われる。 【0017】 【発明の効果】以上に説明したように、本発明においては、ステンレス鋼の熱延巻取り温度および熱延鋼帯の焼鈍条件を本発明に規定する範囲に設定することで、最終製品の表面光沢低下の原因となる熱延板酸洗での粒界侵食溝が小さくなり、光輝焼鈍後の表面微小窪み面積率を低減させた製品を製造することができる。しかも、研磨工程省略等、生産性の向上にも多大な効果を発揮する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004581 【氏名又は名称】日新製鋼株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年1月24日(2001.1.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092392 【弁理士】 【氏名又は名称】小倉 亘
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| 【公開番号】 |
特開2002−220626(P2002−220626A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月9日(2002.8.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−15512(P2001−15512) |
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