| 【発明の名称】 |
製鉄工程で発生する地金の使用方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】中村 正信
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| 【要約】 |
【課題】地金を精錬容器内に入れ置き精錬する際、地金からのフォーミングの発生を抑制して精錬し得る、製鉄工程で発生する地金の使用方法を提供する。
【解決手段】製鉄工程で発生する地金を精錬容器内に入れ置き、その後に溶銑を装入して溶解する製鉄工程で発生する地金の使用方法において、前記地金が再酸化の少ないうちに精錬容器内に入れ置き使用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 製鉄工程で発生する地金を精錬容器内に入れ置き、その後に溶銑を装入して溶解する製鉄工程で発生する地金の使用方法において、前記地金が再酸化の少ないうちに精錬容器内に入れ置き使用されることを特徴とする製鉄工程で発生する地金の使用方法。 【請求項2】 製鉄工程で発生する地金を精錬容器内に入れ置き、その後に溶銑を装入して溶解する製鉄工程で発生する地金の使用方法において、前記地金が地金処理され、その後再酸化の少ないうちに精錬容器内に入れ置き使用されることを特徴とする製鉄工程で発生する地金の使用方法。 【請求項3】 精錬容器内に入れ置かれる地金の再酸化が、下記式で示す地金酸化率で10%以下である請求項1又は2に記載の製鉄工程で発生する地金の使用方法。 地金酸化率=(O/F)×100(%) ただし、O:地金に含まれる酸化鉄中酸素の重量F:地金に含まれる鉄の重量【請求項4】 精錬容器内に入れ置かれる地金が、その大きさが粒径300mm以下のものである請求項1乃至3の何れかに記載の製鉄工程で発生する地金の使用方法。 【請求項5】 精錬容器内に入れ置かれる地金が、溶銑系地金である請求項1乃至4のいずれかに記載の製鉄工程で発生する地金の使用方法。 【請求項6】 精錬容器内に入れ置かれる地金が、下記式を満たすものである請求項2乃至5の何れかに記載の製鉄工程で発生する地金の使用方法。 地金酸化指数=0.26×(1.2/R)0.05×logT+0.11×C+0.32≦1ただし、R:地金平均粒径(mm) T:地金処理後の経過時間(hr) C:地金中炭素濃度(質量%)
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、製鉄工程で発生する地金の使用方法に関し、詳細には製銑や製鋼等の製鉄工程で発生する地金を、主原料として地金だけあるいは他のスクラップ屑などと一緒に溶銑の装入に先だって、転炉、電気炉、溶銑予備処理装置などの精錬容器内に入れ置き使用する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】製鉄所においては、転炉、電気炉、溶銑予備処理装置などを用いて溶銑を精錬する場合、精錬容器内への溶銑の装入に先だって主原料として屑鉄などを入れ置きし、その後に溶銑を装入して溶銑処理(脱珪、脱燐、脱硫処理)あるいは転炉吹錬などの精錬が行われている。 【0003】上記主原料として用いられる屑鉄としては、(1)製鉄工程で発生する地金、(2)鋼材の加工工程で発生する加工屑、(3)自動車、家電製品などの廃棄屑などがある。前記地金は、溶銑輸送容器などから発生するスラグや転炉等での製鋼工程で発生するスラグを、屋外のピットやヤードに展開、冷却後に破砕し、その後に磁力選別などの処理を行って回収された粒鉄(地金)であって、原料として使用されるまでは通常原料ヤードに放置されている。このため、破砕や摩鉱後の表面も含めて酸化が促進され、使用時には、表面は通常酸化物が発生している場合が多い。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記精錬において、屑鉄のうち製鉄工程で発生する地金を精錬容器に入れ置いて使用した場合、地金の表面は上記したように通常酸化していることが多いため、溶銑を装入する際、当該酸化部分から発生する酸素が溶銑と急激に反応して、突沸あるいは急激なフォーミングを発生することがある。特に大きさの比較的小さい粒鉄(地金)を使用した場合に発生が見られ、このようなフォーミングの発生は非常に危険であり、これを回避するため、これまでは地金装入量の制限などを行って精錬操業が行われている。 【0005】地金の装入量を制限することで、危険なフォーミングの発生を抑えることができ、安全な精錬操業ができるものの、地金の滞貨、特にフォーミングを発生し易い大きさの比較的小さな、例えば粒径300mm以下の地金の滞貨が多くなり、その処理が問題となっている。 【0006】そこで、本発明は、上記の問題点を解消するためになしたものであって、その目的は、地金を精錬容器内に入れ置き精錬する際、地金からのフォーミングの発生を抑制して精錬し得る、製鉄工程で発生する地金の使用方法を提供するものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の問題点を見出した後、その改善のために鋭意調査、検討を行ったところ、地金の破砕処理からの経過時間(日数)によってフォーミングの発生状態に差のあることを見出した。すなわち、地金の大きさと装入重量がほぼ同じ場合に、破砕処理からの経過時間が多い方が少ない方よりもフォーミングが発生し易いことが分かった。また比較的粒径の小さな(粒径300mm以下)地金を集めて装入した場合でも、同様の傾向のあることが判明した。そしてその後、実操業におけるデータを整理する一方、更なるデータを採取して調査した結果、図1に示すような地金の再酸化率とフォーミング発生率との関係(図1a参照)、及び地金の再酸化指数とフォーミング発生率との関係(図1b参照)等が見出され、本発明を完成させたものである。 【0008】本発明(請求項1)に係る製鉄工程で発生する地金の使用方法は、製鉄工程で発生する地金を精錬容器内に入れ置き、その後に溶銑を装入して溶解する製鉄工程で発生する地金の使用方法において、前記地金が再酸化の少ないうちに精錬容器内に入れ置き使用するものである。すなわち、上記したように地金によるフォーミングは、地金を放置したことによる再酸化の度合いにより発生するので、放置が長くなり過ぎないように管理して使用することで、地金を用いた精錬の際、地金からのフォーミングの発生を抑制して精錬することができる。 【0009】本発明(請求項2)に係る製鉄工程で発生する地金の使用方法は、製鉄工程で発生する地金を精錬容器内に入れ置き、その後に溶銑を装入して溶解する製鉄工程で発生する地金の使用方法において、前記地金が地金処理され、その後再酸化の少ないうちに精錬容器内に入れ置き使用するものである。すなわち、上記したように地金によるフォーミングは、地金を破砕処理した後の経過時間による酸化の度合いにより発生するので、この経過時間が長くなり過ぎないように管理して使用することで、地金を用いた精錬の際、地金からのフォーミングの発生を抑制して精錬することができる。 【0010】そして、本発明(請求項3)に係る製鉄工程で発生する地金の使用方法は、上記請求項1又は2に記載の製鉄工程で発生する地金の使用方法上記製鉄工程において、精錬容器内に入れ置かれる地金の再酸化が、下記式で示す地金酸化率で10%以下にされてなるものである。 地金酸化率=(O/F)×100(%) ただし、O:地金に含まれる酸化鉄中酸素の重量F:地金に含まれる鉄の重量このように地金酸化率を10%以下に限定する理由は、地金が再酸化して地金酸化率が10%を超えると、地金からのフォーミングが発生し易くなり精錬操業に危険を伴うため10%以下に限定するものである(図1a参照)。なお、地金酸化率の測定は、水素還元法[鉄鉱石−還元試験方法(JIS M8713)に準じた方法]を用い、サンプルの重量変化を測定することで実施した。 【0011】また、本発明(請求項4)に係る製鉄工程で発生する地金の使用方法は、上記請求項1乃至3の何れかに記載の製鉄工程で発生する地金の使用方法において、精錬容器内に入れ置かれる地金が、その大きさが粒径300mm以下のものである。このように地金の粒径を300mm以下のものを対象とする理由は、粒径が300mm以下の地金は、300mmを超える地金よりも塊の大きさ(重量)に対する表面積が大きくなるので、経過時間に対する個々の塊での再酸化の度合いは同じであっても、精錬の際に入れ置く地金量を同じとした場合に地金の再酸化の度合いが大きくなるため、地金からのフォーミングが発生し易くなり精錬操業に危険を伴うためである。 【0012】また、本発明(請求項5)に係る製鉄工程で発生する地金の使用方法は、上記請求項1乃至4の何れかに記載の製鉄工程で発生する地金の使用方法において、精錬容器内に入れ置かれる地金が、溶銑系地金とするものである。 【0013】また更に、本発明(請求項6)に係る製鉄工程で発生する地金の使用方法は、上記請求項2乃至5の何れかに記載の製鉄工程で発生する地金の使用方法において、精錬容器内に入れ置かれる地金が、下記式を満たすものである地金再酸化指数=0.26×(1.2/R)0.05×logT+0.11×C+0.32≦1ただし、R:地金平均粒径(mm) T:地金処理後の経過時間(hr) C:地金中炭素濃度(質量%) 【0014】上記請求項5及び6について詳細に説明する。請求項6における地金再酸化指数の式は、本発明者が、地金の破砕処理からの経過時間(日数)によってフォーミングの発生状態に差のあることを見出した後に、実操業において、使用した地金の条件(地金平均粒径、地金中炭素濃度、地金処理後の経過時間)と突沸やフォーミングの発生率との関係を整理して導出したものである。そして、この式における地金再酸化指数が1以下を満たすように前記地金の条件を管理して入れ置きすることで、フォーミングの発生が大きく軽減し得ることが確認された(図1b参照)。 【0015】因みに、溶銑系地金(地金中炭素濃度:4.5質量%)と溶鋼系地金(地金中炭素濃度:0.05質量%)を対象としてそれぞれ粒径を3水準、更に各粒径を対象としてそれぞれ地金再酸化指数を1.00を境として上下各1水準、計3水準を取った場合の上記式より求めた破砕処理後の経過時間と日数の概数を表1に示す。 【表1】
【0016】また、上記表1より明らかなように、溶銑系地金の方が溶鋼系地金よりも、同じ地金再酸化指数の場合に処理後の経過時間(日数)が短くして再酸化していることから、再酸化し易いことが分かる。従って、溶銑系地金の方を本発明の対象として積極的に管理し、フォーミングの発生を抑制することが好ましい。 【0017】 【発明の実施の形態】製鉄所において、溶銑輸送容器などから発生するスラグ及び転炉等の製鋼工程で発生するスラグを、それぞれ別々に屋外のピットやヤードに展開、冷却した後、溶銑系地金と溶鋼系地金に分別して破砕処理を行う。この破砕処理後、地金の酸化率や炭素濃度を測定するためのサンプルを採取するとともに、磁力選別などの処理を行い粒鉄(地金)を回収する。この粒鉄の回収の際、所望の粒径毎(例えば50mm間隔毎、100mm間隔毎あるいは300mmの上下毎等)に分別して回収する。 【0018】上記のようにして回収された地金は、この後、再酸化が進まないように長時間放置せずに、溶銑鍋、混銑炉や転炉等に入れ置いて使用する。あるいは、サンプルを測定して得た酸化率を基に使用期限を管理しながら、溶銑鍋、混銑炉や転炉等に入れ置いて使用する。あるいは、破砕処理後の測定で得た粒径とサンプルを測定して得た炭素濃度を基に式(地金再酸化指数=0.26×(1.2/R)0.05×logT+0.11×C+0.32≦1)を満たす地金処理後の経過時間T(許容経過時間)を求め、この許容経過時間を管理しながら、溶銑鍋、混銑炉や転炉等に入れ置いて使用する。 【0019】回収した地金を、上記の要領で管理することにより再酸化が少ない状態で混銑炉や転炉等に入れ置いて使用することでき、これによりフォーミングの発生を少なくして銑鉄の炉内への装入ができる。 【0020】因みに、表2の実施条件の下で、吹錬終了後、炉内のスラグを完全に排滓した転炉内に、スクラップシュートから10tの地金を入れ置きした後、溶銑鍋より溶銑を装入した場合における従来の操業データと、本発明完成後の本発明方法による地金の管理後の操業データを任意に100件ずつ取出し比較した結果を、図2に示す。 【0021】 【表2】
【0022】図2から明らかなように、地金の粒径にかかわらず本発明例の方が従来例よりも大幅にフォーミングの発生が抑制されていることが分かる。 【0023】次に、表3の実施条件の下で、溶銑を転炉装入鍋に払い出した後に、混銑車内のスラグを排滓棟にて排滓した。その混銑車内に、5tの地金を入れ置きした後、高炉にて溶銑を受銑した場合における従来の操業データと、本発明完成後の本発明方法による地金の管理後の操業データを任意に100件ずつ取出し比較した結果を、図3に示す。なお、地金は、受銑流で攪拌されて溶解する。 【0024】 【表3】
【0025】図3から明らかなように、地金の粒径にかかわらず本発明例の方が従来例よりも大幅にフォーミングの発生が抑制されていることが分かる。 【0026】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る製鉄工程で発生する地金の使用方法によれば、地金を精錬容器内に入れ置き精錬する際、地金からのフォーミングの発生を抑制して精錬することができ、安全な精錬操業が期待できる。その結果、地金の使用促進が図れ、高価な市中屑の消費量を低減できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001199 【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
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| 【出願日】 |
平成13年6月18日(2001.6.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089196 【弁理士】 【氏名又は名称】梶 良之 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−371312(P2002−371312A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月26日(2002.12.26) |
| 【出願番号】 |
特願2001−183196(P2001−183196) |
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