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【発明の名称】 溶接性に優れた清浄鋼の製造方法及び清浄鋼
【発明者】 【氏名】岩永 浩司

【氏名】西口 克茂

【要約】 【課題】Ca添加による清浄鋼の製造方法及び清浄鋼において、鋼の機械的特性を低下させることなく溶接性に優れた清浄鋼の製造方法及び清浄鋼を提供する。

【解決手段】本発明の製造方法は、Ca添加による清浄鋼を製造する方法において、溶鋼中に残存しているCa成分を減圧除去する工程を付加することを特徴とする。また、本発明の清浄鋼は、Ca添加による清浄鋼において、鋼中のCa含有量が、0.0008%以下に抑制されたものであることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 Ca添加による清浄鋼を製造する方法において、溶鋼中に残存するCa成分を減圧除去する工程を付加することを特徴とする溶接性に優れた清浄鋼の製造方法。
【請求項2】 前記清浄鋼中のCa含有量は、0.0008%(質量%の意味、以下同じ)以下に抑制されたものである請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】 前記製造方法は、ステンレス鋼の製造に用いるものである請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】 Ca添加による清浄鋼において、鋼中のCa含有量は、0.0008%以下に抑制されたものであることを特徴とする溶接性に優れた清浄鋼。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Ca添加による清浄鋼の製造方法及び清浄鋼に関するものであり、より詳しくは、溶鋼の精錬工程において、Ca添加による介在物の処理を行なった後、溶鋼中に残存するCa成分を減圧除去する工程を付加することを特徴とする溶接性に優れた清浄鋼の製造方法及び清浄鋼に関するものである。本発明の清浄鋼は、溶接性に極めて優れているので、特に半導体製造装置、理化学機器、医療機器などの用途に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】鋼中に存在する介在物は、鋼の機械的特性に著しい影響を及ぼすことが知られている。例えば、介在物が存在する鋼を圧延加工すると、鋼と介在物の変形が異なるために、介在物周辺にボイドを生じる。鋼に負荷がかかった場合には、このボイドを起点とする割れが発生しやすくなるので、鋼の機械的特性が低下しやすい。特に介在物が不均一に、或いは大型の介在物が存在する場合には、この様な問題が生じやすく、鋼中の介在物を分離除去すること、また鋼中に存在する介在物を微小かつ均一に分散させることは、溶鋼精錬において重要な課題である。このような介在物の処理を行なった鋼は、一般に清浄鋼として知られている。
【0003】前記介在物を処理する方法として、溶鋼中にCaを添加することが知られている。具体的には、溶鋼中にCaを添加することにより、介在物をCaO複合酸化物として、アルゴンガスを吹込みながら介在物を浮上除去する処理である。この方法によれば、Al23の様な介在物は、Caの添加によってカルシウムアルミネート系複合酸化物(mCaO・nAl23、m,nは自然数)に変化し、アルゴンガスを吹込みながら溶鋼中から浮上除去される。
【0004】また、Ca添加のさらなる目的は、前記方法によっては除去されずに鋼中に残存する介在物を低融点化するためである。低融点化した介在物は、圧延や伸線の工程で変形しやすく、介在物周辺にボイドが発生しにくくなる。その結果、鋼の機械的特性の低下が少なくなるからである。
【0005】ところが、Ca添加による清浄鋼の製造方法においては、介在物の処理をするために、溶鋼中に数十〜数百ppmもの多量のCaを添加しなければならない。数十ppm以上のCaを添加しなければ、介在物の処理が不十分なために、鋼の機械的特性が低下するからである。そして、この様な多量のCaの添加は、鋼材の発錆を招く原因になっている。
【0006】そこで従来より、Ca添加による介在物の処理方法が種々提案されている。
【0007】例えば、特開平11−199917号公報には、脱炭及び脱酸精錬した後に、CaとREMとを複合添加し、溶鋼中のCaとREMとの合計濃度を0.0001から0.0015重量%に調整することを特徴とするステンレス鋼の精錬方法が開示されている。この方法は、REMとCaとを複合添加することによりCa単独添加による欠陥を補うものであり、溶鋼にREMを必ず添加するものである。
【0008】また、特開平7−3404号公報には、CaとMgの合計含有量が0.001〜0.01重量%である清浄度と溶接性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、Ca添加により清浄鋼を製造するにあたり、特開平11−199917号公報の如く溶鋼中にREM等の特別な元素を添加しなくとも効率良く清浄鋼を製造することができないかを検討した。その検討過程において、本発明者らは、介在物を処理するために添加したCa成分が鋼中に高濃度残存すると溶接性に悪影響を及ぼすことを見出した。特に、ステンレス鋼の場合には、溶接時のビード形状が不安定となるために好ましくない。ところが、従来の如くCaを一旦添加した後、アルゴンガスの様な不活性ガスを吹込みながら溶鋼を撹拌し、Ca成分を浮上除去する様な不純物の除去方法を施しただけでは、鋼中に残存しているCa成分を十分に除去することができず、溶接性を改善することは困難であることが分かった。
【0010】本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、Ca添加による清浄鋼の製造方法において、鋼中に残存しているCa成分を除去し、溶接性に優れる清浄鋼を製造する方法及びCa濃度が著しく低減された溶接性に優れる清浄鋼を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決することのできた本発明の方法とは、Ca添加による清浄鋼を製造する方法において、溶鋼中に残存するCa成分を減圧除去する工程を付加するところに要旨を有する。また、本発明の製造方法によれば、鋼中のCaの含有量を溶接性に悪影響を及ぼさないレベルにまで低減することが可能であり、特に0.0008%以下にまで抑制することができる。前記製造方法は、特にステンレス鋼の製造方法として有用である。
【0012】また、前記課題を解決することのできた本発明の溶接性に優れた清浄鋼とは、Ca添加による清浄鋼において、鋼中のCa含有量が、0.0008%以下であるところに要旨を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】上述した様に本発明の製造方法は、Ca添加による清浄鋼を製造するにあたり、特別の元素を添加しなくとも、鋼の溶鋼精錬においてCaを添加し、介在物の処理を行なった後に、溶鋼中のCa成分を減圧除去する工程を付加することにより、Caの低減された鋼を効率良く製造する方法を提供し得た点に特徴を有するものである。まず、本発明の製造方法について説明する。
【0014】本発明では、鋼の溶鋼精錬においてCaを一旦添加し、介在物の処理をする。前記溶鋼精錬法としては、特に制限されず、例えば、転炉処理した溶銑を取鍋で精錬する取鍋精錬方法や、電気炉により溶解した鋼を精錬する電気精錬等の方法が挙げられ、詳細には、硫黄、りんなどの除去処理工程、炭素、窒素、水素などの除去処理工程、溶鋼中の酸素を除去する脱酸工程、他の合金成分を添加する工程等が包含される。
【0015】本発明においては、これらの工程とともにまたはこれらの工程の後、造塊前に、溶鋼中にCaを添加し、介在物の処理を一旦行なう。Ca添加により介在物をCaO複合酸化物として除去し、除去しきれなかった介在物を低融点化するためである。特に脱酸工程において発生し、除去できなかった介在物を制御するという点から、脱酸工程の後にCaを添加し、介在物の処理を行なうことが好ましい。
【0016】本発明の製造方法において、介在物を処理するために添加される前記Caの形態は、Ca単体に限定されず、例えば、Caと鉄との混合物;鉄に固溶する元素と合金化したCa合金;製鋼温度で解離する化合物(CaC2,CaCN2,CaCl2)等が挙げられ、特に鉄に固溶する元素と合金化したCa合金が好ましい。前記Ca合金は、鋼への相溶性が高いので介在物を効率的に処理することができるからである。前記鉄に固溶する元素と合金化したCa合金としては、例えば、CaAl、CaSi等が挙げられる。尚、溶鋼中にCaを添加する方法は、特に限定されず、インジェクション法、合金弾発射法(SCAT法)、ワイヤーフィード法などが挙げられる。溶鋼に簡便に添加できるという点から、ワイヤーフィード法が好ましく、詳細にはCaAlワイヤー、CaSiワイヤー或いは鉄被覆CaAlワイヤー、鉄被覆CaSiワイヤーなどを使用することが好ましい。
【0017】溶鋼中へのCaの添加量は、特に限定されないが、Ca成分換算で、好ましくは0.0010%以上、より好ましくは0.0015%以上、0.0035%以下である。Ca成分が0.0010%未満であると介在物を処理する効果が少なく、最終的な鋼の機械的特性の低下を防止することができないからである。また0.0035%を超えると、Ca成分が多すぎるので、かえって鋼の清浄度が低下するからである。
【0018】本発明は、この様にしてCa添加による介在物の処理を行なった後に、溶鋼中に残存するCa成分を減圧除去する工程を付加するものである。不活性ガスを吹込みながらCa成分を浮上除去するだけでは、溶鋼中のCa成分を十分に除去することができず、鋼中にCa成分が残存すると溶接性が低下するからである。ここで、Ca成分とは、例えば、溶鋼中の酸素と反応し生成した酸化物(CaO);介在物との複合酸化物(mCaO・nAl23、m、nは自然数);鉄に固溶しているCa単体等の形態のCa成分である。ちなみに、溶鋼中のCa成分除去を目的として、不活性ガスを吹きこみつつ撹拌したり、撹拌流量を制御するなどの方法を種々試みたが、満足のいく結果は得られなかった。
【0019】ここで、溶鋼中のCa成分を減圧除去する具体的方法は、特に限定されず、例えば、還流式取鍋真空脱ガス法(RH法)、真空酸素上吹き脱炭法(VOD法)等の装置を用いて実施することができる。また前記減圧除去は、溶鋼中にアルゴンの様な不活性ガスを吹き込み、溶鋼を撹拌しながら実施することが好ましい。溶鋼を撹拌すると、溶鋼中でCaと酸素との反応によるCaOの生成が促進されるので、CaO成分を溶鋼中から浮上分離しやすくなるからである。
【0020】本発明の方法を一層明らかにする目的で、以下に、前記減圧手段として、VOD法装置(図1)を用いる方法を代表的にとりあげて説明する。勿論、本発明に用いられる減圧除去手段はこれに限定されるものではない。
【0021】図中、1は、溶鋼の温度を測定し、サンプリングをするための装置であり、2は、必要に応じて溶鋼に他の合金成分を添加するための合金ホッパである。減圧装置カバー3及び減圧装置底部6は、減圧部を構成し、Ca添加により介在物の処理をした溶鋼の入った取鍋5が設置され、減圧ライン7によって、溶鋼中のCa成分を減圧除去する。4は、取鍋5内部の溶鋼に不活性ガスを導入するための不活性ガス導入口であり、不活性ガスを吹きこむことにより溶鋼を撹拌しながら、溶鋼中のCa成分を減圧除去することが好ましい。
【0022】前記減圧除去の条件は、溶鋼中に残存するCa成分が溶接性に悪影響を及ぼさないレベルにまで低減し得る様、適宜、好適な条件を設定すれば良いが、推奨される条件として133Pa以下で5〜20分間、好ましくは133Pa以下で10〜15分間実施すればよい。減圧度が133Paを超えると、溶鋼中のCa成分を除去するのに長時間要するので好ましくない。前記減圧除去により溶鋼中のCaが著しく低減される理由は、詳細には不明であるが、Ca成分が溶鋼中から浮上分離しやすくなるからと考えられる。
【0023】また、前記不活性ガスとしては、アルゴンガス、窒素ガス、一酸化炭素ガスなどが挙げられ、好ましくはアルゴンガスである。なお、前記方法では、溶鋼を撹拌しながらCa成分の減圧除去をすることが推奨されるが、前記不活性ガスを20〜40(l/min、標準状態)の流量で吹込むことによって撹拌を行なうことが好ましい。
【0024】前記減圧除去工程は、Ca処理を施す鋼の溶鋼精錬において、上述の如くCa添加後に施せば良く、例えば、溶鋼精錬処理中若しくは溶鋼精錬処理後に、前記減圧除去工程を付与すれば良いが、最終調整合金鋼からのCa混入による悪影響を回避することを目的として、溶鋼精錬処理の最終段階(造塊前)に、前記減圧除去工程を付与することが推奨される。
【0025】本発明においては、前記減圧除去により鋼中のCa含有量を0.0008%以下にすることが好ましい。減圧除去後のCa含有量が0.0008%を超えると、最終的に得られる鋼の溶接性が低下するからである。特にステンレス鋼の場合には、溶接性の低下が著しい。
【0026】本発明の方法は、Ca添加による清浄鋼の製造方法において介在物の処理を行なった後に、前記減圧除去工程を付加したところに特徴があるのであって、その他の工程については特に制限されず、通常の製造条件を適宜選択することができる。本発明の製造方法によって得られる鋼は、鋼中のCa含有量が0.0008%以下まで低減されており、溶接性に優れている。しかも介在物の形態も適切に制御されているので、清浄性及び溶接性の双方に優れたものが得られ、それ自体新規である。すなわち、Ca添加による清浄鋼において、鋼中のCa含有量が0.0008%以下(0%を含む)に低減された清浄鋼は、従来知られていない。
【0027】例えば、特開平7−3404号公報に開示されている様なオーステナイト系ステンレス鋼は、Caを含有する清浄鋼ではあるが、B及びNの添加量を限定することにより溶接性を改善させる点で、Ca添加により介在物の処理をして清浄性を高め、鋼中のCaを低減することにより溶接性を向上させた本発明とは、課題達成のための技術的思想が相違するものである。また、実際のところ、前記公報のオーステナイト系ステンレス鋼のCa濃度は、12〜42ppmと本発明の製造方法で得られる鋼に比べて高いものである。従って、本発明の技術分野、特にステンレス鋼の分野において、鋼中のCa含有量が0.0008%以下にまで低減された清浄鋼は、それ自体新規であると考えられる。なお、Ca含有量は、少なければ少ないほど好ましく、0.0008%以下、より好ましくは0.0005%以下に抑制することが推奨され、本発明では0%も含み得る。
【0028】なお、本発明は、減圧除去によりCa含有量を低減させたところに特徴があり、本発明における鋼中のCa成分以外の化学成分は、特に制限されないが、好ましい態様は以下の通りである。
【0029】C:0.2%以下である(0%を含まない)。Cは、炭化物を形成して強度を向上するのに有用な元素である。ただし、0.2%を超えて添加するとCrと結合し、耐食性に悪影響を及ぼすので、0.2%以下に制御することが推奨される。
【0030】Si:2%以下とする(0%を含まない)。Siは、脱散剤として添加される元素である。ただし、2%を超えて添加すると脆化を助長するので、2%以下に制御することが推奨される。
【0031】Mn:2%以下である(0%を含まない)。Mnは、Siと同様脱酸剤として添加される元素であり、2%以下に制御することが好ましい。2%を超えて添加すると脆化を助長するからである。
【0032】以上は、本発明の基本成分であり、残部は、Fe及び不可避不純物である。また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の化学成分を用いることができ、さらなる特性付与を目指して下記成分を積極的に添加したり、或いは悪影響を回避する目的で下記成分を制御することが推奨される。
【0033】P及びSは、不純物として存在し、耐熱間加工割れ性を劣化させる元素である。そのため、P及びSの含有量は、低いことが好ましく、それぞれP:0.03%以下、S:0.025%以下とする。
【0034】本発明における鋼のCa以外の化学成分は、より好ましくは、ステンレス鋼の化学成分組成である。ステンレス鋼の場合に、鋼中に残存するCa成分による溶接性の低下が顕著であり、Ca成分の除去による溶接性の改善効果が大きいからである。
【0035】前記ステンレス鋼としては、Crを12〜30%、好ましくは15〜20%含有する鋼であれば、特に限定されず、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼が挙げられる。前記オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えばSUS301,SUS302,SUS303,SUS303e,SUS304,SUS304L,SUS304N1,SUS304N2,SUS304LN,SUS305,SUS309S,SUS310S,SUS316,SUS316L,SUS316N,SUS316LN,SUS316J1,SUS316J1L,SUS317,SUS317S,SUS317J1,SUS321,SUS347,SUSXM7,SUSXM15J1等のJIS規格に定める組成を有するステンレス鋼がある。前記オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼としては、例えば、SUS329J1のJIS規格に定める組成を有するステンレス鋼がある。前記フェライト系ステンレス鋼としては、SUS405,SUS410L,SUS430,SUS430F,SUS434,SUS447J1,SUSXM27等のJIS規格に定める組成を有するステンレス鋼がある。前記マルテンサイト系ステンレス鋼としては、SUS403,SUS410,SUS410J1,SUS416,SUS420J1,SUS420J2,SUS420F,SUS431,SUS440A,SUS440B,SUS440C,SUS440FなどのJIS規格に定める組成を有するステンレス鋼がある。前記析出硬化系ステンレス鋼としては、SUS630,SUS631等のJIS規格に定める組成を有するステンレス鋼がある。
【0036】本発明では、SUS316系、SUS317系、SUS321系、SUS347系等のオーステナイト系ステンレス鋼の化学成分組成を有することが特に好ましい。前記ステンレス鋼は、腐食環境で用いられる場合が多いので、特に清浄性が要求されるからである。
【0037】
【実施例】[試験鋼の作製]実施例1〜7転炉処理を終えた溶鋼を取鍋にとりだし、減圧下で、カーボン脱酸、硫黄成分の除去、酸素、窒素などの脱ガス処理を行なった後、Caを0.0025%溶鋼中に添加し、介在物の処理を行った。次いで、表1に示す各合金成分を加えて成分調整を行った後、133.3Pa以下の減圧下10分間、溶鋼中に残存しているCa成分を減圧除去した。得られた溶鋼から、溶接試験用の試験片を作製した。
【0038】比較例1〜9溶鋼中のCa成分を減圧除去しなかったこと以外は、実施例1〜7と同様の方法で鋼を製造した。得られた溶鋼から、溶接試験用の試験片を作製した。
【0039】[合金成分分析]得られた鋼の合金成分の分析結果を表1に示した。
【0040】[溶接性試験]得られた試験片についてTIG溶接を実施し、そのビード形状の安定性(ふらつき)について評価を行なった。結果を表1に示した。
【0041】
【表1】

【0042】表1より、Ca成分を減圧除去する本発明の製造方法を用いた鋼は、Ca含有量が0.0008%以下に低減されており、溶接性にも優れていることが分かる。なお、表には示していないが、本発明鋼は介在物の形態も好ましく制御されており、清浄性に優れていることを確認している。
【0043】これに対し、比較鋼のCa含有量はいずれも、0.0008%を超え、ビード形状が不安定で溶接性が不良であった。この結果より、アルゴンガスを吹込みながらCa成分を浮上除去するだけの方法では、溶接性を改善できる0.0008%以下までCa含有量を低減することができないことが明らかとなった。
【0044】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、介在物処理のために添加したCa成分を0.0008%以下まで安定して抑制することができ、その結果、清浄性はもちろんのこと、溶接性にも優れた鋼を提供することができた。特に本発明の製造方法により、溶接時のビード形状が良好な清浄鋼が得られるので、とりわけステンレス鋼を製造するのに好適に用いられる。
【出願人】 【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
【出願日】 平成13年1月29日(2001.1.29)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司 (外1名)
【公開番号】 特開2002−220618(P2002−220618A)
【公開日】 平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願番号】 特願2001−20155(P2001−20155)