| 【発明の名称】 |
精錬炉の羽口ライニング構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】今 西 正 記
【氏名】笠 原 徹 郎
【氏名】森 下 重 義
【氏名】須 藤 実
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| 【要約】 |
【課題】精錬炉の羽口部煉瓦の耐用性の向上を図ることを課題とする。
【解決手段】精錬炉の側壁下部に配置され金属製パイプを挿入して酸素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを吹き込むための羽口を、羽口煉瓦7およびその周囲に配設される羽口受け煉瓦8からなる羽口部煉瓦5で構成し、この羽口部煉瓦5を炭素含有耐火物により構成したことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】精錬炉の側壁下部に配置され羽口パイプを挿入して不活性ガスを吹き込むための羽口を、羽口煉瓦およびその周囲に配設される羽口受け煉瓦からなる羽口部煉瓦で構成し、この羽口部煉瓦を炭素含有耐火物により構成したことを特徴とする精錬炉の羽口ライニング構造。 【請求項2】前記炭素含有耐火物は、Cが3〜25重量%、骨材としてMgOおよび/またはAl2O3が75〜97重量%を主成分として構成されている請求項1記載の精錬炉の羽口ライニング構造。 【請求項3】前記羽口部煉瓦の周囲はマグネシア−クロム質煉瓦またはドロマイト質煉瓦でライニングされている請求項1または2記載の精錬炉の羽口ライニング構造。 【請求項4】前記羽口部煉瓦は、前記羽口煉瓦に設けられているパイプ挿入孔の内周から羽口冷却効果が及ぶ300mm以下の肉厚とされている請求項1〜3のいずれか1項記載の精錬炉の羽口ライニング構造。 【請求項5】前記羽口煉瓦が交換可能なスリーブ構造とされている請求項1〜4のいずれか1項記載の精錬炉の羽口ライニング構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、AOD炉等の精錬炉の羽口ライニング構造に関する。 【0002】 【従来の技術】溶鋼中に酸素ガスと共にアルゴンまたは窒素等の不活性ガスを吹き込み、発生するCOガスの分圧を低下させることによりCr等の有価金属の酸化を抑制しながら脱炭を効率よく行なう方法としてAOD(Argon Oxygen Decarburization)法を用いた精錬炉(AOD炉)が主としてステンレス鋼の精錬炉として広く使用されている。 【0003】上記のAOD炉は、図6にその一例の断面図を示すように、AOD炉1の側壁部1aの下部に2〜6本の羽口2を有し、この羽口2から酸素ガスとアルゴンガスを炉内に吹き込み、溶鋼を攪拌しながら精錬を行なうようになっている。上記羽口2は、側壁部1aを構成する煉瓦にその長手方向に貫通する孔で構成され、この孔に二重管からなる金属製の羽口パイプを挿着してガスを吹き込む構造となっている。 【0004】上記AOD炉1の内張り耐火物3は、炉内が高温であることと精錬時間が長いことによる苛酷な条件下で使用されるため、一般に高温での耐食性に優れた高温焼成マグネシア−クロム煉瓦や焼成マグネシア−ドロマイト煉瓦が羽口2を含んで使用されている(特開平7−157361号公報、特開昭57−32318号公報等)。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしてAOD炉1の側壁部1aに配設される羽口2に使用される羽口煉瓦は、精錬中はその稼動面が溶鋼に晒されて加熱されると同時に、内部に挿入される金属製パイプを通じてガス冷却されるため羽口煉瓦の内部に急激な温度勾配が生じて熱応力が発生する。 【0006】また出鋼後は羽口パイプによるガス冷却によって急激に温度が低下し、次の受鋼時には大きな熱衝撃を受ける。 【0007】したがって羽口煉瓦は煉瓦内部の温度勾配が厳しくかつ温度変動の激しい部位が存在することになるため、従来のように羽口煉瓦にマグネシア−クロム煉瓦やドロマイト煉瓦のように酸化物系の煉瓦を使用したのではスポーリングによる損傷を抑えることができなかった。 【0008】一方、耐スポーリング性に優れた材質としてMgO−Cなどの炭素含有耐火物があり、転炉などにおいて使用されている(特開平6−184617号公報、特開平6−220517号公報)。 【0009】しかしながらステンレス鋼精錬炉であるAOD炉の場合、操業温度が1700〜1800℃と非常に高温となるため、酸化や、MgOとCとの反応により損傷を受けることが考えられ、炭素含有耐火物では十分な耐用は得られなかった。 【0010】そこで本発明者らは、高温操業を行なう精錬炉における羽口煉瓦それ自体は羽口パイプによってガス冷却される点に着目し、羽口煉瓦およびその周囲に配設される羽口受け煉瓦を炭素含有耐火物によって構成するようにしたことにより従来の問題点の解消を図ったものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記従来の技術が有する問題点を解消する手段として本発明は、精錬炉の側壁下部に配置され羽口パイプを挿入して不活性ガスを吹き込むための羽口を構成する羽口煉瓦およびその周囲に配設される羽口受け煉瓦からなる羽口部煉瓦を備え、この羽口部煉瓦を炭素含有耐火物により構成したことを特徴とする。 【0012】前記炭素含有耐火物は、Cが3〜25重量%、骨材としてMgOおよび/またはAl2O3が75〜97重量%を主成分として構成することが好ましい。 【0013】また前記羽口部煉瓦の周囲はマグネシア−クロム質煉瓦またはドロマイト質煉瓦でライニングすることが好ましい。 【0014】さらに前記羽口部煉瓦は、前記羽口煉瓦に設けられているパイプ挿入孔の内周から羽口冷却効果が及ぶ300mm以下の肉厚とするのがよく、また前記羽口煉瓦を交換可能なスリーブ構造とすることができる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照し、図4と共通する部分にはこれと同一符号を用いて説明する。 【0016】図1は本発明を適用した精錬炉の一例としてAOD炉1の炉底1bを含み、それに近い側壁部1aの断面図を示し、図2は図1のA−A相当の断面を示している。 【0017】上記AOD炉1の側壁部1aの内面を構成する煉瓦4は横迫りの長い構造を有し、この側壁部1aに組み込まれる羽口部煉瓦5も上記煉瓦4と同様に横迫りの長い構造を有している。 【0018】上記羽口部煉瓦5は、図3にその一例を示すように、酸素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを吹き込むための羽口パイプを挿入するパイプ挿入孔6を長手方向に貫通して有する羽口煉瓦7と、この羽口煉瓦7の周囲に配設される羽口受け煉瓦8とで構成され、これら羽口煉瓦7および羽口受け煉瓦8は、MgO−C、Al2O3−C、Al2O3−MgO−C等の炭素含有耐火物により構成されている。この場合、好ましくはCの含有量は3〜25重量%とされる。 【0019】上記AOD炉1の側壁部1aの内面を構成する煉瓦4としては、マグネシア−クロムまたはドロマイト質煉瓦が用いられる。このマグネシア−クロム質煉瓦を用いる場合には、前記羽口部煉瓦5のMgO−C中のカーボンにより煉瓦中のFe2O3やCr2O3が還元されて金属になることを防ぐため羽口部煉瓦5の周囲にモルタルを塗布することが望ましい。 【0020】上記羽口部煉瓦5の周囲は羽口パイプからの冷却効果が及びにくくなって羽口部煉瓦5よりも高温となり、高温下ではマグネシア−カーボン反応やカーボンの酸化が促進されて炭素含有耐火物の損傷が急激に増加する。 【0021】それ故、羽口部煉瓦5の周囲に炭素を含まないマグネシア−クロム質煉瓦やドロマイト質煉瓦を用いることにより、高温下では炭素含有耐火物よりも耐食性に優れるので好ましいものとなる。 【0022】また羽口パイプからの冷却作用が及ばないため温度変化もなく、その結果マグネシア−クロム質煉瓦やドロマイト質煉瓦の欠点であるスポーリング損傷が起きにくいものとなる。 【0023】前記羽口部煉瓦5の羽口煉瓦7は、図示の実施形態では図3に例示しているように断面円形で先細のテーパー管状をなすスリーブ構造とされており、羽口受け煉瓦8に対し羽口煉瓦7を挿脱可能として羽口煉瓦7を交換することができるように構成することができる。 【0024】この場合、羽口煉瓦7の周囲の羽口受け煉瓦8がマグネシア−クロム質煉瓦製であると割れやすいため羽口煉瓦7をスリーブ構造とすることは困難であるが、羽口受け煉瓦8を炭素含有耐火物製とすることにより上記のスリーブ構造を採用することが可能となり、羽口煉瓦7のみを交換補修可能とすることができる。 【0025】前記羽口煉瓦7は、図5に例示するように断面矩形状としてもよく、また羽口受け煉瓦8は断面円形としてもよい。そしてこれら羽口煉瓦7および羽口受け煉瓦8は軸方向あるいは周方向に複数に分割した構成としてもよい。 【0026】また前記羽口部煉瓦5は、羽口煉瓦7のパイプ挿入孔6の内周からの羽口冷却効果が及ぶ範囲の肉厚とされ、好ましくは300mm以下の肉厚とされる。 【0027】表1に本発明による羽口部煉瓦5の寸法(図3、図4参照)と煉瓦の化学組成を組み合わせた実施例1〜6と、本発明と同様な構造を有し羽口部煉瓦5の寸法(図4参照)と煉瓦の化学組成を組み合わせた比較例7〜9を示している。これと併せて実炉における羽口煉瓦の損傷速度に基づく実施例と比較例との耐用性を示す。 【0028】ここに示す実施例と比較例とはスリーブ構造を有しているが、実炉の耐用性はスリーブ交換を実施していない場合で比較している。 【0029】 【表1】
表2には、羽口受け煉瓦を有しない従来の構造において羽口煉瓦および側壁部1aをマグネシア−クロム質煉瓦(比較例10)あるいはドロマイト質煉瓦(比較例11)とした比較例と、これら比較例の耐用性を示す。 【0030】 【表2】
上記において、実施例3と比較例7、および実施例6と比較例8は羽口部煉瓦に同じ煉瓦が用いられているが、羽口部煉瓦の寸法が異なり、比較例7と8とは羽口部煉瓦の形状が大きく、羽口パイプからの冷却効果が煉瓦全体に及び難くなるため溶損が大きくなる。 【0031】比較例9は羽口部煉瓦の大きさは実施例2と同じであるが、炭素含有量が少ないためスポーリングによる損傷が大きい。 【0032】上記表1および2の評価結果からみて、本発明の実施例はいずれも指数100を上まわっているが、比較例においてはいずれも指数100乃至それ以下の数値を示しており、本発明による耐用性の優位を示している。 【0033】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、精錬用のガスを吹き込むためのパイプ挿入孔を有する羽口煉瓦、およびこの羽口煉瓦をとり巻く羽口受け煉瓦をMgO−C、Al2O3−C、Al2O3−MgO−Cなどからなる炭素含有耐火物で構成したことにより、高温操業される精錬炉の羽口であっても羽口煉瓦自体はガス冷却されるので耐スポーリング性に優れたものとなり、従来のマグネシア−クロム質煉瓦やドロマイト質煉瓦を用いたものに較べて耐用性を大幅に向上させることができる。 【0034】請求項3のように、羽口部煉瓦の周囲をマグネシア−クロム質煉瓦またはドロマイト質煉瓦でライニングするようにすれば、グレードの低い材質で安価にできながらこれら煉瓦には羽口パイプによる冷却作用が及ばないので温度変化をきたすことがなく、したがってスポーリング損傷も起きにくく、耐用性に優れた構造とすることができる。 【0035】また請求項4のように羽口煉瓦をスリーブ構造として交換可能な構成とすることができるので、羽口煉瓦が損傷した場合に羽口煉瓦のみを交換することのできる構造を採用することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002118 【氏名又は名称】住友金属工業株式会社 【識別番号】000001971 【氏名又は名称】品川白煉瓦株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年10月11日(2000.10.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064285 【弁理士】 【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−115011(P2002−115011A) |
| 【公開日】 |
平成14年4月19日(2002.4.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−310383(P2000−310383) |
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