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【発明の名称】 トピードカーの受銑方法
【発明者】 【氏名】有村 昭洋

【要約】 【課題】トピードカーの内容積を測定することによってトピードカーへの受銑量の最適化を図る。

【解決手段】トピードカーの蓋を閉じてトピードカー内に不活性ガスを注入し、流入量と分圧とからトピードカーの内容積を算出し、溶銑予備処理に要する空所の容積を差引いてトピードカーの受銑量を算出し、トピードカーの連続重量測定を行いつつ、算出した受銑量まで受銑する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トピードカーの蓋を閉じてトピードカー内に不活性ガスを注入し、流入量と分圧とからトピードカーの内容積を算出し、溶銑予備処理に要する空所の容積を差引いてトピードカーの受銑量を算出し、トピードカーの連続重量測定を行いつつ、算出した受銑量まで受銑することを特徴とするトピードカーの受銑方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トピードカーに溶銑を過不足なく受け入れるトピードカーの受銑方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トピードカーに溶銑を受銑する際、トピードカー内に付着残留している溶銑やスラグの量は不確定であり、トピードカーの重量測定によって受銑量を決めることはできない。このため、従来、受銑中にトピードカー内の溶銑上面レベルをマイクロ波レベル計を適用して自動測定する手段が採られている。(実開昭58−138035号公報参照)マイクロ波レベル計ではスラグ上面レベルの測定は可能であるが、スラグを透過しての溶銑面レベルの測定は不可能である。したがってマイクロ波レベル計を用いてトピードカーへ受銑する場合には溶銑面レベルの正確な把握はできない。そのために受銑量のバラツキが大きく、溶銑予備処理が困難となるトピードカーも発生していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はトピードカーの内容積を測定することによってトピードカーへの受銑量の最適化を図ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、トピードカーの蓋を閉じてトピードカー内に不活性ガスを注入し、流入量と分圧とからトピードカーの内容積を算出し、溶銑予備処理に要する空所の容積分の溶銑量を差引いてトピードカーの受銑量を算出し、トピードカーの連続重量測定を行いつつ、算出した受銑量まで受銑することを特徴とするトピードカーの受銑方法である。
【0005】本発明は、トピードカーの受銑前にハッチの蓋を閉じ、トピードカー内にガス(不活性ガス)を封入しその分圧を測定することによりトピードカー内容積を算出し、最適受銑重量を求める。このとき、ガスの温度補正及び漏洩補正を行う。
【0006】次いで高炉下でトピードカーの連続重量測定を実施しながら事前に求めた最適受銑量まで受銑する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0008】(1)トピードカーの蓋を閉じてその中にガス(不活性ガス)を注入しその分圧を測定する。測定結果からトピードカーの内容積を算出する。図1は分圧とトピードカーの内容積との関係を示すグラフである。注入ガス量が一定のとき、分圧ΔPはトピードカーの内容積に反比例するので、図1に示す曲線10の通りとなる。
【0009】(2)溶銑予備処理可能なスペース(スラグフォーミング用フリースペース)を確保した上でのトピードカー最適受銑量を算出する。図2はトピード内容積とトピードカーの受銑量との関係を示すグラフである。内容積Vとトピードカーの受銑量との関係は図2の曲線11の通りであり、フリースペース分の溶銑量13を控除した曲線12によって受銑量を決定する。
【0010】(3)高炉下でトピードカーの連続重量測定を実施し、事前に求めた最適受銑量まで受銑する。
【0011】以上の計算過程における温度補正及び漏洩補正について説明する。
【0012】トピードカーの内容積をV(m3)とする。一方送入する不活性ガス量をV0(m3)(標準状態)とする。トピードカー内は温度が高いが、溶銑を払出し排滓後の温度t℃は安定しており、トピードカー内に存在する空気もほぼt℃となっている。不活性ガス注入量は内在する空気量の数分の1程度でよく、トピードカーの熱容量は大きいので注入された不活性ガスもほぼt℃となる。このt℃の値は通常約500℃である。従って吹き込まれた不活性ガスの容積V1は、V1=V0×(273+t)/273 (m3
となる。ここで、不活性ガスの分圧をΔPとすれば、ΔP=V1/V0となる。
【0013】次にトピードカーの蓋は完全密閉することが必ずしも容易でない。従って漏洩補正の必要がある。これを求めるには、図7に示すように不活性ガスを注入したときのトピードカー内の分圧ΔPの変化の時間経過から算出する。注入過程(圧力上昇過程)(曲線32)の注入完了時刻T1のときの分圧ΔP2を求めておく。次に注入を停止し、停止後0.5T1経過したときの分圧ΔP3を昇圧後の圧力降下曲線33から求める。このときの(ΔP2−ΔP3)は時間0.5T1経過する間の漏洩による分圧低下であり、近似的に分圧が0からΔP2まで上昇する注入時間0からT1までの間における漏洩量にほぼ等しい。従って、先に求めたΔP2にこの漏洩分相当の分圧(ΔP2−ΔP3)を加えたΔP1=ΔP2×2−ΔP3が、漏洩がないときの分圧の経過(図7の曲線31)に近似する。
【0014】以上の温度補正及び漏洩補正を上記(1)〜(3)の計算過程において考慮することによって、トピードカーの実際の内容積を求めることができ、これに基いて、図2に従って受銑量を決定することができる。
【0015】図3は従来のトピード内への溶銑の受銑量の頻度分布曲線21を示すグラフである。図4は本発明実施後のトピード内への溶銑の受銑量の頻度分布曲線22を示すグラフである。図5、図6はそれぞれ図3、図4の頻度累積曲線23、24を示したもので、フリーボード高さが不足のために溶銑予備処理できなかった限界を限界線25で示した。図3と図4とを比較すると従来の受銑量平均が100(相対指数値)であったものが本発明実施後は110(相対指数値)に上昇した。図5と図6とを比較すると溶銑予備処理不可能なトピードが従来100(相対指数値)であったものが10分の1の10(相対指数値)に減少した。
【0016】
【発明の効果】従来トピードカー内の付着残留している銑鉄やスラグ量が不確定のためにトピードカーの受銑量を正確に決めることが困難であったが、本発明によれば、トピードカーの容積を知ることができるため受銑量を正確に定めることができるようになった。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【出願日】 平成12年8月16日(2000.8.16)
【代理人】 【識別番号】100079175
【弁理士】
【氏名又は名称】小杉 佳男 (外1名)
【公開番号】 特開2002−60822(P2002−60822A)
【公開日】 平成14年2月28日(2002.2.28)
【出願番号】 特願2000−246996(P2000−246996)