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【発明の名称】 容器中へのガス供給による溶融金属の清浄化方法
【発明者】 【氏名】濱荻 健司

【要約】 【課題】容器内の溶融金属へのガス供給による酸化物の効率的除去方法の提供。

【解決手段】下記(1)〜(3)の工程を有する酸化物の除去方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】容器中の溶融金属にガスを供給することにより、溶融金属中の酸化物を除去する方法であって、下記の(1)〜(3)の工程を有することを特徴とする溶融金属中の酸化物の除去方法。
(1) 容器内における運動量収支、エネルギー収支、物質収支に基づく数式モデルに操業条件を与えることにより、容器内の各位置における溶融金属の流動、気泡分布および酸化物分布を求め、(2) 前記(1)の工程で求めた情報に基づき、容器内の各位置における気泡と酸化物の衝突および気泡による酸化物の捕捉除去確率を求め、(3) 前記(2)の工程で求めた情報に基づき、酸化物の除去量を最大とするガス供給位置および/またはガス供給量を決定する。
【請求項2】気泡近傍の流動解析により溶融金属の流線を求め、これに基づいて気泡と酸化物の衝突および気泡による酸化物の捕捉除去確率を求めることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属中の酸化物の除去方法。
【請求項3】気泡近傍の流動解析に基づいてあらかじめ気泡と酸化物の相対速度と捕捉確率との関係を求めておき、容器内の各位置において気泡近傍での気泡と酸化物の相対速度に応じて、前記の相対速度と捕捉確率との関係に基づいて酸化物の捕捉確率を求めることを特徴とする請求項2に記載の溶融金属中の酸化物の除去方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は容器内の溶融金属にガスを吹き込んで酸化物を除去低減する際に、数式モデルにより容器内の流動および酸化物の捕捉除去率等を求め、これに基づいて操業を最適化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、連続鋳造におけるタンディッシュ、真空脱ガス装置または取鍋等の容器内へアルゴン、窒素等のガスを吹き込んで撹拌することにより、溶融金属の反応効率を向上させたり、酸化物の凝集肥大を促進して浮上分離を促す方法がとられてきた。
【0003】とくに、溶融金属中の気泡内に酸化物を取り込み、気泡と共に浮上分離させるプロセスにおいては、ガスの吹き込み位置、吹き込み量等の吹き込み形態を最適化するために、溶融金属の替わりに例えば水を動作流体とした水モデル実験による容器内の流動状況の確認が行われてきた。さらに、実際の容器の縮小模型を用いた溶融金属モデル実験を行って酸化物除去効果等を確認した後、実機に適用して試行錯誤を繰り返し、プロセスを改善する手順がとられてきた。
【0004】また、数式シミュレーションによる結果を実験結果と対比検討することによりその評価法を実機に適用する試みも行われている。
【0005】Iron and Steelmaker, vol.24(1997), August, p31〜38には、RH脱ガス装置における酸化物の衝突と除去に関する数式モデルの開発、および酸化物のサイズ分布についての実測値との比較が記載されており、得られた知見に基づき酸化物の除去機構の検討および実操業との関連付けが行われている。
【0006】しかし、この方法においては、数式モデルにおいて気泡と酸化物の衝突捕捉確率を一定としており、流動状況が著しく変動する領域では衝突捕捉確率を過小評価する一方で、流動が緩やかな領域においては、同捕捉確率を過大評価してしまうといった問題がある。
【0007】また、ISIJ International, vol.36(1996), No.1, p7〜16においては、気泡のまわりの流動が低レイノルズ数から中間レイノルズ数領域であるとして気泡による酸化物捕捉確率を導出している。しかし、現実には容器内で発生する気泡サイズは大きくなるために、レイノルズ数の値は同文献における低〜中間領域を超える。したがって、同文献において導出された酸化物捕捉確率は現実の値と相違する結果となる。
【0008】上記のように、水モデル実験、溶融金属縮小モデル実験を介して実機試験を行い、試行錯誤を繰り返す方法においては、開発期間が長くなり、開発コストも上昇する。水モデル実験においては溶融金属の熱的な影響を評価出来ず、縮小溶融金属モデルにおいては実機へのスケールアップに問題を抱え、結局は実機テストに依存する場合が多い。また、数式モデルによるシミュレーションによる方法においても、捕捉確率を一定としたり、気泡周囲の流れをレイノルズ数の低い領域における流れとする方法の場合には、局所的に流動が大きく変化することの多い実機での現象との間に大きな乖離を招く。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、その課題は、容器内における気泡による酸化物の捕捉確率を数式モデルにより高い精度でシミュレーションし、酸化物を効率的に除去する溶融金属の清浄化方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の課題に鑑みてなされたものであり、その要旨は次のとおりである。
(1) 容器中の溶融金属にガスを供給することにより、溶融金属中の酸化物を除去する方法であって、下記の(a)〜(c)の工程を有する溶融金属中の酸化物の除去方法。
(a) 容器内における運動量収支、エネルギー収支、物質収支に基づく数式モデルに操業条件を与えることにより、容器内の各位置における溶融金属の流動、気泡分布および酸化物分布を求め、(b) 前記(a)の工程で求めた情報に基づき、容器内の各位置における気泡と酸化物の衝突および気泡による酸化物の捕捉除去確率を求め、(c) 前記(b)の工程で求めた情報に基づき、酸化物の除去量を最大とするガス供給位置および/またはガス供給量を決定する。
【0011】(2) 気泡近傍の流動解析により溶融金属の流線を求め、これに基づいて気泡と酸化物の衝突および気泡による酸化物の捕捉除去確率を求める前記(1)に記載の溶融金属中の酸化物の除去方法。
【0012】(3) 気泡近傍の流動解析に基づいてあらかじめ気泡と酸化物の相対速度と捕捉確率との関係を求めておき、容器内の各位置において気泡近傍での気泡と酸化物の相対速度に応じて、前記の相対速度と捕捉確率との関係に基づいて酸化物の捕捉確率を求める前記(2)に記載の溶融金属中の酸化物の除去方法。
【0013】本発明者は以下の知見を得て、上記の発明を完成するに至ったのである。
■気泡近傍の流動を後述するミクロモデルにより詳細に解析することにより、気泡と酸化物との相対運動を高い精度で把握することができる。
【0014】■溶融金属中を移動する酸化物が気泡と最も接近する位置は、気泡近傍のレイノルズ数の増加にともなって気泡の前面側に移動する。これを考慮することにより、酸化物の捕捉確率を高い精度で算出できる。
【0015】■シミュレーションの方法としては、イ)気泡近傍のミクロモデルによる流動解析に基づいてあらかじめ気泡と酸化物の相対速度と捕捉確率との関係を求めておき、容器内の各位置において気泡近傍での気泡と酸化物の相対速度に応じて、前記の相対速度と捕捉確率との関係に基づいて酸化物の捕捉確率を求める方法。
ロ)気泡近傍のミクロモデルを容器内流動解析に組み込んでシミュレーションを行い、酸化物の捕捉確率を求める方法。
があり、必要精度および所要シミュレーション時間により、選択すればよい。
【0016】なお、本発明において、酸化物とは溶融金属が凝固した状態でいわゆる非金属介在物として検出されるものの総称である。
【0017】
【発明の実施の形態】前記問題を解決するために、数式モデルに基づくシミュレーションにより対象とするガス供給プロセスの解析を行い、最適な操業条件を把握した。
【0018】なお、溶融金属としては溶鋼を例にとり、また、気泡および酸化物は球形として以降の説明を行うが、本発明はこれに限られるものではない。
1)溶鋼の運動 容器内の溶鋼流動を把握するため、容器内の溶鋼温度差に基づく自然対流の影響を考慮し、下記の式(1)〜(3)を連成させて解く。
質量保存の式【0019】
【数1】

運動量保存の式【0020】
【数2】

エネルギー保存の式【0021】
【数3】

本発明においては、容器内の流動が高レイノルズ数領域であることをも考慮し、乱流モデルを導入した。具体的には空間平均モデルであるLES(Large EddySimulaton)を用いて下記式(4)により乱流粘性係数を導出し、溶鋼の運動量保存の式(2)および酸化物の凝集肥大モデルに適用した。
【0022】
【数4】

上記の溶鋼の運動に加えて、気泡および酸化物の輸送を把握するために、気泡の運動方程式および酸化物の運動方程式を解き、気泡および酸化物の分布状況を算出する。
2)気泡の運動 気泡の運動方程式(5)を解いて気泡の輸送速度を求める。
【0023】
【数5】

これに基づき、気泡濃度についての輸送方程式(6)を解き、容器内の気泡濃度の分布状況を求める。
【0024】
【数6】

3)酸化物の運動酸化物についての運動方程式(7)を解いて酸化物の輸送速度を求める。
【0025】
【数7】

これに基づき、酸化物濃度についての輸送方程式(8)を解き、容器内の酸化物濃度の分布状況を求める。
【0026】
【数8】

4)酸化物の凝集肥大酸化物の粒子径別の分布状況は凝集肥大の影響を大きく受けるため、酸化物の凝集・肥大を考慮する必要がある。そこで、式(9)により粒子径別の酸化物の生成および消滅速度を算出し、前記式(8)における酸化物の生成および消滅項(SPk)に反映させた。
【0027】
【数9】

ここで、uLi 、uLj:溶鋼流速、uGi 、uGj:気泡移動速度、pi 、upj:酸化物移動速度、xi 、xj :位置の座標、添字i、j :座標軸(i=1、2、3)(j=1、2、3)、t :時間、ρL :溶鋼の密度、ρG :気泡の密度、ρp :酸化物の密度、P :圧力、μe :溶鋼の有効粘性係数、μ :溶鋼の分子粘性係数、νt :溶鋼の乱流粘性係数(μe/ρL=μ/ρL+νt )、νL :溶鋼の動粘性係数(νL=μ/ρL )、α :溶鋼の体積膨張係数、g :重力加速度、R :酸化物の衝突半径、ReG:気泡に対するレイノルズ数、ReP:酸化物に対するレイノルズ数、NG :気泡濃度分布、Np :酸化物の濃度分布、CDG :気泡抗力係数、CDp :酸化物の抗力係数、Cp :溶鋼比熱、CS :乱流モデルパラメータ、C :凝集確率、ke :溶鋼の有効熱伝導度、T :温度、Δ :乱流モデルフィルタサイズ、DeG :気泡有効拡散係数、Dep :酸化物の有効拡散係数、dG :気泡径、dp :酸化物の粒子径、βIJ :酸化物衝突頻度、SP :酸化物の生成・消滅項ε :乱流エネルギーの散逸速度、τI :I番目の粒子径を有する酸化物の緩和時間、τJ :J番目の粒子径を有する酸化物の緩和時間、NI :I番目の粒子径を有する酸化物の濃度、NJ :J番目の粒子径を有する酸化物の濃度、NIJ :I番目の粒子径を有する酸化物とJ番目の粒子径を有する酸化物の衝突頻度、添字k:酸化物又は気泡の粒子径番号。
【0028】図1は容器内の流動解析の流れを示すフローチャートである。既に述べた1)溶鋼の運動〜4)酸化物の凝集肥大の各項目について、数式モデルによりシミュレーションを行うことにより求め、定常状態に達したときの結果を解とする。図2は、気泡近傍ミクロモデルによる酸化物の捕捉確率算出結果を数表化して容器内流動解析に組み込んだ酸化物捕捉シミュレ−ションの流れを示すフローチャートである。図3は気泡近傍ミクロモデルによる流動解析を容器内流動解析に組み込んだ酸化物捕捉シミュレ−ションの流れを示すフローチャートである。ここで、気泡による酸化物捕捉について、以下に説明する。気泡近傍ミクロモデルにより気泡近傍の流動解析を行い、代表的な気泡径および酸化物粒の組み合わせに対して衝突捕捉確率を算出する。図4は気泡近傍ミクロモデルの概略を示す図である。図5はレイノルズ数が低い場合の気泡近傍の流線を示す図であり、図6はレイノルズ数が高い場合の気泡近傍の流線を示す図である。図4に示されるように、個々の気泡とその近傍に存在する酸化物に着目し、その相対関係において式(1)、(2)および(4)を連成させて解き、図5および図6に示されるような溶鋼の流線を求める。この結果から流線が気泡表面に最も接近する位置が求められる。
【0029】本気泡近傍ミクロモデルでは、溶鋼の流れに乗り、流線上を移動して気泡に接近する酸化物は、気泡に最も接近する位置において気泡に衝突し捕捉されるとした。この流線が気泡表面に最も接近する位置は、気泡径及び、溶鋼と気泡との相対速度により決定されるレイノルズ数により変化し、レイノルズ数が低い領域においては、気泡の赤道面位置となる(図5中の●印:レイノルズ数=3000)。これに対して、レイノルズ数の高い領域では、流線が気泡表面に最も接近する位置は、気泡の前面位置に移動する(図6中の●印:レイノルズ数=12000)。これらの知見は従来のシミュレーションにおいては全く考慮されていなかったものであり、本発明者が初めて明らかにした結果である。図7は気泡への酸化物捕捉を概念的に示す模式図である。気泡近傍ミクロモデルにより求められた気泡、流線及び流線に乗った酸化物の関係は同図に示すとおりとなる。
【0030】酸化物が気泡に最も接近した位置において気泡と酸化物との間の距離rminは、下記式(10)により表される。
【0031】
【数10】

ここで、RG:気泡の半径、 RP:酸化物の半径。
【0032】酸化物と気泡の間で溶鋼液膜が存在し得る限界最小厚みTHcritに対して、【0033】
【数11】

となった場合に酸化物が気泡中に取り込まれるとする。
【0034】気泡中に取り込まれる酸化物は、図7に示されるように気泡の進行方向において気泡の移動することにより形成される体積(気泡の投影面積×移動距離)の内、斜線部内に存在するもののみとなり、気泡と酸化物の相対運動の関係において酸化物の捕捉確率が求められる。本発明における気泡近傍ミクロモデルにおいては、限界厚みはSchluzeによって提案された、下記式(12)を用いた。
【0035】
【数12】

ここで、θ:酸化物と溶鋼との接触角、 σ:溶鋼の表面張力。
【0036】図3に示される方法は、各時刻において各解析格子位置毎に気泡近傍ミクロモデルにより流動解析を行い衝突捕捉確率を算出する方法である。本方法によるシミュレーションは膨大な計算時間を要するが、厳密な酸化物捕捉率の評価が可能である。
【0037】一方、図2に示される方法は、計算時間を短縮できる利点を有する。したがって、目的により、いずれの方法を使用するかを選択すればよい。表1に、図2に示される方法において、あらかじめ気泡による酸化物の衝突捕捉確率を求め、数表化した例を示す。
【0038】
【表1】

容器内のシミュレーションにおいては、各解析格子位置において、各粒径の気泡と酸化物の組合せの全てに対して相対速度を算出し、これらと表1に示された数表の値とから、内挿法により各位置における衝突捕捉確率を算出する。
【0039】
【実施例】本発明をタンディッシュへのガス吹き込みプロセスの適正操業条件の決定に適用した。
【0040】図8は本発明の実施に用いたタンディッシュの縦断面模式図である。取鍋5内の溶鋼7はロングノズル2を通してタンディッシュ1内に供給される。タンディッシュ内の溶鋼はその底部に設置された浸漬ノズル3を介して連続鋳造用鋳型6に注入され、鋳片を形成する。タンディッシュの底部にはガス供給孔4が設置されている。このガス供給孔からガスを供給してタンディッシュ内の溶鋼を攪拌するとともに、溶鋼浴内に生成する気泡により非金属酸化物を捕捉浮上させて除去し、浴内の酸化物の低減をはかる。
[実施例1]下記の条件にてガス供給試験を実施した。
1)ガス供給条件タンディッシュ:幅0.8m、長さ2.5m、浴深さ0.8m、対象鋼:低炭素鋼(C:0.16%、Si:0.15%、Mn:0.5%)、取鍋からタンディッシュへの溶鋼供給量:2.0ton/min、タンディッシュ底部からの供給ガス:アルゴンガス、底部ガス供給孔:幅50mmのハイアルミナ製ポーラスノズル。
2)数式シミュレーションによる適正条件の決定まず、表2に数式シミュレーションを実施するに際しての基本的な境界条件を示す。
【0041】
【表2】

図9は、本発明の実施に用いたタンディッシュの平面模式図である。
【0042】本シミュレーションでは、図9に示されるように、タンディッシュ底部の全幅にわたり設置される帯状のポーラスノズルの最適位置(ロングノズルと浸漬ノズル間の最適位置)を決定した。なお、その方法は、前出の図2に示されるシミュレーション方法によった。
【0043】図10は、本発明による酸化物分布のシミュレーション結果の一例を示す図である。同図には、ロングノズルと帯状ポーラスノズルとの距離(Lin):浸漬ノズルと帯状ポーラスノズルとの距離(Lout)=4:6の場合の30μm以上の酸化物の残存割合を示した。ここで、酸化物の残存割合は、酸化物の流入量を1.0として、(酸化物の流入量−酸化物の除去量)/(酸化物の流入量)の比率により表示した。
【0044】表3は、ポーラスノズルの位置(Lin:Lout)を変更した場合についてのシミュレーション結果に基づき、酸化物の粒子径別に、タンディッシュ内の酸化物の残存割合を示したものである。これによれば、各ガス供給量および各酸化物粒子径において、Lin:Lout=5:5の場合、即ち、ポーラスノズルの位置がロングノズルおよび浸漬ノズルの何れからも等距離にある場合が酸化物の残存割合が最も低く、酸化物除去に有利であることがわかる。ここで、ガス供給量については、横溢等が起きずに適正な循環流が確保でき、溶鋼表面を過度に乱すことのない範囲で調整する必要がある。
3)実機への適用前記のガス供給条件に示されたタンディッシュにおいて、本シミュレーションと同様にポーラスノズルの設置位置を変更させた試験を実施し、酸化物の残存状況を調査した。
【0045】なお、実機試験における酸化物の調査方法は、以下の方法で実施した。即ち、タンディッシュへの溶鋼供給部および出口部から溶鋼を採取し、直径30mm、長さ100mmの鋳型に注入して、冷却し、得られた鋳片資料の断面を研磨し、光学顕微鏡により介在物を粒子径別に調査した。
【0046】表3に、実機による試験結果を数式シミュレーション結果と比較して示す。
【0047】
【表3】

数式シミュレーション結果は実機試験結果と良く一致しており、本発明法のシミュレーション方法は適正操業条件の決定に有効であることが確認された。
【0048】この結果を踏まえ、ガス供給位置をLin:Lout=5:5の位置に定めて試験を継続実施した結果、酸化物の極めて少ない清浄鋼の製造が可能となり、高品質の低炭素鋼鋳片を製造できた。
【0049】これに対して、本発明法によらずに従来法と同様に、水モデル実験、縮小溶鋼モデル実験および実機試験を経て適正吹き込み条件を決定する場合には、約100倍の費用と、約10倍の期間を必要とする。
[実施例2]下記の条件にてガス供給試験を実施した。
1)ガス供給条件タンディッシュ:幅1.2m、長さ3.2m、浴深さ0.9m、対象鋼:低炭素鋼(C:0.16%、Si:0.15%、Mn:0.5%)、取鍋からタンディッシュへの溶鋼供給量:2.5ton/min、タンディッシュ底部からの供給ガス:アルゴンガス、底部ガス供給孔:幅50mmのハイアルミナ製ポーラスノズル。
2)数式シミュレーションによる適正条件の決定実施例1の場合と同様に、表2に示される境界条件のもとで、図2に示される方法によりシミュレーションを実施した。表4にその結果を示す。
【0050】
【表4】

実施例1の場合と同様に、Lin:Lout=5:5の場合、即ち、ポーラスノズルの位置がロングノズルおよび浸漬ノズルの何れからも等距離にある場合に酸化物の残存割合が最も低く、酸化物除去に有利であることがわかる。
3)実機への適用表4に、実機による試験結果を数式シミュレーション結果と比較して示す。
【0051】数式シミュレーション結果は実施例1の場合と同様に、実機試験結果と良く一致しており、本発明法のシミュレーション方法は適正ガス吹き込み条件の決定に有効である。
【0052】この結果を踏まえ、ガス供給位置をLin:Lout=5:5の位置に定めて試験を実施した結果、介在物の極めて少ない高品質の低炭素鋼鋳片を製造できた。
【0053】
【発明の効果】以上、詳述したとおり、本発明の方法によれば、数式モデルによる高精度なシミュレーションにより、簡便でしかも経済的に、溶鋼の清浄化のための適正ガス吹き込み条件を決定できる。これにより、酸化物等による欠陥の少ない高清浄鋼の製造が可能となり、産業の発展に寄与するところ大である。
【出願人】 【識別番号】000002118
【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
【出願日】 平成12年7月27日(2000.7.27)
【代理人】 【識別番号】100083585
【弁理士】
【氏名又は名称】穂上 照忠 (外1名)
【公開番号】 特開2002−47511(P2002−47511A)
【公開日】 平成14年2月15日(2002.2.15)
【出願番号】 特願2000−227735(P2000−227735)