| 【発明の名称】 |
溶銑の精錬方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮田 政樹
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| 【要約】 |
【課題】溶銑中の [Si]濃度が0.1%以下のレベルでも脱りん剤の溶融性を維持でき、高脱りん率が得られ、しかも溶銑脱珪・脱りん処理時に発生するスラグ量を低減できる溶銑の精錬方法を提供する。
【解決手段】(a)粒径が3〜30mmの脱炭スラグを溶銑に上置きした後、(b)上吹ランスから酸素を溶銑1質量トン当たり1. 0〜2.5m3 (標準状態)/min 吹き付けながら、底吹羽口から溶銑1質量トン当たり0. 05〜0. 60m3 (標準状態)/minの攪拌用ガスを吹き込むことにより脱珪処理を行い、(c)溶銑中の [Si]濃度を0. 10%以下、塩基度(Ca O/Si O2 質量比)0. 4〜1. 2の脱珪スラグとした後、(d)炉内に生成した脱珪スラグを上底吹転炉の傾動により炉口から排出し、(e)脱珪スラグが排出された脱珪溶銑に上吹ランスからCaO含有粉を吹き付ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上底吹転炉に溶銑を装入して脱珪・脱りん処理を行う溶銑の精錬方法において、(a)粒径が3〜30mmの脱炭スラグを溶銑に上置きした後、(b)上吹ランスから酸素を溶銑1質量トン当たり1. 0〜2.5m3 (標準状態)/min 吹き付けながら、底吹羽口から溶銑1質量トン当たり0. 05〜0. 60m3 (標準状態)/min の攪拌用ガスを吹き込むことにより脱珪処理を行い、(c)溶銑中の [Si]濃度を0. 10%以下、脱珪スラグの塩基度(Ca O/Si O2 質量比)を0. 4〜1. 2とした後、(d)炉内に生成した脱珪スラグを上底吹転炉の傾動により炉口から排出し、(e)脱珪スラグが排出された脱珪溶銑に上吹ランスからCaO含有粉を、溶銑1質量トン当たり0. 5〜2.5m3 (標準状態)/min の酸素をキャリアーガスとして吹き付けながら、底吹羽口から溶銑1質量トン当たり0. 05〜0. 60m3 (標準状態)/min の攪拌用ガスを吹き込むことにより脱りん処理を行うことを特徴とする溶銑の精錬方法。 【請求項2】 前記Ca O含有粉は、Al2O3 およびFe2O3 の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶銑の精錬方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、上底吹転炉で脱珪・脱りん処理を分離して行う溶銑の精錬方法に関し、特に溶銑脱珪・脱りん処理時に発生するスラグ量を低減できる溶銑の精錬方法に関する【0002】 【従来の技術】近年、鋼の溶製時に発生するスラグに関わる環境問題の対策として、スラグ発生量の低減が求められている。 【0003】例えば溶銑脱りん処理では、高い脱りん効率を得るためスラグ塩基度 (Ca O/Si O2 質量比) を2〜3以上にする必要がある。そのため、溶銑中の [Si]濃度が高いときにはCa O含有物質の使用量が多くなりスラグ発生量が増加して環境上問題となる。 【0004】このように溶銑中の [Si]濃度が高いときのスラグ発生量増加問題を解決する方法として、高炉の鋳床樋での脱珪処理や溶銑鍋での脱珪処理が行われている。しかしながら、これらの方法では長時間処理による耐火物の損耗や熱損失の増大が問題となる。 【0005】また、溶銑中の [Si]濃度を例えば0. 15%以下まで低減する場合、脱珪反応と共に脱炭反応も進行するためスラグフォーミングやスロッピングが顕著になり、上記反応容器ではフリーボードが小さいため、操業が困難になるという問題がある。 【0006】上記問題を解決する方法として、例えば特開平5−9533号公報には、転炉型の処理容器中の溶銑に造塊スラグを主成分とする造滓剤を添加して脱珪する方法が示されている。 【0007】しかしながら、造塊スラグ中には約10%以上のAl2O3 が含有されており、転炉吹錬時にスラグフォーミングやスロッピングを誘発し操業が安定しないおそれがある。 【0008】また、脱珪スラグを効率良く排出しなければ、脱りんスラグ発生量を低減することが困難となるが、特開平5−9533合公報には、その効率的な方法について詳細な記述がない。 【0009】更に、転炉で溶銑脱りん処理する場合、溶銑中の[Si]濃度が低すぎると、生石灰等の脱りん剤が十分に溶融しきれず、その結果、脱りん反応効率が低下することは広く知られている。 【0010】この改善策としては、蛍石を添加することにより、スラグの融点を下げて脱りん反応を促進する方法が一般的であるが、この方法では耐火物溶損量が増加するという問題がある。 【0011】その解決策として、特開平8−311523号公報には、Ca O粉を上吹酸素と共に溶銑に吹き付けて脱りんする方法の提案が開示されている。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上吹酸素流量が溶銑質量トン当たり2m3 (標準状態)/min 以下となると、溶銑中の [Si]濃度が0.1〜0.3%の間で溶銑中の [Si]濃度が低いほど脱りん剤の溶融性が悪化するおそれがある。 【0013】本発明の目的は、(1)溶銑中の [Si]濃度を0. 1%以下にまで迅速に低減し、(2)脱珪スラグを溶融状態にして、効率良く炉口から排出し、(3)溶銑中の [Si]濃度が0.1%以下のレベルでも脱りん剤の溶融性を維持でき、高脱りん率が得られ、(4)しかも溶銑脱珪・脱りん処理時に発生するスラグ量を低減できる溶銑の精錬方法を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明者は、溶銑中の [Si]濃度が0.1%以下のレベルでも脱りん剤の溶融性を維持でき、高脱りん率が得られる方法について検討した結果、下記の知見を得た。 【0015】(A)上底吹転炉形式の炉に溶銑を装入して、脱炭スラグ (脱炭スラグとは脱りん溶銑を脱炭した際に生成するスラグ) と必要に応じて酸化鉄を溶銑に上置き添加した後、上吹ランスから溶銑1質量トン当たり1. 0〜2.5m3 (標準状態)/min の酸素を溶銑に吹き付けながら、底吹羽口から溶銑1質量トン当たり0.05〜0. 60m3 (標準状態)/min の攪拌用ガスを吹き込むことにより、溶銑中の [Si]濃度を0. 10%以下まで迅速に低減することができる。 【0016】なお、脱炭スラグの使用は、以下のメリットがある。 ・脱炭スラグは、一旦溶融したものであるため極めて速やかに再溶融し易い。 ・脱炭スラグは、造塊スラグと異なりAl2O3 含有量が約1%と低いので、脱珪処理中にスロッピング等を生じ難い。 ・脱炭スラグ中にはCaOが既に含有されており、新たに生石灰等を添加する必要が無いため、スラグを生成するためのコストを低減できる。 【0017】(B)脱珪スラグを効率良く炉口から排出するには、スラグの流動性を良好にすることが重要であり、粒径3〜30mmの脱炭スラグを使用して脱珪スラグの塩基度(Ca O/Si O2 質量比)を0. 4〜1. 2に調整するとよい。 【0018】(C)脱珪スラグを排出後、上吹ランスからCa O含有粉を、溶銑1質量トン当たり0. 5〜2.5m3 (標準状態)/min の酸素をキャリアーガスとして吹き付けながら、底吹羽口から溶銑1質量トン当たり0. 05〜0. 60m3 (標準状態)/min の攪拌用ガスを吹きこむことにより脱りんスラグを高塩基度に維持しながら溶融性を良好にすることができ、脱りん率を高くすることが可能となる。 【0019】なお、攪拌用ガスとしては、Ar 、CO2 、N2 等が使用できる。 (D)Ca O含有粉に、Al2O3 およびFe2O3 の少なくとも一種以上を混合した粉を上吹酸素と共に溶銑に吹き付けて脱りんすることにより、さらに脱りん率を向上できる。 【0020】(E)以上の(A)〜(D)の知見を基に脱珪処理と脱りん処理とを分離して行うと、脱珪・脱りん処理を同時に行うときに比べて大幅にスラグ量を低減できる。 【0021】本発明は、以上の知見に基づいてなされたもので、その要旨は、下記のとおりである。 (1)上底吹転炉に溶銑を装入して脱珪・脱りん処理を行う溶銑の精錬方法において、(a)粒径が3〜30mmの脱炭スラグを溶銑に上置きした後、(b)上吹ランスから酸素を溶銑1質量トン当たり1. 0〜2.5m3 (標準状態)/min 吹き付けながら、底吹羽口から溶銑1質量トン当たり0. 05〜0. 60m3 (標準状態)/min の攪拌用ガスを吹き込むことにより脱珪処理を行い、(c)溶銑中の [Si]濃度を0. 10%以下、脱珪スラグの塩基度(Ca O/Si O2 質量比)を0. 4〜1. 2とした後、(d)炉内に生成した脱珪スラグを上底吹転炉の傾動により炉口から排出し、(e)脱珪スラグが排出された脱珪溶銑に上吹ランスからCaO含有粉を、溶銑1質量トン当たり0. 5〜2.5m3 (標準状態)/min の酸素をキャリアーガスとして吹き付けながら、底吹羽口から溶銑1質量トン当たり0. 05〜0. 60m3 (標準状態)/minの攪拌用ガスを吹き込むことにより脱りん処理を行うことを特徴とする溶銑の精錬方法。 (2)前記Ca O含有粉は、Al2O3 およびFe2O3 の少なくとも一種を含有することを特徴とする上記(1)に記載の溶銑の精錬方法。 【0022】 【発明の実施の形態】図1(a)、(b)および(c)は、本発明の精錬方法を順に模式的に示す概念図であり、図1(a)は上底吹転炉で溶銑脱珪する工程を、図1(b)は上底吹転炉を傾動して脱珪スラグを排出する工程を、図1(c)は上底吹転炉で溶銑脱りんする工程をそれぞれ示す。 【0023】なお、図中の符号は、上底吹転炉1、上吹ランス2、底吹羽口3、脱珪溶銑4、脱珪スラグ5、脱りんスラグ6および脱りん溶銑7である。同図に示すように、本発明は上底吹転炉1に溶銑4を装入して所定の濃度まで溶銑脱珪する工程(a)、次に炉体を傾動して、脱珪スラグ5を可能な限り炉外へ排出する工程(b)、そして炉体を直立状態に戻してから、上吹ランス2から上吹酸素と共にCa O含有粉を溶銑に吹き付けて脱りんする工程(c)からなる。 【0024】溶銑中の [Si]濃度を0. 10%以下にまで効率よく低減するには、上底吹転炉1を用いるが、上底吹転炉を用いる理由は、以下の(1)〜(3)に記載の通りである。 【0025】(1)高炉鋳床や鍋で脱珪する際に通常脱珪剤として酸化鉄を用いるが、本来冷却剤である酸化鉄を添加するため処理中の温度低下が著しく、その温度低下を抑制するため気体酸素も併用する。しかし、気体酸素をあまり多く使うと、酸化鉄を主成分とするダストが多量に発生し、作業環境が著しく悪化するという問題が発生する。 【0026】(2)溶銑中の [Si]濃度を0. 10%以下にまで低減すると、脱炭反応が並行して生じるため、スラグのフォーミング量も多くなる。このフォーミングによってスラグが反応容器から溢れ出るおそれがある。 【0027】(3)このようなダストの発生やスラグのフォーミングの問題を回避するにはかなり大きなフリーボードがある上底吹転炉の使用が有効である。すなわち、上底吹転炉であれば、酸化鉄を多量に添加できるのはもちろん、上吹ランスから多量の気体酸素を溶銑に吹き付けられ、しかも強力な底吹ガス攪拌により非常に迅速に脱珪処理できる。 【0028】但し、脱珪処理後の溶銑中の [Si]濃度は0. 03%以上とするのが望ましい。それは、 [Si]濃度が0. 03%以下になると脱炭反応の方が優勢になって脱珪速度が急激に低下するおそれがあるからである。 【0029】次に脱珪処理のときの上底吹転炉における上底吹条件について述べる。以下に示すグラフは、全て2質量トン容量の試験用上底吹転炉を使用して行った試験結果を示す。 【0030】図2は、溶銑1質量トン当たり上吹酸素流量と、脱珪処理後の溶銑中の [Si]濃度およびスピッティング指数との関係を示すグラフである。なお、このグラフは底吹Ar流量が溶銑1質量トン当たり0. 2m3 (標準状態)/min 一定で上吹酸素と同様に約3分間溶銑に吹き込み、かつ脱珪処理前の溶銑中の [Si]濃度が約0. 3%一定下での試験結果を示す。 【0031】また、スピッティング指数とは、上吹酸素流量を溶銑1質量トン当たり1. 0m3 (標準状態)/min としたときのスピッティング量を基準に指数化したものである。 【0032】同図に示すように、溶銑1質量トン当たり上吹酸素流量が1.0m3 (標準状態)/min 未満では脱珪処理後の溶銑中の [Si]濃度が0. 1%を超え、溶銑1質量トン当たり上吹酸素流量が2.5m3 (標準状態)/min を超えるとスピッティング指数が急激に上昇する。 【0033】図3は、溶銑1質量トン当たり底吹Ar流量と、脱珪処理後の溶銑中の [Si]濃度およびスピッティング指数との関係を示すグラフである。なお、このグラフは上吹酸素流量が溶銑1質量トン当たり1. 0m3 (標準状態)/min 一定で底吹Arと同様に約3分間溶銑に吹き付け、かつ脱珪処理前の溶銑中の [Si]濃度が約0. 3%一定下での試験結果を示す。 【0034】また、スピッティング指数とは、底吹Ar流量を0.05m3 (標準状態)/minとしたときのスピッティング量を基準に指数化したものである。同図に示すように、溶銑1質量トン当たり底吹Ar流量が0.05m3 (標準状態)/min 未満では脱珪処理後の溶銑中の [Si]濃度が0. 1%を超え、溶銑1質量トン当たり底吹Ar流量が0.6m3 (標準状態)/min を超えるとスピッティング指数が急激に上昇する。 【0035】次に、炉体を傾動して脱珪スラグを炉外へ排出するのであるが、スラグの性状とスラグ排出率との関係を調査した。図4は脱珪時に添加するCa O含有物質の性状をパラメータとしたスラグ塩基度とスラグ排出率との関係を示すグラフである。 【0036】なお、スラグ排出率は排出スラグの秤量値と、物質収支で計算した生成スラグ量との比(排出スラグの秤量値(kg)/生成スラグ量の計算値(kg))を%表示して求めた。 【0037】また、表1に使用した脱炭スラグの代表的な組成を示す。 【0038】 【表1】
同図に示すように、粒径を3〜30mmとした脱炭スラグ(●)によりスラグ塩基度を0. 4〜1. 2とすることでスラグの流動性を確保でき約80%という高いスラグ排出率が得られる。 【0039】一方、ほぼ同じ粒径の生石灰(○)ではスラグ排出率が約70%であり、粒径を35〜45mmとした脱炭スラグ(△)でも約70%と低い値である。脱炭スラグが生石灰に比べて良好な理由は、脱炭スラグは一旦溶融されたものなので生石灰に比べ融点が低く溶融し易いからである。 【0040】また、同じ脱炭スラグでも数分以内という迅速脱珪処理時間中に完全に溶融させるには、粒径を30mm以下にまで細かくすることが必須となることも判明した。 【0041】さらに、粒径が3mm未満となると炉内へ装入する際に排ガス集塵機へ吸引されてしまい、歩留まりが悪化し、所定のスラグ組成を実現できなくなる。以上から、粒径が3〜30mmの脱炭スラグを用いるのが有効である。 【0042】次に、スラグが約80%排出され、溶銑中の [Si]濃度が0. 10%以下となった溶銑を脱りんする方法について述べる。図5は脱りん剤の添加方法をパラメータとした溶銑中の [Si]濃度と脱りん率との関係を示すグラフである。 【0043】なお、溶銑は2質量トンで、上底吹は一定条件(上吹酸素流量:3m3 (標準状態)/min 、底吹Ar 流量:0. 8m3 (標準状態)/min)で4分間行い、脱りん剤の添加方法は以下の通りある。 【0044】○:鉄鉱石20kgおよび粒状Ca O15kgを溶銑に上置きした後、上底吹を行った。 ●:鉄鉱石20kgを溶銑に上置きし、上吹酸素をキャリアーガスとしてCaO粉15kgを溶銑に吹き付けた。Ca O粉としては、純度98% (粉径0. 01〜0. 15mm) を使用した。 【0045】▲:鉄鉱石20kgを溶銑に上置きし、上吹酸素をキャリアーガスとして(Ca O+Al2O3)粉15kgを溶銑に吹き付けた。Al2O3 粉としては、純度98% (粉径0. 01〜0. 15mm) を使用し、Ca O粉量に対して20質量%混合した。 【0046】□:鉄鉱石20kgを溶銑に上置きし、上吹酸素をキャリアーガスとして(Ca O+Fe2O3)粉15kgを溶銑に吹き付けた。Fe2O3 粉としては、純度98% (粉径0. 01〜0. 15mm) を使用し、Ca O粉量に対して20質量%混合した。 【0047】同図に結果を示すように、粒状Ca Oを上置きした○印の方法は溶銑中の [Si]濃度の低下とともに脱りん率が低下するが、上吹酸素をキャリアーガスとしてCa O粉を吹き付けた●印の方法は脱りん率が85%以上と高く、特に溶銑中の[Si]濃度が0.1%以下で約90%と脱りん率が高くなる。 【0048】また、▲および□印の方法は溶銑中の [Si]濃度が0.1%で約95%と極めて高い脱りん率が得られる。上吹酸素と共に溶銑に吹き付けるCa O含有粉に、Al2O3 含有粉およびFe2O3 含有粉の混合により脱りん率が向上した理由としては、Al2O3 やFe2O3がCa Oの溶融促進剤として作用したからと推定できる。 【0049】図6は上吹酸素流量と脱りん率との関係を示すグラフである。なお、試験方法は下記の通りである。溶銑が2質量トンで、溶銑中の [Si]濃度を約0.1%に脱珪処理した後、塩基度(Ca O/Si O2 質量比)が0. 5の脱珪スラグを約80%排出した。 【0050】鉄鉱石20kgを溶銑に上置きし、底吹羽口からAr を0. 8m3 (標準状態)/min で溶銑へ約4分間吹き込みつつ、キャリアーガスの上吹酸素流量を変更してCa O粉15kgを溶銑に約4分間で吹き付けた。 【0051】図6に示すように、0. 5m3 (標準状態)/min 以上で脱りん率が85%以上と高くなる。0. 5m3 (標準状態)/min未満では、上吹酸素と溶銑中鉄分との反応により生成するFe O量が少ないため、スラグ中の (Fe O) 濃度を高く維持できなくなり、脱りん率が低下するものと推定できる。 【0052】図7は上吹酸素流量とスピッティング指数との関係を示すグラフである。なお、試験方法は下記の通りである。溶銑中の [Si]濃度を約0.1%に脱珪処理した後、塩基度(Ca O/Si O2 質量比)が0. 5の脱珪スラグを約80%排出した。 【0053】鉄鉱石20kgを溶銑に上置きし、底吹羽口からAr を0. 8m3 (標準状態)/min で溶銑へ約4分間吹き込みつつ、キャリアーガスの上吹酸素流量を変更してCa O粉15kgを溶銑に約4分間で吹き付けた。 【0054】また、スピッティング指数とは、上吹酸素流量を溶銑1質量トン当たり1. 0m3 (標準状態)/min としたときのスピッティング量を基準に指数化したものである。 【0055】図7に示すように、2.5m3 (標準状態)/min を超えるとスピッティング指数が急激に高くなる。従って上吹酸素流量の上限は2.5m3 (標準状態)/min とした。 【0056】図6および図7から上吹酸素流量は0.5〜2.5m3 (標準状態)/min がよい。図8は溶銑1質量トン当たりの底吹Ar 流量と脱りん率との関係を示すグラフである。 【0057】なお、試験方法は下記の通りである。溶銑は2質量トンで、溶銑中の [Si]濃度を約0.1%に脱珪処理した後、塩基度(Ca O/Si O2 質量比)が0. 5の脱珪スラグを約80%排出した。 【0058】鉄鉱石20kgを溶銑に上置きし、上吹酸素(流量:3m3 (標準状態)/min)をキャリアーガスとしてCa O粉15kgを溶銑に約4分間で吹き付けながら底吹Ar 流量を変更して脱りん処理を行った。 【0059】図8に示すように、溶銑1質量トン当たりの0. 05m3 (標準状態)/min 以上で脱りん率が85%以上と高くなり、0. 6m3 (標準状態)/min を超えると脱りん率が急激に低下した。 【0060】底吹Ar流量が0. 05m3 (標準状態)/min 未満だと、スラグと溶銑の攪拌・混合が不十分となり、スラグ中Fe Oの溶銑への移動速度の低下し、脱りん速度が低下すると推定できる。 【0061】一方、0. 6m3 (標準状態)/min を超えると、スラグ中の(Fe O)と溶銑中の [C] との反応速度が大きくなり過ぎて、スラグ中の (Fe O) 濃度を高く維持できないためと推定できる。 【0062】 【実施例】2質量トン容量の試験用上底吹転炉を用いて試験を実施した。使用した溶銑は、 [C] :約4. 4%、 [Si]:約0. 4%、 [P] :約0.1%、 [Mn]:約0. 3%を含有するもので、この溶銑を試験用上底吹転炉に装入し、上吹酸素流量を3〜3.6m3 (標準状態)/min とし、底吹羽口からのAr流量を0. 4m3 (標準状態)/min 一定として以下の本発明例および比較例を行った。 【0063】また、試験に使用した脱炭スラグの組成は前記の表1に示した通りである。 (従来例)処理前に3〜30mm径の脱炭スラグを溶銑1質量トン当たり約10kgを上置きし、上吹ランスから3. 6m3(標準状態)/min の酸素流量で約2分間吹き付け脱珪処理を行った。 【0064】脱珪スラグを炉内へ残したまま、引き続いて、脱珪溶銑に粒状鉄鉱石25kgを炉の上部から上置きした後、Ca O粉30kgを上吹き酸素 (3m3(標準状態)/min)と共に溶銑に約4分間で吹き付け脱りん処理を行ったところ、処理後の [P] 濃度は0. 023%となった。 【0065】なお、脱珪スラグと脱りんスラグとの合計スラグ量はは約85kgと多かった。 (本発明例1)脱珪処理前に3〜30mm径の脱炭スラグを溶銑1質量トン当たり約10kgを炉の上部から上置きし、上吹ランスから3.6m3 (標準状態)/min の酸素流量で約2分間吹き付けて脱珪処理したところ、溶銑中の [Si]濃度は0. 09%となり、生成した脱珪スラグの塩基度(Ca O/Si O2 質量比)は0. 7となった。 【0066】炉を傾動して脱珪スラグを排出させたところ、約80%のスラグ排出率が得られた。脱珪溶銑に粒状鉄鉱石25kgを炉の上部から上置きした後、上吹酸素(流量:3m3 (標準状態)/min)をキャリアーガスとしてCa O粉15kgを溶銑に約4分間吹き付けたところ、脱りん処理後の溶銑中の [P] 濃度は0. 013%となった。 【0067】また、脱珪スラグと脱りんスラグとの合計スラグ量は約46kgであり、従来例に比較してスラグ量が大幅に低減できた。 (本発明例2)脱珪処理前に3〜30mm径の脱炭スラグを溶銑1質量トン当たり12kgほど、炉の上部から上置きし、上吹ランスから3.6m3 (標準状態)/min の酸素流量で約2分間吹き付けて脱珪処理したしたところ、溶銑中の [Si]濃度は0. 05%となり、生成した脱珪スラグの塩基度(Ca O/Si O2 質量比)は0. 65となった。 【0068】炉を傾動して脱珪スラグを排出させたところ、約80%のスラグ排出率が得られた。脱珪溶銑に粒状鉄鉱石25kgを炉の上部から上置きした後、上吹酸素(流量:3m3 (標準状態)/min)をキャリアーガスとしてCa O粉15kgを溶銑に約4分間吹き付けたところ、脱りん処理後の溶銑中の [P] 濃度は0. 011%となった。 【0069】また、脱珪スラグと脱りんスラグとの合計スラグ量は約45kgであり、従来例に比較してスラグ量が大幅に低減できた。 (本発明例3)脱珪処理前に3〜30mm径の脱炭スラグを溶銑1質量トン当たり約10kgを炉の上部から上置きし、上吹ランスから3.6m3 (標準状態)/min の酸素流量で約2分間吹き付けて脱珪処理したところ、溶銑中の [Si]濃度は0. 10%となり、生成した脱珪スラグの塩基度(Ca O/Si O2 質量比)は0. 7となった。 【0070】炉を傾動して脱珪スラグを排出させたところ、約80%のスラグ排出率が得られた。脱珪溶銑に粒状鉄鉱石20kgを炉の上部から上置きした後、上吹酸素(流量:3m3 (標準状態)/min)をキャリアーガスとしてCa O粉15kgおよびAl2O3 粉3kgを溶銑に約4分間で吹き付けたところ、脱りん処理後の溶銑中の [P] 濃度は0. 007%となった。 【0071】また、脱珪スラグと脱りんスラグとの合計スラグ量は約48kgであり、従来例に比較してスラグ量が大幅に低減できた。 (本発明例4)脱珪処理前に3〜30mm径の脱炭スラグを溶銑1質量トン当たり約10kgを炉の上部から上置きし、上吹ランスから3.6m3 (標準状態)/min の酸素流量で約2分間吹き付けて脱珪処理したところ、溶銑中の [Si]濃度は0. 10%となり、生成した脱珪スラグの塩基度(Ca O/Si O2 質量比)は0. 7となった。 【0072】炉を傾動して脱珪スラグを排出させたところ、約80%のスラグ排出率が得られた。脱珪溶銑に粒状鉄鉱石20kgを炉の上部から上置きした後、上吹酸素(流量:3m3 (標準状態)/min)をキャリアーガスとしてCa O粉15kgおよびFe2O3 粉5kgを溶銑に約4分間で吹き付けたところ、脱りん処理後の溶銑中の [P] 濃度は0. 005%となった。 【0073】また、脱珪スラグと脱りんスラグとの合計スラグ量は約45kgであり、従来例に比較してスラグ量が大幅に低減できた。 (比較例1)脱珪処理前に5〜25mm径の生石灰を溶銑1質量トン当たり5kgほど、炉の上部から上置きし、上吹ランスから3.6m3 (標準状態)/min の酸素流量で約2分間吹き付けて脱珪処理したところ、溶銑中の [Si]濃度は0. 10%となり、生成した脱珪スラグ中には未溶融の生石灰が多数残存し、脱珪スラグの流動性は低かった。 【0074】炉を傾動して脱珪スラグを排出させたが、スラグ排出率が約70%と低い値であった。脱珪溶銑に粒状鉄鉱石25kgを炉の上部から上置きした後、上吹酸素(流量:3m3 (標準状態)/min)をキャリアーガスとしてCa O粉15kgを溶銑に約4分間で吹き付けたところ、脱りん処理後の溶銑中の [P] 濃度は0. 027%と高かった。 【0075】(比較例2)脱珪処理前に35〜60mm径の脱炭スラグを溶銑1質量トン当たり約10kgを炉の上部から上置きし、上吹ランスから3.6m3 (標準状態)/min の酸素流量で約2分間吹き付けて脱珪処理したところ、溶銑中の[Si]濃度は0. 09%となり、生成した脱珪スラグ中には未溶融の脱炭スラグが多数残存し、脱珪スラグの流動性は低かった。 【0076】炉を傾動して脱珪スラグを排出させたが、スラグ排出率が約70%と低い値であった。脱珪溶銑に粒状鉄鉱石25kgを炉の上部から上置きした後、上吹酸素(流量:3m3 (標準状態)/min)をキャリアーガスとしてCa O粉15kgを溶銑に約4分間で吹き付けたところ、脱りん処理後の溶銑中の [P] 濃度は0. 025%と高かった。 【0077】(比較例3)脱珪処理前に3〜30mm径の脱炭スラグを溶銑1質量トン当たり約10kgを炉の上部から上置きし、上吹ランスから3.6m3 (標準状態)/min の酸素流量で約2分間吹き付けて脱珪処理したところ、溶銑中の [Si]濃度は0. 10%となり、生成した脱珪スラグの塩基度(Ca O/Si O2 質量比)は0. 7となった。 【0078】炉を傾動して脱珪スラグを排出させたところ、約80%のスラグ排出率が得られた。脱珪溶銑に粒状鉄鉱石20kgおよび5〜25mm径の生石灰15kgを上置きした後、上吹酸素(流量:3m3 (標準状態)/min)を溶銑に約4分間で吹き付けたところ、脱りん処理後の溶銑中の [P] 濃度は0. 030%と高かった。 【0079】(比較例4)脱珪処理前に3〜30mm径の脱炭スラグを溶銑1ton当たり約10kgを炉の上部から上置きし、上吹ランスから1. 5m3(標準状態)/min の酸素流量で約2分間吹き付けて脱珪処理したところ、溶銑中の [Si]濃度は0. 30%となり、生成した脱珪スラグの塩基度(Ca O/Si O2 質量比)は1. 5となった。 【0080】炉を傾動してスラグ排出させたところ、スラグ排出率が約40%と低い値であった。脱珪溶銑に粒状鉄鉱石25kgを炉の上部から上置きした後、上吹酸素(流量:3m3 (標準状態)/min)をキャリアーガスとしてCa O粉15kgを溶銑に約4分間で吹き付けたところ、脱りん処理後の溶銑中の [P] 濃度は0. 035%と高かった。 【0081】 【発明の効果】本発明の方法により、溶銑中の [Si]濃度が0.1%以下のレベルでも脱りん剤の溶融性を維持でき、高脱りん率が得られ、しかも溶銑脱珪・脱りん処理時に発生するスラグ量を低減できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002118 【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年7月31日(2000.7.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081352 【弁理士】 【氏名又は名称】広瀬 章一
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| 【公開番号】 |
特開2002−47509(P2002−47509A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月15日(2002.2.15) |
| 【出願番号】 |
特願2000−231697(P2000−231697) |
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