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【発明の名称】 真空脱ガス装置
【発明者】 【氏名】常深 武彦

【要約】 【課題】不活性ガスを浸漬管内に均一に導入することができ,金属溶湯のスムーズな吸引を行うことができる真空脱ガス装置を提供すること。

【解決手段】脱ガス槽と,脱ガス槽の底部12に設けられた複数本の浸漬管とを有し,浸漬管を取鍋内の金属溶湯に浸漬して一方の浸漬管から金属溶湯を脱ガス槽内部に導入して脱ガスした後他方の浸漬管から取鍋に戻すよう構成されている。一方の浸漬管には,金属溶湯中に不活性ガス7を導入するためのガス導入部4を設けてある。ガス導入部4は,浸漬管の周囲を覆うように配置したガス溜め空間41と,ガス溜め空間41と浸漬管の内部とを連通するように浸漬管に設けた複数の吹出し口42とよりなる。ガス溜め空間41には,不活性ガス7を供給するガス供給路70が接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 減圧装置に接続され内部を減圧できるよう構成された脱ガス槽と,該脱ガス槽の底部に設けられた複数本の浸漬管とを有し,該浸漬管を取鍋内の金属溶湯に浸漬して一方の浸漬管から金属溶湯を上記脱ガス槽内部に導入して脱ガスした後他方の浸漬管から上記取鍋に戻すよう構成された真空脱ガス装置において,上記一方の浸漬管には,金属溶湯中に不活性ガスを導入するためのガス導入部を設けてあり,該ガス導入部は,上記浸漬管の周囲を覆うように配置したガス溜め空間と,該ガス溜め空間と浸漬管の内部とを連通するように浸漬管に設けた複数の吹出し口とよりなると共に,上記ガス溜め空間には,上記不活性ガスを供給するガス供給路が接続されていることを特徴とする真空脱ガス装置。
【請求項2】 請求項1において,上記吹出し口は,上記浸漬管の円周上において等間隔に設けられていることを特徴とする真空脱ガス装置。
【請求項3】 請求項1又は2において,上記吹出し口は,上記ガス溜め空間に面する大径部と,該大径部よりも径が小さく上記浸漬管の内面に開口した小径部とを有することを特徴とする真空脱ガス装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【技術分野】本発明は,金属製品の製造過程において金属溶湯の脱ガス処理を行うための真空脱ガス装置に関する。
【0002】
【従来技術】金属製品の製造過程においては,金属溶湯中に含まれている水素,酸素等の品質に有害なガスを除去する脱ガス処理が行われる。脱ガス処理法としては,種々の方法があるが,その一つとして,溶融金属を取鍋と真空容器との間を循環させる真空循環脱ガス法(RH法)が広く利用されている。
【0003】この真空循環脱ガス法を実施する装置としては,後述する図1に示すごとき,真空脱ガス装置1がある。この真空脱ガス装置9は,同図に示すごとく,脱ガス槽10と,脱ガス槽10の底部に設けられた2本の浸漬管21,22とを有し,該浸漬管21,22を取鍋3内の金属溶湯8に浸漬して一方の浸漬管21から金属溶湯8を上記脱ガス槽10内部に導入して脱ガスした後他方の浸漬管22から取鍋3に戻すよう構成されている。
【0004】
【解決しようとする課題】ところで,真空脱ガス装置においては,一方の浸漬管21から脱ガス槽10内に金属溶湯8を導くために,浸漬管21の内部に不活性ガス7を吹込む。これにより,いわゆるエアーリフトポンプの作用が得られ,金属溶湯8が上方の脱ガス槽10内に供給される。しかしながら,上記不活性ガス7の浸漬管21への吹込み方によっては,金属溶湯8を吸引する作用が不安定となる場合がある。この場合には,脱ガス槽10内への金属溶湯8の導入がスムーズに行われず効率よく脱ガス処理を行うことができない場合があった。
【0005】一方,不活性ガスの吹出し口を上記浸漬管に複数設けて,分散させた状態で不活性ガスを吹出させることも考えられる。しかし,単に吹出し口を複数設けただけでは,各吹出し口毎に吹出し状態に差異が生じ,安定したスムーズな吸引力が得られない場合があった。
【0006】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,不活性ガスを浸漬管内に均一に導入することができ,金属溶湯のスムーズな吸引を行うことができる真空脱ガス装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,減圧装置に接続され内部を減圧できるよう構成された脱ガス槽と,該脱ガス槽の底部に設けられた複数本の浸漬管とを有し,該浸漬管を取鍋内の金属溶湯に浸漬して一方の浸漬管から金属溶湯を上記脱ガス槽内部に導入して脱ガスした後他方の浸漬管から上記取鍋に戻すよう構成された真空脱ガス装置において,上記一方の浸漬管には,金属溶湯中に不活性ガスを導入するためのガス導入部を設けてあり,該ガス導入部は,上記浸漬管の周囲を覆うように配置したガス溜め空間と,該ガス溜め空間と浸漬管の内部とを連通するように浸漬管に設けた複数の吹出し口とよりなると共に,上記ガス溜め空間には,上記不活性ガスを供給するガス供給路が接続されていることを特徴とする真空脱ガス装置にある。
【0008】本発明において最も注目すべき点は,上記ガス導入部は,上記リング状のガス溜め空間と上記複数の吹出し口を有し,上記ガス溜め空間に上記ガス供給路を接続してあることである。
【0009】次に,本発明の作用効果につき説明する。本発明の真空脱ガス装置は,上記ガス導入部を上記構造に設けてある。そのため,上記ガス供給路から不活性ガスを導入する際には,まず,不活性ガスが上記リング状のガス溜め空間に進入する。次いで,不活性ガスは,ガス溜め空間から上記複数の吹出し口を通って浸漬管内に吹き出る。
【0010】このように,不活性ガスは,上記吹出し口より十分に大きい容積を有するリング状のガス溜め空間に一旦進入するので,ガス溜め空間内において圧力状態が均一化される。そのため,各吹出し口に作用する吹出し圧力が均一化される。
【0011】そして,上記浸漬管に設けた複数の吹出し口からは,同じ圧力を付与された不活性ガスが吹出す。すなわち,どの吹出し口からでる不活性ガスも,同様の状態で均一となる。それ故,この不活性ガスの吹出しによって生ずる金属溶湯の吸引作用が安定し,スムーズに金属溶湯を脱ガス槽へと導くことができる。
【0012】次に,請求項2の発明のように,上記吹出し口は,上記浸漬管の円周上において等間隔に設けられていることが好ましい。これにより,浸漬管内に吹出させる不活性ガスを均一に分布させることができ,さらに金属溶湯の吸引作用を安定化することができる。
【0013】また,請求項3の発明のように,上記吹出し口は,上記ガス溜め空間に面する大径部と,該大径部よりも径が小さく上記浸漬管の内面に開口した小径部とを有することが好ましい。この場合には,不活性ガスの吹出し口を段階的に小径化することができ,さらにスムーズな不活性ガスの吹出し状態を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】実施形態例1本発明の実施形態例にかかる真空脱ガス装置につき,図1〜図2を用いて説明する。本例の真空脱ガス装置1は,図1に示すごとく,減圧装置19に接続され内部を減圧できるよう構成された脱ガス槽10と,該脱ガス槽10の底部12に設けられた2本の浸漬管21,22とを有し,該浸漬管21,22を取鍋3内の金属溶湯8に浸漬して一方の浸漬管21から金属溶湯8を上記脱ガス槽10内部に導入して脱ガスした後他方の浸漬管22から上記取鍋3に戻すよう構成されている。
【0015】上記一方の浸漬管21には,金属溶湯8の吸引力を発生させる不活性ガス7を導入するためのガス導入部4を設けてある。該ガス導入部4は,図2に示すごとく,上記浸漬管21の周囲を覆うように配置したリング状のガス溜め空間41と,該ガス溜め空間41と浸漬管21の内部とを連通するように浸漬管21に設けた複数の吹出し口42とよりなる。上記ガス溜め空間4には,上記不活性ガス7を供給するガス供給路70が接続されている。
【0016】以下,これを詳説する。上記脱ガス槽10は,図1に示すごとく,本体部11と,底部12とを組み合わせて構成してある。本体部11の上端には,真空吸引用の吸引穴111を有すると共に該吸引穴に吸引管112を有してなる。そして,吸引管112には,減圧用の真空ポンプ19を接続してある。また,脱ガス槽10の底部12は,筒状の本体部11の下端部を閉止するように配設されていると共に,上記浸漬管21,22と連通する貫通穴121,122を有している。
【0017】また,上記浸漬管21の上端部には,図2に示すごとく,上記ガス導入部4を設けた。上記リング状のガス溜め空間41は,浸漬管21の周囲の底部12にリング状の空間を形成することにより設けた。そして,ガス溜め空間41には,側方から不活性ガス7を供給するガス供給路70を開口させた。このガス供給路70は,不活性ガスの供給源に接続された不活性ガス供給管71に連結されている。
【0018】また,上記吹出し口42は,本例では浸漬管の円周上においてこれを三等分するように等間隔に3つ設けた。各吹出し口42は,ガス溜め空間41に面する大径部421と,該大径部421よりも径が小さく上記浸漬管21の内面に開口した小径部422とを有するように設けた。
【0019】次に,本例の真空脱ガス装置1を用いた脱ガス処理の例を簡単に説明する。例えば,金属溶湯としての鋼材を脱ガス処理する場合には,1400℃の温度の金属溶湯8を取鍋3内に溜める。次いで,浸漬管21,22の下端部が十分に金属溶湯8内に漬かるように,上記真空脱ガス装置1を配置させる。
【0020】次いで,脱ガス槽10に接続されている真空ポンプ19を運転することにより,脱ガス槽10内を真空引きする。真空度としては例えば0.5Torr程度に制御する。次いで,不活性ガス導入管71に接続された不活性ガス供給源から不活性ガス7を導き,これを上記ガス導入部4を介して連通穴121に吹き出させる。これにより,いわゆるエアーリフトポンプの作用により,浸漬管21から金属溶湯8が上方の脱ガス槽10内に供給される。そして,脱ガス槽10内の減圧作用によって金属溶湯8内に含まれているガスが除かれ,その後他方の浸漬管22を通って下方の取鍋3に戻される。
【0021】ここで,本例の真空脱ガス装置1は,上記のごとく,ガス導入部4を上記ガス溜め空間41と複数の吹出し口42を組み合わせて構成し,かつ,ガス導入路70をガス溜め空間41に開口させてある。そのため,ガス供給路70から不活性ガス7を導入する際には,まず,不活性ガス7が上記リング状のガス溜め空間41に進入する。次いで,不活性ガス7は,ガス溜め空間41から上記複数の吹出し口42を通って浸漬管内に吹き出る。
【0022】このように,不活性ガス7は,上記吹出し口42より十分に大きい容積を有するリング状のガス溜め空間41に一旦進入するので,ガス溜め空間41内において圧力状態が均一化される。そのため,各吹出し口42に作用する吹出し圧力が均一化される。そして,上記浸漬管21に設けた複数の吹出し口42からは,同じ圧力を付与された不活性ガス7が吹出す。すなわち,どの吹出し口42からでる不活性ガス7も,同様の状態で均一となる。
【0023】さらに,本例では,吹出し口41を等間隔をあけて3つ設け,各吹出し口41には上記の大径部421及び小径部422を設けた。そのため,各吹出し口41にはスムーズに不活性ガス7が流れ,さらに均一化された状態で吹出される。それ故,この不活性ガス7の吹出しによって生ずる金属溶湯8の吸引作用が安定し,スムーズに金属溶湯を脱ガス槽へと導くことができ,効率よく脱ガス処理を行うことができる。
【0024】
【発明の効果】以上のように,本発明によれば,不活性ガスを浸漬管内に均一に導入することができ,金属溶湯のスムーズな吸引を行うことができる真空脱ガス装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
【出願日】 平成12年7月12日(2000.7.12)
【代理人】 【識別番号】100079142
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 祥泰 (外1名)
【公開番号】 特開2002−30328(P2002−30328A)
【公開日】 平成14年1月31日(2002.1.31)
【出願番号】 特願2000−211479(P2000−211479)