| 【発明の名称】 |
タールマッド材 |
| 【発明者】 |
【氏名】宇田川 悦郎
【氏名】熊谷 正人
【氏名】飯田 正和
【氏名】小倉 一寛
【氏名】室井 信昭
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| 【要約】 |
【課題】タールを効果的に添加することにより、作業性と強度を兼ね備えたタールマッド材を提案する。
【解決手段】高炉出銑口を閉塞するために用いられるタールマッド材であって、該タールマッド材に含まれるタールの含有量、固体成分の比表面積および閉塞作業性値の間に下記 (1) (2)式が満たされていることを特徴とするタールマッド材。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高炉出銑口を閉塞するために用いられるタールマッド材であって、該タールマッド材に含まれるタールの含有量、固体成分の比表面積および閉塞作業性値の間に下記 (1) (2)式が満たされていることを特徴とするタールマッド材。 記3500−9.55×104x≦y/9.8 ≦4000−9.55×104x …… (1)100 ≦y/9.8 ≦ 400 …… (2)ただし、x:タールマッド材中の、(タールの含有量(質量%))/(固体成分のBET法で求めた比表面積(m2/g)) y:マーシャル試験によって求まる作業性値(N) 【請求項2】 上記固体成分として、ミクロシリカおよび/またはカーボンブラックを含有することを特徴とする請求項1に記載のタールマッド材。 【請求項3】 上記固体成分としてのミクロシリカおよび/またはカーボンブラックの合計含有量が5〜30質量%である請求項2に記載のタールマッド材。 【請求項4】 上記固体成分には、粘土質微粉を含有しないものである請求項1〜3のいずれか1項に記載のタールマッド材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、高炉出銑口閉塞用に使用するタールマッド材に関し、とくに強度が高くかつ閉塞時の作業性(以下、単に「作業性」という)の良好なマッド材を提供するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、銑鉄やスラグを排出するための高炉出銑口は、出銑・滓後に、閉塞機(マッドガン) を介して、主として不定形耐火物からなる閉塞材 (以下「マッド材」と称す) を充填することにより閉塞している。このマッド材に要求される特性としては、■出銑口中に充填するための可塑性を具えること、すなわち、作業性に優れていること、■充填されたマッド材、揮発分の急激な膨張・蒸発による空隙の形成がなく、緻密な充填状態が保たれ、かつ短時間に焼結を完了すること、■出銑に際し、出銑口の開孔、特にドリリングが容易であること、すなわち、切削性に優れていること、■出銑・出滓中に流出する溶銑および溶滓との接触による、機械的あるいは化学的な侵食に耐え、出銑孔径の拡大が少ないこと、■充填、焼成時には、炉内および出銑口深部において、既に焼成している旧マッド材とのなじみがよく、亀裂部に容易に侵入して深度の維持と横穴防止が優れること、すなわち接着性に優れること、などがあげられる。 【0003】このような高炉出銑口閉塞用マッド材については、特開昭52−33907号公報に示されているようなバインダー(焼結材)としてコールタール(以下、単に「タール」と略記)を添加したタールマッド材が一般的である。かかるタールマッド材を採用した理由は、タールが安いという理由の他、マッド材に要求される特性、すなわち、作業性や焼成後の切削性が優れるためである。 【0004】ところで、タールは、圧入時の流動性に寄与するとともに、焼成後はカーボンボンドを形成して強度を発現させる結合材としての役割を担うものである。一方で、このタールは、600 ℃までの炭素化過程で発泡するという性質がある。このため、該タールマッド材は、出銑口への圧入直後から体積膨張を起こし、その膨張量はタールの含有量が多いほど(揮発分が多いほど)大きくなることが知られている。すなわち、従来設計によるタールマッド材では、マッド材中のタールの含有量と体積膨張による気孔率(1400℃焼成マッドの気孔率)の関係は、一般に図1のようになり、タール含有量が約17%以上ではタールマッド材の気孔率がタール含有量の増加とともに増大する。上述したように、タール含有量が17%以上では過剰なタールの発泡、揮発による空隙の形成が原因である。なお、タール含有量が17%を下回っても気孔率が上昇するのは、タールマッド材が焼成前にすでに充填不良であったからであると考えられる。 【0005】図1に示したように、タールマッド材はある量(図1では約17%)以上になると、タールの発泡によるマッド材の体積膨張が大きくなり、気孔率が増大する。そのため、焼成強度が低下し、この結果得られたマッド材では、出銑止めの閉塞作業の際に、炉内の残銑滓を押し戻せず、これを充填されたマッド材の空隙内に取り込んでしまうということも起こりうる。このことから、該タールマッド材の空隙を低下させて焼成強度を高めるためには、タールの配合量をできるだけ少なくすることが必要になってくる。こうした立場からの提案として、特開平11−217264号公報には、タールを予め使用原料中に含浸させる技術が開示されている。 【0006】しかしながら、タールマッド材を出銑口へ圧入するためには、タールマッド材に流動性を付与することも不可欠であるので、タールの減量には自ずと限界がある。つまり、タールマッド材として必要な焼成強度を得るにはタール量を減少させることが、一方、圧入作業の上からはむしろタール量を増すことが求められるという、互いに矛盾した課題を解決することが必要になってくる。 【0007】タールマッド材のようなペースト状のものの流動性は、固体成分として微粉状の原料を用いることにより、流動性が向上することが知られている。というのは、一般に、微粉は流体的性質を示し、固体潤滑材として機能するからである。タールマッド材の微粉原料としては、例えば、シリカ、ムライト、アルミナといった酸化物微粉、粘土質微粉、カーボンブラックなどの炭素系微粉、またSiC、Si3N4(Fe−Si3N4)といった非酸化物系微粉の使用が考えられ、既にこれらの微粉原料のいくつかはタールマッド材の原料として使用されている。しかしながら、一般に、微粉の多量使用はタール添加量の増大を招く場合が多いために、タールの増量によりもたらされる上述した問題を引き起こすことにもなっている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のタールマッド材が抱える上述した問題点を解決することを課題とする。すなわち本発明の目的は、タールを効果的に添加することにより、作業性と強度を兼ね備えたタールマッド材を提供することにある。具体的には、タールマッド材に固体粒子の特性に合った過不足のないタール量を含有させることにより、タールマッド材の流動性(作業性)を維持するとともに、緻密な充填組織を形成することにより、十分な強度を有するタールマッド材を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記従来技術において、微粉を多量に使用するときに、タールの添加量(含有量)を増大させていたというそもそもの原因として、これまで、固体潤滑材としての機能が定量的に把握できていなかったことが考えられる。そこで、発明者らは、固体成分とりわけ微粉原料が有する固体潤滑材としての作用と比表面積の関係に着目して詳細な実験・検討を行い、これら固体成分の特性に応じて適正なタール添加量(含有量)が存在することを知見した。また、発明者らは、固体潤滑材としての効果が大きく、タール添加量の低減に有効に寄与する微粉原料をも見いだした。こうした知見のもとに製造したタールマッド材は、作業性および焼結性がよく制御されており、開孔時負荷の軽減と耐用性の向上とを兼ね備えていることを確認した。 【0010】このような知見に基づいて完成した本発明は、(1)高炉出銑口を閉塞するために用いられるタールマッド材であって、該タールマッド材に含まれるタールの含有量、固体成分の比表面積および閉塞作業性値の間に下記式が満たされていることを特徴とするタールマッド材。 記3500−9.55×104x≦y/9.8 ≦4000−9.55×104x …… (1)100 ≦y/9.8 ≦ 400 …… (2)ただし、x:タールマッド材中の、(タールの含有量(質量%))/(固体成分のBET法で求めた比表面積(m2/g)) y:マーシャル試験によって求まる閉塞作業性値(N) 【0011】(2)上記 (1)に記載のタールマッド材は、固体成分として、ミクロシリカおよび/またはカーボンブラックを含有することが好ましい。 (3)上記 (2)に記載のタールマッド材は、固体成分としてのミクロシリカおよび/またはカーボンブラックの合計含有量が5〜30質量%であることが好ましい。 (4)上記 (1)〜 (4)に各発明において、固体成分には、粘土質微粉材を含有しないものであることが好ましい。 【0012】 【発明の実施の形態】発明者らは、タールマッド材に含有されるタール量を強度と作業性の確保のための必要最少量に止めるべく検討を行った。まず、種々の原料、粒径分布からなる固体成分を含むタールマッドを試作し、そのタール含有量と作業性値の関係を調査した。その結果、図2に示すように、タール含有量を増すと概ね作業性値が低下する傾向は認められたものの、同一のタール含有量の下でも作業性値が大きくばらつくことが明らかとなった。そこで、流体の潤滑材として作用するタールと、固体潤滑材として作用する微粉の影響を総合的に評価できるパラメータとして、タール含有量と固体成分のBET法で求めた比表面積 (ほとんどが74μm以下の粒度の固体成分によって決定づけられるので、微粉の寄与を定量的に評価できる物理量である) の比を用いて、作業性値との関係を調査した。 【0013】その結果、作業性値yは次式:y/9.8 =4300−9.55×104x…… (a)の関係にあることを確認した。ここに、x:(タールマッド材中のタール含有量(%))/(固体成分のBET法で求めた比表面積(m2/g))であり、y:マーシャル試験(70℃)によって求まる閉塞の作業性値(N)である。上記 (a)式は、固体成分の原料について特別な配慮をしない、いわゆる従来の配合設計について成り立つ式である。 【0014】発明者らは、そこで、従来の固体成分の原料を更により潤滑性を有するものに変更した場合に、タールの含有量/比表面積と作業性値との関係がどのように変化するかについて調査した。具体的には、固体潤滑材としての役割が大きい主に74μm以下の微粉を、従来の原料からカーボンブラック、ミクロシリカ、カオリン粘土、ロー石、アルミナ、SiC、Si3N4等に変更してタールマッド材を製造し、作業性値について調査した。その結果、カーボンブラック、ミクロシリカを固体成分として用いたタールマッド材では、タール含有量/比表面積と作業性値との間に、上記従来材と同様な比例定数をもつ関係がみられるものの、上記 (a)式よりも低作業性値側にシフトすることがわかった。そして、このような高潤滑性の固体成分を最大限有効に利用した場合には、次式で表される範囲が得られた。 3500−9.55×104x<y/9.8 <4000−9.55×104x ……(b)【0015】図3は、74μm以下の微粉原料を変更した実験により得られた結果を上記各式とともに示したものである。図3において、従来材(微粉原料中に、SiC:15〜35%を含有)の多くは (a)式の右方にあるが、上記高潤滑材を固体成分として用いた実験点(いずれも、微粉原料中に、潤滑材を9〜15%添加)は左下方にシフトして (b)式を満たす範囲にある。 【0016】以上のことから、必要な作業性値yに応じて、パラメータx,すなわち、前述したタール含有量と固体成分の比表面積との比を、3500−9.55×104x≦y/9.8 ≦4000−9.55×104x …… (1)の関係を満たす範囲に調整すれば、強度を維持したままでタールの添加を有効に利用でき、とりわけ上記範囲内で潤滑作用を有する固体成分を添加することにより、極めて有効にタールを利用することができる。ただし、この作業性値が100kg未満では、実機のマッドガンでの充填の際に溶銑滓を巻き込みやすくなることと、充填不良 (漏れ) により出銑孔の損耗が増大する傾向となり、一方、400kgを超えるとマッドガンの能力を超え、押し切らず、振り切りといった充填不良が頻発する傾向があるので、作業性値yは次式をも満たしていることが必要である。 100 ≦y/9.8 ≦ 400 …… (2)よって、これらタール含有量、比表面積および作業性値が、上記 (1) (2)の両式を満たすときに、作業性を維持しつつ、緻密な充填組織を得ることができるので、この領域を本発明が満たすべき範囲と定める。 【0017】上述した発明に従うタールマッド材は、タールと固体成分からなる。固体成分は74μmを超える粗大な骨材と74μm以下の微粉とが混じり合ったものであり、このうち74μm以下の微粉の量は、作業性および強度(充填性)のうえから 固体成分の40〜60%を占めていることが望ましい。さらには、高潤滑性を有するカーボンブラックおよび/またはミクロシリカの量は、74μm以下の微粉中に8〜75%(全固体成分に対しては5〜30%、さらに好ましくは10〜20%)含有させることが好ましい。一方、粘土質のものは潤滑効果が少ないので、74μm以下の微粉中には極力含有させないことが望ましい。なお、74μmを超える骨材として、炭素材料、ロー石、バンド頁岩、シリカ、アルミナ、ムライト、スピネル、マグネシアなどを含むことが好ましい。さらに、マッド材の使用される環境のうち、マッドガンの能力に応じた流動性の調整等を目的としてタ一ルピツチの添加も可能である。 【0018】また、実際に使用する上では、焼結性の制御とある程度の強度維持が要求される。このような場合には、カーボンブラックをミクロシリカで置換することによって、強度の向上を図ることが可能であるので、開孔機の能力をも考慮して、必要に応じてこれら原料の配合比率を変えるのがよい。図4に、カーボンブラックとミクロシリカの使用比率が強度(1400℃での熱間曲げ強さ)に及ぼす影響を示したものである。 【0019】 【実施例】表1に記載する配合にてマッド材を作製した。本発明に従い、固形潤滑性を有するカーボンブラックとミクロシリカを併用したもの (発明例) と、比較のために微粉部がカオリン粘土質主体であるもの (比較例1) とアルミナ超微粉主体であるもの (比較例2) を合わせて試作し、評価した。表1には、試作品のBET比表面積、作業性値、およびタール含有量(添加量)を示す。発明例では、比較例に比べて、低タール量で低い作業性値を得ることができた。図5に、タール含有量/BET比表面積と作業性値の関係を示す。アルミナ超微粉を用いた場合には、タール量、正確にはタールによるコーティング厚みに依存した作業性を示すのに対し、カーボンブラックとミクロシリカの併用では固形潤滑の効果が支配的となり、より少ないタール含有量でも作業性値を小さくすることができた。また、このようにして配合して作製したマッド材を1400℃で焼成して気孔率を測定したところ、図1と同様の結果が得られ、タール量が14〜15質量%である本発明では気孔率が21%以下であり、実用上好ましいものが得られた。 【0020】 【表1】
【0021】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、作業性を損なうことなく、タール添加量の低減がはかれるので、開孔性と強度(使用時の耐用性)に優れたタールマッド材を提供することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001258 【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社 【識別番号】000199821 【氏名又は名称】川崎炉材株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年8月18日(2000.8.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080687 【弁理士】 【氏名又は名称】小川 順三 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−60820(P2002−60820A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月28日(2002.2.28) |
| 【出願番号】 |
特願2000−248056(P2000−248056) |
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