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【発明の名称】 冷却水圧損を低減したステーブクーラー
【発明者】 【氏名】加藤 亮

【氏名】松本 幸信

【氏名】奥田 隆昭

【要約】 【課題】高炉炉壁等の冷却に使用されるステーブクーラーにおいて、圧延材や鍛造材で製造されるステーブ本体に穿孔加工で形成する冷却水路の冷却水圧損を低減し、冷却水の流通を滑らかにして冷却効率を向上させる。

【解決手段】穿孔加工で生じたステーブ端面の開口を密封した栓が、冷却水路と給排水口の交わる位置まで達し、該位置に達した栓の端面が湾曲し、冷却水路内面および給排水口内面と連続面を形成して接している。冷却水路と給排水口が交わって形成される相貫線の周縁角部が面取りされているのが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷却水路を穿孔加工により形成したステーブクーラーにおいて、該穿孔加工で生じたステーブ端面の開口を密封した栓が、冷却水路と給排水口の交わる位置まで達し、該位置に達した栓の端面が湾曲し、冷却水路内面および給排水口内面と連続面を形成して接していることを特徴とする冷却水圧損を低減したステーブクーラー。
【請求項2】 冷却水路と給排水口が交わって形成される相貫線の周縁角部が面取りされていることを特徴とする請求項1記載の冷却水圧損を低減したステーブクーラー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉炉壁等の冷却に利用される冷却水圧損を低減したステーブクーラーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】高炉操業において、炉内の高温反応から鉄皮を保護するために、ステーブクーラーを使用し鉄皮を冷却している。従来のステーブクーラーの一例を示すと、図3のように鉄皮8の内側に金属製のステーブ本体1を配し、ステーブ本体1内に設けられた冷却水路2に冷却水を流して鉄皮8を冷却する。図3はステーブ本体1の上部のみを示しているが、下部は上部とほぼ対称になっていて、冷却水は図示しない下部の給水口から流入し、上部の排水口4から流出する。
【0003】ステーブ本体1には、鋳造品と、鍛造材や圧延材から加工したものとがある。冷却水路2および給排水口4は、鋳造品では鋳造時にパイプを鋳込み、あるいは中子による鋳抜きにより一体に形成される。しかし、鍛造材や圧延材から加工したものでは、冷却水路2は板材の端面から穿孔し、冷却水路2に通じる給排水口4は板材の外面側から穿孔し、冷却水路2の端面開口に図3のような栓3を埋め込んで形成される。5は冷却水配管である。
【0004】鋳造品では任意の形状の冷却水路2を形成できるが、鋳造組織が粗いこともあって鍛造材や圧延材よりも熱伝導率が低く強度も低い。そのうえ、鋳込まれたパイプとの間の熱膨張差によって、冷却水路2と鋳造材の境界に空隙が生じ、熱伝導性が損なわれて冷却性能が劣化しやすいという問題もある。鍛造材や圧延材から加工したものは熱伝導性および強度が優れているが、穿孔加工により形成される冷却水路2の形状に制約がある。
【0005】鍛造材や圧延材から加工した熱伝導性のよいステーブクーラーとして、特公昭63−56283号公報には、銅または銅合金製のものが開示されている。その構造は図3と同様、板材の端面から穿孔した直線状の冷却水路2の端面の開口に栓3を埋め込んでおり、栓3は溶接、ろう接、ネジ込みにより取り付けている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図3のような従来のステーブクーラーには、つぎのような問題があった。
(1)ステーブ本体1の冷却水路2と給排水口4がほぼ直角に交わり、冷却水路2の端は栓3にて密閉しているだけなので、冷却水の滑らかな流動が得られ難い。このため冷却水が冷却水路2から排水路4に向けて直角に方向を変えて流出する際、渦を発生し圧力損失が生じる。図示しない給水口から冷却水路2にも直角に方向を変えて流入し同様に圧力損失が生じる。
【0007】(2)一般に高炉の炉壁には複数段のステーブクーラーが縦方向に連設され、下段側の排水管が上段側の給水管に接続され、循環ポンプや熱交換器を有する循環冷却システムの一部をなしている。したがって、個々のステーブクーラーの圧力損失が大きいと循環ポンプの負荷も大きくせざるを得ない。
【0008】(3)停電時に循環ポンプが停止するような場合、冷却水の一部が蒸発し、冷却水路2端部の栓3と給排水口4の間に形成される袋路に溜まり、冷却水の自然循環を阻害するおそれがある。
【0009】そこで本発明が解決しようとする課題は、高炉炉壁等の冷却に使用されるステーブクーラーにおいて、熱伝導率が高く強度も高い圧延材や鍛造材で製造されるステーブ本体に、穿孔加工で形成する冷却水路の冷却水圧損を低減することにより、冷却水の流通を滑らかにして冷却効率を向上させることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明は、冷却水路を穿孔加工により形成したステーブクーラーにおいて、該穿孔加工で生じたステーブ端面の開口を密封した栓が、冷却水路と給排水口の交わる位置まで達し、該位置に達した栓の端面が湾曲し、冷却水路内面および給排水口内面と連続面を形成して接していることを特徴とする冷却水圧損を低減したステーブクーラーである。そして上記本発明ステーブクーラーにおいて、冷却水路と給排水口が交わって形成される相貫線の周縁角部が面取りされているのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明ステーブクーラーを図1および図2の例により説明する。図1は断面図、図2は栓3の正面図である。板状のステーブ本体1にはステーブ端面からドリル等での穿孔加工により冷却水路2が形成され、ステーブ端面の開口が栓3により密封されている。またステーブ本体1の外表面から、冷却水路2に通じる給排水口4が穿孔され冷却水配管5が取付けられている。図1の例はステーブ本体1の上部のみを示し、排水口4を示しているが、下部は上部とほぼ対称になっていて、冷却水は下部の図示しない給水口から流入し、上部の排水口4から流出するようになっている。
【0012】本発明ステーブクーラーは、ステーブ本体1に冷却水路2を穿孔加工により形成した際に生じたステーブ端面の開口を密封する栓3が、図1の例のように、冷却水路2と給排水口4の交わる位置まで達している。そして、該位置に達した栓の端面6が湾曲し、冷却水路2の内面および給排水口4の内面と連続面を形成して接している。栓3のみを示すと、図2の例のように端面6が湾曲し、例えば凹球面の一部をなしている。
【0013】このような栓3は、ステーブ端面から給排水口4に達する長さで、栓の端面6には予め所定の湾曲加工を施しておき、ステーブ端面の開口からネジ込み等により挿入し、端面6が冷却水路2の内面および給排水口4の内面と連続面を形成する位置に固定されるように、栓3と開口の内面とを溶接等により密封する。
【0014】本発明ステーブクーラーは、冷却水路2に、図3の従来例のような給排水口4と栓3の間の袋路がないので、高炉の炉壁に取付けて冷却水を流すとき冷却水が滞留せず、かつ冷却水ポンプが停止しても水蒸気が溜まることがない。また栓の端面6が湾曲し、冷却水路2の内面および給排水口4の内面と連続面を形成しているので、冷却水流が、給水口から冷却水路2へ、また冷却水路2から排水口4へ、それぞれほぼ直角に曲がるとき、外側の流路が滑らかとなって渦流発生が抑制され、圧損が著しく低減される。
【0015】つぎに本発明ステーブクーラーにおいて、図1の例のように、冷却水路2と給排水口4が交わって形成される相貫線7の周縁角部が面取りされていると、上記のように冷却水流がほぼ直角に曲がるとき、内側の流路も滑らかとなって渦流の発生がより抑制され、圧損がさらに低減される。以上述べたような本発明ステーブクーラーは、図3に示す従来例と同様にして高炉炉壁などに取付けることができる。
【0016】
【発明の効果】本発明ステーブクーラーを使用して高炉炉壁等を冷却することにより、以下のような優れた効果が発揮される。
(1)ステーブ本体を緻密かつ均質な組織を有する圧延材や鍛造材で構成することができ、かつドリル等による穿孔加工で形成した冷却水路と給排水口の境界にて冷却水の圧損が著しく低減されるので、冷却効果が向上する。
(2)冷却水路と給排水口の境界で渦流が発生せず、圧損を従来の約1/7に低減できる。
(3)複数段のステーブクーラーを縦方向に連設し、下段側の排水管を上段側の給水管に連結配管して循環冷却システムの一部を構成した場合、圧損低減により循環ポンプの負荷が軽減できる。
(4)循環ポンプ駆動用電動機の運転に要する電力費も削減できる。
(5)停電時など循環ポンプが停止するようなことがあっても、冷却水路内に発生する蒸気は容易に配水管側に排出され、冷却水の自然循環を阻害しない。
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【出願日】 平成12年8月11日(2000.8.11)
【代理人】 【識別番号】100062421
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弘明 (外1名)
【公開番号】 特開2002−60817(P2002−60817A)
【公開日】 平成14年2月28日(2002.2.28)
【出願番号】 特願2000−244854(P2000−244854)