| 【発明の名称】 |
ステーブ |
| 【発明者】 |
【氏名】三井 昌平
|
| 【要約】 |
【課題】銅又は銅合金からなるステーブであって、安定的に抜熱量を低減できるステーブを得る。
【解決手段】本体1が銅又は銅合金からなるステーブであって、本体内部に形成した冷却媒体用通路3と本体前面との間に断熱層を設けると共に、冷却媒体用通路3を、断熱層を構成する断熱性耐火材7の投影面内に配置した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体が銅又は銅合金からなるステーブであって、本体内部に形成した冷却媒体用通路と本体前面との間に断熱層を設けると共に、前記冷却媒体用通路を、前記断熱層を構成する断熱部の投影面内に配置したことを特徴とするステーブ。 【請求項2】 前記断熱層における銅又は銅合金の面積比率を2%〜40%にしたことを特徴とする請求項1記載のステーブ。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は高炉等のシャフト炉型冶金炉における銅又は銅合金製のステーブに関する。 【0002】 【従来の技術】高炉等における炉体の冷却方式としてステーブ冷却方式が知られている。このステーブについては、最近、熱伝導率や延性などの物性に優位な銅あるいは銅合金を用いたものが開発されている。銅あるいは銅合金を用いることによって、ステーブ本体はより低温で均一な温度分布となり、発生熱応力を抑制でき、変形量も減少させることができる。このため、ステーブ本体が受けるダメージが軽減され、炉命を延ばすことが可能となるのである。一方、銅が熱伝導性に優れることからステーブの取付場所によっては炉内充填物からの抜熱量が過大になり、必要以上に炉内充填物を冷却し、結果的に燃料比が増加するという問題が発生する。 【0003】かかる問題を解決するものとして、例えば持公昭63−56283号公報に示された銅又は銅合金を用いたステーブに関する発明がある。同公報に開示された発明は、ステーブの前面に水平方向に延びる複数の溝を形成し、この複数の溝に耐火材を設置し、ステーブ前面において、銅と耐火材が交互に配置された構成にしたものである。このような構成にすることにより、ステーブの炉内側前面に断熱性を付加し、銅の露出面積を減らすことで抜熱量の低減を図るというものである。 【0004】しかし、上記のように耐火材が炉内側にむき出しでは、炉内充填物との接触による摩耗や内部発生応力に起因する割れなどによって耐火材が減容し、銅の露出面積は経年増加することになり、その場合抜熱量は漸増する。そのため、当初は抜熱量をある程度小さく抑えることができても、経年変化による耐火材の減容により、抜熱量が大きくなるという問題がある。また、耐火材としては、耐熱衝撃を有し、割れにくいものを選択する必要があることから、単純に熱伝導率の低いものを選択することができず、高価な比較的熱伝導性のよい耐火材を採用せざるを得ず、経年変化によるのみならず初期の段階においても抜熱量は大きくなる構造となっているという問題もある。さらに、耐火材が壊れやすいので、据付時に耐火材に外力が作用しないように注意する必要があり、作業性の面で改善の余地がある。 【0005】このような種々の課題を解決するものとして本願の発明者は先の出願である特願平10−295900号において、冷却媒体用通路と炉内側面との間に断熱層を設けた銅又は銅合金製のステーブを開示した。このステーブは断熱性耐火材を銅又は銅合金からなる本体内部に閉じこめることにより、断熱性耐火材が炉内側にむき出しであることに起因する種々の制約を無くし、上記の問題点をほぼ解決する画期的な構造であった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特願平10−295900号の発明では、冷却媒体用通路と断熱性耐火材の位置関係や、断熱層における銅と断熱性耐火材との比率については特に触れられておらず、これらを工夫することで抜熱量をさらに低減する余地が残されていた。 【0007】本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、銅又は銅合金からなるステーブであって、安定的に抜熱量を低減できるステーブを得ることを目的としている。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明に係るステーブは、本体が銅又は銅合金からなるステーブであって、本体内部に形成した冷却媒体用通路と本体前面との間に断熱層を設けると共に、前記冷却媒体用通路を、前記断熱層を構成する断熱部の投影面内に配置したものである。なお、本発明において、断熱部の投影面内に冷却媒体用通路を配置するとは、例えば、冷却媒体用通路が連続するスネーク状のような場合には冷却媒体用通路の屈曲部のごく一部が投影面内にないような場合も含む。 【0009】また、断熱層における銅又は銅合金の面積比率を2%〜40%にしたものである。 【0010】 【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は本発明の実施の形態1の平面図、図2は正面図、図3は側面図、図4は図1における矢視A−A断面図、図5は図1における矢視B−B断面図である。以下、図1〜図5に基づいて実施の形態1の構成を説明する。1は略矩形板状のステーブの本体であり、銅又は銅合金(以下、「銅等」という。)から形成されている。3は本体1の内部における背面側に形成された冷却水路、5は冷却水路3に連結された冷却水が出入りする出入口配管である。また、ステーブ背面には、本体1を鉄皮に固定する図示しない取付ボルトが設けられている。 【0011】7は本体1の内部における冷却水路3と本体前面との間に設置された断熱性耐火材である。断熱性耐火材7は、図1及び図4に示すように、一定の幅と厚みを有する断面矩形の平板状からなり、一定の間隔を離して本体1の幅方向に縦に並べて複数設置されている。したがって、図4に示すように、断熱性耐火材7の設置されている断面においては、本体1の幅方向に断熱性耐火材7と銅等からなる断熱層断面が形成されることになる。断熱性耐火材7としては、本体1に形成されたスペースに挿入した成形煉瓦や断熱ボードであってもよいし、あるいは不定形耐火物を前記スペースに流し込んで成形したものであってもよい。 【0012】そして、断熱性耐火材7は、図1及び図4に示すように、冷却水路3の前面側に冷却水路3を覆い隠すように設けられている。換言すれば、断熱性耐火材の投影面内に冷却水路3が配置されている。 【0013】ここで、冷却水路3と断熱性耐火材7の配置を上記のようにした理由を述べる。図6は冷却水路3と断熱性耐火材7の配置関係の説明図であり、配置の例として図6(a)で示すように冷却水路3の前面側に断熱性耐火材7がなく銅等の本体部が配置されるタイプAと、図6(b)に示すように冷却水路3の前面側に断熱性耐火材7を配置したタイプB(本実施形態のもの)を示している。冷却水路3の前面側は最も抜熱効率が高い箇所となる。そのため、例えば、タイプAのように冷却水路3の前面側に断熱性耐火材7がなく銅等の本体部が配置される構成では、この銅等の部分を通過し、過大な抜熱が行われることになる。そこで、本実施の形態においては、タイプBのように、冷却水路3の前面側に断熱性耐火材7を配置して、断熱性耐火材7によって過大な熱の通過を遮ることによって抜熱効率を低下させたものである。 【0014】次に、断熱層断面における銅等の面積比率について説明する。ここに、面積比率とは、断熱層断面における全面積に対する銅等の占める面積の割合をいう。具体的には、ステーブの横断面を拡大して示す図7において、断熱層断面8における隣接する銅等部の中心間距離をW1、銅等部の幅寸法を2W2とすれば、2W2/W1×100(%)で求まる量である。炉内からの熱損失を抑制するという観点からは、銅等の面積比率を小さくすることが望ましい。この点、耐火材を前面に設けた溝部で支持する前述の従来例の場合には、溝部の側壁が一定の高さを有することから一定の厚みが必要であり、また耐火材の維持の観点から耐火材を冷却する必要がありそのために側壁に一定の厚みが必要であった。このように、従来例では耐火材を含めた形態維持の観点から側壁部に一定の厚みが必要であり、ステーブ前面の銅部の面積比率は35%程度必要となり、抜熱量を低減するには一定の限界があった。これに対して、本実施の形態のステーブは断熱性耐火材7を本体内部に閉じ込める構成であり、上記従来例のような制約はなく、断熱層断面における銅等の面積比率は、断熱層断面の炉内側前方にある本体銅部の荷重を支持することさえ可能であれば、抜熱量という観点からいかようにでも設定できる。 【0015】断熱層の銅等の面積比率をいかようにでも設定できるとして、どの程度にすべきかを決定するにあたり、発明者は図6に示したタイプA,Bについて、断熱層の銅等部(主熱通過断面)の面積比率を変更した場合の抜熱量をシュミレーションした。その結果を図8のグラフに示す。図8において、横軸は断熱層断面の銅部(主熱通過断面)の面積比率(%)であり、縦軸は従来例(ジャケットタイプ、前面露出銅部の面積比率35%)の抜熱量を基準(0)とした場合の抜熱量の割合を示している。タイプAでは面積比率が約35%のときに従来例と同じ抜熱量であり、面積比率を下げていくに従って抜熱量は低下してゆき、面積比率が10%のときには、従来例に対して約8%減少している。タイプBではタイプAに比較して更に抜熱量が低下し、面積比率が10%のときには、従来例に対して18%減少している。また、面積比率が40%のときに従来タイプとほぼ同じ抜熱量となっている。したがって、面積比率を40%以下にすれば従来例のものよりも抜熱量を低減できる。 【0016】また、本実施の形態の場合には、断熱性耐火材7をステーブ内部に閉じこめる構成であり、断熱層における仕切は断熱性耐火材7の保護や保持を考慮することなく熱通過量の観点のみから決定できる。したがって、極端な場合にはステーブの両側のみ銅等にして仕切を無くすることも考えられる。そして、この場合の断熱層の銅等の面積比率は、製作面を考慮すれば、2%程度になる。なお、タイプBで面積比率を10%にした場合の炉内側のステーブの銅面の温度は300℃以上の高温になるが、銅等の場合には300℃以上の高温になったとしても実績上十分使用に耐えられることが分かっている。 【0017】以上のように本実施の形態のステーブにおいては、高炉充填物に接するステーブ前面銅部と、ステーブ内部における冷却水路3との間に銅等と断熱性耐火材15とからなる断熱層を形成し、さらに断熱性耐火材15の投影面内に冷却水路3を配置したので、断熱層が過度の熱通過を制限することによって熱損失量が抑制され、熱損失量過大による燃料比の悪化を防止することができる。また、本実施の形態の断熱性耐火材7はステーブ内部に閉じ込められる構造であるため、断熱性耐火材7は炉内充填物に接することが無く、摩耗や割れなどによる容積損失がなくなり、安定的な容積維持が可能になる。このため、従来例のように経年変化により抜熱量が変化することなく安定的に抜熱量を抑制できる。また、断熱材の選択によっては薄い断熱層でも十分に断熱効果を得られるので、ステーブ自体の薄型化が可能となり、銅材使用量が削減できコスト低減も可能となる。 【0018】さらに、断熱性耐火材7はステーブ内部に閉じ込められる構造であるため、耐用を重視せずに単純に熱伝導性の低い耐火物を選定することが可能となるので、抜熱性能を確実に低下させることができる。しかも、比較的安価な断熱耐火物の選定ができ、コスト削減が可能となる。またさらに、断熱性耐火材7がステーブ内部にあるので、据付時のハンドリングが非常に容易になる。 【0019】実施の形態2.図9は本発明の実施の形態2の平面図、図10は正面図、図11は側面図、図12は図9における矢視A−A断面図、図13は図9における矢視B−B断面図である。図において、実施の形態1と同一部分には同一の符号を付している。本実施の形態においては、図13に示すように冷却水路3を両端部に出入口のあるスネーク状にすると共に、図12に示すように断熱性耐火材7を冷却水路の直線部に沿うように水平方向に配置したものである。すなわち、冷却水路3が1系統で連続する場合には、冷却水路3の全部を断熱性耐火材7の投影面内に配置することは製作上難しい点があるので、断熱性耐火材7を冷却水路3におけるスネーク状の直線部に沿わせるように配置することで、冷却水路3をほぼ全部投影面内に入れたものである。 【0020】このように、スネーク状の冷却水路の場合であっても水路の直線部の前面側が断熱性耐火材15によってほぼ完全に覆われ、実施の形態1と同様に断熱性を発揮して抜熱量を低減できる。 【0021】なお、上記実施の形態1,2においては、本発明の断熱層を構成する断熱部の例として平板状の断熱性耐火材を例に挙げた。しかし、断熱性耐火材の形状は、平板状に限られるものではなく、例えばステーブが湾曲形状の場合にはステーブの形状に合わせて湾曲した形状であってもよいし、あるいし冷却水路の近傍の厚みを薄くするような形状であってもよい。さらに、ステーブ本体に形成したスペースに入れることができ、断熱部を形成できるものであれば、断熱性耐火材自体が一定の形を有しなくてもよい。例えば、上下又は両側端部に栓などを使って閉じた空間を形成できるようにすれば、砂などでも構わない。またさらに、ステーブ本体に空間を形成し、この空間を維持できるようにスペーサなどを設置することにより、空間そのもの(空間内の空気)を断熱部とすることもできる。 【0022】 【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。 【0023】本体内部に形成した冷却媒体用通路と本体前面との間に断熱層を設けると共に、冷却媒体用通路を、断熱層を構成する断熱部の投影面内に配置したことにより、断熱層が炉内からの熱通過を制限し、抜熱量が抑制され、熱損失過大による燃料比の悪化を防止することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000004123 【氏名又は名称】日本鋼管株式会社 【識別番号】593141481 【氏名又は名称】エヌケ−ケ−プラント建設株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年8月21日(2000.8.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100061273 【弁理士】 【氏名又は名称】佐々木 宗治 (外3名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−60816(P2002−60816A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月28日(2002.2.28) |
| 【出願番号】 |
特願2000−249380(P2000−249380) |
|