| 【発明の名称】 |
溶鉄製造方法および溶鉄製造装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】占部 好浩
|
| 【要約】 |
【課題】回転炉床式還元炉と溶鉄製造炉との組み合わせによる溶鉄の製造装置において、回転炉床式還元炉からの異物が溶鉄製造炉へ装入されることを防止しつつ回転炉床式還元炉で製造された還元鉄を高温のまま連続的に溶鉄製造炉に供給でき、さらに溶鉄製造炉生成ガスをその量が変動しても回転炉床式還元炉の操業に影響を与えることなく回転炉床式還元炉の還元燃料として有効に利用できる溶鉄の製造方法及び装置を提供する。
【解決手段】回転炉床式還元炉1から排出された還元鉄に混入した異物を除去する分級手段3と、前記異物が除去された前記還元鉄を溶鉄製造炉8へ定量的に供給する供給手段6と、溶鉄製造炉8生成ガスの除塵・冷却手段15と、生成ガス量調整手段18とを備えたことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも粉状酸化鉄含有物質と粉状炭素質還元材とを混合してなる原料を還元して還元鉄を得る還元工程と、該還元工程から排出された還元鉄に混入した異物を除去する分級工程と、該分級工程で前記異物が除去された前記還元鉄を溶解し溶鉄を得る溶解工程とを備えたことを特徴とする溶鉄製造方法。 【請求項2】 前記分級工程で前記異物が除去された前記還元鉄でシール部を形成し該シール部を維持しつつ前記還元鉄を前記溶解工程へ供給する供給工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の溶鉄製造方法。 【請求項3】 前記還元工程で生成される生成ガスの少なくとも一部を還元用燃料として前記還元工程へ導入するガス回収工程を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の溶鉄製造方法。 【請求項4】 前記ガス回収工程が、前記生成ガスを前記還元工程の前半部に導入するものであることを特徴とする請求項3に記載の溶鉄製造方法。 【請求項5】 前記ガス回収工程が、前記生成ガスを前記還元工程の後半部に導入するものであることを特徴とする請求項3に記載の溶鉄製造方法。 【請求項6】 前記ガス回収工程が、生成ガス除塵工程を備えたことを特徴とする請求項3乃至5に記載の溶鉄製造方法。 【請求項7】 前記ガス回収工程が、生成ガス冷却工程を備えたことを特徴とする請求項3乃至6に記載の溶鉄製造方法。 【請求項8】 前記ガス回収工程が、生成ガス量調整工程を備えたことを特徴とする請求項3乃至7に記載の溶鉄製造方法。 【請求項9】 少なくとも粉状酸化鉄含有物質と粉状炭素質還元材とを混合してなる原料を還元することによって還元鉄を得る回転炉床式還元炉と、前記回転炉床式還元炉から排出された前記還元鉄に混入した異物を除去する分級手段と、該分級手段で前記異物が除去された前記還元鉄を溶解することによって溶鉄を得る溶鉄製造炉とを備えたことを特徴とする溶鉄製造装置。 【請求項10】 前記分級手段で前記異物が除去された前記還元鉄でシール部を維持しつつ前記還元鉄を前記溶鉄製造炉へ供給する供給手段を備えたことを特徴とする請求項9に記載の溶鉄製造装置。 【請求項11】 前記溶鉄製造炉で生成される生成ガスの少なくとも一部を還元用燃料として前記回転炉床式還元炉へ導入するガス回収手段を備えたことを特徴とする請求項9または10に記載の溶鉄製造装置。 【請求項12】 前記ガス回収手段が、前記生成ガスを前記回転炉床式還元炉の還元前半部に導入するものであることを特徴とする請求項11に記載の溶鉄製造装置。 【請求項13】 前記ガス回収手段が、前記生成ガスを前記回転炉床式還元炉の還元後半部に導入するものであることを特徴とする請求項11に記載の溶鉄製造装置。 【請求項14】 前記ガス回収手段が、生成ガス除塵手段を備えることを特徴とする請求項11乃至13に記載の溶鉄製造装置。 【請求項15】 前記ガス回収手段が、生成ガス冷却手段を備えることを特徴とする請求項11乃至14に記載の溶鉄製造装置。 【請求項16】 前記ガス回収手段が、生成ガス量調整手段を備えることを特徴とする請求項11乃至15に記載の溶鉄製造装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、回転炉床式還元炉等を用いて少なくとも粉状酸化鉄含有物質と粉状炭素質還元材とから成る原料を還元して還元鉄を製造し、その還元鉄を溶鉄製造炉で還元・溶解して溶鉄を製造する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、溶銑は主として高炉法により製造されてきた。高炉法は塊状の鉄鉱石原料とコークスを炉上部から装入し、炉下部に設置された羽口から熱風を吹き込んでコークスを燃焼して高温の還元ガスを生成してこれにより酸化鉄を還元し溶解する方法である。高炉法は非常に効率のよいプロセスであるが、塊状の原料や還元材を必要とする欠点を有している。すなわち、原料としては塊鉱石の供給がタイトなため粉鉱石を焼結鉱またはペレットにして使用せざるを得ず、焼結機やペレット製造設備を必要とする。また、還元材としては石炭を乾留してコークス化して使用するため、コークス炉を必要とすることに加え、コークス製造用石炭として高価な強粘結炭を必要とする。さらに、これらの設備においては今後環境規制の強化に伴って公害対策費が高騰することが考えられ、そのため原料および還元材の事前処理に要するコストが上昇し、その結果、溶銑コストが上昇する問題を有している。 【0003】そこで、最近このような原料および燃料の事前処理設備を不要とする、あるいは簡易なものとする、粉状の鉄鉱石と炭材から直接に溶銑を製造する方法が開発されている。なかでも、粉状の鉄鉱石と炭材の混合物を回転炉床炉で予備還元して還元鉄を製造し、その還元鉄を精錬炉で還元・溶解して溶銑を製造する方法が種々提案され注目される。 【0004】例えば、特公平3−60883号公報には次のような方法が開示されている(以下、先行技術1という)。すなわち図4に示すように、微粉鉄鉱石と微粉炭素質材料とを団鉱状に成形し、この成形体を予備還元炉としての回転炉床炉で予備還元して還元鉄とし、少なくとも1000℃以上の温度で炉から排出する。一方、炉内に溶融金属浴を有し、微粉炭素質材料を浴表面に導入するとともに炉内に酸素を吹き込む精錬炉を用意し、この精錬炉へ前述の還元鉄を装入し、還元と溶解を行う。このとき精錬炉の排ガスを回収して前記の成形体の予備還元用燃料として予備還元炉である回転炉床炉へ導入する。 【0005】また、特開平10−168508号公報には次のような方法が開示されている(以下、先行技術2という)。すなわち、粉状酸化鉄と粉状固体還元剤とを混合し、得られた混合物を塊成化することなく粉状のまま回転炉床炉で予備還元して還元鉄とし、500℃以上の温度で排出する。一方、炉内に炭材の充填層を有し、炉上部から塊粒状の炭材を装入し、炉下部に設置された羽口より酸素含有ガスを吹き込んで羽口前の炭材を燃焼させて高温の還元ガスを発生させる竪型炉へ、前記還元鉄を装入し、還元と溶解を行う。このとき竪型炉の生成ガスを回収し、その一部を予備還元用燃料として予備還元炉である回転炉床炉へ導入する。 【0006】さらに、US Patent 5,681,367には次のような方法が開示されている(以下、先行技術3という)。すなわち、鉄鉱石、炭素含有還元剤、およびスラグ形成物質からなる生ペレットを回転炉床炉で予備還元して自溶性還元鉄とし、その自溶性還元鉄をサブマージドアーク炉に装入し、昇温過程でスラグを溶融分離しつつ還元・溶解を行い炭素濃度が1〜5%の溶銑を製造する。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】これらの先行技術は優れたものであるが、回転炉床炉から排出された還元鉄を精錬炉に供給する手段に関して次のような問題点を有している。 【0008】すなわち、本発明者は、回転炉床炉による還元について鋭意検討を行った結果、回転炉床炉から排出される還元鉄中にごく稀ではあるが最大数十cmにおよぶ異物の混入があることを見出した。この異物は、耐火物や付着物が脱落したもの、金属鉄板などであり、このような異物を完全になくすることは実際上不可能である。 【0009】ところが、先行技術1〜3においては、このような異物の混入については全く考慮されておらず、次のような問題が生じるものと想定される。先行技術1(図4参照)には、単に「還元鉄は回転炉床炉からチャージシュートで精錬炉に送られる」とのみ記述されているが、上述したような大きなサイズの異物が還元鉄に混入した場合、チャージシュート4に引っかかってしまい、還元鉄の精錬炉8への供給が阻害されてしまう。またチャージシュート4に引っかからないようチャージシュート4の内径を大きくすると、精錬炉8へ異物が装入されてしまい、異物が付着物や金属鉄板に由来するものである場合には精錬炉8内で溶解されるので問題とならないが、異物が剥落した耐火物等である場合には出銑時や出滓時に出銑口25や出滓口26を異物が閉塞し、溶銑やスラグが排出できない問題が生じる。また、電極を使用して溶解、精錬する場合、電極の周辺に還元鉄を供給する必要があるが、上記チャージシュート径が大きすぎると還元鉄が炉内に分散し、効率よく解けない。 【0010】先行技術2には「還元鉄は高温状態で回転炉床炉に設けられた排出口から連続的に排出された後、外気から遮断され、窒素などの不活性ガスあるいは竪型炉の排ガス等の還元ガスが満たされた搬路内をバケットコンベア等によって竪型炉へ装入される」とのみ記述されており、上記のような大きなサイズの異物が還元鉄に混入した場合には竪型炉の装入口での詰まりが生じやすく、また精錬炉内に異物が装入されてしまった場合には先行技術1と同様の問題がある。 【0011】先行技術3には「回転炉床炉で製造された還元鉄は断熱された複数の移送容器で順次サブマージドアーク炉上に移送され、炉の上部に設けられた複数の装入口から炉内に分散して装入される」と記述されており、上記のような大きなサイズの異物が還元鉄に混入した場合には、移送容器の装入口および排出口、サブマージドアーク炉の装入口などで詰まりが発生する。またサブマージドアーク炉に異物が装入されてしまった場合には、上述と同様の出銑口や出滓口の閉塞の問題に加え、異物が装入時に電極に接触してこれを破損すること、さらに異物が剥落した耐火物等の不導体である場合には電気の流れを妨げ生産性の低下を来たすことが問題となる。 【0012】また、先行技術1および2には、精錬炉で生成したガスを回転炉床炉での還元燃料として利用することが記載されている(先行技術3には、精錬炉生成ガスの利用については記載がない)が、精錬炉へ供給される還元鉄の量および金属化率の変動や精錬炉における出銑時や排滓時などの非定常操業により精錬炉生成ガス量が変動したときの回転炉床炉の操業に及ぼす影響への対処方法についてはなんら記載されていない。 【0013】そこで本発明の目的は、回転炉床炉と精錬炉との組み合わせによる溶銑の製造方法において、異物が精錬炉へ装入されることを防止しつつ回転炉床炉で製造された還元鉄を高温のまま連続的に精錬炉に供給でき、さらに精錬炉生成ガスを、その量が変動しても回転炉床炉の操業に影響を与えることなく、回転炉床炉の還元燃料として有効に利用できる溶銑の製造方法およびその装置を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、少なくとも粉状酸化鉄含有物質と粉状炭素質還元材とを混合してなる原料を還元して還元鉄を得る還元工程と、該還元工程から排出された還元鉄に混入した異物を除去する分級工程と、該分級工程で前記異物が除去された前記還元鉄を溶解し溶鉄を得る溶解工程とを備えたことを特徴とする溶鉄製造方法である。 【0015】請求項2の発明は、前記分級工程で前記異物が除去された前記還元鉄でシール部を形成し該シール部を維持しつつ前記還元鉄を前記溶解工程へ供給する供給工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の溶鉄製造方法である。 【0016】請求項3の発明は、前記還元工程で生成される生成ガスの少なくとも一部を還元用燃料として前記還元工程へ導入するガス回収工程を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の溶鉄製造方法である。 【0017】請求項4の発明は、前記ガス回収工程が、前記生成ガスを前記還元工程の前半部に導入するものであることを特徴とする請求項3に記載の溶鉄製造方法である。 【0018】請求項5の発明は、前記ガス回収工程が、前記生成ガスを前記還元工程の後半部に導入するものであることを特徴とする請求項3に記載の溶鉄製造方法である。 【0019】請求項6の発明は、前記ガス回収工程が、生成ガス除塵工程を備えたことを特徴とする請求項3乃至5に記載の溶鉄製造方法である。 【0020】請求項7の発明は、前記ガス回収工程が、生成ガス冷却工程を備えたことを特徴とする請求項3乃至6に記載の溶鉄製造方法である。 【0021】請求項8の発明は、前記ガス回収工程が、生成ガス量調整工程を備えたことを特徴とする請求項3乃至7に記載の溶鉄製造方法である。 【0022】請求項9の発明は、少なくとも粉状酸化鉄含有物質と粉状炭素質還元材とを混合してなる原料を還元することによって還元鉄を得る回転炉床式還元炉と、前記回転炉床式還元炉から排出された前記還元鉄に混入した異物を除去する分級手段と、該分級手段で前記異物が除去された前記還元鉄を溶解することによって溶鉄を得る溶鉄製造炉とを備えたことを特徴とする溶鉄製造装置である。 【0023】請求項10の発明は、前記分級手段で前記異物が除去された前記還元鉄でシール部を維持しつつ前記還元鉄を前記溶鉄製造炉へ供給する供給手段を備えたことを特徴とする請求項9に記載の溶鉄製造装置である。 【0024】請求項11の発明は、前記溶鉄製造炉で生成される生成ガスの少なくとも一部を還元用燃料として前記回転炉床式還元炉へ導入するガス回収手段を備えたことを特徴とする請求項9または10に記載の溶鉄製造装置である。 【0025】請求項12の発明は、前記ガス回収手段が、前記生成ガスを前記回転炉床式還元炉の還元前半部に導入するものであることを特徴とする請求項11に記載の溶鉄製造装置である。 【0026】請求項13の発明は、前記ガス回収手段が、前記生成ガスを前記回転炉床式還元炉の還元前半部に導入するものであることを特徴とする請求項11に記載の溶鉄製造装置である。 【0027】請求項14の発明は、前記ガス回収手段が、生成ガス除塵手段を備えることを特徴とする請求項11乃至13に記載の溶鉄製造装置である。 【0028】請求項15の発明は、前記ガス回収手段が、生成ガス冷却手段を備えることを特徴とする請求項11乃至14に記載の溶鉄製造装置である。 【0029】請求項16の発明は、前記ガス回収手段が、生成ガス量調整手段を備えることを特徴とする請求項11乃至15に記載の溶鉄製造装置である。 【0030】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1〜3に示す本発明に係る溶鉄製造方法(溶鉄製造装置)を実施するための設備構成およびプロセスフローの概略図を用いて以下に詳細に説明する。 (1)先ず、「還元工程」において、少なくとも粉状酸化鉄含有物質と粉状炭素質還元材とを混合してなる原料を還元炉内に装入して還元し還元鉄を得る。還元工程に用いる還元炉の形式に特に制約はないが、設備費、作業性等の面から回転炉床式還元炉が推奨される。 【0031】ここで、酸化鉄含有物質としては、鉄鉱石、高炉ダスト、製鋼ダスト、電気炉ダスト、ミルスケールなど、炭素質還元材(以下、炭材ともいう)としては、石炭、コークス、オイルコークスなどを用いることができる。これらを必要により−0.1mm程度に粉砕して粉状化して混合し、そのまま、または、3〜25mm程度の大きさの小凝集体、ペレット、ブリケット状、板状の塊成化物等に成形し原料として図2または図3に示す回転炉床式還元炉である回転炉床炉1に装入する。なお、成形に際し、必要に応じてベントナイト、澱粉、消石灰、有機粘結剤などのバインダーを加えてもよい。また、溶鉄製造炉である精錬炉8での還元鉄の溶解を容易にするため生石灰、ドロマイト、蛇紋岩などのフラックスを加えてもよい。さらに、成形時に水分を添加した場合には、炭素質還元材が発火しない約200℃以下の温度で乾燥を行った後、回転炉床炉1に装入してもよい。 【0032】この原料を適当な装入装置を用いて回転炉床炉1中に供給する。この原料は炉床の回転にともない、炉内で炉上方に設置したバーナーの燃焼ガスの輻射熱により1200〜1500℃程度に加熱され、この間、原料は炭材により直接・間接的に必要な還元率まで還元され、還元鉄となる。この還元鉄は、炉内で常温の還元ガス、炭化水素含有ガス、窒素などの不活性ガスを吹き付ける方法、水冷板を直上に設置して間接冷却する方法などにより1000℃程度まで冷却され、炉外へ排出される。 (2)ついで、「分級工程」において、還元工程から排出された還元鉄に混入した異物を分級装置により篩い分けて除去する。 【0033】図1に示すように、回転炉床炉1から排出された還元鉄2は、まず分級手段である分級装置3により篩われ、所定の粒径以上(例えば、50mm以上)の篩い上を異物10として系外に取り除き、分級手段を通過した篩い下を還元鉄として精錬炉8に供給する。分級装置3としては1000℃程度の高温の固体を取り扱うため、例えば、固定式のグリズリ、水冷が施されているローラースクリーンなどを用いればよい。ローラースクリーンを用いる場合には、軸間距離を変更することにより適宜分級の粒径の調整を行えるので好ましい。分級装置3で分別された異物(オーバーサイズ)10は、異物排出シュート11を介して、シュート11の先端に接続された密閉コンテナ12により系内への大気の侵入を防止しながら捕集される。なお、密閉コンテナ12のかわりにダブルダンパー等を用いて系外に排出してもよい。 【0034】分級装置3により大粒径の異物が除去されチャージシュート4内は所定粒径以下の還元鉄2のみが通過するのでその内径はそれほど大きくなくても詰まりは発生せず、還元鉄2を連続的に精錬炉8に供給できる。また、精錬炉8の出銑口25、出滓口26での異物による詰まりも起こらず、精錬炉8としてサブマージドアーク炉など電極を有する精錬炉を用いた場合でも電極を傷めることや、電気の流れを妨げて生産性を低下させることもない。 【0035】なお、回転炉床炉1の炉内で、炉床表面保護や炉内雰囲気調整のために用いられる粉状炭素質物質や粉状耐火物物質、粉化した原料や原料の溶融により生成されるスラグ成分等還元鉄よりも小径の異物がある場合には、これらも必要に応じて前記と同様な分級手段または振動篩、風力選別機器等を用いて分級し除去することが好ましい。 (3)ついで、「供給工程」において、分級工程で異物が除去された還元鉄でマテリアルシールなどのシール部を形成し、そのシール部を維持しつつ定量供給装置で還元鉄を溶解工程へ定量的に供給する。 【0036】チャージシュート4内に還元鉄2を所定の高さに充填し、その充填層に少量の還元ガスまたは窒素などの不活性ガスをシールガスとして供給し還元鉄の再酸化を防止しつつシール部としてマテリアルシール5を形成することが好ましい。このマテリアルシール5により精錬炉8から回転炉床炉1へのガスの流入は実質的になくなる。したがって、例えば排滓時などに精錬炉8に大気が漏れ込んだ場合でも回転炉床炉1まで大気が侵入してくることはなく、還元鉄が再酸化されるおそれはない。なお、回転炉床炉1と精錬炉8の雰囲気圧力の差に応じて適宜マテリアルシール5内の還元鉄2の充填高さ、シールガスの流量等を調整すればよい。 【0037】図1に示すように、マテリアルシール5の下端部に還元鉄を定量的に切り出す供給手段である定量供給装置6を設けることがさらに好ましい。これにより、回転炉床炉1からの還元鉄2の排出量が変動してもマテリアルシール5を維持しながら還元鉄2を精錬炉8にほぼ一定量で供給できる。例えば、定量供給装置6として、振動フィーダー、スクリューフィーダー、プッシャーなどの固体切り出し装置を用い、それぞれ振動数、回転数などを調整することにより還元鉄の切り出し量をほぼ一定に維持する。さらにマテリアルシール5内の還元鉄充填層上面の位置を測定するレベル計13を設置し、そのレベル計で測定された還元鉄層上面の位置が所定の上下限高さの範囲を外れた場合のみ定量供給装置6による還元鉄の切り出し量を増減させて還元鉄層上面の位置を前記所定の上下限高さの範囲に戻すように制御するとよい。これにより上述したマテリアルシール5の機能(回転炉床炉への大気流入防止の機能)を保ちながら還元鉄を精錬炉8に定量供給できる。なお、前記所定の上限高さとは、マテリアルシール5内の高温の還元鉄充填層が自重により固着することのない上限の高さのことであり、前記所定の下限高さとは、上記マテリアルシール5の機能(回転炉床炉への大気流入防止の機能)を保てる下限の高さのことであり、事前に実験的に求めておけばよい。レベル計13のかわりに、例えばマテリアルシール5と定量供給装置6の部分(図1の二点鎖線で囲まれた部分)の重量を重量計14で連続的に測定し、その重量ができるだけ一定となるように還元鉄2の切り出し量を調整する方法を用いてもよい。この際、測定重量が分級装置3や精錬炉供給シュート7からの反力の影響を受けないようマテリアルシール5と分級装置3との接続部および定量供給装置6と精錬炉供給シュート7との接続部をフレキシブルジョイントで接続するなどの方法を採用すればよい。 (4)ついで、「溶解工程」において、供給工程から定量的に供給される還元鉄を精錬炉で還元・溶解して溶鉄を得る。 【0038】精錬炉8は、還元鉄2を還元・溶解して溶鉄を得ることができるものであればどのような形式の炉であってもよく、使用エネルギーのタイプは限定されず、石炭、コークス、電気、ガス、プラズマ等いずれでもよく、例えば先行技術1〜3に示された精錬炉のいずれか、あるいは高炉などの竪型溶鉱炉、溶融還元炉であってもよい。ただし採用する精錬炉の形式や使用する原料の組成、配合等に応じて、精錬炉8には還元鉄の他に必要により炭素質還元剤(炭材)やスラグ形成物質を装入する。精錬炉8に装入された還元鉄は、精錬炉8内で1400〜1550℃程度に加熱され、還元鉄2中の未還元FeOが還元鉄2中の残留炭素、精錬炉内に充填された炭材、精錬炉8内に保持される溶銑中の固溶炭素等によって、FeO+C→Fe+COで示される還元反応により還元されて還元鉄2中の鉄分はほぼ完全に金属化し、さらに加熱により、および浸炭されて融点が低下し溶融して溶銑となる。一方、還元鉄2中の脈石成分は、原料に添加されたスラグ形成物質や精錬炉8に装入されたスラグ形成物質と反応して低融点化し溶融してスラグとなり、溶銑と分離する。 【0039】生成した溶銑とスラグは一定時間ごとに精錬炉8の下部に設けられた出銑口25および出滓口26から炉外へ排出することにより回転炉床炉1と精錬炉8の操業を停止することなく溶銑を製造できる。 (5)さらに、「ガス回収工程」において、溶解工程で生成された生成ガスの少なくとも一部を還元用燃料として還元工程へ導入する。 【0040】上述した精錬炉8内での還元鉄2中の未還元FeOの還元反応により副生するCOガス量は還元鉄中の未反応FeO量(すなわち金属化率)により異なるが、金属化率80〜90%のとき銑鉄1t当たり約40〜90Nm3 であり、精錬炉8から排出されるときのガス温度は採用される精錬炉8の形式により異なるが、約1000〜1600℃の範囲にある。COガスの燃焼発熱量は約12.6MJ/Nm3 であるから、この精錬炉生成ガスを回転炉床炉1での還元燃料として使用することにより、回転炉床炉1で必要な還元熱量(回転炉床炉の炉壁熱損失により異なるが、通常、銑鉄1t当たり約2〜3GJ)のうち銑鉄1t当たり約0.5〜1.1GJ削減できる。なお、先行技術1および2のように精錬炉8の熱源として炭材を酸素含有ガスで燃焼したものを用いる形式の精錬炉8からは上記よりさらに多いCOガスが発生し、回転炉床炉1での削減量も増加する。 【0041】なお、「ガス回収工程」には、サイクロン、高温バグフィルター等により溶解工程で生成された生成ガスからダストを除去する「生成ガス除塵工程」、熱交換器、水冷装置等により生成ガスを冷却する「生成ガス冷却工程」、緩衝タンク、アキュムレーター等により還元工程へのガス供給量を一定にする「生成ガス量調整工程」などを設けることが好ましい。なお、スクラバーを用いて生成ガスの除塵と冷却を同時に行ない、「生成ガス除塵工程」と「生成ガス冷却工程」を兼ねさせてもよい。 【0042】図2に、この精錬炉生成ガスを回転炉床炉1で使用するための望ましい態様の一つを示す。精錬炉生成ガスはまず除塵手段および冷却手段であるスクラバー15で除塵、冷却される。このため、ガスの顕熱は失われてしまうが、以後の設備を高温仕様にする必要がなくなること、また実ガス容積が小さくなるので設備もコンパクトにすることができる等の利点がある。精錬炉生成ガスは、精錬炉圧力計23からの信号に基づき、精錬炉生成ガス制御弁16の開度および精錬炉生成ガス吸引ファン17の吸引量を調整して精錬炉8内の雰囲気圧力がほぼ一定となるよう精錬炉8から吸引される。精錬炉生成ガス量は、精錬炉8の操業条件が変わらない限り一定であるが、回転炉床炉1から精錬炉8へ供給される還元鉄2の量や金属化率に変動が生じた場合、あるいは出銑や排滓といった非定常な操業を行った場合には変動が生じる。そのため、生成ガス量調整手段として緩衝タンク18を設け、このような変動が生じても回転炉床炉1には常に一定の精錬炉生成ガス量が供給されるようにするとよい。緩衝タンク18の内容積は回転炉床炉1への供給ガス量に変動が生じなければ十分であり、操業形態(例えば、出銑、排滓の形態)に応じて適宜決定すればよい。なお、採用される精錬炉8の形式によっては、精錬炉生成ガス量が回転炉床炉1で必要な還元熱量を超える場合があるが、その場合には、過剰のガスを原料の事前乾燥工程、炭材の粉砕工程、塊成化物の乾燥工程、その他付帯設備において燃料ガスとして使用すればよい。上述したように、マテリアルシール5により精錬炉8から回転炉床炉1へのガスの流入を防止できるが、その前提として回転炉床炉1からの排ガス量が変動しても回転炉床炉1の雰囲気圧力ができるだけ一定になるようにしておく必要がある。そのため例えば、回転炉床炉1の雰囲気圧力を測定するための圧力計22を設置し、この圧力計22からの信号に基づいて回転炉床炉排ガス制御弁19の開度および回転炉床炉排ガス吸引ファン20によるガス吸引量を調節することにより回転炉床炉1の雰囲気圧力を一定に制御すればよい。 【0043】なお、除塵手段としては、サイクロン、高温バグフィルター等を適宜使用すればよい。また、冷却手段としては、熱交換器、水冷装置等を用いてもよい。さらに、生成ガス量調整手段としては、アキュムレータ等を用いてもよい。 【0044】図3に、精錬炉生成ガスを回転炉床炉1で使用するための望ましい別の態様を示す。精錬炉生成ガスは除塵、冷却することなく、精錬炉生成ガスダクト24により高温のまま回転炉床炉1の前半部に導入される。精錬炉生成ガスを高温のまま回転炉床炉1に導入することにより、図2に示したような精錬炉生成ガスの冷却工程を経ないのでガスの顕熱を有効に利用することができることに加え、設備を大幅に簡略化できる。なお、1000〜1600℃の高温の精錬炉生成ガスをさらに燃焼することになるので燃焼空気量を過剰または燃焼空気量を減らして未燃が残る状態にするなどしてあまり回転炉床炉内雰囲気温度が高くなりすぎないようにするとよい。さらに、精錬炉生成ガスダクト24により回転炉床炉1と精錬炉8が自動的に均圧化されるので、図2のような個別の圧力制御の必要がなく、回転炉床炉雰囲気圧力の制御のみで系全体の圧力バランスをとることができる。また、精錬炉生成ガスを回転炉床炉1の前半部に導入することが好ましい理由は、回転炉床炉1の前半部では原料から還元鉄への還元が途中段階であるので還元鉄の再酸化を気にする必要がなく、導入される精錬炉生成ガスに多少の大気が混入しても問題ないからである。 【0045】なお、精錬炉8、回転炉床炉1、および精錬炉生成ガスダクト24において外部からの空気の漏れこみが少ない場合は、還元鉄の再酸化は起こらないので、回転炉床炉1の後半部に精錬炉生成ガスを導入してもよい。 【0046】また、精錬炉生成ガスダクト24と各炉(精錬炉8、回転炉床炉1)との接続部や精錬炉生成ガスダクト24は、シール性の確保、精錬炉からの溶融付着物の堆積防止等の観点から水冷にすることも好ましい。 【0047】なお、炭材として揮発分の多い石炭を使用した場合、回転炉床炉1の前半部でこの揮発分が原料から除去され炉内で燃焼することにより必要熱量が減少するので、ここに導入される精錬炉生成ガス量が変動して増加したとき過大な熱量を与えてしまい原料を溶融するなどの問題が生じる恐れがある。したがって、このような揮発分の多い炭材を使用する場合には、揮発分の少ない炭材と混合して使用するなどして回転炉床炉1の前半部で発生する揮発分の総量を抑制してもよい。 【0048】 【発明の効果】請求項1、9の発明によれば、還元工程(回転炉床式還元炉)からの異物が溶解工程(溶鉄製造炉)に装入されることを防止しつつ還元鉄を高温のまま連続的に溶解工程(溶鉄製造炉)に供給できる。 【0049】請求項2、10の発明によれば、上記の効果に加え、溶解工程(溶鉄製造炉)に大気が漏れ込んでも還元工程(回転炉床式還元炉)まで流入させることなく還元鉄の再酸化を防止しながら還元鉄を溶解工程(溶鉄製造炉)に連続供給できる。 【0050】請求項3、5、11、13の発明によれば、請求項1、2、9、10の発明の効果に加え、溶解工程(溶鉄製造炉)で生成された生成ガスを還元工程(回転炉床式還元炉)の還元燃料として有効に利用できる。 【0051】請求項4、12の発明によれば、溶解工程(溶鉄製造炉)で生成された生成ガスに多少の大気が混入しても還元鉄の再酸化の問題を引き起こすことなく、請求項3、11の発明と同様の効果を得ることができる。 【0052】請求項6、14の発明によれば、請求項3〜5、11〜13の発明の効果に加え、溶解工程(溶鉄製造炉)で生成されたダストを含有する生成ガスを清浄化して燃料ガスとして利用できる。 【0053】請求項7、15の発明によれば、請求項3〜6、11〜14の発明の効果に加え、生成ガス冷却工程(生成ガス冷却手段)以後の設備を高温仕様にする必要がなく、かつコンパクトにできる。 【0054】請求項7、16の発明によれば、請求項3〜7、11〜15の発明の効果に加え、溶解工程(溶鉄製造炉)で生成された生成ガスを、その量の変動があっても還元工程(回転炉床式還元炉)の操業に影響を与えることなく還元工程(回転炉床式還元炉)の還元燃料として利用できる。 【0055】以上より、本発明によれば、操業を停止することなく連続して安定した品質の溶鉄を低コストで製造することが可能となった。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001199 【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
|
| 【出願日】 |
平成12年7月31日(2000.7.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089196 【弁理士】 【氏名又は名称】梶 良之
|
| 【公開番号】 |
特開2002−47507(P2002−47507A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月15日(2002.2.15) |
| 【出願番号】 |
特願2000−230961(P2000−230961) |
|