| 【発明の名称】 |
高炉出銑孔深度の制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】秋山 義憲
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| 【要約】 |
【課題】バランスのよい出銑滓を長時間安定して排出するための、出銑孔深度の望ましい制御方法を提案すること。
【解決手段】高炉の出銑孔を、マッドを押し込んで閉塞する際に、溶銑に対する溶解特性が異なる複数種のマッドを、出銑孔深度に応じて変更使用する高炉出銑孔深度の制御方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高炉の出銑孔を、マッドを押し込んで閉塞する際に、溶銑に対する溶解特性が異なる複数種のマッドを、出銑孔深度に応じて変更使用することを特徴とする高炉出銑孔深度の制御方法。 【請求項2】 前記マッドの変更使用は、溶解特性の大きいマッドを用いて出銑孔深度を浅くするか、溶解特性の小さいマッドを用いて出銑孔深度を深くすることにより、適正出銑孔深度の範囲内に収まるように制御することを特徴とする請求項1に記載の制御方法。 【請求項3】 前記適正出銑孔深度の範囲は、出銑滓の円滑な排出を実現するための、マッド堆積層とコークス充填層との間で形成される空間が、良好な出銑滓を行うための大きさを維持する範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の制御方法。 【請求項4】 溶解特性の大きいマッドと、溶解特性の小さいマッドとを一定の周期毎に交互に用いることにより、出銑孔深度を適正な範囲内に維持することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の制御方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、高炉の出銑滓排出時の、高炉出銑孔深度の制御方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、高炉の出銑滓排出制御の方法としては、例えば特公昭63−65730号公報に開示されているような方法が知られている。この従来技術は、羽口からの送風量と出銑孔深度とを相対的に制御するものであり、例えば出銑孔深度が浅くなったときは、羽口からの送風量を減少することにより、出銑孔近傍へのスラグの付着を促して、出銑孔深度を深くするなどの方法が採用される。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来の前記出銑滓制御方法は前述したように、出銑孔深度が浅くなったときには、羽口からの送風量を減少することにより出銑孔深度を深くし、一方、出銑孔深度が深くなったときには、羽口からの送風量を増加することにより出銑孔近傍のガス流れを活発にして、出銑孔近傍のスラグの剥離を通じて出銑孔深度を浅くするという制御方法である。しかしながら、羽口からの送風量を変更したからといって、それのみによって、出銑孔深度を直接的かつ確実に変化させることはできない。つまり、例えば出銑孔深度が浅いときに羽口からの送風量を減少させても、それ以上、出銑孔深度、つまり炉床部を覆うマッド堆積層が常に深くなるということはないのである。 【0004】上述したように、従来技術は、出銑孔深度を確実に制御することができないので、特に出銑の末期において、出銑口からのガス吹きが発生し、残銑滓に起因する出銑・滓のバランスが崩れ、高炉操業の安定性を欠く結果を招くという課題があった。 【0005】そこで、本発明の主たる目的は、バランスのよい出銑滓を長時間安定して排出するための、出銑孔深度の望ましい制御方法を提案することにある。本発明の他の目的は、出銑口まわりのトラブルを防止して安定した高炉操業を維持するための方策を提案することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】上掲の目的の実現に向け、従来技術が抱えている問題点につき鋭意検討した結果、発明者らは、高炉の操業状態とくに炉床部の形状、即ち出銑孔深度の制御が有効であり、そのためには該出銑孔中に押し込むマッドの材質を、炉内の状況に応じて適宜に変更使用することが有効であるとの知見を得て本発明を開発した。この点、従来技術は、出銑の1キャンペーン中は単一種のマッドを使用することとしていて、いわゆるマッドの材質を、例えば出銑孔深度に応じて変更して使用するという考え方が全くなかったのである。 【0007】即ち、本発明は、高炉の出銑孔を、マッドを押し込んで閉塞する際に、溶銑に対する溶解特性が異なる複数種のマッドを、出銑孔深度に応じて変更使用することを特徴とする高炉出銑孔深度の制御方法である。 【0008】なお、本発明において、前記マッドの変更使用は、溶解特性の大きいマッドを用いて出銑孔深度を浅くするか、溶解特性の小さいマッドを用いて出銑孔深度を深くすることにより、適正出銑孔深度の範囲内に収まるように制御することが好ましく、また、前記適正出銑孔深度の範囲は、出銑滓の円滑な排出を実現するための、マッド堆積層とコークス充填層との間で形成される空間が、良好な出銑滓を行うための大きさを維持する範囲であることが好ましい。 【0009】本発明においてはまた、溶解特性の大きいマッドと、溶解特性の小さいマッドとを一定の周期毎に交互に用いることにより、出銑孔深度を適正な範囲内に維持することが好ましい実施形態の1つとなる。 【0010】本発明で述べる溶銑に対する溶解特性の大きいマッド,小さいマッドとは、使用するマッドの溶解特性が相対的に大きいか、小さいかということを意味しており、この溶解特性の異なるマッドを一定の周期で使用することにより、本発明の所期した効果が得られる。例えば、出銑孔閉塞用のマッドは、主としてAl2O3,SiO2,SiC,C,Si3N4およびタールや金属粉などを配合して製造されており、溶銑,溶滓に対する溶解特性がそれぞれ異なる。従って、これらの各成分の配合割合を調節することによって、マッド材の溶銑に対する溶解特性を異ならしめ、使用するマッドの一方を溶解特性の大きなマッドに、他方を溶解特性の小さなマッドとするのである。即ち、これらの配合のうち、耐溶銑性に優れるAl2O3やSiO2の配分比を増加させれば、マッドの溶銑に対する溶解性は小さくなり、逆に耐溶銑が劣るが耐溶滓性に優れるSiCやCを多く配合したマッドは、溶銑に対する溶解性は大きくなる。 【0011】例えば、溶銑に対する溶解特性の相対的に大きいマッドは、SiC+C多配合のマッド、一方、溶解特性の相対的に小さいマッドは、Al2O3,SiO2多配合のマッドとすれば、溶銑に対する溶解特性を異ならしめたマッドを採用することができる。本発明は、このようにして溶解特性の異なるマッドを周期的に用いることによって、出銑孔深度を適正な範囲内に維持する方法といえる。 【0012】 【発明の実施の形態】図1は、高炉の羽口から炉床部までの縦断面図を示すものである。この図に明らかなように、高炉の炉壁1の下部には、その全周にわたって、熱風送風口としての羽口2が設けられている。この羽口2には、熱風炉にて1000℃程度まで加熱された高温送風ガスが供給される。そして、当該羽口2から高炉内に吹き出された熱風により、炉内には後述するコークス充填層部4に、レースウェイ3と呼ばれる高熱空間部が形成されている。 【0013】一方、高炉の上方から投入されたコークスや鉱石等は、前記羽口2より下方では、ほぼコークスだけからなるコークス充填層4を形成する。これは、前記レースウェイ3での高温加熱によって鉱石が溶融し、それが溶銑および溶滓、つまり溶銑滓9として炉床部に流下するためである。また、炉床部は、不定形耐火材料であるマッドの堆積層にて覆われており、マッド堆積層5を構成している。このマッドは、出銑口からマッド堆積層5まで穿設された出銑孔7を閉塞するために用いられるものであり、このマッド堆積層5が、本来の炉床を保護している。そして、仮りの炉床部、つまり前記マッド堆積層5上に溶銑滓9がある程度溜まったら、前記炉壁1からマッド堆積層5まで出銑孔7を穿孔し、貫通した前記出銑孔7から溶銑滓9を出銑滓として排出するようになっている。 【0014】ところで、前記マッド堆積層5が肥厚化して大きくなった場合には、図2の(a) に示すように、出銑孔深度が大きく (深く) なり、逆に、該マッド堆積層5が溶銑に接して溶解することにより小さくなった場合には、図2の(c) に示すように、出銑孔深度が小さく (浅く) なるのが普通である。従って、もし出銑孔深度を好適な深さに制御しようとしたら、かかるマッド堆積層5の大きさを調節 (できれば図2の記号bで示す位置に調節) することが有効な手段となる。 【0015】この点に関し、本発明では、前記マッド堆積層5の大きさを制御する方法として、出銑孔内に圧入充填するマッドの種類、とくに溶銑に対する溶解特性が異なる複数種のマッドを適宜に変更して使用することに着目した。この場合において、例えば、溶銑に対する溶解特性が相対的に大きいマッドの一定量を圧入充填したとすると、前記マッド堆積層5は充填する量よりも溶解の方が増し、終いには、次第に溶解が進んで小さくなり、それにつれて出銑孔深度も小さく (浅く) なる。一方、各タップ毎に押し込むマッドとして、溶銑に対する溶解特性が相対的に小さいマッドを用いた場合には、前記マッド堆積層5は溶解速度に対して充填するマッドの量の方が次第に増加する結果となって肥厚化し、それ故に出銑孔深度が大きくなるのである。 【0016】このように、出銑孔内に押し込む (圧入充填する) マッドの種類、とくに溶銑に対する溶解特性に差がある複数種のマッドを適宜に選択して使用するようにすれば、出銑孔深度を常に所望のレベルに制御することができるようになる。 【0017】例えば、出銑孔深度が、適正 (希望する) 範囲の値よりも大きいかもしくはその範囲内でも上限に近いような場合には、溶解特性の大きいマッドを使用して出銑孔深度を、前記所定範囲の下限付近まで短縮する。一方、出銑孔深度が前記適正範囲未満もしくはその範囲内であっても下限に近いような場合には、溶解特性の小さいマッドを、出銑孔深度が適正範囲の上限近傍か多少越える程度になるまで複数回使用する。その後、再び溶解特性の大きいマッドを使用して、出銑孔深度が常に一定の範囲内に収まるように、これらの作業を繰り返す。こうすることによって、出銑孔深度は、たとえば内容積4000〜5000m3級の高炉で常に3300〜3700mm程度に維持することができるようになる。 【0018】本発明は、このような作業の繰返しの中で、出銑孔深度を自在に調節することが可能になると共に、長期にわたって一定の出銑孔深度を維持することもまた可能になる。その結果、適正な出銑孔深度の範囲内、即ちマッド堆積層5とコークス充填層4との間の空間6が適正に確保でき、ひいては、炉床部における溶銑、溶滓がバランスのとれた状態に維持されるから、良好な出銑滓9を長期間にわたって排出できるようになる。 【0019】 【実施例】この実施例は、マッドの種類 (溶銑に対する溶解特性の大小) が出銑孔深度に及ぼす影響を調査した結果を報告するものである。 (a)図3は、溶銑に対する溶解特性の小さいマッドのみを継続して使用した場合の従来例である。この場合では、マッド使用量 (押し量) を少なくしても出銑孔深度はむしろ伸びる傾向があり、そのために、出銑孔深度を適正な範囲内の深度に制御することが難しいことを示している。 (b) 図4は、溶銑に対する溶解特性の大きいマッドのみを継続して使用した従来例である。この場合もまた、マッド押し量を増量しているにもかかわらず、出銑孔深度が伸びにくい傾向を示しており、この方法では、出銑孔深度を適正範囲内 (3300〜3700mm) に制御することが難しいことがわかる。 (c) これに対し図5は、本発明方法に適合する例を示したものである。この例は、マッドの押し量は一定のままとし、その代わりに、表1に示すような溶銑に対する溶解特性の大きいマッドと溶解特性の小さいマッドとを交互に押し込んだ場合であるが、出銑回数約70回に亘る試験期間の間、出銑孔深度はほぼ適正な範囲 (約3300〜約3700mm) 内に制御されていることが確かめられた。 【0020】 【表1】
【0021】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、単にマッドの種類を変えるだけで、出銑孔深度を適正な範囲内に維持することができ、ひいてはバランスの良い出銑滓を長期に亘って安定して形成することができる。その結果、出銑滓不良を原因とする減風や減産を大幅に抑制することができる。また、出銑口炉内側のマッド堆積層の厚みを、ほぼ一定に維持することも容易になるため、出銑口近傍の温度が上昇するトラブルをも未然に防止することができ、このトラブルを原因とする減風や減産をも大幅に回避することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001258 【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年7月13日(2000.7.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080687 【弁理士】 【氏名又は名称】小川 順三 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−30316(P2002−30316A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月31日(2002.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2000−212492(P2000−212492) |
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