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【発明の名称】 微生物衛生管理方法
【発明者】 【氏名】牛山 正志

【氏名】青山 茂之

【要約】 【課題】微生物衛生検査は非常に手間と時間がかかるため、検査業者に委託しているところも多いが、検査結果をどのように解釈していいのかわからないことが多く、具体的にどのような対策をとればいいかわからないことが多い。本発明は、情報を迅速に伝達し、微生物衛生検査結果に基づいた衛生状態の効果的な改善策を、より早く遂行できるようにすることを目的とする。

【解決手段】微生物検査の結果と該検査結果に応じた汚染度を示す段階的な表記が検査依頼者への報告に併記されること、および該検査結果に応じた対処法が提案されることを特徴とし、また微生物検査結果および該検査結果に応じた対処法が、検査担当者、対処法提案者および検査依頼者の間で電子データとして共有されていることを特徴とする微生物衛生管理方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】微生物検査の結果と該検査結果に応じた危険度を示す段階的な表記が検査依頼者への報告に併記されること、および該検査結果に応じた対処法が提案されることを特徴とする微生物衛生管理方法。
【請求項2】微生物検査結果に、該検査に付随する状況データが添付されていることを特徴とする、請求項1に記載の微生物衛生管理方法。
【請求項3】微生物検査結果および該検査結果に応じた対処法が、検査担当者、検査依頼者および対処法提案者の間で電子データとして共有されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の微生物衛生管理方法。
【請求項4】電子データとしての共有が、電子メール、インターネットもしくはイントラネット上のホームページ、LANもしくはWAN上のファイル、またはこれらの2種以上の組み合わせを用いてなされることを特徴とする、請求項3に記載の微生物衛生管理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微生物衛生管理方法に関する。さらに詳しくは、食品製造工程や飲食店等における微生物検査に関連して、微生物衛生状態の改善/保全を素早く、効率よく遂行することを目的とする微生物衛生管理方法に関する。
【0002】
【従来技術】微生物衛生検査は、通常、次のように行われる。即ち、まず検査対象の一定面積を綿棒またはガーゼでふき取り、この綿棒またはガーゼを滅菌水または滅菌生理食塩水中で洗って、綿棒に付着した菌体を滅菌水または滅菌生理食塩水中に懸濁させる。この懸濁液をあらかじめ作製しておいた寒天培地に塗布するか、または、前述の懸濁液lmLを加えておいた滅菌ぺトリ皿などに、粉末寒天培地を溶解し滅菌して約45℃で保存しておいた溶液の一定量を分注し、混釈後寒天を固化し、35℃で2目間培養後、生じた微生物のコロニー数を計数する。このように微生物衛生検査方法は非常に手間と時間がかかる方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】微生物衛生検査は非常に手間と時間がかかるため、検査業者に委託しているところも多い。また、検査手順、衛生基準、改善方法等をすでに策定している大手食品製造業者以外は、検査結果をどのように解釈していいのかわからないことが多い。検査業者に委託したときも、検査業者からは検査数値だけが報告されるか、または、衛生状態に対するコメントを付けてくるだけであり、具体的にどのような対策をとればいいかわからないことが多く、検査結果に基づく具体的な指導が望まれている。本発明は、情報を迅速に伝達し、微生物衛生検査結果に基づいた衛生状態の効果的な改善策を、より早く遂行できるようにすることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するための手段として、下記4項からなる発明を提供する。
(1)微生物検査の結果と該検査結果に応じた危険度を示す段階的な表記が検査依頼者への報告に併記されること、および該検査結果に応じた対処法が提案されることを特徴とする微生物衛生管理方法。
(2)微生物検査結果に、該検査に付随する状況データが添付されていることを特徴とする、前記(1)項に記載の微生物衛生管理方法。
(3)微生物検査結果および該検査結果に応じた対処法が、検査担当者、検査依頼者および対処法提案者の間で電子データとして共有されていることを特徴とする、前記(1)または(2)項に記載の微生物衛生管理方法。
(4)電子データとしての共有が、電子メール、インターネットもしくはイントラネット上のホームページ、LANもしくはWAN上のファイル、またはこれらの2種以上の組み合わせを用いてなされることを特徴とする、前記(3)項に記載の微生物衛生管理方法。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明における検査依頼者は、ほとんどの場合、業として食品・食材の加工もしくは加工食品の製造を行う人もしくは企業、または飲食物を提供する人もしくは企業の、経営者、衛生管理担当者もしくはその相当者であり、工場、作業場、原料保蔵庫、厨房、配膳室、洗面所、食堂等の環境について、衛生状態を良好に保つ責任を負っている者である。また、検査担当者は、微生物検査技術を有する者であり、業として微生物検査を行う組織またはその責任者をも意味する。そして、微生物検査の結果に基づいて行われる、微生物環境を改善するための適切な助言・提案は、技術士等の衛生コンサルタントに相当する人またはその人が所属する組織の経営者もしくは責任者によってなされることが望ましい(以下、本発明においては、微生物検査の結果に基づいて対処法を提案する者を「指導担当者」と称することがある。)。しかしながら、この衛生コンサルタント相当者と同等の能力を有しさえすれば、検査担当者もしくは検査担当者が所属する組織内の要員が指導担当者の役割を担ってもかまわない。
【0006】検査の対象とする微生物は、関連する食品の種類や検査場所の状況によって異なるので一概にいえないが、一般的には、一般生菌と大腸菌群の検査を行って衛生状態を把握し、状況に応じてこれに真菌(かび・酵母)検査を加えればよい。生鮮野菜等大腸菌群が衛生指標となりにくい食品原料の扱いが多いところでは、大腸菌の検査を加えるか、大腸菌検査を大腸菌群検査に置き換えて行うこともある。また、検査頻度は一般生菌・大腸菌群に比べ少なくてもかまわないが、黄色ブドウ球菌の検査を加えることも必要であり、食品原料からの汚染の可能性がある場合には、サルモネラ、腸炎ビブリオ等の食中毒菌の検査も加えねばならない。
【0007】環境について微生物検査を行うには、検査すべき対象である場所について、ふき取りによる試料採取が必要である。この試料採取の実施者は、検査担当者もしくは検査担当者に依頼された者であってもよいし、または検査依頼者もしくは検査依頼者に依頼された者であってもよい。いずれにしても、誰にでも実施可能な、簡便な方法であることが望ましく、月刊フードケミカル2000年2月号ぺージ101〜104に記載されているようなシート状培地を用いることが推奨される。試料採取者により持ち帰られるかまたは郵送された試料、即ち、ふき取りに使用した綿棒等、これを培地に塗布した培地、またはシート状培地は、綿棒等にあっては、培地に塗布するか、または滅菌水等に懸濁後、懸濁液を培地に塗布または混釈して培養される。上記試料が、綿棒等によりふき取られ現場において塗布された培地、またはシート状培地である場合はそのまま培養される。
【0008】上記のシート状培地を用いると、濡れた場所はそのままシート状培地でふき取ることにより、湿った場所はシート状培地でふき取った後一定量の滅菌生理食塩水または滅菌水を加えることにより、また乾いた場所はあらかじめ一定量の滅菌生理食塩水または滅菌水を加えたシート状培地でふき取ることにより、簡便に定量検査ができる。綿棒によるふき取りで採取した試料も、あらかじめ一定量の滅菌生理食塩水または滅菌水を加えたシート状培地に塗布して培養すれば、培養後に計数されたコロニー数を3倍すると、シート状培地で直接ふき取った場合のデータに相当するので、ほぼ定量的な検査が行える。従って、検査にはシート状培地を用いることが望ましい。
【0009】そして、培養後に定量または/および定性検査が行われ、その結果が指導担当者、または指導担当者と検査依頼者の双方に報告される。このときの報告手段は、電話、ファクシミリまたは郵便であってもよいが、検査依頼者も含めた共有性、即時性、双方向性およびデータ保存性を同時に満足する手段として、電子メール送信、インターネットもしくはイントラネット上のホームページへの書き込み、LANもしくはWAN上のファイルへの書き込み、またはこれらを組み合わせたものであることが好ましい。また、特別な場合としては、企業間の専用回線によるネット上のファイルへの書き込みであってもよい。なお、ネットワーク上のデータは、その受け手がアクセスすることによって初めて入手できるものであるから、連絡の迅速性が要求される場合には、電話やファクシミリを併用することが推奨される。
【0010】次に、指導担当者は、検査担当者から上記の手段により受け取った微生物検査結果を検討し、その結果に対する評価を、例えば、「安全」、「注意」、「危険」等の検査依頼者が理解し易い表記に変換して、検査依頼者または検査担当者と検査依頼者の双方に報告する。この表記は必ずしも言葉によるものでなくてもよく、微生物による汚染度を判断しやすいものであれば、記号や図形によるものであってもかまわない。また、評価の段階も上記の3段階でなくてもよく、中間段階を含む5段階であってもよいが、これより多くの多段階評価は煩雑さを増すだけなので好ましくない。なお、微生物による汚染度に対する安全性の基準は、関連する食品や検査対象となる場所の状況によって異なるが、例えば、加熱調理後喫食用食肉加工工場を例にとると、下記表1に示すようなものであることが望ましい。
【0011】
【表1】

この表では評価を言葉で表したが、例えば「安全」は対策不要であることを示し、「危険」は高度の対策が必要であることを示し、また「注意」は軽度の対策が必要であることを示すものであり、それぞれ別の用語で表してもよく、また予め定められた共通の記号や図形で表記してもよい。なお、そのまま食べられる食品やその加工工場にあっては、当然のことながら、表1に示された菌数より厳しい基準により管理されるべきである。
【0012】そして、このときの報告手段は、上記の微生物検査結果報告の場合と同様であり、該検査結果と併記する形であることが必要なので、電子メールの場合には検査結果にその評価を追記したファイルを添付して返信または転送することになる。また、ネットワーク上のファイルを利用する場合には、検査結果を記入したファイルにその評価を追記することになる。なお、この検査結果に対する評価およびその報告は、指導担当者ではなく、検査担当者が行っても良い。また、検査結果の報告に際しては、該検査に付随する状況データ、即ち、試料採取場所や培養中の試料の経過を示す写真データなどが添付されていることが好ましい。これは、微生物検査結果およびその評価を更に理解し易くするための手段であり、デジタルカメラの普及によりデータとしての挿入が容易にできるようになっている。
【0013】微生物検査結果の報告が前述の手段のいずれかによってなされた後、その検査結果に基づくコメントおよび具体的な対処法に関する提案が、指導担当者によって検査依頼者または検査依頼者と検査担当者の双方に報告される。この具体的な対処法は、微生物検査の対象、その検査結果(微生物による汚染度)、および微生物検査対象事業の業務内容(例えば、製造品目や喫食形態など)を考慮して策定されるべきものであって、個々の事案によって大きく異なる性格のものであるから、一般的な対処法を列挙することには問題があるが、強いて挙げれば■環境や製造機械・器具・手指等についての洗浄・消毒剤の選定、および洗浄・消毒方法の設定、■用具・器具の使用可否、用具・器具・備品等の保管場所および保管方法についての助言、■製造装置の配置、原料・製品の流れ(動線)、人の流れ(動線)、製造装置の部品および製造時に使用する器具・備品類の材質・形状の変更等についての助言、■業務担当者に対する衛生教育の必要性などということになる。
【0014】このときの報告も、微生物検査結果の報告の場合と全く同じような手段によりなされることが好ましい。なお、この対処法に関する提案も、検査結果の報告と同時になされることが理想的である。検査担当者が指導担当者を兼ねる場合には、微生物検査結果の報告と対処法に関する提案を同時に実施可能であるが、そうでない場合にも、検査結果の報告からできるだけ日数を置かずに、対処法の提案がなされることが望ましい。また、指導担当者は、対処法の提案後に、検査依頼者の元に出向き、対象について更に詳細な説明を行い、場合によっては具体的に指導することが望ましい。そして、検査依頼者は、環境改善のために実施した処置の内容を、検査担当者と指導担当者の双方に報告し、情報を共有化する。この報告が前述の電子的手段により、同じように行われることが好ましいことは、検査結果の報告やこの結果に基づく具体的改善提案の報告の場合と同様である。
【0015】微生物検査は、通常の場合、定期的に実施されることが必要である。従って、検査場所、微生物検査結果とその評価、提案された対処法、および実際の処置が、検査担当者、指導担当者および検査依頼者の3者間で電子的に共有され、蓄積されることが、衛生環境を改善し、トラブルの発生を未然に防ぐために有効である。報告書の一例を下記に示す。
【表2】

【0016】
【発明の効果】微生物衛生管理が行えなかったり、不十分であった環境でも、本発明に従って、実施することにより、効果的な微生物衛生管理が行えるようになり、迅速に衛生環境を改善し、トラブルの発生を未然に防ぐことができるようになる。
【出願人】 【識別番号】000002071
【氏名又は名称】チッソ株式会社
【出願日】 平成13年2月23日(2001.2.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−248000(P2002−248000A)
【公開日】 平成14年9月3日(2002.9.3)
【出願番号】 特願2001−48736(P2001−48736)