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【発明の名称】 抗体の作製方法
【発明者】 【氏名】瀬谷 司

【氏名】松本 美佐子

【要約】 【課題】

【解決手段】抗原タンパク質をコードするDNAを組み込んだ動物細胞を培養し、抗原タンパク質を発現させた後、該細胞を該細胞と同種の動物に免疫することを特徴とする、該タンパク質に対する抗体の作製方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 抗原タンパク質をコードするDNAを組み込んだプラスミドを導入した動物細胞を培養し、抗原タンパク質を発現させた後、該細胞を該細胞と同種の動物に免疫することを特徴とする、該タンパク質に対する抗体の作製方法。
【請求項2】 抗原タンパク質をコードするDNAを組み込んだプラスミドが動物細胞で働くプロモーターを含有する発現ベクターであるDNAを使用すること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】 免疫する動物細胞とアジュバントとを混合した懸濁液を動物に免疫すること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】 抗原タンパク質が非分泌タンパク質であること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】 免疫する動物が哺乳類又は鳥類であること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】 動物細胞及び免疫する動物が、ウサギ由来細胞及びウサギ、マウス由来細胞及びマウス、ヤギ由来細胞及びヤギ、ラット由来細胞及びラット、サル由来細胞及びサル、ヒツジ由来細胞及びヒツジまたはニワトリ由来細胞及びニワトリの少なくともひとつであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体の作製方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来未知の全く新しいタイプの抗体作製方法に関するものであって、従来必須であった抗原タンパク質の精製工程を必要とせずしかも効率的に抗体を作製できる全く新しいタイプの抗体作製方法に関するものである。
【0002】更に詳細には、本発明は、遺伝子組換え技術により、動物細胞に抗原タンパク質をコードするDNAを組み込み、該動物細胞を培養して抗原タンパク質を発現させ、これを該動物細胞と同種の動物に免疫して、該抗原タンパク質に対する抗体を作製する方法である。本方法により作製された抗体は、医薬、診断薬、研究試薬として有効に使用することができる。
【0003】
【従来の技術】抗体は、特定の抗原を認識して結合する性質を持つため、特定タンパク質の検出、精製などの目的で医薬、診断薬、研究試薬として広く利用されている。抗体はこのように産業上有用であるが、その作製方法としては、抗原タンパク質を産生する臓器または血液などの体液や、遺伝子組換え技術によって生産された抗原タンパク質を含む培養液などから抗原タンパク質を精製し、これを動物の静脈や皮下又は皮内に注射・免疫し、免疫した動物の血清中に産生された抗体を得るという方法で作製されている。
【0004】このようにして抗体を作製するには、抗原タンパク質に夾雑物が含まれていると、これを動物に免疫した場合、夾雑物に対する抗体が副生するため、抗原タンパク質は高度に精製する必要がある。また、少量の抗原タンパク質では、これを動物に免疫しても、それに対する抗体は生産されない。したがって、抗体作製のためには、高度に精製された抗原タンパク質が大量に必要である。
【0005】しかしながら、上記した従来の方法では、抗原タンパク質は、臓器や血液などの体液、あるいは遺伝子組換え技術によって生産された抗原タンパク質を含有する培養液から分離、精製しているが、これら体液や培養液中には各種夾雑物が含まれているため、これを高度に精製しなければならないが、それにはデリケートな精製工程が必要であり、またそれらは多大な努力を要する。また、このような従来法では抗原タンパク質を必要量調製するにも多大な労力を要するし、このような状態で抗原タンパク質を動物に免疫しても、抗原タンパク質の精製度及び/又はその量が充分でない場合が多々あり、その場合には目的とする抗体は生成されず、実験動物が無益に消費されてしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、抗原タンパク質の精製を必要とせず、抗体の作製率も高く、実験動物の浪費が少ない抗体の作製方法を提供する目的でなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、本発明者らは、各方面から鋭意研究の結果、抗原タンパク質をコードするDNAを発現ベクター(免疫しようとする動物細胞において機能するプロモーター含有)に組み込み、この発現ベクターを動物細胞に移入し、この動物細胞を培養することにより抗原タンパク質を発現させ、これを動物細胞と同種の動物に免疫したところ、拒絶反応が全く引き起こされることなくしかも動物体内で抗原タンパク質に対する抗体が得られるという全く新規にして有用な知見を得た。
【0008】すなわち、本発明者らは、鋭意研究の結果、遺伝子組換え技術により、抗原タンパク質をコードするDNAを発現ベクターに組み込み、動物細胞に移入して該蛋白質を発現させ、該動物細胞を培養して抗原タンパク質の発現量を増やし、これを該動物細胞と同種の動物に免疫することで、抗原タンパク質を精製することなしに該抗原タンパク質に対する抗体が作製できることをはじめて確認し、更に研究の結果、遂に本発明を完成した。
【0009】本発明における抗原タンパク質は、ヒト、動物(哺乳類、鳥類、両棲類、爬虫類、魚類、昆虫類その他)、植物、微生物、ウイルスなどの遺伝子のほか、人工的にデザインされた合成遺伝子によってコードされている全てのタンパク質を包含するものである。
【0010】具体的には血液やリンパ液などの細胞外液の構成成分、サイトカイン、成長因子、細胞外マトリックスなどや、レセプター、トランスポーター、イオンチャネルなどの膜タンパク質、細胞骨格、代謝酵素、シグナル伝達因子、蛋白質合成関連タンパク質(リポソームなど)、蛋白質分解関連タンパク質(プロテアソームなど)などの細胞質タンパク質、核骨格、転写因子、複製因子などの核タンパク質が例示できる。また、オルガネラタンパク質としては、ミトコンドリア、リソソーム、ペルオキシソーム、ミクロソームなどを構成する各種タンパク質(電子伝達系、分解酵素など)が例示できる。さらに人工的にデザインされた合成遺伝子によってコードされる人工タンパク質も本発明のタンパク質の範ちゅうに含まれる。サイトカインとしては、モルモット IL−18その他、膜蛋白質としては、ヒト CDw150(SLAM)、TREM−2、マウス CD46、Rae−1、ニワトリ Cremp(Complement membrane regulatory protein)、Toll−like receptorその他、分泌蛋白質としては、可溶性ヒトCD46その他、細胞質蛋白質としては、ヒトSIMPLEその他が例示される。
【0011】本発明においては、上記したような抗原タンパク質をコードするDNAを組み込んだ動物細胞とこれを免疫する動物とが同種でアロ抗体の産生が少なければ、抗原タンパク質はその由来、種類、大きさ等が問われることはない。換言すれば、本発明によれば、各種の抗原タンパク質に対する抗体を効率よく自由に製造できるという著効が奏される。
【0012】目的抗原タンパク質をコードする遺伝子としては、目的とする抗原タンパク質をコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよく、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、mRNAなどが例示される。ただし、いずれも開始コドンから終始コドンまでのオープンリーディングフレームを含んでいる必要がある。遺伝子の調製方法としては、該当遺伝子を含む細胞のmRNAからRT−PCRで、又は、cDNAライブラリーからPCRで抗原タンパク質のcDNAをクローニングし、核酸配列をDNAシークエンサーで確認すればよい。必要に応じてタグ(Histag,Flagtagなど)を付与しておくこともできる。もちろんゲノムDNAやプラスミドDNAから目的とする遺伝子DNAを制限酵素等によって切り出し、これを使用することも可能である。
【0013】目的抗原タンパク質をコードする遺伝子は発現ベクターに組み込んだ後、動物細胞に導入する。使用するベクターは、環状二本鎖DNA、環状一本鎖DNA、線状二本鎖DNA、線状RNAおよびこれらの遺伝子を含むファージ粒子等いかなる態様をとってもよいが、大腸菌などの微生物と哺乳動物細胞いずれでも発現可能なプロモーターその他の配列を有するシャトルベクターを好適に使用することができる。例えば、具体的には大腸菌と哺乳動物細胞とのシャトルベクターであるpME18sや、pEFBOS、pCAGGSなどを用いることができる。
【0014】目的抗原タンパク質をコードする遺伝子を組み込んだ発現ベクター(動物細胞内で機能するプロモーター含有)を大腸菌のコンピテント細胞など常法にしたがって増やし、常法にしたがって精製する。次に当該ベクターを動物細胞にリポフェクチン法(Felgner P.L. et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,84,7413〜7417(1987))など常法にしたがって移入する。細胞の形質転換は、顕微鏡下に変化を観察できる場合もあるが、通常、48時間後に細胞を回収し、−80℃に凍結保存する等、常法にしたがって行えばよい。
【0015】動物細胞内で働くプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる細胞に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、ウイルス由来のプロモーターとしては、SV40の初期プロモーターや後期プロモーター(SV40)、アデノウイルスの後期プロモーター、レトロウイルスのLTR(HIV・LTR)、ラウス肉腫ウイルスのプロモーター、サイトメガロウイルスのプロモーター(CMV)などが例示できる。動物細胞由来のプロモーターとしては、チミジンキナーゼのプロモーター、メタロチオネインのプロモーター、β−アクチンのプロモーター、延長因子−1αのプロモーター、リポソーム蛋白質のプロモーター等が例示できる。より具体的にはSV40(pME18s)プロモーター、elongation factor(pEFBOS)プロモーター、サイトメガロウイルス(pCAGGS)のエンハンサー+βアクチンのプロモーターを使用することができる。
【0016】使用する動物細胞は、免疫する動物と同種の動物由来の細胞を使用する。動物細胞としては、ウサギ腎臓細胞(RK13)、チャイニーズハムスター細胞(CHO)、マウスL細胞、マウスAtT−20、マウスミエローマ細胞、ラットGH3、サル細胞(COS−7)などが用いられる。
【0017】目的抗原タンパク質をコードするDNAの上記プロモーターを含む発現ベクターへの組換え、及び動物細胞の形質転換は、公知の遺伝子工学技術を用いて行なうことができる(例えば、Iwata,Seya.et al.,J.Biol,Chem.,270,15148〜15152(1995))。
【0018】目的抗原タンパク質で形質転換した動物細胞を細胞培養培地で培養して、目的抗原タンパク質を生産させる。目的抗原タンパク質生産培地は、該動物細胞が生育でき、目的抗原タンパク質の生産を保証するものならばどのような培地を用いてもよく、動物細胞に合わせて最適の培地を選択すればよい。
【0019】一般に培地には、平衡塩類溶液と低分子の栄養物質を含む培地を使用する。平衡塩類としては、CaCl2、KCl、KH2PO4、MgSO4、NaCl、NaHCO3、NaH2PO4、Na2HPO4などを用いることができる。また、栄養物質としては、細胞に取り込まれて生合成や代謝の基質となるか、補酵素として利用されるもので、グルコースなどの糖類やアミノ酸、水溶性ビタミンなどを用いることができる。培地のpHは、6.6〜7.8の範囲、より好ましくは7.2〜7.4の範囲がよい。
【0020】培養温度は20〜40℃、好ましくは約37℃での培養がよい。培養時間は、通常1日〜3週間、好ましくは2日〜7日間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行う等、常法にしたがって行えばよい。
【0021】目的抗原タンパク質又はmRNAの発現をRT−PCR法、又はTagの抗体を用いたウエスタンブロットなどで確認する。目的抗原タンパク質又はmRNAの発現が確認された後、該動物細胞で動物に免疫を行う。
【0022】動物への投与に際して、免疫系を刺激して抗原に対する免疫反応を高めるために、アジュバントを使用する方がよい。アジュバントとしては、結核菌からの抽出物を使用したフロイントアジュバントなどの抗体産生細胞誘起性アジュバントやミョウバン、ベントナイト、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウムなどの沈降性アジュバントなどが使用できる。
【0023】動物への免疫は、抗原タンパク質の発現が確認された培養動物細胞を必要に応じてアジュバントと混合して懸濁液を調整し、これを1週間以上の間隔をおいて2回以上注射によって免疫する。
【0024】免疫する動物としては、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、ヒツジ、ヤギ、イヌ、サルなどの哺乳動物類、ニワトリなどの鳥類など、一般に抗体作製に使用される動物いずれを使用しても構わないが、目的抗原タンパク質の精製工程を除くために、免疫動物は抗原タンパク質を発現させる動物細胞と同じ動物種であることが必要である。免疫動物が抗原タンパク質を発現させた動物細胞と同じ動物種を用いれば、目的抗原タンパク質以外は自己細胞であるため目的とする抗原タンパク質に対する抗体のみが作製される。
【0025】このように、目的タンパク質をコードするDNAを動物細胞内に組み込み、動物細胞内において該DNAを発現せしめ、この動物細胞をそれと同一種の動物に免疫して、発現された目的抗原タンパク質に対する抗体を動物体内で作製せしめるという技術思想は従来は全く報告されておらず、本発明が最初である。このような本発明に係る方法は、目的抗原タンパク質を精製する必要がなく、目的抗原タンパク質を大量にしかも確実に発現せしめることができ、免疫する動物において拒絶反応もひき起こされないという著効が奏される。
【0026】これに対して、抗原タンパク質を発現させた動物細胞とは異なる動物種に免疫した場合には、抗原タンパク質を発現させた動物細胞由来のタンパク質などを免疫された動物細胞が異物とみなし、目的とする抗原タンパク質以外にこれらのタンパク質などに対する複数の抗体が作製されてしまうし、目的抗原の作製率も大幅に低下してしまい、更には免疫拒否反応がひき起されて、実験動物を死亡させその結果、抗体の作製自体が不可能となる場合すら生じる。しかしながら本発明によれば、抗原タンパク質の精製工程が全く必要でなく、抗体の作製率も高く、貴重な実験動物を無益に消費することはないといった著効が奏される。唯一、アロ抗原に対する抗体が産生される可能性がある。しかし、アロ抗原への抗体力価は一般に異種蛋白の抗体力価に比べて極めて低いので通常の実験(flow cytometry, western blottingなど)では問題にならない。
【0027】抗体産生の有無は、動物から血液を採取後血清を分離し、抗原タンパク質との結合反応を調べることによって行なう。例えば、ウエスタンブロット法、免疫沈降、酵素免疫アッセイ、抗体染色など公知の方法を用いることができる。他に表面(膜)抗原の抗体ならフローサイトメリーが有用である。
【0028】これらの方法で血清中での抗体産生を確認した後、血清をそのままポリクローナル抗体試料として用いることもできるし、硫安塩析、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティカラムクロマトグラフィーなどにより精製した後、用いることもできる。後者の場合、例えば最終免疫後、10日目程度に全採血を行い、抗血清を分離し、これをプロテインAを用いたアフィニティークロマトグラフィー法によりIgG分画を単離すればよい。このようにして精製したポリクローナル抗体は、例えばSDS−PAGE電気泳動等によってその純度を検定すればよい。なお、本発明において抗血清の採取、抗体の精製等は、上記のほか常法にしたがって適宜実施することができる。
【0029】また、本発明によれば、ポリクローナル抗体のほかモノクローナル抗体を作製することができる。その場合、常法(例えば、G.Koeler,C.Milstein:Nature,256,495(1975)等)に準じて実施することができる。すなわち、免疫能を獲得した動物から摘出した脾臓細胞、リンパ節細胞、Bリンパ球等から選ばれる抗体産生細胞と骨髄腫細胞を混合し、ポリエチレングリコール等融合剤の存在下で融合する。次いで、融合細胞(ハイブリドーマ)をHAT培地(1×10-4Mヒポキサンチン、4×10-7Mアミノプテリン、1.6×10-3Mチミジン含有)等の培地で選択的に増殖させ、培養上清への上記トランスフェクタントと特異的に結合する抗体の分泌が認められた細胞を限界希釈法等によりクローニングする。
【0030】このようにして作製されたハイブリドーマは、その培養上清や骨髄腫細胞の由来する動物に移植して得られる腹水よりモノクローナル抗体を生産することができる。モノクローナル抗体も上記したポリクローナル抗体と同様の工程によって精製することができる。
【0031】本発明方法によって作製された抗体は、抗原タンパク質に対する特異性が高く、イムノアッセイ用試薬といった各種分析用試薬、診断薬のほか、医薬や研究用試薬等各方面において広範に利用することができる。
【0032】次に実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、この実施例は、本発明者らが今回分離、同定するのに成功した新規ニワトリ膜型補体制御蛋白質(chicken Complement regulatory membraneprotein:Cremp)をコードする新規遺伝子(Cremp遺伝子)、及びretinoic acid early inducible moleculeの一つであるマウスRae−1αをコードする遺伝子(Rae−1α遺伝子)に基づくものであるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。なお、Crempのアミノ酸配列を配列番号1(図1、図2、図3、いずれも下段)に示し、それをコードする遺伝子(Cremp遺伝子)の塩基配列を配列番号2(図1、図2、図3、いずれも上段)に示す。これらは、上記したように、いずれも本発明者らがはじめて見出したものであって、新規物質である。
【0033】
【実施例1】(1)既に登録されているニワトリのCremp遺伝子(Genbank No.AB035592:配列番号2、図1〜3上段)のcDNAの塩基配列を元に設計したプライマーCremp−M4(配列番号3、図4)とCremp−RV(配列番号4、図5)を使用し、RT−PCR法によってニワトリ胸腺から抽出したRNAからC末端にHistidine Tagの付いたCremp遺伝子のcDNAを得た。次いでEcoRIおよびXhoIで消化した本遺伝子断片をpME18s(Liu.Y.C., et al.,Proc.Natl.Acad.Sci,90,8957〜61(1993))のEcoRI、XhoIサイトに導入することによって、細胞内でCrempの発現が可能なプラスミドpME18s−Cremp−Hisを構築した。
【0034】(2)構築したpME18s−Cremp−HisをRK13細胞(理化学研究所細胞開発銀行RCB0183)(1×107個)にlipofectAMINE試薬(Life Technologies社)を用いたリポフェクチン法によりトランスフェクトした。トランスフェクトしたRK13細胞は、37℃のCO2インキュベータ(95%大気/5%CO2)でRPMI1640/10%FCS(fetal calf seram:ウシ胎児血清)で48時間培養した。
【0035】(3)48時間培養後、トランスフェクトしたRK13細胞は、10mM EDTA リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate Buffered Saline/PBS)を用いて集め、PBSで3回洗浄した後、0.5mlのPBSに懸濁した。このRK13の懸濁液を、0.6mlのフロイント完全アジュバント(FCA)と混ぜ、よく混合した。更にこの混合物を用いてNZWウサギにリンパ節(皮下)近くに注入することで免疫を行った。免疫は、7日置きに4回行った後、更に3日後にブースターとして最終免疫を行った。更に最終免疫の4日後と6日後にウサギの耳動脈から40mlずつを採血した。採血から抗血清を遠心分離(15000rpm、30分)により採取した。更にこの抗血清をprotein Aを用いたアフィニティクロマトグラフィーで精製し、抗Cremp抗体を得た。
【0036】(4)すなわち、得られた抗血清を、下記するように、プロテインAを用いたアフィニティークロマトグラフィー法によりIgG分画を単離した。まず、プロテインAセファロースCL4B(ファルマシア社製)2mlをカラムに充填し、1.5Mグリシン溶液(pH8.7)で平衡化した後、血清を同量の1.5Mグリシン溶液で希釈し、これをカラムに流しプロテインAにIgGを結合せしめた。1.5Mグリシン溶液でカラムを洗った後、0.1Mグリシン溶液(pH3.0)で溶出させてIgG分画を得た。
【0037】(5)このようにして抗血清を精製して、抗Cremp抗体を得た。抗体生成の確認は、Crempタンパク質発現細胞を用いたウエスタンブロット法およびフローサイトメトリー法により行った。
【0038】(6)すなわちウエスタンブロット法では、免疫に用いた、pME18s−Cremp−HisをトランスフェクトしたRK13細胞を、1%NP−40にて可溶化し、SDS−PAGE法により泳動してメンブラン上に転写した。次に転写したメンブランを500倍希釈抗血清と反応させ、抗血清と反応したタンパク質を10,000倍希釈ペルオキシダーゼ標識抗ウサギ抗体にて可視化した。その結果、抗血清はRK13細胞中のCremp遺伝子産物に強く反応した。これに対し、陰性対照として泳動した、トランスフェクトしないRK13細胞に対しては、抗血清は反応しなかった。
【0039】(7)フローサイトメトリー法では、Crempタンパク質発現細胞および非発現細胞を、希釈した抗血清と反応させ、洗浄後、蛍光標識抗ウサギ抗体と反応させ、洗浄後の残存蛍光強度を測定した。その結果、Crempタンパク質発現細胞では高い残存蛍光強度が認められたのに対し、非発現細胞では認められず、抗血清のCrempタンパク質発現細胞との高い反応性が確認された。
【0040】
【実施例2】(1)Rae−1α遺伝子(Genbank No.D64160:J.Biochem.,119(2),319−328(1996)) (配列番号5)を鋳型として、XhoI及びNotIを含むプライマーを用いてPCRを行い、生じたPCR産物をXhoI及びNotIで消化し、得られたDNA断片(図7)をプラスミドpEFBOSのXhoI、NotIサイトに導入することによって、マウスRae−1αの発現が動物細胞内で可能なプラスミドRae−1α/pEFBOS(独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 寄託:寄託番号FERM P−18502)(図6)を、構築した。次いで、本プラスミドを家兎由来RK13細胞(理化学研究所細胞開発銀行RCB0183)にlipofectAMINE2000試薬(GIBCO社)を用いたリポフェクション法によりトランスフェクトし、37℃のCO2インキュベーター(95%大気/5%CO2)にてRPMI1640/10%ウシ胎児血清を用いて24時間培養した。
【0041】(2)24時間後、トランスフェクトしたRK13細胞を、10mM EDTAリン酸緩衝生理食塩水(phosphate Buffered Saline/PBS)を用いて集め、PBSにて洗浄後、pelletの状態で、−80℃にて保存した。またRT−PCR法によりRae−1α遺伝子のmRNAへの転写を確認することによりRK13細胞でのRae−1α遺伝子の発現を確認した。
【0042】(3)保存しておいた本細胞を解凍し、4×107個の細胞を0.35mlの生理食塩水に懸濁し、0.6mlのフロイント完全アジュバント(FCA)と混ぜ、よく混合した。更にこの混合物を用いて家兎に注射することで免疫を行った。免疫は、7日置きに4回行った後、さらに3日後にブースターとして最終免疫を行った。採血後、遠心分離により抗血清を採取した。
【0043】(4)血清中の抗体生成の確認は、ウェスタンブロット法により行った(図8)。すなわち免疫に用いた、Rae−1α/pEFBOSをトランスフェクトしたRK13細胞を、1%NP−40にて可溶化し、SDS−PAGE法により泳動してメンブラン上に転写した。次に転写したメンブランを500倍希釈抗血清と反応させ、抗血清と反応したタンパク質を10,000倍希釈ペルオキシダーゼ標識抗ウサギ抗体にて可視化した。その結果、抗血清はRK13細胞中のRae−1α遺伝子産物に強く反応した(図8、I.B.2 矢印)。これに対し、陰性対照として泳動した、トランスフェクトしないRK13細胞に対しては、抗血清は反応しなかった(図8、I.B.1)。トランスフェクトしたRK13細胞およびトランスフェクトしないRK13細胞を泳動した全タンパク質は、クマシー・ブリリアント・ブルー染色にて示した(図8、クマシー1および2)。なお、図8はいずれも写真である。
【0044】
【発明の効果】本発明にしたがって、抗原タンパク質を動物細胞内で発現せしめておき、これを同種の動物に免疫するという全く新しいタイプの方法により、抗原タンパク質の精製工程を要することなく、高い作製率で効率的に抗原タンパク質に対する抗体を作製することが可能となった。しかもその際、免疫動物での拒否反応がないため実験動物が無益に消費されることもないし、夾雑タンパク質に対する各種抗体の副生もないため、抗体の精製も効率的に行うことが可能となり、例えば、抗Cremp抗体及び抗Rae−1α抗体の作成に実際に成功した。
【0045】
【配列表】
SEQUENCE LISTING〈110〉 Protein Express Co., Ltd〈120〉 Producing Method of Antibody〈130〉 6516〈141〉 2001-9-28〈160〉 5〈210〉 1〈211〉 451〈212〉 PRT〈213〉 Chiken Thymus〈400〉 1Met Ala Val Gly Val Phe Ala Leu Ala Val Leu Leu Ala Gly Leu Gly 1 5 10 15Ala Ala Arg Ala Gln Gly Ser Cys Thr Leu Pro Asp Lys Val Gln Asn 20 25 30Ala Glu Leu Thr Glu Asp Ala Ser Thr Met Ser Ser Phe Pro Val Gly 35 40 45Thr Thr Val Ser Tyr Thr Cys Arg Pro Gly Tyr Met Arg Ile Pro Gly 50 55 60Met Pro Val Ser Arg Thr Cys Gly Glu Asn Leu Met Trp Ser Gln Ile65 70 75 80Glu Thr Phe Cys Thr Ala Arg Ser Cys Thr His Pro Gly Glu Leu Gln 85 90 95Asn Gly Val Val His Val Thr Asp Leu Thr Phe Gly Ser Ala Val Thr 100 105 110Phe Ser Cys Glu Lys Gly Tyr Arg Leu His Gly Asn Arg Gln Ile Ser 115 120 125Cys Val Ile Gln Gly Lys Val Val Asp Trp Asn Gly Pro Leu Pro Leu 130 135 140Cys Asp Arg Val Pro Cys Arg Pro Pro Pro Ser Ile Ala Asn Gly Arg145 150 155 160Tyr Thr Glu Ala Ala Asn Tyr Val Tyr Gln Thr Thr Val Thr Tyr Ser 165 170 175Cys Asp Asp Val Arg Thr Gly Glu Asn Pro Phe Ser Leu Val Gly Ser 180 185 190Pro Ser Ile Phe Cys Thr Val Asp Glu Asn Ser Asn Gly Val Trp Ser 195 200 205Gly Pro Pro Pro Gln Cys Lys Val Val Ile Cys Asp Asn Pro Gln Val 210 215 220Glu Asn Gly Arg Lys Ala Ser Gly Phe Ala Ser Gln Tyr Ile Tyr Gly225 230 235 240Ser Ser Val Arg Phe Glu Cys Asp Pro Asp Tyr Val Leu Leu Gly Met 245 250 255Asp Val Ile Ser Cys Thr Glu Asn Gly Thr Trp Tyr Pro Ser Leu Pro 260 265 270Thr Cys Lys Arg Ile Ser Glu Asp Ala Cys Gly Ala Pro Lys Ile Ser 275 280 285His Gly Glu Val Val Pro Gln Lys Ser Val Tyr Leu Arg Gly Glu Ser 290 295 300Val Gln Ile Arg Cys Ser Pro Arg Cys Ala Phe Pro Asp Gly Gly Thr305 310 315 320Glu Val Thr Val Met Cys Gln Gly Arg Asn Thr Trp Ser Ser Glu Pro 325 330 335Asn Cys Ala Cys Asp Ser Glu Pro Ser Asp Phe Ser Pro Val Ile Ser 340 345 355His Gly Arg Ile Ile Glu Gly Lys Lys Ser Val Tyr Ser Glu Gly Asp 355 360 365Ser Ile Thr Ile Glu Cys Tyr Ala Gly Tyr Thr Leu His Gly Ala Ala 370 375 380Arg Ile Glu Tyr Ile Gly Gly Gly Arg Trp Thr Pro Glu Val Pro Val385 390 395 400 Cys Lys Leu Ser Ala Tyr Ile Ile Ala Ile Ile Cys Met Ile Val Ala 405 410 415 Val Leu Val Phe Leu Ala Ala Phe Trp Ile Phe Lys Lys Phe Ile Ser 420 425 430 Gln Glu Gly Lys Ser Asp Ser Thr Pro His Thr Ala Lys Tyr Thr Ser 435 440 445 Cys Lys Ala 450〈210〉 2〈211〉 1353〈212〉 DNA〈213〉 Artificial Sequence〈400〉 2atggcggtgg gggtgtttgc gttggcggtg ctgctggcgg ggctcggcgc ggcacgggcg 60cagggctcct gcacgcttcc agacaaggtc cagaatgcag agctcacgga ggatgccagc 120acaatgagca gctttcctgt tggaaccact gtgagctaca cctgtcgccc tggctatatg 180aggatccctg ggatgcctgt tagtcgaacg tgtggcgaaa acttaatgtg gtcgcaaata 240gagacgttct gtacagcaag aagctgtact catccgggag aactacaaaa tggcgttgtt 300catgtgacag atcttacatt tggttcggca gttacttttt cttgtgaaaa agggtacagg 360ttacatggaa atcgtcagat ttcctgtgta attcaaggta aagttgttga ctggaatgga 420cctcttcctt tatgtgatag agttccttgt aagccacctc caagtatagc caatgggcgc 480tacactgaag cagccaacta tgtttatcaa acaacagtaa cctatagttg tgacgatgtg 540cgcacaggag aaactccctt ctcgctggtt ggttcacctt 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【出願人】 【識別番号】500546994
【氏名又は名称】株式会社プロテイン・エクスプレス
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】 【識別番号】100075775
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 親男
【公開番号】 特開2002−325597(P2002−325597A)
【公開日】 平成14年11月12日(2002.11.12)
【出願番号】 特願2001−300890(P2001−300890)