| 【発明の名称】 |
ビタミンE中間体の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】ヴェルナー・ボンラート
【氏名】デートレフ・アイゼンクレーツァー
【氏名】ヴァレリ・アンジョルラス
【氏名】ラインハルト・カルゲ
【氏名】トーマス・ネットシェル
【氏名】ミハエル・シュナイダー
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| 【要約】 |
【課題】ビタミンEの合成中間体として有用なトリメチルヒドロキノン−1−モノアセタアートを安価、高収率で得る製造方法を提供する。
【解決手段】リパ−ゼを用いる選択的酵素的モノけん化によってトリメチルヒドロキノリンジアセタートをトリメチルヒドロキノン−1−モノアセタアートに転換する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トリメチルヒドロキノンジアセタートをトリメチルヒドロキノン−1−モノアセタートに極めて選択的に転換する方法であって、トリメチルヒドロキノンジアセタートを、リパーゼを用いた酵素的モノけん化に供する工程を含む方法。 【請求項2】 リパーゼが、固体担体材料上に固定されている、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 リパーゼが、シュードモナス属(Pseudomonas spec.)リパーゼ、特に、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorenses)リパーゼであるか、またはサーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanugiosus)リパーゼである、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 リパーゼが、サーモミセス・ラヌギノサスリパーゼである、請求項3に記載の方法。 【請求項5】 酵素的モノけん化が、疎水性溶媒中で実行される、請求項1に記載の方法。 【請求項6】 tert−ブチルメチルエーテルが、溶媒として使用される、請求項5に記載の方法。 【請求項7】 酵素的モノけん化が、連続的に実行される、請求項2に記載の方法。 【請求項8】 結果として生じたトリメチルヒドロキノン−1−モノアセタートを、直接かまたは必要に応じて脱アセチルした後のいずれかで、イソフィトールまたはその等価物と反応させることによって、(全−rac)−α−トコフェロールまたはその酢酸塩に転換する工程をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。 【請求項9】 反応が、加圧下で実行される、請求項1に記載の方法。 【請求項10】 (全−rac)−α−トコフェロールまたはその酢酸塩を製造する方法であって、リパーゼを用いて、トリメチルヒドロキノンジアセタートをトリメチルヒドロキノン−1−モノアセタートに転換する工程と、生成したトリメチルヒドロキノン−1−モノアセタートを、イソフィトールまたはその等価物と縮合させ場合により、続いて、脱アセチル化する工程とを含む方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】ビタミンEの主たる市販形は、たとえば、無水酢酸を用いた、(全−rac)−α−トコフェロールのアセチル化によって合成される、ビタミンEの酢酸塩誘導体である。 【0002】(全−rac)−α−トコフェロールの工業的合成は、トリメチルヒドロキノン(TMHQ)とイソフィトール、フィトールまたはその誘導体、たとえば、ハロゲン化フィチルとの縮合に基づく。TMHQは、通常、高価な2,3,6−トリメチルフェノールから得るが、TMHQとイソフィトール、フィトールまたはその誘導体、たとえば、ハロゲン化フィチルとの縮合には、酸性触媒を使用しなければならない。 【0003】あるいは、(全−rac)−α−酢酸トコフェロールは、トリメチルヒドロキノン−1−モノアセタート(TMHQ−1−MA)とイソフィトールまたはその等価物とを縮合させることによって合成することができる。この代替合成法で使用されるTMHQ−1−MAは、はるかに安価なα−イソホロンから、ケトイソホロンおよびトリメチルヒドロキノンジアセタート(TMHQ−DA)を経て、得ることができるが、後者は、文献から公知の方法(たとえば、水性アルカリ性塩基で処理することによって)では実行することが困難な、完全に位置選択的なモノ−脱アセチル化を経なければならない。 【0004】TMHQ−DAをリパーゼを用いる酵素的モノけん化に供することによって、TMHQ−DAを完全に位置選択的にTMHQ−1−MAに転換することができることが見出された。 【0005】本発明の好ましい実施形態では、リパーゼを固体担体材料上に固定する。上記担体材料は疎水性担体、たとえば、Membrana GmbH, Obernburg(ドイツ)により供給される、ACCURE MP1001等のポリプロピレン担体であってもよい。しかし、異なる性質の担体、すなわち、酵素の固定化にしばしば使用されるアルカリ性触媒担体CELITE〔化学組成:SiO2 87%、CaO 0.9%、Al2O3 6.1%、Fe2O3 1.6%、Na2O+K2O 1.6%、pH(10%懸濁液、25℃)=8.5〕では、固定化された酵素の性能を満足に示さなかった。 【0006】本発明の目的に適したリパーゼとしては、酵素クラスEC3.1.1.3に属するものなどがある。 【0007】市販されている様々なリパーゼの中でも、下記:サーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)リパーゼ(TLL)、ミューコル・ミハイ(Mucor mihei)リパーゼ(MML)、アルカリゲネス属(Alcaligenes spec.)リパーゼ(ASL)、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)リパーゼ(CRL)、カンジダ・アンタルクチカ(Candida antarctica)(分画B)リパーゼ、およびシュードモナス属(Pseudomonas spec.)リパーゼ(PSL)、たとえば、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)リパーゼ(PFL)は、本発明の目的に有効であることがわかっている。好ましいリパーゼは、PSL、PFLおよびTLLであり、TLLが、特に好ましい。 【0008】本発明の酵素的モノけん化は、疎水性溶媒、たとえば、1−メチル−2−ピロリドン中で、特に、tert−ブチルメチルエーテル、ブチルエーテル、メチル2−メチル−2−ブチルエーテル等々のエーテル溶剤中で、都合よく行われ、tert−ブチルメチルエーテルが特に好ましい。 【0009】好都合なことに、約0.01〜約99.5容量%、好ましくは約0.03〜約20容量%、最も好ましくは約0.09〜約5容量%の水または緩衝液、たとえば、リン酸緩衝液を、エーテル溶剤に加えてもよい。1%までの濃度で、エタノールが存在してもよい。 【0010】Tetrahedron 56(2000)317−321には、とりわけ、水の存在下で、tert−ブチルメチルエーテル中の遊離酵素PSLを用いて、2−メチル−1,4−ジアセトキシナフタレンを、対応する1−アセトキシ−4−ヒドロキシ化合物に選択的モノけん化することについて記載されている。しかし、この実験を、最高185時間にわたって繰返したとき、矛盾する結果を得た。さらに、同じ反応条件で、最高約300時間まで、TMHQ−DAを遊離酵素PSLで処理したとき、初期反応速度は、約3分の1に過ぎなかった。固定化PSLを用いた、<100時間にわたるTMHQ−DAのモノけん化で、ほぼ定量的な転換が行われたのに比し、固定化PFLおよび固定化TLLでは、同様の結果が得られた。 【0011】本発明のモノけん化の反応速度は、通常、反応温度の上昇と共に速くなる。もちろん、最高温度は、溶媒の沸点(tert−ブチルメチルエーテルの場合、55℃)によって限定されるが、加圧下で酵素的モノけん化を実施するときには、さらに高温で行うことができる。一部のリパーゼ、特にTLLに関して、温度を約60〜80℃に上げることが可能である。 【0012】このように、本発明の酵素的モノけん化は、約4〜約80℃の温度範囲で、好ましくは約20〜約75℃の温度範囲で、都合よく実施することができる。 【0013】酵素(遊離酵素も固定化酵素も)と基質(TMHQ−DA)との比率は、かなり広い範囲で様々であってもよく、約0.001g/g〜約10g/gが都合よく、約0.01〜0.2g/gが好ましい。 【0014】基質(TMHQ−DA)と溶媒との比率も、同様に、かなり広い範囲で様々であってもよく、約0.001g/g〜約100g/gが都合よく、約0.01〜0.8g/gが好ましい。 【0015】酵素を適当な担体上に固定するとき、たとえば、バッチ式の代わりに、固定床反応器または連続攪拌タンクで、本発明のモノけん化を、有利に連続的に実施することができる。 【0016】既述の通り、本発明の酵素的モノけん化によって得られるTMHQ−1−MAを、たとえば、イソフィトールとの反応によって、(全−rac)−α−トコフェリルアセタートに転換することができる。(全−rac)−α−トコフェロールが、粗生成物中にきっと存在する場合、たとえば、無水酢酸を用いてアセチル化することにより、このような(全−rac)−α−トコフェロールを、必要に応じて、その酢酸塩に転換することができる。 【0017】以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するものであって、決して、本発明の範囲を限定するためのものではない。 【0018】実施例1:遊離リパーゼを使用した、ガラス容器内でのバッチ実験tert−ブチルメチルエーテル5ml、水50μl、遊離酵素〔Fluka Chemie AG(Buchs,Switzerland)から入手したリパーゼ〕1.67mg、およびTMHQ−DA〔粗製、すなわち、ケトイソホロンの転位−芳香族化によって生じた物質で、TMHQ−DA約90%およびトリメチルカテコールジアセタート(TMC−DA)約9%からなる〕を、容器に加えた。容器のヘッドスペースを窒素でフラッシングした。この容器を50℃のインキュベーターに入れ、700rpmで攪拌して、確実に十分混合した。サンプルを採取するために容器を開け、500μlを採取し、ヘッドスペースを窒素でフラッシングし、容器を再び閉めた。次いで、このサンプルを、0.5〜1.0重量%の基質濃度または生成物濃度に希釈し、GCで分析した。 【0019】 【表1】
【0020】実施例2:固定化酵素を使用したバッチ実験(a)Membrana GmbH ObernburgによりACCUREL MP10001の名称で供給される担体は、400〜1000μmのサイズを有する。固定化する前に、1000μmのサイズを有する担体粒子を篩分けによって選択した。 【0021】固定化の場合、エタノール1.7ml中に含まれるACCUREL MP10001 500mg、およびリン酸カリウム緩衝液(KH2PO4、pH7.20mM)2.5mlに溶解したリパーゼ粉末100mgを混合し、室温にて、シェーカーで一晩振盪した。固定化リパーゼを濾過で回収し、同緩衝液で3回洗浄し、室温にて数時間乾燥させた。固定化酵素を、使用するまで4℃にて保存した。 【0022】一部変更したLowry法を使用して固定されたタンパク質の量を測定した。 【0023】(b)tert−ブチルメチルエーテル10ml、水100μl、固定化酵素(酵素13%/ACCUREL担体87%)〔リパーゼは、「キラザイム(Chirazyme)」と呼ばれる、Roche Diagnostics GmbH(Mannheim、ドイツ)から供給されるスクリーニングキットの一部であった〕20mgおよびTMHQ−DA160mgを、容器に加えた。容器のヘッドスペースを窒素でフラッシングした。この容器を33℃のインキュベーターに入れ、700rpmで攪拌して、確実に十分混合した。サンプルを採取するために容器を開け、500μlを採取し、ヘッドスペースを窒素でフラッシングし、容器を再び閉めた。次いで、このサンプルを、0.5〜1.0重量%の基質濃度または生成物濃度に希釈し、GCで分析した。 【0024】 【表2】
【0025】粗TMHQ−DA(実施例1参照)を使用したとき、純TMHQ−DAを使用したときと比較した相対的転換率は、95%〜100%の範囲であった。 【0026】 【表3】
【0027】実施例3:固定床反応器内での連続酵素的けん化固定床反応器〔ACCURE MP1001上に固定したTLL 900mg、床の高さ73mm、床の直径12.0mm、床密度0.11g/ml、床体積8.1ml、担体直径0.7mm〕内で、40℃にて、基質流量:水−飽和tert−ブチルメチルエーテル中、0.01g/gの濃度のTMHQ−DA;tert−ブチルメチルエーテルの質量流量=0.080mg/分;TMHQ−DAの質量流量=0.85g/dで、TMHQ−DAのTMHQ−1−MAへの連続けん化を実施した。固定化TLLは、少なくとも224時間、安定且つ活性であった。TMHQ−DAのTMHQ−1−MAへのけん化におけるTLLの選択性は、100%転換にてほぼ100%であり、滞留時間が長くても、あるいは低濃度のTMHQ−DA溶液をフィードしたときでも、TMHQ−1−MAのTMHQへのけん化は事実上起こらなかった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】501304397 【氏名又は名称】ロシュ ビタミン アーゲー 【氏名又は名称原語表記】Roche Vitamins AG
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| 【出願日】 |
平成14年2月18日(2002.2.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078662 【弁理士】 【氏名又は名称】津国 肇 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−291495(P2002−291495A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月8日(2002.10.8) |
| 【出願番号】 |
特願2002−39852(P2002−39852) |
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