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【発明の名称】 コールタール精製時のスラッジ処理方法
【発明者】 【氏名】高山 明久

【氏名】田島 洋一

【氏名】大月 裕

【氏名】真木 憲二

【要約】 【課題】本発明は、コークス炉の排ガスから回収したコールタールを精製して得る製品コールタールの品質を低下させず、且つ精製時のスラッジ処理で生じる低品位コールタールの発生量を従来より低減可能なコールタール精製時のスラッジ処理方法を提供することを目的としている。

【解決手段】コークス炉ガスを冷却して得られた粗コールタールを、静置分離器及び遠心分離機に順次導入し、それぞれで粗コールタールが含有するスラッジを分離、除去してコールタールを回収するに当たり、それぞれで分離したスラッジを混合し、その混合物に前記静置分離器で分離したコールタール(A)を加えて粘性を低下し、さらに2回目の静置分離あるいは遠心分離でスラッジを分離するコールタール精製時のスラッジ処理方法において、前記混合物に加えるコールタール(A)に代え、該2回目の静置分離あるいは遠心分離を経たコールタール(C)の少なくとも一部を使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コークス炉ガスを冷却して得られた粗コールタールを、静置分離器及び遠心分離機に順次導入し、それぞれで粗コールタールが含有するスラッジを分離、除去してコールタールを回収するに当たり、それぞれで分離したスラッジを混合し、その混合物に前記静置分離器で分離したコールタール(A)を加えて粘性を低下し、さらに2回目の静置分離あるいは遠心分離でスラッジを分離するコールタール精製時のスラッジ処理方法において、前記混合物に加えるコールタール(A)に代え、該2回目の静置分離あるいは遠心分離を経たコールタール(C)の少なくとも一部を使用することを特徴とするコールタール精製時のスラッジ処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コールタール精製時のスラッジ処理方法に係わり、詳しくは、コークス炉から発生したコールタールを精製して蒸留用原料とするに当たり、生じたスラッジを処理する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】コークス炉1の炭化室に原料炭を装入して乾留し、コークスを製造する際に発生する高温の排ガス(以下、単にガスという)は、該コークス炉排気系の上昇管と称される排ガス管を通過する時に、その曲管部に配設したノズルを介して安水(アンモニア水)が散布され、冷却される。この冷却に際して、ガス中のコールタール成分は、液相に凝縮されると同時に、ガスに同伴されている微粉炭やコークス粉(以下、これらをスラッジと称する)を捕捉し、安水と一緒になってドライメーン及びサクションメーンの底部を流下して、コールタールデカンタ(以下、デカンタと略す)等の静置分離器に、粗コールタールとして供給される。このデカンタ2では、安水層とコールタール層に静置分離され、デカンタ2の底部に前記スラッジ(以下、スラッジ(A)と称する)が分離、沈降する(図2参照)。分離された安水は、前記したように、ガスの冷却に再使用されたり、排水処理される。沈降したスラッジ(A)は、デカンタ2から掻き出され、除去される。このデカンタ2で安水やスラッジと分離、精製されたコールタール(以下、コールタール(A)と称する)は、まだ幾分のスラッジを含んでいるので、通常は、このコールタール(A)を遠心分離機3で処理して、スラッジ(以下、スラッジ(B)と称する)を十分取り除いた後、蒸留用原料の製品コールタール(以下、コールタール(B)とも称する)として、製品タンク4に貯蔵される。
【0003】一方、かかるコールタールの精製で発生したスラッジ(A)及びスラッジ(B)は、ほとんどが可燃物であり、灰分が生じてもコークスに含有されるようになるので、通常、原料炭やコークス炉1に戻して処分している。しかしながら、これらのスラッジは、まだ20質量%以上のコールタール分を含有し、このまま使用するとコークス炉等へ搬送するベルトコンベヤ等を汚染するので、さらに別途静置分離や遠心分離を行い、含有するコールタールを除去する必要がある。ところが、これらのスラッジは、粘度が非常に高いため、搬送し難いという問題があった。そのため、従来は、スラッジ(A)とスラッジ(B)に、デカンタ2で静置分離されたコールタール(A)の一部を添加し、粘度を低下させて再度静置分離あるいは遠心分離を行い、コールタール含有量の少ないスラッジ(以下、スラッジ(C)と称する)にしてから、これを原料炭やコークス炉に戻していた。ただし、このようなスラッジの処理で分離されたコールタール(以下、コールタール(C)と称す)には、まだスラッジや水分が含有され、その量は製品コールタール(コールタール(B))よりも2〜4倍程度多いので、コールタール(C)は、低グレード品としての利用価値しかなく、その発生量が増加することは好ましくなかった。
【0004】そこで、スラッジの処理で発生するコールタール(C)の量をできるだけ少なくするために、図3に示すように、コールタール(C)の一部をデカンタ2へ返送すると共に、前記コールタール(A)の一部をスラッジ(A)及びスラッジ(B)に添加することが考えられた。しかしながら、この技術を実施すると、デカンタの処理能力が落ちてコールタールの滞留時間が減少し、生産性が低下したり、あるいは製品コールタールの品質が低下してしまう。また、図4に示すように、コールタール(C)の一部を遠心分離機3へ返送すると共に、コールタール(B)の一部をデカンタ2で分離されたスラッジ(A)及び遠心分離されたスラッジ(B)と混合する技術も考えられた。しかしながら、この技術も、その下流に配置する別の遠心分離機6の処理能力を増加させる必要があったり、蒸留用原料となる製品コールタールの品質が低下することが予想され、満足できるものではなかった。
【0005】なお、スラッジ(A)及びスラッジ(B)にデカンタ等で分離した安水を添加し、流動性を与えてからスラッジを処理する技術もあるが(例えば、特開昭52−4527号公報参照)、この技術を用いると、前記コールタール(C)中の水分量の増加が予想され、低グレード品であるコールタール(C)の品質を一層低下させてしまうという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情に鑑み、コークス炉の排ガスから回収したコールタールを精製して得る製品コールタールの品質を低下させず、且つ精製時のスラッジ処理で生じる低品位コールタールの発生量を従来より低減可能なコールタール精製時のスラッジ処理方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究し、その成果を本発明に具現化した。
【0008】すなわち、本発明は、コークス炉ガスを冷却して得られた粗コールタールを、静置分離器及び遠心分離機に順次導入し、それぞれで粗コールタールが含有するスラッジを分離、除去してコールタールを回収するに当たり、それぞれで分離したスラッジを混合し、その混合物に前記静置分離器で分離したコールタール(A)を加えて粘性を低下し、さらに2回目の静置分離あるいは遠心分離でスラッジを分離するコールタール精製時のスラッジ処理方法において、前記混合物に加えるコールタール(A)に代え、該2回目の静置分離あるいは遠心分離を経たコールタール(C)の少なくとも一部を使用することを特徴とするコールタール精製時のスラッジ処理方法である。
【0009】本発明では、スラッジ処理で発生したコールタール(C)の少なくとも一部をスラッジ(A)及びスラッジ(B)の混合物に添加するようにしたので、これらスラッジの流動性が良くなる。また、従来のようにコールタール(A)を添加する必要がないので、スラッジ処理でのコールタール(C)の増加をも抑えることができる。しかも、コールタール(C)をデカンタ2や遠心分離機3へも投入する必要がないので、製品コールタールの品質を低下させることも解消できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0011】まず、本発明に係るスラッジ処理方法を工程の流れ図として図1に示す。コークス炉1の排ガスを、排気系の上昇管に設けたノズル(図示せず)を介して安水を散布して冷却する。凝縮した粗コールタールは、安水、スラッジと一緒にデカンタ2に導入される。そのデカンタ2では、該粗コールタールと安水は、比重で分離し、それぞれの層を形成すると共に、スラッジ(A)が沈降、分離する。このスラッジ(A)は、混合槽5へ送られる。
【0012】引き続き、スラッジの分離したコールタール(A)は、遠心分離機(スーパーデカンタ)3に導かれ、コールタール(B)とスラッジ(B)に分離される。このコールタール(B)は、製品タンク4へ送られ、蒸留用原料として貯溜される。一方、スラッジ(B)は前記スラッジ(A)と同様に、混合槽5へ集められ、スラッジ(A)と混合される。
【0013】本発明は、この混合槽5内のスラッジ(A)とスラッジ(B)との混合物に、従来使用していたコールタール(A)に代えて、別のコールタールを加え、スラッジの粘性を低下させ、その後に行なうスラッジ処理、つまり2回目の静置分離あるいは遠心分離を実施し易くするものである。すなわち、本発明では、コールタール(A)に代えて、この混合物の処理自体で生じるコールタール(C)の少なくとも一部を循環使用することにしたのである。コールタール(C)を選択したのは、該スラッジの処理で液量が増加する恐れがないからである。これにより、スラッジの処理で、スラッジ及び水分を多量に含んだコールタール(C)の多量発生が回避できる。また、デカンタ2や遠心分離機3にコールタール(C)を戻さないので、製品コールタール、つまりコールタール(B)の品質低下も防止できるようになる。
【0014】なお、このコールタール(C)の循環使用する量は、混合されたスラッジ分に対して容積比で1倍以上あれば良い。この量が1倍未満になると、コールタール(C)中のスラッジ濃度が増加し、それ自体の粘度を増加させてしまい、搬送に困難をきたすからである。好ましくは、1〜2倍程度が最適である。
【0015】また、この2回目のスラッジ処理で採用する分離手段は、本発明では特に限定せず、静置分離器及び遠心分離機6のいずれでも良い。
【0016】
【実施例】(従来例1)コークス炉1の排ガスから回収したコールタール中のスラッジ(A)及びスラッジ(B)を撹拌槽5に5m3/日投入して混合し、その混合物に6m3/日のコールタール(A)を添加した。その後、下流の遠心分離機6で遠心分離し、コールタール分とスラッジ分とに分離した。その結果、コールタール(C)(低品位コールタール)の生成量は7.25m3/日、スラッジ(C)の生成量は3.75m3/日であった。コールタール(C)中のスラッジ分は、7.5質量%、水分は6.2質量%であった。
(発明例1)図1に示した本発明に係るコールタールの精製工程で、コークス炉の排ガスから回収したコールタール中のスラッジ(A)及びスラッジ(B)を混合槽5に5m3/日投入して混合し、その混合物に6m3/日のコールタール(C)を循環添加した。その後、下流に設けた遠心分離機6にて、遠心分離し、コールタール分とスラッジ分(スラッジ分:3.75m3/日)に分離した。その結果、コールタール(C)のうち6m3/日を循環使用したので、その生成量は1.25m3/日で済んだ。この低品位コールタール中のスラッジ分は8.0質量%、水分は6.3質量%であり、従来と同程度の品質であった。また、コールタール(C)をデカンタ2や遠心分離機3に添加しないので、蒸留原料用のコールタールの品質を低下させることもなかった。
【0017】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により、蒸留用原料となる製品タールの品質を低下させずに、スラッジ処理で発生する低品位コールタールの量を低減できる。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【出願日】 平成12年6月28日(2000.6.28)
【代理人】 【識別番号】100079175
【弁理士】
【氏名又は名称】小杉 佳男 (外1名)
【公開番号】 特開2002−12872(P2002−12872A)
【公開日】 平成14年1月15日(2002.1.15)
【出願番号】 特願2000−194329(P2000−194329)