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【発明の名称】 土壌安定防塵剤
【発明者】 【氏名】▲増▼山 吉成
【課題】長期間に亘り安定した防塵性が得られ、かつ、グラウンドコンディションを運動に適した良好なものに保つ土壌安定防塵剤を提供する。

【解決手段】塩化ナトリウムを70重量%以上85重量%以下、塩化カリウムを13重量%以上20重量%以下、塩化マグネシウムを3.5重量%以上5.5重量%以下、及び、アジピン酸を0.5重量%以上2重量%以下有する土壌安定防塵剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 塩化ナトリウムを70重量%以上85重量%以下、塩化カリウムを13重量%以上20重量%以下、塩化マグネシウムを3.5重量%以上5.5重量%以下、及び、アジピン酸を0.5重量%以上2重量%以下有することを特徴とする土壌安定防塵剤。
【請求項2】 赤色乃至褐色の色素を添加したことを特徴とする請求項1に記載の土壌安定防塵剤。
【請求項3】 上記色素がアシッドレッドであることを特徴とする請求項2に記載の土壌安定防塵剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラウンド、工事現場、あるいは、未舗装道路などで土埃の発生を抑制する土壌安定防塵剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、工事現場、あるいは未舗装道路などで、土埃を抑える防塵剤として、塩化カルシウムや塩化マグネシウムが使われてきた。さらに、最近では、各種グラウンドやフィールド(野球、陸上競技、サッカー等)やテニスコートなどの運動・競技施設へ応用されるようになってきた。
【0003】しかし、これら従来の防塵剤を用いると、防塵効果が得られる反面、処理した表面にケーキングが生じて亀裂が生じたり、あるいは、地面が固くなって競技者の足首、膝および腰への衝撃を与え、土のコートが持つ本来の良さが失われると共に、傷口や粘膜・皮膚への刺激が強くなると云った問題点が生じることが判った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、処理土壌に対して充分な防塵効果を付与しながらも不必要に固くせず、同時に、刺激性の小さい土壌安定防塵剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の土壌安定防塵剤は上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、塩化ナトリウムを70重量%以上85重量%以下、塩化カリウムを13重量%以上20重量%以下、塩化マグネシウムを3.5重量%以上5.5重量%以下、及び、アジピン酸を0.5重量%以上2重量%以下有する土壌安定防塵剤である。
【0006】本発明の土壌安定防塵剤はこのような構成により、処理土壌に充分な防塵効果を付与しながらも、運動に適した硬さに保ち、さらに、長期間に亘って性能を発揮できる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の土壌安定防塵剤において、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムと、特有の3種類の塩化金属塩を特有の配合比で組み合わせたことにより、処理を行った土壌の保湿性が向上し、従来の防塵剤を用いた場合に比べ、防塵性が特異的に向上すると同時に、これら塩が土壌の深さ方向に沈降することが防止され長期間に亘って高い防塵性が保持される。
【0008】これは、降雨により、一旦土壌の比較的深所にこれら塩がしみこんでも、その後の天候の回復により、土壌表面からの水分の蒸発と、土壌が有する毛細管現象により金属塩化物が徐々に土壌表層近くに上昇し、結果として、防塵処理直後とほぼ同様の状態に戻ることによると考えられている。
【0009】また、旱日が長期間続いて、土壌表面が乾燥状態と認識されるようになった場合でも、従来の防塵剤を用いた土壌とは異なり、本発明の土壌安定防塵剤により土中に保持されている水分が表面に供給されるため、防塵効果が持続する。さらに降雨がない場合には散水を行うが、その散水による効果も、従来の防塵剤を用いた場合に比べ長期間持続する。さらに本発明の土壌安定防塵剤は運動用具の皮革、ゴム、金属部分を傷めず、処理土壌周辺の植物への影響も微弱である。
【0010】このような本発明の効果は、本発明の構成要件のうち、4成分の相乗効果によるものであるが、その中でも特にアジピン酸に寄与することが大きいと考えられている。
【0011】すなわち、詳細は不明であるが、通常であると塩により土壌の粒子同士が結合されることが想定されるが、添加されたアジピン酸の働きで、塩成分を土壌中で効果的に分散させて柔らかく保ち、同時に塩との相乗効果で水分を効果的に保持し、また、必要に応じて表面の土壌にその水分を供給し、長期に亘って防塵性を維持し、さらに、塩成分の周囲への流出、あるいは、沈み込み(深さ方向への移動)を防止すると考えられている。
【0012】さらに、アジピン酸の添加により、降雨後の水はけを向上させ、降雨終了後比較的すぐにグラウンドを利用しても、グラウンドコンディションを悪化させる恐れがなくなる。
【0013】なお、本発明の土壌安定防塵剤は、上記のように土壌中に水分を保つ働きを有するが、同時に寒冷時の霜柱の発生を効果的に防止し、霜柱による表面土壌の浮き上がり、および、その土壌が乾燥後に土埃となることを妨げ、さらに、霜柱によるグラウンドやテニスコートのコンディション悪化を防止し、利用可能時間を長くすることができる。
【0014】本発明の土壌安定防塵剤は、皮膚に付着した場合でも、皮膚を腐食するような成分がないので流水で洗うだけで良く、炎症等の障害の恐れがない。また、本発明の土壌安定防塵剤で処理した土壌表面は、清潔感が付与され、また、本発明の土壌安定防塵剤に色素を添加することで、さらにその効果を高めることができるとともに、未処理区画との差が明確であるため施工が容易となる。
【0015】色素として特に赤色ないし褐色の色素を添加することでグラウンドに施される石灰などによる白線の視認性を向上させることができる。そのような色素として赤色106号として知られるアシッドレッド(N27292NaO72)が挙げられる。このものは食品用色素であり、万一体内に入っても安全性が高く、かつ、長期間の直射日光への曝露で分解する。
【0016】本発明の土壌安定防塵剤は従来の防塵剤と同様に用いることができる。すなわち、テニスコート、グラウンド(野球、陸上競技、サッカー等)(両者を併せて「グラウンド」と云う)では、通常、粘性土60%程度、砂質土40%程度などに調整したグラウンド面に本発明の土壌安定防塵剤を1m2当たり500g程度散布し、次いでこれが溶解する程度散水するグラウンド表面処理方法、あるいは、本発明の土壌安定防塵剤を1m2当たり1000g〜1500g程度散布した後、地表から5〜10cm程度の深さを耕転混合し、不陸修正しながら転圧するグラウンド耕転処理方法などである。
【0017】また、未舗装道路、未舗装駐車場、各種工事現場などでは、土質や交通量で最適処理量には差があるが、標準的には1m2当たり500g程度を散布する。なお、散布時に土壌が降雨後などでしめっている場合にはその後の散水は不要で、土壌が乾燥しているときのみ散布後に散水して土壌を湿らすだけで充分である。
【0018】また、本発明の土壌安定防塵剤は水溶性であるため、20重量%程度の濃度の水溶液として、標準的には1m2当たり1L〜2Lの密度で散布することで、液状散布処理することができ、この場合処理後の散水は不要である。なお、本発明の土壌安定防塵剤は固体(粉状)であるが、必要に応じて、その特有の成分比を変えずに溶液にしたり、バルク状にしたりしても良く、この場合も本発明に含まれる。さらに、本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の成分(安定剤、防湿剤)等を添加しても良く、その場合も本発明に含まれる。
【0019】
【実施例】以下に本発明の土壌安定防塵剤について具体的に説明する。基本配合として表1に示した本発明に係る土壌安定防塵剤α、基本配合から塩化ナトリウム(A成分)を除いた土壌安定防塵剤β、基本配合から塩化カリウム(B成分)を除いた土壌安定防塵剤γ、基本配合から塩化マグネシウム(C成分)を除いた土壌安定防塵剤δ、および、基本配合からアジピン酸(D成分)を除いた土壌安定防塵剤ε、基本配合から食用赤色106号(アシッドレッド、E成分)を除いた土壌安定防塵剤ζを調製し、陸上競技を行うグラウンドを各区画に仕切ってそれぞれ1m2当たり500gとなるよう散布(散布は6月中旬の晴れた日に行った)し、これらが溶ける程度に散水した。
【0020】
【表1】

【0021】その後、4か月間に亘って、1週間毎(ただし、降雨時には評価は行わなかった)にこれら処理を行った区画の表面土壌の評価を行ったが、土壌安定防塵剤β、土壌安定防塵剤γ、あるいは土壌安定防塵剤δを用いて処理した区画ではその他の箇所に比べて防塵性に劣るとの評価を受ける場合が多く、さらに土壌安定防塵剤εを用いた箇所では防塵性に劣り、かつ、固くなり過ぎていると云う評価を受ける場合が多かった。
【0022】これに対して土壌安定防塵剤α、あるいは、土壌安定防塵剤ζを用いた区画では常に防塵性が高く、かつ、グラウンドコンディションも良好であった。ただし、土壌安定防塵剤ζを用いた区画では、晴れた日が続くと白線が目立ちにくくなるなる場合があった。
【0023】
【発明の効果】本発明の土壌安定防塵剤は、塩化ナトリウムを70重量%以上85重量%以下、塩化カリウムを13重量%以上20重量%以下、塩化マグネシウムを3.5重量%以上5.5重量%以下、及び、アジピン酸を0.5重量%以上2重量%以下有する土壌安定防塵剤であり、その特有な構成により、長期間に亘り安定した防塵性を土壌に付与することができ、また、グラウンドコンディションを最適に保ち、運動に適した固すぎないものとすることができる優れた土壌安定防塵剤である。
【出願人】 【識別番号】394007366
【氏名又は名称】マコマ株式会社
【出願日】 平成12年11月6日(2000.11.6)
【代理人】 【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄 (外3名)
【公開番号】 特開2002−138282(P2002−138282A)
【公開日】 平成14年5月14日(2002.5.14)
【出願番号】 特願2000−337400(P2000−337400)