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【発明の名称】 異方性導電膜
【発明者】 【氏名】熊倉 博之

【氏名】山田 幸男

【氏名】安藤 尚

【要約】 【課題】低温で圧着しても、ピール強度が高く、導通信頼性があり、保存安定性に優れた異方性導電膜を得ることを目的とする。

【解決手段】本発明の異方性導電膜は、溶剤中に、絶縁性樹脂を溶解し、硬化剤および導電粒子を分散した異方性導電接着剤より作製した異方性導電膜である。ここで、溶剤は、SP値が8.0〜9.0のものを用いた。硬化剤としては、潜在性アミンアダクト硬化剤を用いた。また、絶縁性樹脂100重量部に対して、硬化剤は5〜50重量部を分散させた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 溶剤中に、絶縁性樹脂を溶解し硬化剤および導電粒子を分散した異方性導電接着剤より作製した異方性導電膜において、上記溶剤のSP値が8.0〜9.0であることを特徴とする異方性導電膜。
【請求項2】 絶縁性樹脂中に硬化剤と導電粒子が分散してなる異方性導電膜において、上記硬化剤が潜在性アミンアダクト硬化剤であることを特徴とする異方性導電膜。
【請求項3】 絶縁性樹脂100重量部に、硬化剤が5〜50重量部分散してなることを特徴とする請求項1または2記載の異方性導電膜。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)やTABと液晶パネルのガラス基板上に形成されたITO端子とを接続する場合をはじめとして、種々の端子間に形成され、それにより、該端子間を接着すると共に電気的に接続する場合に使用される異方性導電膜(ACF)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、異方性導電膜(ACF)は、フレキシブルプリント基板(FPC)やTABと液晶パネルのガラス基板上に形成されたITO端子とを接続する場合をはじめとして、種々の端子間に異方性導電膜を形成し、それにより、該端子間を接着すると共に電気的に接続する場合に使用されていた。
【0003】また、異方性導電膜は、信頼性、使用上の便宜などの点から、一液型の熱硬化型のものが主流になってきており、その構成は、一般にエポキシ樹脂、硬化剤、および導電粒子からなっている。
【0004】近年、パネルへの熱的なストレスを低減させるために圧着温度を下げる、または、生産効率を上げるためにタクトタイムを短くするなどの低温硬化または速硬化型の異方性導電膜に対する要望が強く出されている。さらに、従来のガラス基板の代替として、PETやPESなどのプラスチック基板に対応できる低温低圧用異方性導電膜も求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の熱硬化型の異方性導電膜は、圧着温度が150℃以上であり、低温用として要求される130℃以下では、ピール強度がきわめて低くなってしまい十分な信頼性が得られないという問題があった。
【0006】本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、130℃以下の低温で圧着しても、ピール強度が高く、導通信頼性があり、保存安定性に優れた異方性導電膜を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の異方性導電膜は、溶剤中に、絶縁性樹脂を溶解し硬化剤および導電粒子を分散した異方性導電接着剤より作製した異方性導電膜において、溶剤のSP値が8.0〜9.0である異方性導電膜である。
【0008】また、本発明の異方性導電膜は、絶縁性樹脂中に硬化剤と導電粒子が分散してなる異方性導電膜において、硬化剤が潜在性アミンアダクト硬化剤である異方性導電膜である。
【0009】また、本発明の異方性導電膜は、絶縁性樹脂100重量部に、硬化剤が5〜50重量部分散してなる上述構成の異方性導電膜である。
【0010】本発明の異方性導電膜によれば、溶剤中に、絶縁性樹脂を溶解し硬化剤および導電粒子を分散した異方性導電接着剤より作製した異方性導電膜において、溶剤のSP値が8.0〜9.0であるので、必要な固形樹脂を溶解させることができるとともに、硬化剤成分が溶解するのを防止することができる。
【0011】SP値が8.0〜9.0の溶剤を使用することで、固形樹脂をコーティング可能に溶解させつつ、バインダー中の硬化剤成分を、溶解させないので、保存安定性に優れた異方性導電膜をコーティングすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明異方性導電膜の実施の形態について表1〜表3を参照しながら説明する。表1は、異方性導電膜を作製するのに用いた組成物とその配合量、ならびに、異方性導電膜としての評価項目とその評価結果を、実施例1〜9および比較例1〜5にわたって示したものである。
【0013】
【表1】

【0014】表中、YP50、EP1010、EP1009、EP1007は、絶縁性の固形の樹脂であり、実施例1〜9および比較例1〜5ともに、それぞれの樹脂単独で40〜60重量部を配合した。
【0015】また、EP828、R80、R1307は、絶縁性の液状のエポキシ樹脂であり、実施例1〜9では、単独または2種類の混合により、40〜60重量部配合した。また、比較例1〜5では、単独または2種類の混合により40〜60重量部を配合した。比較例1または2では、後述するように、硬化剤としてノバキュアHX−3921HPまたはノバキュアHX−3722がそれぞれ60重量部配合されている。これらの硬化剤の組成は、硬化剤化合物が20重量部と液状エポキシ樹脂EP828が40重量部の混合物である。すなわち、比較例1および2では、液状エポキシ樹脂EP828が40重量部配合したと同じ結果となっている。
【0016】したがって、実施例1〜9、および比較例1〜5では、固形樹脂と液状エポキシ樹脂の合計量は100重量部である。
【0017】表中、H−3366S、H−3849S、H−4070S、ノバキュアHX−3921HP、ノバキュアHX−3722、H−3731S、FXE−1000、PN−23は、硬化剤であり、実施例1〜9、および比較例1〜5ともに単独で10〜50重量部配合した。
【0018】表中、5%架橋ポリスチレン(Au−Niメッキ)8μmは、5%架橋ポリスチレンからなり、径が8μmの粒子の表面にニッケル、金メッキをしたのであり、いわゆる導電粒子である。実施例1〜9、および比較例1〜5において、5重量部を配合した。
【0019】次に、表1に示したバインダー配合と、トルエン/酢酸エチル(重量比1/1)混合溶剤とを混ぜ、固形分60重量%に調整した。次に、導電粒子を混合して製膜し、厚み約20μmの異方性導電膜を作製した。
【0020】これを0.2mmピッチTABとITOベタの10オーム/□ガラスに適用し、130℃−4kgf/cm2 −20秒間の条件で圧着を行った。
【0021】次に、異方性導電膜の特性について評価を行った。表1に示した評価項目とその評価方法について説明する。
【0022】耐溶剤性は、バインダー配合後、固形分60重量%に調整して、製膜できるものを○、増粘ゲル化し製膜できないものを×とした。
【0023】ピール強度は、引っ張り強度50mm/minでガラスからTABを90°方向に引き剥がすときの接着力を測定した。判定は、400gf/cm幅以上を○とし、400gf/cm幅未満を×とした。
【0024】導通信頼性は、初期導通特性が20Ω以下で、60℃95%RH1000時間エージング後の抵抗上昇が初期の3倍以下のものを○とした。
【0025】保存安定性は、40℃雰囲気に異方性導電膜を放置し、1カ月後でも特性の出るものを○し、特に優れているものを◎とした。また、それ以外でも3週間でも特性が出るものを△とした。
【0026】次に、実施例1〜9、および比較例1〜5の評価結果について説明する。実施例1〜9では、耐溶剤性(表2も参照)に優れ、低温活性な潜在性アミンアダクト硬化剤を配合することで、ピールが400gf/cm幅以上となり、他の特性も満足している。
【0027】
【表2】

【0028】硬化剤としては、特にH−4070Sが、保存安定性に優れ、特に液状BPA側鎖型エポキシR1307と組み合わせたとき、ピール強度が高くなる。実施例4では、保存安定性が特に優れている。
【0029】比較例1および2は、130℃圧着では、ピール強度が低い。比較例3〜5では、硬化剤の耐溶剤性がないため、溶剤で硬化剤が溶解し、反応が進行してしまい、ゲル化増粘して製膜ができなかった。
【0030】次に、使用溶剤を変えた場合の結果を表3に示す。ここでは、上述の実施例2のバインダー組成で溶剤のみを変更し、製膜を試みた。
【0031】
【表3】

【0032】実施例10〜13の各溶剤では、異方性導電膜を作製することができ、特性を評価したところ、実施例2の結果とほとんど変わらなかった。
【0033】比較例6では、n−オクタンを使用したが、溶解性パラメータ(SP値)が7.8と極性が低いため固形樹脂のEP1009を、溶解させることができず、製膜できなかった。比較例7では、テトラヒドロフランを使用したが、SP値が9.2と極性が高いため、硬化剤成分をも、溶解させてしまい、溶液の増粘が著しく、製膜することができなかった。
【0034】以上の結果から、使用できる溶剤としては、膜強度を得るために、必要な固形樹脂を溶解させることができ、なおかつ、硬化剤成分を溶解させないことが必要なことがわかる。溶剤の極性を表す、溶解性パラメーター(SP値)だと8.0以上で9.0以下のものに限られる。
【0035】以上のことから、本例によれば、耐溶剤性に優れた低温活性の潜在性アミンアダクト硬化剤をエポキシバインダー中に配合し、SP値が8.0以上で9.0以下の溶剤を用いてフィルム化することで、130℃圧着時でも、ピール強度が高く、導通信頼性があり、保存安定性に優れた異方性導電膜を得ることができた。
【0036】なお、本発明は上述の実施例に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、耐溶剤性に優れた低温活性の潜在性アミンアダクト硬化剤をエポキシバインダー中に配合し、SP値が8.0以上で9.0以下の溶剤を用いてフィルム化することにより、130℃の低温で圧着しても、ピール強度が高く、導通信頼性があり、保存安定性に優れた異方性導電膜を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000108410
【氏名又は名称】ソニーケミカル株式会社
【出願日】 平成7年7月12日(1995.7.12)
【代理人】 【識別番号】100080883
【弁理士】
【氏名又は名称】松隈 秀盛
【公開番号】 特開2002−235060(P2002−235060A)
【公開日】 平成14年8月23日(2002.8.23)
【出願番号】 特願2001−339092(P2001−339092)