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【発明の名称】 接着性シート、太陽電池充填材用シートおよびそれを用いた太陽電池
【発明者】 【氏名】鈴木 隆信

【要約】 【課題】接着性シート及び太陽電池モジュールの充填材として、従来もっとも広く使用されているEVA系樹脂より劣化・変質が少ない充填材を提供する。

【解決手段】少なくとも0. 01質量%以上のエポキシドが共重合若しくは付加され、表面にアミノ基を有するアルコキシシランがコーティングされ融点が80℃以上120℃以下であり、かつ、80℃における剪断弾性率が3×10Pa以上であるエチレン系樹脂の接着シートおよびこのシートを太陽電池用充填材として使用する。なお、上記エチレン系樹脂シートは単独で使用してもよいし、他の樹脂シートと積層して使用してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも0.01質量%以上のエポキシ化合物を共重合成分もしくは付加成分として含有し、融点が80℃以上120℃以下であり、かつ、80℃における剪断弾性率が3×105Pa以上である変性エチレン系樹脂のシートの表面にアミノ基を有するアルコキシシランをコーティングしたことを特徴とする接着性シート。
【請求項2】 少なくとも0.01質量%以上のエポキシ化合物を共重合成分もしくは付加成分として含有し、融点が80℃以上120℃以下であり、かつ、80℃における剪断弾性率が3×105Pa以上である変性エチレン系樹脂層が、80℃における剪断弾性率が3×105Pa以上のポリエチレン若しくはエチレン−αオレフィン共重合体を主としたエチレン系樹脂層の少なくとも片側表面に、前記シートのアミノ基を有するアルコキシシランをコーティングした面が表面にでるように積層接着されてなることを特徴とする積層されたシートからなることを特徴とする接着性シート。
【請求項3】 請求項1又は2に記載の前記変性エチレン系樹脂が、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はエチレン−アクリル酸エステル共重合体のいずれかにエポキシ化合物が共重合成分または付加成分として含有されている変性エチレン系樹脂、若しくはそれらの2種類以上の混合物、若しくはこれらと、前記変性エチレン系樹脂以外のエチレン系樹脂との混合物からなることを特徴とする接着性シート。
【請求項4】 少なくとも0.01質量%以上のエポキシ化合物を共重合成分もしくは付加成分として含有し、融点が80℃以上120℃以下であり、かつ、80℃における剪断弾性率が3×105Pa以上である変性エチレン系樹脂のシートの表面にアミノ基を有するアルコキシシランをコーティングしたことを特徴とする太陽電池充填用シート。
【請求項5】 少なくとも0.01質量%以上のエポキシ化合物を共重合成分もしくは付加成分として含有し、融点が80℃以上120℃以下であり、かつ、80℃における剪断弾性率が3×105Pa以上である変性エチレン系樹脂層が、80℃における剪断弾性率が3×105Pa以上のポリエチレン若しくはエチレン−αオレフィン共重合体を主としたエチレン系樹脂層の少なくとも片側表面に、前記シートのアミノ基を有するアルコキシシランをコーティングした面が表面にでるように積層接着されてなることを特徴とする積層されたシートからなることを特徴とする太陽電池充填材用シート。
【請求項6】 請求項1又は2に記載の前記変性エチレン系樹脂が、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はエチレン−アクリル酸エステル共重合体のいずれかにエポキシ化合物が共重合成分または付加成分として含有されている変性エチレン系樹脂、若しくはそれらの2種類以上の混合物、若しくはこれらと、前記変性エチレン系樹脂以外のエチレン系樹脂との混合物からなることを特徴とする太陽電池充填材用シート。
【請求項7】 請求項4〜6の何れかに記載の太陽電池充填材用シートが、太陽電池セルの少なくとも非受光面に積層・接着されモジュール化されてなることを特徴とする太陽電池。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性に優れた接着性シートに関し、特に太陽電池モジュールにおけるセルの固定や裏面シートとの接合に使われる太陽電池用充填材に適した接着性シートおよびそれを用いた太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年太陽電池が電力供給源として普及してきた。それに伴い設置環境の多様性や長期耐久性が求められるようになり、太陽電池に用いられる各種部材について厳しい環境下で長期にわたって信頼性のあるものが求められている。
【0003】太陽電池用充填材は、かかる部材の一つで、接着剤としての機能と、外部からの衝撃から光起電力素子(セル)を保護する機能を奏することが要求され、従来からEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)系、PVB(ポリビニルブチラール)系、シリコーン系などの樹脂が提案されている。
【0004】従来、実用的な充填材としては、価格、加工性、耐湿性等の観点より、EVA系の樹脂が最も多く用いられている。しかしながら、EVA系のものは、基本的に長期にわたって使用された場合、黄変、亀裂入り、発泡などの劣化・変質が起こり、これがセルの腐食などによる発電量の低下を招く一因と考えられていた。また、同様の劣化・変質現象は、環境条件が少し厳しくなったり、新たに付加されたりすると、容易に発生し、このため用途が限定されていた。
【0005】これらEVA系樹脂が、このような劣化・変質を引き起こすのは、その組成上の問題として、加水分解性の高いエステル構造や熱架橋のために添加される有機過酸化物や多官能ビニル化合物などの架橋剤、架橋剤残渣・反応生成物、EVA架橋点の高級炭素や反応末端などの活性点が、予め添加されている紫外線吸収剤、酸化防止剤などによる抑制効果に打ち勝って徐々にかかる劣化・変質を引き起こすものと推定される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、EVA系樹脂と同等の性能を持ち、しかもその劣化・変質問題を解決するエチレン系樹脂からなる接着性シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、以下の発明を提供するものである。
【0008】■ 少なくとも0.01質量%以上のエポキシ化合物を共重合成分または付加成分として含有し、融点が80℃以上120℃以下であり、かつ、80℃における剪断弾性率が3×105Pa以上である変性エチレン系樹脂のシートの表面にアミノ基を有するアルコキシシランをコーティングしたことを特徴とする接着性シート。
【0009】■ 少なくとも0.01質量%以上のエポキシ化合物を共重合成分または付加成分として含有し、融点が80℃以上120℃以下であり、かつ、80℃における剪断弾性率が3×105Pa以上である変性エチレン系樹脂層が、80℃における剪断弾性率が3×105Pa以上のポリエチレン若しくはエチレン−αオレフィン共重合体を主としたエチレン系樹脂層の少なくとも片側表面に、前記シートのアミノ基を有するアルコキシシランをコーティングした面が表面にでるように積層接着されてなることを特徴とする積層されたシートからなることを特徴とする接着性シート。
【0010】■又は■に記載の前記変性エチレン系樹脂が、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はエチレン−アクリル酸エステル共重合体のいずれかにエポキシ化合物が共重合成分または付加成分として含有する変性エチレン系樹脂、若しくはそれらの2種類以上の混合物、若しくはこれらと、前記変性エチレン系樹脂以外のエチレン系樹脂との混合物からなることを特徴とする接着性シート。
【0011】■ 少なくとも0.01質量%以上のエポキシ化合物を共重合成分もしくは付加成分として含有し、融点が80℃以上120℃以下であり、かつ、80℃における剪断弾性率が3×105Pa以上である変性エチレン系樹脂のシートの表面にアミノ基を有するアルコキシシランをコーティングしたことを特徴とする太陽電池充填用シート。
【0012】■ 少なくとも0.01質量%以上のエポキシ化合物を共重合成分もしくは付加成分として含有し、融点が80℃以上120℃以下であり、かつ、80℃における剪断弾性率が3×105Pa以上である変性エチレン系樹脂層が、80℃における剪断弾性率が3×105Pa以上のポリエチレン若しくはエチレン−αオレフィン共重合体を主としたエチレン系樹脂層の少なくとも片側表面に、前記シートのアミノ基を有するアルコキシシランをコーティングした面が表面にでるように積層接着されてなることを特徴とする積層されたシートからなることを特徴とする太陽電池充填材用シート。
【0013】■又は■に記載の前記変性エチレン系樹脂が、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はエチレン−アクリル酸エステル共重合体のいずれかにエポキシ化合物が共重合成分または付加成分として含有されている変性エチレン系樹脂、若しくはそれらの2種類以上の混合物、若しくはこれらと、前記変性エチレン系樹脂以外のエチレン系樹脂との混合物からなることを特徴とする太陽電池充填材用シート。
【0014】■〜■の何れかに記載の接着性シートが、太陽電池セルの少なくとも非受光面に積層・接着されモジュール化されてなることを特徴とする太陽電池。ここで非受光面とは、太陽電池セルの受光面の反対側の面のことを言う。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明で使用するエポキシ化合物を共重合成分または付加成分として含有する変性エチレン系樹脂シートとしては、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系樹脂に対し、エポキシ化合物をグラフトしたもの、または前記エチレン系樹脂を重合する過程においてエポキシ化合物を共重合されたもの、または前記エチレン系樹脂またはそれに官能基を付加させた誘導体にエポキシ基を有する化合物を反応させてエポキシ基を導入する方法などが挙げられるがこれ等に制限されるものではない。
【0017】本発明においては、共重合のベースとしてポリエチレンやエチレン−αオレフィン共重合体等のエチレン系樹脂を使用することにより、従来のEVA系樹脂における組成上の問題の一つである加水分解性の寄与を実質的に皆無にでき、耐久性において好適な結果を与えることができる。また、エチレン−アクリル酸エステル共重合体を使用した場合は、加水分解性を低レベルとすることができ、同様に耐久性を大幅に向上させることができる。一方、エチレン−酢酸ビニル共重合体の場合は、従来のEVA系樹脂において架橋のために添加される架橋剤や架橋点に起因する劣化を抑えることができるので、耐久性においてかなりの改良効果を奏することができるのである。
【0018】なお、本発明において、この変性エチレン系樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、加工助剤、結晶核剤など各種添加剤を加えることができる。特に、この変性エチレン系樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体を実質的に含まない場合は、加水分解性の高いエステル構造を含まないため、その寄与による劣化の程度を越えない範囲で架橋剤を添加することができる。
【0019】本発明において、エポキシ化合物を共重合成分または付加成分として含有するエチレン系樹脂(エポキシ変性エチレン系樹脂)は、融点が80℃以上120℃以下のものが使用される。融点が120℃を超えると、接着に必要な温度が高くなり、例えば太陽電池モジュールを組み立てる工程において、設備や他の材料からくる制約のために、モジュールを充分加温できない結果、その構成材料が軟化・溶融せず、また、セル、受光ガラス、裏面シートと充分接着しないため好ましくない。また、融点が80℃未満では、接着性シートとして耐熱性がないため、例えば太陽電池用充填材として使用した場合、当該太陽電池モジュールを設置した環境下において、接着力低下によるずれ・剥離を起こすおそれがあるため好ましくない。
【0020】変性エチレン系樹脂の融点は、共重合成分または付加成分の種類、量、他に混合して使用されるエポキシ化合物を共重合成分または付加成分として含有するエチレン系樹脂、及びエポキシ化合物を共重合成分または付加成分として含有するエチレン系樹脂以外のエチレン系樹脂の融点、混合の割合などによって所望の範囲に制御することができる。なお、融点は、JIS K7121に従い測定された値(複数の場合、最も高い値)とする。
【0021】本発明において、エポキシ化合物を共重合成分または付加成分として含有するエポキシ変性エチレン系樹脂は、80℃における剪断弾性率が3×105Pa以上のものが使用される。剪断弾性率が3×105Pa未満では、接着性シートとしては耐熱性がなく、例えば太陽電池用充填材として使用した場合に、太陽電池モジュールを設置した環境下において接着力低下によるずれ・剥離を起こすため好ましくない。なお、剪断弾性率は、変性エチレン系樹脂の融点、添加剤によって制御することができる。本発明において、剪断弾性率は、通常の粘弾性測定装置(例えば岩本製作所社製動的粘弾性測定装置)により周期2πrad 、振幅歪み0.5%の条件で測定された値とする。
【0022】本発明の接着性シートは、エポキシ化合物を共重合成分または付加成分として含有していることにより、これらが表層のアルコキシシランの積層時の加熱、またはその保管時、あるいは被接着体との貼り合わせ加工する折りの加熱などの条件下で、表層のアルコキシシランのアミノ基との反応結合を、またはアルコキシシランが被接着体とのアルコキシ基での反応結合などによる機構を経て、優れた接着力を発揮するものと考えられる。
【0023】本発明において、エチレン系樹脂にグラフト、共重合または付加反応によって含有させるのに使用されるエポキシ化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、エピクロルヒドリン、ビスフェノールAシクロヘキシルグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、3,4−エポキシドシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレート等が例示される。
【0024】この不飽和基などの官能基を利用して対象とするエチレン系樹脂に好ましくはグラフト重合または反応付加等によって付加される。その付加量は、0.01質量%以上であり、好ましくは0.1質量%以上であり、それ未満では、例えば太陽電池用充填材として使用した場合に、受光ガラス、セルとの接着性が損なわれるため好ましくない。ここで付加量は、エポキシ化合物の量・種類、反応温度、時間、触媒・膨潤剤などの添加剤などのグラフト反応条件または付加反応によって制御できる。
【0025】また、エポキシ化合物の付加量としては20質量%以上にしても、剪断弾性率の向上効果が頭打ちになり、価格が上昇するばかりなので、20質量未満が好ましい。実用上、最も好ましくは0.1乃至15質量%である。
【0026】グラフト方法はエチレン系樹脂を溶媒中でエポキシ化合物を添加し、ラジカル開始剤の存在下で加熱する方法、、エチレン系樹脂とエポキシ化合物及びラジカル開始剤の混合物を押出機中で加熱する方法等公知の方法により製造できる。
【0027】また、エチレンと前記エポキシ化合物のうち不飽和エポキシ化合物等の共重合体も好適に利用できる。
【0028】さらには、例えば無水マレイン酸等の官能基で変性されたエチレン系樹脂に、この官能基と反応する、例えばビスフェノールAシクロヘキシルグリシジルエーテル等を付加してエチレン系樹脂を変性する方法なども変性エチレン系樹脂の製造方法として利用できる。
【0029】エポキシ化合物を共重合成分または付加成分として含有する変性エチレン系樹脂以外のエチレン系樹脂の融点、混合の割合などによって所望の範囲に制御することができる。なお、融点は、JIS K7121に従い測定された値(複数の場合、最も高い値)とする。
【0030】本発明において、変性エチレン系樹脂シート表面には、アミノ基をもつアルコキシシラン(以下アルコキシシシランと略記する場合がある)がコーティングされているが、当該アミノ基をもつアルコキシランとしては、例えばγ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが擧げられる。
【0031】上記コーティングは、ロール法、スプレー法など従来の方法で行うことができる。すなわち、変性エチレン系樹脂シート表面にアルコキシシランを直接コーティングする方法、変性エチレン系樹脂シート表面にアルコキシシランを溶剤で希釈して溶液コートした後当該溶剤を乾燥揮発させる方法、モジュール化工程における受光ガラスとの接着性や透光性を阻害しない分散材中アルコキシシランを分散させたものを含む液を溶液コートした後溶剤を乾燥揮発させる方法、同様に分散材中に分散させた溶液をポリエステル、ポリプロピレンなどの他のフィルムに溶液コートした後溶剤を乾燥揮発させ、その後変性エチレン系樹脂シート表面に熱転写する方法などが可能である。アミノ基を有するアルコキシシランの使用量は0.01〜10mg/m2となるようにコーティングするのが好ましい。ここで上記分散材としては、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン系、ロジン系やそれら水添化合物などが使用できる。上記コーティングにおける乾燥や熱転写における加熱条件は、アミノ基を有するアルコキシランのアルコキシ基が加水分解やそれに続く縮合反応などの反応を起こさない温度ならびに時間を選んで行う。特に上記最後に述べた方法における熱転写は、エポキシ化合が共重合または付加されたエチレン系樹脂の製膜と同時に行うことも可能である。
【0032】本発明において、エポキシ化合物が共重合または付加された変性エチレン系樹脂をアルコキシシランでコーティングされたシートは、単独シートで太陽電池用充填材とすることができるが(以下、これを「単層系」と称する。)、他の樹脂シート(芯材)との積層シートとしてもよい。この場合は、少なくとも、セル、受光ガラス、裏面シートと接触する表面側(片面)のみを当該共重合された変性エチレン系樹脂をアルコキシシランでコーティングされたシートとし、反対側(場合により芯材側)には、ポリエチレン若しくはエチレン−α−オレフィン共重合体を主としたエチレン系樹脂が接着積層された積層シートとしてもよい。また、芯材の両表面に積層した積層シートとすることも可能である(以下、これらを「積層系」と称する。)。
【0033】なお、積層されるポリエチレン若しくはエチレン−αオレフィン共重合体を主としたエチレン系樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、加工助剤、結晶核剤などを添加でき、またこれには、加水分解性のエステル構造を実質的に含まないので、その寄与による劣化の程度を越えない程度の範囲で架橋剤も加えた各種添加剤を加えてもよい。
【0034】積層されるポリエチレン等の弾性率は、エポキシ化合物が共重合または付加されたエチレン系樹脂と同様の理由で、80℃における剪断弾性率が3×105Pa以上であり、この数値は、すでに述べたのと同様の方法により、制御することができる。
【0035】エポキシ化合物が共重合又は付加された変性エチレン系樹脂シートは、一般に行われるカレンダー法、押出し法などの熱可塑樹脂において通常行われる成形加工方法により得ることができる。
【0036】また、本発明の変性エチレン系樹脂シートを、エチレン−αオレフィン共重合体等を主とするエチレン系樹脂と積層して用いる積層系の場合は、共押出し法、押出しコート法、熱ロールラミネート法などにより、積層シートを得ることが可能である。 なお、変性エチレン系樹脂シートの表面には、モジュールを加工する工程における各種層間の気泡残りを抑えるためにエンボス加工することもできる。
【0037】本発明において使用する変性エチレン系樹脂シートの厚さは、特に限定するものではないが、セルの凹凸に追従しての当該シートの固定の確保、受光ガラス・裏面シートのうねりへの追従などを考慮して、単層系としては、通常50〜1000μm、好適には100〜600μmである。また積層系の場合には、総厚さは通常50〜1000μm、好適には100〜600μmであり、そのうちエポキシ化合物が共重合された変性エチレン系樹脂シートの厚みは、0. 1〜100μm、好適には1〜30μmである。
【0038】本発明におけるシートを充填材として使用して太陽電池モジュールを得るには、単層系の場合、積層系の場合、いずれもそれ自体従来の充填材と同様のプロセスにより、充填材を含む各種部材をセッティングし、ラミネート加工するモジュール化工程により太陽電池モジュールとすることができる。
【0039】また、本発明の接着性シートを予め受光ガラスに積層しておき、これに太陽電池セルや裏面シートを後工程で積層することもできる。
【0040】本発明においては、従来用いられていたEVA系樹脂で必要な架橋工程を割愛することができるので、モジュール化工程において、それだけ低温・短時間化が可能であり、製造効率が上げられる。従ってまた、穏やかなラミネート条件となるため、残留応力などのストレスが低く抑えられる結果、耐久性においても有利となる。さらにまた、従来のEVA系樹脂の充填材に比較して各種環境下での弊害が低く抑えられる結果、太陽電池モジュールの信頼性が大きく向上する。
【0041】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に具体的に説明する。
【0042】(実施例1)
(1) 融点103℃、グリシジルメタクリレート12質量%が共重合されたエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体100質量部に対しヒンダードアミン系光安定剤0. 5質量部、フェノール系酸化防止剤0. 1質量部を加えて160℃で押出し法により厚さ300μmのシートに成形した。このシートの80℃における剪断弾性率は、3×106Paであった。本シートにγ−アミノプロピルトリエトキシシランのエタノール溶液をコーティングし80℃で20秒間乾燥してエタノールを揮発させてが0.01μmの厚さにγ−アミノプロピルトリエトキシシランをコーティングされたシート1を得た。このシート1を、評価用の接着性シート1とした。
【0043】(2) 太陽電池セルを想定してその代替として0.3mm厚みのアルミニウム板を使用し、評価用サンプルを組み立てた。すなわち、3mm厚さのフロートガラス(=受光ガラス)、0.3mm厚さの上記接着性シート1、0. 3mm厚さのアルミニウム板(=セル代替)、0. 3mm厚さの上記接着性シート1、0.08mm厚さの表面易接着処理ポリフッ化ビニル・アルミ箔積層フィルム(=裏面シート)の順にセッティングし、耐熱ゴム袋中で130℃で20分間真空加熱・加圧加工して、太陽電池モジュールを想定した評価用サンプルとし、以下の各種耐久性試験・評価を行った。
■サンシャインウェザーメーターによる2000時間静置処理■85℃85%RH雰囲気中における2000時間静置処理(JIS C8917に準ずる)
■23℃の水酸化ナトリウム10%水溶液中で200時間静置処理(JIS K7114に準ずる)
この■〜■による各処理後、目視で(i)充填材層の黄変・亀裂・発泡の有無、(ii) ガラス・裏面シートからの剥離の有無、(iii)アルミニウム板の腐食の有無の3種各6項目計18項目を処理前と比較して以下の3段階評価を行った。
◎:18項目の比較において僅かな変化が生じたものが10項目以内であり、大きな変化は無い。
○:18項目の比較において僅かな変化が生じたものが11項目以上であり、大きな変化は無い。
×:18項目の比較において大きな変化が1項目以上あった。
この結果、接着性シート1を充填材用として使用した場合の評価は、◎であることがわかった。
【0044】(実施例2)
(1) 融点104℃、無水マレイン酸0.5質量%をグラフトした低密度ポリエチレン100質量部に対しビスフェノールAジグリシジルエーテルを2.0質量部付加させた変性重合体を180℃で押出し法により厚さ300μmのシートに成形した。このシートの80℃における剪断弾性率は、3.2×106Paであった。本シートに実施例1と同様にしてγ−アミノプロピルトリエトキシシランのエタノール溶液をコーティングして乾燥しγ−アミノプロピルトリエトキシシランが0.01μmの厚さにコーティングされた接着性シート2を得た。この接着性シート2を、評価用の変性エチレン系樹脂からなる充填材用とて評価した。
【0045】(2) このシート2について、実施例1と同様に太陽電池モジュール相当の評価用サンプルを作成し、同様にして耐久性試験を行い評価した。この結果、接着性シート2を充填材として使用した場合の評価は、◎であることがわかった。
【0046】(実施例3)
(1) 実施例1で使用した融点103℃、グリシジルメタクリレート12質量%共重合されたエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体を両表層側、融点112℃、80℃における剪断弾性率1. 3×107Paの低密度ポリエチレンを芯側とし、180℃で共押出し法により2種3層の積層系のシート3を成形した。接着性シート3は、実施例1と同様にして0.01μmのγ−アミノプロピルトリエトキシシランをコーティングを行ない製造した。この接着性シート3の表面側の厚みは、各25μm、芯側の厚みは300μm、総厚み350μmであった。
【0047】(2) 接着性シート3について、実施例1と同様に太陽電池モジュール相当の評価用サンプルを作成し、同様にして耐久性試験を行い評価した。
【0048】この結果、接着性シート3を充填材用として使用した場合の評価は、◎であることがわかった。
【0049】(比較例1)市販の熱架橋性EVA系シート(厚み:400μm)を用いて耐熱ゴム袋中での真空加熱・加圧加工を130℃で20分間行った後、オーブン中150℃で20分間加熱し当該EVAの架橋を行う他は、実施例1と同様に太陽電池モジュール相当の評価用サンプルを作成し、同様にして耐久性試験を行い評価した。
【0050】この結果、熱架橋性EVA系シートを充填材として使用した場合の評価は、×であることがわかった。
【0051】(比較例2)
(1) 融点103℃、グリシジルメタクリレート12質量%が共重合されたエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体100質量部に対しヒンダードアミン系光安定剤0. 5質量部、フェノール系酸化防止剤0. 1質量部を加えて180℃で押出し法により厚さ300μmのシートに成形した。このシートの80℃における剪断弾性率は3×106Paであった。また、このシートについては、アルコキシシランによるコーティングは、行わなかった。
【0052】(2) このシートについて、実施例1と同様に太陽電池モジュール相当の評価用装置を作成し、同様にして耐久性試験を行い評価した。
【0053】この結果、シート4を充填材として使用した場合の評価は、×であることがわかった。
【0054】(比較例3)
(1) 融点122℃、無水マレイン酸含有量0. 5質量%が共重合されたエポキシ化合物変性エチレン−αオレフィン共重合体100質量部に対しビスフェノールAジグリシジルエーテルを2.0質量部付加させた重合体を180℃で押出し法により厚さ300μmのシートに成形した。このシートの80℃における剪断弾性率は4. 1×107 Paであった。なお、シートは、実施例1と同様にしてγ−アミノプロピルトリエトキシシランの0.01μmコーティングを行った。
【0055】(2) このシートについて、実施例1と同様に太陽電池モジュール相当の評価用サンプルを作成し、同様にして耐久性試験を行い評価した。
【0056】この結果、シート5を充填材として使用した場合の評価は、×であることがわかった。
【0057】(比較例4)
(1) 融点75℃、アクリル酸含有量25質量%のエチレン−アクリル酸共重合体100質量部に対しヒンダードアミン系光安定剤0. 5質量部、フェノール系酸化防止剤0. 1質量部を加えて120℃で押出し法により厚さ300μmのシートに成形した。このシートの80℃における剪断弾性率は、1. 7×105であった。本シートに実施例1と同様にしてγ−アミノプロピルトリエトキシシランのエタノール溶液をコーティングして乾燥しγ−アミノプロピルトリエトキシシランが0.01μmの厚さにコーティングされたシート6を得た。
【0058】(2) このシート6について、実施例1と同様に太陽電池モジュール相当の評価用装置を作成し、同様にして耐久性試験を行い評価した。
【0059】この結果、シート6を充填材として使用した場合の評価は、×であることがわかった。
【0060】
【発明の効果】本発明の太陽電池用充填材においては、モジュール化工程において、低温・短時間化が可能であるため、製造効率が上げられ、また、穏やかなラミネート条件となるため、残留応力などのストレスが低く抑えられる結果、耐久性においても有利となる。このように、本発明のエポキシ化合物が共重合されたエチレン系樹脂を主体としてなる充填材は、従来のEVA系樹脂の充填材に比較して各種環境下での弊害が低く抑えられる結果、太陽電池モジュールの信頼性が大きく向上するという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000006172
【氏名又は名称】三菱樹脂株式会社
【出願日】 平成13年2月9日(2001.2.9)
【代理人】 【識別番号】100088328
【弁理士】
【氏名又は名称】金田 暢之 (外2名)
【公開番号】 特開2002−235049(P2002−235049A)
【公開日】 平成14年8月23日(2002.8.23)
【出願番号】 特願2001−33517(P2001−33517)