| 【発明の名称】 |
エネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート、及びこれを用いた切断片の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】木内 一之
【氏名】大島 俊幸
【氏名】村田 秋桐
【氏名】有満 幸生
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| 【要約】 |
【課題】被着体の輸送等の搬送工程に耐え得る粘着性を有すると共に、切断工程時には粘着剤の巻き上げやチッピングが起こらず、切断後の切断片の剥離回収を容易に行うことができ、しかも剥離後の被着体に対して低汚染性を発現するエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートを得る。
【解決手段】エネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートは、基材の少なくとも片側に、熱膨張性微小球を含有するエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層と粘着層とがこの順に積層されている。前記粘着層の厚さは0.1〜10μm程度である。粘着層は感圧接着剤で構成できる。エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層は粘着物質で構成できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材の少なくとも片側に、熱膨張性微小球を含有するエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層と粘着層とがこの順に積層されているエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。 【請求項2】 粘着層の厚さが0.1〜10μmである請求項1記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。 【請求項3】 粘着層が感圧接着剤で構成されている請求項1又は2記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。 【請求項4】 粘着層がエネルギー線硬化性粘着剤で構成されている請求項1又は2記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。 【請求項5】 エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層が粘着物質で構成されている請求項1〜4の何れかの項に記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。 【請求項6】 エネルギー線を照射した後のエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層の熱膨張性微小球の膨張開始温度におけるせん断貯蔵弾性率が1×105〜5×107Paとなる請求項1〜5の何れかの項に記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。 【請求項7】 請求項1〜6の何れかの項に記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートの粘着層表面に被切断体を載置し、エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層をエネルギー線照射により硬化させた後、前記被切断体を切断して切断片とし、次いで該エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層を加熱により発泡させて、前記切断片を剥離回収する切断片の製造方法。 【請求項8】 請求項1〜6の何れかの項に記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートにエネルギー線を照射してエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層を硬化させた後、粘着層表面に被切断体を載置し、前記被切断体を切断して切断片とし、次いで該エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層を加熱により発泡させて、前記切断片を剥離回収する切断片の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エネルギー線照射と加熱処理とにより被着体の切断片を容易に剥離回収できるエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートと、これを利用した切断片の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、半導体ウエハや積層コンデンサシートなどの被切断体を所定寸法の切断片に切断する際、該被切断体(被着体)に貼り合わせて、切断されたチップ等の切断片を容易に剥離回収するための粘着シートとして、プラスチックなどの高弾性フィルム又はシート基材上に発泡剤を含む感圧粘着剤層を設けた熱剥離型粘着シートが知られている(特公昭50−13878号公報、特公昭51−24534号公報、特開昭56−61468号公報、特開昭56−61469号公報、特開昭60−252681号公報など)。この熱剥離型粘着シートは、被着体の切断加工に耐える粘着保持力と、形成された切断片の容易な剥離回収との両立を図ったものである。すなわち、この粘着シートは、被着体との貼り合わせ時には高い粘着性を有する一方、切断片の回収時には、加熱により熱膨張性微小球を含有する発泡性感圧接着剤層が発泡又は膨張して感圧接着剤層の表面が凹凸状に変化し、被着体との粘着面積の減少により粘着力が低下又は喪失するため、前記切断片を容易に剥離することができるという特徴を有する。 【0003】しかし、上記の熱剥離型粘着シートでは、被着体を切断加工する際、粘着剤層が柔らかく、また熱膨張性微小球を含むことから粘着剤層が厚いため、切断刃によって粘着剤が巻き上げられたり、粘着剤層のぶれに伴ってチッピングが起こる問題がある。これらの問題を解決するには、粘着剤層を薄くすることが有効であるが、上記熱剥離型粘着シートにおける粘着剤層の厚みを熱膨張性微小球以下に薄層化すると、熱膨張性微小球が粘着剤層の表面から突出して、粘着剤層表面の平滑性が損なわれ、被着体を保持しておくのに十分な粘着力が発現できなくなる。従って、粘着剤層を薄層化するには限界があり、上記問題を解決できない場合がある。 【0004】また、従来の熱剥離型粘着シートでは、粘着層界面で熱膨張性微小球の変形に伴う微小な凝集破壊が起こり、被着体への粘着剤の転写汚染が生じる場合があり、特に半導体用途のように低汚染性が要求される用途での使用が不向きな場合がある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、被着体貼り合わせ後或いは被着体の切断などの加工工程後の輸送等の搬送工程に耐え得る粘着性を有すると共に、切断工程時において粘着剤の巻き上げやチッピングを起こすことがなく、且つ切断後の切断片の剥離回収を容易に行うことができ、さらに剥離後の被着体に対して低汚染性を発現するエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート、及び該粘着シートを利用した切断片の製造方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、基材の少なくとも片面に熱膨張性微小球を含有するエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層と粘着層とをこの順に積層すると、(i)エネルギー照射により該エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層を硬化させた後も粘着性を有するため、良好な被着体保持性を有すること、(ii)粘着層は薄層化が可能であり、しかもエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層を硬化させるので、被着体を切断する際に切断刃による粘着剤の巻き上げやチッピング等の工程上の不具合を伴わないこと、(iii)熱剥離性を有するため、切断片を損傷させることなく容易に剥離回収できること、及び(iv)熱膨張性微小球の発泡又は膨張に伴う界面への応力集中を表面の粘着層が適度に緩和し、該応力集中に伴う粘着剤の微細な凝集破壊を防止でき、被着体への汚染を低減できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。 【0007】すなわち、本発明は、基材の少なくとも片側に、熱膨張性微小球を含有するエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層と粘着層とがこの順に積層されているエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートを提供する。 【0008】本発明は、また、上記のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートの粘着層表面に被切断体を載置し、エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層をエネルギー線照射により硬化させた後、前記被切断体を切断して切断片とし、次いで該エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層を加熱により発泡させて、前記切断片を剥離回収する切断片の製造方法を提供する。 【0009】本発明は、さらに、上記のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートにエネルギー線を照射してエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層を硬化させた後、粘着層表面に被切断体を載置し、前記被切断体を切断して切断片とし、次いで該エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層を加熱により発泡させて、前記切断片を剥離回収する切断片の製造方法を提供する。 【0010】 【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を、必要に応じて図面を参照しつつ、詳細に説明する。図1は本発明のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートの一例を示す概略断面図である。この例では、基材1の一方の面に、エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2が設けられ、その上に粘着層3、さらにその上にセパレータ4が積層されている。本発明に係わる粘着シートの形状はシート状、テープ状等、慣用乃至公知の適宜の形態を採りうる。 【0011】基材1は熱膨張性粘弾性層2等の支持母体となるもので、熱膨張性粘弾性層2の加熱処理により機械的物性を損なわない程度の耐熱性を有するものが使用される。このような基材1として、例えば、ポリエステル、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルムやシートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。基材1は被着体の切断の際に用いるカッターなどの切断手段に対して切断性を有しているのが好ましい。また、基材1として軟質ポリオレフィンフィルム若しくはシート等の耐熱性と伸縮性とを具備する基材を使用すると、被切断体の切断工程の際、基材途中まで切断刃が入れば、後に基材を伸張することができるので、切断片間に隙間を生じさせることが必要な切断片回収方式に好適となる。なお、熱膨張性粘弾性層2を硬化させる際にエネルギー線を用いるため、基材1(または粘着層3等)は所定量以上のエネルギー線を透過しうる材料で構成される必要がある。基材1は単層であってもよく多層体であってもよい。 【0012】基材1の厚さは、被着体の貼り合わせ、被着体の切断、切断片の剥離、回収などの各工程における操作性や作業性を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常500μm以下、好ましくは3〜300μm程度、さらに好ましくは5〜250μm程度である。基材1の表面は、隣接する層との密着性、保持性などを高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗り剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理等が施されていてもよい。 【0013】エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2は、熱膨張性を付与するための熱膨張性微小球と、エネルギー線硬化性を付与するためのエネルギー線硬化性化合物(又はエネルギー線硬化性樹脂)とを含有するとともに、貼付性や貼付作業性を高めるため粘弾性を有している。前記粘弾性はエネルギー線硬化後の加熱処理による熱膨張性微小球の発泡若しくは膨張を阻害しない程度であるのが好ましい。このような観点から、エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2は、熱膨張性微小球とエネルギー線硬化性化合物(又はエネルギー線硬化性樹脂)とを粘弾性を有する母剤中に配合した組成物により構成するのが好ましい。 【0014】前記母剤としては、例えば、天然ゴムや合成ゴムあるいはそれらを用いたゴム系粘着剤、シリコーンゴムあるいはその粘着剤、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、ヘキシルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、イソデシルエステル、ドデシルエステルなどのC1-20アルキルエステルなど]の単独又は共重合体や該(メタ)アクリル酸アルキルエステルと他のモノマー[例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基若しくは酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチルなどのアルコキシ基含有モノマー;N−シクロヘキシルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;N−ビニルピロリドンなどのビニル基含有複素環化合物;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;アクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー等]との共重合体からなるアクリル系樹脂あるいはその粘着剤、ポリウレタン系樹脂やその粘着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体など、適宜な粘弾性を有するものを用いうる。なお、該母剤として、後述の粘着層3を構成する粘着剤と同一又は同種の成分を用いることにより、エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2と粘着層3とを密着性よく積層できる。好ましい母剤にはアクリル系粘着剤などの粘着物質が含まれる。母剤は1種の成分で構成してもよく、2種以上の成分で構成してもよい。 【0015】エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2をエネルギー線硬化させるためのエネルギー線硬化性化合物としては、可視光線、紫外線、電子線などのエネルギー線により硬化可能なものであれば特に限定されないが、エネルギー線照射後のエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2の3次元網状化が効率よくなされるものが好ましい。エネルギー線硬化性化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。 【0016】エネルギー線硬化性化合物の具体的な例として、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。 【0017】エネルギー線硬化性化合物としてエネルギー線硬化性樹脂を用いてもよい。エネルギー線硬化性樹脂として、例えば、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、アクリル樹脂(メタ)アクリレート、分子末端にアリル基を有するチオール−エン付加型樹脂や光カチオン重合型樹脂、ポリビニルシンナマート等のシンナモイル基含有ポリマー、ジアゾ化したアミノノボラック樹脂やアクリルアミド型ポリマーなど、感光性反応基含有ポリマーあるいはオリゴマーなどが挙げられる。さらに高エネルギー線で反応するポリマーとしては、エポキシ化ポリブタジエン、不飽和ポリエステル、ポリグリシジルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルシロキサンなどが挙げられる。なお、エネルギー線硬化性樹脂を使用する場合には、前記母剤は必ずしも必要でない。 【0018】エネルギー線硬化性化合物の配合量は、エネルギー線を照射して熱膨張性粘弾性層2を硬化した後の熱膨張性微小球の膨張若しくは発泡を阻害しない範囲で決定される。その配合量はエネルギー線硬化性化合物の種類、熱膨張性微小球の膨張圧力、切断作業性等により適宜に決定されるが、一般的な配合量は、熱膨張性粘弾性層2中の母剤100重量部に対して、1〜100重量部程度、特に5〜60重量部程度の範囲である。また、熱膨張性粘弾性層2のエネルギー線照射後における動的弾性率が、熱膨張性微小球の膨張開始温度において、せん断貯蔵弾性率(周波数:1Hz、サンプル:厚さ1.5mmフィルム状)1×105〜5×107Paであると、優れた切断作業性と加熱剥離性との両立が可能となる。この貯蔵弾性率は、エネルギー線硬化性化合物の種類や配合量、エネルギー線照射条件などを適宜選択することにより調整できる。 【0019】熱膨張性粘弾性層2には、上記成分のほか、エネルギー線硬化性化合物を硬化させるためのエネルギー線重合開始剤、及びエネルギー線硬化前後に適切な粘弾性を得るために、架橋剤、粘着付与剤、加硫剤等の適宜な添加剤が必要に応じて配合される。 【0020】エネルギー線重合開始剤としては、用いるエネルギー線の種類に応じて公知乃至慣用の重合開始剤を適宜選択できる。エネルギー線重合開始剤は単独であるいは2種以上を混合して使用できる。エネルギー線重合開始剤の配合量としては、通常、上記母剤100重量部に対して0.1〜10重量部程度、好ましくは1〜5重量部程度である。なお、必要に応じて前記エネルギー線重合開始剤とともにエネルギー線重合促進剤を併用してもよい。 【0021】熱膨張性微小球としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタンなどの加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させた微小球であればよい。前記殻は、通常、熱可塑性物質、熱溶融性物質、熱膨張により破裂する物質などで形成される。前記殻を形成する物質として、例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどが挙げられる。熱膨張性微小球は慣用の方法、例えば、コアセルベーション法、界面重合法などにより製造できる。熱膨張性微小球として、例えば、マツモトマイクロスフェア[商品名、松本油脂製薬(株)製]などの市販品を利用することもできる。 【0022】熱膨張性微小球の平均粒径は、分散性や薄層形成性などの点から、一般に1〜80μm程度、好ましくは1〜50μm程度である。また、熱膨張性微小球としては、加熱処理により表面の粘着層3を凹凸状に変形させるため、体積膨張率が5倍以上、特に10倍以上となるまで破裂しない適度な強度を有するものが好ましい。なお、低い膨張率で破裂する熱膨張性微小球を用いた場合や、マイクロカプセル化されていない熱膨張剤を用いた場合には、粘着層3と被着体との粘着面積が十分には低減されず、良好な剥離性が得られにくい。 【0023】熱膨張性微小球の使用量は、その種類によっても異なるが、エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2を形成する母剤100重量部に対して、一般に5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、さらに好ましくは15〜100重量部程度である。5重量部未満であると、加熱処理後の効果的な粘着力低下が不十分になりやすく、また、200重量部を超えると、エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2の凝集破壊や、基材1あるいは粘着層3との界面破壊が生じやすい。 【0024】エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2は、例えば、エネルギー線硬化性樹脂、あるいは母剤、エネルギー線重合性化合物、及びエネルギー線重合開始剤に、熱膨張性微小球を配合し、さらに必要に応じて添加剤、溶媒等を含むコーティング液を基材1上に塗布する方式、適当なセパレータ(剥離紙など)上に前記コーティング液を塗布してエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2を形成し、これを基材1上に転写(移着)する方法など、慣用の方法により形成できる。 【0025】エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2の厚さは、該熱膨張性粘弾性層2に含まれる熱膨張性微小球の粒子径の緩和による表面平滑性の発現、被着体を切断する際の回転刃による振動防止等の観点から、5〜300μm程度、好ましくは10〜150μm程度、さらに好ましくは15〜100μm程度である。 【0026】粘着層3は、熱膨張性微小球の発泡もしくは膨張に伴う被着体界面への応力集中を緩和する機能を有しており、被着体を保持するため、粘着性を付与するための粘着物質を含んでいる。前記粘着性物質としては従来公知の感圧接着剤等を使用することができる。感圧接着剤として、例えば、天然ゴムや各種の合成ゴム等のゴム系感圧接着剤;シリコーン系感圧接着剤;(メタ)アクリル酸アルキルエステルとこのエステルに対して共重合可能な他の不飽和単量体との共重合体等のアクリル系感圧接着剤等が例示される。 【0027】また、粘着層3を構成する粘着剤としてエネルギー線硬化性粘着剤を使用することもできる。エネルギー線硬化性粘着剤としては、前記エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層において、粘着性を有する母剤中にエネルギー線硬化性化合物(又はエネルギー線硬化性樹脂)を配合したものを用いることができる。あるいは、粘着性ポリマーに炭素−炭素二重結合などエネルギー線反応性官能基を有する化合物を付加反応させたエネルギー線反応性粘着ポリマーを用いることも可能である。 【0028】粘着層3には、粘着剤の他に、架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、界面活性剤などの適宜な添加剤を配合してもよい。 【0029】粘着層3の形成には、例えば液状の粘着剤をエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2の上に塗布する方法や、セパレータ4上に形成した粘着層3を熱膨張性粘弾性層2の上に移着する方法などの適宜な方式にて行うことができる。 【0030】粘着層3の厚さは、粘着シートの使用目的や加熱による粘着力の低減性などに応じて適宜に決定しうる。一般には、粘着層3の厚さが薄すぎると粘着力不足や加熱による熱膨張性粘弾性層2の凹凸変形時に凝集破壊が生じやすくなり、厚すぎると加熱による熱膨張性粘弾性層2の凹凸変形に追従し難くなるため、その加熱変形時の凝集破壊の防止性、被着体切断時の粘着剤の巻き上げやブレ防止、ひいては被着体に対する粘着力の低減ないし喪失性などの点より、10μm以下(例えば0.1〜10μm程度)、就中0.1〜8μm、特に1〜5μmの粘着層厚とされる。 【0031】セパレータ4としては、例えば、シリコーン系樹脂、長鎖アルキルアクリレート系樹脂、フッ素系樹脂などで代表される剥離剤により表面コートしたプラスチックフィルムや紙等からなる基材、あるいはポリエチレンやポリプロピレンなどの無極性ポリマーからなる粘着性の小さい基材などを使用できる。 【0032】セパレータ4は、上記のように、エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2上に粘着層3を転写(移着)する際の仮支持体として、また、実用に供するまで粘着層3を保護する保護材として用いられる。 【0033】なお、エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2およびその上に設けられる粘着層3は基材1の片面のみならず、両面に形成することもできる。また、基材1の一方の面にエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2および粘着層3を順次設け、他方の面に通常の粘着層を設けることもできる。 【0034】図2は本発明のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートの他の例を示す概略断面図である。この例では、基材1の一方の面に、エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2、粘着層3及びセパレータ4がこの順に積層されているとともに、基材1の他方の面に粘着層5及びセパレータ6が積層されている。この粘着シートは、基材1のエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2およびその上に粘着層3が形成されている面とは反対側の面に、粘着層5とセパレータ6が設けられている点でのみ、図1の粘着シートと相違する。 【0035】粘着層5は粘着性物質を含んでいる。この粘着性物質としては、前記粘着層3における粘着性物質(粘着剤)と同様のものを使用でき、必要に応じて、架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、界面活性剤などの適宜な添加剤を配合してもよい。ただし、エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2を硬化させるエネルギー線の透過を著しく阻害する物質を使用もしくは添加することは好ましくない。 【0036】粘着層5の厚さは、粘着層3の被着体への圧着、被着体の切断及び切断片の剥離、回収などにおける操作性等を損なわない範囲で適宜設定できるが、一般に1〜50μm、好ましくは3〜30μm程度である。 【0037】粘着層5の形成は、粘着層3に準じた方法により行うことができる。セパレータ6としては、前記粘着層3上のセパレータ4と同様のものを使用できる。このような粘着シートは粘着層5を利用することにより、台座面に固定して使用することができる。 【0038】図3は本発明の切断片の製造方法の一例を示す概略工程図である。より詳細には、図3は、図1のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート(セパレータ4を剥がした状態のもの)の粘着層3の表面に被切断体(被着体)7を圧着して貼り合わせ、エネルギー線8の照射によりエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2を硬化させた後、切断線9に沿って所定寸法に切断して切断片とし、次いで加熱処理により熱膨張性粘弾性層2中の熱膨張性微小球を膨張および発泡させて、前記切断片7aを剥離回収する一連の工程を断面図で示した工程図である。なお、エネルギー線8の照射によりエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2を硬化させた後に、粘着層3表面に被切断体(被着体)7を圧着して貼り合わせ、切断線9に沿って切断してもよい。 【0039】図3において、1は基材、2aはエネルギー線照射後の硬化したエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層、2bはエネルギー線照射後さらに加熱により熱膨張性微小球を膨張させた後の熱膨張性粘弾性層を示す。 【0040】エネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートの粘着層3と被着体7との圧着は、例えば、ゴムローラ、ラミネートロール、プレス装置などの適宜な押圧手段で圧着処理する方式などにより行うことができる。なお、圧着処理の際、必要ならば、粘着性物質のタイプに応じて、熱膨張性微小球が膨張しない温度範囲で加熱したり、水や有機溶剤を塗布して粘着性物質を賦括させたりすることもできる。 【0041】エネルギー線8としては可視光線や紫外線、電子線などを使用できる。エネルギー線8の照射は適宜な方法で行うことができる。ただし、エネルギー線8の照射熱により熱膨張性微小球が膨張を開始することがあるため、できるだけ短時間の照射にとどめるか、あるいは放射線硬化型熱剥離性粘着シートを風冷するなどして熱膨張性微小球が膨張を開始しない温度に保つことが望ましい。 【0042】被着体7の切断はダイシング等の慣用の切断手段により行うことができる。加熱条件は、被着体7(又は切断片7a)の表面状態や耐熱性、熱膨張性微小球の種類、粘着シートの耐熱性、被着体(被切断体)の熱容量などにより適宜設定できるが、一般的な条件は、温度350℃以下、処理時間30分以下であり、特に温度80〜200℃、処理時間1秒〜15分程度が好ましい。また、加熱方式としては、熱風加熱方式、熱板接触方式、赤外線加熱方式などが挙げられるが、特に限定されない。 【0043】また、粘着シートの基材1に伸縮性を有するものを使用した場合、伸張処理は例えば、シート類を二次元的に伸張させる際に用いる慣用の伸張手段を使用することにより行うことができる。 【0044】本発明のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートは、粘着性物質(粘着剤)を含む粘着層3を有するので、被着体7を強固に粘着保持でき、例えば搬送時の振動等により被着体7が剥がれない。また、粘着層3は薄く形成可能であり、且つ切断工程の前にエネルギー線を照射することによりエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2を硬化させるため、切断工程時において切断刃による粘着層の巻き上げや粘着層等のぶれに伴うチッピング等を従来の熱膨張性粘着シートに比べて大幅に低減しつつ所定の寸法に切断できる。さらに、エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2は熱膨張性微小球を含み、熱膨張性を有するので、切断工程後の加熱処理により、熱膨張性微小球が速やかに発泡又は膨張し、前記熱膨張性粘弾性層2が体積変化して凹凸状の三次元構造が形成される。そして、それに伴って粘着層3の表面も凹凸状に変形し、切断された切断片7aとの接着面積ひいては接着強度が大幅に低下若しくは喪失する。かくして、上記粘着層3の形成、エネルギー線照射によるエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層2の硬化、および加熱処理による接着強度の著しい低下若しくは喪失により、被着体7の切断工程、切断片7aの剥離、回収工程における操作性及び作業性が大幅に改善され、生産効率も大きく向上できる。また、熱膨張性微小球を含む熱膨張性粘弾性層2の外側に粘着層3が設けられているため、被着体との接着界面において熱膨張性微小球の変形に伴う微細な凝集破壊が起こらず、被着体の転写汚染を防止できる。 【0045】本発明の放射線硬化型熱剥離性粘着シートは、被着体を永久的に接着させる用途にも使用できるが、被着体を所定期間接着すると共に、接着目的を達成した後には、その接着状態を解除することが要求若しくは望まれる用途に適している。このような用途の具体例として、半導体ウエハやセラミック積層シートの固定材のほか、各種の電気装置、電子装置、ディスプレイ装置等の組立工程における部品搬送用、仮止め用等のキャリアテープ、仮止め材又は固定材、金属板、プラスチック板、ガラス板等の汚染損傷防止を目的とした表面保護材又はマスキング材などが挙げられる。特に、電子部品の製造工程において、小さな若しくは薄層の半導体チップや積層コンデンサチップなどの製造工程等に好適に使用できる。 【0046】 【発明の効果】本発明によれば、被着体の輸送などの搬送工程に耐え得る粘着性を有すると共に、切断工程時における粘着剤の巻き上げやチッピングを抑制でき、且つ切断後には、高度な精度で切断加工された切断片を容易に剥離回収することができる。そのため、切断片の剥離、回収工程における操作性及び作業性を著しく高めることができ、ひいては、小型の或いは薄層の半導体チップや積層コンデンサチップなどの切断片の生産性を大きく向上できる。また、被着体との接着界面での粘着剤の微細な凝集破壊に起因する被着体の汚染を防止できる。 【0047】 【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。 実施例1エチルアクリレート80重量部、2−エチルヘキシルアクリレート20重量部、アクリル酸3重量部からなるアクリル系共重合体(重量平均分子量70万)100重量部に対し、エポキシ系架橋剤0.5重量部、6官能紫外線重合性化合物40重量部、熱膨張性微小球(商品名「マツモトマイクロスフェア F−50D」、マツモト油脂製薬(株)製)35重量部、及び紫外線重合開始剤2.5重量部を配合した混合液1を調製した。この混合液を、厚さ50μmのポリエステルフィルム(基材)のコロナ処理面に塗布し乾燥させ、厚さ45μmのアクリル系紫外線硬化型熱膨張性粘弾性層を形成した。一方、上記アクリル系共重合体(粘着剤)100重量部に対し、エポキシ系架橋剤1重量部からなる混合液2をシリコーン離型剤処理したポリエステルフィルム(セパレータ)の処理面に塗布し乾燥させ、厚さ5μmの粘着層を形成した。前記アクリル系紫外線硬化型熱膨張性粘弾性層上に上記の粘着層をラミネーターにより圧着し、紫外線硬化型熱剥離性粘着シートを得た。 【0048】比較例1紫外線硬化型熱剥離性粘弾性層の厚さを50μmとし、粘着層を設けなかった点以外は実施例1と同様の操作により紫外線硬化型熱剥離性粘着シートを得た。 【0049】比較例2紫外線重合性化合物および紫外線重合開始剤を用いなかった点以外は実施例1と同様の操作により熱剥離型粘着シートを得た。 【0050】比較例3熱膨張性微小球を用いなかった点以外は実施例1と同様の操作により紫外線硬化型粘着シートを得た。 【0051】実施例2エチルアクリレート70重量部、ブチルアクリレート30重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部からなるアクリル系共重合体にメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを2−ヒドロキシエチル基の0.6当量(モル比)付加させたエネルギー線反応性ポリマー(重量平均分子量60万)100重量部に対し、エネルギー線重合開始剤3重量部、熱膨張性微小球(商品名「マツモトマイクロスフェア F−50D」、マツモト油脂製薬(株)製)30重量部を配合した混合液3を調製した。この混合液を用いた以外、実施例1と同様の操作によりエネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層を形成した。一方、上記エネルギー線反応性ポリマー100重量部に対してエネルギー線重合開始剤3重量部を配合した混合液4を用いた以外、実施例1と同様の操作により、厚さ3μmのエネルギー線硬化性粘着層を形成した。前記エネルギー線硬化型熱膨張性粘弾性層上に上記のエネルギー線硬化性粘着層をラミネーターにより圧着し、エネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートを得た。 【0052】評価実験実施例及び比較例で得た各粘着シート(幅20mm)の粘着層面に厚さ25μmのポリエステルフィルム(商品名「ルミラー S10」、東レ(株)製)を圧着し、処理前、紫外線照射後、及び紫外線照射後にさらに加熱処理を施した後の180度ピール粘着力(N/20mm、剥離速度300mm/min、23℃)を測定した。なお、紫外線照射は、空冷式高圧水銀灯(46mJ/min)により粘着シート側から紫外線を10秒間照射することにより行い、加熱処理は130℃の熱風乾燥機中で5分間行った。また、実施例及び比較例で得た各粘着シートに厚さ50μmの半導体ウエハを貼り合わせ、紫外線照射後、ダイサー(DFD651、DISCO社製)でダイシングを行い、粘着剤巻き上げの有無を目視により確認した。そして、さらに加熱処理を施した後、チップを任意に20個ピックアップし、このときのチップのクラックの有無を観察するとともに、切断後のチップ側面のチッピングの有無を光学顕微鏡により確認した。なお、紫外線照射及び加熱処理の条件は前記と同様である。また、実施例および比較例で得られた各粘着シートを鏡面処理した4インチシリコンウエハに圧着して1時間放置後、前記紫外線照射および加熱処理により剥離した場合におけるウエハ上のパーティクル数をレーザー表面検査装置により測定し、0.3μm以上のパーティクル数をカウントした。 【0053】評価結果を表1に示した。なお、実施例及び比較例の何れの場合も、加熱剥離の際、目視において剥離したポリエステルフィルム及びチップに糊残りは認められなかった。 【表1】
【0054】表1より明らかなように、実施例の粘着シートでは、エネルギー線照射による硬化に伴い、粘着層の粘着力が適度に低下し、切断時の粘着剤の巻き上げを防止できる。また、さらに加熱処理を施すことにより粘着力が消失し、ピックアップ時におけるチップのクラックを防止でき、被着体への汚染も低減できる。これに対して、比較例1の粘着シートはパーティクル汚染性が、比較例2の粘着シートはパーティクル汚染性及び耐チッピング性が、比較例3の粘着シートは耐クラック性が、それぞれ実施例1と比べて著しく劣る。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003964 【氏名又は名称】日東電工株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年10月18日(2000.10.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100101362 【弁理士】 【氏名又は名称】後藤 幸久
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| 【公開番号】 |
特開2002−121510(P2002−121510A) |
| 【公開日】 |
平成14年4月26日(2002.4.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−318645(P2000−318645) |
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