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【発明の名称】 インクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法
【発明者】 【氏名】小笠原 幹史

【氏名】▲高▼橋 勝彦

【氏名】江口 岳夫

【氏名】朝木 則泰

【氏名】倉林 豊

【要約】 【課題】耐光性、保存安定性に優れ、耐固着性、吐出安定性が良好で、且つ高い画像濃度を得ることができる水不溶性染料を含むカチオン性のインクを提供すること。

【解決手段】(a)顔料若しくは水不溶性染料から選ばれる色材と、(b)前記色材を安定に分散させることができる、カチオン性の官能基を分子内に持つ分散剤と、(c)分子内に少なくとも1個の水酸基を持つオキシ酸と、(d)全分子量に対して50重量%〜100重量%のアルキレンオキシドユニットを持つ重量平均分子量が500〜5000のポリアルキレンオキシド化合物とを、含有し、前記オキシ酸をインク中に0.1〜5.0重量%含有することを特徴とする水系インクジェット記録用インク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)顔料若しくは水不溶性染料から選ばれる色材と、(b)前記色材を安定に分散させることができる、カチオン性の官能基を分子内に持つ分散剤と、(c)分子内に少なくとも1個の水酸基を持つオキシ酸と、(d)全分子量に対して50重量%〜100重量%のアルキレンオキシドユニットを持つ重量平均分子量が500〜5000のポリアルキレンオキシド化合物とを、含有し、前記オキシ酸をインク中に0.1〜5.0重量%含有することを特徴とする水系インクジェット記録用インク。
【請求項2】 オキシ酸が、モノカルボン酸である請求項1に記載のインク。
【請求項3】 オキシ酸が、分子内に複数個の水酸基を持つ化合物である請求項2に記載のインク。
【請求項4】 ポリアルキレンオキシド化合物が、全分子量に対して80重量%〜100重量%のアルキレンオキシドユニットを持つ化合物である請求項1〜3の何れか1項に記載のインク。
【請求項5】 ポリアルキレンオキシド化合物が、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、若しくはそれらのブロック/ランダム共重合体である請求項4に記載のインク。
【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項に記載のインクが黒インクであり、該黒インクとアニオン性の色材を用いたカラーインクとを用いて、フルカラー記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録方式において、より高い画像濃度を有し、良好な保存安定性、耐固着性、吐出安定性、耐候性を有する画像の得られるインク、及びフルカラー記録を行うインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、高電圧印加による静電吸引方式、圧電素子を用いてインクに機械的振動または変位を与える方式、インクを加熱した際にインクが発泡する圧力を利用する方式など、種々のインク吐出方式によりインクの小液滴を発生させ、これを飛翔させて紙などの記録媒体に付着させて記録を行うものであり、騷音の発生が少なく、高速印字、多色印字の行える記録方法である。
【0003】このような記録方法において、フルカラー記録を行う場合、各色間の色滲みが問題になる。これを解決する手段としてインクの浸透性を高め、滲みを防止する方法が知られているが、そのような場合、文字品位や画像濃度が悪化するという問題が生じている。特に黒インクは、文字にした時の色濃度を他色より高くて、しかも不自然な線太りのないシャープなエッジを形成させた方が、見た目の印象がより好ましい画像となるが、このようなインクでフルカラー記録を行った場合には、先に述べた色間滲みが問題になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような問題の解決方法として、黒インクとカラーインクのイオン性が異なるインクセットを用いて色間滲みを防止する方法が知られている。この場合において、例えば、黒インクのイオン性をカチオン性とし、カラーインクのイオン性をアニオン性としたとすると、黒インクにはより高い画像濃度、耐水性及び耐光性が求められるため、色材に顔料若しくは水不溶性染料をカチオン性分散剤によって水系に分散させたインクである必要性がある。しかしながら、顔料若しくは水不溶性染料を分散させたインクは、保存安定性や、吐出安定性、耐固着性が悪いという問題点を抱えている。
【0005】インクジェット記録方法において、インクジェット記録用インクは、長期間の保存あるいは記録の休止中に液媒体の蒸発などにより目詰まりなどを生じてはならない。目詰まりの発生は画像品質を低下させることになる。特開平4−18465号公報によれば、グリセリンなどの多価アルコールにエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを付加してなる化合物を含有するインクが開示されている。しかしながら、該インクは、吐出口の目詰まり防止においては十分な効果が得られてない。
【0006】従って、本発明の第一の目的は、耐光性、保存安定性に優れ、耐固着性、吐出安定性が良好で、かつ高い画像濃度を得ることができる顔料若しくは水不溶性染料を含むカチオン性のインクを提供することである。第二の目的は、顔料若しくは水不溶性染料を含むカチオン性のインクを黒インクとし、これにアニオン性色材を持つカラーインクと併用して、フルカラー画像を印字した場合に、黒−カラー間の色滲み(ブリード)を良好に防止することができるインクジェット記録方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、(a)顔料若しくは水不溶性染料から選ばれる色材と、(b)前記色材を安定に分散させることができる、カチオン性の官能基を分子内に持つ分散剤と、(c)分子内に少なくとも1個の水酸基を持つオキシ酸と、(d)全分子量に対して50重量%〜100重量%のアルキレンオキシドユニットを持つ重量平均分子量が500〜5000のポリアルキレンオキシド化合物とを、含有し、前記オキシ酸をインク中に0.1〜5.0重量%含有することを特徴とする水系インクジェット記録用インク(以下単に「インク」という)を提供する。
【0008】また、本発明は、好ましい実施形態として、オキシ酸が、モノカルボン酸である上記のインク;オキシ酸が、分子内に複数個の水酸基を持つ化合物である上記のインク;ポリアルキレンオキシド化合物が、全分子量に対して80重量%〜100重量%のアルキレンオキシドユニットを持つ化合物である上記のインク;ポリアルキレンオキシド化合物が、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、若しくはそれらのブロック/ランダム共重合体である上記のインクを提供する。
【0009】また、本発明は、前記何れかのインクが黒インクであり、該黒インクとアニオン性の色材を用いたカラーインクとを用いて、フルカラー記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明のインクは、前記構成を有するが、その色調は黒色に限られず、他のカラー色調であってもよいのは当然である。また、本発明のインクはカチオン性の分散剤を用いているが、分散剤を用いないで分散するカチオン性の自己分散性の顔料を色材とするインクと併用することもできる。
【0011】また、本発明の記録方法では、黒インクとしては本発明のインク(または上記の併用)を用いることを必須とするが、該黒インクと併用するカラーインクは、アニオン性のインクであり、その色材はアニオン性の染料、アニオン性分散剤で分散された顔料、またはアニオン性の自己分散性顔料を含むインクまたはそれらの併用であってもよい。従って顔料自体または水不溶性染料自体は、カチオン性及びアニオン性インクの両方に共通するので、これらの色材について以下に説明する。
【0012】本発明で用いることができる黒色顔料としては、例えば、ファーネス法、チャンネル法で製造されたカーボンブラックであって、一次粒子径が15〜40mμm、BET法による比表面積が50〜300m2/g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜l0重量%、pH値が2〜9であるなどの特性を有するものが好ましく用いられる。
【0013】このような特性を有する市販品のカーボンブラックとしては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、#2200B(以上、三菱化学製)、Raven 1255(以上、コロンビア製)、Rega1400R、Rega1330R、Rega1660R、Mogul L(以上、キャボット製)、Color Black FWl、Color Black FW18、Color Black S170、Color Black S150、Printex 35、Printex U(以上、デグッサ製)などがあり、何れも好ましく使用することができる。また、上記のものの他、本発明のために新たに製造された顔料も、むろん、使用することができる。
【0014】本発明で用いることができるイエロー顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 2、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 83などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】本発明で用いることができるマゼンタ顔料としては、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57(Ca)、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 122などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】本発明で用いることができるシアン顔料としては、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 22、C.I.vat Blue 4、C.I.vat Blue 6などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】本発明で用いることができる水不溶性染料としては油溶性染料が挙げられ、具体的には下記に挙げる如き染料を好ましく使用することができる。C.I.ソルベントイエロー1、2、3、13、19、22、29、36、37、38、39、40、43、44、45、47、62、63、71、76、81、85、86など、C.I.ソルベントレッド8、27、35、36、37、38、39、40、58、60、65、69、81、86、89、91、92、97、99、100、109、118、119、122など、C.I.ソルベントブルー14、24、26、34、37、38、39、42、43、45、48、52、53、55、59、67など、C.I.ソルベントブラック3、5、7、8、14、17、19、20、22、24、26、27、28、29、43、45など。
【0018】本発明で用いることができる顔料または水不溶性染料(以下単に「顔料」という)のカチオン性分散剤としては、カチオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体を用いるのが好ましい。カチオン性モノマーとしては、下記の如きモノマー、及びそれらの4級化された化合物が挙げられる。N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド。
【0019】なお、これらの化合物を4級化するには、塩化メチル、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、エピクロルヒドリンなどを用いて常法で行えばよい。また、3級アミンを酸で中和した形で3級アミンの塩としても適用できる。次に、疎水性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン類、アクリロニトリル、及び(メタ)アクリル酸アクリルエステル類がある。上記のような、カチオン性モノマーと疎水性モノマーを共重合させる場合には、共重合体中のカチオン性モノマーと、疎水性モノマーとの重量比率を10:90〜60:40の範囲とするのが好ましい。
【0020】本発明で用いることのできる「分子内に少なくとも1個の水酸基を持つオキシ酸」は、分子内に水酸基とカルボキシル基を同時に持つもので、特に好ましくはモノカルボン酸が好ましい。ジカルボン酸、トリカルボン酸などの場合には、逆に分散体に対して凝集剤として働く可能性があるためである。具体的なオキシ酸と、分子中の水酸基の数(括弧内の数値)を示すと、グリコール酸(1つ)、乳酸(1つ)、ヒドロアクリル酸(1つ)、α−オキシ酪酸(1つ)、オキシ安息香酸(1つ)、グリセリン酸(2つ)、没食子酸(3つ)、グルコン酸(5つ)などが挙げられる。特に好ましくは、分子中に2つ以上水酸基があるものである。また、オキシ酸以外の酸と併用しても構わない。
【0021】本発明において、オキシ酸はカチオン分散体におけるカチオン性基に対して、カウンターイオンとして分散安定性に効果があるのは勿論であるが、さらに分子内に水酸基を持つため、分散体表面付近の親水性を高めるように作用し、また、オキシ酸は難揮発性であるためにノズル付近でインクの乾燥が起こっても、インクの耐固着性を低下させることがない。
【0022】本発明において、オキシ酸のインク中における配合量は0.l〜5重量%が望ましい。0.1重量%を下回ると、上記で述べたオキシ酸の効果が発揮されず、また、5.0重量%を超えると、インク内の塩濃度が高くなりすぎて、逆にインクの安定性に悪影響を及ぼす。
【0023】本発明で用いることができるポリアルキレンオキシド化合物とは、全分子量に対して50〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%のアルキレンオキシドユニットをもち、重量平均分子量が500〜5000の化合物である。ここで、ポリアルキレンオキシドとは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、若しくはポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドのブロック/ランダム共重合体の中から選ぶことができる。
【0024】次に本発明におけるポリアルキレンオキシド化合物の分子構造としては、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルなどの1価アルコールへのアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコールグリセリルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリセリルエーテルなどの多価アルコール(グリセリン、ジグリセリンなど)へのアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコールジアルキルエーテルのような両末端水酸基がアルキルエーテル化されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】本発明において、ポリアルキレンオキシド化合物は、顔料分散体に対し、高い親和性を示すと同時に、水に対しても高い溶解性が有るために、結果として、顔料分散体の分散安定性を得る。ここで、ポリアルキレンオキシド化合物中のアルキレンオキシドの割合が、50重量%以下であると、該化合物の水溶性が乏しくなり、50〜80重量%の範囲においては、分子構造にもよるが、画像に浸透性がでる場合もある。特に好ましいのは、80重量%以上であり、このような化合物を使用することで高い画像濃度を得られるようになる。
【0026】本発明において、カチオン性顔料インクは高い画像濃度を有しながら、分散安定性、吐出安定性、耐固着性を得ているが、これは、ポリアルキレンオキシド化合物とオキシ酸を併用したことによってのみすべてを満足でき、どちらか一方を欠くと、すべてを満足することはできなくなるのである。以上の成分からなる本発明のインクの液媒体及び製造方法は後述の通りである。
【0027】本発明の記録方法に用いられるカラーインクの顔料の分散剤としては、水溶性樹脂ならどのようなものでも使用可能であるが、重量平均分子量が1,000〜30,000の範囲のアニオン性樹脂が好ましい。さらに好ましくは重量平均分子量が3,000〜15,000の範囲のアニオン性樹脂である。具体的には、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステルなど;アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド及びその誘導体から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体(このうち少なくとも1つは親水性単量体)からなるブロック共重合体、あるいはランダム、グラフト共重合体、また、これらの塩などが挙げられる。あるいは、ロジン、シェラック、デンプンなどの天然樹脂も使用できる。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶で、アルカリ可溶型樹脂である。なお、前記水溶性樹脂はインク全体の0.1〜5重量%の範囲で含有されることが好ましい。
【0028】さらに、本発明で使用される上記のカラーインクは、前記水溶性樹脂の溶解性を向上させ、一層の長期保存性に優れたインクとすることができるので、インク全体が中性またはアルカリ性に調整されていることが好ましい。但し、この場合、インクジェット記録装置に使われている種々の部材の腐食の原因となる場合があるので、好ましくはpH7〜10の範囲とすることが望ましい。また、この際に使用されるpH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などの無機アルカリ剤、有機酸及び鉱酸などが挙げられる。
【0029】本発明の顔料インクの作製方法としては、先ず、顔料の分散剤であるカチオン性水溶性樹脂と、水が少なくとも含有されている水性媒体とからなる混合液中に顔料を添加し、撹拌した後、後述の分散手段を用いて顔料の分散を十分に行い、さらに必要に応じて遠心分離処理を行って所望の顔料分散液を得る。次に、この顔料分散液にサイズ剤、及び、上記で挙げたような適宜に選択された添加剤成分を加え、撹拌して黒色インクとする。また、樹脂を溶解させるために必要であれば前述したオキシ酸以外の酸を添加してもよい。
【0030】さらに上記の製造方法において、顔料を含む水性媒体を撹拌して分散処理する前に、プレミキシングを30分間以上行うと効果的である。このようなプレミキシング操作によって、顔料表面の濡れ性が改善され、顔料表面への分散剤の吸着を促進させることができるために好ましい。
【0031】また、本発明において顔料の分散処理の際に使用する分散機としては、一般に使用される分散機ならば如何なるものでもよく、例えば、ボールミル、ロールミル及びサンドミルなどが挙げられる。その中でも、高速型のサンドミルが特に好ましく使用される。このようなものとしては、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(何れも商品名)などが挙げられる。
【0032】本発明の記録方法で、前記本発明の黒色インクとセットとして用いるカラーインクのアニオン性染料としては、以下のものが挙げられる。
(イエロー用の染料)C.I.ダイレクトイエロー8、11、12、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、100、110、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、23、25、29、36、38、40、42、44、76、98、99、C.I.リィアクティブイエロー2、3、17、25、37、42、C.I.フードイエロー3。
【0033】(レッド用の染料)C.I.ダイレクトレッド2、4、9、11、20、23、24、31、39、46、62、75、79、80、83、89、95、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、C.I.アシッドレッド6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、42、51、52、80、83、87、89、92、106、114、115、133、134、145、158、198、249、265、289、C.I.リィアクティブレッド7、12、13、15、17、20、23、24、31、42、45、46、59、C.I.フードレッド87、92、94。
【0034】(ブルー用の染料)C.I.ダイレクトブルー1、15、22、25、41、76、77、80、86、90、98、106、108、120、158、163、168、199、226、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、22、23、25、29、40、43、59、62、74、78、80、90、100、102、104、117、127、138、158、161、C.I.リィアクティブブルー4、5、7、13、14、15、18、19、21、26、27、29、32、38、40、44、100。
【0035】本発明の記録方法において、前記本発明の黒色インクと併用できる自己分散性黒色顔料を含むインクについて説明する。カチオン性に帯電したカーボンブラックとしては、カーボンブラックの表面に、例えば、下記に示すカチオン性基から選ばれる少なくとも1つを結合させたものが挙げられる。
【0036】

【0037】上記したような親水性基が結合されてカチオン性に帯電している自己分散型カーボンブラックを製造する方法としては、例えば、下記に示す構造のN−エチルピリジル基を結合させる方法を例にとって説明すると、【0038】

カーボンブラックを3−アミノ−N−エチルピリジウムブロマイドで処理する方法が挙げられる。このように、カーボンブラック表面への親水性基の導入によってカチオン性に帯電させたカーボンブラックは、イオンの反発によって優れた水分散性を有するため、水性インク中に含有させた場合にも分散剤などを添加しなくても安定した分散状態が維持される。
【0039】また、本発明の記録方法では、カラーインクの色材として種々のアニオン性基を顔料粒子の表面に直接、あるいは他の原子団を介して結合させた自己分散性の顔料も使用できる。ここで他の原子団の具体例としては、例えば、炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、置換若しくは未置換のフェニレン基、置換若しくは未置換のナフチレン基が挙げられる。ここでフェニレン基及びナフチレン基の置換基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。また、他の原子団とアニオン性基の組合わせの具体例としては、例えば、−C24−COOM、−Ph−SO3M、−Ph−COOMなど(但し、Phはフェニル基を表す)が挙げられる。
【0040】本発明のインク、及び本発明で使用するインクは通常水性インクであり、前記色材、その他の添加剤を水、または水と水溶性有機溶剤との混合物中に分散または溶解させてインクとする。好適に使用される水溶性有機溶媒としては、例えば、炭素数1から4のアルキルアルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなど)、ケトンまたはケトアルコール類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アセトン、ジアセトンアルコールなど)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、ポリアルキレングリコール類(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、アルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなど)、多価アルコールなどのアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、トリエチレンモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなど)さらには、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0041】インク中におけるこれらの水溶性有機溶剤のトータルの量としては、インク全体の量に対して、2〜60重量%、さらに好適な範囲としては、5〜25重量%とすることが好ましい。
【0042】また、本発明のインクを構成するのに特に好ましい水溶性有機溶剤はグリセリンであり、その添加量はインク中の重量%として2〜30重量%、さらには5〜15重量%が好適である。さらに好適な水溶性有機溶剤は、グリセリンと多価アルコール(例えば、ジエチレングリコールやエチレングリコールなど)を含有する混合溶剤であり、グリセリンと他の多価アルコールとの混合比としてはグリセリン:その他の多価アルコールで10:5〜10:50の範囲とすることが好ましい。グリセリンとともに用いる他の多価アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールやプロピレングリコールなどが挙げられる。これらのグリセリン、または、グリセリンと多価アルコールとの混合体は他の水溶性有機溶剤とさらに混合して用いることが可能である。
【0043】なお、本発明のインク、及び本発明で使用するインクにおける前記色材の含有量は、従来と同様であり、染料または顔料によって異なるが、通常1〜10重量%程度である。また、本発明で使用するインクには、従来公知の各種添加剤、例えば、界面活性剤の他に、機能性を付与するためのpH調整剤、防黴剤などの各種の添加剤が添加されていてもよい。
【0044】なお、本発明で用いられるカチオン性のインクを黒インクとした場合に、その表面張力は40mN/m(dyne/cm)以上が望ましく、その粘度としては10cps以下が望ましい。40mN/m(dyne/cm)以上であると、文字のエッジのキレや、画像濃度の点でより好ましい画像を得ることができる。また、粘度を10cps以下とすることで、ノズルへの当該インクの供給のより一層の安定化を図ることができる。
【0045】また、カチオン性黒色インクとセットで用いられるアニオン性のカラーインクは、表面張力が35mN/m(dyne/cm)以下、粘度は10cps以下が、黒とカラー間の境界滲みならびにカラー間の境界滲みを防止、もしくは緩和するうえで好ましい。
【0046】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中「%」または「部」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
(実施例1〜7、比較例1〜5)
<黒色分散体−1の作成>・カーボンブラック 10部・スチレン-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート −エチルアクリレート共重合体(分子量約2万、 モノマー構成比50:40:10) 10部・MEK 30部上記の成分を混合溶解し、下記表1に示す酸で中和した後、転送乳化を行い、最終的にメチルエチルケトンを除去して、固形分濃度20%、平均粒子径100nmの黒色分散体−1を得た。
【0047】<黒色インクの作成>下記表1に示す材料をよく撹拌混合し、ポア径2μmのメンブランフィルターでろ過して、本実施例及び比較例で用いられるカチオン性分散インクを得た。
【0048】

【0049】

【0050】[評価結果]上記で得たインクをキヤノン製バブルジェットプリンターBJF800のCRGに充填し、キヤノン製普通紙(PB紙)へ印字させ、下記の項目に関して評価した。
<印字品位>文字を印字させ、そのエッジのシャープさを目視にて評価した。
○:白地部への色材の滲み(フェザリング)がない。
△:フェザリングが多少発生する。
×:フェザリングが多い。
【0051】<OD>1インチ四方のベタ画像を印字させ、マクベス反射濃度計(RD918)で画像濃度を測定した。
○:ODが1.3以上。
△:ODが1.2以上。
×:ODが1.2未満。
【0052】<吐出安定性>A4幅の横罫線を連続して印字し、その線太さ、ヨレに関して目視で評価した。
◎:線の太さに変化がなく、ヨレも全くない。
○:多少線の細りがあるが、実用上まったく問題ないレベルである。
△:線の細りがあり、ヨレも多少見られる。
【0053】<固着性>へッドを35℃dry環境で1週間放置し、再度印字しようとした際の回復性について評価した。
◎:吸引動作1回以内で全吐した。
○:吸引動作2回以内で全吐した。
△:吸引動作5回以内で全吐した。
これらの評価結果を上記表1に示した。
【0054】(実施例8〜9、比較例6)
<カラーインクセットの作成><イエローインク−1>・C.I.アシッドイエロー 4部・グリセリン 10部・アセチレノールEH 1部上記の成分を良く撹拌混合し、ポア径0.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、イエローインク−1を得た。
【0055】<マゼンタインク−1>・C.I.アシッドレッド289 4部・グリセリン 10部・アセチレノールEH 1部上記の成分を良く撹拌混合し、ポア径0.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、マゼンタインク−1を得た。
【0056】<シアンインク−1>・C.I.ダイレクトブルー199 4部・グリセリン 10部・アセチレノールEH 1部上記の成分を良く撹拌混合し、ポア径0.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、シアンインク−1を得た。
【0057】下記表2に示す黒インク−カラーインクの組み合わせで、黒とカラーが隣接する画像を印字し、その色間滲みの度合いを目視にて評価した。
○:色間滲みがない。
×:色間滲みが発生。
【0058】

【0059】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、第一に顔料を含むカチオン性のインクが、耐光性、保存安定性に優れ、耐固着性、吐出安定性が良好で、かつ高い画像濃度を得ることができた。第二に、顔料を含むカチオン性のインクを黒インクとし、アニオン性色材を持つカラーインクと併用して、フルカラー画像を印字した場合に、黒−カラー間の色滲み(ブリード)を良好に防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成13年6月14日(2001.6.14)
【代理人】 【識別番号】100077698
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 勝広 (外1名)
【公開番号】 特開2002−371209(P2002−371209A)
【公開日】 平成14年12月26日(2002.12.26)
【出願番号】 特願2001−179987(P2001−179987)