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【発明の名称】 静電インクジェットインク、それを用いた静電型インクジェット記録方法及び記録装置
【発明者】 【氏名】大島 賢司

【要約】 【課題】高速で安定なインク吐出を実現でき、高濃度で定着性にも優れた画像を形成可能な静電インクジェットインク、それを用いた静電型インクジェット記録方法及び記録装置を実現する事を目的とする。

【解決手段】本発明は、電気絶縁性の非水溶媒中に、少なくとも前記非水溶媒に不溶な色材と、前記非水溶媒に可溶な熱可塑性樹脂と、前記非水溶媒に可溶で前記色材を帯電させるための帯電制御剤を含有する構成を有し、107Ω・m以上の体積抵抗率を有する静電インクジェットインクであって、前記非水溶媒に可溶な親油性非イオン界面活性剤を含有する事を特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】電気絶縁性の非水溶媒中に、少なくとも前記非水溶媒に不溶な色材と、前記非水溶媒に可溶な熱可塑性樹脂と、前記非水溶媒に可溶で前記色材を帯電させるための帯電制御剤を含有する構成を有し、107Ω・m以上の体積抵抗率を有する静電インクジェットインクであって、前記非水溶媒に可溶な親油性非イオン界面活性剤を含有することを特徴とする静電インクジェットインク。
【請求項2】前記親油性非イオン界面活性剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルからなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の静電インクジェットインク。
【請求項3】前記非水溶媒が25℃において1010Ω・m以上の体積抵抗率、および150〜350℃の沸点範囲を有する脂肪族炭化水素溶剤であることを特徴とする請求項1,2いずれか1記載の静電インクジェットインク。
【請求項4】前記熱可塑性樹脂が、常温で塗膜形成可能な樹脂であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1記載の静電インクジェットインク。
【請求項5】前記帯電制御剤が金属石鹸であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1記載の静電インクジェットインク。
【請求項6】請求項1〜5いずれか1記載のインクジェットインクを記録電極が配置された記録ヘッドに導入し、前記記録電極と前記記録電極に対向して配置された対向電極との間に電圧を印加し前記インクに静電力を作用させることで、前記記録ヘッドより前記インクを飛翔させ前記記録電極と前記対向電極との間に配置された記録媒体上に印字ドットを形成し記録を行うことを特徴とする静電型インクジェット記録方法。
【請求項7】少なくとも記録電極が配置された記録ヘッドと、前記記録電極に対向して配置された対向電極とを有し、請求項1〜5いずれか1記載のインクジェットインクを前記記録電極が配置された記録ヘッドに導入し、前記記録電極と前記記録電極に対向して配置された対向電極との間に電圧を印加し前記インクに静電力を作用させることで、前記記録ヘッドより前記インクを飛翔させ前記記録電極と前記対向電極との間に配置された記録媒体上に印字ドットを形成し記録を行うことを特徴とする静電型インクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電インクジェットインク、それを用いた静電型インクジェット記録方法及び記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクを記録媒体に飛翔させ記録ドットを形成することにより印字を行うインクジェット記録法は、カラー化が容易で普通紙に直接記録できるノンインパクト記録法として関心を集めており、この方式を用いたプリンターが種々実用化されている。インクジェット記録法の一つとして、記録媒体に対向して配置された複数の記録電極と記録媒体の背面に配置された対向電極とに電圧を印加し、両電極間に生じた電位差により、記録電極上に供給されたインクに静電力を作用させ、インクを記録媒体上に飛翔させる、静電型のインクジェット記録法がある。これらの静電インクジェットプリンターは、例えば、″インクジェット記録技術″、株式会社トリケップス発行(1989年)に紹介されている。
【0003】このような静電インクジェット方式により構成された、ドロップオンデマンド型のフルカラー記録ヘッドの一例が、例えば特開昭58−215253号公報、電気通信学会論文誌,Vol.J68−C,2(1985年)第93ページから第100ページに開示、発表されている。この方式は、従来のインクジェットヘッドにおけるノズルの代わりに、内壁に多数の記録電極を有する細長いスリット状のインク吐出口を用いている。このため、インクの目詰まりに対する心配が少なく、またヘッドの構成が単純であることにより製造コストの低減が期待でき、記録媒体の幅方向の広範囲をカバーできる長さの、いわゆる長尺ラインヘッドを実現するためにも有効な方法である。この静電型インクジェットヘッドにおいては、有機溶剤に染料を溶解した油性インクが好適に用いられ、インクの構成材料に関しては詳細に開示されてはいないが、電気通信学会論文誌,Vol.J68−C,2,pp.93−100,(1985年)に見られる例では、体積抵抗率(電気抵抗率)が105〜106Ω・m、表面張力が22mN/m、粘度が3.1〜6.9cPの物性値を有するインクが用いられている。しかしながら、このような油性インクは、他のインジェット方式において一般に用いられている水性インクと比較し表面張力が低いために、記録紙への浸透性が非常に大きく、特に普通紙に印字を行う場合において、印字濃度の低下やにじみ、裏写りを生じやすいという問題があった。
【0004】これに対して、例えば特開平9−11475号公報、特開平9−118015号公報、等には、帯電された色材粒子(トナー)が電気絶縁性の高い液体中に分散されたインクを用い、記録ヘッド中の吐出電極と記録媒体背面に設置された対向電極との間に形成された静電界により、色材粒子を電気泳動により吐出電極先端の吐出部に集中させ、色材が高濃度に濃縮された形でインク滴を飛翔させる静電インクジェットヘッドが開示されている。この場合、通常、吐出電極には色材の帯電極性と同極性の電位を、対向電極には色材の帯電極性と逆極性の電位を与える。この方式では、その吐出原理の詳細は明らかにされていないが、前述の方式とは異なり、インクの構成成分が均一な状態で多量の液体成分を含んだまま吐出されるのではなく、色材が濃縮され液体成分が少ない状態でインクが吐出されることにより、上述の問題点が解決される。また、顔料を主成分とする色材を用いることにより、従来の染料を用いたインクジェットヘッドに比べ、印字画像の耐水性、耐光性に関しても有利な結果が得られる。
【0005】この様な色材濃縮型の静電インクジェットインクにおいては、印字濃度が高く、にじみや裏写りを生じない良好な印字特性を得るためには、まず第1にインクの体積抵抗率が十分大きい事が必要であり、好ましくは107Ω・m以上の体積抵抗率を有するインクを用いる必要がある。この事により記録電極と対向電極により形成されインクに印加された電界を色材粒子に到達させる事が可能となる。また、インクの体積抵抗率が低いと、記録電極により印加される電圧により、インクが電荷注入を受け帯電してしまい、静電反発力によりインクが多量の液体成分を含んだまま吐出してしまう傾向が強くなる。次に、色材粒子を十分な速度で電気泳動により吐出口部に集中させる必要があるため、色材粒子が十分な帯電量を有している事、すなわち色材粒子が正極性もしくは負極性の高いゼータ電位を有している事が必要である。また、色材粒子の泳動速度を高めるには、インク溶媒はできるだけ低粘度であることが好ましいが、一般に粘度が低い溶媒ほど揮発性が高くなるため、極端に粘度が低く揮発性の高い溶媒を用いると記録ヘッド開口部からのインク溶媒の揮発が激しくなるため、吐出の安定性に不具合を生じる場合がある。
【0006】上記の様な色材濃縮型の静電インクジェットインクは、例えば、炭化水素系溶剤を溶媒とし、色材としてカーボンブラック顔料および有機顔料、並びに、樹脂やワックスからなるバインダ中もしくは表面に顔料を含有するものを用い、帯電制御剤等を加えた系で粒子経が最大で5μm程度までの帯電した色材が分散した、好ましくは107Ω・m以上の体積抵抗率を有する分散体を作製する事により調製可能と考えられるが、好適なインクの組成と材料およびインク物性値の詳細は開示されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の色材濃縮型の静電インクジェットインクは、一般に、電子写真における液体トナーの様に、固形のバインダー樹脂中に顔料を分散させた粒子経2〜5μm程度の比較的大きな粒子を色材として用いる物、もしくは顔料を帯電制御剤と共に溶媒中で混合粉砕しただけの物であり、インク中の色材の分散安定性が悪く非常に沈降しやすいため、高速で安定なインク吐出が困難であるという問題があった。また、一般の塗料やインクに用いられるようなイオン性の高い顔料分散剤を用いて色材を分散させた物では、インクの比抵抗が低くなってしまい、十分な印字濃度が得られないという問題があった。さらにこのような従来のインクでは、印字後の色材の記録紙への密着性が悪いために、画像の定着性に劣る場合があった。
【0008】本発明は上記従来の問題点を解決する物であり、高速で安定なインク吐出を実現でき、高濃度で定着性にも優れた画像を形成可能な静電インクジェットインク、それを用いた静電型インクジェット記録方法及び記録装置を提供する事を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェットインクは、電気絶縁性の非水溶媒中に、少なくとも非水溶媒に不溶な色材と、非水溶媒に可溶な熱可塑性樹脂と、非水溶媒に可溶で色材を帯電させるための帯電制御剤を含有する構成を有し、107Ω・m以上の体積抵抗率を有する静電インクジェットインクであって、非水溶媒に可溶な親油性非イオン界面活性剤を含有する構成とした。
【0010】本発明によれば、優れた印字性能を有する静電インクジェットインクを実現することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、電気絶縁性の非水溶媒中に、少なくとも非水溶媒に不溶な色材と、非水溶媒に可溶な熱可塑性樹脂と、非水溶媒に可溶で色材を帯電させるための帯電制御剤を含有する構成を有し、107Ω・m以上の体積抵抗率を有する静電インクジェットインクであって、非水溶媒に可溶な親油性非イオン界面活性剤を含有することを特徴とする静電インクジェットインクであり、インクの体積抵抗率や顔料の帯電性を十分な値に保ちつつ、色材を小粒径で安定に分散し、かつ色材と記録紙との密着性を高めるという作用を有する。
【0012】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、親油性非イオン界面活性剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルからなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする静電インクジェットインクであり、インクの体積抵抗率や顔料の帯電性を十分な値に保ちつつ、色材を小粒径で安定に分散するという作用を有する。
【0013】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1,2において、非水溶媒が25℃において1010Ω・m以上の体積抵抗率、および150〜350℃の沸点範囲を有する脂肪族炭化水素溶剤であることを特徴とする静電インクジェットインクであり、インクの体積抵抗率を十分な値に保ち、かつ溶媒の室温における蒸発速度を適当な範囲とし、かつインクの臭気を抑制するという作用を有する。
【0014】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1〜3において、熱可塑性樹脂が、常温で塗膜形成可能な樹脂であることを特徴とする静電インクジェットインクであり、色材を記録紙上により強固に保持するという作用を有する。
【0015】本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1〜4において、帯電制御剤が金属石鹸であることを特徴とする静電インクジェットインクであり、色材に正極性の高い帯電電位を与えるという作用を有する。
【0016】本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1〜5いずれか1記載のインクジェットインクを記録電極が配置された記録ヘッドに導入し、記録電極と記録電極に対向して配置された対向電極との間に電圧を印加しインクに静電力を作用させることで、記録ヘッドよりインクを飛翔させ記録電極と対向電極との間に配置された記録媒体上に印字ドットを形成し記録を行うことを特徴とする静電型インクジェット記録方法であり、インクが上記請求項1〜5の作用で説明した特性を有しているので、高速で安定に高濃度で記録媒体への十分な定着強度を有する記録画像の形成を可能にするという作用を有する。
【0017】本発明の請求項7に記載の発明は、少なくとも記録電極が配置された記録ヘッドと、記録電極に対向して配置された対向電極とを有し、請求項1〜5いずれか1記載のインクジェットインクを記録電極が配置された記録ヘッドに導入し、記録電極と記録電極に対向して配置された対向電極との間に電圧を印加しインクに静電力を作用させることで、記録ヘッドよりインクを飛翔させ記録電極と対向電極との間に配置された記録媒体上に印字ドットを形成し記録を行うことを特徴とする静電型インクジェット記録装置であり、インクが上記請求項1〜5の作用で説明した特性を有しているので、高速で安定に高濃度で記録媒体への十分な定着強度を有する記録画像の形成を可能にするという作用を有する。
【0018】以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】本発明の静電インクジェットインクは、前述のように、電気絶縁性の非水溶媒中に、少なくとも前記非水溶媒に不溶な色材と、前記非水溶媒に可溶な熱可塑性樹脂と、前記非水溶媒に可溶で前記色材を帯電させるための帯電制御剤を含有する構成を有し、107Ω・m以上の体積抵抗率を有する静電インクジェットインクであって、更に前記非水溶媒に可溶な親油性非イオン界面活性剤を含有する事を特徴とするものである。
【0020】まず、本発明の静電インクジェットを構成する各材料について説明する。
【0021】本発明における電気絶縁性の非水溶媒は、低誘電率、高電気絶縁性を有することから、炭化水素系の溶剤を主成分とする事が好ましい。非水溶媒に要求される特性として、まず第1に、色材、熱可塑性樹脂、帯電制御剤、界面活性剤等を混合した後にインクの体積抵抗率が107Ω・mより低くならないようにする必要があり、109Ω・m以上、より好ましくは1010Ω・mの体積抵抗率を有しているものを用いる事が好ましい。また、誘電率としては3.0以下の物が好ましい。
【0022】その他の要求特性としては、インク吐出口における溶媒の蒸発を出来るだけ小さくでき、かつ印字後のインクの速やかな乾燥、定着を行うために、室温において適当な範囲の蒸発速度および粘度を有していること、また引火を防止するため、少なくとも室温以上の引火点を有していること、さらに、環境および人体に対する安全性が高いことが挙げられる。
【0023】本発明の静電インクジェットインクにおける電気絶縁性の非水溶媒は、以上のような要求を満たす物であれば良く、特に限定される物ではないが、特に好ましい物として、沸点が150〜350℃の範囲にある高純度の脂肪族炭化水素溶剤が挙げられ、市販品としてはエクソン化学製のアイソパーG,H,L,M,V(商品名)、ノーパー12,13,15(商品名)、出光石油化学製のIPソルベント1620,2028(商品名)、日本石油化学製のアイソゾール300,400(商品名)、丸善石油化学製のマルカゾールR(商品名)等がある。これらの製品は、極めて純度の高い脂肪族炭化水素溶剤であり、引火点は40℃以上、25℃における粘度は3cSt以下、25℃における表面張力は22.5〜28.0mN/m、25℃における比抵抗は1010Ω・m以上である。さらに、反応性が低く安定であり、低毒性で安全性が高く、臭気が非常に少ないという特徴がある。
【0024】本発明においては、この様な脂肪族炭化水素溶剤を単独で、もしくは混合物として用いても良く、さらに、前述のような要求特性を満たし、後述のような、熱可塑性樹脂、帯電制御剤、界面活性剤等の溶解性を損なわない範囲であれば、脂肪族炭化水素溶剤と相溶性を有する炭化水素系以外の溶剤、例えばシリコンオイル等との混合物を用いても良い。この様なシリコンオイルの具体例としては、低粘度の合成ジメチルポリシロキサンが挙げられ、市販品としては、信越シリコーン製のKF96L(商品名)、東レ・ダウコーニング・シリコーン製のSH200(商品名)等がある。これらのジメチルポリシロキサンは、その分子量により非常に広い粘度範囲の物が入手可能であるが、上述した要求を満たすためには1〜20cStの範囲の物を用いるのが好ましい。これらのジメチルポリシロキサンは、脂肪族炭化水素溶剤、40℃以上の引火点と1010Ω・m以上の体積抵抗率を有し、高安定性、高安全性、無臭性といった特徴を有している。
【0025】本発明のインクにおける好ましい電気絶縁性の非水溶媒の性状は上記のような物であるが、インク化に際し、前記のようなインク物性の要求特性を満たす範囲で、少量の、例えばアルコール類等の炭化水素系溶剤以外の溶剤、また炭化水素系溶剤に可溶性の物質を添加する事は当然可能である。
【0026】本発明のインクにおける、非水溶媒に不溶な色材としては、顔料、もしくは顔料を溶媒に不溶性の樹脂等に分散させたもの、もしくは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いる事が出来る。顔料としては、種々の無機および有機顔料を用いることが出来、例えば、カーボンブラック、β−ナフトール系アゾ顔料、ピラゾロン系アゾ顔料、アセト酢酸アリリド系アゾ顔料、縮合アゾ顔料、ジスアゾ顔料、アントラピリジン顔料、インダンスレン顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、フタロペリノン顔料、キノフタロン顔料、二酸化チタン等がある。また、溶媒に不溶性の樹脂としては、種々公知の天然もしくは合成樹脂を用いることが出来るが、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等がある。これらの樹脂に顔料を分散させる手法としては、各種インクの製造プロセスに見られるような、種々公知の方法を用いれば良い。その他、ロジンエステル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂等に顔料微粒子を分散させた加工顔料が市販されており、これを用いても良い。本発明のインクにおける、色材の濃度は、インクの総量に対して0.5〜10重量%、特に好ましくは2〜6重量%の範囲であることが好ましい。色材の濃度が0.5重量%より少なくなると、十分な印字濃度が得られず好ましくない。また、10重量%より多くなると、インクの粘度が増大し、安定なインク吐出が行えなくなる傾向が生じ好ましくない。
【0027】本発明のインクにおける非水溶媒に可溶な熱可塑性樹脂は、バインダーとして前記の様な色材と記録紙の密着性を高め、印字画像の定着性を向上させる事を主目的として加える。
【0028】このような樹脂は、非水溶媒への溶解性が十分に高く、好ましくは色材との親和性が高い物が良く、また、定着用バインダーとして十分な効果を発揮するために、樹脂単体では常温で固体であるか、もしくは非常に高粘度の液体である必要がある。このような要求を満たす物であれば、樹脂の種類は特に限定される物ではないが、例えば炭化水素系の樹脂、アルキド樹脂、アクリル系樹脂等が好適な物として挙げられる。特に、非水溶媒の蒸発により常温で塗膜形成可能な物を用いると、バインダーとして色材を記録紙上でより強固に保持する事ができるため、記録画像の定着性を向上させることができる。ここで、常温とは、通常、プリンターが稼働できる温度であり、概ね0〜40℃の範囲である。従って、本発明における常温とは、概ね0〜40℃の範囲であると定義される。
【0029】このような樹脂を用いると、インクが記録ヘッドより飛翔し記録媒体へ着弾した後に、インク中の前記分散媒が蒸発するに伴い濃縮され、分子間力が増大し塗膜を形成する事が可能である。この事により、樹脂は記録媒体上にインク中の色材を取り込んだ塗膜を形成するか、もしくは部分的に色材を記録媒体に結合させる事によって、色材の記録媒体への結着強度を高める。
【0030】本発明のインクにおける樹脂の濃度は、インクの総量に対して、0.1〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%の範囲である事が好ましい。樹脂の濃度が0.1重量%より少なくなると、記録紙への色材の定着性を向上させる効果がほとんどなく、20重量%より多いとインクの粘度が増大し安定なインク吐出が行えなくなる傾向が生じ何れも好ましくない。
【0031】さらに、本発明における帯電制御剤は、非水溶媒に分散した色材を任意の極性および電荷量に帯電させる事を目的として加える。帯電制御剤としては、前記非水溶媒に可溶な、金属石鹸、アルキル硫酸の金属塩、アルキルリン酸の金属塩、脂肪酸、レシチン、極性基を有する重合体等を用いることが出来る。特に、金属石鹸を用いると、色材に正極性の高電位を付与する事が可能である。
【0032】金属石鹸においては、カウリブタノール値の非常に低い(30未満)高純度の脂肪族炭化水素溶剤に対しても高い溶解性を有していること、および顔料を帯電させる効果が高い事から、ナフテン酸およびオクチル酸を脂肪酸成分とする金属石鹸が特に好ましい。
【0033】これら金属石鹸の金属原子としては、マンガン、鉛、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、ジルコニウム、銅、鉄等が使用可能である。好ましい金属石鹸の具体例としては、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸ニッケル、オクチル酸ジルコニウム等がある。
【0034】顔料および樹脂の構造や表面処理の影響により、特に帯電制御剤を加えなくても、色材が比較的高い帯電を示す場合もあるが、このような帯電制御剤を用いると、より確実かつ効果的に色材を帯電させる事が可能となると共に、その添加量により色材の帯電量およびインクの体積抵抗率を調整する事が可能となる。
【0035】本発明における帯電制御剤の濃度は、インクの総量に対して0.001〜2.0重量%の範囲であることが好ましい。帯電制御剤の濃度が0.001重量%より少ないと、色材に十分な帯電量を付与する効果が無く、2.0重量%より多いとインクの体積抵抗率低下のため、印字濃度が低下する傾向が生じるため、何れも好ましくない。
【0036】次に、本発明の特徴である、前記非水溶媒に可溶な親油性非イオン界面活性剤について説明する。
【0037】本発明における親油性非イオン界面活性剤は、前述したようなインク物性値の要求特性を保てる範囲で、色材を電気絶縁性の非水溶媒に微分散し、安定に保持する事を目的として加える。イオン性の界面活性剤は、一般に非水溶媒への溶解性が低く、上記のような効果を発揮できないため、本インクへの応用には適さない。本発明のインクには、一般にW/O(油中水滴型)型エマルジョンの形成に適した親油性乳化剤として公知の化合物、より詳細には、グリフィンの計算式によるHLB値(親水性−親油性バランス値)が1〜9の値を有する種々の親油性非イオン界面活性剤を用いる事ができる。このような界面活性剤は、例えば日光ケミカルズ株式会社、花王株式会社等より種々の製品が市販されており、それらを用いる事が可能である。また、非水溶媒との親和性および色材の分散効果において十分な性能を得るために、親油性非イオン界面活性剤のHLB値は、3〜8の範囲にあることがより好ましい。
【0038】親油性非イオン界面活性剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルからなる群から選択された少なくとも1種を用いると優れた効果が得られ、良好な特性を有する静電インクジェットインクが作製できる。
【0039】本発明における基本的な構成材料は以上のような物であるが、このほかに分散剤、界面活性剤、ワックス、染料等の添加剤を適宜加えても良い。ただし、このとき、インクの体積抵抗率が107Ω・mより低くならないように注意する必要がある。
【0040】次に、インクの作製方法について説明する。インクの作製は、種々の一般的な顔料系インクの作製プロセスと同様に行うことができ、例えば、樹脂、金属石鹸、非イオン性界面活性剤その他の補助添加剤を適当な粘度範囲になるように溶媒に混合溶解した物に顔料を加え、ビーズミル、アトライター、ボールミル、ペイントシェイカー等の分散機を用いて、数時間から数十時間程度混合粉砕する事により、数百nm〜2μm程度の色材が分散されたインクの濃縮液を作製した後、使用する際の所定濃度まで分散倍で希釈しインクを作製する方法がある。
【0041】
【実施例】次に、本発明を具体例により説明する。
【0042】(実施例1)エクソン化学製の高純度脂肪族炭化水素溶剤であるアイソパーL(商品名)、70.9gに、飽和炭化水素樹脂15g、HLB値3のポリグリセリン脂肪酸エステル6.6gを加え、飽和炭化水素樹脂が完全に溶解するまで室温で混合攪拌した。
【0043】ここで、アイソパーLは、188〜210℃の沸点範囲を有する高純度イソパラフィン系無臭溶剤で、1010Ω・m以上の体積抵抗率を有している。飽和炭化水素樹脂は、軟化点約80℃、重量平均分子量約1000の常温において固形の樹脂であり、アイソパーLに対して20重量パーセント以上の溶解性を有している。また、樹脂溶液から溶媒を蒸発させることにより常温で塗膜を形成する事が可能である。また、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、親油性の非イオン界面活性剤であり、アイソパーLに対し良好な溶解性を有していた。
【0044】前記混合溶液に、カラーインデックスナンバーがピグメントブルー15:3のフタロシアニンブルー顔料7.5gを加え、直径1mmのジルコニア製ビーズと共にメノウ製の粉砕容器に入れ、ペイントシェイカーを用いて3時間混合粉砕し、顔料濃度7.5%のシアン顔料分散液を作製した。この顔料分散液50gにアイソパーL99.7g、帯電制御剤として金属石鹸であるオクチル酸ジルコニウム0.3gを加え攪拌し、下記のような組成のインクAを作製した。
【0045】
アイソパーL 90.1重量% フタロシアニンブルー顔料 2.5重量% 飽和炭化水素樹脂 5.0重量% ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB=3) 2.2重量% オクチル酸ジルコニウム 0.2重量%インクAは107Ω・m以上の体積抵抗率を有し、顔料のゼータ電位はプラス110mVと非常に高い値を有していた。また顔料のメジアン径(積算粒度分布曲線の50%粒径)は0.28μmであった。ここで、体積抵抗率の測定には、キースレー6517型高抵抗系(商品名)および東洋真空工業1型液体電気抵抗測定用電極(商品名)を用い25℃の恒温槽中で行った。ゼータ電位の測定は、大塚電子ELS−6000型ゼータ電位計(商品名)を用い、インクを溶媒(アイソパーL)で希釈し、25℃に保持した低誘電率用測定セルに導入し行った。顔料のメジアン径は、堀場製作所製LA−700型粒度分布測定装置を用いて室温で顔料の粒度分布を測定して求めた。
【0046】さらに、顔料の分散安定性を比較するため、インクをガラス製サンプル管に入れ、室温で48時間静置し外観を目視観察したところ、顔料の明瞭な沈降分離は見られなかった。
【0047】このインクAを次のような静電型インクジェットヘッドを用いて吐出、印字評価した。
【0048】ここで、図1は、本実施例におけるインクの評価に用いた静電型インクジェットヘッドの構成を示す斜視図である。
【0049】図1において、1はインクジェットヘッド、2はインクに記録信号となる電圧パルスを与えてインク液滴を吐出させるための金属製の記録電極、3は複数の記録電極2が形成された電極基板、4はプラスチック製のヘッドブロック上板、5は同じくプラスチック製のヘッドブロック下板、6はヘッドブロック上板4とヘッドブロック下板5によって形成され、インクタンク(図示せず)とインク流路(図示せず)で連結されたインク充填部、7はヘッドブロック上板4端部とヘッドブロック下板5端部によって形成されたスリット状の開口部、8はインク中の色材を効率的に記録電極先端部近傍に泳動させるための泳動電極、9は記録電極2に対向して配置された金属製の対向電極、10は対向電極9に密着する形で、インクジェットヘッド1の長手方向と垂直に移動可能に配置された記録紙である。インク流路(図示せず)から供給されたインク(図示せず)はインク充填部6に充填され、開口部7においてヘッドブロック上板4と電極基板3および記録電極2先端との間でメニスカスを形成する。本実施例においては、ヘッドブロック上板4端部と電極基板3との間の間隔すなわちスリット幅は約150μm、記録電極2の幅は約60μm、記録電極2の配列間隔は約85μm、記録電極2先端と記録紙10との間隔は0.7mmとした物を用いた。このような構成のインクジェットヘッド1において、プラス帯電性の色材を分散させたインクを用いる場合には、対向電極9には常に一定のマイナス電圧を印加し、さらに泳動電極8に一定のプラス電圧を印加しながら、記録紙10をインクジェットヘッド1の長手方向と垂直に移動させながら、記録電極2に記録信号となるプラスの電圧パルスを一定の周波数で印加することで、記録電極2の先端より対向電極9に向かって静電引力によりインク滴を吐出させ、記録紙状に一定の周期のドットを形成する。
【0050】このインクジェットヘッドを用いて、インクAについて、対向電極電圧−1.2kV、記録電極電圧+400V、泳動電極電圧+200V、記録周波数3kHzの条件でコピー用紙に連続してドット印字を行い、吐出の安定性、記録周波数への応答性と印字濃度(光学濃度)を評価した。光学濃度の測定には、グレタグ濃度計D19Cを用いた。この結果、光学濃度1.4以上の、光学顕微鏡観察による官能評価でも市販のインクジェットプリンター以上の濃度を有する滲みの少ない均一なドットが、3kHzの記録周波数でドット抜けなく安定に記録されていた。
【0051】上記のようにして作製した印字物に対して、記録画像の定着性を評価するため、次のような試験を行った。まず、印字面を内側にして印字部の中央付近が折り曲げ部となるように記録紙を二つ折りにし、その折り曲げた部分の上に直径約3cmの金属製円筒を、その長手方向が印字物の折り曲げた方の端と交差する様に乗せた。次に、金属製円筒の上部を掴み、軽く力を加えながら印字物の折り曲げた部分の上を、折り曲げた方の端と平行に10往復なぞった。その後、印字面の折り曲げた部分を開き、印字面の折り曲げていた部分の様子を目視および光学顕微鏡により観察した。その結果、目視では印字面の剥離は確認されず、また光学顕微鏡観察においても顕著な顔料の剥離は確認されなかった。これは、常温で塗膜形成可能な飽和炭化水素樹脂がバインダーとなり、顔料の記録紙への密着性を向上させているためであると推察される。
【0052】定着強度の比較のため、市販の水性カラーインクジェットプリンターおよび市販のカラーレーザープリンターについて、上記実施例と同じ普通紙にべた印字を行った印字物について、上記実施例と同様に印字部の定着強度試験を行った。ここで、水性カラーインクジェットプリンターは染料インクを用いており、印字部の印字濃度は、本発明の実施例における印字物に比べ低かった。また、カラーレーザープリンターは、乾式トナーを用いており、熱定着機構を備え、普通紙印字物の印字濃度は、本発明の実施例と同等以上であった。その結果、市販の水性カラーインクジェットプリンターの印字物においては、目視および光学顕微鏡観察において、印字面の剥離は確認されなかった。市販のカラーレーザープリンターの印字物においては、目視では折り曲げた部分が細線状に白くなっているのが確認され、光学顕微鏡観察では、色材(トナー)の一部剥離により、紙面が露出しているのが確認された。以上結果より、本実施例のインクを用いた印字物は、十分に高い定着強度を有している事が分かる。
【0053】
【表1】

【0054】(表1)は、実施例1および以降に示す実施例2〜10および比較例1、2におけるインクの組成と物性値および印字評価結果の一覧である。
【0055】ここで、分散安定性の項は、先に述べたような条件におけるインクの放置観察で、明瞭な顔料の沈降分離が見られなかった場合を○、顔料の沈降分離が見られた場合を×で表した。印字性能の項は、記録周波数3kHzで、光学濃度1.4以上のドットが安定に連続して印字できた場合を○(良好)、記録周波数が3kHz以下もしくは安定印字が行えなかった場合は×(不良)で表した。定着強度の項は、前述の定着強度試験に置いて、本実施例と同様に十分に高い定着強度を有していた場合を○と表した。上記性能評価の条件は、以下の実施例2〜10及び比較例1、2についても同様である。
【0056】(実施例2〜5)非イオン界面活性剤として、実施例1のインクAにおけるHLB値3のポリグリセリン脂肪酸エステルの代わりに、HLB値5のソルビタン脂肪酸エステル、HLB値8のポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB値6のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、HLB値4のポリエチレングリコール脂肪酸エステルをそれぞれ用い、実施例1と同様にインクB、C、D、Eを作製した。なお、それぞれの非イオン界面活性剤の濃度は少しずつ異なっている。
【0057】いずれのインクも、107Ω・m以上の体積抵抗率を有していた。
【0058】インクB〜Eについて、実施例1と同様に、インク物性値および印字性能評価、定着強度評価を行った結果を(表1)に記載した。このように、いずれのインクも実施例1と同様に良好な物性値を有し、優れた印字性能と定着強度が得られた。
【0059】(実施例6)エクソン化学製の高純度炭化水素系溶剤であるアイソパーL(商品名)、71.8gに、飽和炭化水素樹脂15g、HLB値3のポリグリセリン脂肪酸エステル6.6gを加え、飽和炭化水素樹脂が完全に溶解するまで室温で混合攪拌した。
【0060】この混合溶液に、カラーインデックスナンバーがピグメントレッド122のキナクリドンマゼンタ顔料6.6gを加え、直径1mmのジルコニア製ビーズと共にメノウ製の粉砕容器に入れ、ペイントシェイカーを用いて3時間混合粉砕し、顔料濃度6.6重量%のマゼンタ顔料分散液を作製した。この顔料分散液50gにアイソパーL99.6g、帯電制御剤として金属石鹸であるオクチル酸ジルコニウム0.38gを加え攪拌し、下記のような組成のインクFを作製した。
【0061】
アイソパーL 90.35重量% キナクリドンマゼンタ顔料 2.2重量% 飽和炭化水素樹脂 5.0重量% ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB=3) 2.2重量% オクチル酸ジルコニウム 0.25重量%インクFは107Ω・m以上の体積抵抗率を有し、その他の物性値も(表1)に記したように、実施例1〜5と同様に良好であった。この結果、実施例1〜5と同様に優れた印字性能と定着強度が得られた。
【0062】(実施例7〜10)非イオン界面活性剤として、実施例6のインクFにおけるHLB値3のポリグリセリン脂肪酸エステルの代わりに、HLB値5のソルビタン脂肪酸エステル、HLB値8のポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB値6のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、HLB値4のポリエチレングリコール脂肪酸エステルをそれぞれ用い、実施例6と同様にインクG、H、I、Jを作製した。なお、それぞれの非イオン界面活性剤の濃度は少しずつ異なっている。
【0063】いずれのインクも、107Ω・m以上の体積抵抗率を有していた。
【0064】インクG〜Jについて、実施例1〜6と同様に、インク物性値および吐出、印字性能評価を行った結果を(表1)に記載した。このように、いずれのインクも実施例1と同様に良好な物性値を有し、優れた吐出、印字性能が得られた。
【0065】(比較例1)非イオン界面活性剤を加えない以外は、実施例1のインクAと同様にしてインクKを作製した。
【0066】インクKは、インクAと同様に、107Ω・m以上の体積抵抗率を有していた。
【0067】インクKについて、実施例1と同様に、インク物性値および吐出、印字性能評価を行った結果を(表1)に記載した。(表1)のように、顔料のメジアン径は1μm以上で実施例1と比較しかなり大きくなっており、インクの静置観察ではインクAと異なり顔料が沈降分離していた。吐出実験においては、インクAと異なり、吐出の安定性および周波数応答性が低いため、記録周波数3kHzで安定に印字を行うことができなかった。
【0068】(比較例2)非イオン界面活性剤を加えない以外は、実施例6のインクFと同様にしてインクLを作製した。
【0069】インクLは、インクFと同様に、107Ω・m以上の体積抵抗率を有していた。
【0070】インクLについて、実施例1と同様に、インク物性値および吐出、印字性能評価を行った結果を(表1)に記載した。(表1)のように、顔料のメジアン径は1μm以上で実施例6と比較しかなり大きくなっており、インクの静置観察ではインクFと異なり顔料が沈降分離していた。吐出実験においては、インクFと異なり、吐出の安定性および周波数応答性が低いため、記録周波数3kHzで安定に印字を行うことができなかった。
【0071】以上の実施例および比較例で示したように、インクに親油性非イオン界面活性剤を含有する事により、色材としてシアン顔料、マゼンタ顔料のいずれを用いた場合も、顔料の小粒径化と分散安定性の向上が実現していることが分かる。また、本実施例で示したインクを用いる事によって、高濃度で定着性にも優れた画像を、高速かつ安定に印字する事が可能であることがわかる。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、高速で安定なインク吐出を実現でき、高濃度で定着性にも優れた画像を形成可能な静電インクジェットインク、それを用いた静電型インクジェット記録方法及び記録装置を実現する事ができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成13年5月7日(2001.5.7)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2002−327139(P2002−327139A)
【公開日】 平成14年11月15日(2002.11.15)
【出願番号】 特願2001−136024(P2001−136024)