| 【発明の名称】 |
塗料組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】西本 忠史
【氏名】川村 力
【氏名】原田 新吾
【氏名】村田 正博
【氏名】猪股 敬司
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| 【要約】 |
【課題】硬度、加工性、風味保持性に優れ、かつビスフェノールAが溶出することのない塗膜を形成できる塗料を得ること。
【解決手段】(A)樹脂を構成する多価アルコール成分中1,4−ジメチロールシクロヘキサンを5〜70モル%含有する、数平均分子量1,000〜20,000及び酸価5〜170mgKOH/gのカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、(B)ノボラック型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂、及び(C)硬化触媒を含有する塗料であって、該ポリエステル樹脂(A)と該エポキシ樹脂(B)との配合割合が、ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基とエポキシ樹脂(B)中のエポキシ基との当量比で、前者/後者=0.5〜2.0となる範囲であり、かつ硬化触媒(C)の配合量が、該ポリエステル樹脂(A)と該エポキシ樹脂(B)との合計100重量部に基いて0.05〜1.0重量部の範囲内であることを特徴とする塗料組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)樹脂を構成する多価アルコール成分中1,4−ジメチロールシクロヘキサンを5〜70モル%含有する、数平均分子量1,000〜20,000及び酸価5〜170mgKOH/gのカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、(B)ノボラック型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂、及び(C)硬化触媒を含有する塗料であって、該ポリエステル樹脂(A)と該エポキシ樹脂(B)との配合割合が、ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基とエポキシ樹脂(B)中のエポキシ基との当量比で、前者/後者=0.5〜2.0となる範囲であり、かつ硬化触媒(C)の配合量が、該ポリエステル樹脂(A)と該エポキシ樹脂(B)との合計100重量部に基いて0.05〜1.0重量部の範囲内であることを特徴とする塗料組成物。 【請求項2】 硬化触媒(C)が、塩化コリン及びニコチン酸アミドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の塗料組成物。 【請求項3】 ポリエステル樹脂(A)が、数平均分子量が1,000以上で6,000未満の範囲内にあり、酸価が25〜170mgKOH/gの範囲内にあるポリエステル樹脂(a−1)と数平均分子量が6,000〜20,000の範囲内にあり、酸価が5〜50mgKOH/gの範囲内にあるポリエステル樹脂(a−2)からなることを特徴とする請求項1又は2記載の塗料組成物。 【請求項4】 さらに、ビスフェノールAを除くフェノール類とホルムアルデヒドとを反応させてなるフェノール樹脂(D)を、上記ポリエステル樹脂(A)と上記エポキシ樹脂(B)との合計100重量部に基いて、10重量部以下含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料組成物。 【請求項5】 上記請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗料組成物を成型加工された缶内面に塗装し焼付けて、乾燥膜厚が約2〜20μmの塗膜を缶内面に形成することを特徴とする缶内面の塗装方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、加工性に優れ、風味保持性に優れた塗膜を形成でき、かつ塗膜からビスフェノールAが溶出することのない塗料に関し、なかでも缶内面の塗装用として好適な塗料組成物に関する。 【0002】 【従来の技術及びその課題】従来、缶内面用の有機溶剤型塗料としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤とを組合わせた塗料が一般に使用されている。 【0003】しかしながら、この塗料から形成される塗膜は、厳しい加工に対しては加工性が十分でなく、また、近年、外因性内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)の一つとしてビスフェノールAが挙げられたこともあって、塗膜からビスフェノールAが溶出しない塗料が要求されてきている。 【0004】上記目的を達成するために、ビスフェノールAを含有しないエポキシ樹脂とフェノール樹脂との組み合わせ、ビスフェノールAを含有しないエポキシ樹脂とポリエステル樹脂との組み合わせなどが検討されてきたが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた従来塗料から得られる塗膜の硬度を維持したまま加工性を改善するということは極めて難しいものであった。 【0005】本発明の目的は、硬度、加工性、風味保持性に優れ、かつビスフェノールAが溶出することのない塗膜を形成できる塗料を得ることである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究の結果、多価アルコール成分として1,4−ジメチロールシクロヘキサンを用いたカルボキシ基含有ポリエステル樹脂とノボラック型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂とを組合せることにより上記目的を達成できることを見出し本発明を完成させたものである。 【0007】すなわち、(A)樹脂を構成する多価アルコール成分中1,4−ジメチロールシクロヘキサンを5〜70モル%含有する、数平均分子量1,000〜20,000及び酸価5〜170mgKOH/gのカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、(B)ノボラック型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂、及び(C)硬化触媒を含有する塗料であって、該ポリエステル樹脂(A)と該エポキシ樹脂(B)との配合割合が、ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基とエポキシ樹脂(B)中のエポキシ基との当量比で、前者/後者=0.5〜2.0となる範囲であり、かつ硬化触媒(C)の配合量が、該ポリエステル樹脂(A)と該エポキシ樹脂(B)との合計100重量部に基いて0.05〜1.0重量部の範囲内であることを特徴とする塗料組成物を提供するものである。 【0008】また、本発明は、上記の塗料組成物を成型加工された缶内面に塗装し焼付けて、乾燥膜厚約2〜20μmの塗膜を缶内面に形成することを特徴とする缶内面の塗装方法を提供するものである。 【0009】以下に本発明の塗料組成物及び塗装方法について説明する。 【0010】 【発明の実施の形態】まず本発明の塗料組成物について説明する。 【0011】本発明の塗料組成物は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)及び硬化触媒(C)を含有する塗料である。 【0012】カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)本発明組成物の(A)成分であるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコール成分とのエステル化物からなり、硬度、加工性、硬化性などの観点から、該多価アルコール成分中1,4−ジメチロールシクロヘキサンを5〜70モル%、好ましくは15〜60モル%含有し、且つカルボキシル基を樹脂中に含有するものである。特に1,4−ジメチロールシクロヘキサンをポリエステル樹脂を構成するエチレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール成分の替わりに用いることにより加工性をほとんど低下させることなく塗膜の硬度を上げることができる。 【0013】上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)は、例えば、下記(1)又は(2)の方法によって得ることができる。 (1)多塩基酸成分と多価アルコール成分とをカルボキシル基が水酸基に対して過剰となる条件下でエステル化反応させる方法、(2)多塩基酸成分と多価アルコール成分とをカルボキシル基に対して水酸基が過剰となる条件下で反応させてなるポリエステルポリオールに、酸無水物を反応させる方法。 【0014】上記ポリエステル樹脂(A)を構成する多塩基酸成分としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸などから選ばれる1種以上の二塩基酸及びこれらの酸の低級アルキルエステル化物が主として用いられ、必要に応じて安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸などの一塩基酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸などの3価以上の多塩基酸などが併用される。 【0015】また、上記ポリエステル樹脂(A)を構成する多価アルコール成分としては1,4−ジメチロールシクロヘキサン以外に、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの二価アルコールが主に用いられ、さらに必要に応じてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールを併用することができる。これらの多価アルコールは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。両成分のエステル化又はエステル交換反応は、それ自体既知の方法によって行うことができる。 【0016】上記(1)の方法においては、上記多塩基酸成分と上記多価アルコール成分とをカルボキシル基が水酸基に対して過剰となる条件下で、常法により直接エステル化法又はエステル交換法によってカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)を得ることができる。この際に、多塩基酸成分と上記多価アルコール成分の合計に基づいて3官能以上の成分の割合が、12モル%以下、好ましくは5モル%以下であることが加工性などの点から好適である。 【0017】上記(2)の方法においては、上記多塩基酸成分と上記多価アルコール成分とをカルボキシル基に対して水酸基が過剰となる条件下で、常法により直接エステル化法又はエステル交換法により反応させることによってポリエステルポリオールを得る。このポリエステルポリオール製造の際に、多塩基酸成分と上記多価アルコール成分の合計に基づいて3官能以上の成分の割合が、12モル%以下、好ましくは7モル%以下であることが加工性などの点から好適である。得られたポリエステルポリオールに、酸無水物を反応させることによってカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)を得ることができる。ポリエステルポリオールに反応させる酸無水物としては、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸などを挙げることができる。 【0018】上記(1)、(2)の方法において、直接エステル化法又はエステル交換法による反応は、加圧又は減圧操作、あるいは不活性ガスを流入させて反応を促進させることもできる。さらに反応の際にジ−n−ブチル錫オキサイドなどの有機金属触媒などをエステル化触媒として使用することができる。また工業的には、通常、直接エステル化法が有利に使用され、加圧せずに反応を行う際にはエステル交換法が有利に使用されるが、条件などに応じ適宜行うことができる。上記(1)、(2)の方法のうち、なかでも(2)の方法が分子量や酸価の調節のしやすさなどの点から好適である。 【0019】カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)は、加工性、耐食性、硬化性などの点から数平均分子量が1,000〜20,000、好ましくは2,000〜10,000、酸価が5〜170mgKOH/g、好ましくは20〜80mgKOH/gの範囲内が適しており、この性状のポリエステル樹脂が得られるように、上記酸成分とアルコール成分との配合比、各成分の種類などが適宜選択される。また、ポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移温度が−10〜80℃の範囲内にあることが適している。 【0020】本発明組成物を粉体塗料として使用する場合には、ポリエステル樹脂(A)は、耐ブロッキング性及び塗面平滑性の点から軟化点が50〜140℃、好ましくは80〜130℃の範囲内であることが適している。 【0021】カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)は、1種又は2種以上のポリエステル樹脂の混合であってもよい。例えば、ポリエステル樹脂(A)が、数平均分子量が1,000以上で6,000未満の範囲内にあり、酸価が25〜170mgKOH/gの範囲内にあるポリエステル樹脂(a−1)と数平均分子量が6,000〜20,000の範囲内にあり、酸価が5〜50mgKOH/gの範囲内にあるポリエステル樹脂(a−2)との混合物であることが、加工性、耐食性、硬化性のバランスの点から好適である。 【0022】エポキシ樹脂(B)本発明組成物における(B)成分であるエポキシ樹脂は、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)と反応して硬化することができる樹脂であり、ノボラック型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂から選ばれる。 【0023】ビスフェノールF型エポキシ樹脂ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの反応によって得ることができるし、またエポキシ当量が比較的低いビスフェノールF型エポキシ樹脂にビスフェノールFを付加させる方法によっても得ることができる。 【0024】ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、数平均分子量が300〜15,000、好ましくは300〜3,000の範囲内にあり、エポキシ当量が150〜5,000、好ましくは150〜1,000の範囲内にあるものが適している。 【0025】前記エポキシ当量が比較的低いビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エポキシ当量約150〜約2,000のものが一般的であり、市販品としては例えば、エピコート806、同807、同806L、同4004P、同4007P(油化シェルエポキシ社製);エポトートYDF170、同YDF175S、同YDF2001、同YDF2004、同YDF8170C、同YD8125、同ZX1059(以上、いずれも東都化成社製);エポミックR−114(三井化学社製);アデカレジンEP−4900(旭電化社製);エピクロン830(S)(大日本インキ化学社製)等を挙げることができる。 【0026】ノボラック型エポキシ樹脂ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、分子内に多数のエポキシ基を有するフェノールグリオキザール型エポキシ樹脂などの各種のノボラック型エポキシ樹脂を挙げることができる。 【0027】上記ノボラック型エポキシ樹脂の代表例としては、下記一般式[1]、[2]及び[3]に示すものを挙げることができる。 【0028】 【化1】
【0029】上記式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数7〜10のアラルキル基を示し、nは2〜12の整数を示す。 【0030】 【化2】
【0031】上記式中、R3及びR4はそれぞれ同一又は異なって、水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、mは1〜5の整数を示す。 【0032】 【化3】
【0033】上記式中、R1は前記と同じ意味を有する。 【0034】前記式[1]中のR2において、炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル基などを挙げることができ、炭素原子数7〜10のアラルキル基としては、ベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル、フェネチル基などを挙げることができる。 【0035】前記式[2]中のR3及びR4において、炭素原子数1〜3のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル基などを挙げることができる。 【0036】ノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、フェノールノボラック型として、エピコート152、同154(以上、いずれも油化シェルエポキシ社製)、EPPN−201(日本化薬社製)、エポトートYDPN−638(東都化成社製)などが挙げられ、クレゾールノボラック型として、エピコート180S65、同180H65(以上、いずれも油化シェルエポキシ社製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S(以上、いずれも日本化薬社製)、エポトートYDCN−701、同−702、同−703、同−704(以上、いずれも東都化成社製)などが挙げられ、その他のノボラック型エポキシ樹脂として、エポトートZX−1071T、同ZX−1015、同ZX−1247、同YDG−414S(以上、いずれも東都化成社製)などを挙げることができる。 【0037】硬化触媒(C)本発明組成物における(C)成分である硬化触媒は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との反応を促進できるものであればよく、例えば、塩化コリン、ニコチン酸アミド、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン、ピペラジン、N,N−ジメチルエタノールアミン、有機カルボン酸金属塩、イミダゾール化合物などを挙げることができる。 【0038】上記塩化コリンは、化学式[HOCH2CH2N(CH3)3]+・Cl−で表される化合物である。 【0039】上記有機カルボン酸金属塩としては、炭素原子数5〜24の脂肪酸の金属塩が好ましく、具体例として、2−エチルヘキサン酸錫、ラウリン酸錫、ジブチル錫ジオクチレート、ジブチル錫ジラウレート、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムなどを挙げることができる。イミダゾール化合物としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム・トリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウム・トリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチルS−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2−ウンデシルイミダゾリル−(1)]−エチルS−トリアジン、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウム・クロライド、1,3−ジベンジル−2−メチルイミダゾリウム・クロライドなどを挙げることができる。上記硬化触媒のうち、塩化コリン及びニコチン酸アミドが衛生性の点から特に好適である。 【0040】本発明の塗料組成物における前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との配合割合は、塗料の硬化性、密着性、加工性、耐水性、耐腐食性、風味保持性などの観点から、ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基/エポキシ樹脂(B)中のエポキシ基の当量比が通常、0.5/1〜2/1、好ましくは0.7/1〜1.5/1となる範囲が適当である。 【0041】本発明の塗料組成物において、硬化触媒(C)の配合割合は、特に制限されるものではないが、触媒効果、得られる塗膜の平滑性、耐水性などの点から、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との合計100重量部に基いて、0.05〜1.0重量部、さらには0.1〜0.5重量部の範囲内であることが好適である。 【0042】本発明の塗料組成物は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)と硬化触媒(C)のみからなっていてもよいが、必要に応じて硬化剤を含有することができる。硬化剤としては、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)及び/又はエポキシ樹脂(B)と反応する硬化剤が用いられ、なかでもビスフェノールAを除くフェノール類とホルムアルデヒドとを反応させてなるフェノール樹脂(D)を好適に使用することができる。 【0043】上記フェノール樹脂(D)を得るのに用いられるフェノール類としては、食品衛生上、問題のないフェノール類を好適に使用でき、例えば、フェノール、メチルフェノール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−シクロヘキシルフェノール、p−オクチルフェノール、キシレノールなどの1分子中にベンゼン環を1個有するフェノール;フェニルo−クレゾール、p−フェニルフェノールなどの1分子中にベンゼン環を2個有するフェノール;ビスフェノールF、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、p−(4−ヒドロキシフェニル)フェノール、オキシビス(4−ヒドロキシフェニル)、スルホニルビス(4−ヒドロキシフェニル)、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタンなどのビスフェノール類などを挙げることができる。 【0044】フェノール樹脂(D)を得るためのフェノール類とホルムアルデヒドとの反応は、それ自体既知のフェノール樹脂製造反応であることができ、必要に応じて、溶媒、反応触媒の存在下で行うことができる。フェノール樹脂(D)は、レゾール型フェノール樹脂であってもノボラック型フェノール樹脂であってもよい。なかでもレゾール型フェノール樹脂であることが好適である。 【0045】上記フェノール樹脂(D)を配合する場合には、前記ポリエステル樹脂(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計100重量部に基いて、10重量部以下、好ましくは1〜8重量部の範囲内が適している。 【0046】本発明の塗料組成物は、さらに必要に応じて、塗料用として、それ自体既知の、有機溶剤、塗面改良剤、ワックス類、着色顔料、体質顔料、改質樹脂、ベンゾインなどのワキ防止剤(加熱焼付け時の塗膜の発泡防止剤)などを含有することができる。 【0047】本発明の塗料組成物は、有機溶剤型塗料であっても粉体塗料であってもよい。有機溶剤型塗料の場合には、有機溶剤を必須成分として含有する。粉体塗料とする場合には、耐ブロッキング性及び塗面平滑性の点から、樹脂成分の軟化点が50〜140℃、好ましくは80〜130℃の範囲内であることが適している。 【0048】本発明の塗料組成物が、粉体塗料である場合には、体質顔料としては、例えば酸化アルミニウム微粉末、シリカ微粉末などを好適に使用することができる。酸化アルミニウム微粉末及び/又はシリカ微粉末を配合すると、粉体塗料の流動性を向上させることができるので有利である。酸化アルミニウム微粉末及びシリカ微粉末は、それぞれ単独で、又は混合して配合することができ、その配合量は、両者の合計量が、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜5.0重量部の範囲内であることが好適である。 【0049】本発明の塗料組成物は、加工性に優れ、硬化性が良好で風味保持性に優れ、かつビスフェノールAなどの環境ホルモンが溶出することのない塗膜を形成できるので、缶の内外面、なかでも缶の内面に塗装することによって本発明の効果を十分に発揮することができる。 【0050】次に本発明の塗装方法について説明する。 【0051】本発明の塗装方法は、上記本発明の塗料組成物を成型加工された缶内面に塗装し焼付けて、塗膜を缶内面に形成する方法である。 【0052】上記成型加工された缶の素材としては、例えば無処理鋼板、錫メッキ鋼板、亜鉛メッキ鋼板、クロムメッキ鋼板、リン酸塩処理鋼板、クロム酸塩処理鋼板、無処理アルミニウム板、クロム酸塩処理アルミニウム板などの金属素材を挙げることができる。 【0053】本発明の塗装方法において、成型加工された缶内面に本発明の塗料組成物を塗装するにはスプレー塗装が好適である。塗膜厚は、乾燥膜厚が約2〜20μm、好ましくは5〜15μmとなる範囲内が適している。塗膜の焼き付け条件は、塗膜が硬化する条件であれば特に制限されるものではないが、通常、約140℃〜350℃の温度で約7秒〜約180秒間程度焼き付け乾燥することによって硬化塗膜を形成することができる。 【0054】 【実施例】以下、実施例により本発明を、さらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」はいずれも重量基準によるものとする。 【0055】製造例1撹拌機、精留塔、温度計が付いた反応槽に1,4−ジメチロールシクロヘキサン26.5部(0.18モル)、エチレングリコール22.8部(0.37モル)、1,3−ブタンジオール28.0部(0.37モル)、アジピン酸14.6部(0.1モル)、イソフタル酸61.7部(0.37モル)、テレフタル酸20.4部(0.12モル)及びジブチル錫ジオキシド0.2部を仕込み、不活性ガスの存在下、精留塔温度が102℃を越えないように昇温しながら第1段のエステル化反応を行った。理論縮合水量の2/3の量が留出したところで一旦冷却し、イソフタル酸41.1部(0.25モル)、テレフタル酸25.9部(0.16モル)を追加し250℃まで徐々に昇温しながら縮合水を留出させて第2段のエステル化反応を行い、冷却してポリエステル樹脂(R−1)を得た。後記表1に原料組成と得られたポリエステル樹脂の性状を示す。 【0056】製造例2〜7製造例1において、原料配合を下記表1に示すとおりとする以外は、製造例1と同様に行いポリエステル樹脂(R−2)〜(R−7)を得た。得られたポリエステル樹脂の性状を表1に示す。表1において、組成の原料配合量は重量部によって表示した。 【0057】 【表1】
【0058】実施例1〜10及び比較例1〜7上記製造例1〜7で得たポリエステル樹脂を使用し、後記表2及び表3に示す配合にて均一に混合して各塗料組成物を得た。原料によっては前もって溶剤に溶解してから配合した。表2及び表3において、各成分の配合量は重量部によって表示する。 【0059】表2及び表3中における(註)は、それぞれ下記の意味を有する。 (*1)YDCN704:東都化成社製、商品名「エポトートYDCN704」、数平均分子量約1,300、エポキシ当量約206、軟化点約94℃のノボラック型エポキシ樹脂、固形分100%。 (*2)エピコート154:油化シェルエポキシ社製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量約174、数平均分子量約500。 (*3)トプコS923:東洋ペトライト社製、マイクロクリスタリンワックス、固形分100%。 (*4)モダフロー:米国、モンサント社製、アクリル樹脂オリゴマーである表面調整剤、固形分100%。 【0060】塗装板の作成方法実施例1〜10及び比較例1〜7で得た各塗料組成物を#25ブリキ板に乾燥塗膜厚が約15μmとなるようにバーコータ塗装し、200〜210℃を30秒間保持する条件で焼き付けて硬化させ各塗装板を作成した。 【0061】上記塗装板の作成方法で得た各塗装板について、塗面状態、ゲル分率、加工性、耐水性、密着性、耐水試験後の密着性について下記方法に従って試験を行った。これらの試験結果を後記表2及び表3に示す。 【0062】塗面状態:塗装板の塗面を目視観察し、下記の基準によって評価した。 ○:塗面全面が滑らかで、発泡なども認められない△:塗面全面に僅かに凹凸がみられ、小さい発泡が認められる×:塗面全面に僅かに凹凸がみられ、大きい発泡が認められる。 【0063】ゲル分率:フラスコ内に、重量W2の塗装板を入れ、メチルエチルケトン/塗装板の塗装面積=100cc/100cm2となるようにメチルエチルケトンを入れ、加熱還流下で1時間抽出を行った後、塗装板を取出し120℃で30分間乾燥させ室温まで冷却後、重量W3を測定した。塗装板に塗料を塗装する前のブリキ板の重量をW1とし、ゲル分率(%)は下記式によって求めた。 ゲル分率(%)={(W3−W1)/(W2−W1)}×100鉛筆硬度(80℃):ホットプレート上で塗装板を80℃に保持し、JISK−5400 8.4.2(1990)に規定する鉛筆引っかき試験を行ない、被膜が破れる鉛筆の硬さを調べた。 【0064】加工性:塗装板の下部に塗膜面を外側にして180度折曲げ部を設け、特殊ハゼ折り型デュポン衝撃試験機を用いて、この折曲げ部に接触面が平らな重さ1kgの鉄の錘を高さ50cmから落下させて折曲げ部に衝撃を与えた後、折曲げ先端部に印加電圧6.5Vで6秒間通電し、折曲げ先端部20mm幅の電流値(mA)を測定した。 ◎:2mA未満○:2mA以上で8mA未満△:8mA以上で20mA未満×:20mA以上。 【0065】耐水性:塗装板をオートクレーブ中、125℃の脱イオン水に35分間浸漬し引上げた後、塗膜の白化状態を観察し以下の基準により評価した。 ◎:塗膜に全く白化が認められない○:塗膜に僅かな白化が認められる△:塗膜にかなりの白化が認められる×:塗膜に著しい白化が認められる。 【0066】密着性:塗装板の塗膜にナイフを使用して約1.5mmの幅で縦、横それぞれ11本の切り目をゴバン目に入れ、24mm幅のセロハン粘着テープを密着させ、強く剥離した時のゴバン目部の塗膜を観察し、以下の基準により評価した。 ◎:全く剥離が認められない○:僅かな剥離が認められる△:かなりの剥離が認められる×:著しい剥離が認められる。 【0067】耐水試験後の密着性:塗装板をオートクレーブ中、125℃の脱イオン水に35分間浸漬し引上げた後、塗膜にナイフを使用して約1.5mmの幅で縦、横それぞれ11本の切り目をゴバン目に入れ、24mm幅のセロハン粘着テープを密着させ、強く剥離した時のゴバン目部の塗膜を観察した。評価は上記密着性試験の評価基準にて行った。 【0068】耐腐食性及び風味保持性試験のための2ピース缶胴の作成内容量250ccのスチール製2ピース缶の内面に実施例1〜10及び比較例1〜7で得た各塗料組成物を乾燥膜厚が約15μmとなるようにホットエアスプレー塗装し、215℃で60秒間焼き付けて硬化させ2ピース缶の缶胴を作成した。 【0069】上記2ピース缶の缶胴に各試験液を入れ、上蓋を巻き締めして下記耐腐食性及び風味保持性の試験を行った。これらの試験結果を後記表2及び表3に示す。 【0070】耐腐食性:上記それぞれの缶胴を用い、10%パインジュースを98℃でホットパック充填巻き締めし、37℃で6ケ月間保存後、開缶し、内面の腐食の状態を観察し、以下の基準により評価した。 ◎:腐食が認められない○:腐食が僅かに認められる△:腐食がかなり認められる×:腐食が著しい。 【0071】風味保持性:上記それぞれの缶胴を用い、水道水を活性炭で処理した水を250cc充填し、巻き締めを行い、125℃で30分間殺菌処理後、37℃で6ケ月間保存した後、風味試験を実施し、以下の基準により評価した。 ◎:全く変化が認められない○:僅かに変化が認められる△:かなりの変化が認められる×:著しい変化が認められる。 【0072】 【表2】
【0073】 【表3】
【0074】 【発明の効果】本発明組成物によって、硬度、加工性に優れ、風味保持性に優れた塗膜を形成でき、かつ該塗膜からビスフェノールAが溶出することがない。したがって、本発明の塗料組成物は、缶内面の塗装に好適に使用することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001409 【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年2月27日(2001.2.27) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−249707(P2002−249707A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月6日(2002.9.6) |
| 【出願番号】 |
特願2001−51733(P2001−51733) |
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