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【発明の名称】 インクセット、それを用いたインクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置
【発明者】 【氏名】薬師川 祐子

【氏名】滝沢 吉久

【氏名】小野 絵里子

【要約】 【課題】インクジェット記録装置において,耐水性が良好で,かつBkとカラー間のブリードを防止した高精細な画像を形成し,特に黒色インクによる画像が高い文字品位,画像濃度を有するインクセットを提供する【解決手段】 Bkインクが少なくとも,カーボンブラック顔料,水溶性有機溶剤,水を含み,Bkインクとは異色のカラーインクが少なくとも油性染料,水,水溶性有機溶剤,油性染料を分散させるための水溶性ポリマーもしくは界面活性剤を含み,かつBkインクとは異なるカラーインクの少なくとも1色に,前記水溶性ポリマーもしくは界面活性剤として前記Bk顔料インクの極性とは異なる物質を用いることを特徴とするインクセット、それを用いたインクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置。

【解決手段】Bkインクが少なくとも,カーボンブラック顔料,水溶性有機溶剤,水を含み,Bkインクとは異色のカラーインクが少なくとも油性染料,水,水溶性有機溶剤,油性染料を分散させるための水溶性ポリマーもしくは界面活性剤を含み,かつBkインクとは異なるカラーインクの少なくとも1色に,前記水溶性ポリマーもしくは界面活性剤として前記Bk顔料インクの極性とは異なる物質を用いることを特徴とするインクセット、それを用いたインクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2色以上のインクを用いて、カラー画像を被記録材にインクジェット記録方式で記録するインクジェット記録方法に使用するインクセットにおいて、該インクのうちブラックインク(Bkインク)が少なくとも、カーボンブラック顔料、水溶性有機溶剤、水を含み、Bkインクとは異色のカラーインクが少なくとも油性染料、水、水溶性有機溶剤、油性染料を分散させるための水溶性ポリマーもしくは界面活性剤を含み、かつBkインクとは異なるカラーインクの少なくとも1色に、前記水溶性ポリマーもしくは界面活性剤として前記Bk顔料インクの極性とは異なる物質を用いることを特徴とするインクセット。
【請求項2】 前記界面活性剤の添加量が1〜50重量%である請求項1に記載のインクセット。
【請求項3】 前記界面活性剤の添加量が3〜20重量%である請求項1または2に記載のインクセット。
【請求項4】 前記水溶性ポリマーが重量平均分子量が1000〜50000である請求項1に記載のインクセット。
【請求項5】 前記水溶性ポリマーの添加量が1〜50重量%である請求項1または4に記載のインクセット。
【請求項6】 前記水溶性ポリマーの添加量が3〜20重量%である請求項1、4および5のいずれかに記載のインクセット。
【請求項7】 前記油性染料を分散させるために水溶性ポリマーを使用する請求項1および4〜6のいずれかに記載のインクセット。
【請求項8】 前記黒色顔料が、少なくとも1つの親水性基が他の原子団を介してカーボンブラック表面に結合している自己分散型カーボンブラックであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクセット。
【請求項9】 該自己分散型カーボンブラックにおいて該原子団が、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、置換もしくは未置換のフェニレン基、または置換もしくは未置換のナフチル基である請求項8に記載のインクセット。
【請求項10】 前記Bkインクに前記黒色顔料として少なくとも1つの親水性基がアニオン性基を有する原子団を介してカーボンブラック表面に結合しているアニオン性自己分散型カーボンブラックを用い、該Bkインクを除くカラーインクのうち少なくとも1つが前記水溶性ポリマーとしてカチオン性ポリマーを用いたインクである請求項4〜9のいずれかに記載のインクセット。
【請求項11】 該親水性基が、下記式で示す基から選ばれる少なくとも1つである請求項10に記載のインクセット。
-COOM、-SO3M、-PO3HM、-PO32、-SO2NH2、-SO2NHCOR(ただし、式中のMは水素原子、アルキル金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムを表し、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基、置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のナフチル基を表す。)【請求項12】 前記Bkインクに前記黒色原料として少なくとも1つの親水性基がカチオン性基を有する原子団を介してカーボンブラック表面に結合しているカチオン性自己分散型カーボンブラックを用い、該Bkインクを除くカラーインクのうち少なくとも1つが前記水溶性ポリマーとしてアニオン性ポリマーを用いたインクである請求項4〜9のいずれかに記載のインクセット。
【請求項13】 該親水性基が、下記式で示す基から選ばれる少なくとも1つである請求項12記載のインクセット。
-NH3+、-NR3+【化1】

(ただし、式中のRは炭素原子数1〜12のアルキル基、置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のナフチル基を表す。)【請求項14】 インク滴を記録信号に応じてオリフィスから吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、該インクとして、請求項1〜13のいずれかに記載のインクセットを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項15】 2色以上のインクを用いて、カラー画像を記録する請求項14に記載のインクジェット記録方法。
【請求項16】 該インクジェット記録方式が熱エネルギーを利用してインクの被記録材への付与を行う請求項14または15に記載のインクジェット記録方法。
【請求項17】 インクを収容したインク収容部と、該インク収容部から供給されたインクを吐出するヘッド部とを備えた記録ユニットにおいて、該インク収容部が請求項1〜13のいずれかに記載のインクセットを構成する各インクを収納する部分を有することを特徴とする記録ユニット。
【請求項18】 前記ヘッド部が、熱エネルギーを利用してインクの被記録材への付与を行う請求項17に記載の記録ユニット。
【請求項19】 前記インク収容部が、内部にインク吸収体を含有している請求項18または19に記載の記録ユニット。
【請求項20】 インク収容部がポリウレタン、セルロース、ポリビニルアセテートまたはポリオレフィン系樹脂で形成されている請求項17に記載の記録ユニット。
【請求項21】 インクを収容したインク収容部と、該インク収容部から供給されたインクを吐出するヘッド部とを有する記録ユニットを備えたインクジェット記録装置において、該記録ユニットが請求項18〜20のいずれかに記載の記録ユニットであることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項22】 ヘッド部が、インクに熱エネルギーを作用させてインク滴を吐出させるヘッドである請求項21に記載のインクジェット記録装置。
【請求項23】 インク収容部が、内部にインク収容体を含有している請求項22に記載のインクジェット記録装置。
【請求項24】 インク収容部が、ポリウレタン、セルロース、ポリビニルアセテートまたはポリオレフィン系樹脂で形成されている請求項23に記載のインクジェット記録装置。
【請求項25】 インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、請求項1〜13のいずれかに記載のインクセットを構成する各インクを収納する部分を有することを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項26】 インク収容部のインクと接触する面がポリオレフィン系樹脂で構成された請求項25に記載のインクカートリッジ。
【請求項27】 インクを収容するインク収容部と、該インク収容部から供給されたインクを吐出するための記録ヘッドと、該インク収容部から該記録ヘッドに供給するためのインク供給部とを有するインクジェット記録装置において、該インク収容部が、請求項25または26に記載のインクカートリッジからなることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項28】 記録ヘッドが、インクに熱エネルギーを作用させてインク滴を吐出させるヘッドである請求項27に記載のインクジェット記録装置。
【請求項29】 インク収容部がポリオレフィンで形成された接液面を有する請求項27に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の着色インクを用いたインクセット及びこれらのインクの原色を組み合わせることにより被記録材にカラー画像を記録する方法に関し、十分な耐水性を有し、高精細な画像が得られ、特に黒色インクが、文字品位が良好で、高い画像濃度を有する画像を形成するインクジェット方式に適応するインクセット及びこれを用いるインクジェット記録方式に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、高電圧印加による静電吸引方式、圧電素子を用いて着色インクに機械的振動または変位を与える方式、インクを加熱して発泡させる圧力を利用する方式等、種々のインク吐出方式によりインクの小滴を発生させ、これを飛翔させて紙等の被記録材に付着させ、インクジェットを形成させて記録を行うものであり、騒音の発生が少なく、高速印字、多色印字を行える記録方式である。
【0003】インクジェット記録法によりカラー画像が形成される場合には、一般にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の三原色が使用されている。さらに、一般にはブラック(Bk)によって記録される頻度が高いため、C、M、Yの三原色インクに加えてBkインクが追加されて使用されている。
【0004】この方式で用いられるインクに求められる性能としては、高精細な画像フェザリングや滲みのないこと、カラー画像においては、異色間同士の色の混じり合い(ブリード)がないこと、また得られる画像の堅牢性として、耐水性、耐擦過性等が良好であることなどが挙げられる。
【0005】また特に文字が主体の画像を形成するBkインクには良好な文字品位、高い画像濃度や黒色再現性が求められる。
【0006】しかし水溶性染料を用いたBkインクでは、耐水性や黒色再現性が十分ではない。そこで、色材としてカーボンブラックが用いられるようになっている。カーボンブラックを水性インクとして使用するためには、水性媒体中にカーボンブラックを安定して分散させることが必要である。特開平3-210373号公報には分散剤として水溶性樹脂を使用する方法が開示されている。このように一般的には分散剤を用いて分散させる方法がとられている。
【0007】また、分散剤を使用しない分散方法としては、カーボンの表面に水溶性基を導入することによって、水性媒体中に分散させる方法が、特開平5-186704号公報、特開平8-3498号公報等に開示されている。自己分散型カーボンブラックは、その表面の親水基によってカチオン性もしくはアニオン性に帯電しており、そのイオンの反発によって水分散性を有し、またその親水基により親水性が向上している。そのため長期間保存されても水性媒体中に安定して分散された顔料インクが得られる。このカーボンブラックを色材として用いた水性Bkインクによると、良好な文字品位、高い画像濃度を得ることができ、形成する画像の耐水性、耐擦過性等が良好である。
【0008】一方、カラーインクとしては、色材として水溶性染料を使用した水性インクが使用されている。しかし、これらインクは乾燥後の画像も耐水性に乏しかった。そこで、この耐水性を改善するために特開平5-239392号公報、特開平8-259871号公報には、色材に非水溶性染料を用いて耐水性を向上させる方法が開示されている。特開平5-239392号公報では、非水溶性染料を水分散性樹脂を用いて水中に分散させ、水性インクを製造する方法が開示されている。しかしこれらに開示されているインクでは非水溶性染料を用いるため、画像の耐水性は向上するが、カラー画像においてはブリードが改善されておらず、高精細な画像は得られなかった。
【0009】ここでブリードとは、このC、M、Y及びBkの4色のインクを用いた画像形成時に、異色の2つのインクを隣接させて打ち込んだ場合、その境界部においてインクが未定着のまま部分的に混じり合い、その結果、異色間の境界滲みが生じるという現象である。特にBkとカラーの2つのインクを隣接させる場合では、ブリードは顕著に見られる。
【0010】このブリードの改善については、化学反応により析出する水溶性染料を組み合わせたインクセットでカラー画像を形成する方法が、特開平5-208548号公報、特開平6-57192号公報、特開平6-106841号公報に開示されている。これらは色材としてpH感応性染料を用いたり、沈殿剤を用いることで、染料を析出させ、ブリードを防止するものである。
【0011】また特開平7-145336号公報、特開平9-109547号公報には異色のインクの極性を変えることによって異色間のインクの境界部での混合を防ぐ方法が開示されている。
【0012】特開平7-145336号公報では2色以上のどちらかにポリマーを含有させたアニオン性のインク、カチオン性のインクを接触させて、ブリードを低減させている。また特開平9-109547号公報では、アニオン性染料とカチオン染料の組み合わせ、もしくは一方が水溶性染料でもう一方が非水溶性染料と高分子物質という組み合わせによりブリード低減を試みている。
【0013】これらのインクセットはアニオン性とカチオン性という異なる極性のインク同士の反応で、異色インクの境界部で造塩、凝集させることによりブリードを低減させており、そのインク極性は水溶性染料や水溶性ポリマーに由来するものである。しかしながら、これらインクの極性を左右しているこれら物質は水性媒体中に均一に溶解している。そのため異色インク間境界部での造塩、凝集の反応が、水溶性染料分子や水溶性ポリマー分子という小さな分子レベルで起きているために急激な凝集とはならなく、完全にブリードを防ぐには至らなかった。加えて、染料が造塩反応を起こす場合では色調の変化も生じてしまう。
【0014】またこれらは色材として少なくとも1つに水溶性染料を使用しているため、記録画像の耐水性が問題となっていた。
【0015】そこで本発明の目的は、インクジェット記録装置において、耐水性が良好で、かつBkとカラー間のブリードを有効に抑制した高精細な画像を形成し、特に黒色インクによる画像が高い文字品位、画像濃度を有するインクセットを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発明によって達成される。
【0017】すなわち、本発明は、2色以上のインクを用いて、カラー画像を被記録材にインクジェット記録方式で記録するインクジェット記録方法に使用するインクセットにおいて、該インクのうちブラックインク(Bkインク)が少なくとも、カーボンブラック顔料、水溶性有機溶剤、水を含み、Bkインクとは異色のカラーインクが少なくとも油性染料、水、水溶性有機溶剤、油性染料を分散させるための水溶性ポリマーもしくは界面活性剤を含み、かつBkインクとは異なるカラーインクの少なくとも1色に、前記水溶性ポリマーもしくは界面活性剤として前記Bk顔料インクの極性とは異なる物質を用いることを特徴とするインクセットに関するものである。
【0018】また、本発明は、インク滴を記録信号に応じてオリフィスから吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、該インクとして、前記記載のインクセットを用いることを特徴とするインクジェット記録方法に関するものである。
【0019】さらに、本発明は、インクを収容したインク収容部と、該インク収容部から供給されたインクを吐出するヘッド部とを備えた記録ユニットにおいて、該インク収容部が前記記載のインクセットを構成する各インクを収納する部分を有することを特徴とする記録ユニットに関するものである。
【0020】またさらに、本発明は、インクを収容したインク収容部と、該インク収容部から供給されたインクを吐出するヘッド部とを有する記録ユニットを備えたインクジェット記録装置において、該記録ユニットが前記記載の記録ユニットであることを特徴とするインクジェット記録装置に関するものである。
【0021】加えて、本発明は、インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記記載のインクセットを構成する各インクを収納する部分を有することを特徴とするインクカートリッジに関するものである。
【0022】さらに加えて、本発明は、インクを収容するインク収容部と、該インク収容部から供給されたインクを吐出するための記録ヘッドと、該インク収容部から該記録ヘッドに供給するためのインク供給部とを有するインクジェット記録装置において、該インク収容部が、前記記載のインクカートリッジからなることを特徴とするインクジェット記録装置に関するものである。
【0023】本発明においては、Bk顔料インクの極性がアニオン性の場合、ブラックインクとは異なるカラーインクの少なくとも1つが、前記水溶性ポリマーもしくは界面活性剤としてカチオン性物質を用いるのが好ましく、Bk顔料インクの極性がカチオン性の場合、Bkインクとは異なるカラーインクの少なくとも1つが、前記水溶性ポリマーもしくは界面活性剤としてアニオン性物質を用いるのが好ましい。
【0024】[作用]本発明者らは、様々なインク組成のインクセットについて鋭意検討した結果、2色以上のインクを用いてカラー画像を被記録材にインクジェット記録方式で記録するインクジェット記録方法において、該インクはBkインクとして少なくともカーボンブラック顔料、水、水溶性有機溶剤を含み、カラーインクとして少なくとも油性染料、水性媒体、有機溶剤、油性染料を分散させるための水溶性ポリマーもしくは界面活性剤を含み、かつカラーインクのうち少なくとも1つが前記油性染料を水性媒体に分散させるために前記Bk顔料インクとは異なる極性の水溶性ポリマーもしくは界面活性剤を用いることを特徴とするインクセットが、形成する画像が文字品位が良好で、高い画像濃度を有し、かつカラー画像の耐水性が良好で、ブリードを有効に緩和することができるインクセットであることを見出した。
【0025】本発明のインクセットではBkインクとして分散剤もしくはカーボン表面の親水性基によって、分散しているカーボンブラック顔料を使用している。このカーボンブラック顔料を用いることにより、耐候性、文字品位が良好で、高い画像濃度のBkインクが得られる。
【0026】またこのインクセットでのカラーインクでは、油性染料を水性媒体中に水溶性ポリマーもしくは界面活性剤を用いて分散させ、着色微粒子を形成している。色材として油性染料を用いるため、画像が水に付着しても着色部分が溶け出すことが殆どなく、耐水性が良好である。
【0027】ここで、Bk顔料インクの極性は、カーボンブラックの表面の水溶性基もしくはカーボンブラックを分散させるための分散剤によって決定され、一方カラーインクの極性は油性染料を分散させるための水溶性ポリマーもしくは界面活性剤の極性によって決定される。
【0028】そこで、それぞれ異なる極性をもつBkインクとカラーインクを組み合わせることにより、Bkインクとカラー間のインクのブリードを防止することができる。境界部でBkインクとカラーのインクが接触する際、Bk顔料粒子とカラーインク中の着色微粒子同士が接触し、急激に凝集し、インク同士の混じり合いを完全に防ぐため、ブリードを生じない。
【0029】この反応は、水溶性染料や水溶性ポリマーといった水性媒体中に均一に溶解している分子レベルの反応ではなく、Bk顔料粒子と、まわりを囲んでいる水溶性ポリマーもしくは界面活性剤が極性を持つ着色微粒子との反応であるので、凝集が起こりやすく、混色を抑制する効果が大きいと推測される。
【0030】また染料同士の反応では染料構造が変化してしまい、色調が変化してしまう可能性があるが、顔料と微粒子との反応であるので、色調の変化も起きることはない。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の態様を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0032】本発明のインクセットは、2色以上のインクを用いて、カラー画像を被記録材にインクジェット方式で記録するインクセットにおいて、該インクはBkインクとして少なくともカーボンブラック顔料、水、水溶性有機溶剤を含み、カラーインクとして少なくとも油性染料、水性媒体、有機溶剤、油性染料を分散させるための水溶性ポリマーもしくは界面活性剤を含み、かつBkインクとカラーインクの極性を変えることを特徴とする。
【0033】[Bkインク]本発明のBkインクにおいて使用されるカーボンブラック顔料としては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。既存のものでも、新規に合成されたものでも、水との親和性が高いものであれば使用することができる。
【0034】またカーボンブラックを分散させるための分散剤としては、従来公知の界面活性剤やポリマー等が使用でき、これらの使用量は顔料によって異なる。
【0035】前記カーボンブラックとしては自己分散型カーボンブラックを使用するのがより好ましい。自己分散型カーボンブラックとは、カーボンブラックの表面に直接もしくは他の原子団を介して親水基が結合したもので、従来の顔料インクのように、カーボンブラックを分散させるための分散剤が不要である。分散剤を使用しないことにより、インクジェット記録方式における安定な吐出性が得られるためである。本発明で使用する自己分散型カーボンブラックとしては、イオン性を有するものが好ましく、アニオン性やカチオン性に帯電したものが好適である。そのイオン性の反発によって水分散性を有し、親水基により親水性も向上している。そのため長期間保存していても、顔料の粒径や粘度を増大することなく水性媒体中に安定して分散された水性顔料インクが得られる。
【0036】前記カーボンブラックのインク中の含有量は、特に限定はされないが、インク全重量の 0.1〜15重量%の範囲、好ましくは1〜10重量%の範囲である。顔料濃度が 0.1%以下であると、十分な画像濃度を得ることができず、15%以上であると、インク中での顔料の分散安定性が悪くなるので、好ましくない。
【0037】[カラーインク](油性染料)本発明のカラーインクにおいて使用される油性染料は、既存のものでも、新規に合成されたものでも、適度な色調と濃度を有するものであれば使用することができる。
【0038】例えば、C.I.ソルベントブルー 33、38、42、45、53、65、67、70、104、114、115、135C.I.ソルベントレッド 25、31、86、92、97、118、132、160、186、187、219C.I.ソルベントイエロー 1、49、62、74、79、82、83、89、90、120、121、151、153、154C.I.ソルベントブラック 3、5、7、22、23、123 等が挙げられる。
【0039】なお本発明に好適な油性染料は上記に列挙した例に限定されるものではない。
【0040】前記染料のインク中の含有量は、特に限定されないが、各染料の合計がインク全重量の 0.1〜15重量%の範囲、好ましくは 0.1〜10重量%の範囲である。上記の範囲であれば、十分な画像濃度を得ることができ、またインク中での油性染料の分散安定性が悪くなったり、インクの固着性が悪くなることも殆どない。
【0041】(分散剤)次に本発明のカラーインクにおいて使用される界面活性剤及び水溶性ポリマーについて説明する。これら界面活性剤や水溶性ポリマーは油性染料を水中に分散させる役割を持つ。
【0042】<界面活性剤>本発明で油性染料を分散させるために使用される界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤から選ばれるものである。
【0043】アニオン性界面活性剤としては、カルボン酸塩型;高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸オレフィンなどの硫酸エステル塩型;アルキルベンゼンスルホン酸塩やオレフィンスルホン酸塩などのスルホン酸塩型;リン酸エステル塩型の活性剤が挙げられる。
【0044】カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩型、第4級アンモニウム塩型などが挙げられる。なお本発明に好適な界面活性剤は上記に列挙した例に限定されるものではない。
【0045】これらの界面活性剤のインク中の含有量としては、一般にはインクの全重量に対して1〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜20重量%の範囲とする。界面活性剤含有量を上記の範囲内とすることで、油性染料の分散安定性の低下や、インク粘度の増大、表面張力の低下等が生じることを抑えることができる。
【0046】<水溶性ポリマー>本発明で油性染料を分散させるために使用される水溶性ポリマーは、アニオン性水溶性ポリマー、カチオン性水溶性ポリマーから選ばれるものである。
【0047】アニオン性水溶性ポリマーとしてはポリアクリル酸、メタクリル酸、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸-アクリル酸類アルキルエステル共重合体、スチレン-マレイン酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体、アルキル酸、カルボキシルメチルセルロース等の多糖類、硫酸ポリビニルや、前記物質の各アルカリ塩類が挙げられる。アルカリ塩類としてはナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属の他、アンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩等が挙げられ、これらを単独ないし数種類を適宜組み合わせて使用できる。
【0048】また、カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリイソプロピレンイミン等を含むポリアルキレンイミン類、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミドポリアミンエピクロールヒドリンを含むポリアミン類、水溶性アニリン樹脂及びその塩類、ポリチオ尿素及びその塩類、水溶性カチオン化アミノ樹脂、ポリビニルピリジン及びその塩類、ポリアクリルアミドカチオン変性物等が挙げられ、これらを単独ないし数種類を適宜組み合わせて使用できる。なお本発明に好適な水溶性ポリマーは上記に列挙した例に限定されるものではない。
【0049】水溶性ポリマーの重量平均分子量としては、1000〜50000 のものが好ましく、より好ましくは 1000〜20000 のものが好ましい。重量平均分子量が 1000 より小さいと、油性染料の分散が十分に安定せず、50000 より大きいとインク粘度が増大するためである。
【0050】これらの水溶性ポリマーのインク中の含有量としては、一般にはインクの全重量に対して1〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜20重量%の範囲とする。ポリマー含有量が1%より少ないと、油性染料の分散安定性が悪くなる可能性があり、50%以上であると、インク粘度の増大、インクの吐出性の悪化等が起きるので、好ましくない。
【0051】また油性染料を分散させるためには、水溶性ポリマーを用いるのがより好ましい。界面活性剤を用いた場合、分子量が小さいため、水溶性ポリマーによる分散よりも油性染料の分散が安定ではないためである。
【0052】より好ましい実施例を具体的に説明すると、該インクはBkインクとして少なくとも自己分散型カーボンブラック顔料、水、水溶性有機溶剤を含み、カラーインクとして少なくとも油性染料、水、水溶性有機溶剤、水溶性ポリマーを含み、Bkインクとしてカチオン性に帯電した自己分散型カーボンブラックを使用するとき、カラーインクとしてアニオン性の水溶性ポリマーを使用し、アニオン性に帯電した自己分散型カーボンブラックを使用するとき、カラーインクとしてカチオン性の水溶性ポリマーを使用する。
【0053】[水性液媒体]本発明のBk、カラーインクに使用される水性液媒体としては、水と水溶性有機溶剤との混合媒体からなるが、具体的な水溶性有機溶剤の例としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルフォオキサイド、2-ピロリドン、ε-カプロラクタム等の環状アミド化合物及びスクシンイミド等のイミド化合物等が挙げられる。
【0054】これらの水溶性有機溶剤のインク中の含有量としては、一般にはインクの全重量に対して 10〜50重量%が好ましく、より好ましくは 15〜40重量%の範囲とする。有機溶剤含有量が 10%より少ないと、油性染料の分散安定性が悪くなる可能性があり、50%以上であると、インク粘度が増大するので、好ましくない。
【0055】また、水には純水またはイオン交換水が用いられ、この水のインク中の含有量としては、一般にはインクの全重量に対して 30〜80重量%が好ましい。30%より少ないと、インク粘度が高くなるため好ましくない。また、80%以上であると蒸発成分が多すぎて、蒸発時のインク諸特性に影響がでるため、好ましくない。
【0056】本発明のインクには、この他防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、水溶性ポリマー等の添加剤を適宜配合してもよい。
【0057】[記録方法]次に、本発明のインクを用いる記録方法について説明する。本発明のインクを用いて記録を行うのに好適な方法及び装置としては、記録ヘッドの室内のインクに記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該熱エネルギーにより液滴を発生させるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置が挙げられる。
【0058】図1は、本発明の実施の形態の好適なカートリッジ交換式のインクジェット記録装置 200 の機械的構成例を示す図である。
【0059】図1において、1は交換式ヘッドカートリッジで、このカートリッジはインクを収容するインクタンク部分と記録ヘッドとを備えている。2はキャリッジユニットで、ヘッドカートリッジ1を装着して左右方向に移動して記録を行う。3はヘッドカートリッジ1を固定するためのホルダであり、カートリッジ固定レバー4に連動して作動する。すなわち、ヘッドカートリッジ1がキャリッジユニット2内に装着されてから、カートリッジ固定レバー4を作動することでヘッドカートリッジをキャリッジユニットに圧着するように構成されている。これによりヘッドカートリッジ1の位置決めと、ヘッドカートリッジ1とキャリッジユニット2との間の電気的なコンタクトを得ようとするものである。5は電気信号をキャリッジユニットに伝えるためのフレキシブルケーブルである。6はキャリッジモータで、その回転によりキャリッジユニットを主走査方向に往復動作させる。7はキャリッジベルトで、キャリッジモータによって移動するように駆動され、キャリッジユニットを左右方向に移動させている。8はキャリッジユニット2を摺動可能に支持するためのガイドシャフトである。9はキャリッジユニットのホームポジションを決めるためのフォトカプラを備えるホームポジションセンサである。10 はホームポジションを検出させるための遮光板で、キャリッジユニットがホーム位置に到達すると、そのキャリッジユニットに設けられたフォトカプラを遮光することにより、キャリッジユニットがホーム位置に到達したことが検知される。12 は、ヘッドカートリッジ1の記録ヘッドの回復機構等を含むホームポジションユニットである。13 は記録媒体を排紙するための排紙ローラで、拍車ユニットとで記録媒体を挟み込み、その記録媒体を記録装置外へ排出させるものである。14 はLFユニットで、記録媒体を決められた重量だけ副走査方向へ搬送するユニットである。
【0060】図2は本発明の実施形態で用いられるヘッドカートリッジ1の詳細図である。
【0061】図において、15 は交換式の黒(Bk)のインクタンクである。16 は、C、M、Yの各色剤であるインクを収容している交換式のインクタンクである。インクタンクはインクを含浸させたスポンジが詰められている。17 はインクタンク 16の連結口(色材供給口)で、ヘッドカートリッジ1と連結して色剤を供給している。18 はインクタンク 15 の連結口である。色剤供給口 17、18 は、供給管 20に連結されて記録ヘッド部 21 に色剤を供給するように構成されている。19 は電気信号のコンタクト部であり、フレキシブルケーブル5と接続されて、各種信号をヘッドカートリッジ1に伝えるように構成されている。
【0062】記録ヘッド部 21 は、アルミニウムからなるベースプレートの上に複数ノズル、電気熱変換体(ヒーター素子)、電極、電気配線されたシリコンプレート、記録ヘッド基板、液室、インクフィルタ、インク供給管などが形成された構造になっている。
【0063】このヘッドユニットは、ヒーター素子によりインクに熱を与えることが可能である。この熱によりインクが膜沸騰する際に発生する気泡の成長または収縮によって生じる圧力変化によって、記録ヘッドの吐出口列からインクが吐出されて被記録材上に画像が形成される。
【0064】前記記録ヘッドに設けられた各インク吐出手段、つまり複数の種類のインクを吐出する各インク吐出部は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット手段であって、熱エネルギーを発生させるための電気熱変換体を備えたものである。また、前記各インク吐出手段は、前記電気熱変換体によって印加される熱エネルギーにより生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させ、記録を行うものである。
【0065】図3は記録手段のインク吐出部の構造を模式的に示す部分斜視図である。図6において、被記録材と所定の隙間をおいて対面する吐出口面 22 には、所定のピッチで複数の吐出口 23 が形成され、共通液室 24 と各吐出口 23 とを連通する各液路 25 の壁面に沿ってインク吐出用のエネルギーを発生するための電気熱変換体 26 が配設されている。記録手段は、各吐出群における複数の吐出口 23 がキャリッジ2の移動方向(主走査方向)と交叉する方向に並ぶような位置関係で、該キャリッジ2に搭載されている。こうして、画像信号または吐出信号に基づいて対応する電気熱変換体 26 を駆動して、液路 25 内のインクを膜沸騰させ、そのときに発生する圧力によって吐出口 23 からインクを吐出させる記録ヘッドが構成されている。
【0066】なお、本発明に使用するインクジェット記録装置において、上記ではインクに熱エネルギーを作用させてインク液滴を吐出するインクジェット記録装置を例に挙げたが、本発明は、その他に圧電素子を使用するピエゾ方式などその他のインクジェット記録装置でも同様に利用できる。
【0067】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の記載で%とあるのは、特に断りない限り重量基準である。
【0068】顔料分散体1の作成5.3g の水に5g の濃塩酸を溶かした溶液に5℃においてアントラニル酸 1.58g を加えた。これに、アイスバスで攪拌することにより常に 10℃以下に保たれた状態で、5℃の 8.7g の水に 1.78g の亜硝酸ナトリウムを加えた溶液を加えた。これにさらに、15分攪拌後、表面積が 320m2/gでDBP吸油量が 120mL/100g のカーボンブラック 20g を混合した状態のまま加えた。後、さらに 15分攪拌した。得られたスラリーを東洋濾紙No.2(アドバンティス社製)で濾過し、顔料粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、さらに、この顔料に水を足して顔料濃度 10重量%の顔料水溶液を作製した。以上の方法によりカーボンブラックの表面に下記化学式に示す基を導入した。
【0069】
【化2】

顔料分散体2の作成表面積が 230m2/g でDBP吸油量が 70mL/100g のカーボンブラック 10gと3-アミノ-N-エチルピリジニウムブロマイド 3.06g を水 72g によく混合した後、これに硝酸 1.62g を滴下して、70℃で攪拌した。ここにさらに数分後、5gの水に 1.07g の亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、さらに1時間攪拌した。得られたスラリーを東洋濾紙No.2(アドバンティス社製)で濾過し、顔料粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、さらに、この顔料に水を足して顔料濃度 10重量%の顔料水溶液を作製した。以上の方法によりカーボンブラックの表面に下記に示す基を導入した。
【0070】
【化3】

[実施例1](Bkインク1の作成)下記に示す成分を混合し、充分攪拌して溶解した後、ポアサイズ 3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)に加圧濾過し、Bkインク1を得た。
【0071】(カラーインク1の作成)下記に示す油性染料を有機溶剤に溶解した後、分散剤の存在下で、水に加え、ホモジナイザーを使用し7分間 7000 回転の条件下で分散させることにより、水分散性カラーインク1を得た。
【0072】
【表1】

[実施例2](Bkインク2の作成)下記に示す成分を混合し、充分攪拌して溶解した後、ポアサイズ 3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、Bkインク2を得た。
【0073】(カラーインク2の作成)下記に示す油性染料を有機溶剤に溶解した後、分散剤の存在下で、水に加え、ホモジナイザーを使用し7分間 7000 回転の条件下で分散させることにより、水分散性カラーインク1を得た。
【0074】
【表2】

[実施例3](Bkインク3の作成)下記に示す成分を混合し、充分攪拌して溶解した後、ポアサイズ 3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、Bkインク3を得た。
【0075】(カラーインク3の作成)下記に示す油性染料を有機溶剤に溶解した後、分散剤の存在下で、水に加え、ホモジナイザーを使用し7分間 7000 回転の条件下で分散させることにより、水分散性カラーインク3を得た。
【0076】
【表3】

[比較例1](Bkインク4の作成)下記に示す成分を混合し、充分攪拌して溶解した後、ポアサイズ 3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、Bkインク4を得た。
【0077】(カラーインク4の作成)下記に示す各成分を混合し、充分攪拌して溶解後、ポアサイズが 0.22mmのフロロポアフィルター(住友電気工業製のフィルター、商標名)で加圧濾過し、カラーインク4を調製した。
【0078】
【表4】

[比較例2](Bkインク5の作成)下記に示す成分を混合し、充分攪拌して溶解した後、ポアサイズ 3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、Bkインク5を得た。
【0079】(カラーインク5の作成)下記に示す各成分を混合し、充分攪拌して溶解後、ポアサイズが 0.22mmのフロロポアフィルター(住友電気工業製のフィルター、商標名)で加圧濾過し、カラーインク5を調製した。
【0080】
【表5】

次に各実施例及び比較例のインクを用いた、市販コピー用紙(キャノン社製PBペーパー、ゼロックス社製 4024ペーパー)及びボンド紙(plover Bond)に記録を行った。
【0081】使用したインクジェット記録装置としては、図1に示したのと同様の記録装置を用いて画像を形成した。なおここで用いた記録ヘッドはBJC-420J(商品名:キャノン社製、インクジェットプリンター)に使用されているものと同一の記録ヘッドを用いた。記録ヘッド駆動条件、すなわち、ヒーターへの通電条件は、各ヘッドとも印加電圧 24V、駆動周波数 6.25kHzとした。
【0082】インクAはBkのインクタンクを、インクBはカラーのインクタンクを使用した。
【0083】[耐水性評価]各色を単独で印字し、その画像に印字直後に水道水をかける耐水性試験を行い、下記基準で評価した。
【0084】

[ブリード評価]2色で形成される下に示すような2色が隣り合う画像を印字し、その画像の異色間の滲みについて、下記基準で評価した。
【0085】(画像)【0086】
【表6】

(評価基準)○:異色間の混じり合いが全く見られない△:少し混じり合いが見られる×:かなり混じり合っている実施例及び比較例のインクセットについて評価結果を以下に示す。
【0087】
【表7】

実施例1〜3では、単色での画像耐水性がすべて良好であった。これはBkインクとして顔料インクを用い、カラーインクとして油性染料を用いているため、それぞれの画像に水をかけても染料が再溶解しないためである。またブリードについては、極性の異なるBk顔料粒子と油性染料分散粒子間で凝集が起こり、ブリードを抑制することができる。一方比較例1はBkインクとして顔料インクを使用し、カラーインクとして水溶性染料を使用しているため、Bkの画像は耐水性が良好であるが、カラーインクでの画像は、乾燥しても水がかかると再溶解して、画像が乱れる。またBkインクとカラーインクとで極性は異なるが、一方が水溶性染料であるので、凝集が十分でなく、ブリードもあまり抑制できなかった。比較例2ではカラーインクが水溶性染料を使用しているため、カラー画像の耐水性が悪く、またBkインクとカラーインクとの極性が同じであるため、ブリードは抑制できなかった。
【0088】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のインクセット、およびかかるインクセットを用いたインクジェット記録方法によれば、特に黒色インクによる画像が高い文字品位、画像濃度を有し、耐水性が良好で、かつ異色間のブリードを有効に緩和した、高精細な画像を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成13年2月26日(2001.2.26)
【代理人】 【識別番号】100088328
【弁理士】
【氏名又は名称】金田 暢之 (外2名)
【公開番号】 特開2002−249687(P2002−249687A)
【公開日】 平成14年9月6日(2002.9.6)
【出願番号】 特願2001−50511(P2001−50511)