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【発明の名称】 再帰反射性インキ組成物
【発明者】 【氏名】松浦 宏明

【要約】 【課題】再帰反射性粒子の沈降を起こし難く、絵の具のような使い方に適したも再帰反射性インキ組成物を提供する。

【解決手段】少なくとも再帰反射性粒子例えば、ガラスビーズとマイカおよび/または着色アルミニウム粒子からなる再帰反射性粒子と接着用樹脂を含み、前記再帰反射性粒子が沈降しないように、例えば、100,000〜3,000,000cpsに粘度が高められており、溶剤によって希釈し得る、再帰反射性インキ組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも再帰反射性粒子と接着用樹脂を含み、前記再帰反射性粒子が沈降しないよう粘度が高められており、溶剤によって希釈し得る、再帰反射性インキ組成物。
【請求項2】粘度が100,000〜3,000,000cpsである、請求項1に記載の再帰反射性インキ組成物。
【請求項3】再帰反射性粒子がガラスビーズとマイカおよび/または着色アルミニウム粒子からなる、請求項1または2に記載の再帰反射性インキ組成物。
【請求項4】ガラスビーズと接着用樹脂とマイカおよび/または着色アルミニウム粒子と増粘剤とを含み、前記マイカおよび/または着色アルミニウム粒子の粒子径が前記ガラスビーズの粒子径よりも小さい、請求項3に記載の再帰反射性インキ組成物。
【請求項5】色素をさらに含む、請求項1から4までのいずれかに記載の再帰反射性インキ組成物。
【請求項6】絞り出し可能なよう、チューブに収納されている、請求項1から5までのいずれかに記載の再帰反射性インキ組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、均質な状態での長期間の保存が可能であり、しかも、使用するときは絵の具のようにして直ちに使用することも可能な、再帰反射性インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、夜間の歩行者や自転車運転者の安全性を高めたり、夜間の広告効果を高めたりするために、衣服、宣伝旗(または幟)、靴、鞄などの布帛表面に、夜間遠方からの視認性を高めた再帰反射性の図柄(パターン)が設けられている。再帰反射性の図柄は昼間における視認性にも優れている。色がついていると、なお視認性に優れ、しかも、視覚を楽しませることも出来る。再帰反射性の図柄等を容易に得るために使用されるインキ組成物は、少なくとも再帰反射性粒子と、この粒子を基材に定着させるための接着用樹脂を含む。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようなインキ組成物は、従来は、大量生産のための印刷インキとして使用されるのが主であったが、例えば、葬儀用順路案内板や広告用看板など一品生産的な用途への使用も検討されるようになってきた。これらの場合は筆などを用いて絵の具のようにして使用される。ところが、インキ組成物を、筆に含ませて描画あるいは筆記する、いわゆる絵の具や墨汁のようにして使用しようとすると、インキ組成物中で再帰反射性粒子が沈降し易く、使用し難いという問題が発生する。印刷機に掛ける等の大量生産の場合は攪拌機を備えておくなどにより、沈降の問題は解消するが、一品生産の絵の具的使用ではそのようなことが出来ない。再帰反射性絵の具を使用しない間、放置しておくと、再帰反射性粒子が沈降して容器の底に溜まる。筆で攪拌しても元の均一分散状態には戻らないと言う問題もある。
【0004】他方、絵の具の場合、柔軟なラミネートチューブ式の容器に充填した状態で販売し、このチューブ容器から必要量だけを押し出して使用するのが便利であるが、このときも、上記再帰反射性粒子沈降の問題が起きて、チューブ容器から押し出したインキ組成物に含まれるガラスビーズの量に偏りが生じ、再帰反射性の機能にもばらつきが出てしまうと言う問題もある。本発明の課題は、前記した再帰反射性粒子沈降の問題を解消したインキ印刷用組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための、本発明にかかる再帰反射性インキ組成物(以下では、単にインキ組成物と言う)は、少なくとも再帰反射性粒子と接着用樹脂を含み、前記再帰反射性粒子が沈降しないよう粘度が高められており、溶剤によって希釈し得るようになっている。このインキ組成物は、粘度が100,000〜3,000,000cps、好ましくは700,000〜1,000,000cpsである。上記において、再帰反射性粒子はガラスビーズとマイカおよび/または着色アルミニウム粒子からなることが出来る。そして、ガラスビーズと接着用樹脂とマイカおよび/または着色アルミニウム粒子と増粘剤とを含み、前記マイカおよび/または着色アルミニウム粒子の粒子径が前記ガラスビーズの粒子径よりも小さいことが好ましい。
【0006】本発明にかかるインキ組成物は、上記において、色素をさらに含むことが出来る。本発明にかかるインキ組成物は、上記において、絞り出し可能なよう、チューブに収納されていることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい実施の形態を詳しく述べる。
〔インキ組成物〕インキ組成物は、少なくとも再帰反射性粒子と接着用樹脂を含むことが必要であるが、色が付いていることがより好ましい。再帰反射性粒子は、種類は限定しないが、例えば、ガラスビーズのほかに反射鏡となる粒子をも含んで構成されている。すなわち、再帰反射性を起こさせる要素は普通、反射鏡となる粒子とガラスビーズからなる。色を帯びた再帰反射光を得るためには、反射鏡となる粒子とガラスビーズの間に色素の存在することが必要である。
【0008】本発明では、再帰反射性粒子の沈降を防ぐ上で、インキ組成物は、粘度が高められており、しかも、筆などで直ちに使用できるようするために、水やアルコールなどの溶剤によって希釈し得るようになっている。希釈する前のインキ組成物の粘度としては700,000〜1,000,000cps程度が好ましい。本発明者らは、特願平11−115395号において、再帰反射性印刷用インキ組成物を提案をしている。この技術は、再帰反射性印刷用インキ組成物に、透光性および光沢を有するマイカを配合したり、反射光を効率良く着色するために、反射鏡となる粒子とガラスビーズの間に濃度の高い色素層を存在させて反射鏡となる粒子によって反射される光を着色したり、着色アルミニウム粒子を配合したりする。マイカおよび/または着色アルミニウム粒子の粒子径をガラスビーズの粒子径よりも小さくする。これにより印刷後の熱処理によって印刷素材上にガラスビーズ、マイカが層状に並ぶことになり、その結果、印刷物などにカラー再帰反射機能を生産性よく、かつ効率良く付与して、夜間においても遠方からの視認性を高めて防犯または安全に寄与すると共に、カラー化によりファッション性をも付与することによって商品の表現力が大きく広がり商品価値を高め得ることができる。
【0009】したがって、本発明にかかるインキ組成物の好ましい例は、ガラスビーズと接着用樹脂とマイカおよび/または着色アルミニウム粒子と増粘剤とを含み、前記マイカおよび/または着色アルミニウム粒子の粒子径が前記ガラスビーズの粒子径よりも小さく、粘度が100,000〜3,000,000cpsである。色光を発するために色素をさらに含んでも良い。希釈したインキ組成物は、表現したい文字や図柄の一部または全部を、インキ組成物を筆に含ませて描画あるいは筆記することで、基材(例えば、織物、編物、不織布などの布帛、あるいは、画用紙、和紙等の紙材などが含まれる)に塗工して使用することができる。家庭用簡易印刷機(商品名「プリントゴッコ」「プリントゴッコTシャツ用」:理想科学工業社製など)を用いてTシャツやエプロン、紙ポスター等にオリジナルな図柄をプリントする印刷用インキとしても利用できる。
【0010】本発明にかかる粘度の高いインキ組成物は、これを希釈して印刷機に掛けるようにしても良い。すなわち、従来の印刷用インキ組成物として使用することも可能である。インキ組成物は、その接着用樹脂によってガラスビーズとマイカおよび/または着色アルミニウム粒子などの再帰反射性粒子を所定の位置関係に配置し、さらに、これらと、必要に応じて配合されるその他の成分(後述する色素や無着色アルミニウム粒子など)を相互に固着させるとともに、基材に接着させる。着色の面について述べれば、本発明のインキ組成物においては、反射鏡となる粒子がマイカである場合、ガラスビーズを透過した光は、一部がこのマイカで反射され、マイカ上側の色素で着色されて色光となるが、マイカが透光性であるので、反射されなかった部分がこのマイカを透過してマイカ下側の色素にまで到達することが出来る。そのため、この透過光が下側色素でさらに着色されたのち、その下側に存在するマイカの表面で反射されて色光として働くようになり、着色が効率的となるのである。反射鏡となる粒子が着色アルミニウム粒子である場合、粒子本体表面で反射された光が粒子表面の濃度の高い着色層で着色されて効率的に色光となることができる。着色アルミニウム粒子を配合する場合において、色素がさらに配合されているときは、粒子本体表面で反射された光が着色アルミニウム粒子上側の色素でさらに着色される。
【0011】ガラスビーズは、入射光を、ビーズ内で屈折させてビーズ球面に焦点を結ばせ、反射光となって再帰させるという働きを持っている。このため、ガラスビーズは、1.5〜2.5の屈折率を有することが好ましく、1.9〜2.3の屈折率を有することがより好ましい。ガラスビーズの屈折率が1.5未満であると屈折率が低いため反射光の方向が大幅にずれて視認性が著しく低下するおそれがあり、2.5超であるときも反射光の方向がずれて視認性が低下するおそれがある。ガラスビーズの配合割合は、インキ組成物全体の固形分100重量部に対して、30〜85重量部であることが好ましく、50〜75重量部であることがより好ましい。30重量部未満であると反射光量が少なくなって視認性が低下するおそれがあり、85重量部超であるとマイカおよび/または着色アルミニウム粒子の相対割合と接着用樹脂の相対割合が低くなって印刷物あるいは描画面の物性が著しく低下するおそれがある。
【0012】マイカは、いわゆる雲母であり、鱗片状の粒子である。マイカは、天然品および合成品のいずれであっても使用できる。好ましくは、鱗片状雲母粒子の表面を酸化チタンや酸化鉄等で被覆した合成品であり、合成品のうちでも酸化チタン被覆したものがより好ましい。マイカの粒子は、層状構造を形成し、しかも、一部の光を反射し一部の光を透過させるために、光の多重層反射を起こさせることが出来る。マイカを透過した光は、前述のように下側色素で反射して着色されるほか、基材表面で反射して基材色(下地色)に着色されることもある。
【0013】マイカの配合割合は、インキ組成物全体の固形分100重量部に対し、5〜25重量部が好ましく、8〜18重量部であることがより好ましい。5重量部未満であると鏡の役目をするマイカの量が少なすぎて反射光が弱くなるおそれがあり、25重量部超であるとガラスビーズ、接着用樹脂、色素(色素を配合する場合)の相対比率が下がり、再帰反射色光が弱くなったり、堅牢性が悪くなってガラスビーズの剥離等が起こったりするおそれがある。着色アルミニウム粒子も反射鏡となる粒子であり得る。着色アルミニウム粒子は、粒子の表面を顔料等で着色した粒子であり、粒子本体表面で反射させた光を粒子本体表面に形成された着色層で着色する。
【0014】再帰反射性を高めるためか、その他の目的で、無着色のアルミニウム粒子を配合することもできる。これら着色または無着色のアルミニウム粒子としては、ノンリーフィングタイプがアルミニウム粒子の表面酸化が起こりにくくアルミニウムの黒変を抑え反射光量を維持する等の理由で好ましく用いられる。着色および/または無着色のアルミニウム粒子の配合割合は、インキ組成物全体の固形分100重量部に対し、10重量部以下が好ましく、3〜6重量部であることがより好ましい。10重量部超であるとアルミニウム面によってはね返される光が多くなり、シルバー色(いわゆるアルミニウム色)の反射光となってしまうおそれがあるからである。着色および/または無着色のアルミニウム粒子を配合するときは、粉末状であってもよいが、ペースト状である方が他の材料に対する濡れ性が良く、均一な配合が得られやすいという理由から好ましい。
【0015】マイカの粒子径(平均長径を言う)や着色アルミニウム粒子の粒子径(平均粒子径)は、ガラスビーズの粒子径(平均粒子径)よりも小さいことが必要である。これは、インキ組成物を基材に塗工するときにガラスビーズの大部分またはすべてが表面側に、マイカおよび/または着色アルミニウム粒子の大部分またはすべてがその下側に位置するようにするためである。これらの位置関係が逆になると、反射光の再帰が起きにくくなり反射光が弱くなる。ガラスビーズとしては、例えば、粒子径20〜300μm(好ましくは30〜110μm)のビーズを用い、マイカとしては、例えば、粒子径1〜150μm(好ましくは5〜60μm、より好ましくは20〜40μm)のマイカを用い、着色および/または無着色のアルミニウム粒子としては、例えば、粒子径80μm以下(好ましくは粒子径20μm以下)のアルミニウム粒子を用いる。色素の粒子径は、非常に小さく、例えば、0.01〜10μm(好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜1.0μm)である。
【0016】色素は、顔料および/または染料であり、インキ組成物が溶媒を含む場合、その溶媒に溶解可能(水溶性または油溶性)であってもよく、溶解しないが分散可能(水分散性または油分散性)であってもよい。色素は、再帰反射光やマイカ透過光に有彩色を付けるためのものであり、その色は特に限定はないが、接着用樹脂との相溶性の良好なもの、または、接着用樹脂への分散性の良好なものが使用される。インキ組成物に色素を配合した場合には、色素の色や配合量などに応じて、基材の持つ色、色素の色、またはそれらの合わさった色などの有彩色を帯びたカラー再帰反射光が得られる。
【0017】色素の配合割合は、インキ組成物全体の固形分100重量部に対し、20重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましい。色素配合量が20重量部超であると色が濃すぎて反射色光の視認性が逆に劣ったり堅牢性に劣ったりするようになるおそれがある。色素および着色アルミニウムの配合量が0重量部である場合、インキ組成物は、ホワイトタイプとなり、これをそのまま塗工すれば、白の再帰反射光を得る。さらに、色素および着色アルミニウム配合量0のこのインキ組成物は、粘度および再帰反射光量を低下させることなく色素を配合したインキ組成物の色素量を低減させる働き、すなわち、有色インキ組成物の色をよりうすく調整するために用いられる。
【0018】接着用樹脂は、接着性に富み、透明な膜を形成し得る樹脂であれば良く、水系、有機溶剤系、水・有機溶剤の混合溶媒系のいずれでも良く、たとえば、アクリル系、ウレタン系、ビニル系、エポキシ系、シリコーン系、ポリエステル系、オレフィン系、ゴム系等の接着用樹脂が使用できるほか、ホットメルト樹脂接着剤が使用でき、これらのうちから、透明性に優れる樹脂を選択する。接着用樹脂の配合割合(固形分基準)は、インキ組成物100重量部に対し、5〜30重量部が好ましく、10〜25重量部がより好ましい。5重量部未満であると他材料を充分に固着・接着させることができず堅牢性が悪くなるおそれがあり、30重量部超であるとガラスビーズとマイカおよび/または着色アルミニウム粒子の最適混合比率を維持できず反射色光としては弱くなるおそれがある。
【0019】接着用樹脂としては、今後の環境問題も考慮すると水系のものがよく、各種樹脂のエマルジョンタイプ、ラテックスタイプおよびこれらの混合物が挙げられる。これらは一般的な増粘剤で容易に増粘することができる。インキ組成物を、屋外に露出して使用する場合、特に筆書きをする場合には、雨などの水濡れによって脱落したり滲んだりし難いように、耐水性のある接着用樹脂が好ましい。具体的には、水溶性の樹脂(PVA、デンプン糊など)以外の樹脂であれば良い。インキ組成物を水で薄めて使用する場合は、水系エマルジョンやラテックスのような水と良くなじむものが好ましい。具体的には、アクリルエマルジョン、アクリル酸エステルエマルジョン、エチレン酢ビエマルジョン、ウレタンエマルジョン、エポキシエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、および、これらのエマルジョンの混合物やアクリルラテックス、ウレタンラテックス、SBRラテックス、シリコンラテックス、NBRラテックスなどが挙げられる。
【0020】その他の水溶性樹脂として、PVA、メラミン樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシエステル樹脂、尿素/ホルマリン樹脂なども使用できる。インキ組成物の粘度を調整するために、増粘剤が配合される。増粘剤としては、インキ組成物に配合したときに粘度を増やす機能があれば、各種の化合物や組成物が使用できる。具体的には、ポリアクリル酸系が挙げられる。アンモニア水も増粘剤として機能する。増粘剤の配合量は、所定の粘度が達成されれば特に限定されないが、通常は0.05〜5.0重量%の範囲で製品の用途によって適切な粘度になるように配合しておくことができる。
【0021】インキ組成物には、上記の成分以外にも、必要に応じて他の成分、たとえば、接着用樹脂のガラスビーズとの接着性を良くするためのシランカップリング剤、基材との接着性を良くするための架橋剤、色素の分散を助けるための分散剤などのうちのいずれか1種または2種以上が配合され得る。架橋剤あるいは架橋触媒は、Tシャツ等にプリントする簡易印刷機で使用するインキ組成物に配合しておくと、プリント面の堅牢性が高まり耐摩擦性や耐洗濯性を向上するのに有効である。架橋剤あるいは架橋触媒は、接着用樹脂によっても異なるが、例えば、イソシアネート系、オキサゾリン系の化合物が挙げられる。
【0022】インキ組成物にホットメルト樹脂を配合しておくこともできる。
〔希釈剤〕上記のようにして高い粘度を持つようにした、本発明のインキ組成物は、水やアルコールなどの希釈剤で薄めて筆に含ませ自由に描画することができる。
〔粘度〕インキ組成物は、粘度が100,000〜3,000,000cps、好ましくは700,000〜1,000,000cps(B型粘度計、ローターNo.4、0.6rpm、15℃での測定)に設定する。これにより、粒子径及び比重の違う材(ガラスビーズ、マイカ、色素等)が混在していても沈降することなく、均一に配合されたオールインワンタイプのインキ組成物となり、長時間の保存安定性に富んだものとなる。
【0023】インキ組成物の用途によって、粘度を調整することができる。例えば、チューブ容器に充填して販売流通に供する場合、比較的に高い粘度のものが取扱い易い。筆書きで使用する場合、チューブ容器への充填時よりも少し低い粘度のほうが好ましい。そこで、インキ組成物としてはチューブ容器に適した比較的に高い粘度で製造しておき、筆書きで使用するときに、従来の絵の具のように水で薄めて、描画や筆記に適した粘度に調整して使用することができる。前記した家庭用簡易印刷機に利用する場合は、チューブ容器から押し出したままのインキ組成物でも良い。
【0024】〔基材〕インキ組成物が塗工される基材としては、たとえば、織物、編物、不織布、紙、フィルム、シート、板、片などが挙げられ、その素材としては、ポリエステル、ナイロン、ウレタン、塩化ビニル等のプラスチックや、羊毛、絹、綿、レーヨン等の天然有機繊維素材のほかに、鉄、アルミニウム等の金属やこれらの合金、ガラス、石(セラミックスを含む)、木などが挙げられる。インキ組成物は、可撓性のある被膜を形成し得るので、織物、編物、不織布、紙、プラスチックフィルムなどの可撓性のある基材の可撓性を損なわない。
【0025】〔使用方法〕インキ組成物は、通常のインキ組成物と同様にして使用される。絵の具や墨汁のように、チューブ容器に充填された状態で販売流通に供給し、使用時には、チューブ容器から押し出し、水で適当な濃度に薄めて筆に含ませ、手書きで文字や図柄を描くことができる。家庭用簡易印刷機の場合、チューブ容器に充填されたインキ組成物を、印刷用原版の上に直接に押し出して所定のパターンに配置する。このような印刷用原版を使って、葉書やTシャツ、エプロンなどに簡易印刷を行う。
【0026】さらに、通常の印刷用途にも利用できる。具体的には、スクリーンプリント、グラビアプリント、コーティングなど公知の方法が採用できる。印刷する時のスクリーンの目の大きさは、例えば、60〜135メッシュが好ましく、80〜100メッシュがより好ましい。60メッシュ未満の場合には基材上に必要量以上のインキが乗るため細かい柄の表現が難しくなるおそれがあり、135メッシュを超える場合にはスクリーンの目が細か過ぎてガラスビーズが通過できないおそれがある。インキ組成物の塗工厚みは、ガラスビーズの粒子径が最小厚みとなるが、印刷物によっては凹凸のある素材もあり、最適被膜厚はその用途により適宜決められる。
【0027】インキ組成物を基材に塗工後、接着用樹脂や溶剤の種類に応じた熱処理により乾燥、必要に応じて硬化させることにより、基材上に、ガラスビーズ、マイカおよび/または着色アルミニウム粒子、および、必要に応じて配合される色素や無着色アルミニウム粒子などの成分を含有する被膜を形成する。熱処理は、乾燥機、テンターやアイロンのような熱板などにより170〜180℃の温度で1〜5分間熱処理する方法で行われる。なお、水彩絵の具や墨書に使用する場合は、自然乾燥のみで良い。家庭用簡易印刷機の場合は、印刷された紙やTシャツ、エプロンなどを、アイロンを用いて、比較的に高い温度で定着させる。
【0028】〔好ましい用途〕水彩絵の具として使用すれば、従来の再帰反射性のない絵の具とは大きく違う絵画表現が可能になる。すなわち、完成した絵画を展示する際に光を当てることで、反射光による斬新な感覚あるいは遊び心のある表現が可能である。学童・生徒用に用いれば、興味を持たせて学習効果を挙げることができる。コサージュや折り紙など、趣味や工芸の用途において、着色や模様付けに利用することもできる。葬儀用や集会用の順路案内看板への筆文字による表記に用いれば、人目に付きやすく、案内機能を高めることができる。葬儀用では、花輪の寄贈主の表示や受付の表示にも使用できる。
【0029】さらに、以下に示す利点もある。夜間、散歩したりジョギングしたりする人、ペット等の散歩に出る人、塾通いの子供等に対する安全性、特に交通事故の防止には効果がある。自転車のスポーク等に用いることにより、自転車のファッション性や安全性を向上させる。宣伝・広告分野においては、宣伝旗、広告看板に応用することにより、夜間の宣伝効果が期待できる。ファッション衣料、子供向けキャラクター商品、バッグ、リボン等雑貨に対し、ファッショナブル化への展開が期待される。
【0030】夜間の又はトンネル内での通路工事者の安全や工事箇所等の表示に効果がある。
【0031】
【実施例】以下に、本発明の実施例と、本発明の範囲を外れた比較例とを示すが、本発明は下記実施例に限定されない。下記では特に断らない限り、「部」および「%」はそれぞれ「重量部」および「重量%」を表す。(実施例1)水系アクリル樹脂エマルション(固形分40%)40部、ガラスビーズ(屈折率1.93、粒子径40〜90μm)55部、マイカ(粒子径15〜25μm)10部、色素としてRyuDye W Yellow FF8G(大日本インキ化学工業 (株) 製、粒子径0.1〜1.0μm)5部を配合してミキサーで混合することにより、粘度12,000cps(B型粘度計、ローターNo.3、6rpm、15℃での測定。以下同じ)のインキ組成物素材を得ておき、このインキ組成物素材100部に増粘剤としてRyuDye W NT conc 117(大日本インキ化学工業 (株) 製)を0.22部配合することにより、粘度を1,000,000cpsに高めて、高粘度インキ組成物を得た。
【0032】この高粘度インキ組成物をラミネートチューブに充填しておき、20〜30℃に保った倉庫内で6カ月間保管しておいた。そののち、チューブから絞り出したが、再帰反射性粒子の沈降は起きておらず、水で薄めて筆に含ませて、看板板に文字、図形を書いた。この看板の文字、図形に25m離れた所から自動車のヘッドライトを照らしたところ、黄色のきらきらした図柄を肉眼で観察でき、カラー再帰反射機能を有することがわかった。
(実施例2)実施例1において水系アクリル樹脂エマルションの代わりに水系ウレタン系樹脂エマルション(固形分50%)を用い、増粘剤としてノニオン系界面活性剤(大日本インキ化学工業 (株) 製、商品名RyuDye W NT conc 117)を0.35部配合したこと以外は、実施例1と同様にして、高粘度インキ組成物を得た。このインキ組成物の粘度は、2,000,000cpsであった。
【0033】(実施例3)高粘度アクリル酸エステルエマルジョンペースト(固形分47%)35部、ガラスビーズ(屈折率1.92、粒子径40〜65μm)50部、マイカ(粒子径15〜25μm)8部、色素としてRyuDye W Scarlet F−3G(大日本インキ化学工業(株)製、粒子径0.1〜0.7μm)を5部配合し、ミキサーで混合して粘度1,000,000cpsの高粘度インキ組成物を得た。
(実施例4)ポリエステルポリウレタン水分散液(固形分50%)35部、ガラスビーズ(屈折率1.92、粒子径90〜106μm)50部、着色アルミニウム(平均粒子径30μm)5部、架橋剤としてシランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、品番AZ−6209E)を3部配合し、ミキサーで混合することにより、粘度21,000cpsのインキ組成物素材を得た。このインキ組成物素材100部に増粘剤としてRyuDye W NT conc 117(大日本インキ化学工業(株)製)を0.3部配合することにより、粘度を1,500,000cpsに高めて、高粘度インキ組成物を得た。
【0034】実施例2〜4の高粘度インキ組成物につき、実施例1と同じ保管を行ったところ、いずれも、再帰反射性粒子の沈降は起きず、筆による使用試験結果も良好であった。
【0035】
【発明の効果】本発明にかかる再帰反射性インキ組成物は、これを販売流通に供しているとき、あるいは、長期間の保管中においても、ガラスビーズ等の沈降が生じ難く、チューブ容器での保存が可能であり、使用時には筆による描画や筆記に適したものとなる。しかも、これまでの再帰反射性インキ組成物と同様に、描画あるいは印刷した対象物に、再帰反射機能を効率良く付与して、夜間においても遠方からの視認性を高めることが出来る。
【出願人】 【識別番号】599056530
【氏名又は名称】株式会社小松プロセス
【出願日】 平成12年11月30日(2000.11.30)
【代理人】 【識別番号】100073461
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 武彦
【公開番号】 特開2002−167541(P2002−167541A)
【公開日】 平成14年6月11日(2002.6.11)
【出願番号】 特願2000−364053(P2000−364053)