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【発明の名称】 アクリル系樹脂ペーストゾル組成物
【発明者】 【氏名】鈴木 卓郎

【氏名】清村 和明

【要約】 【課題】本発明は、キャストコート、ローテーショナルモールデイング、スラッシュモールデイング等における成形加工性と賦型性とを両立したレオロジー特性の良好なアクリル系樹脂ペーストゾル組成物を提供するものである。

【解決手段】本発明のアクリル系樹脂ペーストゾル組成物は、少なくともアクリル系樹脂と可塑剤とを含むアクリル系樹脂ペーストゾルであって、アクリル系樹脂100重量部に対してアニオン系界面活性剤0.5〜5重量部を配合したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくともアクリル系樹脂と可塑剤とを含むアクリル系樹脂ペーストゾルであって、アクリル系樹脂100重量部に対してアニオン系界面活性剤0.5〜5重量部を配合したことを特徴とするアクリル系樹脂ペーストゾル組成物。
【請求項2】アニオン系界面活性剤が一般式(1)で示す脂肪族石鹸化合物、一般式(2)で示すアルキルベンゼンスルホン酸塩、一般式(3)で示す高級飽和アルコール硫酸エステル塩、一般式(4)で示す高級アルキルエーテル硫酸エステル塩であることを特徴とする請求項1記載のアクリル系樹脂ペーストゾル組成物。

【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主としてエマルジョン重合アクリル系樹脂と可塑剤とを混合して調製されるペーストゾル組成物に関し、キャストコート、ローテーショナルモールデイング、スラッシュモールデイング等における成形加工性と賦形性とに優れたペーストゾル組成物に関する。
【0002】
【従来技術】従来、アクリル系樹脂は、サスペンジョン重合、バルク重合、反応押出成形等により重合されるものが多く、エマルジョン重合されるものは、エマルジョンのまま塗料や粘接着剤等の用途に主に利用されており、乾燥し樹脂パウダーを取り出し可塑剤を配合してペーストゾルとすることはあまり行われていなかった。
【0003】エマルジョン重合されたポリ塩化ビニル系樹脂用い、可塑剤を配合したポリ塩化ビニル系樹脂ペーストゾルは、各種基材にコーティングされ加熱により固化されてシーリング材または塗料、緩衝材、滑止材、スペーサ材等としての用途がある。近年、燃焼時の塩素系ガスの発生等の問題でポリ塩化ビニル系樹脂の代替として、可塑剤を配合することによりペーストゾルとすることができる点で、アクリル系樹脂を使用したアクリル系樹脂ペーストゾルの開発が行われるようになった。
【0004】可塑剤を多量に含有するアクリル系樹脂ペーストゾルにおいては、高剪断速度時(例えば刷毛、ドクターナイフコーター、ロータリースクリーン印刷等のコーティング時)は粘度が低いため成形加工性には優れていても、低剪断速度時(例えばコーティング後の静置時)も同じく粘度が低いためペーストゾルが流動してしまって賦形性が悪く厚手のコーティングができないという問題があった。
【0005】このような問題を解決するために吸油性等の各種増粘剤を添加する試みもなされていた。しかし、このような増粘剤を添加した場合、低剪断速度時の粘度は上昇するが、同時に高剪断速度時(ペーストゾル作製の際の機械ミキシング時及びコーテイング時)の粘度も高くなるため、ペーストゾル自体を均質に調製することが困難になるのみならず、成形加工性も悪化してしまう問題があった。加えて、吸油性増粘剤を使用すると、高発泡を行うときに発泡セルの荒れなどの副次的な弊害も発生しやすいものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、キャストコート、ローテーショナルモールデイング、スラッシュモールデイング等における成形加工性と賦形性とに優れたアクリル系樹脂ペーストゾル組成物を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記成形加工性は高剪断速度時の粘度を相対的に低くし、前記賦形性は低剪断速度時の粘度を相対的に高くすることによって得られることに基づいて、本発明のアクリル系樹脂ペーストゾル組成物は、少なくともアクリル系樹脂と可塑剤とを含むアクリル系樹脂ペーストゾルであって、アクリル系樹脂100重量部に対してアニオン系界面活性剤0.5〜5重量部を配合したことを特徴とする。このようなアクリル系樹脂ペーストゾル組成物は、BM型回転式粘度計による(ローター回転速度6rpmにおける粘度測定値/ローター回転速度60rpm時の粘度測定値)の算出値が3以上となり、成形加工性及び賦形性に優れたものとなる。
【0008】また、前記アニオン系界面活性剤が、一般式(1)で示す脂肪族石鹸化合物、一般式(2)で示すアルキルベンゼンスルホン酸塩、一般式(3)で示す高級飽和アルコール硫酸エステル塩、一般式(4)で示す高級アルキルエーテル硫酸エステル塩であることを特徴とする。

【0009】一般式(1)で示す脂肪族石鹸化合物の具体例としては、構造式(5)で示すラウリン酸ナトリウム、(6)で示すステアリン酸ナトリウム、(7)で示すオレイン酸ナトリウム等が更に好適に使用される。

【0010】一般式(2)で示すアルキルベンゼンスルホン酸塩の具体例としては、(8)で示すドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好適に使用されアルキル基も分岐構造のものも直鎖状のものも有効である。

【0011】一般式(3)で示す高級飽和アルコール硫酸エステル塩の具体例としては、構造式(9)に示すラウリル硫酸エステルナトリウム、(10)に示すセチル硫酸エステルナトリウム、(11)に示すステアリル硫酸エステルナトリウム、(12)に示すオレイル硫酸エステルナトリウム、(13)に示すミリスチル硫酸エステルナトリウム等を挙げることができる。

【0012】一般式(4)に示す高級アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、(14)に示すラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム等を挙げることができる。

【0013】アニオン系界面活性剤は上記したものを混合して使用しても良く、また配合量はアクリル系樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部、好ましくは1.5〜3重量部である。配合量が少ないと成形加工性と賦形性とをともに満たすことができず、配合量が多すぎても上記のさらなる効果の向上が見られない。また配合量が多すぎる場合、気泡の巻き込み等の問題が発生する虞がある。
【0014】アクリル系樹脂としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート等のアルキル炭素数1〜13の(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれる1種以上のモノマーの単独重合体又は共重合体が使用できる。ここで(メタ)アクリルとは、メタクリルとアクリルとのうち少なくとも一方をいい、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルのうちいずれかである。
【0015】さらに前記モノマーと、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等のモノマーを共重合した共重合体を使用することもできる。
【0016】アクリル系樹脂として共重合体を用いる場合は、アルキル炭素数1〜13の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの共重合比率が50モル%より多いことが好ましい。さらに好ましくは70モル%以上である。この数値が50モル%より小さいとアクリル系樹脂と可塑剤との相溶性が悪くペーストゾル化が困難となったり、加熱固化後に可塑剤がブリードする傾向にある。
【0017】また、前記アクリル系樹脂は、ペーストゾルを調製するのに適している一括仕込み重合法、モノマー滴下法、エマルジョン滴下法、シード重合法等のエマルジョン重合法によって得られたものを用いることが好ましく、サスペンジョン重合によって得られたものを混合することもできるがその割合は30重量%未満である。
【0018】可塑剤としては、アクリル樹脂系ペーストゾルを調製した際に経時粘度変化が小さく、加熱固化後に可塑剤が表面に滲み出るブリード現象が少なくアクリル系樹脂と相溶性の良い可塑剤を選択することが好ましく、例えば一般式(15)あるいは(16)で示すベンゾエート系化合物、一般式(17)で示すフタル酸エステル系化合物、一般式(18)で示すトリメリット酸エステル系化合物の中から選ばれた一種以上が使用できる。具体的には、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、トリオクチルトリメリテート(TOTM)等を挙げることができる。また、その他の可塑剤を2次可塑剤として最大10重量%程度であれば併用使用することも可能である。




【0019】可塑剤の配合量は加熱固化後の所望の硬度等の物性、コーティング適性等の加工性を考慮して適宜選定されるものであり特に限定されるものではないが、アクリル系樹脂100重量部に対して70〜250重量部、好ましくは80〜150重量部の範囲である。70重郎部未満では、作製(以下調製ということもある。)されるペーストゾルが高粘度となり成形加工性に劣るものとなり、250重量部より多いと、賦形性を十分確保することが困難になる傾向があり、さらに作製されるペーストゾルを加熱固化した後に可塑剤がブリードし易くなる。
【0020】アクリル系樹脂、可塑剤、アニオン系界面活性剤を十分に混合攪拌して均一なペーストゾルに調整する装置としては、その粘度特性などからディゾルバーミキサー、ホモミキサーなどの攪拌機が好適に使用される。
【0021】このようにして得られるアクリル系樹脂ペーストゾル組成物は、塩化ビニル系ペーストゾル組成物に比較して熱安定性や耐候性が良好であるが、必要ならば耐候安定剤、耐光安定剤等を添加しても良い。さらに、必要に応じて、充填材、着色のための顔料等を添加しても良い。
【0022】
【実験例】以下に具体的な実験例を挙げ、本発明のアクリル系樹脂ペーストゾル組成物に関して詳細に説明するが、本願発明は以下に挙げる例に限定されるものではない。
(アクリル系樹脂ペーストゾルの調製)表1に示す薬品を計量混合し、プロペラミキサーで十分攪拌しペーストゾルを調製し、常温23℃で保存した。なお、配合量は重量部で表した。
【表1】

アクリル系樹脂A:メチルメタクリレート単独重合体(日本ゼオン社製F−325)
アクリル系樹脂B:メチルメタクリレート系共重合体(三菱レイヨン社製ダイアナールP−3102)
可塑剤A:ジエチレングリコールジベンゾエート(Velsicol社製Benzoflex2−42)
可塑剤B:ジプロピレングリコールジベンゾエート(Velsicol社製Benzoflex9−88)
可塑剤C:ジイソノニルフタレート(DINP)
界面活性剤A(アニオン系):ラウリル硫酸エステルナトリウム(日本油脂社製パーソフトSP)
界面活性剤B(アニオン系):脂肪酸ソーダセッケン(日本油脂社製ノンサールTN−1)
界面活性剤C(アニオン系):ドデシベンゼンスルホン酸ナトリウム(日本油脂社製ニューレックスR)増粘剤A:吸油性増粘剤(日本アエロジル工業社製 アエロジル#200)
増粘剤B:吸油性増粘剤(日東粉化工業社製 炭カルNN−500)
【0023】(性能評価)実験例1〜11について、配合調製したアクリル系ペーストゾルの粘度をBM型回転式粘度計(東京計器社製)を用いて調製直後、調製後1日保存後、調製後3日保存後、調製後7日保存後にそれぞれ測定し、かつそれぞれの測定においてローターの回転速度を6rpm、12rpm、30rpm、60rpmというように回転数を変化させて測定した。そして、例えば調製直後で6rpmにおける粘度(Pa・s)測定値をη0-6に記すようにして、また例えば調製後7日保存後で60rpmにおける粘度(Pa・s)測定値をη7-60に記すようにして、その粘度測定結果を表2に記した。
【0024】上記粘度測定値において、相対的には6rpmの時の粘度が低剪断速度時の粘度に相当し60rpmの時の粘度が高剪断速度時の粘度に相当することから、(6rpmにおける粘度測定値/60rpm時の粘度測定値)が大きい程、キャストコート、ローテーショナルモールデイング、スラッシュモールデイング等における成形加工性と賦形性とを両立するものとしてとらえ、(低剪断速度時の粘度/高剪断速度時の粘度)が3以上の実験例を〇として表2に示した。
【0025】
【表2】

【0026】実験例1〜11のペーストゾルを、キャスト法にてコンマコーターで離型フィルム上に2mm厚さにコートした。実験例2〜4、実験例6、実験例8〜10にて調製されたペーストゾルによるものは、平滑な表面を有するペーストゾル固化物が得られたが、実験例1、実験例5、実験例7、実験例11については平滑な表面が得られなかった。
【0027】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明のアクリル系樹脂ペーストゾル組成物によれば、ペーストゾル状態における低剪断速度時の粘度が高く、高剪断速度時の粘度が低くなるので、ペーストゾル自体の調製およびペーストゾルのコーティング作業が良好となるとともに、塗布後のペーストゾルの保形が良好となり、前記ペーストゾル加熱固化後は均一な厚さ又は所望の形状を有した固化物とすることができる。
【出願人】 【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
【出願日】 平成13年12月17日(2001.12.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−249632(P2002−249632A)
【公開日】 平成14年9月6日(2002.9.6)
【出願番号】 特願2001−383371(P2001−383371)