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【発明の名称】 ポリエステルの製造方法
【発明者】 【氏名】鎌田 勝馬

【氏名】竹原 勝己

【氏名】川治 富生

【要約】 【課題】ポリエステル製造工程などで発生した屑ポリエステルを有効に活用し、高品位のポリエステルを安定して製造可能とすること。

【解決手段】ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体、ならびにグリコールおよび/またはそのエステル形成性誘導体を原料としてエステル反応中に供給してエステル化反応またはエステル交換反応を行い、得られたエステル低重合体を重縮合反応中に供給して重縮合することによりポリエステルを製造する方法において、屑ポリエステルを溶融押出し機を用い、溶融せしめた後、エステル反応中または、重縮合反応中に供給し、ポリエステル重合体を得るポリエステルの製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体、ならびにグリコールおよび/またはそのエステル形成性誘導体を原料としてエステル反応中に供給してエステル化反応またはエステル交換反応を行い、得られたエステル低重合体を重縮合反応中に供給して重縮合することによりポリエステルを製造する方法において、屑ポリエステルを溶融押出し機を用い、溶融せしめた後、エステル反応中または、重縮合反応中に供給し、ポリエステル重合体を得ることを特徴とするポリエステルの製造方法。
【請求項2】溶融押出し機内部にグリコールまたはその誘導体を添加しつつ、屑ポリエステルを溶融押出し機を用い溶融させて供給することを特徴とする請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
【請求項3】グリコールがエチレングリコールまたは1,4ブタンジオールであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屑ポリエステルをエステル化またはエステル交換反応(以下、エステル反応という)中または、重縮合反応中に供給し、安定した品質のポリエステル重合体を得る製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリエステルは繊維、フィルム、プラスチック等の成形材料として多くの用途がある。これらの製造工程においては繊維状、フィルム状、樹脂状のポリエステル屑が発生する。
【0003】これらの回収方法としては種々の方法が提案されており、屑ポリエステルを過剰のエチレングリコールで解重合した後、メタノールでエステル化しジメチルテレフタレートとして回収する方法、あるいはテレフタル酸とエチレングリコールとの反応系に直接屑ポリエステルを投入する方法などがある。
【0004】特開昭54−111562号公報には、低粘度、低分子量のポリエステル予備重合体を高温減圧の条件下で導入し、他端から流れを高粘度、高分子量ポリエステルとして取り出す際、屑のポリエステルを導入する方法が開示されている。
【0005】該公報で開示された方法では、屑ポリエステルは重合仕上器と称せられるポリエステル重合法の最終工程である反応器中に投入される。しかしながら、重合仕上器で屑ポリエステルを投入する場合、減圧下での投入となるため空気(特に酸素)が混入しやすく、ポリマーの酸化分解を受け、色調劣化、カルボキシル末端基の増加に伴う溶融ポリマーの粘度低下といった問題が発生しやすかった。
【0006】更に該公報での屑ポリエステルの混合率は20〜50重量%であることが記載されており、屑ポリエステル中の異物混入率が多い場合、得られるポリエステルの品質が安定しないという問題があった。
【0007】特開昭58−13531号公報には、ポリエステル屑をグリコールで解重合する場合に、あらかじめ加熱溶融状態のビスヒドロキシアルキルテレフタレート(以下、BHATという)を存在させ、該BHAT量およびグリコール量を規定し、しかも解重合後のBHATを特定条件下で静置する方法が開示されている。
【0008】しかしながら、該公報で開示された方法は回分式重合方法では用いることできるが、連続した重合方法には適用できない。回分式重合では、ポリエステルポリマーの吐出時間中に品質が変わりやすい欠点を有する。一方、連続式重合では常に重合反応が進行しているため、吐出時間に隔たりがなく、安定したポリエステルポリマーを得ることができる。
【0009】このように従来の方法では、ポリエステルポリマーの重合反応工程中に屑ポリエステルを連続的に供給しながら、安定したポリエステルを得ることは困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリエステルの製造工程などで発生した屑ポリエステルを有効に活用し、高品位のポリエステルが安定して製造可能となるポリエステルの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は次の構成を有する。すなわち、ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体、ならびにグリコールおよび/またはそのエステル形成性誘導体を原料としてエステル反応中に供給してエステル反応またはエステル交換反応を行い、得られたエステル低重合体を重縮合反応中に供給して重縮合することによりポリエステルを製造する方法において、屑ポリエステルを溶融押出し機を用い、溶融せしめた後、エステル反応中または、重縮合反応中に供給し、ポリエステル重合体を得るポリエステルの製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明は、ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体、ならびにグリコールおよび/またはそのエステル形成性誘導体を原料としてエステル反応中に供給してエステル反応またはエステル交換反応を行い、得られたエステル低重合体を重縮合反応中に供給して重縮合することによりポリエステルを製造する方法において、屑ポリエステルを溶融押出し機を用い、溶融せしめた後、エステル反応中または、重縮合反応中に供給し、ポリエステル重合体を得るポリエステルの製造方法である。
【0014】本発明において用いられるポリエステルは特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレートの場合、スラリー混合機でスラリー化されたテレフタル酸(以下、TPAという)とエチレングリコール(以下、EGという)が、エステル化反応装置に供給されてエステル化反応した後生成するポリエステル低重合体が、引き続いて重縮合反応装置に供給され重縮合反応することにより製造することができる。
【0015】また、本発明において屑ポリエステルは、繊維、フィルム、プラスチック等のポリエステル製品を製造するさまざまな工程で発生するポリエステル屑やPETボトルなどの使用済みPET成形体、更にはポリエステル100%のリサイクル樹脂などをいうものである。
【0016】以下、本発明を図面を用いて説明する。なお、以下グリコール成分としてEGを用いて説明しているが、本発明においてはEGのみに限定されるものではない。
【0017】図1は本発明方法を説明する概略図である。図1において、TPAとEGとをスラリー混合機1に一定モル比となるようにして供給し、スラリーとする。このスラリーを原料として、スラリー供給ポンプ2によってエステル化反応装置3に供給する。図1の方法では、エステル反応装置3に屑ポリエステルを溶融押出し機で溶融せしめ供給させている図を示している。
【0018】本発明では屑ポリエステルは溶融押出し機を用いて供給することが必要である。エステル反応または、重縮合反応などの反応工程に空気(特に酸素)が混入すると、ポリマーの酸化分解を受けるため、空気(特に酸素)を遮断する必要がある。
【0019】本発明のように溶融押出し機を用いて供給する方法では、押出し機内でポリマーシールされて押し出されるため、空気(特に酸素)と接触することがないためにポリマーの酸化分解が生じることなく、色調劣化、カルボキシル末端基の増加に伴う溶融ポリマーの粘度低下といった問題も発生しない。しかも、溶融押出し機を用いた供給では、常圧、加圧、減圧などのあらゆる圧力範囲の反応中においても供給可能である。
【0020】また、溶融押出し機を用いた場合には、屑ポリマーの供給量も任意に設定可能であり、且つ、設定した供給量を一定に保つことができ、得られるポリエステルの品質も格段に安定しやすい。更に、従来のように、屑ポリエステルのチップをそのまま反応槽に投入する方法と異なり、屑ポリエステルを溶融させて供給するため、次工程に移液される際に工程間に設置されているフィルター14に未溶融ポリマーが捕捉され、フィルター詰まりが発生することもない。
【0021】また、屑ポリエステルの供給はエステル反応中または、重縮合反応中に供給する必要がある。図1においては屑ポリエステルの供給は、エステル反応装置3に供給されているが、エステル化反応装置4、重縮合反応装置5〜7のいずれに供給しても構わないが、屑ポリエステルを溶融押出し機を用いて供給する場合には、経時的に溶融押出し機の先端ノズルが汚れ安定した吐出が出来なくなる。しかし、図1でいうエステル反応装置3、4、重縮合反応装置5で供給するとEGの蒸気により洗浄される効果が得られ、先端ノズルが汚れる現象が激減する。そのため、屑ポリエステルを溶融押出し機を用いて供給するのはエステル反応装置3、4、重縮合反応装置5の位置がより好ましい。
【0022】エステル化反応装置3では、好ましくは200〜270℃、0.05〜0.5MPaGの条件にて反応し、エステル化反応装置4に供給する。なお、エステル化反応では、重合触媒および必要に応じて顔料が添加することが好ましい。前記重合触媒および顔料はEGに溶解、または分散されて投入される。こうしてエステル化反応装置4でほぼエステル化反応が完了し生成したポリエステル低重合体が次工程の重縮合反応装置に供給される。
【0023】重縮合反応装置5、6、7では好ましくは200〜300℃、0.1〜10kPaabsの範囲で徐々に温度、真空度を上げていくと、ポリエステルのポリマーが合成される。エステル化反応装置4、および重縮合反応装置5,6,7にはそれぞれ湿式凝縮器9〜12が設置されており、反応によって発生した留出EGはここで濃縮液として取り出される。
【0024】本発明のポリエステルの製造方法は連続式であっても回分式であってもよい。
【0025】また、溶融押出し機内部にグリコールまたはその誘導体を添加しつつ、屑ポリエステルを溶融押出し機を用い溶融させて供給することが好ましい。
【0026】溶融押出し機内部にグリコールまたはその誘導体を添加することで、溶融押出し機内部で解重合が開始して進行する。したがって、特に高融点、高粘度の屑ポリエステルを供給する場合、グリコールまたはその誘導体を添加しつつ溶融押出し機に通すことで低粘度化し、先端ノズルからの吐出および供給がスムーズとなるのである。また、低粘度化することで溶融押出し機の溶融温度を下げることも出来る。
【0027】更に、本発明においては屑ポリエステルをグリコールまたはその誘導体で解重合しつつ供給することでエステル反応中、重縮合反応中の低粘度ポリマーに近い粘度とすることが出来、反応内部において均一に混合されるようになるため、安定した反応性を得ることが出来るのである。グリコールまたはその誘導体としては、エチレングリコールまたは1,4ブタンジオールなどを用いることができるが、特に限定されるものではない。
【0028】また、屑ポリエステルを溶融押出し機を用い、溶融させて供給する際のポリマーとの混合率が、20重量%以下であることが好ましい。
【0029】屑ポリエステルとしては、繊維、フィルム、プラスチック等のさまざまな製造工程で発生するため、おのずとポリマー中に含まれる異物混入率も一定でない。
【0030】したがって、屑ポリエステルの混合率は低い方が、得られるポリエステル重合体の品質も安定するので好ましい。更に、異物混入率の高い屑ポリエステルを供給する場合にも、屑ポリエステルの混合率を好ましくは20%以下とすることでポリエステル重合体の品質低下を回避することができる。
【0031】また、低粘度、低分子量のポリマーに関しては、粉砕処理した後に使用することができる。高粘度、高分子量のポリマーに関しては、チップ化したものはそのまま原料として使用でき、ガットまたは塊状となったものは粉砕処理した後に使用することができる。繊維化されたものは、油剤付着していれば湯洗したのち、油剤付着していなければそのまま、ペレタイザーによりペレット化した後、原料として使用することができる。
【0032】本発明におけるポリエステルは、TPAまたはそのエステル形成性誘導体をジカルボン酸とし、EG、1,4ブタンジオール(以下、BGという)またはそのエステル形成性誘導体をグリコール成分とするポリエステルを用いることができるが、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートが好ましい。
【0033】なお、TPA成分の一部を、例えば5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4’,4−ジフェニルメタンジカルボン酸、4’、4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2’−ジフェノキシエタン、p、p’−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの二官能性カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体で置き換えるか、またはグリコール成分の一部をトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシベンゼン、ビスフェノールAなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジオキシ化合物またはそのエステル形成性誘導体で置き換えた主鎖の繰り返し単位の70モル%以上がエチレンテレフタレート単位およびテトラメチレンテレフタレート単位から選ばれるエステル単位である共重合ポリエステルであってもよい。
【0034】
【実施例】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、実施例、比較例は図1、図2に示す形態のポリエステル連続重合装置を用いた。
【0035】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は以下の測定方法で実施した。
(1)極限粘度(ηc)
オルソクロロフェノールを溶媒として、25℃で測定した。
(2)カルボキシル基含量[COOH量]
ベンジルアルコールに得られたポリエステルを溶解し、0.01N水酸化ナトリウム水溶液で滴定することにより求めた。
(3)DEG量モノエタノールアミンを用い得られたポリエステルを加熱分解し、生成物にメタノールを添加してPET(BHT)を析出させ、濾液中のDEGをガスクロマトグラフで測定した。
(4)色調(b値)
スガ試験機(株)製のSMカラーマシンを使用して行った。
【0036】b値は0付近であることがよく、0より大きくなるに伴い黄色が強くなる傾向にある。0より小さくなるに伴い、青色が強くなる傾向がある。
実施例1図1に示した製造設備を用いて、TPA311kg/h、EG134kg/hとしてスラリー混合機1に供給し、スラリー化した後、スラリー供給ポンプ2経由でエステル化反応装置3に供給した。このとき、エステル化反応装置3の位置に、溶融押出し機(エクストルーダー)を用い、溶融温度285℃でIV0.52の屑ポリエステルを溶融させて混合率10%で供給した。次いでエステル化反応装置4に移液し、着色防止剤として燐酸54g/h、重合触媒として三酸化アンチモン108g/h、補色剤として酢酸コバルト36g/h、艶消剤として二酸化チタン1440g/hを供給した。次いで重縮合反応装置5に移液し、表1の条件で重縮合反応をおこなった。重縮合反応装置6、7を経て得られたポリエステルのIV、[COOH]量、DEG量、b値を測定して表1に示した。
【0037】得られたポリエステルを用い、溶融し、絶対濾過径15μのステンレス製不織布フィルタにより濾過した後、孔数36の口金から吐出した。紡糸温度は290℃、吐出量は単糸繊度2.2dtexになるように調整した。吐出した糸条は、吐出後、常法により冷却、給油後交絡を付与し引取ローラーを介して巻取機で巻取った。このとき、引取ローラの速度(紡糸速度)は6000m/分とした。
【0038】約10トン紡糸したときの1トン当たりの糸切れ回数の平均を表1に示した。
【0039】実施例1では、溶融押出し機を用いて屑ポリエステルを供給しているおり、空気(特に酸素)と接触しないため熱分解を受けにくいため[COOH]量、DEG量も低い値となっており、色調b値も問題ないレベルであった。糸切れ回数の平均も0.7回/トンであり通常の糸切れ回数と比べても遜色無く問題なかった。
【0040】実施例2〜5屑ポリエステルを溶融押出し機を用いて溶融せしめた後、供給する場所を変えた以外は実施例1と同様にして、ポリエステルを得た。
【0041】実施例2〜5においても、溶融押出し機を用いて屑ポリエステルを供給しているため空気(特に酸素)と接触しないため熱分解を受けにくいため[COOH]量、DEG量も低い値となっており、色調b値も問題ないレベルであった。糸切れ回数の平均も通常の糸切れ回数と比べても遜色無く問題なかった。
【0042】ポリエステルの製造後、溶融押出し機の先端ノズルを観察したところ、図1でいうエステル反応装置3、4、重縮合反応装置5で供給した際には汚れが少なかった。重縮合反応装置6、7ではやや汚れが目立っていた。
【0043】実施例6〜7屑ポリエステルのIV,溶融押出し機を用いて溶融せしめ供給する場所を変えた以外は実施例1と同様にして、ポリエステルを得た。
【0044】IVが高い高粘度の屑ポリエステルを供給した場合にも、[COOH]量、DEG量も低い値となっており、色調b値も問題ないレベルであった。糸切れ回数の平均も通常の糸切れ回数と比べても遜色無く問題なかった。
【0045】ポリエステルの製造後、溶融押出し機の先端ノズルを観察したところ、図1でいうエステル反応装置3、4、重縮合反応装置5で供給した際には汚れが少なかった。重縮合反応装置6、7ではやや汚れが目立っていた。
【0046】また、溶融押出し機内部にEGを添加しており、供給するポリマーの粘度が高い場合にも溶融押出し機内部で低粘度化するため、負荷が小さく、エネルギーロスが小さかった。また、溶融押出し機を停機した後に再び加熱し、供給を開始した際にも全く問題は生じなかった。
【0047】このように溶融押出し機を用いた屑ポリエステルの供給では、屑ポリエステルの品質による影響が小さく、常圧、加圧、減圧の反応系においても安定して供給可能であり、且つ問題のない品質のポリエステルを得ることができた。
【0048】実施例11、12溶融押出し機内部にエチレングリコールを添加させないこと、屑ポリエステルの供給場所を変えた以外は、実施例6と同様にして、ポリエステルを得た。
【0049】実施例11、12においても、溶融押出し機を用いて屑ポリエステルを供給しているため空気(特に酸素)と接触しないため熱分解を受けにくいため[COOH]量、DEG量も低い値となっており、色調b値も問題ないレベルであった。
【0050】糸切れ回数の平均も通常の糸切れ回数と比べても遜色無く問題なかった。
【0051】但し、溶融押出し機内部にEGを添加しなかったため溶融ポリマーの粘度が高く、実施例6、9とくらべ溶融押出し機の負荷が増加し、エネルギーロスが大きかった。また、溶融押出し機を停機した後に再び加熱し、供給を開始した際に溶融押出し機内部で炭化したポリマーが吐出しにくい状況がたまに見られた。
【0052】比較例1、2屑ポリエステルの投入をロータリー式のチップ投入機を用いて行った以外は、実施例1と同様にしてポリエステルを得た。
【0053】比較例1では、得られるポリエステルの品質は安定していたが、ポリエステルを供給時、EG蒸気が漏れ出し安全上非常に危険であった。
【0054】比較例2では、減圧下で屑ポリエステルを供給するため、空気が反応装置に混入してしまい、空気(特に酸素)との接触により酸化分解を受けるため、[COOH]量が低下した。また、DEG量の増加および色調b値の劣化を生じ、安定した品質のポリエステルを得ることができなかった。
【0055】更に、比較例1,2では屑ポリエステルをチップのまま反応槽に投入したため、屑ポリエステルを溶融させて次工程に移液される際、工程間に設置されているフィルターに未溶融ポリマーが捕捉され、フィルター詰まりが発生した。
【0056】また、糸切れ回数の平均も通常の糸切れ回数に比べ多く、操業性に劣っていた。
【0057】実施例13、14屑ポリエステルを供給する際の混合率を変えた以外は、実施例1と同様にしてポリエステルを得た。実施例13,14では溶融押出し機を用いて屑ポリエステルを供給しているため空気(特に酸素)と接触しないため熱分解を受けにくい。そのため[COOH]量、DEG量も低い値となっており、色調b値も問題ないレベルであった。糸切れ回数の平均も通常の糸切れ回数と比べても遜色無く問題なかった。
【0058】比較例3、4屑ポリエステルを供給する際の混合率を変えた以外は、比較例1と同様にしてポリエステルを得た。混合率が高いと、減圧下で屑ポリエステルを供給する際の時間も長く、空気が反応装置に混入する割合も高く、空気(特に酸素)との接触により酸化分解を激しく受けるため、[COOH]量が大きく低下し、IVも大きく低下した。また、DEG量が大幅に増加し色調b値劣化を生じ、屑ポリエステルの影響を大きく受け安定した品質のポリエステルを得ることができなかった。
【0059】糸切れ回数の平均も通常の糸切れ回数に比べ、かなり多く操業性に大きく劣っていた。
【0060】更に、比較例1、2と同様に比較例3,4では屑ポリエステルをチップのまま反応槽に投入したため、屑ポリエステルを溶融させて次工程に移液される際、工程間に設置されているフィルターに未溶融ポリマーが捕捉され、フィルター詰まりが発生した。
【0061】以上のように、屑ポリエステルを溶融押出し機を用い、溶融せしめた後、エステル反応中または、重縮合反応中に供給し、ポリエステル重合体を得ることで、製造工程などで発生した屑ポリエステルを有効に活用し、高品位のポリエステルが安定して製造可能となる。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
【発明の効果】本発明により、製造工程などで発生した屑ポリエステルを有効に活用し、高品位のポリエステルが安定して製造可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成13年2月23日(2001.2.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−249557(P2002−249557A)
【公開日】 平成14年9月6日(2002.9.6)
【出願番号】 特願2001−48284(P2001−48284)