| 【発明の名称】 |
リン含有エポキシ樹脂組成物、樹脂シート、樹脂付き金属箔、プリプレグ、積層板、多層板 |
| 【発明者】 |
【氏名】垣内 秀隆
【氏名】相楽 隆
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| 【要約】 |
【課題】ハロゲンを含有することなく高い難燃性と耐熱性を有し、しかも接着性に優れたリン含有エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】リン含有エポキシ樹脂と硬化剤を必須成分とするリン含有エポキシ樹脂組成物に関する。リン含有エポキシ樹脂として、リン原子に結合した1個の活性水素を有する有機リン化合物をキノン化合物1モルに対して1.01モル以上2モル未満の範囲で反応させて得られるリン含有有機化合物と、下記の式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂から選ばれるものとを、下記の式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂から選ばれるものがリン含有エポキシ樹脂全量中に20〜45質量%含有されるように反応させたものを用いる。硬化剤として、トリアジン変性ノボラック樹脂を一部又は全部用いる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リン含有エポキシ樹脂と硬化剤を必須成分とするリン含有エポキシ樹脂組成物において、リン含有エポキシ樹脂として、リン原子に結合した1個の活性水素を有する有機リン化合物をキノン化合物1モルに対して1.01モル以上2モル未満の範囲で反応させて得られるリン含有有機化合物と、下記の式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂から選ばれるものとを、下記の式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂から選ばれるものがリン含有エポキシ樹脂全量中に20〜45質量%含有されるように反応させたものを用いると共に、硬化剤として、トリアジン変性ノボラック樹脂を一部又は全部用いて成ることを特徴とするリン含有エポキシ樹脂組成物。 【化1】
【請求項2】 リン含有エポキシ樹脂全量中のリン含有量が1.2〜4質量%であると共に、リン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量が200〜600g/eqであることを特徴とする請求項1に記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。 【請求項3】 キノン化合物として、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノンから選ばれるものを用いて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。 【請求項4】 有機リン化合物として、3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサフォスファン−2−オキシドを用いて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。 【請求項5】 組成物全量中のリン含有量が0.5〜4質量%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。 【請求項6】 組成物中の固形分100質量部に対して、充填材を10〜150質量部含有して成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。 【請求項7】 充填材として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、焼成タルク、クレー、カオリン、酸化チタン、ガラス粉末、シリカバルーンから選ばれるものを用いて成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物をシート状に形成して成ることを特徴とする樹脂シート。 【請求項9】 請求項1乃至7のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を金属箔上に塗布して成ることを特徴とする樹脂付き金属箔。 【請求項10】 請求項1乃至7のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物をシート状基材に含浸して成ることを特徴とするプリプレグ。 【請求項11】 請求項8に記載の樹脂シート、請求項9に記載の樹脂付き金属箔、請求項10に記載のプリプレグのうちの少なくとも一種のものを積層成形して成ることを特徴とする積層板。 【請求項12】 請求項8に記載の樹脂シート、請求項9に記載の樹脂付き金属箔、請求項10に記載のプリプレグのうちの少なくとも一種のものを各層内に少なくとも一層含んで成ることを特徴とする多層板。 【請求項13】 請求項1乃至7のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を請求項11に記載の積層板に塗布して成ることを特徴とする多層板。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性を有するリン含有エポキシ樹脂組成物と、これを用いて作製される樹脂シート、樹脂付き金属箔、プリプレグ、積層板及び多層板に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、電子・電気機器に使用される銅張積層板は、火災の防止・遅延といった安全性が強く要求されることから、難燃性を有するハロゲン化エポキシ樹脂などを用いて製造されている。このようにハロゲンをエポキシ樹脂に導入すると難燃性が付与されるものであるが、特にハロゲンとして臭素をエポキシ樹脂に導入することにより、難燃性が付与されることは勿論、高反応性のエポキシ基を有し、優れた硬化物が得られるという点で、ハロゲン化エポキシ樹脂の中でも特に臭素化エポキシ樹脂は、有用な電子・電気材料として位置付けられているものである。 【0003】しかし、上記のようにハロゲン化エポキシ樹脂を用いて製造された電子・電気機器を、高温下において長期に亘って使用した場合、ハロゲン化物の解離が起こり、これによって配線腐食が発生するおそれがあるものであり、既にこのような事例が現実化しているものである。さらに、使用済みの電子部品や電気機器を燃焼する際には、ハロゲン化物などの有害物質が発生するものであり、環境保全の観点からもハロゲンの利用が問題視されるようになってきている。 【0004】かかる状況下において、ハロゲンを使用することなく難燃性が付与されたエポキシ樹脂と、これを用いて作製されるプリント配線板用の積層板の開発や、その商業化は時代の要求に対応した課題であって、現在、ハロゲン化エポキシ樹脂に代わる材料の研究が行われているが、既に開発されているものとしては、以下のようなものを挙げることができる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】すなわち、ハロゲンを使用しないで難燃性が付与されたエポキシ樹脂としては、例えば、ヨーロッパ特許公報EP0806429A2に記載されているように、有機リン化合物とエポキシ樹脂類から誘導されるエポキシ基を含有したリン含有有機化合物を挙げることができる。しかし、このものに2官能性エポキシ樹脂類を用いた場合には反応性官能基であるエポキシ基の濃度が低くなり、硬化物とした場合に耐熱性が低下するといった問題があった。 【0006】また、例えば、特開平4−11662号公報に記載されている有機リン化合物とエポキシ樹脂類から得られるリン含有エポキシ樹脂を挙げることもできるが、このものは粘度が高く、他の液状エポキシ樹脂を加えて実用粘度を低下させなければならず、しかも、このものを用いたエポキシ樹脂組成物はリン含有量(リンコンテント)が低下するという問題点があった。 【0007】さらに、特開平11−166035号公報に記載のリン含有エポキシ樹脂は、有機リン化合物とエポキシ樹脂類とから得られるものであり、また特開平11−279258号公報に記載のリン含有エポキシ樹脂は、有機リン化合物とキノン類化合物及びエポキシ樹脂類とから得られるものであるが、両者共に多官能エポキシ樹脂であるノボラック型エポキシ樹脂を用いなければならず、これにより接着性が低下する問題があった。つまり、いずれのリン含有エポキシ樹脂もハロゲンを利用することなく難燃性を有しているものの、積層板や多層板に作製した場合に各層間の接着力が低くなるものである。 【0008】そこで、本発明者は、上記の問題点を踏まえつつ、ハロゲンを使用することなく難燃性が付与されたエポキシ樹脂と、これを用いて作製されるプリント配線板用の積層板を開発するにあたって、西沢仁著、増補新版「ポリマーの難燃化」株式会社大成社発行(1989年)第49頁、第52乃至59頁に概説されているリン及びリン化合物による難燃作用の基本原理に着目した。そして、この基本原理を応用することにより、特定の有機リン化合物を用いることによって難燃性を有する新しいリン含有エポキシ樹脂組成物が得られること、さらには特定のエポキシ樹脂と特定の硬化剤を必須成分とする樹脂組成物が優れた難燃性と強固な層間の接着力を有し、かつその硬化物の物性が良好であってプリント配線板用の積層板として有用であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。 【0009】本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ハロゲンを含有することなく高い難燃性と耐熱性を有し、しかも接着性に優れたリン含有エポキシ樹脂組成物と、これを用いて作製される樹脂シート、樹脂付き金属箔、プリプレグ、積層板及び多層板を提供することを目的とするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係るリン含有エポキシ樹脂組成物は、リン含有エポキシ樹脂と硬化剤を必須成分とするリン含有エポキシ樹脂組成物において、リン含有エポキシ樹脂として、リン原子に結合した1個の活性水素を有する有機リン化合物をキノン化合物1モルに対して1.01モル以上2モル未満の範囲で反応させて得られるリン含有有機化合物と、下記の式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂から選ばれるものとを、下記の式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂から選ばれるものがリン含有エポキシ樹脂全量中に20〜45質量%含有されるように反応させたものを用いると共に、硬化剤として、トリアジン変性ノボラック樹脂を一部又は全部用いて成ることを特徴とするものである。 【0011】 【化2】
【0012】また請求項2の発明は、請求項1において、リン含有エポキシ樹脂全量中のリン含有量が1.2〜4質量%であると共に、リン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量が200〜600g/eqであることを特徴とするものである。 【0013】また請求項3の発明は、請求項1又は2において、キノン化合物として、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノンから選ばれるものを用いて成ることを特徴とするものである。 【0014】また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、有機リン化合物として、3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサフォスファン−2−オキシドを用いて成ることを特徴とするものである。 【0015】また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、組成物全量中のリン含有量が0.5〜4質量%であることを特徴とするものである。 【0016】また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、組成物中の固形分100質量部に対して、充填材を10〜150質量部含有して成ることを特徴とするものである。 【0017】また請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかにおいて、充填材として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、焼成タルク、クレー、カオリン、酸化チタン、ガラス粉末、シリカバルーンから選ばれるものを用いて成ることを特徴とするものである。 【0018】また請求項8に係る樹脂シートは、請求項1乃至7のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物をシート状に形成して成ることを特徴とするものである。 【0019】また請求項9に係る樹脂付き金属箔は、請求項1乃至7のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を金属箔上に塗布して成ることを特徴とするものである。 【0020】また請求項10に係るプリプレグは、請求項1乃至7のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物をシート状基材に含浸して成ることを特徴とするものである。 【0021】また請求項11に係る積層板は、請求項8に記載の樹脂シート、請求項9に記載の樹脂付き金属箔、請求項10に記載のプリプレグのうちの少なくとも一種のものを積層成形して成ることを特徴とするものである。 【0022】また請求項12に係る多層板は、請求項8に記載の樹脂シート、請求項9に記載の樹脂付き金属箔、請求項10に記載のプリプレグのうちの少なくとも一種のものを各層内に少なくとも一層含んで成ることを特徴とするものである。 【0023】また請求項13の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を請求項11に記載の積層板に塗布して成ることを特徴とするものである。 【0024】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。 【0025】本発明においてリン含有エポキシ樹脂組成物は、リン含有エポキシ樹脂と硬化剤を必須成分とするものであり、上記のリン含有エポキシ樹脂は、リン含有有機化合物と上記の式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂とを反応させることによって得られる。さらに上記のリン含有有機化合物とは、有機リン化合物とキノン化合物とを反応させることによって得られるものである。以下では、まずこれらの各成分について説明する。 【0026】リン含有有機化合物の原料となるキノン化合物としては、溶解性が高く、安価であるという点で、1,4−ベンゾキノンや1,4−ナフトキノンを用いることが好ましいが、これらのものに限定されるものではなく、例えば、1,2−ベンゾキノン等も用いることができる。またこれらのキノン化合物は、1種を単独で使用したり、あるいは2種以上を混合して使用したりすることができる。 【0027】また、リン含有有機化合物の原料となる有機リン化合物としては、リン原子に結合した1個の活性水素を有するものを用いるものである。このような有機リン化合物としては、溶解性が良好であり、分子あたりのリン含有量(リンコンテント)が高いため少量の使用でリンによる難燃などの作用を得ることができるいう点で、3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサフォスファン−2−オキシド(三光化学株式会社製;略称「HCA」)を用いることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば、ジフェニルホスフィンオキシド等も用いることができる。またこれらの有機リン化合物は、1種を単独で使用したり、あるいは2種以上を混合して使用したりすることができる。 【0028】そして、上述したキノン化合物と有機リン化合物とを反応させてリン含有有機化合物を合成するにあたっては、例えば、特開平5−214068号公報や、ロシアの一般化学雑誌である「Zh.Obshch.Khim.」,42(11),第2415−2418頁(1972)や、特開昭60−126293号公報や、特開昭61−236787号公報や、特開平5−331179号公報に記載されている方法によって行うことができる。しかし、本発明では特に、キノン化合物1モルに対して、有機リン化合物を1.01モル以上2モル未満、好ましくは1.01以上1.5モル未満、より好ましくは1.01以上1.4モル未満の範囲で反応を行うものである。ここで、キノン化合物1モルに対して有機リン化合物を2モル以上反応させると、有機リン化合物が残存してしまい、硬化剤との架橋点であるエポキシ基を持たない成分が多く生成してしまい、耐熱性や接着力の低下を招いてしまうものである。逆に、キノン化合物1モルに対して有機リン化合物を1.01モル未満反応させると、キノン化合物が残存してしまうものである。特に、昇華性のあるキノン化合物が残存した場合は、このキノン化合物はエポキシ樹脂と反応する反応基を有していないので、耐熱性等の物性に悪影響を及ぼすものである。 【0029】また、キノン化合物と有機リン化合物の反応は、具体的には、予め有機リン化合物を不活性溶媒に溶解した後、これにキノン化合物を添加して加熱攪拌することにより行うことができる。ここで、添加する際のキノン化合物としては、予め粉末状にしたものや、溶媒に溶解したものを利用することができる。また、キノン化合物と有機リン化合物との反応は発熱を伴うものであるため、急激な発熱が起きないようにするには、所定量のキノン化合物を滴下法によって添加したりするものである。そして、キノン化合物の添加後、50〜150℃で1〜4時間保持しながら、反応を進行させるものである。 【0030】また、上述した不活性溶媒としては、有機リン化合物を溶解し得るものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、エチレングリコール、メトキシプロパノール、エチルセロソルブ、ベンゼン、トルエン、キシレン等を用いることができる。しかし、キノン化合物の中には不純物として微量の有機酸、例えば無水マレイン酸や無水フタル酸等を含むものがあり、アルコール性水酸基を有する溶媒下においては、上記の酸と溶媒のアルコール性水酸基との反応が起こり、硬化反応に全く関与しない物質が生成するため、耐熱性等に影響を与えるおそれがあるものである。従って、かかる影響を受けるおそれがない溶媒として、上述した不活性溶媒の中では、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を用いることが好ましい。 【0031】また、リン含有エポキシ樹脂の原料となる、式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば以下のようなものを挙げることができる。すなわち、式(1)で表されるエポキシ樹脂としては、ハイドロキノン型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「エポトートZX−1027」)を、また式(2)で表されるエポキシ樹脂としては、1,4−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「エポトートZX−1355」)を、また式(3)で表されるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「エポトートYDF−170」、「エポトートYDF−8170」)や、ビフェニルエポキシ樹脂(東都化成株式会社製「エポトートZX−1251」)や、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「エポトートZX−1201」)や、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製「ESLV−80DE」)や、ジフェニルスルフィド型エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製「ESLV−50TE」)を挙げることができる。 【0032】そして、上述したリン含有有機化合物と、式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂とを反応させることによって、リン含有エポキシ樹脂を合成することができるものであるが、このとき式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂は、1種を単独で使用したり、あるいは2種以上を混合して使用したりすることができる。ただし、これらのエポキシ樹脂の配合量は、反応後に得られるリン含有エポキシ樹脂全量中に20〜45質量%、好ましくは20〜43質量%、より好ましくは20〜41質量%とするものである。配合量が20質量%より少ないと、接着力、特に積層板や多層板を作製した際に各層間の接着力が低くなるものであり、逆に45質量%より多いと、耐熱性が低くなるものである。 【0033】また、リン含有エポキシ樹脂を合成する際に、エポキシ樹脂としては、式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂以外のものを使用することができる。このようなエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、式(3)以外のビスフェノール型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、三官能型エポキシ樹脂、四官能型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂など、1分子中に2個以上のエポキシ基を持つものを用いることができる。 【0034】そして、上述したリン含有有機化合物と、式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂を1種以上を含むエポキシ樹脂とを反応させてリン含有エポキシ樹脂を合成するにあたっては、公知の方法によって行うことが可能である。すなわち、リン含有有機化合物に上記のエポキシ樹脂を添加し、反応温度を100〜200℃、好ましくは120〜180℃に設定し、攪拌しながら反応させるものである。このとき反応速度が遅い場合は、生産性を向上させるために必要に応じて触媒を使用することができる。この触媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン類、テトラメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン類、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類等を使用することができる。 【0035】上記のようにして、リン含有エポキシ樹脂を合成することができるものであるが、このとき合成条件を上記の範囲内で適宜変更することによって、リン含有エポキシ樹脂全量中のリン含有量を1.2〜4質量%に調整すると共に、リン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量を200〜600g/eqに調整しておくと、難燃性を確保しつつ、接着性及び耐熱性の低下をいずれも抑制することが可能となり好ましい。リン含有量は1.8〜3.6質量%がより好ましく、2〜3.1質量%が特に好ましい。一方、エポキシ当量は250〜550g/eqがより好ましく、300〜500g/eqが特に好ましい。ここで、リン含有量が1.2質量%未満であると、難燃性の確保が困難となるおそれがあり、逆に4質量%を超えると、耐熱性に悪影響を与えるおそれがあるものである。また、エポキシ当量が200g/eq未満であると、接着性が低下するおそれがあり、逆に600g/eqを超えると、耐熱性に悪影響を与えるおそれがあるものである。 【0036】また、上述したリン含有エポキシ樹脂と同じくリン含有エポキシ樹脂組成物の必須成分である、硬化剤としては、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂を単独で使用したり、あるいは他の硬化剤と混合して使用したりするものである。このような硬化剤がリン含有エポキシ樹脂組成物に含有されていると、これを用いて積層板等を作製した場合に、各層間の接着強度を大幅に高めることができるものである。なお、上記のトリアジン変性ノボラック樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製「LA−7054」や「LA−7055」を挙げることができる。一方、他の硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、通常のエポキシ樹脂用硬化剤として、各種フェノール樹脂類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジッド類、酸性ポリエステル類等を挙げることができる。 【0037】また、本発明においては硬化促進剤を用いることもできる。例えば、上述したようにリン含有エポキシ樹脂を合成する際に必要に応じて添加される触媒と同様のものとして、第三級アミン類、第四級アンモニウム塩類、ホスフィン類、イミダゾール類等を挙げることができるが、これらのものに限定されるものではない。 【0038】また、本発明においては、耐衝撃性を高めることができるという点で、リン含有エポキシ樹脂組成物中の固形分100質量部に対して、充填材を10〜150質量部含有しておくことが好ましい。充填材が10質量部未満であると、耐衝撃性を十分に得ることができないおそれがあり、逆に150質量部を超えると、積層板等の用途に必要な物性とされる接着性が低下するおそれがある。なお、充填材を配合する際に基準となる固形分には、溶媒等の液状物が含まれないのは勿論、充填材自体も含まれない。 【0039】また上記の充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、焼成タルク、クレー、カオリン、酸化チタン、ガラス粉末、シリカバルーンのうち1種を単独で使用したり、あるいは2種以上を混合して使用したりすると、耐衝撃性を一層高めることができて好ましい。これらの無機充填材のうち、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を用いると、これらのものは難燃助剤として作用するため、リン含有量が少量であっても難燃性を確保することができるものである。なお、充填材としては、上記の無機充填材に限定されるものではなく、例えば、顔料等や、ガラス繊維、パルプ繊維、合成繊維、セラミック繊維等の繊維質充填材や、微粒子ゴム、熱可塑性エラストマー等の有機充填材も用いることができる。 【0040】そして、本発明に係るリン含有エポキシ樹脂組成物は、上述したリン含有エポキシ樹脂、硬化剤、必要に応じて公知の添加剤その他の成分を配合し、これをミキサー、ブレンダー等で均一に混合した後、ニーダーやロールで加熱混練することによって調製することができるものである。 【0041】上記のようにして、リン含有エポキシ樹脂組成物を得ることができるものであるが、このとき各成分の配合条件を適宜変更することによって、リン含有エポキシ樹脂組成物中のリン含有量を0.5〜4質量%に調整しておくと、難燃性を確保しつつ、耐熱性の低下を抑制することが可能となり好ましい。リン含有量は1.5〜3.5質量%がより好ましく、2〜3質量%が特に好ましい。ここで、リン含有量が0.5質量%未満であると、難燃性の確保が困難となるおそれがあり、逆に4質量%を超えると、耐熱性に悪影響を与えるおそれがあるものである。 【0042】上記のリン含有エポキシ樹脂組成物を、粘度調整用の有機溶媒に溶解して希釈することによって、樹脂ワニスを調製することができる。このとき有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等を挙げることができる。そして、これらの有機溶媒は1種を単独で使用したり、あるいは2種以上を混合して使用したりすることができる。なお、リン含有エポキシ樹脂組成物の含有量は、樹脂ワニス全量に対して30〜80質量%の範囲であることが好ましい。 【0043】そして、上記のようにして調製した樹脂ワニスを用いて、樹脂シート、樹脂付き金属箔、プリプレグを作製することができるものであり、さらに、これらのものを用いて積層板、多層板を作製することができるものである。 【0044】樹脂シートを作製するにあたっては、一般にキャスティング法と呼ばれる方法によって行うことができる。すなわち、上記の樹脂ワニスをキャリアフィルムの一方の面に5〜100μmの厚みとなるように塗布した後、100〜200℃で1〜40分加熱乾燥し、樹脂成分を半硬化(Bステージ化)させてシート状に成形することによって行うものである。このとき樹脂シートの厚みは、5〜80μmであることが好ましい。また上記の方法において、予めキャリアフィルムの表面を離型剤で処理しておくと、成形された樹脂シートをキャリアフィルムから容易に剥離することができて作業性が向上するものである。なお、キャリアフィルムとしては、樹脂ワニスに溶解しないものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等を用いることができる。 【0045】また、樹脂付き金属箔を作製するにあたっては、上記の樹脂ワニスを金属箔の一方の面にロールコーター等を用いて塗布した後、100〜200℃で1〜40分間加熱乾燥し、樹脂成分を半硬化(Bステージ化)させることによって行うことができる。このとき樹脂付き金属箔の樹脂部分の厚みは、5〜110μmであることが好ましい。なお、金属箔としては、特に限定されるものではないが、例えば、銅、アルミニウム、真鍮、ニッケル等の金属を単独で用いたり、合金等の複合材料を用いたりすることができる。このような金属箔の厚みは、9〜70μmであることが好ましい。 【0046】また、プリプレグを作製するにあたっては、上記の樹脂ワニスをシート状基材に含浸させた後、100〜200℃で1〜40分間加熱乾燥し、樹脂成分を半硬化(Bステージ化)させることによって行うことができる。このときプリプレグ中の樹脂量は、プリプレグ全量に対して30〜80質量%であることが好ましい。なお、上記のシート状基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス等の無機質繊維の織布又は不織布や、ポリエステル、ポリアミン、ポリアクリル、ポリイミド、ケブラー等の有機質繊維の織布又は不織布を用いることができる。 【0047】また、積層板を作製するにあたっては、以下のようにして行うことができる。すなわち、上記の樹脂シート、樹脂付き金属箔、プリプレグのうちの少なくとも一種のものを所要枚数重ね、これを加熱加圧して積層成形することによって、積層板を作製することができる。この際に、片側又は両側に金属箔を重ねて積層成形することによって、プリント配線板に加工するための金属箔張り積層板を作製することができる。この金属箔としては、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂付き金属箔を作製するにあたって使用したものと同様のものを用いることができる。なお、樹脂付き金属箔を用いて積層板を作製する場合は、樹脂付き金属箔の金属箔が外側となるように配置して積層するものである。また加熱加圧の条件は、リン含有エポキシ樹脂組成物を硬化させることができれば、特に限定されるものではないが、圧力があまりに低いと、得られる積層板の内部に気泡が残留し、電気的特性が低下するおそれがあるため、例えば、温度を160〜220℃、圧力を49.0〜490.3N/cm2(5〜50kgf/cm2)、時間を40〜240分間に設定することが好ましい。 【0048】また、多層板を作製するにあたっては、上記の積層板を用いることによって行うことができる。すなわち、予め積層板の片側又は両側にアディティブ法やサブトラクティブ法等によって内層用の回路を形成すると共に、酸溶液等を用いてこの回路の表面に黒化処理を施すことによって、内層材を作製しておく。そして、この内層材の片側又は両側に、上記の樹脂シート、樹脂付き金属箔、プリプレグのうちの少なくとも一種のものを所要枚数重ねて絶縁層を形成すると共に、この外側に金属箔等を配置して導体層を形成することによって、多層プリント配線板に加工するための多層板を作製することができる。なお、樹脂付き金属箔を用いて多層板を作製する場合は、樹脂付き金属箔の金属箔が外側となるように配置して積層するものである。 【0049】ここで、樹脂シートを用いて上記の絶縁層を形成するにあたっては、複数枚の内層材と樹脂シートとを交互に重ね合わせたり、あるいは内層材の片側又は両側に樹脂シートを重ねると共にその外側に金属箔を配置したりして、これを加熱加圧して積層成形することによって行うことができる。すなわち、樹脂シートの硬化物が絶縁層となり、外側に配置された金属箔が導体層となるものである。なお、金属箔としては、上述したものと同様のものを用いることができ、また加熱加圧の条件としては、積層板を作製する場合と同様の条件にすることができる。 【0050】また、樹脂付き金属箔を用いて絶縁層を形成するにあたっては、内層材の片側又は両側に、金属箔を外側に向けて樹脂付き金属箔を重ね、これを加熱加圧して積層成形することによって行うことができる。すなわち、樹脂付き金属箔の樹脂部分の硬化物が絶縁層となり、その外側の金属箔が導体層となるものである。なお、加熱加圧の条件としては、積層板を作製する場合と同様の条件にすることができる。 【0051】また、プリプレグを用いて絶縁層を形成するにあたっては、内層材の片側又は両側に、所要枚数のプリプレグを重ねると共にその外側に金属箔を配置し、これを加熱加圧して積層成形することによって行うことができる。すなわち、プリプレグの硬化物が絶縁層となり、その外側に配置された金属箔が導体層となるものである。なお、金属箔としては、上述したものと同様のものを用いることができ、また加熱加圧の条件としては、積層板を作製する場合と同様の条件にすることができる。 【0052】また、絶縁層を形成するにあたっては、上述した樹脂ワニスを直接用いることによって行うこともできる。すなわち、樹脂シートの作製と同様に一般にキャスティング法と呼ばれる方法によって行うものであり、上記の積層板や多層板の片側又は両側に、好ましくは5〜100μmの厚みに樹脂ワニスを塗布した後、この面に金属箔等を配置して、これを100〜200℃で1〜90分間加熱加圧して積層成形することによって行うことができる。この場合は、積層板等に樹脂ワニスが直接シート状に成形されるものであるが、乾燥後の厚みは5〜80μmであることが好ましい。そして、樹脂ワニスの硬化物が絶縁層となり、外側に配置された金属箔が導体層となるものである。その後、この金属箔に公知の方法で回路を形成した後、上記と同様に絶縁層と導体層を一層ずつ形成していくことによって、より多数の層を有する多層板を作製することができるものである。なお、樹脂ワニスを用いる際には、必要に応じて、有機溶媒による希釈濃度、有機溶媒の種類、添加剤等を適宜変更することができ、例えば、有機溶媒として、より低沸点のものを使用することもできる。 【0053】そして、上記のようにして作製した積層板や多層板の片側又は両側に、アディティブ法やサブトラクティブ法等によって回路を形成したり、またレーザ加工やドリル加工等によって穴あけを行い、この穴にめっきを施してバイアホールやスルーホールを形成して各層間の導通を取ったりすることによって、プリント配線板や多層プリント配線板を作製することができるものである。また、上述したように一層ずつ絶縁層と導体層とを形成していくことによって、より多数の層を有する多層プリント配線板を形成することもできるものである。 【0054】このようにして得られる積層板や多層板にあって、絶縁層は上述したリン含有エポキシ樹脂組成物の硬化物によって形成されているため、優れた難燃性と耐熱性を有しており、しかもハロゲン(ハロゲン化物を含む)を含有していないため、高温下においてもハロゲン等の解離が全く起こらないものである。また、絶縁層を形成するプリプレグ間や、絶縁層と導体層との間の各層間の接着強度は、リン含有エポキシ樹脂組成物へのトリアジン変性ノボラック樹脂の配合によって、十分に高められているものである。なお、樹脂シートや樹脂付き金属箔を用いて絶縁層が形成されている場合は、ガラス等の無機質繊維のシート状基材が層内に存在しないため、プリプレグのように各層間の接着強度を直接測定することはできないが、プリプレグを用いた場合の結果から各層間の接着強度が向上していることは容易に推測されるものである。 【0055】 【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらのものに限定されるものではない。 【0056】(合成例1)攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた四つ口のガラス製セパラブルフラスコに、「HCA」を212質量部と、反応溶媒としてトルエンを470質量部仕込み、加熱して溶解した。その後、1,4−ナフトキノンを100質量部反応熱による昇温に注意しながら分割投入した。このとき有機リン化合物である「HCA」は、1,4−ナフトキノン1モルに対して1.56モルであった。反応後、溶媒を300質量部回収した後、三官能エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製「EPPN−501H」:エポキシ当量165g/eq)を160質量部と、四官能エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「エポトートYDG−414」:エポキシ当量187g/eq)を328質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら加熱攪拌を行って、さらに溶媒を回収した。その後、ハイドロキノン型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「エポトートZX−1027」:エポキシ当量144g/eq)を200質量部添加して120℃まで加熱を行って溶解した。触媒としてトリフェニルホスフィンを0.31質量部添加して160℃で4時間反応させた。式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂は20質量%であった。得られたリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は401.5g/eq、リン含有量は3.01質量%であった。 【0057】(合成例2)「HCA」を130質量部、1,4−ナフトキノンを94質量部、反応溶媒としてキシレンを400質量部、エポキシ樹脂として、「EPPN−501H」を350質量部、1,4−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「エポトートZX−1355」:エポキシ当量145g/eq)を250質量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「エポトートYDF−170」:エポキシ当量168g/eq)を176質量部、触媒としてトリフェニルホスフィンを0.22質量部とした以外は合成例1と同じ操作を行った。このとき有機リン化合物はキノン化合物1モルに対して1.02モルであった。また、式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂は42.6質量%であった。得られたリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は273.5g/eq、リン含有量は1.85質量%であった。 【0058】(合成例3)「HCA」を155質量部、1,4−ベンゾキノンを55質量部、反応溶媒としてジオキサンを220質量部、エポキシ樹脂として、四官能型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「エポトートYH−434」:エポキシ当量129g/eq)を55質量部、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「エポトートZX−1201」:エポキシ当量260g/eq)を350質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「エポトートYD−128」:エポキシ当量187g/eq)を385質量部、触媒としてトリフェニルホスフィンを0.21質量部とした以外は合成例1と同じ操作を行った。このとき有機リン化合物はキノン化合物1モルに対して1.41モルであった。また、式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂は35.0質量%であった。得られたリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は391.5g/eq、リン含有量は2.20質量%であった。 【0059】(合成例4)「HCA」を141質量部、1,4−ナフトキノンを83質量部、反応溶媒としてトルエンを315質量部、エポキシ樹脂として、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「エポトートYDPN−638」:エポキシ当量178g/eq、二官能成分が式(3)に該当し、その含有量が22質量%である)を100質量部、「エポトートYDG−414」を351質量部、ビフェニル型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「エポトートZX−1251」:エポキシ当量158g/eq)を325質量部、触媒としてトリフェニルホスフィンを0.22質量部とした以外は合成例1と同じ操作を行った。このとき有機リン化合物はキノン化合物1モルに対して1.25モルであった。また、式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂は34.5質量%であった。得られたリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は303.5g/eq、リン含有量は2.00質量%であった。 【0060】(合成例5)「HCA」を141質量部、1,4−ナフトキノンを92質量部、反応溶媒としてトルエンを320質量部、エポキシ樹脂として、「エポトートYDPN−638」を467質量部、「エポトートYDF−170」を300質量部、触媒としてトリフェニルホスフィンを0.23質量部とした以外は合成例1と同じ操作を行った。このとき有機リン化合物はキノン化合物1モルに対して1.12モルであった。また、式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂は40.3質量%であった。得られたリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は320.1g/eq、リン含有量は2.00質量%であった。 【0061】(合成例6)「HCA」を270質量部、1,4−ナフトキノンを100質量部、反応溶媒としてトルエンを580質量部、エポキシ樹脂として、「エポトートZX−1201」を100質量部、「エポトートZX−1355」を100質量部、「エポトートYH−434」を60質量部、「エポトートYDPN−638」を370質量部、触媒としてトリフェニルホスフィンを0.33質量部とした以外は合成例1と同じ操作を行った。このとき有機リン化合物はキノン化合物1モルに対して1.98モルであった。また、式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂は28.1質量%であった。得られたリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は584.7g/eq、リン含有量は3.83質量%であった。 【0062】(実施例1〜12及び比較例1〜10) (プリプレグの作製)実施例1〜12及び比較例1〜10について、表1〜4に示す組成を有する樹脂ワニスを調製し、これをガラスクロス(日東紡績株式会社製「H258」:7628タイプ)に含浸させた後、155℃で5分間加熱することにより乾燥し、プリプレグを作製した。 【0063】ここで、表1〜4中に「LA−7054」とあるのは、トリアジン変性ノボラック樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製「LA−7054」)、「LA−7055」とあるのは、同じくトリアジン変性ノボラック樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製「LA−7055」)、「Dicy」とあるのはジシアンジアミド(日本カーバイト株式会社製)、「PSM4357」とあるのはフェノールノボラック(群栄化学工業株式会社製「PSM4357」)、「2E4MZ」とあるのは2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製「2E4MZ」))、「水酸化アルミ」とあるのは住友化学工業株式会社製「CL−310」、「ワラストナイト」とあるのはキンセイマテック株式会社製「FPW−800」である。 【0064】(積層板の作製)上記のようにして作製したプリプレグを3枚積層し、その両側に厚み18μmの銅箔(古河サーキットフォイル株式会社製「GT箔」)を配置し、これを170℃、392N/cm2(40kgf/cm2)の条件で120分間、加熱加圧成形することにより、内層材用の積層板を作製した。そして、この積層板の両面にサブトラクティブ法によって回路を形成した後、スルーホールを形成し、さらに回路表面を酸性溶液によって黒化処理を施し、内層材用のプリント配線板を作製した。 【0065】(多層板の作製)上記の内層材用のプリント配線板の両側に、それぞれプリプレグを1枚重ね、さらにその外側に厚み18μmの銅箔を配置し、これを170℃、392N/cm2(40kgf/cm2)の条件で120分間、加熱加圧成形することにより、難燃性評価用の多層板を作製した。 【0066】(難燃性)多層板に全面エッチングを行い、これについてUL(Underwriter Laboratorics)規格に準じて難燃性の評価を行った。 【0067】(層間接着強度)JIS C 6481 5.7に準じ、上記の積層板においてプリプレグ1枚と残りの2枚との間で剥離を行い、その強度を測定した。 【0068】 【表1】
【0069】 【表2】
【0070】 【表3】
【0071】 【表4】
【0072】表1〜4にみられるように、各実施例には硬化剤としてトリアジン変性ノボラック樹脂が用いられているので、層間接着強度が向上していることが確認される。 【0073】 【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係るリン含有エポキシ樹脂組成物は、リン含有エポキシ樹脂と硬化剤を必須成分とするリン含有エポキシ樹脂組成物において、リン含有エポキシ樹脂として、リン原子に結合した1個の活性水素を有する有機リン化合物をキノン化合物1モルに対して1.01モル以上2モル未満の範囲で反応させて得られるリン含有有機化合物と、上記の式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂から選ばれるものとを、上記の式(1)〜(3)で表されるエポキシ樹脂から選ばれるものがリン含有エポキシ樹脂全量中に20〜45質量%含有されるように反応させたものを用いると共に、硬化剤として、トリアジン変性ノボラック樹脂を一部又は全部用いているので、上記のようにして合成されるリン含有エポキシ樹脂を配合することによって、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、耐熱性を高めることができるものであり、また、硬化剤としてトリアジン変性ノボラック樹脂を配合することによって、積層板等において各層間の接着強度を高めることができるものである。 【0074】また請求項2の発明は、請求項1において、リン含有エポキシ樹脂全量中のリン含有量が1.2〜4質量%であると共に、リン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量が200〜600g/eqであるので、難燃性を確保しつつ、接着性及び耐熱性の低下をいずれも抑制することができるものである。 【0075】また請求項3の発明は、請求項1又は2において、キノン化合物として、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノンから選ばれるものを用いているので、高い溶解性によって有機リン化合物との反応がスムーズに行われ、リン含有有機化合物を確実に得ることができるものである。 【0076】また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、有機リン化合物として、3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサフォスファン−2−オキシドを用いているので、高い溶解性によってキノン化合物との反応がスムーズに行われ、リン含有有機化合物を確実に得ることができるものであり、また、分子あたりのリン含有量が高いことによって、少量の使用であってもリンによる難燃などの効果を十分に得ることができるものである。 【0077】また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、組成物全量中のリン含有量が0.5〜4質量%であるので、難燃性を確保しつつ、耐熱性の低下を抑制することができるものである。 【0078】また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、組成物中の固形分100質量部に対して、充填材を10〜150質量部含有しているので、接着性の低下を抑制しつつ、耐衝撃性を高めることができるものである。 【0079】また請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかにおいて、充填材として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、焼成タルク、クレー、カオリン、酸化チタン、ガラス粉末、シリカバルーンから選ばれるものを用いているので、耐衝撃性を一層高めることができるものである。 【0080】また請求項8に係る樹脂シートは、請求項1乃至7のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物をシート状に形成しているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、耐熱性を高めることができるものであり、しかも積層板等を作製した際に各層間の接着強度を高めることができるものである。 【0081】また請求項9に係る樹脂付き金属箔は、請求項1乃至7のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を金属箔上に塗布しているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、耐熱性を高めることができるものであり、しかも積層板等を作製した際に各層間の接着強度を高めることができるものである。 【0082】また請求項10に係るプリプレグは、請求項1乃至7のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物をシート状基材に含浸しているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、耐熱性を高めることができるものであり、しかも積層板等を作製した際に各層間の接着強度を高めることができるものである。 【0083】また請求項11に係る積層板は、請求項8に記載の樹脂シート、請求項9に記載の樹脂付き金属箔、請求項10に記載のプリプレグのうちの少なくとも一種のものを積層成形しているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、耐熱性が高められており、しかも各層間の接着強度も高められているものである。 【0084】また請求項12に係る多層板は、請求項8に記載の樹脂シート、請求項9に記載の樹脂付き金属箔、請求項10に記載のプリプレグのうちの少なくとも一種のものを各層内に少なくとも一層含んでいるので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、耐熱性が高められており、しかも各層間の接着強度も高められているものである。 【0085】また請求項13の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を請求項11に記載の積層板に塗布しているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、耐熱性が高められており、しかも各層間の接着強度も高められているものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005832 【氏名又は名称】松下電工株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年2月23日(2001.2.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087767 【弁理士】 【氏名又は名称】西川 惠清 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−249552(P2002−249552A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月6日(2002.9.6) |
| 【出願番号】 |
特願2001−49168(P2001−49168) |
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