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【発明の名称】 封止用樹脂組成物および半導体封止装置
【発明者】 【氏名】和田 譲

【氏名】須藤 信博

【氏名】横内 比斗志

【要約】 【課題】流動性・成形性、実装時の半田耐熱性、樹脂クラックもなく、接着性が良好で、実装後の耐湿性に優れ、長期間の信頼性を保証することができる封止用樹脂組成物および半導体封止装置を提供する。

【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)1,4−オキサジンジスルフィド、(D)エポキシ変性又はアミノ変性の変性シリコーンオイル、(E)無機質充填剤および(F)硬化促進剤を必須成分とし、樹脂組成物に対して前記(E)無機質充填剤を25〜95重量%の割合で含有する封止用樹脂組成物であり、また、この封止用樹脂組成物の硬化物で、半導体チップが封止されてなる半導体封止装置である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)次式で示される密着付与剤、【化1】

(D)エポキシ変性又はアミノ変性の変性シリコーンオイル、(E)無機質充填剤および(F)硬化促進剤を必須成分とし、樹脂組成物に対して前記(E)無機質充填剤を25〜95重量%の割合で含有することを特徴とする封止用樹脂組成物。
【請求項2】 (D)の変性シリコーンオイルが、次式で示されるエポキシ変性シリコーンオイルである請求項1記載の封止用樹脂組成物。
【化2】

(但し、式中、Rは任意の2価の炭化水素基を、mは0又は1以上の整数、nは1以上の整数をそれぞれ表す)
【請求項3】 (D)の変性シリコーンオイルが、次式で示されるエポキシ変性シリコーンオイルである請求項1記載の封止用樹脂組成物。
【化3】

(但し、式中、Rは任意の2価の炭化水素基を、nは0又は1以上の整数をそれぞれ表す)
【請求項4】 (D)の変性シリコーンオイルが、次式で示されるエポキシ変性シリコーンオイルである請求項1記載の封止用樹脂組成物。
【化4】

(但し、式中、Rは任意の2価の炭化水素基を、R′は任意の1価の炭化水素基を、nは0又は1以上の整数をそれぞれ表す)
【請求項5】 (D)の変性シリコーンオイルが、次式で示されるエポキシ変性シリコーンオイルである請求項1記載の封止用樹脂組成物。
【化5】

(但し、式中、Rは任意の2価の炭化水素基を、nは0又は1以上の整数をそれぞれ表す)
【請求項6】 (D)の変性シリコーンオイルが、次式で示されるアミノ変性シリコーンオイルである請求項1記載の封止用樹脂組成物。
【化6】

(但し、式中、nは0又は1以上の整数を表す)
【請求項7】 (D)の変性シリコーンオイルが、次式で示されるアミノ変性シリコーンオイルである請求項1記載の封止用樹脂組成物。
【化7】

(但し、式中、Rは任意の2価の炭化水素基を、mは0又は1以上の整数、nは1以上の整数をそれぞれ表す)
【請求項8】 (D)の変性シリコーンオイルが、次式で示されるアミノ変性シリコーンオイルである請求項1記載の封止用樹脂組成物。
【化8】

(但し、式中、R、R′は任意の2価の炭化水素基を、mは0又は1以上の整数、nは1以上の整数をそれぞれ表す)
【請求項9】 請求項1〜8記載の封止用樹脂組成物の硬化物で、半導体チップが封止されてなることを特徴とする半導体封止装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密着性、高強度、低吸水で、成形性、半田耐熱性にも優れた封止用樹脂組成物および半導体封止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路などを機械的、化学的作用から保護するために、封止用樹脂組成物が開発されてきた。近年、ICは高集積化に伴う大型化、多極化が進む一方で、パッケージの外径寸法は小型化している。そのため、市場に大きなニーズのある表面実装対応デバイス用には高い半田耐熱性が要求される。半田耐熱性について重要なことは、パッケージ内部の各種の部材に対する密着力と、樹脂組成物自体の強度の向上である。そこで封止用樹脂組成物は問題解決のために高密着化、高強度化、低吸水化のために無機質充填剤の高充填化、密着付与剤の添加等を行ってきた。しかし、反面、成形時における不具合を生じやすいという結果が起きてきた。例えば、外部巣、内部巣の増加、ボンディングワイヤの変形、薄型パッケージにおける充填性不足という欠点である。また、半導体組立工程削減のため、事前にメッキを施したフレームを用いてモールドする手法が採られている。この結果、従来の密着付与剤では、リードフレームへの接着力が不足する事態が生じてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点を解消するためになされたもので、実装時の高い半田耐熱性を維持し、また、流動性、成形性が良好でワイヤの変形を起こさず、さらに、表面に金メッキなどを施したフレームに対して、高い接着力を有する半導体用封止樹脂組成物およびそれを用いた半導体封止装置を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目的を達成しようと鋭意研究を重ねた結果、特定の密着付与剤および変性シリコーンオイルを配合することによって、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成したものである。
【0005】即ち、本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)次式で示される密着付与剤、【化9】

(D)エポキシ変性又はアミノ変性の変性シリコーンオイル、(E)無機質充填剤および(F)硬化促進剤を必須成分とし、樹脂組成物に対して前記(E)無機質充填剤を25〜95重量%の割合で含有することを特徴とする封止用樹脂組成物であり、また、この封止用樹脂組成物の硬化物で、半導体チップが封止されてなることを特徴とする半導体封止装置である。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明に用いる(A)エポキシ樹脂としては、その分子中にエポキシ基を少なくとも2個有する化合物である限り、分子構造および分子量など特に制限なく、一般に封止用材料として使用されるものを広く包含することができる。例えば、ノボラック系エポキシ樹脂やビフェニル系エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂を単独で、また併用して用いることができる。
【0008】本発明に用いる(B)フェノール樹脂としては、前記(A)のエポキシ樹脂と反応し得るフェノール性水酸基を2個以上有する化合物であれば、特に制限なく使用することができる。具体的なものとしては、例えば、アラルキル型フェノール樹脂やノボラック型フェノール樹脂などのフェノール樹脂を単独で、また併用して用いることができる。
【0009】本発明に用いる(C)密着付与剤は、前記化9で示されるものが使用される。
【0010】本発明に用いる(D)変性シリコーンオイルとしては、エポキシ変性シリコーンオイルまたはアミノ変性シリコーンオイルが用いられる。前記化2〜化5で示されるエポキシ変性シリコーンオイルは、グリシジルタイプ、脂環式タイプのエポキシ基をもつもので、化6〜化8で示されるアミノ変性シリコーンオイルは、アミノプロピル基またはN−(2−アミノエチル)アミノプロピル基などをもつものである。
【0011】本発明に用いる(E)無機質充填剤としては、一般に公知されているものが広く使用されるが、それらの中でも不純物濃度が低く、平均粒径30μm以下のシリカ粉末が好ましく使用することができる。平均粒径が30μmを超えると耐湿性および成形性が劣り好ましくない。無機質充填剤の配合割合は、全体の樹脂組成物に対して25〜95重量%の割合で含有することが望ましい。その割合が25重量%未満では、樹脂組成物の吸湿率が大きくなり、はんだ浸漬後の耐湿性に劣り、また、95重量%を超えると極端に流動性が悪くなり、成形性に劣り好ましくない。
【0012】本発明に用いる(F)硬化促進剤としては、DBU系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、その他の硬化促進剤等が広く使用され、これらは単独又は2種以上併用することができる。硬化促進剤の配合割合は、全体の樹脂組成物に対して0.01〜5重量%含有するように配合することが望ましい。その割合が0.01重量%未満では、樹脂組成物のゲルタイムが長く、硬化特性も悪くなり、また、5重量%を超えると極端に流動性が悪くなって成形性に劣り、さらに電気特性が悪くなり耐湿性にも劣り好ましくない。
【0013】本発明のエポキシ樹脂組成物は、前述した特定のフェノール樹脂硬化剤、エポキシ樹脂、無機質充填剤および硬化促進剤を必須成分とするが、本発明の目的に反しない限度において、また必要に応じて、例えば天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド類、エステル類、パラフィン類等の離型剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シランカップリング剤、ゴム系やシリコーン系の低応力付与剤等を適宜、添加配合することができる。
【0014】本発明の封止用樹脂組成物を成形材料として調製する場合の一般的な方法としては、前述したエポキシ樹脂、フェノール樹脂、特定の密着付与剤、特定の変性シリコーンオイル、無機質充填剤および硬化促進剤、その他成分を所定の組成比に選択した原料成分を配合し、ミキサー等によって十分均一に混合した後、さらに熱ロールによる溶融混合処理又はニーダ等による混練処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して成形材料とすることができる。こうして得られた成形材料は、半導体装置をはじめとする電子部品あるいは電気部品の、被覆、絶縁等に適用すれば、優れた特性と信頼性を付与させることができる。
【0015】本発明の半導体封止装置は、上述した成形材料を用いて、半導体チップを封止することにより容易に製造することができる。封止を行う半導体チップとしては、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等で特に限定されるものではない。封止の最も一般的な方法としては、低圧トランスファー成形法があるが、射出成形、圧縮成形、注型等による封止も可能である。成形材料は封止の際に加熱して硬化させ、最終的にはこの硬化物によって封止された半導体封止装置が得られる。加熱による硬化は、150℃以上に加熱して硬化させるのが望ましい。チップを搭載する基板としては、セラミックス、プラスティック、ポリイミドフィルム、リードフレームなどであるがこれらに限定されるものではない。
【0016】
【作用】本発明の封止用樹脂組成物および半導体封止装置は、前述した特定の密着付与剤および特定の変性シリコーンオイルを用いたことにより、樹脂組成物の42アロイ、銅、パラジウム、金への接着力が向上して、半田浸漬、半田リフロー後の樹脂クラックの発生がなくなり、耐湿性劣化が少なくなるものである。
【0017】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において「%」とは「重量%」を意味する。
【0018】実施例1ビフェニル型エポキシ樹脂のYX−4000HK(油化シェルエポキシ社製、商品名)5.0%、アラルキル型フェノール樹脂のXL−225(三井化学社製、商品名)4.0%、前記化9に示される密着付与剤としてACTOR−R(川口化学社製、商品名)0.1%、変性シリコーンオイルとしてKF−101(信越化学社製、商品名)0.3%、シリカ粉末90%、硬化促進剤のPP−200(北興化学社製、商品名)0.2%、エステルワックス類のカルナバワックス0.1%およびシランカップリング剤のA−187(日本ユニカー社製、商品名)0.3%を常温で混合し、さらに90〜95℃で混練してこれを冷却固化して成形材料を製造した。
【0019】実施例2ビフェニル型エポキシ樹脂のYX−4000HK(油化シェルエポキシ社製、商品名)5.0%、ノボラック型フェノール樹脂のBRG−556(昭和高分子社製、商品名)4.0%、前記化9に示される密着付与剤としてACTOR−R(川口化学社製、商品名)0.1%、変性シリコーンオイルとしてKF−101(信越化学社製、商品名)0.3%、シリカ粉末90%、硬化促進剤のPP−200(北興化学社製、商品名)0.2%、エステルワックス類のカルナバワックス0.1%およびシランカップリング剤のA−187(日本ユニカー社製、商品名)0.3%を常温で混合し、さらに90〜95℃で混練してこれを冷却固化して成形材料を製造した。
【0020】実施例3〜14表1〜2に示した配合でそれぞれ混合し、実施例1と同様な方法で成形材料を製造した。
【0021】比較例1ビフェニル型エポキシ樹脂のYX−4000HK(油化シェルエポキシ社製、商品名)5.2%、アラルキル型フェノール樹脂のXL−225(三井化学社製、商品名)4.1%、前記化9に示される密着付与剤のACTOR−R(川口化学社製、商品名)0.1%、シリカ粉末90%、硬化促進剤のPP−200(北興化学社製、商品名)0.2%、エステルワックス類のカルナバワックス0.1%およびシランカップリング剤のA−187(日本ユニカー社製、商品名)0.3%を常温で混合し、さらに90〜95℃で混練してこれを冷却固化して成形材料を製造した。
【0022】比較例2ビフェニル型エポキシ樹脂のYX−4000HK(油化シェルエポキシ社製、商品名)5.2%、アラルキル型フェノール樹脂のXL−225(三井化学社製、商品名)4.2%、シリカ粉末90%、硬化促進剤のPP−200(北興化学社製、商品名)0.2%、エステルワックス類のカルナバワックス0.1%およびシランカップリング剤のA−187(日本ユニカー社製、商品名)0.3%を常温で混合し、さらに90〜95℃で混練してこれを冷却固化して成形材料を製造した。
【0023】こうして製造した実施例および比較例の成形材料を用いて、180℃に加熱した金型内にトランスファー注入し、硬化させて半導体チップを封止して半導体封止装置を製造した。これらの半導体封止装置について、諸試験を行ったのでその結果を表3〜4に示したが、本発明のエポキシ樹脂組成物及び半導体封止装置は、流動性、耐湿性、半田耐熱性に優れており、本発明の顕著な効果を確認することができた。
【0024】
【表1】

【表2】

【表3】

*1:スパイラルフローの測定温度は175℃である*2:トランスファー成形によって接着面積4mm2 の成形品をつくり、これを175℃で8時間の後硬化を行った後、剪断接着力を求めた*3:成形材料を180℃、1分間の条件で、10mm×10mmの評価用素子を封止し、175℃で8時間アフターキュアを行った。次いで、このパッケージ10個を85℃,相対温度70%の雰囲気中に168時間放置して吸湿処理を行った後、これを最高温度240℃のIRリフロー炉に3回通した。この時点でパッケージのクラック発生不良数を調べた。さらに、このIRリフロー後のパッケージをプレッシャークッカー内で127℃の飽和水蒸気雰囲気中に100〜1000時間放置し不良数を調べ、クラック発生不良数と合計した。
【0025】
【表4】

*1:スパイラルフローの測定温度は175℃である*2:トランスファー成形によって接着面積4mm2 の成形品をつくり、これを175℃で8時間の後硬化を行った後、剪断接着力を求めた*3:成形材料を180℃、1分間の条件で、10mm×10mmの評価用素子を封止し、175℃で8時間アフターキュアを行った。次いで、このパッケージ10個を85℃,相対温度70%の雰囲気中に168時間放置して吸湿処理を行った後、これを最高温度240℃のIRリフロー炉に3回通した。この時点でパッケージのクラック発生不良数を調べた。さらに、このIRリフロー後のパッケージをプレッシャークッカー内で127℃の飽和水蒸気雰囲気中に100〜1000時間放置し不良数を調べ、クラック発生不良数と合計した。
【0026】
【発明の効果】以上の説明及び表3、4から明らかなように、本発明の封止用樹脂組成物及び半導体封止装置は、42アロイ、Cu、Pb−Au等との接着性に優れ、IRリフロー後においても吸湿による影響が少なく、電極の腐食による断線や水分によるリーク電流の発生等を著しく軽減でき、その結果、長期間の信頼性を保証することができる。
【出願人】 【識別番号】390022415
【氏名又は名称】東芝ケミカル株式会社
【出願日】 平成13年2月26日(2001.2.26)
【代理人】 【識別番号】100084065
【弁理士】
【氏名又は名称】諸田 英二
【公開番号】 特開2002−249548(P2002−249548A)
【公開日】 平成14年9月6日(2002.9.6)
【出願番号】 特願2001−49590(P2001−49590)